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審決分類 |
審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する A63B |
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管理番号 | 1269745 |
審判番号 | 訂正2012-390153 |
総通号数 | 160 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-04-26 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2012-12-03 |
確定日 | 2013-01-09 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第4102986号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第4102986号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
1 手続の経緯 本件特許第4102986号は、平成14年11月21日の出願であって、平成20年4月4日に当該特許の特許権の設定登録がなされ、平成24年12月3日に本件訂正審判が請求されたものである。 2 請求の趣旨 特許権者が求める請求の趣旨は、特許第4102986号の明細書を請求書に添付した訂正明細書(以下「訂正明細書」という。)のとおり訂正することを求めるものである。 3 訂正の内容 訂正の内容は以下のとおりである。 ・訂正事項1 本件特許明細書の段落【0027】に記載した「ディンプルの直径は0.2?0.5mm」を「ディンプルの直径は2.00?5.00mm」に訂正する。 ・訂正事項2 本件特許明細書の段落【0027】に記載した「ディンプルの深さは0.1?0.2mm」を「ディンプルの深さは0.10?0.20mm」に訂正する。 ・訂正事項3 本件特許明細書の段落【0030】に記載した「直径3.0mmのディンプル」を「直径3.00mmのディンプル」に訂正する。 ・訂正事項4 本件特許明細書の段落【0031】に記載した「直径30mmのディンプル」を「直径3.00mmのディンプル」に訂正する。 4 当審の判断 (1)訂正の目的 ア 訂正事項1について 本件特許明細書(以下「訂正前明細書」という。)の段落【0030】及び【0031】には、ゴルフボールの表面に配置されたディンプルの直径の例として、「3.21mm」、「3.85mm」、「4.15mm」と有効桁数が小数点以下2桁で記載されている。そうすると、訂正前明細書の段落【0027】に記載の「ディンプルの直径は0.2?0.5mm」は、上記記載との関係で、本来意図されたディンプルの直径の範囲を表示していない誤記であることは明らかである。したがって、上記訂正事項1は、この誤記を正しい記載に訂正して、本来意図されたディンプルの直径の範囲を明瞭にするものであるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。 イ 訂正事項2について 訂正前明細書においては、段落【0030】及び【0031】のように、ゴルフボールの表面に配置されたディンプルの大きさを示す数値の多くが、「3.21mm」、「3.85mm」、「4.15mm」と有効桁数が小数点以下2桁で記載されている。そうすると、訂正前明細書の段落【0027】に記載されたディンプルの大きさ(深さ)を示す数値である「0.1?0.2mm」は、上記記載との関係で、本来であればディンプルの深さを有効桁数が小数点以下2桁の数値で表示することを意図していたところ、誤って有効桁数が小数点以下1桁の数値で表示した誤記であることは明らかである。したがって、上記訂正事項2は、この誤記を正しい記載に訂正して、本来意図されたディンプルの深さの表示を明瞭にするものであるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。 ウ 訂正事項3について 訂正前明細書の段落【0030】及び【0031】には、ゴルフボールの表面に配置されたディンプルの直径が、「3.21mm」、「3.85mm」、「4.15mm」のように有効桁数が小数点以下2桁の数値で表示されている。そうすると、訂正前明細書の段落【0030】に記載の「直径3.0mmのディンプル」は、上記記載との関係で、本来であればディンプルの直径を有効桁数が小数点以下2桁の数値で表示することを意図していたところ、誤って有効桁数が小数点以下1桁の数値で表示した誤記であることは明らかである。したがって、上記訂正事項3は、この誤記を正しい記載に訂正して、本来意図されたディンプルの直径の表示を明瞭にするものであるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。 エ 訂正事項4について 訂正前明細書の段落【0030】及び【0031】には、ゴルフボールの表面に配置されたディンプルの直径の例として、「3.21mm」、「3.85mm」、「4.15mm」と有効桁数が小数点以下2桁で記載されている。そうすると、訂正前明細書の段落【0031】に記載の「直径30mmのディンプル」は、上記記載との関係で、本来意図されたディンプルの直径を表示していない誤記であることは明らかである。したがって、上記訂正事項4は、この誤記を正しい記載に訂正して、本来意図されたディンプルの直径を明瞭にするものであるから、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。 (2)新規事項の追加の有無について 上記各訂正事項は、願書に最初に添付した明細書又は図面の記載全体から自明な事項といえるから、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであるということができ、特許法第126条第5項に規定する要件に適合するものである。 (3)特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について 各訂正事項は、特許請求の範囲を訂正するものではない。 また、各訂正事項は、単に誤った記載を正しい記載に訂正するだけものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項に規定する要件に適合するものである。 (4)独立特許要件について 各訂正事項は、特許請求の範囲を訂正するものではない。 また本件各請求項に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるとする理由は見あたらない。 したがって、訂正後の請求項1?8に係る発明は、いずれも特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであり、特許法第126条第7項に規定する要件に適合するものである。 5 むすび 以上、本件審判請求は、特許法第126条第1項ただし書き第2号に掲げる誤記の訂正を目的とし、かつ、同条第5項、第6項及び第7項の規定に適合するものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 ゴルフボール (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 球面に複数のディンプルが形成されたゴルフボールであって、 前記球面に内接する正八面体の各辺を該球面に投影することにより三本の大円を規定し、 該大円を区画線として前記球面上に区画された八つの球面正三角形状の各領域には、複数のディンプルを配置したディンプルパターンが形成されており、 前記球面に位置する前記正八面体の6個の頂点のいずれにおいても1つの頂点を共有する4つの前記領域において、前記区画線を挟んで隣接する領域のディンプルパターンは互いに相違しており、かつ前記頂点を共有して対峙する2つの前記領域のディンプルパターンが、該頂点を通るボール直径に関し互いに回転対称の関係となっていることを基本配置とするゴルフボール。 【請求項2】 前記各領域において前記区画線に沿ってその両側に並ぶディンプルは、前記区画線を挟んで対向する位置からずれていることを基本配置とする請求項1に記載のゴルフボール。 【請求項3】 前記区画線に沿ってその両側に並ぶディンプルは、該区画線を挟んで千鳥状に配置されていることを基本配置とする請求項2に記載のゴルフボール。 【請求項4】 前記区間線に沿ってその両側に並ぶディンプルは、該区画線に最も近い位置にあるディンプル同士が径を異にするものであることを基本配置とする請求項1から3のいずれかに記載のゴルフボール。 【請求項5】 前記区画線に沿って並ぶディンプルが、該区画線と交差していることを基本配置とする請求項1から4のいずれかに記載のゴルフボール。 【請求項6】 前記各領域のディンプルパターンは、該領域の重心を中心として回転対称であることを基本配置とする請求項1から5のいずれかに記載のゴルフボール。 【請求項7】 前記各領域内において、当該領域を構成する球面三角形の面積に対するディンプルの面積の割合が70?85%であり、 前記領域のうち、最も割合の大きい領域の割合と、最も割合の小さい領域の割合との差が4%以内であることを基本配置とする請求項1から6のいずれかに記載のゴルフボール。 【請求項8】 前記各領域内に配置されているディンプルの数が40?61個であり、 前記領域のうち、最もディンプルの多い領域のディンプル数と、最もディンプルの少ない領域のディンプル数との差が4個以内であることを基本配置とする請求項1から7のいずれかに記載のゴルフボール。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、ゴルフボールに関するものであり、特にボール表面を所定の領域に区画し各領域に所定のディンプルパターンを配置したゴルフボールに関するものである。 【0002】 【従来の技術】 ゴルフボールの表面には、ディンプルと呼ばれる多数の凹部が形成されており、空力特性を良好に保つために、ボール表面の70?90%を占めるようにディンプルを形成するのが望ましいと言われている。この場合、ディンプルを配置するためには種々の手法が提案されているが、代表的なものとして正多面体を利用した手法を挙げることができる。 【0003】 この方法では、まずゴルフボールに内接する正多面体を想定し、その各辺をゴルフボールの球面に投影して区画線を規定する。そして、この区画線によって球面を区画し、区画された各領域に同一のディンプルパターンを配置している。このとき使用される正多面体としては、例えば正六面体、正八面体、正十二面体、正二十面体等があるが、特に正八面体が多用されている。これは、正八面体を構成する各辺が直交することから、区画線とゴルフボールの金型割面との共用が容易になるため、ディンプル設計の自由度が高くなること、及び正八面体の対称性により配置が整然とするためデザイン的にも優れているからである。 【0004】 しかしながら、正八面体を利用したディンプルの配置は、上記のような利点を有する反面、次のような欠点も有している。例えば、正八面体はその対称性、特にディンプルパターンの対称性に起因して、回転により周期的に現れるディンプルパターンが単調になるため、ボール表面からの空気の剥離が不十分となってしまい空力特性が低下するという問題がある。 【0005】 これを解決するため、例えば特許文献1及び2では、ディンプルを正八面体配置したゴルフボールが開示されており、その表面において正八面体の各頂点を共有する4つの球面正三角形のディンプルパターンを互いに異なるものとしている。これにより、回転時に現れるディンプルパターンの単調性が解消され、空力特性が改善される。 【0006】 【特許文献1】 特開2001-346908号公報 【0007】 【特許文献2】 特開2002-762号公報 【0008】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、上記各公報に開示されているゴルフボールでは、各頂点を共有する領域のディンプルパターンがすべて異なるため、ボール表面を通る大円に対するディンプルパターンの対称性を欠いたものとなっている。したがって、ボールの回転に伴って飛球方向面に順次現れるディンプルの並びが対称性を欠き、その結果、飛球時の空力特性の対称性が損なわれ、安定した軌道及び飛距離を得ることができないという問題がある。 【0009】 本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、空力特性の優れたゴルフボールを提供することを目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】 本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、球面に内接する正八面体の各辺を該球面に投影することにより三本の大円を規定し、該大円を区画線として前記球面上に区画された八つの球面正三角形状の各領域にディンプルを形成したゴルフボールであって、前記球面に位置する前記正八面体の6個の頂点のいずれにおいても1つの頂点を共有する4つの前記領域において、前記区画線を挟んで隣接する領域のディンプルパターンは互いに相違しており、かつ前記頂点を共有して対峙する2つの前記領域のディンプルパターンが、該頂点を通るボール直径に関し互いに回転対称の関係となっていることを基本配置とするゴルフボールを提供するものである。 【0011】 この構成によれば、隣接する各領域のディンプルパターンが異なるように、8つの領域が2種類のディンプルパターンで構成される。そのため、例えばボールがほぼ区画線に沿って回転している場合には、区画線を挟んだ部分に異なるディンプルパターンが交互に現れる。したがって、ボールの回転に伴って飛球方向に順次現れるディンプルの並びが対称的になるため、ボール表面の空力特性の対称性を保つことができる。その結果、飛距離のばらつき、または弾道の乱れを小さくすることができ、安定した飛距離及び弾道を得ることが可能となる。 【0012】 ここで、本明細書において、特定のディンプルの配置を「基本配置」にするとは、次のことを意味する。すなわち、ディンプルの配置がその特定の配置に限定されるものではなく、その特定配置に近い配置であって、その特定配置により得られるのと同様の作用効果が得られる近似的配置も含むことを意味する。そのような近似的配置は、例えば、ある領域の特定配置のディンプルパターンに対し、同じ大きさの領域のディンプルパターンを重ねた場合に、ディンプルの重なり合う部分の総面積が特定配置ディンプルの総面積の95%以上を占める場合として規定することができる。 【0013】 上記ゴルフボールでは、各領域において区画線に沿ってその両側に並ぶディンプルが、当該区画線を挟んで対向する位置からずれていることを基本配置とすることができる。こうすることにより、区画線近傍におけるディンプルの配置が不規則なものとなり、しかもディンプルの配置を密にすることができるため、この部分における空気の剥離が良好となり、空力特性を向上することができる。また、外観上、区画線が目立たなくなり、デザイン的な商品価値を向上することもできる。この場合、「区画線を挟んで対向する位置からずれている」とは、区画線に沿って並ぶすべてのディンプルが対向するディンプルに対してずれている場合のみならず、一部のディンプルのみが対向するディンプルからずれた位置に配置されている場合も含む。 【0014】 このような例としては、次のものを挙げることができる。例えば、区画線に沿ってその両側に並ぶディンプルを、区画線を挟んで千鳥状に配置することで上記目的を達成することができる。 【0015】 また、区間線に沿ってその両側に並ぶディンプルにおいて、当該区画線に最も近い位置にあるディンプル同士、つまり区画線を挟んで最も近い位置関係にあるディンプル同士が径を異にするものにすることによっても上記目的を達成することができる。この場合、一部のディンプル同士が径の異なるものとすることもできるし、すべてのディンプル同士を径の異なるものとすることもできる。 【0016】 また、区画線に沿って並ぶディンプルが、当該区画線と交差していることを基本配置にすることもできる。このようにすると、区画線をさらに目立たなくすることができるとともに、区画線近傍での空力特性をさらに向上させることができる。この場合、一部のディンプルが区画線と交差するようにしてもよいし、すべてのディンプルが区画線と交差するようにすることもできる。ここで、区画線と交差するディンプルは、その中心が位置する領域に属するものとしてディンプルパターンが形成される。また、例えばディンプルの中心が区画線上にある場合には、そのディンプルは区画線を挟んだ各領域に属するものと考えてディンプルパターンが形成される。 【0017】 また、各領域のディンプルパターンを、該領域の重心を中心として回転対称とすると、各領域内での空力特性の対称性が保たれ、ボール全体としての空力特性の対称性をさらに向上することができ、その結果、飛距離及び弾道の安定性をさらに向上することができる。 【0018】 また、各領域内において、当該領域を構成する球面三角形の面積に対するディンプルの面積の割合が70?85%であり、これら領域のうち、最も割合の大きい領域の割合と、最も割合の小さい領域の割合との差が4%以内であることが好ましい。これにより、空力特性を良好にすることができる。 【0019】 さらに、各領域内に配置されているディンプルの数は40?61個であり、これら領域のうち、最もディンプルの多い領域のディンプル数と、最もディンプルの少ない領域のディンプル数との差が4個以内であることが好ましい。これによっても、空力特性を良好にすることができる。 【0020】 【発明の実施の形態】 以下、本発明に係るゴルフボールの一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は本実施形態に係るゴルフボールの正面図、図2は図1のゴルフボールの背面図である。 【0021】 図1に示すように、このゴルフボール1は、図示を省略するコアとその表面を覆うカバーとを備えたツーピースのソリッドゴルフボールであり、カバーの表面には、416個のディンプルが配置されている。 【0022】 このゴルフボール1におけるディンプルは、正八面体配置を用いて配置されている。すなわち、ボールを構成する球面に内接する正八面体を想定し、その正八面体の各辺をボールの中心から球面に投影することにより直交する3つの大円を規定する。そして、これら大円を仮想的な区画線L1,L2,L3として球面上に8つの球面正三角形状の領域S1?S8を規定し、これら各領域S1?S8が一つの単位となってディンプルパターンが形成される。 【0023】 図1は、3つの区画線L1,L2,L3のうちのL3を紙面と一致するようにゴルフボールを配置した図であり、残りの区画線のうちL1は同図の左右方向に延びており、L2は上下方向に延びている。図1には、これら区画線L1?L3により形成される8つの領域のうち、4つの領域S1?S4が示されている。一方、図2には、図1に示されていない背面側の4つの領域、つまりS5?S8が示されている。 【0024】 また、ボール表面には、3つの区画線L1?L3が直交することで、6つの交点(頂点)P1?P6が形成されており、区画線L3上にはP1?P4が位置している。そして、図1に示す正面側では、区画線L1とL2との交点P5が示されており、図2には区画線L1とL2との交点P6が示されている。 【0025】 また、このゴルフボール1では、各領域S1?S8に配置されたディンプルパターンを次のように構成している。すなわち、このゴルフボール1では、各交点P1?P6を共有する4つの領域において、区画線を挟んで隣接する領域のディンプルパターンが互いに相違するようにされるとともに、交点を共有して対峙する2つの領域のディンプルパターンが、当該交点を通るボール直径に関し互いに回転対称の関係となるようにされている。 【0026】 例えば、図1に示す例では、交点P5を共有する4つの領域は、S1?S4であり、これらの領域において領域S1とS3,及び領域S2とS4は、P5を通るボール直径(P5-P6)を中心としてそれぞれ回転対称の関係となっている。また、領域S1は、領域S2及びS4とは相違するものとなっている。図2を含めて説明すると、領域S1,S3,S5,及びS7には回転対称の関係となる同一のディンプルパターンが形成されている。以下、このディンプルパターンをパターンIと称することとする。一方、領域S2,S4,S6,及びS8には回転対称の関係となる同一のディンプルパターンが形成されており、以下、このディンプルパターンをパターンIIと称することとする。つまり、このゴルフボール1における領域のディンプルパターンは、パターンI及びIIの2種類のもので構成されている。 【0027】 各領域S1?S8に形成されるディンプルの直径は2.00?5.00mmであり、このゴルフボール1に外接する球面からのディンプル深さは0.10?0.20mmにされている。また、良好な空力特性を得るためには、各領域S1?S8を形成する球面三角形の面積に対するディンプルの占める割合を70?85%にすることが好ましく、75?85%にすることがさらに好ましい。このとき、各領域S1?S8での空力特性に大きな差が生じないように、最もディンプルの占める割合の大きい領域と、最も割合の小さい領域とのディンプルの割合の差が4%以下であることが好ましく、3%以下にすることがより好ましい。 【0028】 また、各領域S1?S8に形成されるディンプルの数は40?61個が好ましく、46?57個であることがさらに好ましい。この場合、各領域S1?S8での空力特性に大きな差が生じないように、最もディンプルの多い領域のディンプル数と、最もディンプルの少ない領域のディンプル数との差が4個以内であることが好ましく、2個以内であるとさらに好ましい。 【0029】 さらに、各領域S1?S8のディンプルパターンは、その領域を形成する球面三角形の重心を中心として回転対称となるように構成されている。つまり、重心を中心として各領域を120°或いは240°回転させると、回転前の領域と回転後の領域とでディンプルパターンが一致するようにされている。これにより、各領域S1?S8内での空力特性の対称性が保たれる。 【0030】 次に、各ディンプルパターンの一例を挙げる。図3は、パターンIが形成された領域を展開した図である。この領域内には、直径3.00mmのディンプルが3個、直径3.21mmのディンプルが21個、直径3.85mmのディンプルが12個、直径4.15mmのディンプルが16個、つまり合計52個のディンプルが形成されている。そして、この領域の面積におけるディンプルの占める割合は、76.1%となっている。また、上記のように、パターンIは、この領域を形成する球面三角形の重心G1を中心として回転対称となるように形成されており、この領域を重心G1を中心として120°或いは240°回転させると回転前と回転後のディンプルパターンとが一致するように構成されている。 【0031】 図4は、パターンIIが形成された領域を展開した図である。この領域内には、直径3.00mmのディンプルが6個、直径3.21mmのディンプルが15個、直径3.85mmのディンプルが12個、直径4.15mmのディンプルが19個、つまり合計52個のディンプルが形成されており、この領域の面積におけるディンプルの占める割合は、77.9%となっている。また、パターンIIも、パターンIと同様に、その領域を構成する球面三角形の重心G2を中心として回転対称となるように構成されている。 【0032】 また、上記パターンIを有する領域とパターンIIを有する領域との境界部分には、次のようにディンプルパターンが形成されている。すなわち、図5に示すように、区画線Lに沿って配置された一対のディンプルの列は、区画線Lを挟んで千鳥状、つまり区画線Lに沿って交互に配置されている。 【0033】 以上のように、本実施形態によれば、ボール表面の各頂点を共有する4つの領域において、隣接する領域のディンプルパターンが互いに相違し、かつ交点を共有して対峙する2つの領域のディンプルパターンが、当該交点を通るボール直径に関し互いに回転対称の関係となるように構成されている。すなわち、このゴルフボール表面の8つの領域は、2つのディンプルパターンによって構成されている。そのため、このゴルフボールをいずれの区画線L1?L3に沿って回転させても、区画線L1?L3を挟んだ領域に2種類のディンプルパターンが交互に現れる。また、上記区画線以外の大円に沿って回転させても、2種類のディンプルパターンは交互に現れる。したがって、ボール回転時の空力特性の対称性が保たれ、飛距離或いは弾道にばらつきが生じるのを防止することができる。その結果、安定した飛距離或いは弾道を得ることができる。 【0034】 また、各区画線L1?L3に沿ってその両側に並ぶディンプルは、区画線を挟んで千鳥状に配置されているため、区画線近傍のディンプルを密に配置することかできる。その結果、区画線近傍の空気の剥離を良好にすることができ、空力特性を向上することができる。さらに、この配置により、外観上、区画線を認識しにくくすることができるため、ボールのデザイン的な商品価値を向上することができる。 【0035】 以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、区画線を認識しにくくし、また空力特性を向上させるために、区画線に沿うディンプルの並びを千鳥状に配置しているが、上記のような効果を得るためには、千鳥状に限らず、各領域において区画線に沿ってその両側に並ぶディンプルが、区画線を挟んで対向する位置にあるディンプルからずれるように配置すればよい。その他の例として、例えば区画線Lを挟んで対向する位置にあるディンプルの径が異なるように構成されていても同様の効果を得ることができる。 【0036】 また、上記実施形態では、すべてのディンプルが各領域を構成する球面三角形の中に配置されているが、これに限定されるものではない。すなわち、上記のような各領域S1?S8のディンプルパターンの対称性が確保される限りは、例えば図6に示すように、ディンプルが区画線Lと交差するように配置されていてもよい。このとき、区画線と交差するディンプルの数は特に限定されるものではない。 【0037】 上記のような場合、区画線Lと交差するディンプルは、その中心が位置する領域に属するものとしてディンプルパターンが形成される。また、ディンプルの中心が区画線上にある場合には、そのディンプルは区画線を挟んだ各領域に共通して属するものと考えることができる。 【0038】 また、上記実施形態では、カバー表面に416個のディンプルが形成されたゴルフボールの例を示したが、これに限定されないことはいうまでもなく、上記したディンプルパターンの配置がなされていれば、その数の変更は可能である。また、上記したディンプルパターンI,IIは一例であり、各ディンプルの大きさ深さ等に関しては種々の変更が可能である。 【0039】 上記説明では、本発明をコアとカバーとからなるツーピースのソリッドゴルフボールに適用した例を示したが、ワンピースのものや、複数のコア、カバーからなるスリーピース以上のマルチピースゴルフボールに適用することもできる。また、上記のようなソリッドゴルフボールの他、糸巻きボールにも適用することができる。なお、ディンプルを有するカバーは、最外のカバー層のみであることが好ましい。 【0040】 【発明の効果】 以上の説明から明らかなように、本発明に係るゴルフボールによれば、空力特性の対称性を確保することができる空力特性に優れたゴルフボールを得ることができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明に係るゴルフボールの一実施形態を示す正面図である。 【図2】図1に示すゴルフボールの背面図である。 【図3】図1に示すゴルフボールの一領域を構成する球面三角形を展開した図である。 【図4】図1に示すゴルフボールの一領域を構成する球面三角形を展開した図である。 【図5】図1に示すゴルフボールの区画線近傍を示す図である。 【図6】本発明に係るゴルフボールの区画線近傍の他の例を示す図である。 【符号の説明】 1 ゴルフボール S1?S8 領域 L1?L3 区画線 P1?P6 交点(頂点) |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審決日 | 2012-12-26 |
出願番号 | 特願2002-338390(P2002-338390) |
審決分類 |
P
1
41・
852-
Y
(A63B)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 赤坂 祐樹 |
特許庁審判長 |
長島 和子 |
特許庁審判官 |
鈴木 秀幹 東 治企 |
登録日 | 2008-04-04 |
登録番号 | 特許第4102986号(P4102986) |
発明の名称 | ゴルフボール |
代理人 | 特許業務法人三枝国際特許事務所 |
代理人 | 特許業務法人三枝国際特許事務所 |