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審決分類 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する E04F
審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する E04F
審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する E04F
管理番号 1269759
審判番号 訂正2012-390134  
総通号数 160 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-04-26 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2012-10-18 
確定日 2013-02-01 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5030238号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5030238号に係る明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり請求項ごとに訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件審判の請求に係る特許第5030238号(以下、「本件特許」という。)は、平成21年10月1日に出願され、その請求項1に係る発明について、平成24年7月6日に特許権の設定登録がなされたものである。
その後、平成24年10月18日に訂正審判の請求(以下、「本件請求」という。)がなされ、同年11月19日付けで訂正拒絶理由通知が通知され、同年12月19日付け及び平成25年1月11日付けで審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲を補正する手続補正がなされたものである。

第2 請求の趣旨
本件請求の趣旨は、本件特許に係る明細書及び特許請求の範囲を、審判請求書に添付され、平成25年1月11日付け手続補正書によって補正された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり請求項ごとに訂正することを求めるものであって、その内容は次のとおりである。

(1)訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1に「手続補正書の請求項1に記載された『ボード又はフォームからなる厚さ15mm以下の芯材の下面に熱収縮性の裏当てシートを接着剤で貼った薄畳用畳床であり、」とあるのを「ボード又はフォームからなる厚さ15mm以下の芯材の下面に熱収縮性の裏当てシートを接着剤で貼った薄畳用畳床であり、」と訂正し、特許請求の範囲の請求項1の末尾の「』」を削除する。

(2)訂正事項b
特許請求の範囲の請求項1に「裏当てシートとしてクラフト紙にポリオレフィン系樹脂材のフラットヤーンを経緯条とするクロスを使用し」とあるのを「裏当てシートとしてクラフト紙にポリオレフィン系樹脂材のフラットヤーンを経緯条とするクロスを貼ったものを使用し」と訂正する。

(3)訂正事項c
明細書の段落【0007】の「裏当てシートとしてクラフト紙にポリオレフィン系樹脂材のフラットヤーンを経緯条とするクロスを使用し」を、「裏当てシートとしてクラフト紙にポリオレフィン系樹脂材のフラットヤーンを経緯条とするクロスを貼ったものを使用し」と訂正する。

(4)訂正事項d
(訂正事項d-1)
明細書の段落【0011】について、「厚さ1?5mm程度のポリオレフィリン系の発泡体」を「厚さ1?5mm程度のポリオレフィン系の発泡体」と訂正する。

(訂正事項d-2)
明細書の段落【0012】の「図2は一部断面図である」を「図3は一部断面図である」と訂正する。

(訂正事項d-3)
明細書の段落【0012】の「ポリプロビレン、ボリスチレン」を「ポリプロピレン、ポリスチレン」と訂正する。

(訂正事項d-4)
明細書の段落【0013】の「畳床は中央が湾形に凹み」を「畳床は中央が椀形に凹み」と訂正する。

(訂正事項d-5)
明細書の段落【0015】の「悪くなことはない」を「悪くなることはない」と訂正する。

第3 当審の判断
1 訂正の目的、新規事項、特許請求の範囲の拡張・変更について
(1)訂正事項aについて
特許請求の範囲の記載として冒頭の「手続補正書の請求項1に記載された『」及び末尾の「』」は誤記であることは明らかであるから、これを削除する訂正事項aは、誤記の訂正を目的とするものである。
そして、当該削除された事項は、発明を特定するための実質的な構成ではないから、訂正事項aは、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではなく、願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内のものである。

(2)訂正事項bについて
訂正前の特許請求の範囲の「裏当てシートとしてクラフト紙にポリオレフィン系樹脂材のフラットヤーンを経緯条とするクロスを使用し」との記載からは、裏当てシートとしてクラフト紙とクロスとを使用するように受け取れなくもないが、日本語して明瞭とはいえない。訂正後の特許請求の範囲は「裏当てシートとしてクラフト紙にポリオレフィン系樹脂材のフラットヤーンを経緯条とするクロスを貼ったものを使用し」と訂正することにより、クラフト紙とクロスとがどのように用いられるかを特定して、裏当てシートの構成を明らかにするものであるから、訂正事項bは、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項bは、訂正前の特許請求の範囲の裏当てシートとしてクラフト紙とクロスを使用する態様について、訂正後においてはクラフト紙にクロスを「貼ったものを」使用すると減縮するのであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものでもある。

そして、「裏当てシートとしてクラフト紙にポリオレフィン系樹脂材のフラットヤーンを経緯条とするクロスを貼ったものを使用」することは、願書に添付した明細書の「【0012】・・・本例の裏当てシート4は、・・・ポリオレフィン系樹脂の850デニール程度のフラットヤーンを経緯条としてクロス4aに織成して樹脂を用いてラミネート加工をしたものである。・・・この他、クロス4aの強度を高めるために、クロス4aを100g/m^(2) 程度のクラフト紙4bで貼ったものを使用することもある。」との記載からみて、願書に添付した明細書又は図面の範囲内のものである。
また、特許請求の範囲の記載を減縮するものであるとともに、特許請求の範囲の記載を別の意味を表す表現に入れ替えるようなものでもないから、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

(3)訂正事項cについて
訂正事項cは、訂正事項bの訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明との整合をとるためのものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、訂正事項cは、上記訂正事項bで検討したのと同様に、願書に添付した明細書又は図面の範囲内のものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

(4)訂正事項dについて
訂正事項d-1について、「ポリオレフィリン」という用語は発泡体の材料として用いられる用語ではないのみならず、一般にも用いられる用語ではない。そして、発泡体の材料として「ポリオレフィン」系は周知慣用のものであり、願書に添付した明細書には、段落【0004】に「ポリオレフィン系樹脂の発泡体」との記載があるように、発泡体の材料として「ポリオレフィン」と記載している箇所もあることから、訂正前の「ポリオレフィリン系の発泡体」は誤記であり、正しくは「ポリオレフィン系の発泡体」であることは明らかである。よって、訂正事項d-1は誤記の訂正を目的とするものである。

訂正事項d-2について、願書に添付した明細書の段落【0009】には、図3が一部断面図であることが記載され、図3の記載からも、図3は断面図であることは明らかであるから、訂正前の段落【0012】の「図2は一部断面図である」との記載は誤記であり、正しくは「図3は一部断面図である」ことは明らかである。よって、訂正事項d-2は誤記の訂正を目的とするものである。

訂正事項d-3について、願書に添付した明細書における訂正箇所を含むその前後の記載は「・・・ポリプロビレン、ボリスチレンといったポリオレフィン系樹脂の・・・」というものであるから、この箇所は、ポリオレフィン系樹脂の名称を列挙しているものと認められる。そして、ポリオレフィン系樹脂として、訂正前の「ポリプロビレン、ボリスチレン」との記載は誤記であり、正しくは「ポリプロピレン、ポリスチレン」であることは明らかである。よって、訂正事項d-3は、誤記の訂正を目的とするものである。

訂正事項d-4について、願書に添付した明細書において「湾形」と表現しているのはこの箇所のみで、ほかは全て「椀形」としているから、訂正前の「湾形」との記載は誤記であることは明らかである。よって、訂正事項d-4は、誤記の訂正を目的とするものである。

訂正事項d-5について、訂正前の「悪くなことはない」は明らかに脱字であり、「悪くなることはない」とする訂正は、これを正しく訂正するものである。よって、訂正事項d-5は、誤記の訂正を目的とするものである。

そして、訂正事項d-1?d-5は、誤記であることが明らかな記載を正しい記載に訂正するものであるから、願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲のものであるとともに、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

2.独立特許要件について
訂正後における請求項1に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許可能であるか否かについて検討するに、本件特許に係る出願は、拒絶の理由を発見しないとして特許査定されたものであるところ、訂正後における請求項1に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでないとする新たな理由も見当たらない。

よって、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。

第4 むすび
したがって、本件審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書きに掲げる事項を目的とし、かつ同条第5項ないし第7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
薄畳用畳床
【技術分野】
【0001】
本発明は、洋間等のフロアに部分的或いは全面的に敷いたり、部屋に敷設域枠を形成してこの枠の中に敷く薄畳用畳床に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近は生活様式が西洋風になっており、床も板間等のフロアになっているものが多い。このような床でも、畳敷きの和風にできるようにフロア(敷床)の上に直接敷く置敷き畳が出回っている。この種の置敷き畳は厚みが40mm程度以下の薄畳にして敷床との段差があまり生じないようにしている。また、敷床に枠を形成してこの枠の中に敷く和室用の畳であっても薄畳にしていることが多い。
【0003】
ところが、畳は畳表を畳床の表面側に張っていることから、これが縮んで薄畳であることと相まって上面側が椀形に凹む、所謂、逆反りになっていることが多い。畳が逆反りであると、隣の畳との間に段差ができたり、敷床との段差が大きくなって上に乗る場合につまずいたり、乗った場合に傾いて踏触感が悪いし、違和感もある。また、美観も悪いものになる。
【0004】
このため、下記特許文献1では、畳床を予め上面が椀形に盛り上がる順反りに成形し、畳表を張ったときに平坦になるようにしているものが提案されている。しかし、この先行例では、畳床を順反りにするために、成形や加工に手間がかかるものになっている。また、畳床に畳表を張ったときに畳全体が平坦になるようにするには張り方も難しい。さらに、畳床を強度的に弱いポリオレフィン系樹脂の発泡体としているため、畳表の張り方次第では割れたりすることもある。加えて、敷床に不陸があると、畳の上を歩くとゴトゴトした状態になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10-252248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、畳表の張りも従来どおりでよく、敷床に不陸がある場合でも、踏触感や違和感を生じさせないようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題の下、本発明は、請求項1に記載した、ボード又はフォームからなる厚さ15mm以下の芯材の下面に熱収縮性の裏当てシートを接着剤で貼った薄畳用畳床であり、裏当てシートとしてクラフト紙にポリオレフィン系樹脂材のフラットヤーンを経緯条とするクロスを貼ったものを使用し、裏当てシートを熱プレスしてこのときの熱で接着剤を延ばすとともに、経糸と緯条をそれぞれの方向に収縮させ、熱プレスを解除したときにその際の接着力で中央が一番低い椀形に凹ませ、裏返したときに順反りになるようにしたことを特徴とする薄畳用畳床を提供したものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、畳床(畳)の順反りは畳床の構成部材で成形でき、順反り状態に特別の成形、加工をする必要はないし、畳表も通常の貼り方でよい。また、裏当てシートはクラフト紙とクロスとからなるものであり、クロスは熱収縮性の経緯条を織成したものであるから、収縮も経糸方向と緯条方向に進み、真ん中が一番凹む椀形になる(裏返して床に置いたときには真ん中が盛り上がる順反りになる)。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る薄畳の断面図である。
【図2】裏当てシートの一部平面図である。
【図3】裏当てシートの一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明に係る薄畳の断面図であるが、この薄畳(以下、畳)は、芯材1aからなる畳床1を畳表2で覆ったものであり(畳縁は通常使用しない)、本例の畳床1は、芯材1aの上面にクッション材3を接着剤で貼り、下面に裏当てシート4を接着剤で貼ったものである。なお、図1において、畳は上面が椀形に盛り上がった順反りになっているが、これは誇張したためであり、実際は、こうまで順反りにはなっていない。なお、ここでいう薄畳とは、一般的に厚さが40mm程度以下の畳のことである。
【0011】
この場合の芯材1aとしては、インシュレーションボード(ボード)やポリスチレンフォーム(フォーム)を使用したものであり、両方を用いる場合は、必要に応じてこれらを接着したり、畳糸で縫い合わせたりして積層する。仮に、厚さ20mmの畳であれば、芯材1aの厚さは一般的には15mm以下になる。クッション材3は緩衝性を発揮させて踏触感を高めるものであるとともに、後述する芯材1aの順反りを一様に、かつ、緩和するものであり、厚さ1?5mm程度のポリオレフィン系の発泡体が多く使用されるが、不織布や紙等も使用されることがある。畳表2は天然い草、和紙、ポリプロピレン(PP)、麻及びレザー等が使用される。
【0012】
芯材1aの下面には熱収縮性の裏当てシート4をホットメルト糊で貼る。図2は裏当てシート4の一部平面図、図3は一部断面図であるが、本例の裏当てシート4は、ボリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンといったポリオレフィン系樹脂の850デニール程度のフラットヤーンを経緯条としてクロス4aに織成して樹脂を用いてラミネート加工をしたものである。この場合、フラットヤーンは3?8倍程度に延伸させて強度を高めており、経緯条の密度は1インチ四方に縦横5本程度にしたものが適する。なお、経緯条は隙間なく織られるものと、そうでないものとがあるが、そのいずれてあってもよい。この他、クロス4aの強度を高めるために、クロス4aを100g/m^(2)程度のクラフト紙4bで貼ったものを使用することもある。
【0013】
以上の芯材1aの上面及び下面の全体にクッション材3及び裏当てシート4を接着剤で貼った畳床1を畳表2で覆う。この場合の畳表2はクッション材3の上面全体を覆うが、下面はその周縁に留めている。次に、裏当てシート4を80?150°C、10?30sec程度の条件の下で熱プレスする。これにより、裏当てシート4は経糸と緯条が同じように収縮し、畳床は中央が椀形に凹み、畳にしたときには、上面が椀形に盛り上がった順反りの状態になる。順反りの程度は、クロス4aの経緯条のデニールや延伸の程度或いは熱プレス条件によって異なるが、置いたときに裏面の中央にわずかな隙間ができる程度にしておくのが適する。具体的には、900×900mmのサイズのもので、中央が5mm程度浮き上がるのが適する。さらに、順反りにすると、畳表2の緩みや皺が取れる利点もある。
【0014】
この後、滑り難く加工したポリオレフィン系樹脂シートや不織布シート等の滑り止め材5を裏当てシート4の裏面に(畳表2を含んで)接着剤で貼るが、この貼着は熱プレスと同時に行ってもよい。この場合、クッション材3や裏当てシート4は芯材1aに接着剤による接着が好ましいが、場合によっては、畳表2で包んだだけにしてもよい。こうすると、接着の工程が省け、コストを安くすることができる。
【0015】
以上で畳が製作できたのであるが、これをフロア等の敷床の上に敷くと、畳は順反りの状態になる。そして、この順反りの状態は何時までも維持される。したがって、周縁は接地していることになり、畳の上に乗った場合、傾いたりして踏触感が悪くなることはないし、違和感も薄れる。なお、順反りの程度如何では、上記したように中央にわずかな隙間ができることもあるが、この上に乗ったとしても、多少沈み込むだけで、踏触感が悪くなることはない。さらに、敷床に不陸があったとしても、ゴトゴト感は解消される。
【符号の説明】
【0016】
1 畳床
1a 畳床の芯材
2 畳表
3 クッション材
4 裏当てシート
4a 〃 のクロス
4b 〃 のクラフト紙
5 滑り止め材
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボード又はフォームからなる厚さ15mm以下の芯材の下面に熱収縮性の裏当てシートを接着剤で貼った薄畳用畳床であり、裏当てシートとしてクラフト紙にポリオレフィン系樹脂材のフラットヤーンを経緯条とするクロスを貼ったものを使用し、裏当てシートを熱プレスしてこのときの熱で接着剤を延ばすとともに、経糸と緯条をそれぞれの方向に収縮させ、熱プレスを解除したときにその際の接着力で中央が一番低い椀形に凹ませ、裏返したときに順反りになるようにしたことを特徴とする薄畳用畳床。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2013-01-23 
出願番号 特願2009-229183(P2009-229183)
審決分類 P 1 41・ 853- Y (E04F)
P 1 41・ 851- Y (E04F)
P 1 41・ 852- Y (E04F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 瓦井 秀憲  
特許庁審判長 高橋 三成
特許庁審判官 筑波 茂樹
中川 真一
登録日 2012-07-06 
登録番号 特許第5030238号(P5030238)
発明の名称 薄畳用畳床  
代理人 板野 嘉男  
代理人 板野 嘉男  

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