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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F02M
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 F02M
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F02M
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 F02M
管理番号 1269894
審判番号 不服2011-16614  
総通号数 160 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-08-02 
確定日 2013-02-06 
事件の表示 特願2005-339784「レール蓋で閉じられたコモンレールを備えた燃料供給装置」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 6月15日出願公開、特開2006-153014〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成17年11月25日(パリ条約による優先権主張2004年11月30日、ドイツ連邦共和国)の出願であって、平成22年7月22日付けで拒絶理由通知がなされ、これに対し、平成23年1月25日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、平成23年3月28日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成23年8月2日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされると同時に、同日付けで特許請求の範囲を補正する手続補正がなされ、当審において平成24年3月5日付けで書面による審尋がなされ、これに対し、平成24年7月6日付けで回答書が提出されたものである。


第2 平成23年8月2日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成23年8月2日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 本件補正の内容
平成23年8月2日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)により、特許請求の範囲は、下記(A)から(B)へと補正された。

(A)「 【請求項1】
圧力配管を介して内燃機関のシリンダに燃料を噴射するコモンレール式燃料供給装置であって、前記圧力配管がコモンレール内に少なくとも1つの蓄圧室を含んでおり、前記コモンレールの端面がレール蓋を用いて閉鎖可能であるものにおいて、
前記レール蓋(3)がシール要素(4)と制御ユニット(5)の2分割されたモジュールから、以下のように形成されていることを特徴とする燃料供給装置。
シール要素(4)がコモンレールに固く気密結合され、
制御ユニット(5)がシール要素(4)と供給すべき燃料噴射器(1)との間の圧力配管(2)内において任意に位置決め可能であり、かつ
制御ユニット(5)内に燃料供給および燃料継続案内に関する全機能ユニットが組み入れられる。
【請求項2】
レール蓋(3)の制御ユニット(5)がシール要素(4)と燃料噴射器(1)との間の圧力配管(2)上で、燃料噴射器(1)の直前でシリンダヘッドに配置されたことを特徴とする請求項1記載の燃料供給装置。
【請求項3】
レール蓋(3)の制御ユニット(5)がシール要素(4)に直接配置され、圧力配管(2)が制御ユニット(5)から出て燃料噴射器(1)で終えることを特徴とする請求項1記載の燃料供給装置。
【請求項4】
制御ユニット(5)が、シール要素(4)と燃料噴射器(1)との間の圧力配管(2)に配置されたことを特徴とする請求項1記載の燃料供給装置。
【請求項5】
レール蓋(3)の制御ユニット(5)が燃料噴射器(1)に組み入れられたことを特徴とする請求項1記載の燃料供給装置。
【請求項6】
シール要素(4)と制御ユニット(5)との空間的離隔寸法が、圧力配管(2)の直径が約7mmである場合、0?2000mmであることを特徴とする請求項1記載の燃料供給装置。」

(B)「 【請求項1】
圧力配管を介して内燃機関のシリンダに燃料を噴射するコモンレール式燃料供給装置であって、前記圧力配管がコモンレール内に少なくとも1つの蓄圧室を含んでおり、前記コモンレールの端面がレール蓋を用いて閉鎖可能であるものにおいて、
前記レール蓋(3)が、シール要素(4)と制御ユニット(5)とからなる2分割可能なモジュールに接続されており、
前記シール要素(4)が、前記コモンレールに固定して気密結合され、
前記圧力配管(2)の直径が約7mmに設定されると共に、前記シール要素(4)と前記制御ユニット(5)との空間的離隔寸法が2000mm以下である範囲内もしくは実質的に0mmとなる位置に、前記制御ユニット(5)の取付け位置が設定されており、かつ 前記制御ユニット(5)内には、前記燃料の供給および前記燃料の継続案内に関する全機能ユニットが組み入れられている
ことを特徴とする燃料供給装置。
【請求項2】
前記制御ユニット(5)が、前記内燃機関のシリンダヘッドに前記燃料噴射器(1)を介して直結するように配置されており、かつ
前記圧力配管(2)が、前記燃料噴射器(1)の直前であって前記制御ユニット(5)の直後の位置に接続されている
ことを特徴とする請求項1記載の燃料供給装置。
【請求項3】
前記レール蓋(3)の前記制御ユニット(5)が、前記シール要素(4)に直接配置され、前記圧力配管(2)が、前記制御ユニット(5)から出て前記燃料噴射器(1)で終えるように配管されている
ことを特徴とする請求項1記載の燃料供給装置。
【請求項4】
前記制御ユニット(5)が、前記シール要素(4)と前記燃料噴射器(1)との間の前記圧力配管(2)に配置されている
ことを特徴とする請求項1記載の燃料供給装置。
【請求項5】
前記レール蓋(3)の前記制御ユニット(5)が、前記燃料噴射器(1)に組み入れられている
ことを特徴とする請求項1記載の燃料供給装置。」(なお、下線は、請求人が補正個所を明示するために付したものである。)

2 新規事項の追加について
本件補正により、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1における「前記レール蓋(3)がシール要素(4)と制御ユニット(5)の2分割されたモジュールから、以下のように形成されている」という事項が、「前記レール蓋(3)が、シール要素(4)と制御ユニット(5)とからなる2分割可能なモジュールに接続されており」という事項に変更された。
ここで、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下、「当初明細書等」という。)によれば、「レール蓋(3)」は、「シール要素(4)」を含むものであることは明らかである。しかるに、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1における「前記レール蓋(3)が、シール要素(4)と制御ユニット(5)とからなる2分割可能なモジュールに接続されており」という記載から、「レール蓋(3)」は「シール要素(4)」に「接続されて」いることになる。すなわち、「レール蓋(3)」とは別体に「シール要素(4)」が設けられていることになる。
しかしながら、「レール蓋(3)」と別体に「シール要素(4)」が設けられていることは、本願の当初明細書等には記載されておらず、また、本願の当初明細書等から自明な事項であるともいえない。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3 本件補正の目的について
仮に、本件補正が新規事項の追加ではないとした場合について、本件補正の目的について検討する。
特許請求の範囲の請求項1についての本件補正は、
(a)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1における「前記レール蓋(3)がシール要素(4)と制御ユニット(5)の2分割されたモジュールから、以下のように形成されている」という事項を、「前記レール蓋(3)が、シール要素(4)と制御ユニット(5)とからなる2分割可能なモジュールに接続されており」という事項に変更し、
(b)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1における「制御ユニット(5)がシール要素(4)と供給すべき燃料噴射器(1)との間の圧力配管(2)内において任意に位置決め可能であり」という事項を削除するとともに「前記圧力配管(2)の直径が約7mmに設定されると共に、前記シール要素(4)と前記制御ユニット(5)との空間的離隔寸法が2000mm以下である範囲内もしくは実質的に0mmとなる位置に、前記制御ユニット(5)の取付け位置が設定されており」という事項を限定するものである。

上記(a)の補正事項において、本件補正前には、「レール蓋(3)」が、「シール要素(4)」と「制御ユニット(5)」から形成されるものであったものが、本件補正後には、「レール蓋(3)」が、「シール要素(4)」と「制御ユニット(5)」に接続されるものとなった。このような補正は、本件補正前の請求項1に係る発明の発明特定事項を概念的に下位にしたものとはいえず、限定的減縮を目的としたものとはいえない。
また、上記(b)の補正事項において、本件補正前の請求項1に係る発明の発明特定事項である「制御ユニット(5)がシール要素(4)と供給すべき燃料噴射器(1)との間の圧力配管(2)内において任意に位置決め可能であり」という事項が削除されているから、このような補正は、本件補正前の請求項1に係る発明の発明特定事項を概念的に下位にしたものとはいえず、限定的減縮を目的としたものとはいえない。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。さらに、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第1号、第3号及び第4号を目的とするものでもない。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

4 独立特許要件について
仮に、本件補正が新規事項の追加ではなく、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとした場合について、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下に検討する。

4-1 特許法第36条第6項第1号について
(1)本件補正発明は、「前記レール蓋(3)が、シール要素(4)と制御ユニット(5)とからなる2分割可能なモジュールに接続されており」という事項を発明特定事項としているが、「レール蓋」を、「シール要素(4)と制御ユニット(5)とからなる2分割可能なモジュール」に「接続する」ようなものは、発明の詳細な説明及び図面には記載されていない。
発明の詳細な説明及び図面に記載されているものは、「レール蓋が、シール要素4と、制御ユニット5とからなるもの」(例えば、段落【0026】を参照。)、又は、「レール蓋3が、シール要素4を含み、制御ユニット5は、シール要素4と燃料噴射器1との間の圧力配管2(図4)、又は燃料噴射器1(図3)のいずれかに配置したもの」(例えば、段落【0029】を参照。)である。
(2)本件補正発明は、「前記シール要素(4)と前記制御ユニット(5)との空間的離隔寸法が2000mm以下である範囲内もしくは実質的に0mmとなる位置に、前記制御ユニット(5)の取付け位置が設定されており」という事項を発明特定事項としているが、制御ユニット(5)の取付位置が、「シール要素4と燃料噴射器1との間の圧力配管2(図4)、又は燃料噴射器1(図3)のいずれか」から離れて、「前記シール要素(4)と前記制御ユニット(5)との空間的離隔寸法が2000mm以下である範囲内もしくは実質的に0mmとなる位置に、前記制御ユニット(5)の取付け位置が設定されており」としたものは、発明の詳細な説明及び図面には記載されていない。
(3)したがって、上記(1)及び(2)から、本願補正発明は、発明の詳細な説明に記載されたものではなく、本願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4-2 特許法第29条第2項について
特許法第29条第2項の要件について検討する。
ただし、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項のうち、「前記レール蓋(3)が、シール要素(4)と制御ユニット(5)とからなる2分割可能なモジュールに接続されており」という事項(以下、「事項A」という。)は、本願の明細書及び図面の記載と整合していないから、本願の明細書(例えば段落【0013】、【0026】等)及び図面の記載に基づき、事項Aを、「前記レール蓋(3)が、シール要素(4)を含み、前記シール要素(4)と制御ユニット(5)は2分割可能なモジュールであり、前記レール蓋(3)が制御ユニット(5)に接続されており」という意味に解することにする。
(1)引用文献
(1-1)引用文献1
(1-1-1)引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由に引用され、本件出願の優先日前に頒布された刊行物である特開2003-193937号公報(以下、「引用文献1」という。)には、例えば、次のような記載がある。なお、下線は理解の一助のために当審で付した。

(a)「【特許請求の範囲】
【請求項1】 燃料がポンプ装置により低圧範囲から高圧範囲に搬送され、該高圧範囲が、搬送管(6)により互いに接続された少なくとも2つの別個の貯蔵ユニット(5)から成る蓄圧管(16)を有し、各貯蔵ユニット(5)に夫々シリンダに対する燃料噴射器(9)が接続された多気筒内燃機関、特に重油で運転される大形ジーゼルエンジンにおけるコモンレールシステム形の燃料供給装置において、蓄圧管(16)の貯蔵ユニット(5)が、各貯蔵ユニット(5)が夫々最大でも2つのシリンダに対する貯蔵容積を有するよう設計され、貯蔵ユニット(5)の両側端面に夫々蓋(7)が設けられ、これらの蓋(7)に、燃料導入および燃料継送についての全ての機能ユニットが一体に組み込まれ、高圧範囲において流体的にポンプ装置と蓄圧管(16)との間に少なくとも1つの別個のポンプ貯蔵器(4)が配置され、該貯蔵器(4)が燃料を搬送すべく蓄圧管(16)の貯蔵ユニット(5)の蓋(7)に液圧的に接続され、ポンプ装置が少なくとも2台の高圧ポンプ(3)を有するか、少なくとも2つのポンプ要素を備えた1台の高圧ポンプを有し、燃料供給装置を洗浄するための液圧的手段(10、11)が設けられたことを特徴とする多気筒内燃機関におけるコモンレールシステム形の燃料供給装置。
(中略)
【請求項8】 特に請求項1記載の燃料供給装置に対するコモンレール蓄圧管(16)を形成するための貯蔵ユニット(5)において、管状貯蔵体(13)の両側端面が夫々蓋(7)によって閉じられ、これらの蓋(7)が、蓄圧管(16)を形成するための全ての接続口と、燃料導入および燃料継送に関する全ての機能要素と、コモンレール蓄圧管(16)を形成するのに必要な全制御手段を有することを特徴とする貯蔵ユニット。
【請求項9】 管状貯蔵体(13)の両側端面に各々縮小部、即ち横断面狭窄部(81)が設けられ、蓋(7)が貯蔵体(13)の横断面積に比べて小さな横断面積を密封することを特徴とする請求項8記載の貯蔵ユニット。
【請求項10】 貯蔵体(13)の開口断面を密封するために蓋(7)の内側面が円錐面(82)として形成され、貯蔵体(13)の端面がそれに合わせて円錐面(83)として形成され、貯蔵体(13)の密封が前記両円錐面(82、83)を角度差(84)を持たせて締め付けることで行われたことを特徴とする請求項8又は9記載の貯蔵ユニット。
【請求項11】 蓋(7)の内側面が平坦密封面(85)として形成され、その密封面(85)が貯蔵体(13)の対応して平らに形成された端面(86)に締め付けられ、蓋(7)と貯蔵体(13)の端面(86)との間の平らな密封面(85、86)の周囲に同軸的に支持リング(87)が設けられたことを特徴とする請求項8又は9記載の貯蔵ユニット。
【請求項12】 蓋(7)による貯蔵体(13)の密封が、夫々平面円錐面(88)と平らな密封面(89)との締付けによって行われたことを特徴とする請求項8又は9記載の貯蔵ユニット。
【請求項13】 蓄圧管(16)を形成するため並びに蓋(7)の燃料導入および燃料継送のための全ての接続口が、密封すべき貯蔵体(13)に関して半径方向に形成されたことを特徴とする請求項8記載の貯蔵ユニット。
【請求項14】 蓋(7)が、3ポート2位置切換弁(72)の形の弁装置を含むことを特徴とする請求項8記載の貯蔵ユニット。
【請求項15】 弁装置(72)が、2ポート2位置切換弁(73)により切り換えられることを特徴とする請求項14記載の貯蔵ユニット。
(中略)
【請求項19】 請求項1記載の燃料供給装置を備えたことを特徴とする大形ジーゼルエンジン。」(【特許請求の範囲】)

(b)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、請求項1の前文に記載のコモンレールシステム形の燃料供給装置に関する。また本発明は、本発明に基づく燃料供給装置に特に有利に使用できるコモンレールシステムの個々の構成要素に関する。」(段落【0001】)

(c)「【0017】図1は、ジーゼル運転で作動する内燃機関(図示せず)に対するコモンレールシステムの形をしたモジュール構造の燃料供給装置を概略的に示す。ジーゼルエンジンは、重油での運転用のものである。重油は、低圧範囲にある燃料タンク1から燃料低圧系統2を経て、複数の高圧ポンプ3により、これらポンプ3の下流に続く高圧範囲に、各々別個のポンプ配管12を経て搬送される。図示しない内燃機関は五気筒エンジンであり、各シリンダに各々燃料噴射器9が付属している。
【0018】高圧ポンプ3と燃料噴射器9との間の高圧範囲に蓄圧管16がある。該蓄圧管16は「コモンレール」なる名称で知られ、搬送管6により互いに接続された別個の3つの貯蔵ユニット5で構成され、高圧下にある残りの配管6、12の体積に比べかなり大きな体積を提供する内部高圧貯蔵器により特徴づけられる。
【0019】貯蔵ユニット5は組込み物付き又は組込み物なしの管状部品13で形成され、その両側端面は夫々蓋7で密封され、内燃機関(図示せず)に沿ってほぼシリンダヘッドの高さに配置されている。
【0020】各貯蔵ユニット5は少なくとも1つの高圧管8によって、通常電子制御される少なくとも1つの燃料噴射器9に接続されている。
【0021】この実施例の場合、供給すべき2つのシリンダ毎に1つの貯蔵ユニット5を設けている。この実施例の場合のようにシリンダ数が奇数であるとき、高圧ポンプ3から離れた側の貯蔵ユニット5、即ち流れ方向において最終の貯蔵ユニット5は1つのシリンダにしか供給しない。エンジン形式と使用状態に応じ、互いに接続された個々の貯蔵ユニット5は、2台?4台の高圧ポンプ3、この実施例の場合は2台の高圧ポンプ3によって充填される。これら高圧ポンプ3は、全てその高圧出口がポンプ貯蔵器4に接続され集合している。
【0022】ポンプ貯蔵器4は、蓄圧管16と高圧ポンプ3との間で流体的に高圧範囲に組み込まれ、各高圧ポンプ3は各々別個のポンプ配管12を経て共通のポンプ貯蔵器4に接続されている。
【0023】高圧ポンプ3は、通常ジーゼルエンジンにおけるクランク軸のカムおよびカム軸のようなそれ自体公知の機械的手段により周期的に駆動され、従って通常クランク室の近くに配置されている。その結果生ずる長いポンプ管12は、脈動圧力のような強い機械的荷重で負荷され害される。ポンプ貯蔵器4は、その動的圧力分を消去するという利点を有する。
【0024】ポンプ貯蔵器4は、燃料を搬送する目的で貯蔵ユニット5の蓋7に、有利な実施例では、蓄圧管16の長手方向において最初の貯蔵ユニット5の最初の蓋7に液圧的に接続されている。
【0025】貯蔵ユニットの各蓋7に、燃料の導入と搬送に関する全機能ユニットが一体化されている。各貯蔵ユニット5の貯蔵容積は、シリンダおよび作動サイクル毎に必要な燃料噴射量の約50?500倍の大きさであるのが望ましい。
(中略)
【0029】貯蔵ユニット5毎に2つの燃料噴射器9が付属している場合、燃料は各貯蔵ユニット5から、流量制限器71(図2参照)を経て蓋7に送られる。該蓋7は、図2から明らかなように複数の機能ユニットを含んでいる。即ち燃料噴射量は、直接接続された3ポート2位置切換弁72(図2a参照)を経て制御されるか或いは電磁制御される2ポート2位置切換弁73(図2b参照)を経て間接的に制御される。3ポート2位置切換弁72の機能原理については詳述しない。
(中略)
【0035】図3では、貯蔵ユニット5を管状部品13、即ち貯蔵体で形成している。或いはまた、この貯蔵体は、両側端面に縮小部、即ちその体積の断面狭窄部81を持ち、この結果、蓋7は貯蔵体13の平均横断面積が狭まった小さな開口断面積を密封する機能を果たす。貯蔵体13の両側端の横断面狭窄部81により、蓋閉鎖力がかなり軽減し、密封面の締付けに必要なボルトの数がかなり減少し、この結果、蓋7の切換弁に対しかなり大きな場所を提供できる。
【0036】既に述べたように、蓋7は、少なくとも1つの3ポート2位置切換弁(場合によっては3ポート2位置切換弁を制御する2ポート2位置切換弁を含む)、流量制限弁、全ての液圧接続口、内燃機関への全ての貯蔵ユニット7全体の保持装置および管状貯蔵体3の固定装置と密封装置を含んでいる。蓋7における全ての液圧的ないし制御上の接続口を半径方向に(場所を節約して)配置することで、接続管ないし搬送管6の好適な形成が可能となる。」(段落【0017】ないし【0036】)

(d)「【0037】蓋7による管状部品13の密封に対し、種々の有利な密封形状が実現できる。
【0038】図4は、管状貯蔵体13の端面側開口断面を密封するために、内側面を円錐面82として形成した蓋7を示す。その場合、貯蔵体13の端面をそれに合わせて円錐面83として形成し、貯蔵体13の密封は、両円錐面82、83を、角度差84を持たせて締め付けることによって行う。この結果、半径方向内側において最大密封作用が得られ、加えて内圧が密封作用を支援する。
【0039】図5は、内側面を平坦な密封面85として形成した蓋7を示す。密封面85は貯蔵体13の相応して平らに形成された端面86に締め付けられる。その場合、蓋7と貯蔵体13の端面との間の平らな密封面85、86の周囲に、同軸的に支持リング87を設ける。
【0040】図6は、更に異なった実施例として、蓋7による貯蔵体13の密封を平面円錐面88と平らな密封面89との締付けによって行えることを示す。これらいずれの実施例でも、内側密封面における密封圧縮を最良にすることができる。」(段落【0037】ないし【0040】)

(e)「【0043】蓋7は、上述の如く3ポート2位置切換弁91の形をした弁装置を含む(図1参照)。3ポート2位置切換弁91の操作漏出量は、相応の対向圧力の付与で減少する。3ポート2位置切換弁と2ポート2位置切換弁の操作漏出は、共通の配管92(図1参照)を経て行うが、液圧的に分離して実施する。エンジンの最良運転値に対する燃料噴射ノズル、即ち燃料噴射器9の閉鎖挙動を得るべく、3ポート2位置切換弁の操作時に漏出する燃料に対する対向圧力は5?100バールが最適である。
【0044】要約すれば、本発明による燃料供給装置のモジュール構成は、殊に以下の特別な弁を持つ。即ち、ばね荷重された燃料注入弁(燃料噴射器9)と蓋7内に配置された3ポート2位置切換弁との組合せで、既存の形式のエンジンへのコモンレール形燃料噴射装置の追加装備が著しく簡単になる。3ポート2位置切換弁は、貯蔵ユニット5と燃料噴射器9の間に必要に応じて配置することもできる。」(段落【0043】及び【0044】)

(1-1-2)引用文献1の記載から分かること
(1-1-1)(a)ないし(e)及び図1ないし7より、以下の事項が分かる。

(ア)(1-1-1)(a)ないし(e)及び図1ないし7より、引用文献1には、圧力配管(搬送管6、高圧管8等)を介して内燃機関のシリンダに燃料を噴射するコモンレール形燃料供給装置が記載されていることが分かる。

(イ)(1-1-1)(a)ないし(e)及び図1ないし7より、引用文献1に記載されたコモンレール形燃料供給装置は、圧力配管が、コモンレールである蓄圧管16内に少なくとも1つの貯蔵ユニット5を含んでおり、前記コモンレールの端面が蓋7を用いて閉鎖可能であるものであることが分かる。

(ウ)(1-1-1)(a)ないし(e)及び図1ないし7より、引用文献1に記載されたコモンレール形燃料供給装置において、蓋7は、密封面85,89と機能ユニットを有し、前記密封面が、前記貯蔵体13に固定されて密封結合されることが分かる。

(エ)(1-1-1)(c)及び図1ないし3より、引用文献1に記載されたコモンレール形燃料供給装置において、燃料噴射量は、3ポート2位置切換弁72(図2a参照)或いは2ポート2位置切換弁73(図2b参照)を経て制御され、該切換弁72及び73等が流量制御部をなしていることが分かる。

(オ)(1-1-1)(a)ないし(e)及び図1ないし7より、引用文献1に記載されたコモンレール形燃料供給装置において、前記密封面85,89と空間的距離が小さい位置に前記機能ユニットが設けられていることが分かる。

(カ)(1-1-1)(a)ないし(e)及び図1ないし7より、引用文献1に記載されたコモンレール形燃料供給装置において、前記流量制御部には燃料導入及び燃料継送に関する全ての機能要素が組み込まれていることが分かる。

(キ)(1-1-1)(e)より、引用文献1に記載されたコモンレール形燃料供給装置において、3ポート2位置切換弁は、貯蔵ユニット5と燃料噴射器9の間に配置することもできることが分かる。

(1-1-3)引用文献1記載の発明
上記(1-1-1)(a)ないし(e)、(1-1-2)(ア)ないし(キ)及び図1ないし7から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用文献1記載の発明」という。)が記載されているといえる。

「圧力配管を介して内燃機関のシリンダに燃料を噴射するコモンレール形燃料供給装置であって、前記圧力配管が、蓄圧管16内に少なくとも1つの貯蔵ユニット5を含んでおり、前記蓄圧管16の端面が蓋7を用いて閉鎖可能であるものにおいて、
前記蓋7は、密封面85,89と流量制御部を含み、
前記密封面85,89が、前記貯蔵体13に固定されて密封結合され、
前記密封面85,89との空間的距離が小さい位置に、前記流量制御部が設けられており、
前記流量制御部には燃料導入及び燃料継送に関する全機能ユニットが組み込まれている、燃料供給装置。」

(1-2)引用文献2
(1-2-1)引用文献2の記載
本願の優先日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開2001-107818号公報(以下、「引用文献2」という。)には、例えば、次のような記載がある。 なお、下線は理解の一助のために当審で付した。
(a)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば自動車のエンジンに燃料を供給する燃料供給装置に関するものである。」(段落【0001】)

(b)「【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の請求項1の燃料供給装置は、プランジャの往復運動によりポンプ室で燃料を吸入/吐出し、ポンプ室から吐出される燃料を蓄圧室内に一時的に貯溜しながら、蓄圧用付勢手段によって蓄圧室の容積を小さくする方向に付勢することで、蓄圧室内の燃料を加圧して吐出する。
(中略)
【0015】また、請求項9のように、蓄圧室の吐出側に、燃料供給圧力を調整する燃料圧力調整弁を設けた構成とすると良い。このようにすれば、燃料圧力調整弁によって燃料供給圧力を一定に保つことができ、安定した燃料の供給が可能となる。
【0016】ところで、燃料噴射量の制御には、燃料圧力調整弁の燃料流量-燃料圧力特性が一定勾配であることが要求される。しかし、燃料圧力調整弁の燃料流量-燃料圧力特性は、図4に示すように、燃料流量が所定流量以上の範囲では一定勾配となるが、燃料流量が0に近い範囲では急激に燃料圧力が上昇するため、一定勾配とならない。また、燃料圧力調整弁を通過する燃料流量が少ないと、燃料圧力調整弁の弁体が弁座に接触しやすくなり、圧力脈動等で弁体が弁座に衝突することが繰り返され、弁体摩耗の原因となる。
【0017】この対策として、請求項10のように、燃料圧力調整弁にその設定圧力以下の燃料圧力で開弁して燃料圧力調整弁を通る燃料の一部を逃がすリリーフ弁を設けるようにすると良い。このようにすれば、燃料圧力調整弁を通過する燃料流量を所定流量以上にすることができ、燃料圧力調整弁の燃料流量-燃料圧力特性が一定勾配となる範囲を使用することができると共に、燃料圧力調整弁の弁体と弁座の接触も回避することができ、燃料圧力調整弁の耐久性を向上できる。また、エンジン停止後に、燃料圧力調整弁の吐出パイプの内圧がリリーフ弁の開弁圧以下になると、リリーフ弁が自動的に閉弁して吐出パイプ内の残圧を保持することができ、再始動性も良好となる。」(段落【0005】ないし【0017】)

(c)「【0019】
【発明の実施の形態】[実施形態(1)]以下、本発明を内燃機関の燃料供給装置に適用した実施形態(1)を図1に基づいて説明する。まず、図1に基づいて燃料供給装置全体の構造を説明する。円筒状の本体ハウジング11内の右側部に円筒状のポンプシリンダ12を同軸状に配置することで、ポンプシリンダ12の内周側と外周側にそれぞれ略円柱状のポンプ室13と円筒状の蓄圧室14が同軸状に形成されている。ポンプシリンダ12は、本体ハウジング11の右側面にかしめ等で組み付けられた右カバー36に固定されている。ポンプ室13には、燃料を吸入/吐出するためのポンプ用プランジャ15が嵌め込まれ、このポンプ用プランジャ15が吐出用コイルスプリング16(吐出用付勢手段)の弾発力によって右方向(燃料吐出方向)に付勢されている。一方、蓄圧室14には、蓄圧室14内の燃料を加圧するための蓄圧用プランジャ17が嵌め込まれ、この蓄圧用プランジャ17が蓄圧用コイルスプリング18(蓄圧用付勢手段)の弾発力によって右方向(燃料加圧方向)に付勢されている。
(中略)
【0024】一方、本体ハウジング11の右カバー36には、燃料圧力調整弁37が蓄圧室14の吐出孔85と連通するように組み付けられ、蓄圧室14内の燃料が、この燃料圧力調整弁37を介して燃料吐出パイプ38から燃料噴射弁(図示せず)側に吐出される。燃料圧力調整弁37は、ハウジング39内をダイアフラム40によって背圧室41と吐出燃料室42とに仕切り、燃料流入ポート45を開閉するバルブ44をダイアフラム40の中央部に固定し、このバルブ44を背圧室41内のコイルスプリング43によって燃料流入ポート45を開弁する方向(左方向)に付勢している。蓄圧室14から送られてくる燃料は、燃料流入ポート45を通って吐出燃料室42内に流入し、燃料吐出パイプ38から燃料噴射弁側に吐出される。
【0025】燃料圧力調整弁37は、吐出燃料室42内の燃料の圧力(燃料噴射弁への燃料供給圧力)がコイルスプリング43によって設定され、吐出燃料室42内の燃料圧力がこの設定圧力よりも低くなると、コイルスプリング43によってバルブ44が左方向に押し開かれ、燃料流入ポート45から吐出燃料室42内に燃料が流入する。これにより、吐出燃料室42内の燃料圧力が上昇し、設定圧力を越えると、その燃料圧力によってダイアフラム40が右方向に押されてバルブ44が右方向に移動し、燃料流入ポート45が閉じられる。このようなバルブ44の動作によって、吐出燃料室42内の燃料圧力(燃料噴射弁への燃料供給圧力)が設定圧力に自動的に調整される。
【0026】また、燃料圧力調整弁37の燃料吐出パイプ38の途中には、リリーフ孔49を開閉するリリーフ弁50がコイルスプリング51で閉弁方向に付勢された状態で設けられている。このリリーフ弁50は、燃料圧力調整弁37の設定圧力より低い圧力で開弁するようにコイルスプリング51のばね力が設定され、燃料圧力調整弁37の設定圧力で一定流量の燃料を逃し孔52から吐出パイプ38外に逃がすように設定されている。
(中略)
【0031】一方、蓄圧室14内では、蓄圧用コイルスプリング18の弾発力によって蓄圧用プランジャ17が右方向に付勢されることで、蓄圧室14内の燃料が所定の燃料圧力に加圧され、蓄圧室14の吐出孔85から燃料圧力調整弁37内に燃料が吐出される。この場合、蓄圧用コイルスプリング18によって設定される蓄圧室14内の燃料圧力は、燃料圧力調整弁37の設定圧力よりも高く設定されている。そして、エンジンの燃料消費によって燃料圧力調整弁37の吐出燃料室42内の燃料圧力が設定圧力よりも低下すると、燃料圧力調整弁37のバルブ44が開放され、蓄圧室14から燃料圧力調整弁37内に送られてくる燃料が吐出燃料室42内に流入する。その後、吐出燃料室42内の燃料圧力が設定圧力よりも高くなると、バルブ44が閉弁して吐出燃料室42側への燃料の流入を遮断する。このようなバルブ44の動作によって、吐出燃料室42内の燃料圧力(燃料噴射弁への燃料供給圧力)が設定圧力に自動的に調整される。
(中略)
【0036】ところで、燃料噴射量の制御には、燃料圧力調整弁37の燃料流量-燃料圧力特性が一定勾配であることが要求される。しかし、図4に示すように、燃料圧力調整弁37の燃料流量-燃料圧力特性は、燃料流量が所定流量以上の範囲では一定勾配となるが、燃料流量が0に近い範囲では急激に燃料圧力が上昇するため、一定勾配とならない。また、燃料圧力調整弁37を通過する燃料流量が少ないと燃料圧力調整弁37のバルブ44が弁座に接触しやすくなり、圧力脈動等でバルブ44が弁座に衝突することが繰り返され、バルブ44が摩耗する原因となる。
【0037】そこで、本実施形態(1)では、燃料圧力調整弁37の吐出パイプ38に、燃料圧力調整弁37の設定圧力より低い圧力で開弁するリリーフ弁50を設け、燃料圧力調整弁37の設定圧力で一定流量の燃料をリリーフ弁50により吐出パイプ38外に逃がすようにしたので、燃料圧力調整弁37を通過する燃料流量を所定流量以上とすることができ、燃料圧力調整弁37の燃料流量-燃料圧力特性が一定勾配となる範囲を使用することができると共に、燃料圧力調整弁37のバルブ44と弁座の接触も回避することができ、バルブ44の摩耗を防止することができる。また、エンジン停止後に、吐出パイプ38の内圧がリリーフ弁50の開弁圧以下になると、リリーフ弁50がコイルスプリング51のばね力により閉弁して吐出パイプ38内の残圧を保持することができ、再始動性も良好となる。」(段落【0019】ないし【0037】)

(1-2-2)引用文献2の記載から分かること
上記(1-2-1)(a)ないし(c)及び図面より、以下の事項が分かる。
(ア)上記(1-2-1)(a)ないし(c)及び図面より、引用文献2には、蓄圧室14の燃料を燃料噴射弁に供給する燃料供給装置が記載されていることが分かる。

(イ)上記(1-2-1)(a)ないし(c)及び図面より、引用文献2に記載された燃料供給装置において、蓄圧室14を含む本体ハウジング11の端面が、本体ハウジング11の右カバー36を用いて閉鎖可能であることが分かる。

(ウ)上記(1-2-1)(a)ないし(c)及び図面より、引用文献2に記載された燃料供給装置において、右カバー36が、右カバー36のシール部を含み、右カバー36のシール部と燃料圧力調整弁37は2分割可能なモジュールであり、右カバー36が燃料圧力調整弁37に接続されていることが分かる。

(エ)上記(1-2-1)(a)ないし(c)及び図面より、引用文献2に記載された燃料供給装置において、燃料圧力調整弁37内には、バルブ44、リリーフ弁50等の制御部材が組み入れられていることが分かる。

(オ)上記(1-2-1)(a)ないし(c)及び図面より、引用文献2に記載された燃料供給装置において、前記右カバー36のシール部が、前記ケーシングに固定して気密結合されていることが分かる。

(1-2-3)引用文献2記載の技術
上記(1-2-1)(a)ないし(c)、(1-2-2)(ア)ないし(ウ)及び図面より、引用文献2には、次の技術(以下、「引用文献2記載の技術」という。)が記載されているといえる。

「蓄圧室14の燃料を燃料噴射弁に供給する燃料供給装置であって、
蓄圧室14を含む本体ハウジング11の端面が右カバー36を用いて閉鎖可能であるものにおいて、
右カバー36が、右カバー36のシール部を含み、前記右カバー36のシール部と燃料圧力調整弁37とからなる2分割可能なモジュールであり、前記右カバー36が燃料圧力調整弁37に接続されており、
前記右カバー36のシール部が、前記本体ハウジング11に固定して気密結合され、
該燃料圧力調整弁37内には、バルブ44、リリーフ弁50等の制御部材が組み入れられている技術。」

(2)対比
本願補正発明と引用文献1記載の発明とを対比すると、引用文献1記載の発明における「コモンレール形燃料供給装置」は、その構成及び機能からみて、本願補正発明における「コモンレール式燃料供給装置」に相当し、以下、同様に、「蓄圧管16」は「コモンレール」に、「貯蔵ユニット5」は「蓄圧室」に、「蓋7」は「レール蓋(3)」に、「密封面85,89」は「シール要素(4)」に、「密封結合され」は「気密結合され」に、「流量制御部」は「制御ユニット(5)」に、「燃料導入及び燃料継送に関する全機能ユニット」は「燃料の供給および燃料の継続案内に関する全機能ユニット」に、それぞれ相当する。
また、引用文献1記載の発明における「前記蓋7は、密封面85,89と流量制御部を含み」は、「前記レール蓋が、シール要素と制御ユニットとからなるモジュールに関連づけられている」という限りにおいて、本願補正発明における「前記レール蓋(3)が、シール要素(4)と制御ユニット(5)とからなる2分割可能なモジュールに接続されており」に相当する。
また、引用文献1記載の発明における「前記密封面85,89との空間的距離が小さい位置に、前記機能ユニットが設けられており」は、「前記シール要素と前記制御ユニットとの空間的離隔寸法が小さい位置に、前記制御ユニットの取付け位置が設定されており」という限りにおいて、本願補正発明における「前記圧力配管(2)の直径が約7mmに設定されると共に、前記シール要素(4)と前記制御ユニット(5)との空間的離隔寸法が2000mm以下である範囲内もしくは実質的に0mmとなる位置に、前記制御ユニット(5)の取付け位置が設定されており」に相当する。

したがって、両者は、
「圧力配管を介して内燃機関のシリンダに燃料を噴射するコモンレール式燃料供給装置であって、前記圧力配管がコモンレール内に少なくとも1つの蓄圧室を含んでおり、前記コモンレールの端面がレール蓋を用いて閉鎖可能であるものにおいて、
前記レール蓋が、シール要素と制御ユニットとからなるモジュールに関連づけられており、
前記シール要素が、前記コモンレールに固定して気密結合され、
前記シール要素と前記制御ユニットとの空間的離隔寸法が小さい位置に、前記制御ユニットの取付け位置が設定されており、かつ前記制御ユニット内には、前記燃料の供給および前記燃料の継続案内に関する全機能ユニットが組み入れられている燃料供給装置。」である点で一致し、以下の点で相違する。

〈相違点〉
(a)「前記レール蓋が、シール要素と制御ユニットとからなるモジュールに関連づけられている」に関し、本願補正発明においては、「前記レール蓋(3)が、シール要素(4)と制御ユニット(5)とからなる2分割可能なモジュールに接続されて」いるのに対し、引用文献1記載の発明においては、「前記蓋7は、密封面85,89と流量制御部を含み」となっている点(以下、「相違点1」という)。

(b)「前記シール要素と前記制御ユニットとの空間的離隔寸法が小さい位置に、前記制御ユニットの取付け位置が設定されており」に関し、本願補正発明においては、「前記圧力配管(2)の直径が約7mmに設定されると共に、前記シール要素(4)と前記制御ユニット(5)との空間的離隔寸法が2000mm以下である範囲内もしくは実質的に0mmとなる位置に、前記制御ユニット(5)の取付け位置が設定されて」いるのに対し、引用文献1記載の発明においては、圧力配管の直径及び、本願補正発明における「前記シール要素(4)と前記制御ユニット(5)との空間的離隔寸法」に対応する「前記密封面85,89と前記機能ユニットの空間的距離」が不明である点(以下、「相違点2」という)。

(3)判断
上記相違点について検討する。
まず、相違点1に関し、本願補正発明と引用文献2記載の技術とを対比すると、引用文献2記載の技術における「蓄圧室14」は、その形状・構造又は技術的意義からみて本願補正発明における「蓄圧室」に相当し、以下同様に、「右カバー36」は「レール蓋」に、「右カバー36のシール部」は「シール要素」に、それぞれ相当する。
また、引用文献2記載の技術における「燃料圧力調整弁37」は、蓄圧室から燃料噴射弁に送られる燃料の供給を制御するものであるから、本願補正発明における「制御ユニット」に相当し、該「燃料圧力調整弁37」に含まれる「バルブ44、リリーフ弁50等の制御部材」は、本願補正発明における「燃料の供給及び燃料の継続案内に関する全機能ユニット」に相当する。
また、引用文献2記載の技術における「右カバー36」は、「蓄圧室の蓋」である限りにおいて、本願補正発明における「レール蓋」に相当し、同様に、引用文献2記載の技術における「本体ハウジング11」は、「(蓄圧室を含む)ケーシング」である限りにおいて、本願発明における「コモンレール」に相当する。
したがって、引用文献2記載の技術を本願補正発明の用語を用いて表現すると、
「蓄圧室の燃料を燃料噴射弁に供給する燃料供給装置であって、
蓄圧室を含むケーシングの端面がレール蓋を用いて閉鎖可能であるものにおいて、
前記レール蓋が、シール要素を含み、前記シール要素と制御ユニットとが2分割可能なモジュールであり、前記レール蓋が制御ユニットに接続されており、
前記シール要素が、前記ケーシングに固定して気密結合され、
前記制御ユニット内には、燃料の供給及び燃料の継続案内に関する全ユニットが組み入れられている技術。」
といえる。
なお、部材の交換等に備えて、1つの部材を別個の2つの部品に分ける技術は、周知技術(以下、「周知技術1」という。例えば、特表2003-503625号公報(特に段落【0007】を参照。)、特開2001-3828号公報(特に段落【0008】、【0009】及び【0024】を参照。)、特開2001-295737号公報(特に段落【0045】を参照。)、特開2003-35239号公報(特に段落【0118】を参照。)、特開2003-106471号公報(特に【要約】、段落【0004】ないし【0007】、【0036】、【0040】、【0041】及び【0067】を参照。)、等を参照。)であり、コモンレールと燃料噴射弁との間に制御部材を配置する技術も、周知技術(以下、「周知技術2」という。例えば、特開平8-261105号公報(特にフローリミッタ(チェックバルブ)8を参照。)、特開平7-293394号公報(特に通流制御弁27を参照。)、特開平5-33741号公報(特に三方切換弁10を参照。)、特開2003-512565号公報(特に3ポート2位置切換ユニット3を参照。)、特開平2-218857号公報(特に三方制御弁27を参照。)等を参照。)である。
そして、引用文献1記載の発明と引用文献2記載の技術は、エンジンに燃料を供給する燃料供給装置の技術分野に属するものであり、しかも両者は、蓄圧室から燃料噴射弁側に吐出する燃料の制御に関する技術であるから、引用文献1記載の発明において、引用文献2記載の技術を適用することによって、相違点1に係る本願補正発明の特定事項のようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

次に、相違点2に関し、「圧力配管(2)の直径が約7mmに設定される」ことには格別な技術的意義及び臨界的意義はなく、当業者が適宜なし得る設計的事項にすぎない。同様に、「前記シール要素(4)と前記制御ユニット(5)との空間的離隔寸法が2000mm以下である範囲内もしくは実質的に0mmとなる位置に、前記制御ユニット(5)の取付け位置が設定され」ることにも、格別な技術的意義及び臨界的意義はなく、当業者が適宜なし得る設計的事項にすぎない。
また、引用文献2に記載されたものにおいても、本願補正発明における「シール要素(4)」に相当する「右カバー36のシール部」と、本願補正発明における「制御ユニット(5)」に相当する「燃料圧力調整弁37」との空間的離隔寸法が2000mm以下である範囲内もしくは実質的に0mmとなる位置に、前記「燃料圧力調整弁37」(「制御ユニット(5)」の取付け位置が設定されていることは、自明である。
したがって、相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項は、圧力配管の直径及びシール要素と制御ユニットとの空間的離隔寸法を適宜設定することにより、当業者が容易に想到し得たことである。

そして、本願補正発明を全体として検討しても、引用文献1記載の発明、引用文献2記載の技術並びに周知技術1及び2から予測される以上の格別の効果を奏するとも認めることができない。

以上により、本願補正発明は、引用文献1記載の発明、引用文献2記載の技術並びに周知技術1及び2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4-3 独立特許要件についてのまとめ
以上のように、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


5 本件補正の適否についての判断
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
又は、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
又は、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、補正却下の決定の結論のとおり決定する。


第3 本願発明について
1 本願発明
平成23年8月2日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし6に係る発明は、願書に最初に添付した明細書並びに図面、及び平成23年1月25日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるものと認められ、そのうち、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、前記第2の1の(A)の請求項1に記載したとおりのものである。

2 引用文献
(1-1)引用文献1の記載及び該記載から分かること
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に出願公開された特開2003-193937号公報(前記「引用文献1」)の記載及び該記載から分かることは、前記第2の4の4-2の(1-1-1)及び(1-1-2)のとおりのものである。

(1-2)引用文献1記載の発明2
上記(1-1)から、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用文献1記載の発明2」という。)が記載されているといえる。

「 圧力配管を介して内燃機関のシリンダに燃料を噴射するコモンレール形燃料供給装置であって、前記圧力配管が蓄圧管16内に少なくとも1つの貯蔵ユニット5を含んでおり、前記蓄圧管16の端面が蓋7を用いて閉鎖可能であるものにおいて、
前記蓋7が密封面85,89と流量制御部から、以下のように形成されている燃料供給装置。
密封面85,89が貯蔵体13に固く密封結合され、
流量制御部が密封面85,89と供給すべき燃料噴射器9との間の圧力配管に配置されており、かつ
流量制御部内に燃料導入および燃料継送に関する全機能ユニットが組み入れられる。」

(2-1)引用文献2の記載及び該記載から分かること
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に出願公開された特開2001-107818号公報(前記「引用文献2」)の記載及び該記載から分かることは、前記第2の4の4-2の(1-2-1)及び(1-2-2)のとおりのものである。

(2-2)引用文献2記載の技術2
上記(2-1)から、引用文献2には、以下の技術(以下、「引用文献2記載の技術2」という。)が記載されているといえる。

「蓄圧室14の燃料を燃料噴射弁に供給する燃料供給装置であって、
蓄圧室14を含む本体ハウジング11の端面が右カバー36を用いて閉鎖可能であるものにおいて、
右カバー36が、右カバー36のシール部と燃料圧力調整弁37の2分割可能なモジュールから、以下のように形成されている技術。
右カバー36のシール部が本体ハウジングに固く気密結合され、
燃料圧力調整弁37が右カバー36のシール部と供給すべき燃料噴射弁との間の圧力配管に配置されており、かつ
該燃料圧力調整弁37内に、バルブ44、リリーフ弁50等の制御部材が組み入れられている。」

3 対比・判断
本願発明と引用文献1記載の発明2とを対比すると、引用文献1記載の発明2における「コモンレール形燃料供給装置」は、その構成及び機能からみて、本願発明における「コモンレール式燃料供給装置」に相当し、以下、同様に、「蓄圧管16」は「コモンレール」に、「貯蔵ユニット5」は「蓄圧室」に、「蓋7」は「レール蓋(3)」に、「密封面85,89」は「シール要素(4)」に、「密封結合され」は「気密結合され」に、「燃料噴射器9」は「燃料噴射器(1)」に、「流量制御部」は「制御ユニット(5)」に、「燃料導入及び燃料継送に関する全機能ユニット」は「燃料の供給および燃料の継続案内に関する全機能ユニット」に、それぞれ相当する。
また、引用文献1記載の発明2における「前記蓋7が密封面85,89と流量制御部から、形成されている」は、「前記レール蓋がシール要素と制御ユニットとから、形成されている」という限りにおいて、本願発明における「前記レール蓋(3)がシール要素(4)と制御ユニット(5)の2分割されたモジュールから、形成されている」に相当する。

したがって、両者は、
「圧力配管を介して内燃機関のシリンダに燃料を噴射するコモンレール式燃料供給装置であって、前記圧力配管がコモンレール内に少なくとも1つの蓄圧室を含んでおり、前記コモンレールの端面がレール蓋を用いて閉鎖可能であるものにおいて、
前記レール蓋が、シール要素と制御ユニットとからなるモジュールから、以下のように形成されている燃料供給装置。
シール要素が、コモンレールに固く気密結合され、
制御ユニットがシール要素と供給すべき燃料噴射器との間の圧力配管に配置されており、かつ
制御ユニット内に燃料供給および燃料続案内に関する全機能ユニットが組み入れられる。」である点で一致し、以下の点で相違する。

〈相違点〉
(a’)「前記レール蓋が、シール要素と制御ユニットとからなるモジュールから、形成されている」に関し、本願発明においては、「前記レール蓋(3)がシール要素(4)と制御ユニット(5)の2分割されたモジュールから、形成されている」のに対し、引用文献1記載の発明2においては、「前記蓋7が密封面85,89と流量制御部から、形成されている」ものの、2分割されたモジュールからは形成されていない点(以下、「相違点1’」という)。

(b’)「制御ユニットがシール要素と供給すべき燃料噴射器との間の圧力配管に配置されており」に関し、本願発明においては、「制御ユニット(5)がシール要素(4)と供給すべき燃料噴射器(1)との間の圧力配管(2)内において任意に位置決め可能」であるのに対し、引用文献1記載の発明2においては、本願発明の「制御ユニット(5)」に対応する「燃料圧力調整弁37」が「右カバー36のシール部と供給すべき燃料噴射弁との間の圧力配管に配置されて」いるものの、シール要素と供給すべき燃料噴射器との間の圧力配管内において任意に位置決め可能であるかどうか明らかでない点(以下、「相違点2’」という)。

上記相違点について検討する。
まず、相違点1’に関し、本願発明と引用文献2記載の技術2とを対比すると、引用文献2記載の技術2における「蓄圧室14」は、その形状・構造又は技術的意義からみて本願発明における「蓄圧室」に相当し、以下同様に、「右カバー36」は「レール蓋」に、「右カバー36のシール部」は「シール要素」に、「燃料噴射弁」は「燃料噴射器」に、それぞれ相当する。
また、引用文献2記載の技術2における「燃料圧力調整弁37」は、蓄圧室から燃料噴射弁に送られる燃料の供給を制御するものであるから、本願発明における「制御ユニット」に相当し、該「燃料圧力調整弁37」に含まれる「バルブ44、リリーフ弁50等の制御部材」は、本願発明における「燃料の供給及び燃料の継続案内に関する全機能ユニット」に相当する。
また、引用文献2記載の技術における「右カバー36」は、「蓄圧室の蓋」である限りにおいて、本願発明における「レール蓋」に相当し、同様に、引用文献2記載の技術における「本体ハウジング11」は、「(蓄圧室を含む)ケーシング」である限りにおいて、本願発明における「コモンレール」に相当する。
したがって、引用文献2記載の技術2を本願発明の用語を用いて表現すると、
「蓄圧室の燃料を燃料噴射弁に供給する燃料供給装置であって、
蓄圧室を含むケーシングの端面がレール蓋を用いて閉鎖可能であるものにおいて、
前記レール蓋が、シール要素を含み、前記シール要素と制御ユニットとが2分割可能なモジュールから、以下のように形成されている技術。
前記シール要素が、前記ケーシングに固く気密結合され、
制御ユニットがシール要素と供給すべき燃料噴射器との間の圧力配管に配置されており、かつ
前記制御ユニット内に、燃料の供給及び燃料の継続案内に関する全ユニットが組み入れられている。」
といえる。
また、部材の交換等に備えて、1つの部材を別個の2つの部品に分ける技術は、周知技術(以下、「周知技術1’」という。例えば、特表2003-503625号公報(特に段落【0007】を参照。)、特開2001-3828号公報(特に段落【0008】、【0009】及び【0024】を参照。)、特開2001-295737号公報(特に段落【0045】を参照。)、特開2003-35239号公報(特に段落【0118】を参照。)、特開2003-106471号公報(特に【要約】、段落【0004】ないし【0007】、【0036】、【0040】、【0041】及び【0067】を参照。)、等を参照。)である。
そして、引用文献1記載の発明2と引用文献2記載の技術2は、エンジンに燃料を供給する燃料供給装置の技術分野に属するものであり、しかも両者は、蓄圧室から燃料噴射弁側に吐出する燃料の制御に関する技術であるから、引用文献1記載の発明2において、周知技術1’を参考にして、引用文献2記載の技術2を適用することにより、相違点1’に係る本願発明の特定事項のようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

次に、相違点2に関し、引用文献1には、「3ポート2位置切換弁は、貯蔵ユニット5と燃料噴射器9の間に必要に応じて配置することもできる。」(段落【0044】)と記載され、制御ユニットを構成する部材である3ポート2位置切換弁を、貯蔵ユニット(本願発明における「蓄圧室」に相当する。)と燃料噴射器の間に配置することが開示されている。また、制御ユニットを、コモンレールのシール要素と供給すべき燃料噴射器との間の圧力配管内の様々な位置において位置決めする技術は、周知技術(以下、「周知技術2’」という。例えば、特開平8-261105号公報(特にフローリミッタ(チェックバルブ)8を参照。)、特開平7-293394号公報(特に通流制御弁27を参照。)、特開平5-33741号公報(特に三方切換弁10を参照。)、特開2003-512565号公報(特に3ポート2位置切換ユニット3を参照。)、特開平2-218857号公報(特に三方制御弁27を参照。)等を参照。)である。
したがって、引用文献1記載の発明2において、周知技術2’を適用することにより、相違点2’に係る本願発明の発明特定事項のようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、本願発明を全体として検討しても、引用文献1記載の発明2、引用文献2記載の技術2並びに周知技術1’及び2’から予測される以上の格別の効果を奏するとも認めることができない。

以上により、本願発明は、引用文献1記載の発明2、引用文献2記載の技術2並びに周知技術1’及び2’に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、その出願の優先日前に日本国内において頒布された引用文献1記載の発明2及び引用文献2記載の技術2並びに周知技術1’及び2’に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-09-10 
結審通知日 2012-09-11 
審決日 2012-09-24 
出願番号 特願2005-339784(P2005-339784)
審決分類 P 1 8・ 561- Z (F02M)
P 1 8・ 57- Z (F02M)
P 1 8・ 121- Z (F02M)
P 1 8・ 575- Z (F02M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 谷治 和文佐々木 訓  
特許庁審判長 中村 達之
特許庁審判官 金澤 俊郎
柳田 利夫
発明の名称 レール蓋で閉じられたコモンレールを備えた燃料供給装置  
代理人 山口 巖  

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