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審決分類 |
審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01B 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01B 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01B 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01B |
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管理番号 | 1270124 |
審判番号 | 不服2010-21103 |
総通号数 | 160 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-04-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-09-21 |
確定日 | 2013-02-12 |
事件の表示 | 特願2004-524678「テープ基板上の超伝導材料のための方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成16年2月5日国際公開、WO2004/012278、平成17年11月10日国内公表、特表2005-534157〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成15年7月23日(パリ条約による優先権主張 2002年7月26日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成17年3月22日付けで手続補正がされ、平成21年7月16日付けで拒絶理由が通知され、平成22年1月28日付けで手続補正がされ、同年5月7日付けで拒絶査定がされ、この査定を不服として、同年9月21日に審判請求がされるとともに手続補正がされたものである。 その後、当審において、平成24年2月16日付けの補正の却下の決定とともに拒絶理由が通知され、これに対して、同年8月21日付けで意見書の提出がなされている。 第2 本願発明 平成22年9月21日付け手続補正は却下されたので、本願の明細書、特許請求の範囲及び図面は、平成22年1月28日付けの手続補正により補正されたとおりのものであり、その発明は、特許請求の範囲の請求項1?10に記載された事項により特定されたとおりのもの(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明10」という。)と認める。 第3 当審拒絶理由について 平成24年2月16日付けの当審拒絶理由は、次の<理由1>?<理由4>に示すとおりである。 <理由1> 平成17年3月22日付けでした手続補正は、下記の点で国際出願日における国際特許出願の明細書若しくは図面(図面の中の説明に限る)の翻訳文、国際出願日における国際特許出願の請求の範囲の翻訳文(特許協力条約第19条(1)の規定に基づく補正後の請求の範囲の翻訳文が提出された場合にあっては、当該翻訳文)又は国際出願日における国際特許出願の図面(図面の中の説明を除く)(以下、翻訳文等という)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない(同法第184条の12第2項参照)。 記 翻訳文等には、超伝導体材料の層の長さを少なくとも10メートルとするステップに関しては記載されておらず、当該長さの特定は当業者にとって自明とはいえないから、本願発明8?10は、新たな技術的事項を追加するものであって、当該補正を含む平成17年3月22付けでした手続補正は、翻訳文等に記載した事項の範囲内においてしたものでない。 なお、当該補正がなされた明細書、特許請求の範囲又は図面における請求項8?10に記載した事項は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内にないから、本願発明8?10については審査を行っていない。 <理由2> 本願発明1、5?7は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 <理由3> 本願発明1?7は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の引用文献1?7に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1:特開平5-43396号公報 引用文献2:特開平6-293596号公報 引用文献3:特開平6-68728号公報 引用文献4:特開平5-44043号公報 引用文献5:特開平9-52701号公報 引用文献6:特開2001-319535号公報 引用文献7:特開2002-203439号公報 ・備考: 引用文献1の段落番号0002、0003、0013?0015、0017、0018、0029、0032の欄、図6の基板1、ロール15A、チャンバ12、供給口13、14、ヒータ20、21、ロール15B、仕切部材22、中間層合成部A、SC層合成部B、中間層2、2a、SC層(酸化物超電導層)3、3a及びそれらの関連する記載によれば、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているといえる。 「テープ状基板1で酸化物超伝導体を形成するための製造装置であって、 前記テープ状基板1を繰り出すためのロール15Aと、 前記ロール15Aから前記テープ状基板1を受け取り、前記テープ状基板1上にSC層(酸化物超電導層)を形成するSC層合成部Bと、 酸化物超電導体を形成するように反応できる化学蒸着法(CVD法)の原料を前記SC層合成部B内に注入するための供給口と、 前記SC層合成部BからSC層を有する前記テープ状基板1を巻き取るロール15Bとを含む、製造装置において、 前記SC層合成部Bを含むチャンバ12が、 前記テープ状基板1を所定の温度まで加熱する光を用いたヒータを含み、 前記テープ状基板1上に中間層を形成するように動作する別の中間層合成部Aをチャンバ12に含み、前記中間層が、酸化物超伝導層との結晶整合性に優れたMgOやSrTiO_(3)から選択される材料を含む製造装置。」 本願発明1?7と引用発明1とを対比すると、引用発明1の「テープ状基板1」、「酸化物超伝導体」、「製造装置」、「ロール15A」、「SC層」、「SC層合成部B」、「反応できる化学蒸着法(CVD法)の原料」、「ロール15B」、「所定の温度まで加熱する光を用いたヒータ」、「中間層」及び「結晶整合性に優れたMgOやSrTiO_(3)から選択される材料」は、それぞれ、本願発明1?7の「テープ基板」、「超伝導体ワイア」、「システム」、「第1リール」、「超伝導体材料の層」、「1つの堆積チャンバ」、「反応できる1つまたは複数のプリカーサ材料」、「第2リール」、「所定の温度まで加熱するランプ」、「バッファ層」及び「CeO_(2)、YSZ、Y_(2)O_(3)-ZrO_(2)、Gd_(2)O_(3)、Eu_(2)O_(3)、Yb_(2)O_(3)、RuO_(2)、LaSrCoO_(3)、MgO、SiN、BaCeO_(2)、NiO、Sr_(2)O_(3)、SrTiO_(3)、およびBaSrTiO_(3)からなる群から選択される材料」に相当し、本願発明1?7の「ディスペンサ」及び「配給ヘッド」は、プリカーサ材料を供給するためのものといえるから、引用発明1の「供給口」は、本願発明1?7の「ディスペンサ」及び「配給ヘッド」の役割を担っているものといえる。そして、引用発明1は、堆積チャンバとなるチャンバ12外に「ロール15A」及び「ロール15B」を設けたものであるから、「テープ基板を少なくとも1つの内に入れるための入力開口と、前記テープ基板を堆積チャンバから出すための出力開口」とを有しているものと認められる。 ア)本願発明1、5?7について 本願発明1、5?7と引用発明1とを対比すると、両者は相違点aで相違し、それ以外の点で一致する。 (相違点a) 本願発明1、5?7は、配給ヘッドがテープ基板上に前記プリカーサ材料の層流を提供するものであるのに対して、引用発明1はどのような状態で原料が提供されているのか不明である点 相違点aについて検討すると、引用文献1には、CVD法の原料を層流状態で供給することは明記されていないものの、乱流状態で原料を供給することも記載されていないし、引用文献4又は5に記載されているように、CVD法の原料の供給を特定の方向になるように供給すること(すなわち、層流)は技術常識であるから、引用発明1においても、原料は供給口から層流状態で供給されていると認められるから、当該相違点aは実質的な相違点とはいえない。 したがって、本願発明1、5?7は、引用文献1に記載された発明である。 また、仮に、相違点aが実質的な相違点であったとしても、引用発明1において、引用文献4又は5に記載されているように、原料の供給を特定の方向になるように供給することは、当業者にとって格別の事項ではない。 イ)本願発明2、3について 本願発明2、3と引用発明1とを対比すると、両者は相違点a、bで相違し、それ以外の点で一致する。 (相違点b) 本願発明2、3は、「テープ基板からオイル・ベースの汚染物質を除去する予備洗浄ステージ」又は「少なくとも1つの堆積チャンバに供給する前に、前記テープ基板に処理をほどこす初期化ステージ」を含んでいるのに対して、引用発明1はテープ基板のリールからリールへの一連の工程において、そのような前処理をしていない点 相違点aについては上記アで述べたとおりであり、相違点bについて検討すると、テープ基板のリールからリールへの一連の工程において、CVD法による材料の堆積に先だち、テープ基板からオイル・ベースの汚染物質を除去する工程を設けること(引用文献2及び3参照)や、何らかの前処理を行うこと(引用文献4参照)によって、ひずみや欠陥を減少させることは、本願出願前における周知技術である。 そうすると、引用発明1において、ひずみや欠陥を減らすために、当該周知技術を採用することは、当業者が容易に想到することである。 ウ)本願発明4について 本願発明4と引用発明1とを対比すると、両者は相違点a、cで相違し、それ以外の点で一致する。 (相違点c) 本願発明4は、「少なくとも1つの堆積チャンバが、前記テープ基板を支持する少なくとも1つの支持部を含」んでいるのに対して、引用発明1は、そのような支持部を有しているかどうか不明である点 相違点aについては上記アで述べたとおりであり、相違点cについて検討すると、引用文献5、6に記載されているように、堆積チャンバであるリアクタにテープ基板の支持部を設けることは、発明の具体化の際に、当業者が通常採用する技術的事項であるから、引用発明1において、堆積チャンバにテープ基板の支持部を設けることは、当業者が容易に想到することである。 エ)補足 上記ア?ウにおいて、CVD法及び酸化物超伝導体の層構成について、引用文献6及び7に記載の内容も参照されたい。 <理由4> 本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 記 (1)請求項1?7に記載の「テープ基板」、「第1リール」、「堆積チャンバ」、「第2リール」、「オイル・ベース」、「入力開口」及び「出力開口」は、明細書の「テープ」、「繰り出しリール」、「反応チャンバ」、「巻き取り」、「潤滑油」、「テープポート605」及び「テープポート606」との対応関係が不明確である。 (2)請求項1に記載の「ディスペンサ」と「配給ヘッド」は対応関係が不明確であり、「ディスペンサ」は明細書を参照しても技術的内容が不明である。 (3)請求項3に記載の「初期化ステージ」における「処理」は、どのような事項であるのか不明確である。また、請求項2に記載の「予備洗浄」処理も含むかどうか不明である。 第4 補足 請求人は、平成24年8月21日付け意見書において、平成24年2月16日付けの補正の却下の決定は違法ではないことを認め、同日付けの拒絶理由に対しては、拒絶理由を解消するための手続補正書を提出しないし、不服とする意見はないものとしている。 第5 当審の判断 上記第3で示した当審拒絶理由は妥当なものと認められるから、本願は、この拒絶理由によって拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-08-31 |
結審通知日 | 2012-09-11 |
審決日 | 2012-09-25 |
出願番号 | 特願2004-524678(P2004-524678) |
審決分類 |
P
1
8・
55-
WZ
(H01B)
P 1 8・ 113- WZ (H01B) P 1 8・ 121- WZ (H01B) P 1 8・ 537- WZ (H01B) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 後谷 陽一、國島 明弘 |
特許庁審判長 |
小柳 健悟 |
特許庁審判官 |
野田 定文 大橋 賢一 |
発明の名称 | テープ基板上の超伝導材料のための方法および装置 |
代理人 | 尾原 静夫 |
代理人 | 真田 雄造 |