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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C03B
管理番号 1270154
審判番号 不服2010-27232  
総通号数 160 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-12-02 
確定日 2013-02-14 
事件の表示 特願2008-132604「無アルカリガラスのリサイクル方法」拒絶査定不服審判事件〔平成21年12月 3日出願公開、特開2009-280425〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成20年5月21日の出願であって、平成22年6月23日付けで拒絶理由が通知され、同年7月23日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年9月24日付けで拒絶査定され、同年12月2日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされると共に同日付けで手続補正書が提出されたものであり、その後、平成24年2月23日付けで特許法第164条第3項に基づく報告を引用した審尋を通知し、期間を指定して請求人の意見を求めたところ、請求人からの回答書の提出が無かったものである。

2.本願発明
平成22年12月2日付けの手続補正(以下、必要に応じて「本件補正」という。)により、特許請求の範囲は次のとおりに補正された。

「【請求項1】
無アルカリガラスを5?15mmのサイズに破砕する破砕工程と、
破砕された無アルカリガラスと、SiO_(2)が20?60重量%、Na_(2)Oが40?80重量%、B_(2)O_(3)が0?10重量%となるように珪砂、ソーダ灰、ホウ砂を混合したものであるバッチ原料とを混合する調合工程と、
破砕された無アルカリガラスとバッチ原料との混合物を加熱溶融する溶融工程とを含む、無アルカリガラスのリサイクル方法。
【請求項2】
前記調合工程における無アルカリガラスとバッチ原料との混合比は、バッチ原料が20?40重量%であることを特徴とする請求項1に記載の無アルカリガラスのリサイクル方法。
【請求項3】
無アルカリガラスが液晶パネルガラスである、請求項1または2に記載の無アルカリガラスのリサイクル方法。」

上記補正は、本件補正前の請求項1を削除し、本件補正前の請求項3を独立形式で記載して新たな請求項1とすると共に、本件補正前の請求項2、4を新たな請求項2、3として、引用する請求項の項番を整理するものであるから、特許法第17条の2第5項第1号に規定する請求項の削除を目的とするものに該当し、本件補正は適法であるので、本願の請求項1?3に係る発明(以下、「本願発明1?3」という。)は、上記の請求項1?3に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。

3.刊行物に記載された事項
(1)原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開2001-305502号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載され、視認される。
(ア)「【発明の属する技術分野】本発明は、・・・廃液晶パネルを、再利用可能となるように処理する廃液晶パネルの処理方法に関するものである。」(段落【0001】)
(イ)「本実施の形態にかかる液晶パネルの処理方法は、偏光板を有する状態で液晶パネルを切断するパネル切断工程と、該液晶パネルに含まれる液晶を回収する液晶回収工程とを備えている。また、本実施の形態にかかる液晶パネルの処理方法は、必要に応じて、液晶パネルを切断して得られるガラス基板に含まれる有機物を除去する残留有機物除去工程と、上記ガラス基板上に形成されている薄膜を除去する薄膜除去工程と、ガラス基板をガラスの種類別に選別するガラス選別工程と、ガラス基板を破砕するガラス破砕工程とを備えている。次に、上記偏光板4を有する液晶パネルを廃液晶パネルとした場合の、リサイクルのための廃液晶パネルの処理方法(工程)を、以下に説明する。
・・・偏光板4を有する状態で液晶パネルを切断する(S1、パネル切断工程)。・・・該液晶を回収する(S2、液晶回収工程)。・・・。
・・・有機物を除去する(S3、残留有機物除去工程)。・・・薄膜を該ガラス基板1から機械的な(物理的な)方法で以て剥離(除去)する。・・・該薄膜とガラス(ガラス基板1)とを各々別個に回収する(S4、薄膜除去工程)。
・・・蛍光X線分析法を用いてガラス基板1のガラスを品種(種類)別に選別する(S5、ガラス選別工程)。・・・ガラス基板1を破砕する(S6、ガラス破砕工程)。・・・。」(段落【0025】?【0028】)
(ウ)「上記S5のガラス選別工程においては、蛍光X線分析法を用いてガラス基板1のガラスを品種別に選別する。ガラスは、ガラスメーカーによって、或いはガラス品種や品番等によって組成が異なる。従って、回収したガラスを例えばガラス基板1用の材料として再使用するためには、多種多様なガラスを品種別に選別することが必要となる。また、回収したガラスを例えば一般ガラス用の材料として再使用する場合にも、或る程度、該ガラスを品種別に選別することが要求される場合がある。
ここで、液晶パネルのガラス基板1の材料として用いられているガラスの代表的な化学組成を、表1に示す。表中におけるガラス品種「S」はソーダガラスである。このガラスは、ナトリウムやカリウムを含有することから、蛍光X線分析機を用いて容易に判別することができる。ガラス品種「A」?「E」は、主にTFT液晶パネルに用いられているアルミノホウ珪酸ガラスと呼ばれる無アルカリガラスである。このガラスは、SiO_(2) 、Al_(2) O_(3) 、B_(2) O_(3) 、BaOを主成分とするのが特徴である。」(段落【0052】、【0053】)
(エ)表1には、ガラス品種「A」?「E」として、TFT液晶パネルに用いられているアルミノホウ珪酸ガラスと呼ばれる無アルカリガラスの具体的な化学組成が、ガラス品種「S」として、ソーダガラスの具体的な化学組成が、それぞれ重量%で示されている。(段落【0054】)
(オ)「上記S6のガラス破砕工程は、単一の品種のガラス基板1毎に行う。S6のガラス破砕工程においては、市販の各種方式の破砕機を使用することにより、ガラス基板1を破砕して破砕物としてのガラスカレット(ガラス片)を得る。・・・塵の発生が少なく容易に破砕することができ、環境に悪影響を及ぼさず、かつ、ランニングコストが安価である等の観点から、2軸剪断方式の破砕機がより好ましい。該破砕機は、数cm大のサイズの揃った破砕物が得られ易いこと、微粉末の発生比率が小さく、破砕物をガラスカレットとして再利用し易いこと等の利点も有している。・・・。
回収したガラスカレットは、ガラス選別工程において既にガラスの品種別に選別されており、しかもガラスだけになっている。つまり、ガラスカレットは、単一の品種のガラスであり、かつ、ガラス基板用の原料ガラスと変わらない化学組成を有している。それゆえ、図1に示すように、ガラスカレットは、原料ガラスに添加混合することにより、または、原料ガラスに置き換えて、再使用(マテリアルリサイクル)することができる。再使用する際には、例えば、ガラスカレットを原料ガラスと共に溶融炉で溶融させればよい。さらに、回収したガラスカレットは、例えば一般ガラス用の材料として再使用することもできる。・・・・。」(段落【0064】、【0065】)

(2)原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開2007-153649号公報(以下、「刊行物2」という。)には、次の事項が載されている。
(カ)「(実施の形態1)
本発明の実施の形態1におけるガラス組成物について説明する。
各ガラス組成物については、以下のようにして作製した。
まず一般的な従来の板ガラス、照明用ガラス、あるいはCRT用フェースガラスを粉砕し、実施例に示すような組成になるようヴァージン原料を加えて調合した後、1450℃で6時間溶融を行った。次いで、この溶融物を流しだし、450℃?530℃で約2時間のアニールを施した。」(段落【0067】?【0069】)
(キ)「(実施の形態2)
本発明の実施の形態2におけるガラス繊維について説明する。
ガラス繊維は、以下のようにして作製した。
本発明の実施の形態1に記載のガラス組成物からなる溶融物を平均繊維径が3.5μm程度になるように繊維化した。繊維化工程については、長繊維として連続紡糸、または短繊維として火炎法、遠心法等どのようにして行ってもよいが、生産性を考慮して遠心法によりグラスウールを作製した。チョップストランドマットや、ロービングクロス等のように長繊維を作製した後に加工して断熱材として用いることもできる。」(段落【0079】?【0081】)
(ク)「(実施例12)
本実施例は、板ガラス市中回収カレットに、B_(2)O_(3)の原料であるホウ酸、アルカリ金属酸化物のヴァージン原料であるソーダ灰を混合し、重量百分率で以下のガラス組成物を得た。ガラス組成はSiO_(2)が62.5%、Al_(2)O_(3)が1.5%、B_(2)O_(3)が4.6%、Na_(2)Oが19.4%、K_(2)Oが0.6%、MgOが3.6%、CaOが7.4%、TiO_(2)が0.1%、Fe_(2)O_(3)が0.1%、その他0.1%程度の多数不純物からなり、板ガラスカレットは、原料全体重量のうち、87%の利用が可能であった。」(段落【0179】)
(ケ)「(実施例15)
本実施例は、カラーCRT用フェースガラスの回収カレットに、B_(2)O_(3)の原料であるホウ酸、アルカリ金属酸化物のヴァージン原料であるソーダ灰を混合し、重量百分率で以下のガラス組成物を得た。
ガラス組成は、SiO_(2)が53.9%、Al_(2)O_(3)が1.5%、B_(2)O_(3)が4.0%、Na_(2)Oが14.1%、K_(2)Oが5.9%、MgOが0.4%、CaOが1.6%、SrOが7.2%、BaOが8.2%、TiO_(2)が0.4%、ZrO_(2)が2.3%、その他0.4%程度の多数不純物からなり、CRT用フェースガラスカレットは、原料全重量のうち、90%の利用が可能であった。」(段落【0197】、【0198】)

(3)原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特表2006-518324号公報(以下、「刊行物3」という。)には、次の事項が載されてる。
(サ)「本発明のガラス組成物は、バッチ材料と、前もって溶融した材料(例えば、カレット)とから製造することができる。これの実例は、次の配合物:
カレット 239.7g
砂 331.1g
ソーダ灰 108.3g
石灰石 28.1g
ドロマイト 79.8g
ソルトケーキ 2.3g
Fe_(2)O_(3)(全鉄) 必要量
Se 必要量
Co_(3)O_(4) 必要量
を含有する。」(段落【0041】)

4.対比、判断
(1)刊行物1に記載された発明
ア 刊行物1の記載事項(イ)には、「ガラス基板1のガラスを品種(種類)別に選別する(S5、ガラス選別工程)。その後、ガラス基板1を破砕する(S6、ガラス破砕工程)。」と記載されており、同(オ)には、「ガラス基板1を破砕して破砕物としてのガラスカレット(ガラス片)を得る。・・・2軸剪断方式の破砕機がより好ましい。・・・ガラスカレットは、原料ガラスに添加混合することにより、・・・再使用(マテリアルリサイクル)することができる。再使用する際には、例えば、ガラスカレットを原料ガラスと共に溶融炉で溶融させればよい。さらに、回収したガラスカレットは、例えば一般ガラス用の材料として再使用することもできる。」と記載されている。
イ そして、同(ウ)には、「液晶パネルのガラス基板1の材料として用いられているガラスの代表的な化学組成を、表1に示す。・・・ガラス品種「A」?「E」は、主にTFT液晶パネルに用いられているアルミノホウ珪酸ガラスと呼ばれる無アルカリガラスである」と記載されており、同(エ)には、上記無アルカリガラスの具体的な化学組成が記載されている。
ウ ここで、上記記載事項(イ)の「ガラス基板のガラス」は、同(ウ)の「液晶パネルのガラス基板1の材料として用いられているガラス」であるから、上記「ガラス基板のガラス」は、「無アルカリガラス」であるといえる。
エ 以上を踏まえると、刊行物1には、
「ガラスの種類別に選別した無アルカリガラスを2軸剪断方式の破砕機で破砕するガラス破砕工程と、破砕された無アルカリガラスを原料ガラスと混合する工程と、破砕された無アルカリガラスと原料ガラスを共に溶融炉で溶融する工程とを含む、無アルカリガラスを一般ガラス用の材料として再使用する方法」の発明(以下、「刊行物1発明」という。)が記載されていると認める。

(2)一致点と相違点
本願発明1と刊行物1発明とを対比する。
ア 刊行物1発明の「ガラス破砕工程」は、本願発明1の「破砕工程」に相当することは明らかである。
イ また、刊行物1発明の「原料ガラス」は、ガラスの原料となるものであるから、本願発明1の「バッチ原料」に相当するので、刊行物1発明の「破砕された無アルカリガラスと原料ガラスを混合」することは、本願発明1の「破砕された無アルカリガラスとバッチ原料とを混合する」ことに相当する。そして、刊行物1発明の「破砕された無アルカリガラスと原料ガラスを混合する工程」は、「破砕された無アルカリガラス」と「原料ガラス」を混合することにより目的のガラス組成とするものであるから、「調合する工程」すなわち本願発明1の「調合工程」といえる。
ウ さらに、刊行物1発明の「破砕された無アルカリガラスと原料ガラスを共に溶融炉で溶融する工程」は、「破砕された無アルカリガラス」と「原料ガラス」との混合物を加熱溶融することであるから、本願発明1の「破砕された無アルカリガラスとバッチ原料との混合物を加熱溶融する溶融工程」に相当する。
エ そして、刊行物1発明の「無アルカリガラスを一般ガラス用の材料として再使用する方法」は、「無アルカリガラスのリサイクル方法」であることは明らかである。
オ そうすると、本願発明と刊行物1発明は、
「無アルカリガラスを破砕する破砕工程と、
破砕された無アルカリガラスとバッチ原料とを混合する調合工程と、
破砕された無アルカリガラスとバッチ原料との混合物を加熱溶融する溶融工程とを含む、無アルカリガラスのリサイクル方法。」の点で一致し、下記(A)、(B)の点で相違する。
相違点(A);本願発明1の破砕工程は「無アルカリガラスを5?15mmのサイズに破砕する」ものであるのに対して、刊行物1発明の破砕工程は「無アルカリガラスを2軸剪断方式の破砕機で破砕する」ものである点。
相違点(B);破砕された無アルカリガラスと混合される原料が、本願発明1が「SiO_(2)が20?60重量%、Na_(2)Oが40?80重量%、B_(2)O_(3)が0?10重量%となるように珪砂、ソーダ灰、ホウ砂を混合したものであるバッチ原料」であるのに対して、刊行物1発明は原料ガラスの組成について特定がない点。

(3)相違点についての検討
ア 相違点(A)について
ア-1 刊行物1の記載事項(オ)には、「塵の発生が少なく容易に破砕することができ、環境に悪影響を及ぼさず、かつ、ランニングコストが安価である等の観点から、2軸剪断方式の破砕機がより好ましい。該破砕機は、数cm大のサイズの揃った破砕物が得られ易いこと、微粉末の発生比率が小さく、破砕物をガラスカレットとして再利用し易いこと等の利点も有している。」との記載があることから、破砕工程で2軸剪断方式の破砕機を用いることにより「数cm大のサイズの揃った破砕物が得られ易」く、また、この破砕機を用いることにより「微粉末の発生比率が小さく、破砕物をガラスカレットとして再利用し易い」等の利点も有していることが記載されている。
ア-2 一方、本願の明細書の段落【0021】には、「〔1〕破砕工程
本発明の無アルカリガラスのリサイクル方法では、まず、不要となった液晶パネルなどから回収された無アルカリガラスを破砕し、無アルカリガラスの破砕物(無アルカリガラスカレット)を得る(ステップS1)。無アルカリガラスの破砕には、・・・塵の発生が少なく容易に破砕することができ、環境に悪影響を及ぼさず、かつ、ランニングコストが安価であるなどの観点から、二軸剪断方式の破砕機がより好ましい。」と記載されており、同段落【0022】には、「破砕のサイズは、5?20mmが好ましく、5?15mmがより好ましい。破砕サイズが5mmより小さな場合は、破砕した微粉の表面積が大きくなり、表面に吸着する空気の量が増大するので、後述の溶融工程で気泡がガラス内部に残りやすくなるおそれがある。また、破砕サイズが20mmより大きな場合は、後述の溶融工程で、バッチ原料と混ざりにくくなるおそれがある。特に、破砕のサイズを5?15mmとすることで、泡が残りにくく、バッチ原料と混ざりやすいというような利点がある。」と記載されていることから、本願発明1の破砕工程において、好ましく用いられる装置は二軸剪断方式の破砕機であり、破砕のサイズにおいては、微粉による泡が残りにくくバッチ原料と混ざりやすいサイズを選択したものといえる。
ア-3 さらに、ガラス材料として再利用されるガラスカレットの大きさとして、15mm以下のサイズが好ましいことは、本願の出願前に頒布された特開2007-125459号公報の段落【0041】や特開2001-73619号公報の段落【0034】及び段落【0054】にも記載されているように周知である。
ア-4 してみると、刊行物1発明と本願発明1はいずれも「二軸剪断方式の破砕機」を用いたものであり、しかも、刊行物1発明において数cm大のサイズの揃った破砕物が得ることは微粉末の発生を避けることを考慮したものであり、微粉末の発生比率を小さくしたいとの技術思想を有するものであるから、刊行物1発明において、破砕工程における無アルカリガラスのサイズを、カレットの大きさとして周知の範囲である所望の大きさとし、本願発明1で特定される数値範囲である5?15mmとすることは、当業者にとって適宜選択し得る事項である。

イ 相違点(B)について
イ-1 本願発明1において、破砕された無アルカリガラスと混合される原料を「SiO_(2)が20?60重量%、Na_(2)Oが40?80重量%、B_(2)O_(3)が0?10重量%となるように珪砂、ソーダ灰、ホウ砂を混合したものであるバッチ原料」とすることの意味は、本願明細書の段落【0010】に記載されているように、液晶パネルガラスに通常用いられている「無アルカリガラス」は、ソーダライムガラスに含まれているNa_(2)Oなどのアルカリ金属酸化物が含まれていないため、ソーダライムガラスと比べて、溶融温度が高く、粘度が大きいため加熱時の溶融加工性が悪化するという課題を有するから、本願明細書の段落【0028】に記載されているように、「バッチ原料」として「無アルカリガラスカレットとバッチ原料との混合による調合後の混合物中におけるNa_(2)Oが好ましくは10?25重量%」となるような組成のものを用いることが好ましいとするものである。
そして、本願明細書の段落【0032】に記載されるように、リサイクル後のガラス材料は「破砕、Na_(2)Oとの調合、溶融などを行い、ガラス材料としてリサイクルできる。得られるガラス材料は、ソーダライムガラスと同等の溶融温度をもつため、ソーダライムガラスを原料として使用する建築用窓ガラス、ガラス繊維、食器ガラスなどの汎用的な製品へ再生利用することが可能である」ものであり、本願の実施例では、実施例1で調合後の混合物中のNa_(2)Oは、19.5重量%、実施例2で混合物のNa_(2)Oは8重量%となっている。
してみると、本願発明1は、無アルカリガラスカレットとバッチ原料を調合することによりソーダライムガラスと同様の組成を有するガラス材料を得るものといえる。
イ-2 刊行物1発明は、「無アルカリガラスを一般ガラス用の材料として再使用」するものであり、刊行物1の記載事項(ウ)及び(エ)にガラス品種「S」として記載されたソーダガラスは、ガラス材料の分野において、最も一般的なガラスである。そして、ソーダガラス「S」の組成をみてみると、SiO_(2):70重量%、Na_(2)O+K_(2)O:14重量%、CaO:8?12重量%であり、CaOを含有することより、ソーダライムガラスであるといえる。
また、刊行物1発明におけるガラスの種類別に選別された「無アルカリガラス」は、刊行物1の記載事項(エ)の表1のガラス品種「A」?「E」で示されるような各組成を有しているものである。
してみると、刊行物1には、無アルカリガラスである「A」?「E」の組成を有するカレットを用いて、一般ガラス用のソーダライムガラス「S」の組成を有する材料として再使用することが開示されているとみるのが自然である。
イ-3 一方、刊行物2の記載事項(カ)、(ク)、(ケ)には、板ガラス、照明用ガラス、あるいはCRT用フェースガラスを粉砕したカレットに、B_(2)O_(3)の原料であるホウ酸やアルカリ金属酸化物のヴァージン原料であるソーダ灰を調合し、溶融することにより、所望の組成のガラスを得るガラスの再利用が記載されており、さらに、同記載事項(キ)にも記載されているように、ガラスの再利用において、一般的な従来の板ガラス、照明用ガラス、あるいはCRT用フェースガラスを粉砕し、所望の組成になるようヴァージン原料を加えて調合した後に溶融したものをガラス繊維として用いるように、使用済みのガラスを粉砕して得たガラスカレットをその元の使用用途とは異なる用途のガラス原料として再利用することは、当該技術分野において通常行われていることである。
イ-4 そして、ガラス原料として、ホウ素を供給するにあたり、ホウ酸と同様にホウ砂を用いることも、当該技術分野において本願の出願前より行われていることである。
イ-5 また、刊行物3の記載事項(サ)にも、カレットとバッチ原料である砂(ガラス分野においては「珪砂」と認められる。)やソーダ灰を配合して所望のガラス組成となるように混合し溶融することも記載されている。
イ-6 してみると、刊行物1発明の「無アルカリガラスを一般ガラス用の材料、すなわち、ソーダライムガラスとして再使用」するにあたり、ガラスの種類別に組成が明らかになっている無アルカリガラスのカレットに対して、珪砂やソーダ灰やホウ砂を必要量、例えば、SiO_(2)が20?60重量%、Na_(2)Oが40?80重量%、B_(2)O_(3)が0?10重量%となるように混合することは、当業者であれば容易に想到し得ることである。
イ-7 そして、無アルカリガラスのカレットと珪砂、ソーダ灰、ホウ砂の含有割合をソーダガラスが得られるように調合した場合には、溶融温度は原料の組成割合に依存するものであるから、ソーダガラスと同程度の溶融温度となるという本願発明1の奏する効果は、当業者の予測の範囲内である。

5.むすび
以上のとおり、本願発明1は、刊行物1?3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-12-17 
結審通知日 2012-12-18 
審決日 2012-12-28 
出願番号 特願2008-132604(P2008-132604)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (C03B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤代 佳  
特許庁審判長 木村 孔一
特許庁審判官 斉藤 信人
國方 恭子
発明の名称 無アルカリガラスのリサイクル方法  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  
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