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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1271386
審判番号 不服2011-20515  
総通号数 161 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-05-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-09-22 
確定日 2013-03-14 
事件の表示 特願2001-104328「表示制御装置および方法、記録媒体、並びにプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成14年10月11日出願公開、特開2002-297278〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成13年4月3日の出願であって、平成21年9月14日付けで拒絶理由を通知され、同年11月9日に意見書及び手続補正書が提出された。
平成22年6月14日付けで、最後の拒絶理由を通知され、同年8月11日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成23年6月21日付けで前記手続補正を却下するとともに、同日付けで拒絶査定がなされた。
これを不服として、同年9月22日に審判請求がなされるとともに、手続補正書の提出がなされたものである。

第2.補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成23年9月22日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正の内容

前記「第1.手続の経緯」において説明したとおり、平成22年8月11日付けの手続補正書の却下がなされたので、上記手続補正(以下、「本件補正」という。)は、
平成21年11月9日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された
「機能に対応するマークを複数並べて表示し、複数の前記マークのうち、ユーザにより選択された前記マークを拡大して表示し、選択が解除された場合、選択が解除された前記マークを縮小して表示するとともに、新たに選択された前記マークを拡大して表示するように前記マークの表示を制御する表示制御手段を備える
表示制御装置。」を、
「機能に対応するマークを一方向に複数並べて表示し、複数の前記マークのうち、ユーザにより選択された前記マークを前記一方向に拡大して表示することに応じて、ユーザにより選択されていない前記マークのうち、選択された前記マークの近くにある一部の前記マークの前記一方向における表示位置を変更するように前記マークの表示を制御する
表示制御手段を備える表示制御装置。」に補正することを含むものである。

2.補正の目的要件について
ア 上記補正は、補正前の請求項1に記載された「機能に対応するマークを複数並べて表示」及び「ユーザにより選択された前記マークを拡大して表示」を、
補正後の請求項1の記載では、「機能に対応するマークを一方向に複数並べて表示」及び「ユーザにより選択された前記マークを前記一方向に拡大して表示」と補正し、
イ 補正前の請求項1に記載された「選択が解除された場合、選択が解除された前記マークを縮小して表示するとともに、新たに選択された前記マークを拡大して表示するように前記マークの表示を制御する表示制御手段」を、
補正後の請求項1の記載では、「拡大して表示することに応じて、ユーザにより選択されていない前記マークのうち、選択された前記マークの近くにある一部の前記マークの前記一方向における表示位置を変更するように前記マークの表示を制御する表示制御手段」と補正するものである。

この補正の中、補正前の請求項1に記載された「選択が解除された場合、選択が解除された前記マークを縮小して表示するとともに、新たに選択された前記マークを拡大して表示するように前記マークの表示を制御する表示制御手段」を、補正後の請求項1では、「拡大して表示することに応じて、ユーザにより選択されていない前記マークのうち、選択された前記マークの近くにある一部の前記マークの前記一方向における表示位置を変更するように前記マークの表示を制御する表示制御手段」とする補正は、補正前の請求項1に記載されていた「選択が解除された場合」のマークの拡大、縮小表示に係る構成を削除し、新たに、補正前の請求項1には記載のなかった拡大表示時の選択されていないマークの表示位置に係る構成を付加するもので、特許請求の範囲の減縮に該当せず、また、請求項の削除、明りょうでない記載の釈明、誤記の訂正のいずれにも該当しない。
したがって、この補正は、特許法第17条の2第4項の各号に掲げるいずれの事項を目的とするものではない。

3.むすび
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明
「第1.手続の経緯」及び「第2.補正却下の決定」で説明乃至検討したとおり、平成22年8月11日付け手続補正及び平成23年9月22日付け手続補正を却下したので、本願発明は、平成21年11月9日付け手続補正書の特許請求の範囲に記載されたとおりのものであると認められるところ、その請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
〈本願発明〉
「機能に対応するマークを複数並べて表示し、複数の前記マークのうち、ユーザにより選択された前記マークを拡大して表示し、選択が解除された場合、選択が解除された前記マークを縮小して表示するとともに、新たに選択された前記マークを拡大して表示するように前記マークの表示を制御する表示制御手段を備える表示制御装置。」

第4.引用文献に記載された発明
原査定の拒絶の理由で引用した特開平10-27087号公報(平成10年1月27日出願公開。以下、「引用文献」という。)には図面とともに以下の事項が記載されている。

a.「【0015】更に、本発明は、テレビジョン信号を受信するチューナと、該チューナを所望のチャンネルに選局する選局部と、選局されたチャンネルのテレビジョン信号を表示する表示部と、電話回線を介して得るインターネット情報を受信するインターネット情報受信部と、そのインターネット情報受信部からの情報を映像信号に変換する変換手段を備えたインターネット受信機内蔵テレビジョン受像機において、インターネットの情報を受信して画面上に表示し、かつ、画面上の各制御機能を複数のボタンから構成されるツールバーを表示する画面表示手段を備え、その画面表示手段が、前記ツールバーの任意のボタンを選択した時、選択したボタンを拡大表示して、更に、選択したボタンの機能を働らかせる時、その拡大表示したボタンの表示形態を変えるようにしたことを特徴とするインターネット受信機内蔵テレビジョン受像機である。」(【0015】の記載。下線は当審で付与、以下同様。)

b.「【0022】次に、インターネット表示画面の画面表示とその画面操作について説明する。図2にその画面表示(以下ブラウザ画面という)を示す。図2において、10は電話回線が接続中か否かを示す表示部、11は電話回線の状態のコメント及びステータスバーを表示するコメント表示部(、12はアドレス表示部、13?24はツールバーで、13は前の画面に戻るボタン、14は次に進むボタン、15は情報を再読み込みするボタン、16は画像を再読み込みするボタン、17はURL(Uniform Resource Locator)を入力するボタン、18はURLを登録するボタン、19はストップするボタン、20は終了するボタン、21は画面下方向へスクロールするボタン、22は画面上方向へスクロールするボタン、23は画面左方向へスクロールするボタン、24は画面右方向へスクロールするボタン、25はカーソル、26は情報表示部である。
【0023】このような画面上体で、アドレスを指定すると、インターネットの情報が電話回線を通じて送られてきて、情報表示部26で表示される。
【0024】ここで、本発明の特徴であるツールバーの操作についての説明を図3の画面表示例と及び図6のフローチャートを参照しながら行う。まず、図6の動作をフローチャートに基づき動作を説明すると、インターネット受信モードになると、ブラウザ画面表示になる(S1)。この時のツールバーのボタンを選択する前の画面状態は図3Fである。そして、マウスなどの操作部(エアマウス又はリモコン)(図示しない)の操作によりカーソルをボタンへ移動すると(S2)、ボタンは拡大表示されると共にそのボタンの機能を表示する(S3)。例えば、13又は16のボタンにカーソルが移動したときは、図3Gに示すように画面下方向にボタンを拡大して表示し、更に、その機能を文字で表示する。
【0025】カーソルがボタンから移動した場合は、ボタンは元の形状に戻る(図3G)。」(【0022】?【0025の記載。なお、上記【0022】のコメント表示部の次の「(」は、誤記と認められる。)


b.図2、図3には、ツールバーのボタンは、横に一列に並んで配置されることが示されている。

してみると、引用文献には、以下の発明が記載されている。
〈引用文献に記載された発明〉
インターネット受信機内蔵テレビジョン受像機において、
インターネットの情報を受信して画面上に表示し、かつ、画面上の各制御機能を複数のボタンから構成されるツールバーを表示する画面表示手段を備え、その画面表示手段が、前記ツールバーの任意のボタンを選択した時、選択したボタンを拡大表示して、更に、選択したボタンの機能を働らかせる時、その拡大表示したボタンの表示形態を変えるようにしたものであって、
そのインターネットの情報の表示画面には、電話回線が接続中か否かを示す表示部、電話回線の状態のコメント及びステータスバーを表示するコメント表示部、アドレス表示部、ツールバー、カーソル、情報表示部が表示され、
ツールバーのボタンは、横に一列に並んで配置され、
横に一列に並んで配置されツールバーのボタンを選択するためにカーソルをボタンへ移動すると(S2)、選択されたボタンは拡大表示されると共にそのボタンの機能を表示し(S3)、例えば、ボタンにカーソルが移動したときは、画面下方向にボタンを拡大して表示し、更に、その機能を文字で表示するようにし、
カーソルが選択されたボタンから移動した場合は、ボタンは元の形状に戻るものである、
インターネット受信機内蔵テレビジョン受像機。

第5.対比・判断
本願発明と引用文献に記載された発明とを対比する。
ア 引用文献に記載された発明の「ボタン」は、「画面上の各制御機能」に対応するものであるから、本願発明の「マーク」に相当する。
イ そして、引用文献に記載された発明の、画面に表示された「ツールバー」には、「ボタン」が、「横に一列に並んで配置され」ており、本願発明の「機能に対応するマークを複数並べて表示」することに相当する。
ウ 引用文献に記載された発明の「横に一列に並んで配置されツールバーのボタンを選択するためにカーソルをボタンへ移動すると(S2)、選択されたボタンは拡大表示される」ことは、本願発明の「複数の前記マークのうち、ユーザにより選択された前記マークを拡大して表示」することに相当する。
エ 引用文献に記載された発明の「カーソルが選択されたボタンから移動した場合は、ボタンは元の形状に戻る」ことは、拡大表示された形状から、元の形状に戻ることから、本願発明の「選択が解除された場合、選択が解除された前記マークを縮小して表示する」ことに相当する。
オ 引用文献記載の発明においても、選択されている「ボタン」が解除され、新たな「ボタン」が選択された場合には、新たに選択された「ボタン」を拡大して表示するようにしていることは、明記はないものの、図6に記載されたフロー(S4 の「カーソル移動?」の分岐「YES」の先が「S1 ブラウザ画面表示」に戻り、以下、「S2 ボタンにカーソルが移動」、「S3 ボタンを拡大表示」を実行するフロー)から見て、明らかである。
カ 引用文献に記載された発明の「画面表示手段」は、「インターネットの情報を受信して画面上に表示し、かつ、画面上の各制御機能を複数のボタンから構成されるツールバーを表示」し、「前記ツールバーの任意のボタンを選択した時、選択したボタンを拡大表示して、更に、選択したボタンの機能を働らかせる時、その拡大表示したボタンの表示形態を変える」ものであることから、本願発明の「マークの表示を制御する表示制御手段」に相当する。

したがって、本願発明の備える構成は、すべて、引用文献に記載された発明も備える構成であって、両者の間に差異はなく、本願発明は、引用文献に記載された発明である。

なお、仮に、引用文献に記載された発明と本願発明とに構成上の相違点が存在するとしても、その相違点は、周知技術に基づいて当業者が容易に推考し得たことであり、かつ、本願発明が奏する効果も、引用文献に記載された発明及び周知技術から当業者が予測できたものである。したがって、仮に、引用文献に記載された発明と本願発明とに構成上の差異が存在するとしても、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6.むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当するから、又は同条第2項の規定により、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-01-11 
結審通知日 2013-01-15 
審決日 2013-01-29 
出願番号 特願2001-104328(P2001-104328)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (G06F)
P 1 8・ 57- Z (G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 秀樹  
特許庁審判長 水野 恵雄
特許庁審判官 衣川 裕史
稲葉 和生
発明の名称 表示制御装置および方法、記録媒体、並びにプログラム  
代理人 稲本 義雄  

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