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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G02B
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 G02B
管理番号 1271409
審判番号 不服2012-8803  
総通号数 161 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-05-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-05-14 
確定日 2013-03-14 
事件の表示 特願2007-183858「レンズ鏡筒及びカメラ」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 1月29日出願公開、特開2009- 20369〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成19年(2007年)7月13日に出願された特願2007-183858号であって、平成23年10月12日付けで手続補正がなされ、平成24年2月2日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年5月14日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。
その後、当審において平成24年10月4日付けで、前置報告書の内容について請求人に事前に意見を求める審尋をなし、同年12月7日付けで回答書が提出された。

第2 平成24年5月14日付けの手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成24年5月14日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、平成23年10月12日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載の、

「突起部を有する第1の部材と、前記突起部が係合する係合部が所定範囲に亘って設けられた第2の部材と、を備えるレンズ鏡筒であって、
前記係合部は、前記第2の部材を貫通する貫通部と、前記所定範囲の一部に設けられた非貫通部と、を有し、
前記所定範囲の長手方向に沿った前記非貫通部の長さは、前記所定範囲の長手方向に沿った前記貫通部の長さより小さいこと
を特徴とするレンズ鏡筒。」から

「突起部を有する第1の部材と、前記突起部が係合する溝を有する係合部が所定範囲に亘って設けられた第2の部材と、を備えるレンズ鏡筒であって、
前記係合部は、前記第2の部材を貫通する貫通部と、前記所定範囲の一部に設けられた非貫通部と、を有し、
前記所定範囲の長手方向に沿った前記非貫通部の長さは、前記所定範囲の長手方向に沿った前記貫通部の長さより小さく、
前記貫通部における前記溝の深さと、前記非貫通部における前記溝の深さとが等しいこと
を特徴とするレンズ鏡筒。」に補正された。(下線は補正箇所を示す。)

そして、この補正は、「突起部が係合する溝」の「深さ」について、「貫通部における溝の深さと、非貫通部における溝の深さとが等しい」ことを限定する補正事項からなり、特許請求の範囲のいわゆる限定的減縮を目的とする補正であるといえる。
すなわち、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる事項を目的とするものである。

2 独立特許要件違反についての検討
そこで、次に、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものか(本件補正における請求項1に係る発明の補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反しないか)について検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明は、平成24年5月14日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定されるものである。(上記の「1 本件補正について」の記載参照。)

(2)引用例
ア 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である実願昭63-83593号(実開平2-5713号)のマイクロフィルム(以下「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。(なお、下記「イ 引用例1に記載された発明の認定」において直接引用した記載に下線を付した。)

「「技術分野」
本考案は、ズームレンズ鏡筒に関し、特に収納長を著しく短縮できるズームレンズ鏡筒に関する。」(明細書第2ページ第9?12行)

「「考案の実施例」
以下図示実施例について本考案を説明する。図示実施例は、本考案のズームレンズ鏡筒をマクロ撮影機能を有するズームレンズに適用したもので、第1図ないし第3図はそれぞれ収納位置、ワイド端位置、テレ端位置を示している。これらの3図から、本考案のズームレンズ鏡筒の収納長が短いことが一目瞭然である。
レンズシャッタ式カメラのカメラボディ11には、固定筒12が固定されている。13、14は、カメラボディ11に形成した、フィルムガイドとしての外レールと内レールで、本考案によれば前後二群の移動レンズ15、16をこの外レール13と内レール14に極めて接近した状態まで後退させて収納でき、しかもカム環等の環状部材も短く収納長が短い。
固定筒12には、外側ヘリコイド(内周ヘリコイド)18が固定ねじ19を介して固定されている。この外側ヘリコイド18には、内側ヘリコイド(外周ヘリコイド)20が螺合しており、この内側ヘリコイド20に固定ねじ21(第4図参照)を介してカム環22が固定されている。内側ヘリコイド20には、第4図に示すように、ヘリコイド山20aの傾斜と同一の角度で傾斜するギヤ20bが形成されており、このギヤ20bに噛み合うピニオンおよびこれを回転駆動するモータ(共に図示せず)を介してカム環22が正逆に回転駆動される。したがって、このカム環22は、回転駆動されると、ヘリコイド山20aのリードに従って光軸方向に移動する。
このカム環22の内周には、レンズ案内環24が嵌っている。このレンズ案内環24は、その後端部に固定ねじ25によって直進案内板26を固定しており、この直進案内板26は、その外周一部を、固定筒12の内面に形成したレンズ案内環ガイド溝27に係合させている。このレンズ案内環ガイド溝27は、この実施例では光軸方向の直線溝である。そしてこの直進案内板26とレンズ案内環24の後端との間に形成した環状溝28に、カム環22の後端部に形成した内方フランジ29が相対回動自在に嵌っている。よってレンズ案内環24は、レンズ案内環ガイド溝27によって回転は規制されているが、光軸方向には常にカム環22と一体に移動し、かつカム環22はこのレンズ案内溝24に対して回転できる。
前後二群の移動レンズ15、16は、レンズ案内環24の内側に位置する前群レンズ枠30、後群レンズ枠31にそれぞれ固定されている。前群レンズ枠30はシャッタブロック32に固定されたヘリコイドリング33にヘリコイド結合している。シャッタブロック32は、前群移動枠34に固定されており、この前群移動枠34の外周部に少なくとも3本のガイドピン35が設けられている。後群レンズ枠31にはその外周に同じく少なくとも3本のガイドピン36が設けられている。なおガイドピン35と36は、第1図と第3図では図示の便宜上重ねて描いている。」(明細書第5ページ第10行?第8ページ第6行)

「カム環22には、ガイドピン35と36を挿通させる前群カム溝41と後群カム溝42がそれぞれ穿設され、レンズ案内環24には、これらの各前群カム溝41と後群カム溝42に対応させて、それぞれレンズガイド溝43と44が穿設されている。この実施例では、レンズガイド溝43と44は共に光軸方向の直線溝である。ガイドピン35は、前群カム溝41とレンズガイド溝43に渡らせて挿通され、ガイドピン36は後群カム溝42とレンズガイド溝44に渡らせて挿通されている。」(明細書第8ページ下から第3行?第9ページ第8行)









イ 引用例1に記載された発明の認定
第1図ないし第4図から、カム環22のカム溝41,42は、カム環22を貫通した部分と内側ヘリコイド20によって外周側から覆われている部分があることが見て取れ、第1図ないし第3図から、カム環22を貫通した部分と内側ヘリコイド20によって外周側から覆われている部分とで、溝の深さが同じであることが認められ、また、第4図から、右から2番目の溝42においては、内側ヘリコイド20によって外周側から覆われている部分の長さがカム環22を貫通した部分の長さより短いことは明らかである。
よって、上記記載(図面の記載も含む)を総合すれば、引用例1には、
「後群レンズ枠31にはその外周にガイドピン36が設けられており、
内側ヘリコイド20に固定ねじ21を介してカム環22が固定されており、
カム環22には、ガイドピン36を挿通させる後群カム溝42が穿設され、
カム環22のカム溝42には、カム環22を貫通した部分と内側ヘリコイド20によって外周側から覆われている部分とがあり、
カム環22を貫通した部分と内側ヘリコイド20によって外周側から覆われている部分とで、溝の深さが同じであり、
内側ヘリコイド20によって外周側から覆われている部分の長さがカム環22を貫通した部分の長さより短いズームレンズ鏡筒。」の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

(3)対比及び当審の判断
ア 本願補正発明と引用発明との対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。

引用発明の「ガイドピン36」が、本願補正発明の「突起部」に相当し、引用発明の「その外周に」「ガイドピン36」が設けられた「後群レンズ枠31」が、本願補正発明の「突起部を有する第1の部材」に相当する。

引用発明の「ガイドピン36を挿通させる後群カム溝42」が、本願補正発明の「前記突起部が係合する溝」に相当し、引用発明の「ガイドピン36を挿通させる後群カム溝42が穿設され」た「カム環22」が、本願補正発明の「前記突起部が係合する溝を有する係合部が所定範囲に亘って設けられた第2の部材」に相当する。

引用発明の「ズームレンズ鏡筒」が、本願補正発明の「レンズ鏡筒」に相当する。

引用発明の「カム環22のカム溝42」における「カム環22を貫通した部分」及び「内側ヘリコイド20によって外周側から覆われている部分」が、それぞれ、本願補正発明の「前記係合部」における「前記第2の部材を貫通する貫通部」及び「前記所定範囲の一部に設けられた非貫通部」に相当する。

引用発明の「内側ヘリコイド20によって外周側から覆われている部分の長さがカム環22を貫通した部分の長さより短い」ことが、本願補正発明の「前記所定範囲の長手方向に沿った前記非貫通部の長さは、前記所定範囲の長手方向に沿った前記貫通部の長さより小さ」いことに相当する。

引用発明の「カム環22を貫通した部分と内側ヘリコイド20によって外周側から覆われている部分とで、溝の深さが同じであ」ることが、本願補正発明の「前記貫通部における前記溝の深さと、前記非貫通部における前記溝の深さとが等しい」ことに相当する。

イ 一致点及び相違点
よって、本願補正発明と引用発明は、
「突起部を有する第1の部材と、前記突起部が係合する溝を有する係合部が所定範囲に亘って設けられた第2の部材と、を備えるレンズ鏡筒であって、
前記係合部は、前記第2の部材を貫通する貫通部と、前記所定範囲の一部に設けられた非貫通部と、を有し、
前記所定範囲の長手方向に沿った前記非貫通部の長さは、前記所定範囲の長手方向に沿った前記貫通部の長さより小さく、
前記貫通部における前記溝の深さと、前記非貫通部における前記溝の深さとが等しいレンズ鏡筒。」の発明である点で一致し、両者に、格別、相違するところが存在しない。

ウ 当審の判断
よって、本願補正発明は実質的に引用発明であるということができるから、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し、特許を受けることができない。

3 むすび
したがって、本願補正発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるということができないから、本件補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成24年5月14日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成23年10月12日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。(上記「第2 平成24年5月14日付けの手続補正についての補正の却下の決定」の「1 本件補正について」の記載参照。)

2 引用例
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平2-285310号公報(以下「引用例2」という。)には、次の事項が記載されている。(なお、下記「(2)引用例2に記載された発明の認定」において直接引用した記載に下線を付した。)

「「技術分野」
本発明は、レンズ鏡筒に用いられるカム環の製造方法に関する。」(第2ページ左上欄第11?13行)

「次に第3図について、第1図に示したカム環1を利用したレンズ鏡筒の例を説明する。カム環lは、前固定板2と後固定板3との間に回転自在に支持されている。前固定板2と後固定板3の間は、光軸と平行な方向のガイドロッド4によって接続されており、このガイドロッド4に、前群レンズ(枠)5と後群レンズ(枠)6が移動自在に支持されている。
カム環1のインナカム溝1aとlbには、前群レンズ5のガイドピン5aと後群レンズ6のガイドピン6aがそれぞれ嵌まっている。またギヤlcには、ピニオン7が噛み合っている。ピニオン7は、ズーム制御回路8を介して駆動されるモータ9によって回転駆動される。従って、モータ9が回転駆動されると、カム環1が回転し、インナカム溝1aとlbのカムプロフィルに従って、前群レンズ5と後群レンズ6が光軸方向に移動し、ズーミングがなされる。
次に第4図は、外面に、ギヤ22aとヘリコイド22bを有し、内面に、一部がインナカム溝22c、22dで、一部が貫通カム溝22c’22d’であるカム溝を有するカム環22の例を示している。このカム溝は、ヘリコイド22aとギヤ22bの形成部分を、外面の閉塞されたインナカム溝22c、22dとし、ヘリコイド22aおよびギヤ22bを形成しない位置において、貫通カム溝22c’、22d’としたもので、全体として非線形をしている。このカム環22も、基本的に、第1図または第2図で説明したのと同一の製造工程で製造することができる。」(第3ページ左下欄第14行?第4ページ左上欄第3行)

「第5図ないし第7図は、このカム環22を用いたズームレンズ鏡筒を示している。」(第4ページ左上欄第4?5行)

「前後二群の移動レンズ15、16は、レンズ案内環24の内側に位置する前群レンズ枠30、後群レンズ枠31にそれぞれ固定されている。前群レンズ枠30はシャッタブロック32に固定されたへりコイドリンク33にヘリコイド結合している。シャッタブロック32は、前群移動枠34に固定されており、この前群移動枠34の外周部に複数のガイドピン35が設けられている。後群レンズ枠31にはその外周に同じく複数のガイドピン36が設けられている。なおガイドピン35と36は、第5図と第7図では図示の便宜上重ねて描いている。」(第4ページ左下欄第5?16行)

「カム環22のカム溝の一部を、ヘリコイド22aおよびギヤ22bを形成しない位置において、貫通カム溝22c’、22d’としたのは、ガイドピン35、36を挿入するためである。
レンズ案内環24には、これらの各前群カム溝22cと後群カム溝22dに対応させて、それぞれレンズ直進ガイド溝43と44が穿設されている。ガイドピン35は、レンズ直進ガイド溝43から前群カム溝22cに渡らせて挿通され、ガイドピン36はレンズ直進ガイド溝44から後群カム溝22dに渡らせて挿通されている。」(第4ページ右下欄第8?18行)








(2)引用例2に記載された発明の認定
上記記載(図面の記載も含む)を総合すれば、引用例2には、
「内面に、一部がインナカム溝22cで、一部が貫通カム溝22c’であるカム溝を有するカム環22を用いたズームレンズ鏡筒であって、
移動レンズ15の前群移動枠34の外周部に複数のガイドピン35が設けられ、
カム環22のカム溝にガイドピン35が挿入されているズームレンズ鏡筒。」の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されている。


3 対比・判断
(1)対比

引用発明2の「ガイドピン35」が、本願発明の「突起部」に相当し、引用発明2の「外周部に複数のガイドピン35が設けられ」た「移動レンズ15の前群移動枠34」が、本願発明の「突起部を有する第1の部材」に相当する。

引用発明2の「ガイドピン35が挿入されている」「カム溝」が、本願発明の「前記突起部が係合する係合部」に相当し、引用発明2の「(ガイドピン35が挿入されている)カム溝を有するカム環22」が、本願発明の「前記突起部が係合する係合部が所定範囲に亘って設けられた第2の部材」に相当する。

引用発明2の「ズームレンズ鏡筒」が、本願発明の「レンズ鏡筒」に相当する。

引用発明2の「カム溝」において「一部がインナカム溝22cで、一部が貫通カム溝22c’である」ことが、本願発明の「前記係合部は、前記第2の部材を貫通する貫通部と、前記所定範囲の一部に設けられた非貫通部と、を有」することに相当する。

(2)一致点
よって、本願発明と引用発明2は、
「突起部を有する第1の部材と、前記突起部が係合する係合部が所定範囲に亘って設けられた第2の部材と、を備えるレンズ鏡筒であって、
前記係合部は、前記第2の部材を貫通する貫通部と、前記所定範囲の一部に設けられた非貫通部と、を有するレンズ鏡筒。」の発明である点で一致し、次の点で相違する。

(3)相違点
係合部における貫通部と非貫通部の所定範囲の長手方向に沿った長さについて、本願発明においては「非貫通部の長さ」が「貫通部の長さ」より小さいのに対して、引用発明2においては、「インナカム溝22c」と「貫通カム溝22c’」の長さの関係について、そのような特定がない点。

(4)当審の判断
ア 上記相違点について検討する
引用例2において、カム溝の一部をヘリコイド22aおよびギヤ22bで覆わずに貫通カム溝を形成するのは、ガイドピンの挿入部を形成するためである旨が記載されている(第4ページ右下欄第8?11行)が、当該「カム溝のヘリコイド22aおよびギヤ22bで覆われていな部分」の更にその一部を他の部材によって覆うか覆わないかは、当業者が必要に応じて適宜設定し得る事項である。
そして、例えば、引用例1の第4図には、内側ヘリコイド(引用例2の「ヘリコイド22aおよびギヤ22b」に相当)が設けられていない部分をすべて、何らの部材でも覆わずに貫通溝とするものが記載されており、上記引用例2に記載されたカム溝においても、上記引用例1の第4図の記載を参酌して、ヘリコイド22aおよびギヤ22bで覆われていな部分を全て貫通溝とすることは当業者が容易に想到し得ることである。そして、その場合、引用例2の第4図の記載から、ヘリコイド22aおよびギヤ22bで覆われていない部分が、ヘリコイド22aおよびギヤ22bで覆われた部分よりも短くなるような溝も形成されることは明らかである。
すなわち、引用発明2において、「インナカム溝22c」と「貫通カム溝22c’」の長さの関係をどのように設定するかは,当業者が適宜設定し得る事項であるところ、引用例1の第4図の記載を参酌して、「インナカム溝22c」の長さが「貫通カム溝22c’」の長さより小さい構成として、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項を得ることは当業者が容易になし得たことである。

イ 本願発明の奏する効果
そして、本願発明によってもたらされる効果は、引用発明2及び引用例1に記載された事項から当業者が予測し得る程度のものである。

ウ まとめ
以上のとおり、本願発明は、引用発明2及び引用例1に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明2及び引用例1に記載された事項に基いて当業者が容易に想到し得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-01-11 
結審通知日 2013-01-15 
審決日 2013-01-28 
出願番号 特願2007-183858(P2007-183858)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G02B)
P 1 8・ 113- Z (G02B)
P 1 8・ 121- Z (G02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 齋藤 卓司  
特許庁審判長 森林 克郎
特許庁審判官 北川 清伸
伊藤 昌哉
発明の名称 レンズ鏡筒及びカメラ  
代理人 鎌田 久男  

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