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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F04B
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 F04B
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 F04B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F04B
管理番号 1271568
審判番号 不服2011-14850  
総通号数 161 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-05-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-07-11 
確定日 2013-03-13 
事件の表示 特願2001-146073「オイルポンプ及び潤滑装置」拒絶査定不服審判事件〔平成14年11月27日出願公開、特開2002-339874〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成13年5月16日の特許出願であって、平成23年3月31日付けで拒絶査定がなされ、同年7月11日に拒絶査定不服審判の請求がなされると共に、同日付けで手続補正がなされたものである。そして、当審における平成23年11月24日付の審尋に対し、平成24年1月24日付で回答書が提出されたものである。

2.平成23年7月11日付けの手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理 由]
(1)補正後の本願の発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「潤滑油を吸入する吸入口と、吸入した潤滑油を圧縮して吐出する吐出口とを備えたオイルポンプであって、
前記吐出口から潤滑油を吐出する以前に、前記吸入口から吸入されて圧縮された状態にある空気混入の潤滑油を排出する空気混入潤滑油排出口を設けた、
ことを特徴とするオイルポンプ。」と補正された。

本件補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「吸入口から吸入された潤滑油に混入した空気を排出するための空気排出口」について「吸入口から吸入されて圧縮された状態にある空気混入の潤滑油を排出する空気混入潤滑油排出口」と限定するものであって、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の前記請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、単に「改正前の特許法」という。)第17条の2第5項の規定において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか否か)について以下に検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平9-203308号公報(以下、「引用例」という。)には、図面と共に以下の事項が記載されている。

・「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内燃機関、例えば、自動二輪車、自動車、小型滑走艇等に搭載される4サイクルエンジンの潤滑オイル用ポンプに最適なオイルポンプに関する。」

・「【0009】本発明は、このような状況に鑑みおこなわれたもので、第1の目的は吸入口から空気を吸い込むようなことがあっても、可及的速やかに空気が出てゆくようなオイルポンプを提供することであり、第2の目的は、エンジンの各構成との配置(レイアウト)上、上述の如くオイルポンプの駆動軸を逆回転させて使用せざるを得ない場合にも、オイルポンプが所望の作動状態で使用することができるような構成のオイルポンプを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述した第1の課題を解決するために、本願発明のうち請求項1記載の発明にかかるオイルポンプは、トロコイドポンプの加圧室となる部位であって吸入側と吐出側の各ポートが隠れた位置で、且つ最も吐出側のポートに近い位置に、ポンプ外側に連通する空気抜き穴を形成したことを特徴とする。
【0011】しかして、このように構成されたオイルポンプによれば、オイルポンプの吸入口が空気中に露出しオイルポンプ内に空気を吸い込んだ場合にも、加圧過程中に空気抜き穴から空気を速やかに排出することができ、しかも、空気を吸い込まない場合にも、極く僅かの圧油がクランク室へリークするだけであるため、オイルポンプの性能に支障が生じる程に低下させることはない。換言すれば、この空気抜き穴は、オイルポンプの吐出量に対してオイルポンプ機能を失わない又エンジンの不調を起こさない程度のものとなっている。」

・「【0018】
【実施例】以下、本願発明の実施例にかかるオイルポンプについて図面を参照しながらより具体的に説明する。
【0019】図1はオイルポンプの内部の構成を示す断面図で、(a)は(b)のI-I矢視断面図、(b)は(a)のII-II 矢視断面図、図2は図1のオイルポンプの内部の構成を示す別の断面での断面図で、(a)は(b)のIII -III 矢視断面図、(b)は(a)のIV-IV 矢視断面図、図3は二つに分割されたブロックの間に介装されるプレート部材の構成を示す図、図4,図5はオイルポンプから吐出されるオイルの流れを示すエンジン下部を断面した図である。
【0020】図1,図2において、Pはオイルポンプで、このオイルポンプPは、ケーシング1と、該ケーシング1を二つ割りにした間に介装されているプレート部材10とを有する。
【0021】そして、上記ケーシング1は、トロコイドポンプ機構のインナローターGの回転軸に直角な方向に二つ割りになったブロック1A,1Bから構成されている。
【0022】二つ割りになった一方のブロック1Aには、ローターハウジング部分2と、トロコイドポンプ機構の吐出側のポート3から吐出口4へ加圧したオイルを導く吐出流路5の連接部5Aが凹設されている。
【0023】上記ローターハウジング部分2内に回転自在に収容されるトロコイドポンプ機構は周知の機構で、外周が円筒状で内部(内周)が内歯歯車状(星型状)になったアウタローター6と、上記内歯歯車状になったアウタローター6に収容されそこで回動自在になったインナローターGと、回転軸7を有する。
【0024】そして、上記回転軸7を回転自在に支持する支持孔2aが上記ローターハウジング部分2に設けられ、この支持孔2aが、同芯状の上記ローターハウジング部分2およびアウタローター6の中心軸から偏芯して設けられることによって、上記回転軸7が回転すると、インナローターGが、上記アウタローター6の内歯歯車状になっている内周部分と摺接しつつ回転する結果、アウタローター6が回転軸7の回りを回転して、アウタローター6の内歯歯車状になっている内周部分とインナローターGの外周部分との間の空間Sがトロコイドポンプ機構の吸入側のポート9から吐出側のポート3に移動する途中において吸入側のポート9と連通した状態から密閉状態を経て吐出側のポート3と連通した状態に変化して、吸入側のポートから吸い込んだオイルを吐出側のポート3に加圧状態で吐出するよう構成されている。
【0025】そして、このオイルポンプでは、トロコイドポンプの加圧室となる部位、つまり、アウタローター6の内歯歯車状になっている内周部分とインナローターGの外周部分との間の空間Sで且つ両側がケーシングの各ブロック1A,1Bで閉塞された密閉空間であって、吸入側と吐出側の各ポート3,9が隠れた位置で且つ最も吐出側のポート3に近い位置に、ポンプ外側に連通する空気抜き穴8が形成されている。この空気抜き穴8は、ポンプ機能、加工条件、オイルの粘度を加味した場合には、0.5mm?1.5mm程度の穴が好ましい。しかし、0.3?2mm程度の範囲であれば、本願発明の基本的作用効果を奏する。」

・「【0031】即ち、車両の通常の走行状態あるいは停止状態では、エンジンのオイルパン17には、ほぼ水平状態あるいはそれに近い状態でオイルが溜まっているため、上記フィルター18及び連通路19を介して、上記吸入口11から吸い込み、オイルポンプP内の吸入流路12を通って、吸入側のポート9からトロコイドポンプ機構に供給され、ここで加圧されて、吐出側のポート3から吐出され、吐出流路5を通って、上記供給口16から潤滑系統の流路へ加圧したオイルが供給される。この際、上記空気抜き穴8から極く一部のオイルがオイルポンプP外にリークする。
【0032】また、車両が大きな負の加速度が生じるような挙動、例えばブレーキング時、オイルパン17内のオイルが慣性力によって前方(図1(a)の矢印Fの方向参照)に移動するが、かかる場合にも、このオイルポンプPでは、吸入口11が前方に位置しているため、該吸入口11が可及的に空気に露呈することなくそこからオイルを円滑に吸入することが可能となる。
【0033】また、仮に、この際、吸入口11から空気を吸い込んでも、トロコイドポンプ機構の上述した位置に空気抜き穴8が形成されているため、オイルがトロコイドポンプ機構で加圧される際に、該空気抜き穴8から空気を速やかに排出することができる。
【0034】ところで、上記空気抜き穴は、他の形式、例えば図6,7に図示するような形式のオイルポンプにも適用することができ、流入した空気をトロコイドポンプ機構から速やかに排除することができることは言うまでもない。
【0035】そして、空気抜き穴の穴径は、上述の穴径であることが好ましいが、潤滑のためのオイル供給量およびオイル圧力に支承を来さない範囲であれば、それ以上に大きくてもよく、また空気の排出時間が多少長くなってもよければより小さい径にしてもよい。」

・「【0037】
【発明の効果】しかして、本願請求項1,2記載の発明にかかるオイルポンプによれば、吸入口から空気を吸い込むようなことがあっても、可及的速やかに空気を排出することができるため、空気を吸い込みことによってその後のオイルの潤滑に影響を与えることはない。」

・図1には、トロコイドポンプ型のオイルポンプPが示されている。

これらの記載事項及び図示内容を総合すると、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「オイルを吸入する吸入側のポート9と、吸入したオイルを加圧して吐出する吐出側のポート3とを備えたトロコイドポンプ型のオイルポンプPであって、
加圧過程中に、前記吸入側のポート9から吸入されて加圧された極く僅かの圧油及び吸い込まれた空気を排出する空気抜き穴8を最も吐出側のポート3に近い位置に形成した、
トロコイドポンプ型のオイルポンプP。」

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用発明とを対比する。

(ア)後者の「オイル」が前者の「潤滑油」に相当し、以下同様に、
「吸入側のポート9」が「吸入口」に、
「加圧」が「圧縮」に、
「吐出側のポート3」が「吐出口」に、
「トロコイドポンプ型のオイルポンプP」が「オイルポンプ」に、それぞれ相当する。

(イ)一般的に、トロコイドポンプにおける加圧行程は吐出行程に先んじて行われるところから、後者の「加圧過程中」と前者の「吐出口から潤滑油を吐出する以前」とは、「加圧工程中」との概念で共通するといえることから、
後者の「吸入側のポート9から吸入されて加圧された極く僅かの圧油及び吸い込まれた空気」が前者の「吸入口から吸入されて圧縮された状態にある空気混入の潤滑油」に相当し、同様に、
「空気抜き穴8を最も吐出側のポート3に近い位置に形成した」態様が「空気混入潤滑油排出口を設けた」態様に、相当し、
後者の「加圧過程中に、吸入側のポート9から吸入されて加圧された極く僅かの圧油及び吸い込まれた空気を排出する空気抜き穴8を最も吐出側のポート3に近い位置に形成した」態様と
前者の「吐出口から潤滑油を吐出する以前に、吸入口から吸入されて圧縮された状態にある空気混入の潤滑油を排出する空気混入潤滑油排出口を設けた」態様とは、
「加圧工程中に、吸入口から吸入されて圧縮された状態にある空気混入の潤滑油を排出する空気混入潤滑油排出口を設けた」との概念で共通する。

したがって、両者は、
「潤滑油を吸入する吸入口と、吸入した潤滑油を圧縮して吐出する吐出口とを備えたオイルポンプであって、
加圧工程中に、前記吸入口から吸入されて圧縮された状態にある空気混入の潤滑油を排出する空気混入潤滑油排出口を設けた、
オイルポンプ。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点]
空気混入の潤滑油を排出する時期に関し、本願補正発明では、「吐出口から潤滑油を吐出する以前」であるのに対し、引用発明では加圧過程中であるが、「吐出口から潤滑油を吐出する以前」であるとは特定されていない点。

(4)判断
上記[相違点]について以下検討する。
(ア)本願補正発明において、吐出口から潤滑油を吐出する以前に、吸入口から吸入されて圧縮された状態にある空気混入の潤滑油を排出する空気混入潤滑油排出口を設けたことによる技術的な意義を検討する。

(イ)最初に、「吐出口から潤滑油を吐出する以前」とはどのような状態であるのかは出願当初の明細書には定義されていないが、請求人は、上記回答書(3?5頁参照)において、本願補正発明は、圧縮された状態にある空気混入の潤滑油を排出する「排出行程」が、「圧縮行程と吐出行程との間」に行われる「直列的に独立した行程」である旨主張し、平成24年4月12日付けの請求人のファックスの第2頁第25行から同第3ページ第2行において、「吐出時と同時に(吐出工程中に)空気混合の潤滑油を排出するものでないことが、明確に記載されております。」と主張している。
しかしながら、「吐出口から潤滑油を吐出する以前」との記載は、「吐出口から潤滑油を吐出する」期間である「吐出行程」の以前であることを特定するものであり、「圧縮行程」を含むものといえる。ここで、請求人が主張する、「圧縮行程と吐出行程との間」がどのようなものであるのかは判然とはしないが、圧縮行程の途中で空気混入潤滑油排出口が開口すると、油と空気が排出されている行程となることを意味すると解される。してみると、吐出口から潤滑油を吐出する以前に、・・・排出するとは、「圧縮行程」において空気混入潤滑油排出口から排出が行われること意味するものと解される。さらに、「吐出行程」において排出を行うか否かは特定されていないといわざるを得ない。
してみると、「吐出口から潤滑油を吐出する以前」とは、圧縮行程を意味するものと解されることから、上記の相違点は実質的な相違点とはいえない。

(ウ)そして、上記の「イ」の検討を踏まえながら、出願当初の明細書の【0036】の「本発明のオイルポンプによれば、吐出口から潤滑油を吐出する以前に、吸入口から吸入された潤滑油に混入した空気を排出するための空気排出口を設けたことにより、特にドライサンプ式のエンジン等において、外付けのオイルタンク等を採用しなくても、潤滑油に混入した空気を分離して空気排出口から排出させることができる。これにより、混入空気量の極めて少ない潤滑油を種々の潤滑領域に圧送できると共に、外付けオイルタンク及び配管、さらにはオイル落ち防止のチェックバルブ等を削除することができるため、装置の簡略化、低コスト化等を行なうことができる。」なる記載を検討すると、吐出口から潤滑油を吐出する以前に、吸入口から吸入されて圧縮された状態にある空気混入の潤滑油を排出する空気混入潤滑油排出口を設けたことによる技術的な意義は、空気混入潤滑油排出口を設けたことにより、外付けのオイルタンク等を採用しなくても、潤滑油に混入した空気を分離して空気排出口から排出させる点にあるものと解される。

(エ)一方、「加圧過程中に、前記吸入側のポート9から吸入されて加圧された極く僅かの圧油及び吸い込まれた空気を排出する空気抜き穴8を最も吐出側のポート3に近い位置に形成した」ものである引用発明も、外付けのオイルタンク等を採用しなくても、潤滑油に混入した空気を分離して空気排出口から排出させることができることは明らかである。

(オ)してみると、上記のように、請求人の上記主張は本願補正発明の発明特定事項に基づかないものとして採用できないことから、上記の相違点は、実質的な相違点とはいえない。
そうすると、本願補正発明は、引用例に記載された発明であるから特許法第29条第1項第3号に該当し特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(カ)仮に、請求人が主張するように、「吐出時と同時に(吐出工程中に)空気混合の潤滑油を排出するものでないことが、明確に記載されて」いるとしても、引用例の【0011】における「しかして、このように構成されたオイルポンプによれば、オイルポンプの吸入口が空気中に露出しオイルポンプ内に空気を吸い込んだ場合にも、加圧過程中に空気抜き穴から空気を速やかに排出することができ、しかも、空気を吸い込まない場合にも、極く僅かの圧油がクランク室へリークするだけであるため、オイルポンプの性能に支障が生じる程に低下させることはない。換言すれば、この空気抜き穴は、オイルポンプの吐出量に対してオイルポンプ機能を失わない又エンジンの不調を起こさない程度のものとなっている。」の「加圧過程中に空気抜き穴から空気を速やかに排出することができ」との記載、及び、「極く僅かの圧油がクランク室へリークする」との記載は、加圧過程中のみに排出し、吐出工程中に空気混合の潤滑油を排出しないことにより排出量を少なくすることを示唆しているといえる。そして、「加圧過程中に空気抜き穴から空気を速やかに排出することができ」る態様とすることは、空気混入潤滑油排出口の形状及び配置を試行錯誤することにより達成できることは設計事項にすぎない。
してみると、仮に請求人の主張を踏まえても、引用発明において、引用例の示唆を踏まえて、上記相違点に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者にとって設計事項にすぎないといえることとから、格別なものとは認められない。

そして、本願補正発明の全体構成により奏される作用効果も、引用発明、及び、引用例の示唆から当業者が予測し得る範囲内のものにすぎない。

そうすると、本願補正発明は、引用発明、及び、引用例の示唆に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(5)むすび
以上のとおりであって、本件補正は、改正前の特許法第17条の2第5項の規定において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下を免れない。

3.本願発明について
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、出願当初の願書に添付された明細書及び図面の記載によれば、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものと認められる。
「潤滑油を吸入する吸入口と、吸入した潤滑油を圧縮して吐出する吐出口とを備えたオイルポンプであって、
前記吐出口から潤滑油を吐出する以前に、前記吸入口から吸入された潤滑油に混入した空気を排出するための空気排出口を設けた、
ことを特徴とするオイルポンプ。」

(1)引用例
引用例、及び、その記載内容は、上記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・検討
本願発明は、「2.」で検討した本願補正発明から「吸入口から吸入された潤滑油に混入した空気を排出するための空気排出口」について「吸入口から吸入されて圧縮された状態にある空気混入の潤滑油を排出する空気混入潤滑油排出口」という限定を省いたものに相当する。
したがって、本願発明を構成する事項の全てを含み、更に他の事項を付加したものに相当する本願補正発明が上記「2.(4)」に記載したとおり、引用例に記載された発明であり、あるいは、引用発明、及び、引用例の示唆に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により引用例に記載された発明であり、あるいは、引用発明、及び、引用例の示唆に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおりであるから、本願発明は特許法第29条第1項第3号、あるいは、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-04-17 
結審通知日 2012-04-24 
審決日 2012-05-08 
出願番号 特願2001-146073(P2001-146073)
審決分類 P 1 8・ 572- Z (F04B)
P 1 8・ 575- Z (F04B)
P 1 8・ 121- Z (F04B)
P 1 8・ 113- Z (F04B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 尾崎 和寛久保 竜一刈間 宏信  
特許庁審判長 仁木 浩
特許庁審判官 田村 嘉章
槙原 進
発明の名称 オイルポンプ及び潤滑装置  
代理人 山本 敬敏  

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