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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1271697
審判番号 不服2011-20785  
総通号数 161 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-05-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-09-27 
確定日 2012-11-15 
事件の表示 特願2005-248247「学校電子掲示板及びそのシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 3月15日出願公開、特開2007- 65791〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成17年8月29日の出願であって、平成23年1月7日付けで拒絶理由通知がなされたが、これに対する意見書の提出及び手続補正はなされず、同年6月16日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年9月27日付けで審判請求がなされるとともに手続補正がなされたものである。

第2 平成23年9月27日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]

平成23年9月27日付けの手続補正を却下する。

[理由]

1.補正の内容

平成23年9月27日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)の内容は、願書に最初に添付した特許請求の範囲の請求項1ないし請求項2の記載

「 【請求項1】
携帯電話の画面に表示される学校掲示板において、学校により入力された学校に関連する情報が表示されるとともに、学校を支援するスポンサーにより入力された広告が表示される学校電子掲示板。
【請求項2】
学校に関連する情報を入力する学校側の入力手段、入力された学校に関連する情報を携帯電話の画面に表示される学校掲示板に表示する表示手段、
学校を支援するスポンサーの広告を入力するスポンサー側の広告入力手段、入力されたスポンサーの情報を前記学校掲示板に表示する表示手段を備えた学校電子掲示板の表示システム。」(以下、この特許請求の範囲に記載された請求項を「補正前の請求項」という。)

を、

「 【請求項1】
保護者が操作する携帯端末、学校側の第1端末、こどもを見守るという目的を学校及び保護者と共有するスポンサーが操作する第2端末の各々と通信可能な装置により、前記携帯端末の画面に表示される学校電子掲示板であって、
前記第1端末より入力された学校に関連する情報の表示項目のほか、前記第2端末より入力された前記スポンサーの情報が保存されている携帯サイトのリンク項目が形成されており、
前記携帯端末によって前記リンク項目がクリックされることにより表示内容が前記スポンサーの広告内容に切り替わる、
学校電子掲示板。
【請求項2】
保護者が操作する携帯端末、学校側の第1端末、こどもを見守るという目的を学校及び保護者と共有するスポンサーが操作する第2端末の各々との通信を可能にするインターフェースと、
前記第1端末より入力された学校に関連する情報の表示項目、及び、前記第2端末より入力された前記スポンサーの情報が保存されている携帯サイトのリンク項目を含み、前記携帯端末の画面に表示される学校電子掲示板を形成する学校電子掲示板形成手段と、
前記携帯端末によって前記リンク項目がクリックされることにより前記学校電子掲示板の表示内容を前記スポンサーの広告内容に切り替える表示制御手段と、
を備えてなる、
学校電子掲示板の表示システム。」(以下、この特許請求の範囲に記載された請求項を「補正後の請求項」という。)

に補正するものである。

2.新規事項の有無

本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされており、特許法第17条の2第3項の規定に適合している。

3.補正の目的

上記手続補正の目的が平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に適合するか否かを検討する。

3-1.請求項1の補正に関して
上記補正により、
(1) 補正前の「携帯電話の画面に表示される学校掲示板において」は、補正後の「保護者が操作する携帯端末、学校側の第1端末、こどもを見守るという目的を学校及び保護者と共有するスポンサーが操作する第2端末の各々と通信可能な装置により、前記携帯端末の画面に表示される学校電子掲示板であって」に補正されたが、a)補正前の「携帯電話」の画面に表示されるものを、補正後の「携帯端末」の画面に表示されると補正することは、PDA、ハンドヘルドコンピュータ、ノートパソコン等の携帯電話以外の携帯端末の画面に表示されるものを含むように拡張するものであり、b)さらに、補正前に記載のない「保護者が操作する携帯端末、学校側の第1端末、こどもを見守るという目的を学校及び保護者と共有するスポンサーが操作する第2端末の各々と通信可能な装置により、」との要件を加えることは、「学校掲示板」との発明を特定するために必要な事項を限定するものではない。また、上記補正は、誤記の訂正、明瞭でない記載の釈明とも認められない。
(2) 補正前の「学校により入力された学校に関連する情報が表示されるとともに、学校を支援するスポンサーにより入力された広告が表示される学校電子掲示板」を、補正後の「前記第1端末より入力された学校に関連する情報の表示項目のほか、前記第2端末より入力された前記スポンサーの情報が保存されている携帯サイトのリンク項目が形成されており、前記携帯端末によって前記リンク項目がクリックされることにより表示内容が前記スポンサーの広告内容に切り替わる、学校電子掲示板。」に補正することは、a)補正前に記載のない「前記第2端末より入力された前記スポンサーの情報が保存されている携帯サイトのリンク項目が形成され」との構成要件が加えられており、前記要件を加えることは、「学校掲示板」との発明を特定するために必要な事項を限定するものではない。b)「学校に関連する情報」の表示「とともに」「広告」が表示される補正前の発明に対して、補正後の発明の「学校に関連する情報の表示項目」の「ほか」に、スポンサー「リンク項目」が形成され、クリックされた後に、「広告内容」に「切り替わる」ものは、その内容を変更するものであり、「学校掲示板」との発明を特定するために必要な事項を限定するものではない。また、上記補正は、誤記の訂正、明瞭でない記載の釈明とも認められない。

3-2.請求項2の補正に関して
上記補正により、
(3) 補正前の「入力された学校に関連する情報を携帯電話の画面に表示される学校掲示板に表示する表示手段」及び「入力されたスポンサーの情報を前記学校掲示板に表示する表示手段」は、補正後の「前記第1端末より入力された学校に関連する情報の表示項目、及び、前記第2端末より入力された前記スポンサーの情報が保存されている携帯サイトのリンク項目を含み、前記携帯端末の画面に表示される学校電子掲示板を形成する学校電子掲示板形成手段」に補正されたが、a)補正前の「携帯電話」の画面に表示されるものを、補正後の「携帯端末」の画面に表示されると補正することは、PDA、ハンドヘルドコンピュータ、ノートパソコン等の携帯電話以外の携帯端末の画面に表示されるものを含むように拡張するものであり、b)さらに、補正前に記載のない「前記スポンサーの情報が保存されている携帯サイトのリンク項目を含み」との要件を加えることは、「学校掲示板の表示システム」との発明を特定するために必要な事項を限定するものではない。また、上記補正は、誤記の訂正、明瞭でない記載の釈明とも認められない。
(4) 補正前に記載のない「保護者が操作する携帯端末、学校側の第1端末、こどもを見守るという目的を学校及び保護者と共有するスポンサーが操作する第2端末の各々との通信を可能にするインターフェース」との要件及び「前記携帯端末によって前記リンク項目がクリックされることにより前記学校電子掲示板の表示内容を前記スポンサーの広告内容に切り替える表示制御手段」との要件を加えることは、「学校掲示板の表示システム」との発明を特定するためのに必要な事項を限定するものではない。また、上記補正は、誤記の訂正、明瞭でない記載の釈明とも認められない。

以上により、上記補正は、補正前の請求項1又は補正前の請求項2に記載された発明を特定するために必要な事項を限定して特許請求の範囲を減縮するものではなく、また、誤記の訂正、明瞭ではない記載の釈明とも認められない。

よって、本件手続補正の目的は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するものである。

4.独立特許要件

以上のように、本件補正は、特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正、明瞭ではない記載の釈明とは、認められないものであるが、仮に、上記補正後の請求項1に記載された発明が、上記補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項を限定したものであるとした場合に、上記補正後の請求項1に記載された発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて検討する。

4-1.補正後の請求項1に係る発明

補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)は、上記「1.補正の内容」に記載したとおりの次のものである。

「 【請求項1】
保護者が操作する携帯端末、学校側の第1端末、こどもを見守るという目的を学校及び保護者と共有するスポンサーが操作する第2端末の各々と通信可能な装置により、前記携帯端末の画面に表示される学校電子掲示板であって、
前記第1端末より入力された学校に関連する情報の表示項目のほか、前記第2端末より入力された前記スポンサーの情報が保存されている携帯サイトのリンク項目が形成されており、
前記携帯端末によって前記リンク項目がクリックされることにより表示内容が前記スポンサーの広告内容に切り替わる、
学校電子掲示板。」

4-2.引用文献等

原査定の拒絶の理由に引用された特開2001-249900号公報(平成13年9月14日公開、以下、「引用例1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

A.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、学生に携帯させる携帯端末電話へ学内(大学・短大・専門学校等)の情報や、学生に関連した情報サービスを、携帯端末電話から閲覧でき、かつ、掲示板として問い合わせ可能なシステムに関する。また、大学(短大・専門学校)等からの連絡を一人一人の学生個別にインターネットを利用した通信情報ネットワークシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来においては、大学側の学生側に対する情報伝達は、学内掲示板及び、郵便物で対応されているが、学生への重要な連絡事項を一人一人伝達することは、不可能に近い。また、学生への郵便物等の通信コストも多大である。学生にとっても、大学に行って掲示板を見たり、教室に行ってみて初めて休講であることを知ることも多く、不便である。」(下線は、当審で付与、以下同様) )

B.「【0007】本発明による学内通信情報ネットワークシステムでは、大学(短期大学・専門学校等含む)において、大学側からの情報を必要に応じてその情報の項目を決め、項目別に入力を受け付けることで対応できる。
【0008】例えば、学内情報として、年間行事・時間割表・休講情報・ゼミナール情報等、また、キャンパス情報として、学生掲示板・サークル案内・アルバイト情報・緊急災害連絡等、また、企業サイトよりメディア情報として、地域情報・就職情報・不動産情報・書籍情報等である。これらの情報は全てデータベース化され、インターネット網を経由して大学側、及び企業側から管理センター内の電子サーバーに転送され、電子サーバー内の情報データベースに収納される。
【0009】本発明の特徴としては、必要な各項目をオンラインサービスモード(NTTドコモのiモードあるいはセルラーのEZweb)コンテンツとして情報をデータベース化するため、コンテンツ情報の項目に操作上の利便性を考慮し、項目番号(ID番号)をつけることである。
【0010】また、本発明を実現するには、大学側より伝達したい各必要な項目の情報データベースと学生側からインターネット網を経由して指示される情報を保持する電子サーバー内に、これら電子情報をテキストデータとして収納する記憶装置とサーバーの働きを制御するHTTPプロトコルが必要となる。このHTTPプロトコルは、学生側から操作により転送される指定表示(URL)の情報を受け、対応するHTML文書を表示する働きを有する。」

C.「【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の学内仮想プライベート通信情報ネットワークシステムのシステム構成図である。学内仮想プライベート通信情報ネットワークシステムは、大学側1、短大・専門学校側2、企業側3、管理センターB、学生側Cから構成され、これらはインターネット網20、21でネットワークされている。
【0012】以下に、本システムの作用について説明する。学生側Cによる携帯端末電話16?19からの学生側C経由の情報の閲覧は、大学側1、短大・専門学校側2、及び企業側3が、パーソナルコンピューター(パソコン)4で学内情報及び企業情報を、情報として入力するところから始まる。学生側Cは、インターフェイスとなる入出力装置を必要とし、NTTドコモ・セルラーなど携帯端末電話16?19などの装置を使用する。
【0013】また、本発明では、NTTドコモのオンラインサービス「iモード」及びセルラーのオンラインサービス「EZweb」をインターフェイスとして使用し、電子サーバー22の情報データの中から指定する情報の閲覧が可能となる。大学側・企業側Aは、入出力装置としてパソコン4を介し、学内情報・企業情報を、インターネット網20、ネットワーク間の接続を行うデバイスであるルータ8を介して管理センターBにおける学内情報データ及び企業情報データとして、電子サーバー22に転送し、学生情報データベース12に収納する。
【0014】学生側Cから発信する学生情報データとしては、初回接続時は学生番号、二度目以降は、学生側が任意に登録する認証番号(パスワード)のデータとなり、iモード及びEZweb15、NTTドコモiモードセンター及びEZwebセンター23、インターネット網21、ルータ9を介し、管理センター側Bの電子サーバー22に転送される。電子サーバー22には、大学生情報データ・短大生情報データ・専門学校情報データを含んだ学生情報データベース11と、大学別・短大別・専門学校別などの学校別変動データを含んだ情報データベース12及び、ホームページいわゆるHTML(Hyper Text Markup Languageという書式)に従った情報データベースであるw.w.wサーバー13があり、これらに収納された様々なデータは、メンテナンスPC10で保守・サポートされる。これらは、イーサネット(登録商標)LAN14で結ばれている。電子サーバー22はパソコン等の情報処理機で充分である。
【0015】次に、学生が大学の情報を携帯端末電話を用いて収集する場合の手順について説明する。図2は、本発明を実施するためのメニュー(以下、このサービスの名称を「campus-i」とする)構成で、iモード接続を必要とする。
【0016】(1)のiモードメニューから、「4.Bookmark」を選択すると、(2)のBookmarkの画面に変更する。そこで「1.Campus-i」を選択すると、(3)のCampus-iの画面が表示され、各々の大学の認証番号を入力すると、(4)の指定された大学のCampus-iの画面が表示され、そこで、各々の学生認証番号を入力すると、(5)の画面が表示されるので、見たい情報(ここでは「1.学内情報」)を選択する。(6)の学内情報の画面が表示されたら、「1.休講情報」や「3.ゼミナール情報」などを選択し、(7)休講情報や(8)ゼミナール情報の画面を閲覧する。なお、企業側情報は、企業各々のサーバーに作成されたHTML情報に、学生向HTML文書からHyper Linkによって閲覧する。
【0017】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明の学内通信情報ネットワークシステムによれば、大学側及び企業側より学生側に必要な情報を迅速に配信でき、また、学生側からは必要な情報を指示選択することが可能で、かつ、大学・短大の利用者が所属する学校以外の者は、学内情報をアクセス不可能にするセキュリティを備えたシステムを実現することができる。」

D.図2の(5)の画面には、学生の携帯端末に表示される画面として、「学内情報」、「キャンパス情報」、「メディア情報」の各項目を選択できる表示される画面が、記載されている。

また、特開2003-44601号公報(平成15年2月14日公開、以下、「参考文献1」という。)には、関連する図面とともに以下の技術的事項が記載されている。

E.「【0006】上述のごとき現状に加え、近年、犯罪の低年齢化、学校崩壊、いじめ、自殺等、学校内だけでは解決しきれない問題が多発しており、生徒やその保護者との更なるコミュニケーションの場の提供や、さらには幅広い意見を得るために多方面からの学校生活に関するノウハウの収集が必要となっている。また、学校における相談サービスや保護者への連絡などの業務も、情報通信技術の発達にもかかわらず効率的なシステムの構築がなされていないのが現状である。」

F.「【0044】また、他の実施形態として、このサーバ装置10に電子日記提示手段23,アドバイス登録手段24,アドバイス提示手段25を備えるようにしてもよい。電子日記提示手段23では、電子日記登録手段22で登録された電子日記を、好ましくは日々、電子日記を登録した生徒の担任教師が使用するクライアント装置11aに提示する。この電子日記は校長や教頭が目を通すようにしてもよい。アドバイス登録手段24では、電子日記提示手段23で提示された電子日記に対する担任教師からのアドバイスを登録する。アドバイス提示手段25では、該アドバイス登録手段24で登録されたアドバイスを少なくともそのアドバイス先の生徒側クライアント装置31に提示する。電子日記に加え、それに対するアドバイス内容も、所管機関,校長や教頭,保護者が閲覧できるようにするとよい。本実施形態によれば、悩み事に対し即座にアドバイスを送ることが可能となる。
【0045】図7は、本発明の他の実施形態に係る生徒指導支援システムを説明するための図である。本実施形態に係る生徒指導支援システム(以下、本システムと略す)は、上述した各実施形態の生徒指導支援システムにおけるサーバ装置10に、写真登録手段26,写真提示手段27,生徒特定手段28を備えたシステムである。写真登録手段26では、生活指導員6,地域指導員,警察補導係,一般の人々などによりディジタルカメラ(動画用,静止画用)で撮影された写真画像を登録する。ディジタルカメラとしては携帯電話に組み込まれたCCDカメラが好ましい。或いは、繁華街など、特定の場所に設置された遠隔カメラ(動画用,静止画用)で撮影された写真画像を登録する。なおこのカメラにはサーバ装置10にネットワーク接続可能なものに限られる。また、これらの写真画像は、生徒の様子が写った写真画像であり、例えば特定の場所(遊技場など)でその学校の生徒を見かけた人が撮影した写真画像である。一般の人々からの写真の登録を許可するために、Webサーバ上に写真登録手段26を備えておいてもよい。写真提示手段27では、写真登録手段26で登録された写真画像を学校の職員を含む所定(学校関係者や保護者)のクライアント装置(11,51等)に提示する。生徒特定手段28では、写真提示手段27で提示した写真画像内に写った生徒(及び場所)を、上述の所定のクライアント装置のユーザに特定させる。本システムによれば、生徒の非行を防ぐことも可能となる。
【0046】また、他の実施形態として、図7に示すように、本システムにおいて図1乃至図6を参照して説明した各実施形態の支援システムを含まない形態も採用可能である。
【0047】図8は、本発明の他の実施形態に係る生徒指導支援システムを説明するための図である。本実施形態に係る生徒指導支援システム(以下、本システムと略す)は、上述した各実施形態の生徒指導支援システムにおいて、生徒3の成績等の情報をネットワークを介して生徒側クライアント装置31に提供するシステムである。本システムにおけるサーバ装置10は、生徒情報登録手段32及び生徒情報提示手段33を有するものとする。生徒情報登録手段32では、学校側クライアント装置11から、学校1における生徒の成績等の生徒情報を登録させる。この生徒情報としては、保護者への連絡事項が記載された保護者連絡帳,テスト結果,期末毎に手渡す指導要録,成績通知などが挙げられる。生徒情報提示手段33では、生徒情報登録手段32で登録された生徒情報、又はそれ以外の生徒情報を、その対象である生徒3の生徒側クライアント装置31に提示する。なお、保護者連絡帳などは、Webサーバに登録してインターネットに公開し、同時に電子メールで配信するなどしてもよい。本システムによれば、成績に関する生徒情報の家庭とのネットワーク上での共有が可能となる。
【0048】また、他の実施形態として、図8に示すように、本システムにおいて図1乃至図7を参照して説明した各実施形態の支援システムを含まない形態も採用可能である。
【0049】他の実施形態として、生徒情報提示手段33で提示された生徒情報に基づいて情報交換を行う場を提供するようにしてもよい。本実施形態の支援システムは、学校側と所管機関との間で意見を出して掲示することにより意見交換を行うための所謂電子掲示板(BBS)を備えたシステムである。本実施形態に係るサーバ装置10には、メッセージ入力手段34及びメッセージ提示手段35を備えるものとする。メッセージ入力手段34では、学校側クライアント装置11及び生徒側(保護者側)クライアント装置31(51)からメッセージを入力させる。メッセージ提示手段35では、メッセージ入力手段34で入力されたメッセージを、学校側クライアント装置及11び生徒側(保護者側)クライアント装置31(51)に提示する。また、メッセージ提示手段35では、学校側(教師など)と生徒やその保護者間で履歴が残るようにツリー構造の掲示板方式で提示してもよく、学校側でより良い対応を行うことが可能となる。」

G.「【0057】このようにポータルサイトとして本発明に係るサービスを提供することにより、各種機関がよりスムーズに連携される上に、以下のようにこのサービスを運営していく上でのバナー広告などの収入も得られる。
【0058】図10を参照して、ポータルサイトの例を説明する。ここで例示するポータルサイト(学校ポータルサイト)52は、事務処理52a,営繕52b,調査代行52c,入力代行(文書作成)52d,給食52e,備品52f,法令集52g,教材52h,習い事52i,本発明に係わる生活指導(相談)52j,施設利用52k,チャット52l,電子掲示板52mのメニューが提示されている。また、サイト52には、R社のプリンタに関するバナー広告53が掲載されている。従来までは教育関係者のホームページなどには参加者が少なかったので広告利益も上げられなかったが、本発明を適用することにより様々な教育関係者が一同に介する場を提供することが可能であり、広告価値が上がることが予想される。広告に対しては、例えば各バナー広告53に対して所定の期間内にカウント手段でカウントされた回数に応じて、そのバナー広告の広告主に請求するようにすればよい。サイト52における各メニューは、上述のごとく利用制限がかかっているものとする。ただし、チャット52l,電子掲示板52mなどのように、さらに下層のメニュー、例えば参加者のカテゴリを示したメニューに利用制限がかかっているものも存在する。また、公共機関・団体や役に立つWebサイトへのリンクを張ったリンク集や、よくある質問を集めたFAQ、さらには検索サービス、ニュースなどの情報提供サービス、ブラウザから電子メールを送受信できるWebメールなどのサービスを一括して提供してもよい。」

H.「【0065】
【発明の効果】本発明によれば、学校側と生徒やその保護者との間で充実したコミュニケーションを図り、より良い生活指導を行うことが可能となり、その結果として、ゆとりある地域一体となった学校教育が可能となる。さらに、本発明によれば、学校に関係する様々な立場の人に対し、集約的なコミュニケーションの場を提供することが可能となる。


さらに、特開2001-297173号公報(平成13年10月26日公開、以下、「参考文献2」という。)には、関連する図面とともに以下の技術的事項が記載されている。

I.「【0002】
【従来の技術】昨今、信じられないような少年犯罪、いじめ、不登校、学級崩壊等が多く発生し、子供達を取り巻く環境は、かつて私達が経験したことの無いような難しい状況に直面している。このため、子供達を、家庭、学校、地域社会が三位一体となって、見守り、育成していくことが望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる状況下にある子供達を、見守り、育成していく適切な手法は、模索されつつも、なかなか提案及び実行がされない状態にある。また、最近のインターネットの普及は凄まじいものがあるが、家庭、学校、地域社会を結ぶコンセプトのコミュニケーション・ネットワークツールは存在しないのが現状である。
【0004】本発明はこのような従来の課題に鑑みてなされたもので、発信者はインターネットを通じて利用者に確実でタイムリーな情報を発信できると共に、利用者は自分の欲しい情報、必要な情報がタイムリーに入手できるカレンダーソフト及び該プログラムを記録した記録媒体を提供することを目的とする。」

J.「【0009】また、本発明(請求項2)は、前記発信者は学校であり、かつ前記発信者側スケジュールは学校からの連絡事項、学年からの連絡事項及び学級からの連絡事項のいずれか少なくとも一つを備えて構成した。
【0010】このことにより、家庭と学校間をコミュニケーション・ネットワークツールで結ぶことが出来る。
【0011】更に、本発明(請求項3)は、前記学校からの連絡事項、前記学年からの連絡事項及び前記学級からの連絡事項は、各日毎、月毎及び年毎のいずれか少なくとも一つに対応して連絡事項の要点を表示する項目表示画面と、該項目表示画面の要点に対応した詳細を表示する詳細表示画面とを備えて構成した。
【0012】学校からの連絡事項、学年からの連絡事項及び学級からの連絡事項を階層毎に表示可能である。また、項目表示画面では、各日毎、月毎及び年毎のいずれか少なくとも一つに対応して連絡事項の要点を表示する。そして、詳細表示画面では、項目表示画面の要点に対応した詳細を表示する。このことにより、必要な情報に素早くアクセス出来る。
【0013】更に、本発明(請求項4)は、前記発信者は前記学校に加え地域の出店企業及び/又は官公庁であり、かつ前記発信者側スケジュールは該出店企業及び/又は官公庁の情報をも備えて構成した。
【0014】発信者は、学校に加え地域の出店企業及び/又は官公庁である。発信者モードにおける発信者はこれらの間で選択可能である。発信者側スケジュールは出店企業及び/又は官公庁の情報をも備えている。このことにより、家庭、学校、地域社会を本カレンダーソフトを介して結ぶことが出来る。」

K.「【0037】図3のスケジュール画面において、カレンダーボタン11Aをクリックするとカレンダー画面図2に戻る。また、ダウンロードボタン11Bをクリックすると学校からの連絡事項を更新する。アップロードボタン11Cは学校関係者のみ有効である。一般の利用者は使用出来ない。ホームページボタン11Dをクリックすると学校のホームページへリンクする。ボタン11Eをクリックすると出店企業や官公庁等の表示のあるバーチャルモールへリンクする。Helpボタン11Fは本システムの使用方法を解かりやすく解説したオンラインマニュアルである。
【0038】更に、図2に示すように、カレンダーの底部には、移動スイッチ15が設けられている。移動スイッチ15Aをクリックすれば、前年同月へ移動し、移動スイッチ15Eをクリックすれば次年同月へ移動する。また、移動スイッチ15Bをクリックすれば、同年前月へ移動し、移動スイッチ15Dをクリックすれば同年次月へ移動する。移動スイッチ15Cをクリックすれば今月へ戻る。
【0039】図2のカレンダー画面において、キャラクターアイコン9Aをクリックした後、キャラクターアイコン9Dをクリックすると、図4に示す家族の今月のスケジュールが一覧表示される。この一覧表示は参照モードである。入力・編集は図3のスケジュール画面で行う。スケジュールの項目16をクリックすると、図3のスケジュール画面へジャンプする。
【0040】次に、図1において発信者モード5が選択され、発信者が学校関係者である場合について説明する。図5は、学校関係者からの掲示板画面である。利用者は書き込み出来ない。本掲示板画面は学校からの連絡事項、学年からの連絡事項、学級からの連絡事項で構成されている。また、各連絡事項は発信者、発信日時、内容で構成されている。
【0041】学校関係者は、アップロードボタン17Cをクリックすることで、学校からの連絡事項を随時サーバーにアップロードすることが出来る。一方、利用者は、ダウンロードボタン17Bをクリックすれば、最新の学校からの連絡事項を見ることが出来る。一度図2のカレンダー画面に戻り、学校アイコン9Bをクリックし、次に日付をクリックすると、図5の掲示板画面が表示される。スケジュールの内容をクリックすると、図6のスケジュール詳細画面へジャンプする。
【0042】この図6のスケジュール詳細画面は、学校(学年、学級)からの連絡事項の詳細画面である。利用者は書き込み出来ない。なお、Eメールアドレス19Cをクリックすると、メールソフトを起動し、発信者宛にメールを送信することができる。
【0043】図7は、学校のスケジュールの一覧表示画面である。一度図2のカレンダー画面に戻り、一覧アイコン9Dをクリックすることで本画面が表示される。学校、学年、学級はそれぞれ色分けして表示される。学校からの連絡事項は見出し表示、学年、学級からの連絡事項は発信者名(○年生、○年○組)が表示される。発信者名21(○年生、○年○組)をクリックすると、図6のスケジュール詳細画面へジャンプする。
【0044】次に、図1において発信者モード5が選択され、発信者が出店企業や官公庁等の場合について説明する。図8は、出店企業や官公庁等からの掲示板画面である。利用者は書き込み出来ない。出店企業等は、アップロードボタン23Cをクリックすることで、最新の情報を随時サーバーにアップロードすることが出来る。利用者は、ダウンロードボタン23Bをクリックすれば、最新の情報を見ることが出来る。
【0045】一度図2のカレンダー画面に戻り、アイコン9Cをクリックし、次に日付をクリックすると、図8の画面に変わる。スケジュールの内容25をクリックすると、図9の出店企業等のスケジュール詳細画面へジャンプする。図9のスケジュール詳細画面では、利用者は書き込み出来ない。ホームページURL27Cをクリックすると、出店企業等のホームページへダイレクトにリンクする。」

L.「【0061】以上のように、カレンダーソフト10はホームページの情報公開性、Eメールのダイレクトな情報発信機能を併せ持ち、情報の送り手、受け手ともに通信コストをかけず、簡単な操作で情報の共有化が図れる。また、カレンダーソフト10は情報の送り手、受け手を限定し、学校、家庭、地域社会という特定された世界の中で、確実な情報交換が行える。」

さらに、特開2001-337984号公報(平成13年12月7日公開、以下、「参考文献3」という。)には、関連する図面とともに以下の技術的事項が記載されている。

M.「【0038】個人端末21は、チャットサーバ4AAから受信した広告情報D3に基づいて、ディスプレイのチャットページ内に当該広告情報D3に応じたバナー広告を表示する。その際、個人端末21は、URLを含む広告情報D3を受信した場合には、当該広告情報D3に応じたバナー広告をディスプレイのチャットページ内にGUI(Graphical User Interface)として表示し、当該バナー広告をユーザがマウスを用いてポインタを合わせてクリックしたとき、当該バナー広告に対応するURLを広告リソース配信用サーバ4Eに送信する。
【0039】広告リソース配信用サーバ4Eは、予め複数の画像データからなる広告データD4がリソース配信用として蓄積されているリソース保存用ファイルシステム4EAを有し、各個人端末21?2nから指定されたURLに対応する広告データD4を読み出して、当該指定した個人端末21?2nに転送するようになされている。
【0040】このようにして個人端末21は、広告リソース配信用サーバ4Eから受信した広告データD4に基づいて、ディスプレイ内に当該広告データD4に基づくWebページを表示する。なお、かかる広告データD4に基づくWebページには、元のバナー広告よりも詳細かつ多量の情報量を有する広告内容が含まれているのが一般的である。」

また、特開2004-101770号公報(平成16年4月2日公開、以下、「参考文献4」という。)には、関連する図面とともに以下の技術的事項が記載されている。

N.「【0022】
図4は広告情報DB102のレコードレイアウトを示す説明図である。広告情報DB102はリレーショナルデータベースの形態をなし、CPU11はDBのフィールドのキーを関連づけたスキーマにおいてSQL(Structured Query Language)を用いて対話することにより、必要な情報の登録、検索等の処理を実行する。図に示すように広告提供者(企業A,企業B…)に対応づけて、広告提供者のWWWサーバ3へリンクするためのアドレス(以下、URL(Uniform Resource Locaters)),広告情報(A1.html、A2.html…)、及び受講者の属性(性別、地域、年齢など)が記憶されている。広告情報フィールドには広告提供者が提供する一又は複数の広告ファイルが記憶されている。本実施の形態では、広告情報及び教育情報をブラウザ上で表示するため、ファイル形式はHTML形式となっている。性別フィールドには性別が記憶されている。男女と記憶されている場合は広告情報A1.htmlは受講者が男女どちらにであっても提供される。また広告が女性用化粧品に関するものである場合は、性別フィールドに女が記憶されているA3.htmlが女性の受講者にのみ提供される。」

O.「【0025】
フレームF2には企業Aの広告情報へアクセスするためのアイコンA1、A2,A6及び企業AのWWWサーバ3へのアドレスが記述されたリンク(以下、バナー広告)Lが表示される。受講者が入力部13から広告情報のアイコンA1,A2,またはA6をクリックした場合、広告情報DB102に記憶した各ファイル(A1.html,A2.html,A6html)がそれぞれ読み出されてフレームF2に表示される。なお、CPU11は受講者の広告情報に対する閲覧履歴を閲覧履歴記憶ファイル152に記憶している。
【0026】
企業Aのバナー広告Lがクリックされた場合、CPU11は、バナー広告Lに記述されたURL(アドレス)を参照して、通信部16のネットワーク接続要求信号を出力し、WWWサーバ3との間で通信を確立する。なお、バナー広告L(リンク)には、タグ<A HREF>と</A>とで囲まれる部分にURLが記述されており、バナー広告Lに対するクリックによりWWWサーバ3の指定されたファイルへ接続される。なお、本実施の形態においてはバナー広告Lを用いているが、これに限らず、リンクはテキストのみからなるハイパーテキスト・リンクであっても良い。また、バナー広告Lに表示される画像データ等は広告情報DB102に予め記憶されている。」

P.「【0040】
CPU11は図6のフレームF2内のバナー広告Lがクリックされたか否かを判断する(ステップS122)。すなわちリンクに対する操作入力が入力部13からあったか否かを判断する。バナー広告Lがクリックされていない場合は(ステップS122でNO)、ステップS121に移行し、学習及び広告の閲覧を繰り返し続ける。一方、バナー広告Lがクリックされた場合は(ステップS122でYES)、CPU11は通信確立要求信号を通信部16に出力し(ステップS123)、バナー広告L内に記述されたURLを参照してWWWサーバ3(上述の例では企業AのWWWサーバ3)へアクセスしWebページの取得要求を行う(ステップS124)。
【0041】
WWWサーバ3のCPU31は記憶部35のHTMLファイル351から、送信されたURLに対応するHTMLファイルを読み出し(ステップS125)、読み出したHTMLファイルをコンピュータ1へ送信する(ステップS126)。コンピュータ1のCPU11は別ウィンドウにブラウザ153を起動し(ステップS127)、送信されたHTMLファイルのHTML文を解釈しWebページの表示を行う(ステップS128)。これにより受講者はWWWサーバ3から最新の情報をオンラインで入手することができる。これと同時に受講者の閲覧履歴及び受講者情報も中央装置2へ送信される。以下にその内容を説明する。」


4-3.引用発明の認定

上記A?Dの記載及び関連する図面を参照すると、引用例1には、次の発明が記載されているものと認められる。(以下、「引用例1記載の発明」という。)

「学生に携帯させる携帯端末電話へ学内(大学・短大・専門学校等)の情報や、学生に関連した情報サービスを、携帯端末電話から閲覧でき、かつ、掲示板として問い合わせ可能なシステムにおいて、
大学(短期大学・専門学校等含む)において、大学側からの情報を必要に応じてその情報の項目を決め、項目別に入力を受け付けるもので、
具体的には、その情報は、学内情報として、年間行事・時間割表・休講情報・ゼミナール情報等、また、キャンパス情報として、学生掲示板・サークル案内・アルバイト情報・緊急災害連絡等であり、また、企業サイトよりメディア情報として、地域情報・就職情報・不動産情報・書籍情報等であり、これらの情報は全てデータベース化されるもので、
大学側、企業側、管理センターB、学生側から構成され、これらはインターネット網でネットワークされ、大学側・企業側Aは、入出力装置としてパソコン4を介し、学内情報・企業情報を、インターネット網20、ネットワーク間の接続を行うデバイスであるルータ8を介して管理センターBにおける学内情報データ及び企業情報データとして、電子サーバー22に転送し、学生情報データベース12に収納するようにし、
学生が大学の情報を携帯端末電話を用いて収集する場合には、
(1)のiモードメニューから、各々の学生認証番号を入力すると、(5)の画面、具体的には、「学内情報」、「キャンパス情報」、「メディア情報」の各項目を選択できる表示される画面が表示されるので、見たい情報(ここでは「1.学内情報」)を選択し、(6)の学内情報の画面が表示されたら、「1.休講情報」や「3.ゼミナール情報」などを選択し、(7)休講情報や(8)ゼミナール情報の画面を閲覧するもので、
また、企業側情報は、企業各々のサーバーに作成されたHTML情報に、学生向HTML文書からHyper Linkによって閲覧するようにする、
システム。」

4-4.対比

本願補正発明と引用例1記載の発明とを対比すると、次のことがいえる。
(あ)引用例1記載の発明における「携帯端末電話」は、本願補正発明における「携帯端末」に相当するものである。
(い)引用例1記載の発明における「学生」と、本願補正発明における「保護者」とは、ともに、学校側、企業側の情報を受ける利用者である点で共通するものである。
(う)引用例1記載の発明における「大学側」が入出力装置として使用する「パソコン4」は、本願補正発明における「学校側の第1端末」に相当するものである。
(え)引用例1記載の発明における「企業側」が入出力装置として使用する「パソコン4」と、本願補正発明における「こどもを見守るという目的を学校及び保護者と共有するスポンサーが操作する第2端末」とは、ともに、携帯端末及び学校側の第1端末以外の第2端末である点で共通するものである。
(お)引用例1記載の発明において「大学側・企業側A」が「入出力装置としてパソコン4を介し、学内情報・企業情報を、インターネット網20、ネットワーク間の接続を行うデバイスであるルータ8を介して管理センターBにおける学内情報データ及び企業情報データとして」、「学生情報データベース12に収納する」よう構成された「電子サーバー22」と、本願補正発明における「保護者が操作する携帯端末、学校側の第1端末、こどもを見守るという目的を学校及び保護者と共有するスポンサーが操作する第2端末の各々と通信可能な装置」とは、ともに、携帯端末、学校側の第1端末、第2端末と通信可能な装置であって、学校に関連する情報を携帯端末の画面に表示させるための装置である点で共通するものである。
(か)引用例1記載の発明において「(5)の画面」、「(6)の学内情報の画面」、「(7)休講情報や(8)ゼミナール情報の画面」が携帯端末電話に表示される態様は、従来は学内掲示板において伝達されていた情報を電子的に提供するものであるから、本願補正発明における「学校電子掲示板」に相当するものであるといえる。
(き)引用例1記載の発明における「(6)の学内情報の画面」に表示される「「1.休講情報」や「3.ゼミナール情報」など」は、大学側が、入出力装置としてのパソコン4を介して入力したものであるから、本願補正発明における「前記第1端末より入力された学校に関連する情報の表示項目」に相当するものである。
(く)引用例1記載の発明における「企業各々のサーバーに作成されたHTML情報」は、携帯電話端末で閲覧されることを前提としているから、「携帯サイト」であると言える。してみると、引用例1記載の発明における「学生向HTML文書」から「企業各々のサーバーに作成されたHTML情報」(企業側情報)を閲覧することができるようにされた「Hyper Link」と、本願補正発明における「前記第2端末より入力された前記スポンサーの情報が保存されている携帯サイトのリンク項目」とは、ともに、第2端末より入力された携帯サイトへのリンク項目である点で共通するものである。
(け)「Hyper Link」とは他の情報を参照するためのリンクであり、選択することによって表示内容がリンク先のものに切り替わるものであるから、引用例1記載の発明における「企業側情報は、企業各々のサーバーに作成されたHTML情報に、学生向HTML文書からHyper Linkによって閲覧するようにする」と、本願補正発明における「前記携帯端末によって前記リンク項目がクリックされることにより表示内容が前記スポンサーの広告内容に切り替わる」とは、ともに、携帯端末によってリンク項目が選択されることにより表示内容がリンク先の内容に切り替わる点で共通するものである。

上記(あ)?(け)の事項を踏まえると、本願補正発明と引用例1記載の発明とは、次の点で一致し、また、相違するものと認められる。

(一致点)

本願補正発明と引用例1記載の発明とは、ともに、
「学校側、企業側の情報を受ける利用者が操作する携帯端末、学校側の第1端末、前記携帯端末及び前記第1端末以外の第2端末の各々と通信可能な装置であって、学校に関連する情報を携帯端末の画面に表示させるための装置により、前記携帯端末の画面に表示される学校電子掲示板であって、
前記第1端末より入力された学校に関連する情報の表示項目が表示され、第2端末より入力された携帯サイトへのリンク項目があり、
前記携帯端末によって前記リンク項目が選択されることにより表示内容がリンク先の内容に切り替わる、
学校電子掲示板。」
である点。

(相違点)

相違点1:携帯端末を操作する利用者について、本願補正発明が「保護者」であるのに対し、引用例1記載の発明は「学生」である点。

相違点2:本願補正発明は、第1端末より入力された学校に関連する情報の表示項目の「ほか」に、携帯サイトのリンク項目が形成されているのに対し、引用例1記載の発明においては、学生向HTML文書から企業各々のサーバーに作成されたHTML情報へのHyper Linkが形成されているものの、第1端末より入力された学校に関連する情報の表示項目の「ほか」に当該Hyper Linkが形成されていない点。

相違点3:本願補正発明は、「リンク項目がクリックされることにより」表示内容が切り替わるものであるのに対し、引用例1記載の発明においては、Hyper Linkを選択する際のクリック操作についての特定がない点。

相違点4:本願補正発明は、第2端末の操作者が「スポンサー」であり、リンク項目が「スポンサーの情報」が保存されている携帯サイトのリンクであり、リンク項目を選択することで「スポンサーの広告内容」が表示されるのに対し、引用例1記載の発明は、第2端末の操作者は「企業側」であり、Hyper Link(リンク項目)は「企業側情報」が保存されている企業サイトのリンクであり、リンク項目を選択することで「地域情報・就職情報・不動産情報・書籍情報等の企業側情報」が表示されるものであって、企業が「スポンサー」であること、及び、企業側情報が「スポンサーの情報」であり「スポンサーの広告内容」であることについての特定がない点。

相違点5:本願補正発明は、第2端末の操作者が「こどもを見守るという目的を学校及び保護者と共有する」のに対して、引用例1記載の発明においては、第2端末の操作者である企業側の目的について特定がない点。

4-5.判断

上記相違点1ないし相違点5について検討する。

(相違点1について)

上記参考文献1のF及び上記参考文献2のJにも記載されているように、“学校側の入力した情報を保護者が操作する端末から閲覧する”よう構成することは、当該技術分野において、周知の技術(以下、「周知技術1」という。)にすぎない。
したがって、引用例1記載の発明において、前記周知技術1を適用して、保護者が携帯端末電話を操作して情報を閲覧するようにし、相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。

(相違点2について)

Webサイトの構築において、どのページ(画面)にどのリンクを配置するかということは、画面の構成、利用者の利便性、コンテンツの内容に伴う制約事項等を考慮して当業者が適宜設計すべき事項にすぎず、引用例1記載の発明において、学生向HTML文書に形成された企業側情報を閲覧するためのHyper Linkを「(6)の学内情報の画面」上に設け、第1端末より入力された学校に関連する情報の表示項目の「ほか」に、第2端末より入力された外部サイトのリンク項目が形成されるようになし、相違点2に係る構成とすることは、当業者であれば、格別の困難性を有しない。

(相違点3について)

上記参考文献2のK、参考文献3のM及び参考文献4のN?Pにも記載されているように、“端末に表示されたGUIをクリックすることにより表示内容を切り替える”ことは、当該技術分野において、周知の技術(以下、「周知技術2」という。)にすぎない。
そして、引用例1記載の発明も、端末に表示させたGUIに基づいて選択操作を行うものであるから、引用例1記載の発明において、前記周知技術2を適用して、Hyper Linkがクリックされることにより表示内容が切り替わるようになし、相違点3に係る構成することは、当業者が容易に想到し得たものである。

(相違点4について)

上記参考文献1のG及び参考文献2のJにも記載されているように、“学校の情報を提供するサイトにおいて、企業が広告主(スポンサー)となる”ことは、広く行われていることである。
また、上記参考文献1のG、参考文献2のK、参考文献3のM、参考文献4のN?Pにも記載されているように、“広告提供者(スポンサー)の情報が保存されているサイトへのリンク項目を形成する”ような技術も周知のものである。
してみると、引用例1記載の発明において、企業が「スポンサー」となり、企業側情報を「スポンサーの広告内容」として提供すること、及び、Hyper Linkを「スポンサーの情報」が保存されている携帯サイトのリンク項目とし、相違点4に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

(相違点5について)

企業が「こどもを見守るという目的を学校及び保護者と共有」しているか否かは、主観的な要因であって技術的事項を特定するものではないから、この限定に格別の技術的意義は認められない。また、仮に、この限定に技術的意義が認められるとしても、引用例1記載の発明の企業は、企業側情報を提供することでシステムの運営に協力しており、他のシステム運営者やシステム利用者と目的を共有することは適宜なし得る事項であり、さらに、例えば上記参考文献1のH及び参考文献2のIにも記載されているように、地域社会(地域社会には地域社会に属する企業が含まれる。)がこどもを見守るという目的を学校及び家庭と共有するようなことも既に行われていることである。

してみると、引用例1記載の発明において、企業が「こどもを見守るという目的を学校及び保護者と共有する」ことは、当業者が適宜なし得る事項というべきものである。

4-6.小括

上記で検討したごとく、相違点1ないし相違点5は格別のものではなく、そして、本願補正発明の構成によってもたらされる効果も、当業者であれば当然に予測可能なものにすぎず格別なものとは認められない。

したがって、本願補正発明は、引用例1記載の発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5.むすび

以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定あるいは第5項の規定により準用する特許法第126条第5項の規定のいずれかに違反するものであり、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、補正却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1.本願発明の認定

平成23年9月27日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、願書に最初に添付した特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「 【請求項1】
携帯電話の画面に表示される学校掲示板において、学校により入力された学校に関連する情報が表示されるとともに、学校を支援するスポンサーにより入力された広告が表示される学校電子掲示板。」

2.引用文献等

原査定の拒絶の理由に引用された、引用文献およびその記載事項は、前記「第2 平成23年9月27日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「4-2.引用文献等」に記載したとおりである。

3.対比・判断

本願発明は、前記「第2 平成23年9月27日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「4.独立特許要件」で検討した本願補正発明から、学校電子掲示板が「保護者が操作する携帯端末、学校側の第1端末、こどもを見守るという目的を学校及び保護者と共有するスポンサーが操作する第2端末の各々と通信可能な装置により」表示される構成、学校電子掲示板に「前記スポンサーの情報が保存されている携帯サイトのリンク項目が形成されて」いる構成、「前記携帯端末によって前記リンク項目がクリックされることにより表示内容が」切り替わる構成を削除し、かつ、「携帯端末」を「携帯電話」に変更したものである。

そうすると、「携帯電話」という発明特定事項を除けば、本願発明の発明特定事項を全て含む本願補正発明が、上記「第2 平成23年9月27日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「4.独立特許要件」に記載したとおり、引用例1記載の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、そして、引用例1記載の発明の「携帯端末電話」は本願発明の「携帯電話」に相当するものであるから、
本願発明も同様の理由により、引用例1記載の発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび

以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-09-11 
結審通知日 2012-09-18 
審決日 2012-10-01 
出願番号 特願2005-248247(P2005-248247)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 北岡 浩  
特許庁審判長 水野 恵雄
特許庁審判官 衣川 裕史
稲葉 和生
発明の名称 学校電子掲示板及びそのシステム  
代理人 鈴木 正剛  

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