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審決分類 審判 査定不服 特123条1項5号 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1271763
審判番号 不服2010-23230  
総通号数 161 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-05-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-10-14 
確定日 2013-03-21 
事件の表示 特願2001-585536「プライベート通信ポータルにおいてワイヤレス命令を処理するためのシステム,コンピュータ製品及び方法」拒絶査定不服審判事件〔平成13年11月29日国際公開、WO01/89280、平成15年12月 2日国内公表、特表2003-536129〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2001年5月24日(パリ条約による優先権主張2000年5月24日、カナダ国)を国際出願日とする出願であって、平成15年1月22日付けで国際出願翻訳文提出書が提出され、平成20年3月6日付けで拒絶理由が通知され、これに対し平成20年9月17日付けで誤訳訂正書が提出されたが、平成21年1月6日付けで拒絶理由(最後)が通知され、平成21年7月13日付けで手続補正がなされたが、平成21年10月28日付けで拒絶理由(最後)が通知され、平成22年2月10日付けで手続補正がなされたが、これに対し、平成22年6月2日付けで、平成22年2月10日付けの手続補正が却下され、同日付けで拒絶査定がなされたが、平成22年10月14日に拒絶査定不服の審判が請求され、同時に手続補正がなされ、これに対し、当審において平成24年3月30日付けで拒絶理由が通知され、平成24年7月31日付けで手続補正がなされたものである。

第2 拒絶の理由の概要
当審において平成24年3月30日付けで通知した拒絶の理由のうち、「理由1」は、次のとおりのものである。
「理由1:
この出願は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項が、下記の点で国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内にないから、特許法第49条第5号に該当する(同法第184条の18参照)。
(請求項1について)
請求項1には、
(1)「a)少なくとも1つの前記第一のコンピュータからのセッション開始要求により、前記第二のコンピュータと前記第一のコンピュータの間の前記プライベートネットワークおよび前記パブリックネットワーク上に第一の通信セッションを確立するステップ」、
(2)「b)前記第一の通信セッションの確立により、前記第一のコンピュータから前記第二のコンピュータに向けて送信される登録要求であって、前記パブリックネットワークからのアクセスに必要な、第一のコンピュータを識別する情報を含む当該登録要求を、前記第二のコンピュータが前記第一の通信セッションを介して周期的に又は断続的に受信するステップ」、
(3)「c)前記第三のコンピュータからのセッション開始要求により、前記第二のコンピュータと前記第三のコンピュータの間の前記パブリックネットワーク上に第二の通信セッションを確立するステップ」、
(4)「ii)前記第二のコンピュータは、前記ステップa)により確立した前記第一の通信セッションと、前記ステップc)で確立した前記第二の通信セションとを、前記第二のコンピュータのプロキシ機能により接続して中継させ、前記第三のコンピュータと前記第一のコンピュータとの間における情報の送信またはデータの受信を前記プライベートネットワークおよび前記パブリックネットワークを介して行うステップ」が記載されている。
そして、上記(1)?(4)のステップは、要するに、
(A)「プライベートネットワーク」から「パブリックネットワーク」へは「アクセス可能」であることを利用して、「プライベートネットワーク」上の「第一のコンピュータ」から「パブリックネットワーク」上の「第二のコンピュータ」へ「第一のコンピュータを識別する情報を含む」「登録要求」を「前記第一のコンピュータから前記第二のコンピュータに向けて送信」するため、「第一のコンピュータ」からの「セッション開始要求」により「前記第二のコンピュータと前記第一のコンピュータの間」で「第一の通信セッションを確立」し、
(B)「第二のコンピュータと前記第三のコンピュータの間」で「第二の通信セッションを確立」し、
(C)前記(A)で確立した「第一の通信セッション」と、前記(B)で確立した「第二の通信セション」とを、「第二のコンピュータのプロキシ機能により接続」して「第三のコンピュータと前記第一のコンピュータとの間」での通信を可能とすることを記載したものである。

これに対し、本願の国際出願日における国際出願の明細書には、以下のとおり記載されている(なお、参考のため、平成20年9月17日付け誤訳訂正書における該当箇所を記載した。)。

・・・(中略)・・・

そこで、請求項1が、本願の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載されているか否かを検討すると、
(1)請求項1の上記(A)のステップは、本願明細書の第【0051】、第【0052】段落の記載から見て、いわゆる「ダイナミックDNS」へ「プライベートサーバ」(第一のコンピュータ)の「インターネットプロトコルアドレス」(IPアドレス)を登録するための送信に対応したステップと認められる。
しかし、本願の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面には、プライベートサーバ14のインターネットプロトコルアドレスを「登録するための送信」に先立って、「プライベートサーバ14」(第一のコンピュータ)から「サーバコンピュータ12」(第二のコンピュータ)へ、プライベートサーバ14のインターネットプロトコルアドレスを「登録するための送信」以外の目的(第三のコンピュータから第一のコンピュータへの通信を提供する目的)にも使用可能な、汎用的な「第一のセッション」が、「プライベートサーバ14」(第一のコンピュータ)からの「セッション開始要求」により確立されることは何ら記載されていない。
(2)請求項1の上記(B)のステップは、本願明細書の第【0056】、第【0057】段落(平成21年7月13日付け手続補正書参照。)の記載から見て、「要求装置30」(第三のコンピュータ)が「プライベートサーバ14」(第一のコンピュータ)への接続を要求する時、「要求装置30」(第三のコンピュータ)が「サーバコンピュータ12」(第二のコンピュータ)にまず接続し、「プライベートサーバ14」の「名称」(ホスト名)を指示し、これに基づいて「サーバコンピュータ12」(第二のコンピュータ)が「プライベートサーバ14」(第一のコンピュータ)の「現在」の「インターネットプロトコルアドレス」(IPアドレス)を獲得することに対応したステップと認められる。
しかし、本願の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面には、「プライベートサーバ14」の「名称」(ホスト名)の指示に先立って、「要求装置30」(第三のコンピュータ)から「サーバコンピュータ12」(第二のコンピュータ)へ、該「指示」以外の目的(第三のコンピュータから第一のコンピュータへの通信を提供する目的)にも使用可能な、汎用的な「第二のセッション」が確立されることは何ら記載されていない。
(3)請求項1の上記(C)のステップは、本願明細書等の第【0060】段落(平成21年7月13日付け手続補正書参照。)の「第2に、サーバコンピュータ12がプライベートサーバ14へのネットワークアクセスを持つが、プライベートサーバ14がインターネット16からアクセス不可能で、ローカルエリアネットワークのようなネットワーク内でのみ有効なネットワークアドレスを持ち得る場合に、要求装置30あるいは移動可能クライアント装置31とプライベートサーバ14との間の接続を提供するためにこれもまた良く知られたやり方でプロキシサーバ(図示せず)が用いられる。」との記載に対応したステップと認められる。
しかし、本願の国際出願日における国際出願の明細書には、「Second, where the Server Computer 12 has network access to Private Server 14 but Private Server 14 is not accessible from the Internet 16, and may have a network address that is only valid within a network such as a Local Area Network, a Proxy Server (not shown) is used to provide the connection between the Requesting Device 30 or the Mobile Client Device 31 and Private Server 14, in a manner that is also well known.」(本件国際出願の国際公開である、国際公開第01/89280号第17頁第4?9行)と、
(i)Server Computer 12(サーバコンピュータ12)(第二のコンピュータ)がPrivate Server 14(プライベートサーバ14)(第一のコンピュータ)へのnetwork access(ネットワークアクセス)を持つこと、
(ii)Requesting Device 30(要求装置30)(第三のコンピュータ)とPrivate Server 14(プライベートサーバ14)(第一のコンピュータ)との間のconnection(接続)を提供するためにProxy Server (not shown)(プロキシサーバ(図示せず))が用いられること、
が記載されているにとどまり、「サーバコンピュータ12」(第二のコンピュータ)が「プロキシ機能」をも併せ持つこと、及び、前記(A)のステップで確立した「第一の通信セッション」と、前記(B)のステップで確立した「第二の通信セション」とを、該「第二のコンピュータのプロキシ機能により接続」して「第三のコンピュータと前記第一のコンピュータとの間」での通信を可能とすることについては、何ら記載されていない。
なるほど、本願の国際出願日における国際出願の図面(Figure 1)にはRequesting Device 30(要求装置30)(第三のコンピュータ)とServer Computer 12(サーバコンピュータ12)(第二のコンピュータ)との間に、逆方向を向いた一対の経路が記載され、Server Computer 12(サーバコンピュータ12)(第二のコンピュータ)とPrivate Server 14(プライベートサーバ14)(第一のコンピュータ)との間に逆方向を向いた一対の経路が記載され、Server Computer 12(サーバコンピュータ12)(第二のコンピュータ)内で、上記2つの「逆方向を向いた一対の経路」同士が破線で連結されている様子が記載されている。
しかし、本願の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面には、上記Server Computer 12(サーバコンピュータ12)内での2つの「逆方向を向いた一対の経路」同士の破線による連結が、一体どのような技術内容を意味するのか何ら記載されておらず、せいぜい、Requesting Device 30(要求装置30)(第三のコンピュータ)とPrivate Server 14(プライベートサーバ14)(第一のコンピュータ)とがServer Computer 12(サーバコンピュータ12)(第二のコンピュータ)を通って接続されることが模式的に理解できるに過ぎない。
よって、本願の国際出願日における国際出願の図面(Figure 1)の記載は、上記判断に影響を与えるものではない。

以上のとおり、請求項1の上記(1)?(4)のステップは、本願の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載した事項のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものではない。

(請求項2について)

・・・(中略)・・・

なお、補正に係る事項が「国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面」に記載されているか否かと、補正に係る事項が「良く知られたやり方」に該当するか否かとは、別問題である。

以上のとおり、平成21年7月13日付け手続補正書により本願の請求項1、2、4、5、7、9?11、13、14、16、18、19?24に記載された上記の点は、本願の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載した事項のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものではない。
従って、この出願は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項が、国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内にないから、特許法第49条第5号の規定に該当する(同法第184条の18参照)。 」(なお、拒絶理由通知書中に「以上のとおり、平成21年7月13日付け手続補正書により」とある記載は、「以上のとおり、平成22年10月14日付け手続補正書により」の誤記である。)

第3 本件補正について
平成24年7月31日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項1は次のように補正された。
「【特許請求の範囲】
【請求項1】 (1)プライベートネットワークを経由してパブリックネットワークにアクセス可能で、前記プライベートネットワークと前記パブリックネットワーク間のゲートウェイ機能により、前記パブリックネットワークからのアクセスを拒否される第一のコンピュータと、(2)前記パブリックネットワークに接続され、他のコンピュータからアクセス可能であり、前記プライベートネットワークへの直接的なインタフェースを持たない第二のコンピュータと、(3)前記パブリックネットワークにアクセス可能な第三のコンピュータとを含むネットワーク構成において、前記第三のコンピュータから前記第一のコンピュータへの通信を提供する方法であって、
a)前記第一のコンピュータから前記第二のコンピュータに向けて送信される登録要求であって、前記パブリックネットワークからのアクセスに必要な、第一のコンピュータを識別する情報を含む当該登録要求を、前記第二のコンピュータが前記パブリックネットワーク及び前記プライベートネットワークを介して周期的に又は断続的に受信するステップと、
b)前記第三のコンピュータから前記第一のコンピュータへの通信要求を、前記第三のコンピュータが前記パブリックネットワークを介して前記第二のコンピュータに送信し、これを前記第二のコンピュータが受信するステップと、
c)前記第二のコンピュータは、前記第三のコンピュータから受信した前記第一のコンピュータに対する通信要求を処理するため、
i)前記第二のコンピュータは、少なくとも一つの前記第一のコンピュータより前記周期的または断続的に受信した登録情報の中から、前記第三のコンピュータが通信要求の対象とする第一のコンピュータに関する識別情報を特定し、
ii)前記第二のコンピュータは、前記ステップa)における登録要求の通信のための前記第一のコンピュータと第二のコンピュータ間のコネクションと、前記ステップb)における通信要求のための前記第三のコンピュータと前記第二のコンピュータ間のコネクションとが、前記第二のコンピュータのプロキシ機能により一つのコネクションになるよう設立し、前記第三のコンピュータと前記第一のコンピュータとの間における情報の送信またはデータの受信を前記プライベートネットワークおよび前記パブリックネットワークを介して行うステップとを含む方法。」(下線は、手続補正書記載のとおり。)

第4 国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲及び図面の記載について
1.国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲及び図面には、次の事項が記載されている(なお、参考のため、平成20年9月17日付け誤訳訂正書における該当箇所を記載した。また、翻訳が適切でない箇所には、当審での翻訳を注記した。)。
(ア)「Thus, there is also need for a system, computer product and method for accessing and managing data remotely, even when the Internet Protocol address of a user's computer changes from time to time.」(国際出願の国際公開である、国際公開第01/89280号第5頁第11?13行。なお、行数は、該国際公開の左端の行番号である。以下、同様。)(第【0017】段落:従って、ユーザのコンピュータのインターネット・プロトコル・アドレスが時々変更されたとしても、管理データをリモートでアクセスし管理するシステム,コンピュータ製品,及び方法に対するニーズもまた存在する。)

(イ)「Referring to Fig. 1, there is illustrated in a system resource flowchart the preferred embodiment of the present invention illustrated herein. In particular, Fig. 1 illustrates the resources that comprise the private communication portal or "PCP" 10 of the present invention. PCP 10 comprises a multiple computer architecture further comprising a Registration and DNS Server Computer or Server Computer 12, Private Server 14 and a "Requesting Device" 30. A "Requesting Device" in this disclosure refers to any electronic communication means such as a telephone, cell phone, lap top or the like. "Requesting Device" also specifically includes wireless communication means, including a "Mobile Client Device" 31 connected to a 2-way pager network. It should be understood that Private Server 14 may comprise a network station, personal computer terminal or server, provided that such Private Server 14 is devoted to a private user who may be a business or individual. Said Private Server 14 also comprises a message and data management server 15, as best illustrated in Fig. 1 and a network name that identifies the particular private server, as is well known.」(第11頁第12?25行)(第【0037】段落:図1を参照すると、本発明の好ましい実施例を示したシステムリソースフローチャートが開示されている。特に、図1は、本発明のプライベート通信ポータルあるいは“PCP”10を備えるリソースを示す。PCP10は、レジストレーション及びDNSサーバコンピュータあるいはサーバコンピュータ12,プライベートサーバ14及び“要求装置(Requesting Device)”30を更に備える複数のコンピュータ・アーキテクチャを備える。本開示での“要求装置”は、電話,携帯電話,ラップトップコンピュータ等の任意の電子通信手段も意味する。“要求装置”は特に、双方向ページャーネットワークに接続された“移動可能なクライアント装置”31を含むワイヤレス通信手段をも含み得る。プライベートサーバ14が、ネットワークステーション,パーソナルコンピュータ端末,あるいはサーバを含むことに留意されたい(ただし、そのようなプライベートサーバ14が、ビジネスあるいは個人となり得るプライベートユーザに専属することを条件として)。上記プライベートサーバ14は、図1に最も良く示されるように、メッセージとデータ管理サーバ15をも備え得るし、良く知られるように特定のプライベートサーバを識別するネットワーク名も備え得る。)

(ウ)「Server Computer 12 is connected with unrestricted access to an interconnected network of computers such as the Internet 16. Server Computer 12 may comprise one or more computers, as is well known.」(第12頁第1?3行)(第【0039】段落:サーバコンピュータ12は、制限されないアクセスによって、インターネット16のようなコンピュータが相互接続されたネットワークと接続される。サーバコンピュータ12は、既知のように一つあるいはそれ以上のコンピュータを備え得る。)

(エ)「Private Server 14 is provided with a computer product of the present invention dedicated to Private Server 14. In a first preferred embodiment of the present invention, best illustrated in Fig. 1, this computer product provides a communication facility 3 and means for communication 5 of the location of Private Server 14 on a computer network such as the Internet to Server Computer 12, as further described below. Said communication facility 3 can be provided with interfaces with a number of facilities 17 that generate data, in a manner well known to those skilled in the art, such as messaging facilities, monitoring facilities, database facilities and the like. As is explained below, the computer product of the present invention presents means for remotely accessing said data.」(第12頁第6?15行)(第【0040】段落:プライベートサーバ14は、プライベートサーバ14に専用の本発明のコンピュータ製品とともに提供される。本発明の第1の好ましい実施例において、図1に最も良く示されるように、このコンピュータ製品は、インターネットからサーバコンピュータ12というようなコンピュータネットワーク上のプライベートサーバ14のロケーションを通信する手段5及び通信機能3を提供する。上記通信装置3は、当業者に良く知られたやり方で、メッセージング機能(facility),モニタリング機能,データベース機能等のデータを生成する複数の機能17を持つインターフェースを提供する。以下に説明されるように、本発明のコンピュータ製品は、上記データをリモートアクセスするための手段を提供する。)(当審注:第2文は、正しくは、「本発明の第1の好ましい実施例において、図1に最も良く示されるように、このコンピュータ製品は、インターネットのようなコンピュータネットワーク上のプライベートサーバ14のロケーションをサーバコンピュータ12へ通信する手段5及び通信機能3を提供する。」と翻訳すべきものと解される。)

(オ)「In another aspect of the computer product of the present invention illustrated in Fig. 2,, said Server Computer 12 is provided with a server computer product that communicates with said computer product dedicated to Private Server 14. Said server computer product, illustrated in Fig. 1 , provides a Registration and DNS Facility 6 or means responsive to said means for communication 5 of the location of Private Server 14 for providing remote access to said Private Server 14, as explained below.」(第12頁第30行?第13頁第3行)(第【0043】段落:図2に示す本発明のコンピュータ製品の他の面において、上記サーバコンピュータ12には、プライベートサーバ14に専用の上記コンピュータ製品と通信するサーバコンピュータ製品が提供される。上記サーバコンピュータ製品(図1に示される)は、以下に説明するように、上記プライベートサーバ14へのリモートアクセスを提供するために、レジストレーション及びDNS機能6、あるいは、プライベートサーバ14のロケーション通信のための通信手段5に応答する手段を提供する。)

(カ)「Private Messaging and Data Management Facility
In a second preferred embodiment of the present invention illustrated in Fig. 4, said communication facility 3 further comprises a communication interface 7 and communication software program 9 or Private Messaging and Data Management Facility which are operably associated. Said Private Messaging and Data Management Facility 9 comprises two principal elements, namely a Unified Messaging Facility 20 and Data Management Facility 22.」(第13頁第5?12行)(第【0044】段落:プライベートメッセージング及びデータ管理機能
図4に示される本発明の好ましい実施例において、上記通信機能3は更に、通信インターフェース7及び通信ソフトウェアプログラム9あるいはプライベートメッセージング及びデータ管理機能(これらは動作的に関連する)を備える。上記プライベートメッセージング及びデ-タ管理機能9は、2つの主要要素、即ち、ユニファイド(統合)メッセージング機能20及びデータ管理機能22を備える。)(当審注:「好ましい実施例」は「第2の好ましい実施例」と翻訳すべきものと解される。)

(キ)「Internet Registration and Location
Said Server Computer 12 is configured, in a manner that is well-known, to be connected to the a network of interconnected computers such as the Internet, and particularly in a manner that accepts Internet requests and translates these requests into a connection between said Server Computer 12 and Private Server 14.」(第14頁第20?25行)(第【0050】段落:インターネット登録(registration)及びロケーション(location)
上記サーバコンピュータ12は、インターネットのような相互接続されたコンピュータのネットワークと既知の方法で接続され、そして特に、インターネット要求を受け入れ、これらの要求を上記サーバコンピュータ12とプライベートサーバ14との間の接続に置き換える(translate)ように構成される。)

(ク)「As best shown in Fig. 3, the system described herein further comprises a directory service program 28. In the particular embodiment illustrated herein, said directory service program 28 is operably associated with Server Computer 12. For the sake of clarity, said directory service program 28 can be either resident on said Server Computer 12 or remote from said Server Computer 12 but accessible therefrom. Directory service program 28 comprises a dynamic directory provided using a protocol such as Domain Name Server (DNS) 6, with capability for dynamically modifying the directory content of the directory service program 28. It is desirable that only users of the present invention be given access to directory service program 28 for purposes of updating or changing the director information. Such access is provided in association with registration facility 19, as is described below.」(第14頁第27行?第15頁第5行)(第【0051】段落:図3に最も良く示されるように、ここに記載されるシステムは、ディレクトリサービスプログラム28を備える。ここに示される特定の実施例において、上記ディレクトリサービスプログラム28は、サーバコンピュータ12と動作可能に接続される。明確さのために、上記ディレクトリサービスプログラム28は、上記サーバコンピュータ12、又は上記サーバコンピュータ12から遠隔であるがそこからアクセス可能な場所のいずれかに常駐し得る。ディレクトリサービスプログラム28は、ディレクトリサービスプログラム28のディレクトリ内容(directory content)をダイナミックに修正することのできるドメインネームサーバ(DNS)6等のプロトコルを用いて提供されるダイナミック・ディレクトリを備える。ディレクトリ情報の更新あるいは変更の目的のために、本発明のユーザのみに、ディレクトリサービスプログラム28へのアクセスが与えられることが望ましい。そのようなアクセスは、以下に説明するように登録機能19と関連して提供される。)

(ケ)「As illustrated in Fig. 3, Private Messaging and Data Management Facility 9 comprises a Registration Routine 21 for indicating that Private Server 14 is available to accept messages from the Internet 16. It is desirable for such Registration Routine 21 to be engaged periodically for a number of reasons. First, it is desirable to verify that the Internet or server connection of Private Server 14 is active. Second, when the Private Server 14 is configured to provide the functions of this invention, registration with the Server Computer 12 is obviously required. Third, the Registration Routine 21 is required to be engaged periodically to update the directory service program 28 to address possible changes to Private Server's Internet Protocol address. Fourth, from a system resource management point of view it may be desirable to restrict access to the Server Computer 12 to only active users, in which case users who according to pre-set parameters are determined to be inactive would be automatically de-registered after a period of time. Fifth, some users may wish to change their access codes from time to time. Sixth, some users may want to de-register temporarily with Server Computer 12 in order to interrupt receipt of communications from Server Computer 12, for example, during operation of a back-up routine at Private Computer 14. Seventh, Registration Routine 21 may be required to change security settings provided at Server Computer 12, in a manner that is well-known.

It should be understood that the present invention allows the parameters of the operation of the Registration Routine 21 to be set, in a manner well-known to those skilled in the art, by either the user or the system operator of Server Computer 12, as may be required. 」(第15頁第7?15行)(第【0052】?第【0053】段落:図3に説明されるように、プライベートメッセージング及びデータ管理機能9は、インターネット16からメッセージを受け取るためにプライベートサーバ14が利用可能であることを指示する(indicating)ための登録ルーチン21を備える。多くの理由から、そのような登録ルーチン21が組み込まれる(engaged)ことが望ましい。第1に、プライベートサーバ14のインターネットあるいはサーバ接続がアクティブであることを確認することが望ましい。第2に、プライベートサーバ14が本発明の機能を提供するように構成される時に、サーバコンピュータ12での登録が明らかに要求される。第3に、ディレクトリサービスプログラム28を更新して、プライベートサーバのインターネットプロトコルアドレスに起こり得る変更に注意を向けさせる(address)ために、登録ルーチン21が周期的に連動する(engaged)ことが要求される。第4に、システムリソース管理の観点から、アクティブなユーザのみのために、サーバコンピュータ12へのアクセスを制限することが望ましいかもしれない(この場合には、プリセットされたパラメータによって、非アクティブ(inactive)と判断されたユーザは、一定時間後に自動的に登録抹消される)。5番目に、幾人かのユーザは、彼等のアクセスコードを時々変更することを希望するかもしれない。6番目に例えばプライベートコンピュータ14でのバックアップ・ルーチンの動作中に、サーバコンピュータ12からの通信の受信を遮るために、幾人かのユーザは一時的に、サーバコンピュータ12から登録抹消することを希望するかもしれない。7番目に、登録ルーチン21は、サーバコンピュータ12で提供されたセキュリティ設定を良く知られたやり方で変更することが要求され得る。
本発明は、登録ルーチン21のオペレーションパラメータが当業者に良く知られたやり方で設定できること、そして、それは、必要に応じてユーザ又はサーバコンピュータ12のシステムオペレータのいずれかによって行われることが理解されるべきである。)

(コ)「The availability to accept communications such as messages of Private Server 14 is communicated by Registration Routine 21 by registering a name string or digit string with the directory service program 28 that must not conflict with any other similar name in the dynamic directory associated with directory service program 28. This communication includes the current Internet Protocol address of Private Server 14 that as indicated above may change from time to time. The Internet Protocol address of Server Computer 12, however, is fixed and known to the system described herein.」(第15頁第31行?第16頁第6行)(第【0054】段落:プライベートサーバ14のメッセージ等の通信を受け取る可能性は、ディレクトリサービスプログラム28で、名前列(name string)あるいは数字列(digit string)を登録することによって登録ルーチン21により通信されるが、上記名前列あるいは数字列は、ディレクトリサービスプログラム28に関連するダイナミック・ディレクトリ内のいかなる他の類似の名称とも衝突してはならない。この通信には、上述のように時々変更されるプライベートサーバ14の現在のインターネットプロトコルアドレスが含まれる。しかし、サーバコンピュータ12のインターネットプロトコルアドレスは不変であり、ここに記載されるシステムに既知である。)

(サ)「In the manner described above, the current Internet Protocol address of Private Server 14 is provided from time to time and dynamically stored in directory service program 28. 」(第16頁第8?10行)(第【0055】段落:上述のようなやり方で、プライベートサーバ14の現在のインターネットプロトコルアドレスが時々提供され、ディレクトリサービスプログラム28にダイナミックに記憶される。 )

(シ)「When a Requesting Device 30, such as the Web browser illustrated in Fig. 1 , or the Mobile browser illustrated in Fig. 2, requests a connection to Private Server 14, Requesting Device 30 first connects to Server Computer 12 in a manner that is well- known and indicates the name of the Private Server 14 to which Requesting Device 30 wishes to connect.

Server Computer 12 will validate the request to connect to Private Server 14 and initiate a search in the directory associated with the directory service program 28 to obtain the current Internet Protocol address of Private Server 14 and port number of message server 15 of Private Server 14. Server Computer 12 is thereby engaged to allow a connection to be set up between Requesting Device 30 and Private Server 14.

In the embodiment of the present invention illustrated herein, three connection methods are specifically provided for sake of illustration, as between the Requesting Device 30 and Private Server 14. First, a Direct Connection can be provided using a secure web protocol such as "https", in a manner that is well known.

In this method, once Server Computer 12 has validated the connection request provided by Requesting Device 30, the Requesting Device 30 is simply forwarded to the Private Server 14, in a manner that is well-known. Thereafter, all interactions will take place directly between the Requesting Device 30 and the Private Server 14 during the communication session.

Second, where the Server Computer 12 has network access to Private Server 14 but Private Server 14 is not accessible from the Internet 16, and may have a network address that is only valid within a network such as a Local Area Network, a Proxy Server (not shown) is used to provide the connection between the Requesting Device 30 or the Mobile Client Device 31 and Private Server 14, in a manner that is also well known.」(第16頁第12行?第17頁第9行)(第【0056】? 【0060】段落:図1に示されるウェブブラウザや、図2に示される移動可能なブラウザ等の要求装置(Requesting Device)30がプライベートサーバ14への接続を要求する時、要求装置30は良く知られるやり方でサーバコンピュータ12にまず接続し、要求装置30が接続を希望するプライベートサーバ14の名称を指示(indicates)する。
サーバコンピュータ12は、プライベートサーバ14に接続するための要求を確認(validate)し、ディレクトリサービスプログラム28に関連するディレクトリ内を探索してプライベートサーバ14の現在のインターネットプロトコルアドレス及びプライベートサーバ14のメッセージサーバ15のポート番号を獲得する。サーバコンピュータ12はこうして、要求装置30と専用サーバ14との間の接続がセットアップされることを可能とするように保証される(engaged)。
ここに説明される本発明の実施例において、説明のために特に、要求装置30とプライベートサーバ14との間の3つの接続方法が提供される。第1に、“https”のような安全なウェブプロトコルを用いた良く知られるやり方で直接的な接続が提供される。
この方法において、一旦サーバコンピュータ12が要求装置30によって提供された接続要求を確認(validate)すると、良く知られた方法で単純にプライベートサーバ14に転送される。その後全ての相互作用が、通信セッション中に要求装置30と専用サーバ14の間で直接行われる。
第2に、サーバコンピュータ12がプライベートサーバ14へのネットワークアクセスを持つが、プライベートサーバ14がインターネット16からアクセス不可能で、サーバコンピュータ12がローカルエリアネットワークのようなネットワーク内でのみ有効なネットワークアドレスを持ち得る場合に、要求装置30あるいは移動可能クライアント装置31とプライベートサーバ14との間の接続を提供するためにこれもまた良く知られたやり方でプロキシサーバ(図示せず)が用いられる。)(当審注:最後の文中の「where the Server Computer 12 has network access to Private Server 14 but Private Server 14 is not accessible from the Internet 16, and may have a network address that is only valid within a network such as a Local Area Network, 」において、「may have」の主語は原文では省略されている。よって、以下では、原文に忠実に、「may have a network address that is only valid within a network such as a Local Area Network」の主語は記載せず、「・・・第2に、サーバコンピュータ12がプライベートサーバ14へのネットワークアクセスを持つが、プライベートサーバ14がインターネット16からアクセス不可能で、ローカルエリアネットワークのようなネットワーク内でのみ有効なネットワークアドレスを持ち得る場合に」との翻訳を用いる。また、「Private Server 14」は、「専用サーバ14」ではなく「プライベートサーバ14」と翻訳すべきものと解する。)

(ス)国際出願日における国際出願の図面(Figure 1)の記載は、次のとおりである。

ここで、「Name」(名称)、「Communication Facility 3」(通信機能3)、「Means for communication of location 5」(位置通信のための手段5)、「Location Facility 6」(ロケータ機能6)、「Server Computer 12」(サーバコンピュータ12)、「Private Server 14」(プライベートサーバ14)、「message and data management server 15」(メッセージとデータ管理サーバ15)、「the Internet 16(インターネット16)、「facilities 17」(機能17)、「Requesting Device 30」(要求装置 30)である(括弧内の記載は、平成20年9月17日付け誤訳訂正書において同じ符号を付された用語、及び該誤訳訂正書の図1の用語による。)。
また、国際出願日における国際出願の図面(Figure 4)の記載は、次のとおりである。

ここで、「Microprocessor」、「Communication Facility 3」(通信機能3)、「Communication Interface 7」(通信インターフェース7)、「Private Messaging and Contact Facility 9」(プライベートメッセージング及びデ-タ管理機能9)、「Personal Server 14」(プライベートサーバ14)、「Unified Messaging Facility 20」(ユニファイド(統合)メッセージング機能20)、「Registration Routine 21」(登録ルーチン21)、「Contact Information Management Facility 22」(データ管理機能22)、「Remote Message Read/Reply Management Facility 29」(遠隔メッセージ管理機能29)である(括弧内の記載は、平成20年9月17日付け誤訳訂正書において同じ符号を付された用語による。)。

2.上記(ア)?(ス)を総合すると、国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面には、次の(記載事項1)及び(記載事項2)が記載されているものと認められる(なお、「当審注」は、便宜のための注釈である。)。
(記載事項1)「プライベートサーバ14には、プライベートサーバ14のロケーションをサーバコンピュータ12へ通信する手段5及び通信機能3が提供され、
サーバコンピュータ12が、上記プライベートサーバ14へのリモートアクセスを提供するために、レジストレーション及びDNS機能6、あるいは、プライベートサーバ14のロケーション通信のための通信手段5に応答する手段を提供し、
ディレクトリサービスプログラム28は、サーバコンピュータ12と動作可能に接続され、ディレクトリサービスプログラム28は、ディレクトリサービスプログラム28のディレクトリ内容(directory content)をダイナミックに修正することのできるドメインネームサーバ(DNS)6等のプロトコルを用いて提供されるダイナミック・ディレクトリを備え、
(当審注:プライベートサーバ14の)プライベートメッセージング及びデータ管理機能9は、インターネット16からメッセージを受け取るためにプライベートサーバ14が利用可能であることを指示する(indicating)ための登録ルーチン21を備え、(当審注:サーバコンピュータ12の)ディレクトリサービスプログラム28を更新して、プライベートサーバ14のインターネットプロトコルアドレスに起こり得る変更に注意を向けさせる(address)ために、登録ルーチン21が周期的に連動(engaged)し、プライベートサーバ14のメッセージ等の通信を受け取る可能性は、ディレクトリサービスプログラム28で、名前列(name string)あるいは数字列(digit string)を登録することによって登録ルーチン21により通信され、この通信には、上述のように時々変更されるプライベートサーバ14の現在のインターネットプロトコルアドレスが含まれ、プライベートサーバ14の現在のインターネットプロトコルアドレスが時々提供され、ディレクトリサービスプログラム28にダイナミックに記憶される、
方法。」

(記載事項2)「ユーザのコンピュータのインターネット・プロトコル・アドレスが時々変更されたとしても、管理データをリモートでアクセスし管理する方法であって、
サーバコンピュータ12は、インターネットと接続され、インターネット要求を受け入れ、これらの要求を上記サーバコンピュータ12とプライベートサーバ14との間の接続に置き換える(translate)ように構成され、ウェブブラウザ等の要求装置(Requesting Device)30がプライベートサーバ14への接続を要求する時、要求装置30はサーバコンピュータ12にまず接続し、要求装置30が接続を希望するプライベートサーバ14の名称を指示(indicates)し、サーバコンピュータ12は、ディレクトリサービスプログラム28に関連するディレクトリ内を探索してプライベートサーバ14の現在のインターネットプロトコルアドレス及びプライベートサーバ14のメッセージサーバ15のポート番号を獲得し、サーバコンピュータ12はこうして、要求装置30とプライベートサーバ14との間の接続がセットアップされることを可能とするように保証され(engaged)、説明のために特に、要求装置30とプライベートサーバ14との間の3つの接続方法が提供され、
第1に、“https”のような安全なウェブプロトコルを用いた良く知られるやり方で直接的な接続が提供され、この方法において、一旦サーバコンピュータ12が要求装置30によって提供された接続要求を確認(validate)すると、良く知られた方法で単純にプライベートサーバ14に転送され、その後全ての相互作用が、通信セッション中に要求装置30とプライベートサーバ14の間で直接行われ、
第2に、サーバコンピュータ12がプライベートサーバ14へのネットワークアクセスを持つが、プライベートサーバ14がインターネット16からアクセス不可能で、ローカルエリアネットワークのようなネットワーク内でのみ有効なネットワークアドレスを持ち得る場合に、要求装置30とプライベートサーバ14との間の接続を提供するためにこれもまた良く知られたやり方でプロキシサーバ(図示せず)が用いられる、
方法。」

第5 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項が、国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載されているか否かについて
そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項と、上記(記載事項1)、及び(記載事項2)とを対比し、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項が、国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載されているか否かを判断する。

I.対比・判断
1.本件補正後の請求項1に記載された「(1)プライベートネットワークを経由してパブリックネットワークにアクセス可能で、前記プライベートネットワークと前記パブリックネットワーク間のゲートウェイ機能により、前記パブリックネットワークからのアクセスを拒否される第一のコンピュータ」は、(記載事項2)の「プライベートサーバ14がインターネット16からアクセス不可能で、ローカルエリアネットワークのようなネットワーク内でのみ有効なネットワークアドレスを持ち得る場合」の「プライベートサーバ14」に対応している。

2.本件補正後の請求項1に記載された「(2)前記パブリックネットワークに接続され、他のコンピュータからアクセス可能であり、前記プライベートネットワークへの直接的なインタフェースを持たない第二のコンピュータ」は、(記載事項2)の「インターネットと接続され、インターネット要求を受け入れ」る「サーバコンピュータ12」に対応している。

3.本件補正後の請求項1に記載された「(3)前記パブリックネットワークにアクセス可能な第三のコンピュータ」は、(記載事項2)の「ウェブブラウザ等の要求装置(Requesting Device)30」に対応している。

4.本件補正後の請求項1に記載された「前記第三のコンピュータから前記第一のコンピュータへの通信を提供する」は、(記載事項1)の「プライベートサーバ14へのリモートアクセスを提供する」することに対応している。

5.本件補正後の請求項1に記載された「a)前記第一のコンピュータから前記第二のコンピュータに向けて送信される登録要求であって、前記パブリックネットワークからのアクセスに必要な、第一のコンピュータを識別する情報を含む当該登録要求を、前記第二のコンピュータが前記パブリックネットワーク及び前記プライベートネットワークを介して周期的に又は断続的に受信するステップ」は、(記載事項1)の「プライベートサーバ14には、プライベートサーバ14のロケーションをサーバコンピュータ12へ通信する手段5及び通信機能3が提供され」、「(当審注:プライベートサーバ14の)プライベートメッセージング及びデータ管理機能9は、インターネット16からメッセージを受け取るためにプライベートサーバ14が利用可能であることを指示する(indicating)ための登録ルーチン21を備え、(当審注:サーバコンピュータ12の)ディレクトリサービスプログラム28を更新して、プライベートサーバ14のインターネットプロトコルアドレスに起こり得る変更に注意を向けさせる(address)ために、登録ルーチン21が周期的に連動(engaged)し、プライベートサーバ14のメッセージ等の通信を受け取る可能性は、ディレクトリサービスプログラム28で、名前列(name string)あるいは数字列(digit string)を登録することによって登録ルーチン21により通信され、この通信には、上述のように時々変更されるプライベートサーバ14の現在のインターネットプロトコルアドレスが含まれ、プライベートサーバ14の現在のインターネットプロトコルアドレスが時々提供され、ディレクトリサービスプログラム28にダイナミックに記憶され」ることに対応している。

6.本件補正後の請求項1に記載された「b)前記第三のコンピュータから前記第一のコンピュータへの通信要求を、前記第三のコンピュータが前記パブリックネットワークを介して前記第二のコンピュータに送信し、これを前記第二のコンピュータが受信するステップ」は、(記載事項2)の「ウェブブラウザ等の要求装置(Requesting Device)30がプライベートサーバ14への接続を要求する時、要求装置30はサーバコンピュータ12にまず接続し、要求装置30が接続を希望するプライベートサーバ14の名称を指示(indicates)し」に対応している。

7.本件補正後の請求項1に記載された「c)前記第二のコンピュータは、前記第三のコンピュータから受信した前記第一のコンピュータに対する通信要求を処理するため」は、(記載事項2)の「サーバコンピュータ12は、インターネットと接続され、インターネット要求を受け入れ」、「要求装置30とプライベートサーバ14との間の接続がセットアップされることを可能とする」ことに対応している。

8.本件補正後の請求項1に記載された「c)」のステップのうち「i)前記第二のコンピュータは、少なくとも一つの前記第一のコンピュータより前記周期的または断続的に受信した登録情報の中から、前記第三のコンピュータが通信要求の対象とする第一のコンピュータに関する識別情報を特定し」は、(記載事項1)の「サーバコンピュータ12が、上記プライベートサーバ14へのリモートアクセスを提供するために、レジストレーション及びDNS機能6、あるいは、プライベートサーバ14のロケーション通信のための通信手段5に応答する手段を提供し、
ディレクトリサービスプログラム28は、サーバコンピュータ12と動作可能に接続され、ディレクトリサービスプログラム28は、ディレクトリサービスプログラム28のディレクトリ内容(directory content)をダイナミックに修正することのできるドメインネームサーバ(DNS)6等のプロトコルを用いて提供されるダイナミック・ディレクトリを備え」との記載、上記「5.」で引用した(記載事項1)の記載、及び(記載事項2)の「ウェブブラウザ等の要求装置(Requesting Device)30がプライベートサーバ14への接続を要求する時、要求装置30はサーバコンピュータ12にまず接続し、要求装置30が接続を希望するプライベートサーバ14の名称を指示(indicates)し、サーバコンピュータ12は、ディレクトリサービスプログラム28に関連するディレクトリ内を探索してプライベートサーバ14の現在のインターネットプロトコルアドレス及びプライベートサーバ14のメッセージサーバ15のポート番号を獲得し」との記載に対応している。

9.本件補正後の請求項1に記載された「c)」「ii)」のステップのうち、「前記ステップa)における登録要求の通信のための前記第一のコンピュータと第二のコンピュータ間のコネクション」は、「前記第三のコンピュータから前記第一のコンピュータへの通信を提供する」ため、つまり「前記第三のコンピュータと前記第一のコンピュータとの間における情報の送信またはデータの受信を前記プライベートネットワークおよび前記パブリックネットワークを介して行う」ためにも使用されるものである。
しかし、(記載事項1)には、「プライベートサーバ14には、プライベートサーバ14のロケーションをサーバコンピュータ12へ通信する手段5及び通信機能3が提供され」、「サーバコンピュータ12が、上記プライベートサーバ14へのリモートアクセスを提供するために、レジストレーション及びDNS機能6、あるいは、プライベートサーバ14のロケーション通信のための通信手段5に応答する手段を提供し」、「ディレクトリサービスプログラム28は、サーバコンピュータ12と動作可能に接続され、ディレクトリサービスプログラム28は、ディレクトリサービスプログラム28のディレクトリ内容(directory content)をダイナミックに修正することのできるドメインネームサーバ(DNS)6等のプロトコルを用いて提供されるダイナミック・ディレクトリを備え」と記載されているにすぎず、「前記ステップa)における登録要求の通信のための前記第一のコンピュータと第二のコンピュータ間のコネクション」を、「前記第三のコンピュータから前記第一のコンピュータへの通信を提供する」ため、つまり「前記第三のコンピュータと前記第一のコンピュータとの間における情報の送信またはデータの受信を前記プライベートネットワークおよび前記パブリックネットワークを介して行う」ために使用することについては、(記載事項1)及び(記載事項2)の何れにも記載されていない(下線は当審にて付与した。)。

10.本件補正後の請求項1に記載された「c)」「ii)」のステップのうち、「前記ステップb)における通信要求のための前記第三のコンピュータと前記第二のコンピュータ間のコネクション」は、「前記第三のコンピュータから前記第一のコンピュータへの通信を提供する」ため、つまり「前記第三のコンピュータと前記第一のコンピュータとの間における情報の送信またはデータの受信を前記プライベートネットワークおよび前記パブリックネットワークを介して行う」ためにも使用されるものである。
しかし、(記載事項2)には「ウェブブラウザ等の要求装置(Requesting Device)30がプライベートサーバ14への接続を要求する時、要求装置30はサーバコンピュータ12にまず接続し、要求装置30が接続を希望するプライベートサーバ14の名称を指示(indicates)し」と記載されているに過ぎず、「前記ステップb)における通信要求のための前記第三のコンピュータと前記第二のコンピュータ間のコネクション」を、「前記第三のコンピュータから前記第一のコンピュータへの通信を提供する」ため、つまり「前記第三のコンピュータと前記第一のコンピュータとの間における情報の送信またはデータの受信を前記プライベートネットワークおよび前記パブリックネットワークを介して行う」ために使用することについては、(記載事項1)及び(記載事項2)の何れにも記載されていない(下線は当審にて付与した。)。

11.本件補正後の請求項1に記載された「c)」のステップのうち、「ii)前記第二のコンピュータは、前記ステップa)における登録要求の通信のための前記第一のコンピュータと第二のコンピュータ間のコネクションと、前記ステップb)における通信要求のための前記第三のコンピュータと前記第二のコンピュータ間のコネクションとが、前記第二のコンピュータのプロキシ機能により一つのコネクションになるよう設立し、前記第三のコンピュータと前記第一のコンピュータとの間における情報の送信またはデータの受信を前記プライベートネットワークおよび前記パブリックネットワークを介して行うステップ」に関して、(記載事項2)には、「サーバコンピュータ12は、インターネットと接続され、インターネット要求を受け入れ、これらの要求を上記サーバコンピュータ12とプライベートサーバ14との間の接続に置き換える(translate)ように構成され、ウェブブラウザ等の要求装置(Requesting Device)30がプライベートサーバ14への接続を要求する時、要求装置30はサーバコンピュータ12にまず接続し、要求装置30が接続を希望するプライベートサーバ14の名称を指示(indicates)し、サーバコンピュータ12は、ディレクトリサービスプログラム28に関連するディレクトリ内を探索してプライベートサーバ14の現在のインターネットプロトコルアドレス及びプライベートサーバ14のメッセージサーバ15のポート番号を獲得し、サーバコンピュータ12はこうして、要求装置30とプライベートサーバ14との間の接続がセットアップされることを可能とするように保証され(engaged)、説明のために特に、要求装置30とプライベートサーバ14との間の3つの接続方法が提供され」と記載され、続けて「要求装置30とプライベートサーバ14との間」に「提供され」る「3つの接続方法」が、
「第1に、“https”のような安全なウェブプロトコルを用いた良く知られるやり方で直接的な接続が提供され」る場合(以下、「第1の場合」という。)と、
「第2に、サーバコンピュータ12がプライベートサーバ14へのネットワークアクセスを持つが、プライベートサーバ14がインターネット16からアクセス不可能で、ローカルエリアネットワークのようなネットワーク内でのみ有効なネットワークアドレスを持ち得る場合」(以下、「第2の場合」という。)とに分けて記載されている。
そして、本件補正後の請求項1に記載された「第一のコンピュータ」は、「前記プライベートネットワークと前記パブリックネットワーク間のゲートウェイ機能により、前記パブリックネットワークからのアクセスを拒否される」ものであるから、本件補正後の請求項1に記載された事項は、「“https”のような安全なウェブプロトコルを用いた良く知られるやり方で直接的な接続が提供され」る「第1の場合」ではなく、「サーバコンピュータ12がプライベートサーバ14へのネットワークアクセスを持つが、プライベートサーバ14がインターネット16からアクセス不可能で、ローカルエリアネットワークのようなネットワーク内でのみ有効なネットワークアドレスを持ち得る場合」である「第2の場合」に該当する。
しかし、(記載事項2)には、「第2の場合」について、「要求装置30とプライベートサーバ14との間の接続を提供するためにこれもまた良く知られたやり方でプロキシサーバ(図示せず)が用いられる」と記載されているにすぎず、本件補正後の請求項1に記載された、「前記プライベートネットワークへの直接的なインタフェースを持たない」「前記第二のコンピュータ」が、「前記ステップa)における登録要求の通信のための前記第一のコンピュータと第二のコンピュータ間のコネクションと、前記ステップb)における通信要求のための前記第三のコンピュータと前記第二のコンピュータ間のコネクションとが、前記第二のコンピュータのプロキシ機能により一つのコネクションになるよう設立し、前記第三のコンピュータと」、「前記プライベートネットワークと前記パブリックネットワーク間のゲートウェイ機能により、前記パブリックネットワークからのアクセスを拒否される」「前記第一のコンピュータとの間における情報の送信またはデータの受信を前記プライベートネットワークおよび前記パブリックネットワークを介して行う」ことについては、(記載事項1)及び(記載事項2)の何れにも記載されていない(下線は当審にて付与した。)。

II.まとめ
以上のとおり、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1について、
1.「前記ステップa)における登録要求の通信のための前記第一のコンピュータと第二のコンピュータ間のコネクション」を、「前記第三のコンピュータから前記第一のコンピュータへの通信を提供する」ため、つまり「前記第三のコンピュータと前記第一のコンピュータとの間における情報の送信またはデータの受信を前記プライベートネットワークおよび前記パブリックネットワークを介して行う」ために使用するとの事項は、国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載されておらず、また、国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載した事項から自明であるとも認められない(下線は当審にて付与した。)。

2.「前記ステップb)における通信要求のための前記第三のコンピュータと前記第二のコンピュータ間のコネクション」を、「前記第三のコンピュータから前記第一のコンピュータへの通信を提供する」ため、つまり「前記第三のコンピュータと前記第一のコンピュータとの間における情報の送信またはデータの受信を前記プライベートネットワークおよび前記パブリックネットワークを介して行う」ために使用するとの事項は、国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載されておらず、また、国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載した事項から自明であるとも認められない(下線は当審にて付与した。)。

3.「前記プライベートネットワークへの直接的なインタフェースを持たない」「前記第二のコンピュータ」が、「前記ステップa)における登録要求の通信のための前記第一のコンピュータと第二のコンピュータ間のコネクションと、前記ステップb)における通信要求のための前記第三のコンピュータと前記第二のコンピュータ間のコネクションとが、前記第二のコンピュータのプロキシ機能により一つのコネクションになるよう設立し、前記第三のコンピュータと」、「前記プライベートネットワークと前記パブリックネットワーク間のゲートウェイ機能により、前記パブリックネットワークからのアクセスを拒否される」「前記第一のコンピュータとの間における情報の送信またはデータの受信を前記プライベートネットワークおよび前記パブリックネットワークを介して行う」との事項は、国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載されておらず、また、国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載した事項から自明であるとも認められない(下線は当審にて付与した。)。

よって、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項は、国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載した事項のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入しないものではない。

第6 結論
従って、この出願は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項が、国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内にないから、平成14年法律第24号改正附則第2条によりなお従前の例によるとされる、特許法第184条の18において読み替えて準用する特許法第49条第5号の規定に該当し、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-09-28 
結審通知日 2012-10-11 
審決日 2012-11-06 
出願番号 特願2001-585536(P2001-585536)
審決分類 P 1 8・ 54- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小林 義晴千本 潤介▲はま▼中 信行  
特許庁審判長 清水 稔
特許庁審判官 稲葉 和生
衣川 裕史
発明の名称 プライベート通信ポータルにおいてワイヤレス命令を処理するためのシステム,コンピュータ製品及び方法  
代理人 大塚 文昭  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 西島 孝喜  
代理人 小川 信夫  
代理人 箱田 篤  
代理人 箱田 篤  
代理人 中村 稔  
代理人 中村 稔  
代理人 西島 孝喜  
代理人 小川 信夫  
代理人 大塚 文昭  

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