• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1271817
審判番号 不服2012-2829  
総通号数 161 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-05-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-02-14 
確定日 2013-03-21 
事件の表示 特願2002-507401「成分送給機構、プラズマリアクタ、及び、半導体基板を処理する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 1月10日国際公開、WO02/03415、平成16年 1月22日国内公表、特表2004-502318〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 [1]手続の経緯
本願は、2001年6月8日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2000年6月30日 米国)を国際出願日とする出願であって、平成23年2月17日付けで拒絶理由通知がなされ、同年8月12日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年10月13日付けで拒絶査定がなされ、平成24年2月14日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、手続補正書が提出され,同年5月7日付けで審尋が通知され、同年7月24日付けで回答書が提出されたものである。

[2]平成24年2月14日付け手続補正についての補正却下の決定
<結論>
平成24年2月14日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
<理由>
1.補正の内容
本件補正は、補正前の請求項6、7を削除するとともに、補正前の請求項1を、以下のとおりに補正するものである。
「【請求項1】処理チャンバ内でワークピースを処理するために使用される成分を前記処理チャンバ内部に分配する成分送給機構であって、
前記成分を前記処理チャンバの所望の領域に出力する複数の成分出力部であって、前記成分を前記処理チャンバの第一の領域に出力するよう構成された第一の成分出力部と、前記成分を前記処理チャンバの第二の領域に出力するよう構成された第二の成分出力部とを少なくとも含む複数の成分出力部であって、前記処理チャンバの前記第一の領域が前記ワークピースの中央部分に対応し、前記処理チャンバの前記第二の領域が前記ワークピースの外側部分に対応する、複数の成分出力部と、
単一のガス供給源に接続されるとともに、前記第一と第二の成分出力部に接続された空間分配スイッチと、
を備え、
前記空間分配スイッチは、前記成分を前記第一の成分出力部に振り向ける第一の状態と、前記成分を前記第二の成分出力部に振り分ける第二の状態とを有し、処理中に前記処理チャンバ内部に前記成分を空間的に分配するために状態間の時間調節を行うよう構成されており、
前記成分は、前記単一のガス供給源から供給される気体原材料であり、
前記空間分配スイッチは、前記単一のガス供給源から受け取った前記気体原材料を、前記第一の領域のために前記第一の成分出力部に伝達するか、又は、前記第二の領域のために前記第二の成分出力部に伝達するものであり、 前記単一のガス供給源は、ガスマニホールドと、複数の個別のガス供給源と、前記ガスマニホールドと前記複数の個別のガス供給源とを接続する複数のガス流入ラインと、を有するガスボックスである、成分送給機構。」(下線部が補正箇所である。)

2.補正の目的
上記補正は、請求項の削除を目的とするものに該当し、また、補正前の請求項1において、「単一のガス供給源」についての限定を行うものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

3.独立特許要件
上記補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものかどうかを検討する。
(1)引用刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本出願の優先権主張日前に日本国内において頒布された特開平9-291366号公報(以下、「引用刊行物1」という。)には、以下の事項が記載されている。

(1a)「【特許請求の範囲】
【請求項1】処理容器内の処理空間にシャワーヘッド部のガス噴出面よりプラズマ発生用の不活性ガスと反応性ガスを供給して被処理体に対してプラズマ処理を施すプラズマ処理装置において、前記シャワーヘッド部のガス噴出面には、反応性ガスを噴出するために複数の群に分けられた反応性ガス噴出孔と、不活性ガスを供給するために前記ガス噴出面の略全面に亘って配置された不活性ガス噴出孔とが形成されており、前記反応性ガス噴出孔の各群にはガスの供給停止が独立的に制御可能な反応性ガス供給系が接続されており、前記群毎の反応性ガス供給系には時分割で前記各群を走査するように供給・停止を制御するガス供給制御部が接続されていることを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項2】前記反応性ガスの噴出孔は、前記ガス噴出面に群毎に同心円状に配列されていることを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置。」
(第2頁右欄第1-17行)

(1b)「本発明の目的は、被処理体の面内にエリアを分けて時分割的に反応性ガスを供給することにより高い真空引き効率を維持してプラズマ処理の面内均一性を確保することができるプラズマ処理方法及びプラズマ処理装置を提供することにある。」(第3頁第3欄第8行-13行)

(1c)「【0009】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係るプラズマ処理方法及びプラズマ処理装置の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。図1は本発明に係るプラズマ処理装置を示す構成図、図2はシャワーヘッド部のガス噴出面を示す平面図、図3はプラズマ処理装置のシャワーヘッド部のヘッド溝を連なるように切断した時の状況を示す拡大断面図である。」(第3頁第4欄第5行-第12行)

(1d)「【0023】次に、以上のように構成された本実施例の動作について説明する。ここでは、このプラズマエッチング処理装置2を用いて、シリコン基板を有するウエハ上のシリコン酸化膜のエッチングを実施する場合について説明すると、まず被処理体であるウエハWは、……処理容器4内へと搬入され、静電チャック16上に載置される。……処理容器4内は排気手段によって真空引きされていく。他方、通常開閉弁54が開放されると共に時分割開閉弁50A?50Dが時分割的に開閉されて、マスフローコントローラ52A?52Dによってその流量が調整されつつ、処理ガス源58からC_(4)F_(8)ガスが供給される。また、開閉弁68、74が開放されて、マスフローコントローラ70によってその流量が調整されつつArガス源76からArガスが供給される。
【0024】……
他方、エッチング用の反応性ガスであるC_(4)F_(8)ガスはそれぞれの反応性ガス供給系48A?48Dを介して対応する反応性ガスヘッド溝44A?44Dに流れ込み、そして、通路46を通って群毎の反応性ガス噴出孔36A?36Dより処理空間内に時分割的に導入される。 …… これにより処理空間にはプラズマが立ち、反応性ガスが活性化されてウエハ表面の例えばSiO_(2)にプラズマエッチング処理が施されることになる。……
【0025】……反応性ガスは群毎に設けた時分割開閉弁48A?48Dがガス供給制御部60からの制御により電気信号或いは空気圧により時分割的に開閉駆動し、処理空間に供給される。……結果的に、プラズマ処理の面内均一性を高く維持することができるのみならず、処理速度も低下することはない。」(第5頁左欄第40行-同頁右欄第41行)

(1e)「【0026】ここで反応性ガスの供給パターンについて具体的に説明する。図5は反応性ガスの供給の第1のパターンを示す図であり、……。図5(A)に示すように……ガス噴出面全面よりArガスを連続的に供給している。これに対して、時分割開閉弁50A?50Dは3秒のピッチで所定の時間T、例えば1秒だけ開くように時分割で開閉操作が繰り返されている。従って、反応性ガスは、図5(B)に示すように1群の反応性ガス噴出孔36A→2群の反応性ガス噴出孔36B→3群の反応性ガス噴出孔36C→4群の反応性ガス噴出孔36Dの順となるように半径方向外方に向かって繰り返し走査され、時分割で供給されることになる。……また、各群毎に時分割開閉弁が開かれるている(「開かれている」の誤記;審決注)間隔や流量は、エッチング速度、選択比、形状、処理の均一性等について最適化するように設定されている。
【0027】
……尚、上記実施例では、反応性ガス噴出孔は4つの群に分ける場合を例にとって説明したが、これは単に一例を示したに過ぎず、4つ以外の数の群に分割して時分割で供給・停止を制御するようにしてもよい。」(第5頁右欄第42行-第6頁左欄第34行)

上記記載事項(1a)-(1d)によれば、引用刊行物1には、処理容器内でシリコン基板を有するウエハ上のシリコン酸化膜をエッチングするために使用される反応性ガス(C_(4)F_(8))を、単一の処理ガス源58から複数の群に分けられたガス噴出孔の開閉弁により、前記容器内部に群毎に時分割的に導入する反応性ガス供給機構について記載されており、該供給機構により、プラズマ処理の面内均一性を高く維持するものである。
そして、同(1e)によれば、前記反応性ガスの供給パターンとして、例えば、ガス噴出孔を36A-36Dの4つの群に分け、同心円状に配列し、36Aから順に半径方向外方に向かって、時分割で開閉操作が繰り返されることが記載されるが、各群毎に時分割開閉弁が開かれる間隔は、エッチング速度、選択比、形状、処理の均一性等について最適化するように設定されること、また、4つ以外の数の群に分割して時分割で供給・停止を制御してもよいものである。
そうすると、反応性ガスの供給パターンとしては、ガス噴出孔を同心円状に2つの群、すなわち、中央ガス噴出孔群と外側ガス噴出孔群に分割し、それぞれの開閉弁の開閉を交互に行い、容器内部の処理空間へガスを分配するための中央ガス噴出孔群へガスを振り向ける状態と外側ガス噴出孔群へガスを振り向ける状態間の時間調節を行うことを含んでおり、また、前記開閉弁は、処理ガス源からの単一の反応性ガスを、シリコン基板を有するウエハ上のシリコン酸化膜の中央部に供給すべく、前記中央ガス噴出孔群に伝達し、該シリコン酸化膜の外側部に供給すべく、前記外側ガス噴出孔群に伝達するものも含まれることは明らかである。

よって、引用刊行物1には、
「処理容器内でシリコン基板を有するウエハ上のシリコン酸化膜をエッチングするために使用される反応性ガス(C_(4)F_(8))を前記処理容器内部に分配する反応性ガス供給機構であって、
前記反応性ガスを前記処理容器の所望の領域に導入する2つのガス噴出孔群であって、前記反応性ガスを前記処理容器の第一の領域に噴出するように構成された中央ガス噴出孔群と、前記反応性ガスを前記処理容器の第二の領域に噴出するように構成された外側ガス噴出孔群とを含む2つのガス噴出孔群であって、前記処理容器の前記第一の領域が前記シリコン基板を有するウエハ上のシリコン酸化膜の中央部分に対応し、前記処理容器の前記第二の領域が前記シリコン基板を有するウエハ上のシリコン酸化膜の外側部分に対応する、2つのガス噴出孔群と、
単一の処理ガス源と前記2つのガス噴出孔群との間のガス流路にそれぞれ1つづつ接続された2つの開閉弁と、
を備え、
前記開閉弁は、前記反応性ガスを前記中央ガス噴出孔群に振り向ける状態と前記反応性ガスを前記外側ガス噴出孔群に振り向ける状態とを有し、エッチング中に前記処理容器内部に前記反応性ガスを空間的に分配するために状態間の時間調整を行うよう構成され、
前記反応性ガスは、前記単一の処理ガス源から供給される気体原材料であり、
前記開閉弁は、前記単一の処理ガス源から受け取った前記反応性ガスを、前記第一の領域に供給すべく、前記中央ガス噴出孔群に伝達するか、又は、前記第二の領域に供給すべく、前記外側ガス噴出孔群に伝達する、反応性ガス供給機構。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

本願補正発明と引用発明とを対比する。
引用発明における「処理容器」、「シリコン基板を有するウエハ上のシリコン酸化膜」、「エッチング」、「反応性ガス(C_(4)F_(8))」、「2つのガス噴出孔群」、「中央ガス噴出孔群」、「外側ガス噴出孔群」、「単一の処理ガス源」、「前記中央ガス噴出孔群に振り向ける状態」、「前記外側ガス噴出孔群に振り向ける状態」、「反応性ガス供給機構」は、それぞれ、本願補正発明における「処理チャンバ」、「ワークピース」、「処理」、「成分」、「複数の成分出力部」、「第一の成分出力部」、「第二の成分出力」、「単一のガス供給源」、「前記第一の成分出力部に振り向ける第一の状態」、「前記第二の成分出力部に振り向ける第二の状態」、「成分送給機構」に相当する。
また、引用発明における「単一の処理ガス源と前記2つのガス噴出孔群との間のガス流路にそれぞれ1つづつ接続された2つの開閉弁」は、「単一の処理ガス源からの前記反応性ガスを前記中央ガス噴出孔群に振り向ける状態と前記反応性ガスを前記外側ガス噴出孔群に振り向ける状態とを有し、エッチング中に前記処理容器内部に前記反応性ガスを空間的に分配するために状態間の時間調整を行うよう構成され」るものであって、「空間分配装置」としての機能を有する点において、本願補正発明の「空間分配スイッチ」と共通する。

よって、両者は、
「処理チャンバ内でワークピースを処理するために使用される成分を前記処理チャンバ内部に分配する成分送給機構であって、
前記成分を前記処理チャンバの所望の領域に出力する複数の成分出力部であって、前記成分を前記処理チャンバの第一の領域に出力するよう構成された第一の成分出力部と、前記成分を前記処理チャンバの第二の領域に出力するよう構成された第二の成分出力部とを少なくとも含む複数の成分出力部であって、前記処理チャンバの前記第一の領域が前記ワークピースの中央部分
に対応し、前記処理チャンバの前記第二の領域が前記ワークピースの外側部分に対応する、複数の成分出力部と、
空間分配装置と、
を備え、
前記空間分配装置は、前記成分を前記第一の成分出力部に振り向ける第一の状態と、前記成分を前記第二の成分出力部に振り分ける第二の状態とを有し、処理中に前記処理チャンバ内部に前記成分を空間的に分配するために状態間の時間調節を行うよう構成されており、
前記成分は、前記単一のガス供給源から供給される気体原材料であり、
前記空間分配装置は、前記単一のガス供給源から受け取った前記気体原材料を、前記第一の領域のために前記第一の成分出力部に伝達するか、又は、前記第二の領域のために前記第二の成分出力部に伝達するものである、
成分送給機構。」である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
空間分配装置が、本願補正発明では、「スイッチ」であるのに対し、引用発明では、「単一の処理ガス源と前記2つのガス噴出孔群との間のガス流路にそれぞれ1つづつ接続された2つの開閉弁」である点。

(相違点2)
本願補正発明では、「前記単一のガス供給源が、ガスマニホールドと、複数の個別のガス供給源と、前記ガスマニホールドと前記複数の個別のガス供給源とを接続する複数のガス流入ラインと、を有するガスボックスである」のに対し、引用発明ではその記載がない点。

上記相違点1、2について検討する。
・(相違点1)について
ガス流を、分岐する二つのガス流路に振り分ける手段として、切換弁、すなわち切換スイッチは、流体制御上の慣用手段にすぎず、引用発明において、2つの開閉弁を1つの「スイッチ」とするとともに、単一の処理ガス源と前記「スイッチ」とを1つの流路で接続することにより、相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは、所望とする装置の操作性等に応じて適宜なしえる設計的事項にすぎない。

・(相違点2)について
半導体装置の製造分野において、例えば、シリコン酸化膜のプラズマエッチングの際、エッチングガスとして、C_(4)F_(8)+CH_(2)F_(2)等複数のガスを混合したガスを用いること、また、混合ガスを単一のガス供給源として、エッチング処理チャンバに供給する際に、該単一のガス供給源を「ガスマニホールドと、複数の個別のガス供給源と、前記ガスマニホールドと前記複数の個別のガス供給源とを接続する複数のガス流入ラインと、を有するガスボックス」と構成することは、いずれも周知の事項(下記周知例1、2参照)であり、引用発明において、単一ガス供給源として、該周知の構成のガスボックスを用いることは、当業者が必要に応じて適宜なしえる設計的事項にすぎない。

・周知例1(特開平6-196450号公報)
「【0026】実施例1
本実施例は、……、c-C_(4)F_(8)(オクタフルオロシクロブタン)/CH_(2)F_(2)(ジフルオロメタン)混合ガスを用いてSiO_(2)層間絶縁膜をエッチングしてコンタクトホールを形成する際に、…… 。」(第4頁第5欄第49行-第6欄第8行)

「【0029】このウエハをRFバイアス印加型の有磁場マイクロ波プラズマ・エッチング装置にセットし、まず第1段階としてたとえば下記の条件で
SiO_(2)層間絶縁膜2をエッチングした。
c-C_(4)F_(8 )流量 10 SCCM
CH_(2)F_(2 )流量 15 SCCM
…… 」(第4頁第6欄第41行-第5頁第7欄第1行)

・周知例2(特開平9-48690号公報)
図1には、エッチング等のガス反応装置へガスを供給する反応ガス供給装置として、ガスボンベボックス2とガスボックス3と外部パイプP_(01)とP_(02)とから構成される一つの密封領域(「ガスボックス」に相当)内に、複数種のガスのガスボンベB1、B2、B3(「ガス供給源」に相当)と、前記複数種のガスが混合される1本の共通の内部パイプP_(i4)(「ガスマニホールド」に相当)と、前記配管部分と前記複数のガスボンベB1、B2、B3とを接続する複数のパイプP_(i1)、P_(i2)、P_(i3)(「ガス流入ラインに相当」)を有するものが記載されている。

そして、本願補正発明が、引用発明及び周知、慣用技術からは予想し得ない格別の効果を奏するものとも認められない。
よって、本願補正発明は、引用発明及び周知、慣用技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.まとめ
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

[3]本願発明
上記のとおり、平成24年2月14日付け手続補正は却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成23年8月12日付け手続補正書により補正された請求項1に記載された事項により特定されるものと認められ、その請求項1に係る発明は、以下のとおりである。

「【請求項1】処理チャンバ内でワークピースを処理するために使用される成分を前記処理チャンバ内部に分配する成分送給機構であって、
前記成分を前記処理チャンバの所望の領域に出力する複数の成分出力部であって、前記成分を前記処理チャンバの第一の領域に出力するよう構成された第一の成分出力部と、前記成分を前記処理チャンバの第二の領域に出力するよう構成された第二の成分出力部とを少なくとも含む複数の成分出力部であって、前記処理チャンバの前記第一の領域が前記ワークピースの中央部分に対応し、前記処理チャンバの前記第二の領域が前記ワークピースの外側部分に対応する、複数の成分出力部と、
単一のガス供給源に接続されるとともに、前記第一と第二の成分出力部に接続された空間分配スイッチと、
を備え、
前記空間分配スイッチは、前記成分を前記第一の成分出力部に振り向ける第一の状態と、前記成分を前記第二の成分出力部に振り分ける第二の状態とを有し、処理中に前記処理チャンバ内部に前記成分を空間的に分配するために状態間の時間調節を行うよう構成されており、
前記成分は、前記単一のガス供給源から供給される気体原材料であり、
前記空間分配スイッチは、前記単一のガス供給源から受け取った前記気体原材料を、前記第一の領域のために前記第一の成分出力部に伝達するか、又は、前記第二の領域のために前記第二の成分出力部に伝達する、成分送給機構。」(以下、「本願発明」という。)

[4]引用刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、前記引用刊行物1には、上記「[2]3.(1)」に記載のとおりの事項が記載されている。

[5]対比・判断
本願発明は、「前記単一のガス供給源は、ガスマニホールドと、複数の個別のガス供給源と、前記ガスマニホールドと前記複数の個別のガス供給源とを接続する複数のガス流入ラインと、を有するガスボックスである、」との特定事項を含まない以外は、本願補正発明と同じ発明特定事項を含むものであり、上記「[2]3.(3)」に記載のとおり、本願補正発明が、引用刊行物1に記載された発明及び周知、慣用技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明についても、引用刊行物1に記載された発明及び周知、慣用技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

[6]むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願は他の請求項について検討するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-10-12 
結審通知日 2012-10-16 
審決日 2012-11-07 
出願番号 特願2002-507401(P2002-507401)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H01L)
P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 今井 淳一  
特許庁審判長 鈴木 正紀
特許庁審判官 松岡 美和
井上 茂夫
発明の名称 成分送給機構、プラズマリアクタ、及び、半導体基板を処理する方法  
代理人 特許業務法人明成国際特許事務所  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ