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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B01D
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B01D
管理番号 1272012
審判番号 不服2012-10362  
総通号数 161 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-05-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-06-05 
確定日 2013-03-28 
事件の表示 特願2005-292258「排ガスの処理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 5月25日出願公開、特開2006-130499〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成17年10月5日(優先権主張 平成16年10月7日)の出願であって、平成23年7月14日付けの手続補正を却下する平成24年3月22日付けの補正却下の決定とともに、同日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成24年6月5日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正がされたものである。

2.平成24年6月5日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成24年6月5日付けの手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正後の本願発明
平成24年6月5日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項1は、
「【請求項1】
半導体製造工程から排出される、塩素、塩化水素、三塩化ホウ素、四塩化珪素、四塩化チタン、塩化アルミニウム、及びジクロロシランから選ばれるハロゲン系ガスを含む排ガスを、非吸着性充填剤の存在下、水、またはアルカリ性水溶液、還元性水溶液、アルカリ金属化合物の塩を含む水溶液及びアルカリ土類金属化合物の塩を含む水溶液から選ばれる薬液に接触させる段階と、吸着剤に水または該薬液を添加する段階と、該排ガスを、該吸着剤と接触させる段階とからなり、該排ガスから該ハロゲン系ガスを除去することを特徴とする排ガスの処理方法。」と補正された(下線は、補正箇所を示すものとして当審において付した。)。

上記請求の範囲についての補正は、補正前の請求項5に記載された「薬液」について、上記下線部記載のように限定するものであって、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下「平成18年改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

なお、参考までに述べるに、ここで補正後の請求項1を補正前の請求項5に対応させたが、これを補正前の請求項1に対応させたとすると、補正後の請求項1が補正前の請求項1に対して、「非吸着性充填剤の存在下、水または薬液に接触させる段階」を付加したものとなり、いわゆる外的付加の補正となることから、限定的「減縮」を目的とするとはいえなくなる。ただし、このように補正後の請求項1を補正前の請求項5に対応させると、補正後の請求項2ないし4が補正前の請求項2ないし4からみて外的付加の補正となるのではないかとの疑義がある。

(2)原査定の2回目の平成23年5月26日付け拒絶理由通知書による拒絶の理由4(以下「2回目の拒絶理由4」という。)に引用文献1として挙げられた、特開平10-263357号公報(以下「引用例」という。)には、廃棄ガスの処理方法に関し、図面、特に【図10】とともに次の技術事項が記載されている。
・「【0002】
【従来の技術】一般的に、半導体ヂバイス製造工程では各々の有害性、腐蝕性、引火性ガスを使用する。例えば、化学蒸気蒸着(CVD)、低圧CVD、プラズマ強化CVD、プラズマ腐蝕、エピタクシ蒸着のような半導体ヂバイス製造工程では多量のシラン(SiH_(4))、ジクロロシラン(SiH_(2)Cl_(2))、アンモニア(4NH_(3))、酸化窒素(NO)、アルシン(AsH_(3))、ホスフィン(PH_(3))、ジボラン(B_(3)H_(6))、三塩化ホウ素(BCl_(3))などを使用できるが、半導体ヂバイス製造工程中にはこの中で少量だけが使用される。
【0003】従って、このような半導体ヂバイス製造工程中に発生された廃棄ガスにはシラン(SiH_(4))、ジクロロシラン(SiH_(2)Cl_(2))、アンモニア(4NH_(3))、アルシン(AsH_(3))、ホスフィン(PH_(3))、ジボラン(B_(2)H_(6))、三塩化ホウ素(BCl_(3))、六フッ化タングステン(WF_(6))、三臭化リン(PBr_(3))、テトラエチルオルガノシリケイト((C_(2)H_(5)O)_(4)Si)、トリイソブチルアルミニウム((C_(4)H_(9))_(3)Al)及びその他の有機金属のような毒性物質を比較的高い濃度を含めるので、大気中に排出する前に、大気汚染を防ぐために流出ガスの中に含まれたこのような毒性物質を除去するのが法律的に義務化されている。」
・「【0010】前記のような問題点を克服するために、米国、カリポニア州のナパ(napa)所在のデラテク社(Delatech Incoporated)のCDOT^(TM)システムは図10に図示されたように半導体ヂバイス製造工程中に発生されたガスを処理するために、バ-ニング方式、ウェティング方式及び吸着方式を使用したし、このシステムは次のように作動される。
【0011】工程ガス及び/又は蒸気がCDOT^(TM)システム201内に入ると、工程ガス及び/又は蒸気は酸化領域202で空気供給ノズル209から約60psiの圧力で供給された圧縮空気(O_(2))と混合される。その後、工程ガス/空気混合物は制御された熱分解/酸化を起こす熱反応領域203に入る。熱反応領域203で、工程ガス/空気混合物は650℃ないし900℃の温度で加熱される円筒形状の加熱要素208によって加熱される。加熱要素208内には鉄(Fe)、ニケル(Ni)、クロム(Cr)合金を鋳造するもので形成されるインコネル(inconel)チュ-ブ210が提供される。工程ガス/空気混合物が熱反応領域203の加熱によって点火されるのを防ぐために、熱反応領域203の温度が加熱要素208の作動によって650℃の温度に達したとき、窒素(N_(2))が窒素供給ソースから約20psiの圧力で熱反応領域203の上部に供給される。例えば、半導体ヂバイス製造工程中に発生されたガスの中に含まれたシラン(SiH_(4))、ジクロロシラン(SiH_(2)Cl_(2))、アンモニア(4NH_(3))、アルシン(AsH_(3))、ホスフィン(PH_(3))、ジボラン(B_(2)H_(6))、六フッ化タングステン(WF_(6))のような成分は熱反応領域203で次のような化学反応によって浄化される。
【0012】SiH_(4)+2O_(2) →SiO_(2)+2H_(2)O
SiH_(2)Cl_(2)+3/2O_(2)→SiO_(2)+H_(2)O+Cl_(2)
4NH_(3)+3O_(2)→2N_(2)+3H_(2)O
AsH_(3)+3O_(2)→As_(2)O_(3)+3H_(2)O
4PO_(3)+4O_(2)→P_(2)O_(5)+3H_(2)O
B_(2)H_(6)+3O_(2)→B_(2)O_(3)+3H_(2)O
WF_(6)+3/2O_(2)→WO_(3)+3F_(2)
【0013】熱反応領域203に提供される酸化ノズルアセムブリは工程ガスと熱反応領域203の入り口にある空気供給ノズル209からの圧縮空気流を混合させるように設計される。このような設計は、熱反応を始め空気供給ノズル209での粒子生成を減少及び/又は除去する位置を制御して、空気供給ノズル209の寿命を向上させる。制御された酸素環境は高温からの熱が維持され、完全熱反応を向上させる間に効果的に反応できる混合物を作る。これら特徴などは可燃性及び毒性ガス及び蒸気などが抑制、制御される方式で完全に反応される可能性を増加させる。
【0014】前記のような熱反応領域203はインコネルチュ-ブ210によって反応性ガス混合物から隔離された高温ヒ-タ-で作られる。ヒ-タ-は最少の反応チェンバ-温度を維持するように制御される熱伝対である。
【0015】前記のように反応されたガスは水噴射ノズル206,207から噴射される水によって粒子と水溶性ガス及び蒸気などがガスの流れから洗浄される1次及び2次冷却/除去領域204,205に入って、1次冷却/除去領域204を通過する間に、反応ガスは冷却され、ガスの水溶性成分は水に溶ける一方、不溶性成分は2次冷却/除去領域205を通過する間に、吸着剤211に吸着されることによって、ガスの可燃性及び毒性ガス成分が除去される。1次冷却/除去領域204で水噴射ノズル206から噴射され水溶性成分を含んだ水と、2次冷却/除去領域205で水噴射ノズル207から噴射されて吸着剤211に吸着された可燃性及び毒性ガス成分を洗浄した水は2次冷却/除去領域205の下部に位置されたドレ-ン通路212を通じて排出される。ドレ-ン通路212にはドレ-ンフロ-センサ-213が設置されてあり、ドレ-ン通路212が水に含まれた成分によって塞がることによって、水位が上昇されたとき、ドレ-ンフロ-センサ-213が浮くことによって電気回路を開放し、それによって水噴射ノズル206,207から水が噴射されるのを中止させる。」

ここで、引用例において次のことが明らかである。
・熱反応領域203にて、ジクロロシラン(SiH_(2)Cl_(2))が酸化して塩素(Cl_(2))を生成しており(段落【0012】)、また、一般に三塩化ホウ素(BCl_(3))(段落【0003】)が熱分解して塩化水素(HCl)を発生することは技術常識であるから、熱反応領域203の次の領域である1次冷却/除去領域204にて処理対象となる廃棄ガスは、半導体ヂバイス製造工程から排出される、ジクロロシラン、三塩化ホウ素などのハロゲン系ガスを含む廃棄ガスが、少なくとも塩素や塩化水素という反応されたハロゲン系ガスを含む廃棄ガスとなっているといえる。
・1次冷却/除去領域204にて、上記反応されたハロゲン系ガスを含む廃棄ガスに水噴射ノズル206から水を噴射しているが、この段階を、廃棄ガスを水に接触させる段階ということができる。
・2次冷却/除去領域205にて、吸着剤211に水噴射ノズル207から水を噴射しているが、この段階を、吸着剤に水を添加する段階ということができる。

そうすると、引用例には、次の発明が開示されていると認められる(以下、この発明を「引用発明」という。)。
「半導体ヂバイス製造工程から排出される、ジクロロシラン、三塩化ホウ素などのハロゲン系ガスを含む廃棄ガスを、少なくとも塩素や塩化水素という反応されたハロゲン系ガスを含む廃棄ガスとし、該廃棄ガスを、水に接触させる段階と、吸着剤に水を添加する段階と、該廃棄ガスを、該吸着剤と接触させる段階とからなり、該廃棄ガスから該ハロゲン系ガスを除去する廃棄ガスの処理方法。」

(3)本願補正発明と引用発明との対比
両発明を対比するに、本願補正発明の「半導体製造工程から排出される、塩素、塩化水素、三塩化ホウ素、四塩化珪素、四塩化チタン、塩化アルミニウム、及びジクロロシランから選ばれるハロゲン系ガスを含む排ガス」と、引用発明の「半導体ヂバイス製造工程から排出される、ジクロロシラン、三塩化ホウ素などのハロゲン系ガスを含む廃棄ガスを、少なくとも塩素や塩化水素という反応されたハロゲン系ガスを含む廃棄ガス」とした「廃棄ガス」とはともに、「ハロゲン系ガスを含む排ガス」との点で概念上共通する。

すると両発明の一致点、相違点は次のとおりである。
(一致点)
「ハロゲン系ガスを含む排ガスを、水に接触させる段階と、吸着剤に水を添加する段階と、該排ガスを、該吸着剤と接触させる段階とからなり、該排ガスから該ハロゲン系ガスを除去する排ガスの処理方法。」

(相違点)
1.本願補正発明の処理対象ガスが、「半導体製造工程から排出される、塩素、塩化水素、三塩化ホウ素、四塩化珪素、四塩化チタン、塩化アルミニウム、及びジクロロシランから選ばれるハロゲン系ガスを含む排ガス」であるのに対して、引用発明は、半導体ヂバイス製造工程から排出される、ジクロロシラン、三塩化ホウ素などのハロゲン系ガスを含む廃棄ガスを、少なくとも塩素や塩化水素という反応されたハロゲン系ガスを含む廃棄ガスとしたものである点。
2.本願補正発明が、排ガスを「非吸着性充填剤の存在下、水、またはアルカリ性水溶液、還元性水溶液、アルカリ金属化合物の塩を含む水溶液及びアルカリ土類金属化合物の塩を含む水溶液から選ばれる薬液に接触させる」のに対して、引用発明は、少なくとも塩素や塩化水素というハロゲン系ガスを含む反応された廃棄ガスを、非吸着性充填剤を存在させずに水に接触させる点。
3.本願補正発明が「吸着剤に水または該薬液を添加する」のに対して、引用発明は吸着剤に水を添加する点。

(4)相違点についての判断
ア.相違点1について
引用発明の場合、最初の段階(1次冷却/除去領域204)にて処理対象となる廃棄ガスに含まれる塩素や塩化水素といったハロゲン系ガスは半導体ヂバイス製造工程から直接排出されるものではない。
しかし、一般に半導体製造工程における排ガス中に含まれるハロゲン系ガスとしては、例えば、2回目の拒絶理由4に引用文献2として挙げられた、特開2000-157836号公報の【請求項8】などにも記載があるように、塩素、臭素、ヨウ素、フッ化水素、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、四フッ化珪素、四塩化珪素、四塩化チタン、塩化アルミニウム、四フッ化ゲルマニウム及び六フッ化タングステンといったハロゲン系ガスが周知である。
そして、引用発明において、反応によって生じる塩素や塩化水素は、それ以降の段階(領域204,205)にて除去されるものと理解されることから、引用発明の方法によって、塩素や塩化水素といったハロゲン系ガスの含まれた廃棄ガス、さらには前掲特開2000-157836号公報に記載されたようなハロゲン系ガスを含む廃棄ガスをも処理できることは明らかである。
そうすると、引用発明のものにおいて、塩素、塩化水素などのハロゲン系ガスを含む廃棄ガスたる処理対象として、相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項のものとすることは、当業者が適宜なし得た域を出ることではない。

イ.相違点2について
(ア)引用発明は、廃棄ガスを水に接触させることによりガスの水溶性成分などを水に溶かすものと理解されるが、その時に、非吸着性充填剤は存在していない。
(イ)ここで、排ガスを吸収液に接触させて処理する場合に、ラシヒリングなどの充填剤を併せ用いることは、また、そうした吸収液として水酸化ナトリウム等の薬液を用いることは、次に例示したものに見られるように、周知の技術的事項である。
例えば、2回目の拒絶理由4に引用文献4として挙げられた特開昭63-162026号公報には、特殊なガスを除去するために吸収液としては次亜塩素酸ナトリウム又は塩素水を使用するものであるが、吸収液に併せて充填剤として具体的にラシヒリングを用いることが記載されている。この公報には、また、1頁右欄18ないし20行に、吸収液として従来は水酸化ナトリウムなどを使用していたとの記載もある。
また、特開平2-233122号公報にも、フッ素ガスを除去するものであるが、苛性アルカリと亜硫酸アルカリの吸収液を用い、併せてラシヒリングなどの充填剤を用いる例が記載されている。
(ウ)そうすると、引用発明の、廃棄ガスを水に接触させる段階において、水以外にも、薬液として水酸化ナトリウムなどを用いること、そして、ラシヒリングなどの非吸着性充填剤を存在させること、すなわち、相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項を採用することは、当業者にとって上記周知の技術的事項を勘案することにより容易想到の範囲内の事項である。

ウ.相違点3について
(ア)引用発明は、吸着剤に水を添加して、吸着剤に吸着された毒性ガス成分などを洗浄などをするものであり、本願補正発明も吸着剤に水を添加してよいのであるから、相違点3は実質的な相違点ではない。
なお、2回目の拒絶理由4において引用文献3として挙げられた特開2001-149749号公報の段落【0016】などにも、水を供給して活性炭を再生させる旨の記載があり、吸着剤に水を添加して吸着剤の性能を再生させる技術は周知といえる。
(イ)相違点3は実質的なものではないのだが、ここで、吸着剤に添加する物質として水酸化ナトリウムなどの薬液の使用の可能性について念のため検討する。
引用発明の場合、吸着以前の段階(即ち領域204の段階)において、水に代えて水酸化ナトリウムなどの吸収液を使用することは何ら困難なことではなく、実際に水酸化ナトリウムなどの吸収液を使用した場合には、吸着剤に対してもその水酸化ナトリウムなどをそのまま使用することが考えられてよいはずである。特に廃棄ガスにフッ素ガスなどが含まれるとすれば、吸着段階においてもその除去に有利に働くことになるのであり、引用発明において、吸着剤に水以外の水酸化ナトリウムなどの薬液を添加するようにすることも、当業者にとって格別創意を要することではないと言える。

エ.以上を踏まえると、本願補正発明の発明特定事項は、引用発明及び周知の技術的事項に基づいて、当業者が容易に採用し得たものである。
そして、本願補正発明により、引用発明及び周知の技術的事項からみて格別顕著な効果が奏されるとも言えない。
したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
(1)本願発明
平成24年6月5日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項5に係る発明は、平成23年5月9日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項5に記載されたとおりのものであるところ、そこには次のとおり記載されている。
「【請求項5】
ハロゲン系ガスを含む排ガスを、予め前工程で、非吸着性充填剤の存在下、水または薬液に接触させる段階を更に含む請求項1に記載の排ガスの処理方法。」

ここで、請求項1には、「吸着剤に水または薬液を添加する段階と、半導体製造工程から排出される、塩素、塩化水素、三塩化ホウ素、四塩化珪素、四塩化チタン、塩化アルミニウム、及びジクロロシランから選ばれるハロゲン系ガスを含む排ガスを、該吸着剤と接触させる段階とからなり、該排ガスから該ハロゲン系ガスを除去することを特徴とする排ガスの処理方法。」と記載があることから、結局、請求項5には実質的に次のとおり記載されていると言える。
「吸着剤に水または薬液を添加する段階と、半導体製造工程から排出される、塩素、塩化水素、三塩化ホウ素、四塩化珪素、四塩化チタン、塩化アルミニウム、及びジクロロシランから選ばれるハロゲン系ガスを含む排ガスを、該吸着剤と接触させる段階と、ハロゲン系ガスを含む排ガスを、予め前工程で、非吸着性充填剤の存在下、水または薬液に接触させる段階を更に含む、該排ガスから該ハロゲン系ガスを除去することを特徴とする排ガスの処理方法。」(以下、この請求項5に係る発明を「本願発明」という。)

(2)引用刊行物
2回目の拒絶理由4に引用文献1として挙げられた引用例及びその記載事項は、前記2.(2)に記載したとおりである。

(3)対比・判断
本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明から、前記限定事項を省いたものに相当する。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに他の発明特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記2.(4)に記載したとおり、引用発明及び周知の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-01-28 
結審通知日 2013-01-29 
審決日 2013-02-12 
出願番号 特願2005-292258(P2005-292258)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B01D)
P 1 8・ 575- Z (B01D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 菊谷 純三崎 仁  
特許庁審判長 新海 岳
特許庁審判官 加藤 友也
松岡 美和
発明の名称 排ガスの処理方法  
代理人 大谷 保  

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