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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H02B 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H02B |
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管理番号 | 1272013 |
審判番号 | 不服2012-11536 |
総通号数 | 161 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-05-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-06-21 |
確定日 | 2013-03-28 |
事件の表示 | 特願2008-550025「ガス絶縁開閉装置」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 6月26日国際公開、WO2008/075436〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は,平成18年12月21日を国際出願日とする出願であって,平成24年3月29日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年6月21日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。 第2.原査定 原査定における拒絶の理由の一つは,以下のとおりのものと認める。 「この出願の請求項に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 1.特開昭58-222706号公報 2.特開平11-8916号公報 3.特開平10-229614号公報」 第3.平成24年6月21日付け手続補正の却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成24年6月21日付け手続補正(以下「本件補正」という)を却下する。 [理由] 1.本件補正の概要 本件補正は,平成23年11月2日付けで補正された特許請求の範囲をさらに補正するもので,請求項1については,補正前に 「互いに平行に配置された多相主母線と直角方向に平行配置されると共に,前記主母線方向から見て互いに重なって配置された多相遮断器を各相別に金属容器内に収納し,上記多相主母線を上記多相遮断器の両口出部間に配置してなるガス絶縁開閉装置において, 上記金属容器の一端にそれぞれ設けられ,上記遮断器から垂直方向に延びる口出部となる母線側接続端子と, 上記金属容器の他端にそれぞれ設けられ,上記遮断器から垂直方向に延びる口出部となる線路側接続端子と, 上記母線側接続端子と上記多相主母線とを各相毎に接続を行う第1の連結部と, 上記線路側接続端子と外部線路とを各相毎に接続を行う第2の連結部とを備え, 上記第1の連結部あるいは第2の連結部の少なくとも二相は同一形状のものを使用するようにしたことを特徴とするガス絶縁開閉装置。」 とあるのを 「互いに平行に配置された多相主母線と直角方向に平行配置されると共に,前記主母線方向から見て互いに重なって配置された多相遮断器を各相別に金属容器内に収納し,上記多相主母線を上記多相遮断器の両口出部間に配置してなるガス絶縁開閉装置において, 上記金属容器の一端にそれぞれ設けられ,上記遮断器から垂直方向に延びる口出部となる母線側接続端子と, 上記金属容器の他端にそれぞれ設けられ,上記遮断器から垂直方向に延びる口出部となる線路側接続端子と, 上記母線側接続端子と上記多相主母線とを各相毎に接続を行う第1の連結部と, 上記線路側接続端子と外部線路とを各相毎に接続を行う第2の連結部とを備え, 上記第1の連結部の少なくとも二相は同一形状のものを使用するようにしたことを特徴とするガス絶縁開閉装置。」 と補正するものである。 請求項1の補正は,少なくとも二相が同一形状のものを使用する連結部について,第2の連結部を除外して第1の連結部に限定したものである。そして,請求項1の補正が,産業上の利用分野及び解決しようとする課題を変更するものでないことは明らかである。 したがって,少なくとも請求項1の補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで,本件補正後の請求項1に記載された発明(以下,「本願補正発明」という)が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について検討する。 2.引用刊行物 (1)原査定の拒絶の理由に引用され,本願の出願前に頒布された刊行物である特開昭58-222706号公報(以下「引用例1」という。)には,ガス絶縁開閉装置に関し,図面とともに次の事項が記載されている。 1a)「[発明の技術分野] 本発明は,二重母線方式のガス絶縁開閉装置の配置構成に関するものである。 [発明の技術的背景] 変電所或いは開閉所における開閉装置は,変電所或いは開閉所自体の用地の入手難の為,または装置を屋内に設置する場合もある為,よりコンパクトにすることが望まれている。そこで,開閉装置を構成する各機器も絶縁性に優れたSF_(6)ガス等の絶縁ガスで密封される他,各機器相互の配置構成も立体的になされる。」(第1頁右下欄第7行?第17行) 1b)「床面に配置された横置形のしゃ断器3の一方の口出し部3Aには,T字形の管路区分器11が接続されている。このT字形管路区分器11の一方の口出し部は,上方向を向いており,そこに管路導体12が垂直に接続されている。他方の口出し部は,この管路導体12の軸線に対して直角方向であって,しゃ断器11の内側に向かって水平に設けられている。 さて,2系統の主母線1,2は,上下に重ねられ状態で,しゃ断器3の上方に配置され,且つ,しゃ断器3の軸線方向と直交して配置されている。この主母線1,2を構成する上方の主母線1の上面及び下方の主母線2の下面には,それぞれ断路器13a,13bが接続されている。そして,上方の主母線1の断路器13aと前記管路導体12の上端とは,管路区分器14及び上方の水平な管路導体15aにより接続されている。また,下方の主母線2の断路器13bには,前記T字形管路区分器12の水平方向を向いた口出し部から延びる下方別の水平な管路導体15bが接続されている。 以上の構成によれば,2系統の主母線1,2を水平方向に平行に並べた構成を採らずに済み,上下に重ねることができるので,開閉装置の設置スペースを1系統の主母線の幅に相当する分まで縮小できる。」(第2頁右上欄第15行?左下欄第20行) 1c)第3図及び第4図を参照すると,2系統の主母線1,2それぞれが互いに平行に配置された3本の主母線からなり,3つのしゃ断器3が,主母線方向から見て互いに重なって配置されていることが看取できる。そして,引用例1に記載のガス絶縁開閉装置は変電所或いは開閉所で使用されるものであるから(記載事項1a参照),上記3本の主母線及び3つのしゃ断器が3相分の主母線及びしゃ断器であることは明らかである。 1d)第3図及び第4図を参照すると,しゃ断器3には,一方の口出し部3Aと同様に他方の口出し部が形成されており,両口出し部がともに垂直方向に延びており,主母線1,2がこれら両口出し部間に配置されていることが看取できる。 1e)しゃ断器は線路の導通をしゃ断するためのものであるので,しゃ断器3の他方の口出し部に外部線路が接続されることは明らかある。そして,第3図及び第4図を参照すると,しゃ断器3の他方の口出し部には,3相ともに同一形状である連結部が接続されていることが看取でき,しゃ断器3の他方の口出し部と外部線路がこの連結部を介して接続されることは明らかである。 1f)上記記載事項1b,第3図及び第4図を参照すると,少なくともT字形管路区分器11,管路導体12及び管路区分器14は,3相とも同一形状のものが使用されているといえる。 上記記載事項1a?1f及び図面の記載によれば,引用例1には以下の発明が記載されているといえる(以下「引用発明」という。)。 「それぞれが互いに平行に配置された3相分の主母線からなる2系統の主母線1,2が,上下に重ねられた状態で,主母線方向から見て互いに重なって配置された横置形の3相分のしゃ断器3の上方に配置され,且つ,しゃ断器3の軸線方向と直交して配置され,且つ,しゃ断器3の一方の口出し部3Aと他方の口出し部の間に配置されており,しゃ断器の一方の口出し部3Aと他方の口出し部はともに垂直方向に延びており,しゃ断器の一方の口出し部3Aには,T字形の管路区分器11が接続され,このT字形管路区分器11の一方の口出し部は,上方向を向いており,そこに管路導体12が垂直に接続されており,前記管路区分器11の他方の口出し部は,この管路導体12の軸線に対して直角方向であって,しゃ断器3の内側に向かって水平に設けられており,主母線1,2を構成する上方の主母線1の上面及び下方の主母線2の下面には,それぞれ断路器13a,13bが接続されており,上方の主母線1の断路器13aと前記管路導体12の上端とは,管路区分器14及び上方の水平な管路導体15aにより接続されており,下方の主母線2の断路器13bには,前記T字形管路区分器11の水平方向を向いた口出し部から延びる下方の水平な管路導体15bが接続されており,少なくとも前記T字形管路区分器11,前記管路導体12及び前記管路区分器14は,3相とも同一形状のものが使用されており,しゃ断器の他方の口出し部は,連結部を介して外部線路と接続されており,前記連結部は,3相ともに同一形状であるガス絶縁開閉装置」 (2)前置報告で引用され,本願の出願前に頒布された刊行物である特開2000-50435号公報(以下「引用例2」という。)には,二重母線方式のガス絶縁開閉装置に関し,次の事項が記載されている。 2a)「【0009】図1及び図2に示すように,本実施例では,L形遮断器1aの上口出し側にT形分岐母線2を配置し,このT形分岐母線2の両側にL形断路器3a,3bを介して遮断器1aと直交する方向に二等辺三角形の頂点に各相を配した主母線4a,4bを配置している。この配置構成により主母線4a,4bから遮断器1aまでの長さL1を短くすることができ,ガス絶縁開閉装置の据付け面積を小さくすることができる。 【0010】また,図1及び図3に示すように,線路回線11と変圧器回線12を主母線4a,4bと直交する同一方向に設け,さらに線路回線用ブッシング13を変電所建屋屋上14に主母線4a,4bと平行に設置する。このような配置構成により変圧器回線11と線路回線12を図8に示す従来のように逆方向に設置するよりも,主母線4a,4bに直交する方向の長さを短縮することができ,ガス絶縁開閉装置の設置面積を縮小することができる。」 2b)図1及び図2を参照すると,T形分岐母線2は3相とも同一形状のものを使用していること,各L形断路器3a,3bは,3相で主母線4a,4bとの接続位置はそれぞれ異なるが,L形である点で3相とも同一形状であることが看取できる。 (3)原査定の拒絶の理由に引用され,本願の出願前に頒布された刊行物である特開平11-8916号公報(以下「引用例3」という。)には,金属封止されたガス絶縁開閉装置に関し,図面とともに次の事項が記載されている。 3a)「【0012】電力遮断器1,2,3には,図2b から分かるように,それぞれ駆動側で上部に垂直に向いた接続短管16,17,18がある。接続短管16は電力遮断器1に,接続短管17は電力遮断器2に,そして接続短管18は電力遮断器3に付属している。これ等の接続短管16,17,19にはそれぞれ一つの汎用的に使用できる接続部材19が圧力封止されてフランジ接続されている。 【0013】図17に単純化して示す接続部材19は,欧州公開特許第 0 744 803号明細書に記載されているハウジングを前提としている。それ故,ここでは詳しく説明をしない。この部材は,前記特許明細書に記載されている組込可能性を依然として種々の分離態様に対して提供する。長手軸21に対称に配置されている新たに入れた延長部品20には,接地部品,破裂円板,センサ等に対する図示していない組込可能性がある。長手軸21に垂直に横軸21a がある。接続部材19の長手軸21は電力遮断器1,2,3の駆動側の接続短管16,17,18の各長手軸22,23,24に一致する。長手軸22が接続短管16に,長手軸23が接続短管17に,そして長手軸24が接続短管18に付属している。母線9,10,11は各接続部材19を貫通し,接続部材19の内部空間19a に分岐分離器が配置されている。この分岐分離器は母線9,10,11を付属する各電力遮断器1,2,3に電気接続することを切り離す。接続部材19の上部開口19b は,この場合,カバーで圧力気密状態で閉ざされ,このカバーは内部空間19a の中に配置されている分岐分離器の駆動部を担持する。」 3b)「【0016】接続短管25,26,27には,ここではそれぞれ一つの中間片31がフランジ止めされている。この中間片31には,例えば電流センサのようなセンサがある。中間片31はモジュール寸法Mの 0.5倍に相当する構造長を有する。中間片31の上には,接続部材19の長手軸21が長手軸28,29,30に一致するようにそれぞれ一つの接続部材19が載置されている。これ等の接続部材19には,出口と付属する各電力遮断器1,2,3の間の電気接続を中断する一つの長手分離器が組み込まれている。接続部材19の上部の開口19b の上には,ここでは中間円管32が気密状態で載置されている。この中間円管32は単一のモジュール寸法Mに相当する構造長を有する。中間円管32の上には他の接続部材19が,横軸21a が各長手軸28,29,30に一致するように組み込まれている。この接続部材19の長手軸21は出口36,37,38の第三面内にある長手軸33,34,35に一致する。図1は互いに平行に配置された出口36,37,38を示すが,例えば出口36,37,38の端部に高圧高架線の中継用の高圧貫通穴を備えているなら,これ等の端部で高架線に必要な電圧間隔にするため,出口36,37,38を広げる必要がある。出口36,37,38のこれ等の広げは中間円管32を簡単に捩じって達成している。」 3c)図17を参照すると,汎用的に使用できる接続部材19として,長手軸21の一方(上側)の端部に3方向に向いた開口を有する接続部材が示されている。そして,上記記載事項3a,3b及び図1,2を参照すると,接続部材19の各開口は,接続短管及び中間円管等の他の接続部材と接続される接続部であって,他の接続部材に接続されない開口はカバーで閉ざされるものであり,該接続部材19は,配置状況に応じて,3方向に設けられた接続部のいずれかに他の接続部材を選択的に接続することにより汎用的に使用されるものであるといえる。 3.対比・判断 本願補正発明と引用発明とを対比する。 引用発明の「3相分の主母線1,2」,「3相分のしゃ断器3」,「しゃ断器3の一方の口出し部3A」,「しゃ断器3の他方の口出し部」及び「連結部」は,それぞれ本願補正発明の「多相主母線」,「多相遮断器」,「母線側接続端子」,「線路側接続端子」及び「第2の連結部」に相当する。 引用発明の「T字形管路区分器11」,「管路導体12」,「管路区分器14」,「水平な管路導体15a,15b」及び「断路器13a,13b」からなるものが,本願補正発明の「第1の連結部」に相当する。 以上のことから,本願補正発明と引用発明は,本願補正発明の表記にできるだけしたがえば, 「互いに平行に配置された多相主母線と直角方向に平行配置されると共に,前記主母線方向から見て互いに重なって配置された多相遮断器を有し,上記多相主母線を上記多相遮断器の両口出部間に配置してなるガス絶縁開閉装置において, 上記多相遮断器の一端にそれぞれ設けられ,上記遮断器から垂直方向に延びる口出部となる母線側接続端子と, 上記多相遮断器の他端にそれぞれ設けられ,上記遮断器から垂直方向に延びる口出部となる線路側接続端子と, 上記母線側接続端子と上記多相主母線とを各相毎に接続を行う第1の連結部と, 上記線路側接続端子と外部線路とを各相毎に接続を行う第2の連結部とを備えたガス絶縁開閉装置。」 である点で一致し,以下の点で相違する。 [相違点1] 本願補正発明では,多相遮断器が各相別に金属容器内に収納され,金属容器に母線側接続端子及び線路側接続端子が設けられているのに対し,引用発明では,しゃ断器3が金属容器内に収納されたものか否か不明な点。 [相違点2] 本願補正発明では,第1の連結部の少なくとも二相は同一形状のものを使用するようにしたのに対し,引用発明では,T字形管路区分器11,管路導体12及び管路区分器14は,3相とも同一形状のものが使用されているが,T字形管路区分器11,管路導体12,管路区分器14,水平な管路導体15a,15b及び断路器13a,13bからなるものが,少なくとも二相で同一形状のものを使用するようにした構成とはなっていない点。 上記相違点1について検討する。 ガス絶縁開閉装置において,遮断器を金属容器内に収納し,該金属容器に接続端子を設けることは,例えば,特開2003-319515号公報(段落【0002】?【0007】,図2参照),特開2003-259514号公報(段落【0004】,【0006】,図5参照),特開2003-219521号公報(段落【0016】?【0017】,図1参照)に記載されているように周知技術である。 したがって,引用発明において,上記周知技術を参酌し,上記相違点1に係る構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。 上記相違点2について検討する。 ガス絶縁開閉装置において,遮断器と母線とを連結する連結部の形状を各相で同一形状とし,機器の標準化を向上することは,例えば,特開平4-304105号公報(段落【0006】?【0008】参照)に記載されているように従来周知の課題であるので,引用発明において,T字形管路区分器11,管路導体12及び管路区分器14のみならず,水平な管路導体15a,15b及び断路器13a,13bも含めたしゃ断器3の一方の口出し部3Aと主母線1,2との間を接続する連結部を各相で同一形状にしようとすることは当業者であれば容易に想到し得たことである。 引用例2に記載されたL形断路器3a,3bは,二等辺三角形の頂点に配された各相の主母線と接続されるものであるところ,例えば,引用例3に記載されているように,接続部材の端部に3方向の接続部を設け,この3方向の接続部に選択的に他の接続部材を接続することが周知技術であることを考慮すれば,3相の主母線を二等辺三角形の頂点に配する構成とすることにより,3相の主母線に接続される断路器として端部に3方向の接続部を有するものが採用でき,3相で同一形状の断路器を使用できることは明らかである。 また,ガス絶縁開閉装置において,遮断器の2つの口出部の間に,二等辺三角形の頂点に配された3相の主母線を配置することは,例えば,特開昭58-6018号公報(第4図参照)に記載されているように従来から行われていることである。 以上のことから,引用発明において,しゃ断器3の一方の口出し部3Aと主母線1,2との間を接続する連結部を各相で同一形状とすべく,引用例2に記載の事項を適用し,3相の主母線1,2を二等辺三角形の頂点に配し,各相の主母線1,2と管路区分器14及びT字形管路区分器11間を同一形状の断路器を介して接続する構成として,上記相違点2に係る構成とすることは当業者が容易になし得たことである。 そして,本願補正発明により得られる作用効果も,引用発明,引用例2に記載の事項及び周知技術から当業者であれば予測できる程度のものであって,格別なものとはいえない。 よって,本願補正発明は,引用発明,引用例2に記載の事項及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるので,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができない。 4.むすび 以上のとおりであるから,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので,同法159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第4.本願発明 本件補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明は,平成23年11月2日付けで補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである(以下「本願発明」という。「第3」の「1.本件補正の概要」参照。)。 第5.引用刊行物 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物及びその記載事項は,前記「第3」の「2.引用刊行物」の「(1)」に記載したとおりである。 第6.対比・判断 本願発明は,本願補正発明から,前記「第3」の「1.本件補正の概要」に記載した限定を外したものである。 そして,引用発明において,しゃ断器の他方の口出し部と外部線路を接続する連結部は3相ともに同一形状であるから,引用発明は,本願発明における「第2の連結部の少なくとも二相は同一形状のものを使用するようにした」との要件を備える。 したがって,本願発明と引用発明とは,上記相違点1でのみ相違するから,本願発明は,引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである(前記「第3」の「3.対比・判断」参照)。 第7.むすび 以上のとおり,本願発明は,引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから,本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。 したがって,原査定は妥当であり,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2013-01-23 |
結審通知日 | 2013-01-29 |
審決日 | 2013-02-13 |
出願番号 | 特願2008-550025(P2008-550025) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H02B)
P 1 8・ 575- Z (H02B) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 片岡 功行 |
特許庁審判長 |
千馬 隆之 |
特許庁審判官 |
小関 峰夫 杉浦 貴之 |
発明の名称 | ガス絶縁開閉装置 |
代理人 | 村上 啓吾 |
代理人 | 竹中 岑生 |
代理人 | 吉澤 憲治 |
代理人 | 大岩 増雄 |