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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 G11B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G11B
管理番号 1272241
審判番号 不服2011-20128  
総通号数 161 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-05-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-09-16 
確定日 2013-04-02 
事件の表示 特願2006-503698「媒体コンテンツ識別」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 9月10日国際公開、WO2004/077241、平成19年11月29日国内公表、特表2007-535080〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成16年2月20日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2003年2月21日 2003年10月10日、米国(US))を国際出願日とする出願であって、平成22年9月27日付けの拒絶理由通知に対する応答期間内の平成23年4月4日付けで手続補正がなされたが、同年5月9日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月16日付けで拒絶査定不服審判が請求されるとともに同日付けで手続補正がなされた。
その後、平成24年2月27日付けで前置報告書の内容に基づく審尋がなされ、平成24年9月5日付けで回答書が提出されたものである。

第2 平成23年9月16日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成23年9月16日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本件補正
平成23年9月16日付け手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲について補正するものであってそのうち請求項1については、本件補正前に、

「【請求項1】
媒体コンテンツ読取装置と、
媒体上のトラック数、上記媒体の開始位置からの上記媒体上のトラックの距離及び上記媒体コンテンツ読取装置が読み取ったトラックフィンガプリントのうちの少なくとも2つから媒体識別子を作成するプログラミングされたプロセッサと、
サーバと、
上記プログラミングされたプロセッサを上記サーバに接続するインタフェースと、
上記媒体識別子を用いて上記サーバにより検索されるコンテンツ情報のデータベースとを備える媒体コンテンツ識別装置。」
とあったところ、

本件補正後、
「【請求項1】
媒体コンテンツ読取装置と、
媒体コンテンツが非商用コンテンツを含むかどうかを判断し、上記媒体コンテンツが非商用コンテンツを含む場合には、上記媒体上のトラック数、上記媒体の開始位置からの上記媒体上のトラックの距離及び上記媒体コンテンツ読取装置が読み取ったトラックフィンガプリントのうちの少なくとも2つから媒体識別子を作成するプログラミングされたプロセッサと、
サーバと、
上記プログラミングされたプロセッサを上記サーバに接続するインタフェースと、
上記媒体識別子を用いて上記サーバにより検索されるコンテンツ情報のデータベースとを備える媒体コンテンツ識別装置。」
としようとするものである。

本件補正について、審判請求人は、『先ず、補正の根拠をご説明いたしますと、「媒体コンテンツが非商用コンテンツを含むかどうかを判断し、上記媒体コンテンツが非商用コンテンツを含む場合に」媒体上のトラック数、媒体の開始位置からの媒体上のトラックの距離及び媒体コンテンツ読取装置が読み取ったトラックフィンガプリントのうちの少なくとも2つから媒体識別子を作成する構成については、一例として、明細書段落0021「このように、一実施例に基づき、媒体を検査し、媒体が非商用媒体であるか否かを判定する媒体検査方法では、ドライブが書込可能なドライブであるか否かを判定し、ドライブが書込可能なドライブである場合、媒体が閉じた媒体であるか否かを判定する。媒体が閉じた媒体でない場合、媒体を非商用媒体であるとみなし、媒体が非商用媒体である場合の媒体識別処理を行うことができる。」との記載、同0028「このように、一実施形態に基づく媒体コンテンツ識別方法では、非商用媒体検査を実行する。媒体コンテンツが非商用コンテンツである場合、処理は、媒体から媒体コンテンツの全てのトラックのフィンガプリントを抽出し、媒体コンテンツの全てのトラックのフィンガプリントを含む媒体識別子を作成し、この媒体識別子によりデータベースを検索する。」との記載等を根拠としております。従いまして、このたびの補正は、新規事項の追加ではなく、特許請求の範囲を限定的に減縮する目的でなされたものであり、補正の要件(特許法第17条の2第5項)を充足するものと思料いたします。』
と主張している。
そこで、本件補正の適否について、請求項1に係る発明について以下検討する。

2.独立特許要件(サポート要件)について
本願明細書の発明の詳細な説明には、以下の記載がある。
「【0027】ステップ348において、非商用媒体検査200により、媒体が非商業的に作成されたものであると判定された場合、又はステップ364において、媒体が識別されなかった場合、ステップ332において作成された媒体識別子により更なるデータベースクリエを実行する必要がない。これに代えて,ステップ380において、全てのトラックからトラックフィンガプリントを抽出し、後に詳細を説明するように、媒体上の全てのトラックのフィンガプリントを含むように媒体識別子を変更又は拡張する。ステップ384においては、媒体識別サーバ120及びメタデータサーバ124に拡張された媒体識別子を送信する。そして、ステップ388において、媒体識別サーバ120は、拡張された媒体識別子に基づいて、トラック識別処理を実行し、メタデータサーバ124は、メタデータ検索処理を実行する。これらの処理は、何れも、図7を用いて後に詳細に説明する。ステップ392では、媒体識別サーバ120及びメタデータサーバ124から応答を受信する。ステップ396において、メタデータ情報とともに、全てのトラックについて、検索された情報をユーザに表示し、ステップ320で処理を終了する。」
「【0028】このように、一実施例に基づく媒体コンテンツ識別方法では、非商用媒体検査を実行する。媒体コンテンツが非商用コンテンツである場合、処理は、媒体から媒体コンテンツの全てのトラックのフィンガプリントを抽出し、媒体コンテンツの全てのトラックのフィンガプリントを含む媒体識別子を作成し、この媒体識別子によりデータベースを検索する。更に、この媒体コンテンツ識別方法は、媒体コンテンツが非商用コンテンツであることを判定できない場合、媒体から、媒体コンテンツに関連する情報を読み出し、媒体上のトラック数、距離及び媒体から算出されたトラックフィンガプリントのうちの少なくとも2つから媒体識別子を作成する。(平成23年4月4日付け手続補正書)」
上記記載から、「媒体識別子」の作成について、媒体コンテンツが非商用コンテンツである場合、媒体から媒体コンテンツの全てのトラックのフィンガプリントを抽出して媒体コンテンツの全てのトラックのフィンガプリントを含む媒体識別子を作成し、一方、媒体コンテンツが非商用コンテンツであることを判定できない場合、媒体上のトラック数、距離及び媒体から算出されたトラックフィンガプリントのうちの少なくとも2つから媒体識別子を作成することが記載されているから、媒体コンテンツが非商用コンテンツを含むかどうかを判断し、上記媒体コンテンツが非商用コンテンツを含む場合には、上記媒体上のトラック数、上記媒体の開始位置からの上記媒体上のトラックの距離及び上記媒体コンテンツ読取装置が読み取ったトラックフィンガプリントのうちの少なくとも2つから媒体識別子を作成するという請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものでないことは明らかであるから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
したがって、本件補正後の請求項1に係る発明は、特許出願の際、独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
平成23年9月16日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし77に係る発明は、平成23年4月4日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし77に記載された事項により特定されるものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記「第2[理由]1.」の本件補正前の「請求項1」として記載したとおりのものである。

2.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である国際公開第98/025269号(国際公開日 平成10年6月11日、以下「引用例」という。)には、図面と共に、以下の記載がある。
なお、当審訳は、国際公開に係る国際出願の指定国である日本における特許出願の公表公報である、特表2001-506795号公報を基にして作成した。また、下線は当審で付与した。

(1)「APPARATUS AND METHOD FOR IDENTIFYING THE INFORMATION STOORED ON A MEDIUM」(1頁1?2行)
(当審訳:媒体上に記憶された情報を識別する装置および方法)

(2)「The inventor recognizes that the physical or logical arrangement of data stored on a medium is useful in identifying the content(i.e., video program, audio program, computer software,etc.)of the medium. A relatively unique profile of the physical and/or logical characteristics of the data stored on a medium may be determined by examining the medium containing the program data. The determined profile may then be compared to profiles stored, for example, in a database. These stored profiles are linked to, or associated with, descriptive information about program content, source, etc.. Thus, by matching the determined profile to a stored profile the user may retrieve descriptive information(i.e., information content indicia)about the program(s)recorded on his or her medium.
By advantageously including a sufficient number of characteristics the profile of data stored on a particular medium becomes relatively unique. The characteristics of the stored data may include, illustratively, format, total amount, logical segmentation(if any), segment amount, data samples at, e.g., segmentation boundaries,and other criteria. For example, a profile of the physical and/or logical characteristics of a first audio compact disk(CD)containing a musical recording is likely to be different than the profile of a second audio CD containing a different recording. The inventor has determined that a relatively unique profile of an audio compact disk may be created using only the number of tracks(N)and the length(L)of each track. The profile may be made more unique by including other characteristics, such as the first or last few bytes of each track, data samples of predetermined portions of the disk or the total length of all tracks.
The“uniqueness”of the profile increases as the number of characteristics used in the profile are increased. However, even if there are several profiles which match the “relatively unique”profile the user may simply select which of the several profiles he believes is correct or allow the several profiles to be retrieved. The user may also compare additional characteristics of the profiled CD to the several profiles to ensure a match. This additional profiling procedure may be automated and only called upon as necessary, thus saving memory and time.
FIGURE 1 shows a block diagram of a compact disk jukebox system according to the invention. The jukebox system 100 includes an input/output(I/O)unit 180 comprising a display 184, keypad 182 and speakers 186A,186B. The I/O unit 180 is coupled to, and controlled by, a controller 125.The controller generates the on-screen display(OSD)signals needed for displaying selection information, user prompts and other information on the display 184. The controller 125 receives and responds to user commands entered via the keypad 182. I/O unit 180 includes audio processing circuitry(not shown)which receives audio information from the controller 125, processes the information and couples the processed audio information to the speakers 186A,186B.
A media“stack”105 includes one or more media 105-1 through 105-N storing audio, video or other program information. The media stack is coupled to a media reader 115 which is capable of selecting any medium within the stack and reading the stored program information stored onto the medium. The media reader is controlled by controller 125. As previously discussed, the program information is stored on the media 105 according to various physical and logical characteristics. In the case of an audio CD, the program information may be characterized according to the number of tracks(songs)and the length of each track(run time). Additional characterizing features may include, e.g., the first few bytes of each track, the last few bytes of each track, data samples of predetermined portions of the media or the total length of all tracks. These characteristics are determined in a known manner by,e.g., reading the disk.
Controller 125 is coupled to a local database 135 and to supporting memory and processing elements(not shown). As used herein, the term“controller”is intended to be interpreted to include the terms“computer,”“microprocessor,”“microcontroller”and the like.The local database 135 is used for storing a plurality of profiles and associated descriptive information.
One of the plurality of profiles may match a profile of program information stored on the media 105.」(3頁10行?5頁8行)
(当審訳:本願発明の発明者は、媒体上に記憶されたデータの物理的あるいは論理的配列はその媒体の内容(すなわち、ビデオのプログラム、オーディオのプログラム、コンピュータのソフトウエア等)の識別に有効であることを知った。媒体上に記憶されたデータの物理的および/または論理的特性の比較的ユニークな(唯一性のある)プロファイル(profile)はプログラムデータを含む媒体を検査することによって決定される。次いで、決定されたプロファイルは、例えばデータベースに記憶されたプロファイルと比較される。これらの記憶されたプロファイルは、プログラムの内容、プログラムのソースに関する記述情報と組み合わされ、あるいは関連付けられる。従って、決定されたプロファイルを記憶されたプロファイルと照合(マッチング)させることにより、ユーザはユーザ自身の媒体上に記録されたプログラムに関する記述情報(すなわち、情報内容のインデシア)を検索することができる。
充分な数の特性を有効に含ませることによって、特定の媒体上に記憶されたデータのプロファイルは比較的ユニークなもの(唯一性のあるもの)となる。記憶されたデータの特性は、一例として、フォーマット、総量、論理的セグメント化(もしあれば)、セグメントの量、例えばセグメント化の境界におけるデータのサンプル、および他の基準を含むことがある。例えば、音楽の記録を含む第1のオーディオ・コンパクトディスク(CD)の物理的および/または論理的特性のプロファイルは、異なる記録を含む第2のオーディオCDのプロファイルと異なる傾向がある。本願発明者は、オーディオ・コンパクトディスクの比較的ユニークなプロファイルはトラック数(N)および各トラックの長さ(L)のみを使用して生成されると決定した。他の特性、例えば各トラックの最初および最後の数バイト、ディスクの予め定められた部分のデータのサンプル、あるいはすべてのトラックの全長を含ませることによってプロファイルを一層ユニークなものにすることができる。
プロファイルの“ユニーク性”はプロファイル中で使用される特性の数が増加するにつれて増大する。しかしながら、たとえ“比較的ユニーク”なプロファイルと一致する幾つかのプロファイルが存在しても、ユーザは正しいと信ずる幾つかのプロファイルのうちのどれかを選択するだけでもよいし、上記幾つかのプロファイルを検索することもできる。また、ユーザは、照合を確実にするためにプロファイル化されたCDの追加の特性を幾つかのプロファイルと比較してもよい。この追加のプロファイル化処理は自動化されてもよく、また必要とするときのみ要求され、これによってメモリおよび時間を節約することができる。
図1は本発明によるコンパクトディスク・ジュークボックスシステムのブロック図を示す。ジュークボックスシステム100は、表示部(ディスプレイ)184、キーパット182、およびスピーカ186A、186Bを含む入/出力(I/O)ユニット180を具えている。I/Oユニット180は制御部125に結合されていて、これによって制御される。制御部は選択情報、ユーザの指示および他の情報を表示部(ディスプレイ)184上に表示させるのに必要なオンスクリーン表示(on-screen display:OSD)を発生する。制御部125はキーパット182を介して入力されるユーザのコマンドを受信してこれに応答する。I/Oユニット180は、制御部125からのオーディオ情報を受信し、この情報を処理し、処理されたオーディオ情報をスピーカ186A、186Bに供給するオーディオ処理回路(図示せず)を含んでいる。
媒体“積層部(stack:スタック)”105には、オーディオ、ビデオ、あるいは他のプログラム情報を記憶した1あるいはそれ以上の媒体105-1乃至105-Nが含まれている。媒体積層部105は媒体読取り部(リーダ)115に結合されており、該媒体読取り部(リーダ)は積層部中の任意の媒体を選択して媒体上に記憶されたプログラム情報を読取ることができる。媒体読取り部は制御部125によって制御される。前述のように、プログラム情報は各種の物理的および論理的特性に従って媒体105上に記憶される。オーディオCDの場合、プログラム情報はトラック(歌)の番号、各トラックの長さ(動作(ラン:run)時間)に従って特徴付けられる。他の特徴付けられた特性は、例えば各トラックの最初の数バイト、各トラックの最後の数バイト、媒体の予め定められた部分のデータサンプル、あるいはすべてのトラックの全長を含んでいる。これらの特性は、例えばディスクを読出すことによって周知の態様で決定される。
制御125は局部(ローカル)データベース135と、支援メモリおよび処理要素(図示せず)に結合されている。ここで使用されている用語“制御部”は“コンピュータ”、“マイクロプロセッサ”、“マイクロコントローラ等の用語を含むものと解釈されるべきであることを意図している。局部データベース135は複数のプロファイルおよび関連する記述情報を記憶するために使用される。複数のプロファイルのうちの1つが媒体105に記憶されたプログラム情報のプロファイルと一致する可能性がある。)

(3)「The communications link 145 may comprise, e.g., a modem which connects to the remote database 155 via an Internet or direct-dial connection. The remote database 155 may comprise raw profile data which may be downloaded by the controller and stored in the local database. In this case the raw data may need to be converted into a form which is suitable for comparison to the determined profile. For example, the raw profile data may include more(or less)characteristics than necessary or simply different characteristics.
The remote database 155 may also include remote processing means for implementing a retrieve capability. In this case the controller 125 would upload the determined profile to the remote database 155. The remote processing means would then convert the profile to a suitable form(if necessary)and compare the uploaded profile to profiles stored in the remote database 155. Upon finding a match the controller 125 would download the descriptive information related to the program(s)store on the medium 105.
To transact with a remote database provider or owner it is likely that an account or some other method of authorization will be necessary. If the remote database provider transacts for a fee then the subscriber will need to transmit at least identication information along with the profile information when accessing the remote database. The transaction process may be entirely automated. For example, controller 125 may contact the provider of the remote database 155 via an Internet or direct-dial communications link 145. Upon successfully connecting to the provider an identification or authorization code is transmitted to the provider. The identification or authorization code may be encrypted using, e.g., a public key encryption scheme such as the“pretty good privacy”(PGP)scheme. After verifying the identification or authorization code the provider will allow the controller 125 to upload profile data. The remote database provider will then find and download the descriptive information to the controller 125. The remote database provider may devote some data space to each authorized user so that duplicate requests may be handled more expeditiously, possibly at a reduced rate.
The flow chart of FIGURE 3 shows a methed 300 for obtaining descriptive information relating to an unidentified CD which is suitable for use by the controller 125 of jukebox 100. The method may also be utilized by the provider of a remote database for processing uproad profile data. The retrieval routine 300 is entered at step 310. The medium 105 is accessed(step 315)by the media reader 115 and a profile 320-CD of the medium is determind(step 320). In this case the profile includes the number of tracks(N)on an audio CD and the length of each track(L(1)through L(N). After determining the profile, the controller accesses(step 325)a profile database(135 or 155).The controller finds(step 330)the first profile in the database of a disk having N tracks. The controller then comparares(step 335)the lenghe of each of the N tracks of the determined and found profiles. If the track lengths of the profiles compare favorably(tracks lengths are the same or within a predetermined error margin, e.g., 2 seconds)(does“favorably”need some definition?Do we need to provide examples of comparison metheds, as in earlier illustrations?)then the descriptive information relating to the audio CD matching the profile is retrieved(step 340)and the routine is exited(step 345).」(5頁32行?7頁12行)
(当審訳:通信リンク145は、インターネットあるいは直接ダイヤル接続によって遠隔データベース115に接続する例えばモデムからなる。遠隔データベース155は、制御部によってダウンロードされ、局部データベースに記憶される生の(raw)プロファイルデータを含む。この場合、生のデータは決定されたプロファイルと比較するのに適した形式に変換される。例えば、生のプロファイルデータは、必要な特性あるいは単に様々な特性よりも多くの(あるいは少ない)特性を含んでいることがある。
遠隔データベース155は、また、検索能力を満たすために遠隔処理手段を含むことがある。この場合、制御部125は決定されたプロファイルを遠隔データベース155にアップロード(upload)する。次に、遠隔処理手段は(必要があれば)このプロファイルを適当な形式に変換し、そのアップロードされたプロファイルを遠隔データベース155に記憶されたプロファイルと比較する。一致(マッチング)が見つけ出されると、制御部125はプログラムに関連する記述情報を媒体105に記憶させる。
遠隔データベースをプロバイダあるいはオーナ(所有者)とトランザクト(transact:処理、取引)するためには、おそらく許可のためのアカウント(account、例えば、管理目的でジョブ毎にCPUの使用時間や、ユーザ名などの情報を記録すること)あるいは他の何らかの方法が必要になる。遠隔データベースのプロバイダが料金と交換にトランザクトするのであれば、加入者は遠隔データベースをアクセスするときにプロファイル情報と共に少なくとも識別情報を送信する必要がある。トランザクション処理はすべて自動化することができる。例えば、制御部125はインターネットあるいは直接ダイヤル通信リンク145を経て遠隔データベース155のプロバイダに接続する。プロバイダとの接続が成功すると、識別あるいは許可コードがプロバイダに送信される。識別あるいは許可コードは例えば“PGP(pretty good privacy)体系(開鍵暗号化プログラムの1つ)”のような公開鍵暗号化体系を用いて暗号化される。識別あるいは許可コードを確認した後、プロバイダは制御部125に対してプロファイルのデータをアップロードさせる。次いで、遠隔データベースのプロバイダは記述情報を見つけ出し、これを制御部125にダウンロードする。遠隔データベースのプロバイダは各認可されたユーザに対して幾つかのデータ用スペースを与え、それによって繰り返し要求に対して恐らくより低料金でより速く処理することが可能になる。
図3のフローチャートは、ジュークボックス100の制御部125で使用するのに適した非識別(unidentified)CDに関連する記述情報を得るのに適した方法300を示す。この方法はアップロードされたプロファイルのデータを処理するために遠隔データベースのプロバイダによっても利用される。検索ルーチン300はステップ310で入力(エンタ)される。媒体105は媒体読取り部115でアクセスされ(ステップ315)、媒体のプロファイル320-CDが決定される(ステップ320)。この場合、プロファイルはオーディオCD上のトラック数(N個)と各トラックの長さ(L(1)乃至L(N))を含んでいる。プロファイルを決定した後、制御部はプロファイルのデータベース(135または155)をアクセスする(ステップ325)。制御部はN個のトラックをもったディスクのデータベース中の第1のプロファイルを見つけ出す(ステップ330)。次いで、制御部は、決定され且つ見つけ出されたプロファイルのN個のトラックの各々の長さを比較する(ステップ335)。プロファイルのトラック長が順調に(favorably)比較されると(トラック長は予め定められたエラーマージン、例えば2秒に等しいかそれ以内)、プロファイルに一致するオーディオCDに関連する記述情報が検索され(ステップ340)、ルーチンは出口に達する(ステップ345)。

上記摘示事項及び図面の記載を総合勘案すると、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認める。
「媒体上に記憶されたプログラム情報を読取る媒体読取り部と、
上記媒体上のトラック数(N)およびトラックの最初、最後の数バイトからプロファイルを生成する制御部と、
プロバイダと、
上記制御部を上記プロバイダに接続する通信リンクと、
上記プロファイルを用いて上記プロバイダにより検索されるプログラムに関連する記述情報のデータベースと
を備えるプログラム識別装置。」

3.対比
そこで、本願発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「媒体読取り部」は、本願発明の「媒体コンテンツ読取装置」に相当する。
(2)引用発明の「トラック数(N)」は、本願発明の「トラック数」に相当する。ところで、本願発明の「トラックフィンガプリント」とは、本願明細書によれば、トラックの記録インスタンスを表す数値(段落【0007】)のことである。そして、引用発明において、オーディオやビデオのプログラムは媒体上にトラックとして記録されるのであり、引用発明の「トラックの最初、最後の数バイト」は、本願発明の「上記媒体コンテンツ読取装置が読み取った」「トラックフィンガプリント」に相当しているといえる。また、引用発明の「プロファイル」および「制御部」は、本願発明の「媒体識別子」および「プロセッサ」にそれぞれ相当する。
すると、引用発明と本願発明とは、「媒体上のトラック数」「及び上記媒体コンテンツ読取装置が読み取ったトラックフィンガプリントの」「2つから媒体識別子を作成する」「プロセッサ」を備える点で共通する。
(3)引用発明の「プロバイダ」は、本願発明の「サーバ」に相当する。
(4)引用発明の「通信リンク」は、「制御部をプロバイダに接続する」ものであるから、本願発明の「上記」「プロセッサを上記サーバに接続する」「インタフェース」に相当する。
(5)引用発明の「記述情報」は、「上記プロファイルを用いて上記プロバイダにより検索される」ものであるから、本願発明の「上記媒体識別子を用いて上記サーバにより検索される」「コンテンツ情報」に相当し、そして、引用発明と本願発明の「データベース」は、共通する。
(6)引用発明の「プログラム識別装置」は、本願発明の「媒体コンテンツ識別情報」に相当する。

そうすると、本願発明と引用発明とは、次の点で一致する。
<一致点>
「媒体コンテンツ読取装置と、
媒体上のトラック数及び上記媒体コンテンツ読取装置が読み取ったトラックフィンガプリントの2つから媒体識別子を作成するプロセッサと、
サーバと、
上記プロセッサを上記サーバに接続するインタフェースと、
上記媒体識別子を用いて上記サーバにより検索されるコンテンツ情報のデータベースとを備える媒体コンテンツ識別装置。」

そして、次の点で相違する。
<相違点>
「プロセッサ」について、本願発明は、「プログラミングされた」と限定されているのに対し、引用発明は、そのような限定がされていない点。

4.判断
そこで、上記相違点について検討する。
引用例には、「制御部」について、コンピュータ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ等を含むものと解釈されるべきであることを意図していることが記載されており(摘示事項(2))、コンピュータ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ等がプログラミングに基づいて動作することはコンピュータの技術分野においては技術常識であるから、引用発明においても、制御部を「プログラミングされた」とすることは自明または当業者が適宜なし得る程度のことである。

そして、上記相違点を総合的に判断しても、本件補正発明が奏する効果は引用例から当業者が十分に予測できたものであって格別なものとはいえない。
ところで、審判請求人は回答書において、補正案を提示しているが、あらためて補正の機会を与えるべき法的根拠は見出せない。
したがって、本件発明は、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-10-31 
結審通知日 2012-11-05 
審決日 2012-11-21 
出願番号 特願2006-503698(P2006-503698)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G11B)
P 1 8・ 537- Z (G11B)
P 1 8・ 121- Z (G11B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 金子 秀彦小林 大介石丸 昌平  
特許庁審判長 小松 正
特許庁審判官 関谷 隆一
山田 洋一
発明の名称 媒体コンテンツ識別  
代理人 中村 佳正  
代理人 須田 洋之  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 大塚 文昭  

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