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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F02B
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 取り消して特許、登録 F02B
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 F02B
管理番号 1272372
審判番号 不服2011-22164  
総通号数 161 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-05-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-10-13 
確定日 2013-04-23 
事件の表示 特願2007-553826「回転ピストン型内燃機関」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 7月19日国際公開、WO2007/080660、請求項の数(27)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願は、平成18年5月9日を国際出願日とする特許出願であって、同23年3月1日付けで拒絶の理由が通知され、同23年5月6日に意見書とともに特許請求の範囲及び明細書について手続補正書が提出され、同23年6月1日付けで再度の拒絶の理由が通知され、同23年6月14日に意見書とともに特許請求の範囲及び明細書についてさらに手続補正書が提出されたが、同23年7月12日付けで拒絶をすべき旨の査定がなされた。
これに対し、平成23年10月13日に該査定の取消を求めて本件審判の請求がされ、その後、同24年11月30日に上申書が提出され、同25年1月23日付けで当審から拒絶の理由が通知され、同25年3月19日に意見書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1ないし27に係る発明(以下、これらを「本願各発明」という。)は、平成23年6月14日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし27に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。

第3 原査定の拒絶の理由及び当審の拒絶の理由の概要とそれに対する判断 これに対して、原査定の拒絶の理由及び当審の拒絶の理由の概要とそれに対する判断は、以下のとおりである。

1 原査定の拒絶の理由の概要とそれに対する判断
(1)原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由の概要は、本件出願の平成23年6月14日提出の補正書により補正された請求項1等に係る発明は、特開平3-286145号公報、米国特許第4137890号明細書、国際公開第2006/016358号及び特開2005-325840号公報に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

(2)当審の判断
原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶をすべきものとすることはできない。

2 当審の拒絶の理由の概要とそれに対する判断
(1)当審の拒絶の理由の概要
当審の拒絶の理由の概要は以下のとおりである。
<理由1>
この出願は、その特許請求の範囲において、(1)副燃焼室及び(2)適当なタイミングで開閉制御される第1及び第2開閉弁について特定しておらず、いわゆるサポート要件を欠くから、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
<理由2>
本願各発明に係る「回転ピストン型内燃機関」は、燃焼ガス等のシールが実際には重要になると認められるところ、本願明細書を参酌しても、実際に製作してシール等の問題を解決して実機が作動したとする記載は見当たらず、本件出願は、明細書及図面の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。

(2)当審の判断
ア <理由1>について
請求人の 平成25年3月19日提出の意見書を踏まえ検討した結果、(1)副燃焼室及び(2)適当なタイミングで開閉制御される第1及び第2開閉弁について発明特定事項としないことが、サポート要件違反(36条6項1号違反)とまでいうことはできず、当審の拒絶の理由1は解消した。

イ <理由2>について
当審の拒絶理由通知にて指摘したとおり、本願各発明に係る「回転ピストン型内燃機関」は、燃焼ガス等のシールが実際には重要になると認められるところ、本願明細書を参酌しても、実際に製作してシール等の問題を解決して実機が作動したとする記載は見当たらない。したがって、本願各発明を当業者が実施するにあたり、燃焼ガスのシール(特に、作動室仕部材の箇所)が問題となるとも考えられ、実用上の問題が存在する可能性は否定できない。
しかしながら、請求人の意見書の主張を踏まえ検討するに、発明の詳細な説明に作動室仕切部材の構造が詳細に記載されており、36条4号1号の実施可能性要件違反になるとまではいえない。

3 平成24年11月30日提出の上申書について
請求人の平成24年11月30日提出の上申書の「審判用参考資料」に、「本願のリングエンジンと、レシプロエンジンとを、排気量を同等に換算」「した上で比較した場合、本願のリングエンジンは,レシプロエンジンの約2倍のエネルギーを発生可能で、燃料消費率(g/PSh)が約1/2になる可能性があります。」と記載されているところ、当審の拒絶理由通知においても指摘したように、熱力学及び内燃機関分野の技術常識からすれば、既存のレシプロエンジンの熱効率の2倍の効率を持つ内燃機関が存在するとは考えにくく、該主張を理論的に首肯することは困難といわざるを得ない。しかしながら、該主張は、あくまで上申書の「審判用参考資料」における主張であるので、これをもって36条違反の問題を惹き起こすものではない。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明については、原査定の拒絶理由、及び当審で通知した拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に、本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2013-04-10 
出願番号 特願2007-553826(P2007-553826)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (F02B)
P 1 8・ 121- WY (F02B)
P 1 8・ 536- WY (F02B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 稲葉 大紀  
特許庁審判長 豊原 邦雄
特許庁審判官 菅澤 洋二
長屋 陽二郎
発明の名称 回転ピストン型内燃機関  
代理人 岡村 俊雄  

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