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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1272921
審判番号 不服2012-899  
総通号数 162 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-01-17 
確定日 2013-04-11 
事件の表示 特願2009-112758「情報処理装置および情報処理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 9月 3日出願公開、特開2009-199617〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続きの経緯・本願発明
本願は、平成11年8月25日を出願日とする特願平11-238666号(以下、「原出願」という。)の一部を、平成21年5月7日に新たに特許出願したものであって、平成23年10月25日付けで拒絶査定がなされ、それに対して平成24年1月17日に拒絶査定不服の審判請求がなされるとともに、手続補正書が提出されたものである。

第2 補正却下の決定
平成24年1月17日に提出された手続補正書による補正の却下の決定

(1)[補正却下の決定の結論]
平成24年1月17日に提出された手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

(2)[補正却下の決定の理由]
(a)補正の内容
本件補正によると、少なくとも、その特許請求の範囲の請求項1は、
「制御可能な機器を表す画像を複数表示させ、所定の前記画像がユーザにより選択されたとき、選択された前記画像の表示を選択されていない前記画像の表示と異なる表示になるように変更させるとともに、選択された前記画像により表される前記機器を制御するための複数の項目を表示させる表示制御手段と、
前記ユーザにより選択された項目に応じて、選択された前記画像により表される前記機器を制御する制御手段と
を備え、
前記表示制御手段は、前記ユーザが選択する可能性が高いと判断された項目を、当該項目以外の項目よりも大きく表示する
情報処理装置。」
と補正されている。

上記補正は、本件補正前の請求項1に記載された「制御可能な機器を表す画像を表示させ、所定の前記画像がユーザにより選択されたとき」を、「制御可能な機器を表す画像を複数表示させ、所定の前記画像がユーザにより選択されたとき、選択された前記画像の表示を選択されていない前記画像の表示と異なる表示になるように変更させるとともに」とするものであり、本件補正は、特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)否かについて以下検討する。

(b)引用文献
(1)原査定の拒絶の理由に引用された特開平10-224875号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに次の記載がある。
(ア)「【0009】図1において、1は制御装置で通常パーソナルコンピュータ等が用いられる。2は制御装置1の表示装置、3はマウス等のポインティングデバイス、4はハードディスクドライブ等で構成される記憶装置、5はAV機器A、6はAV機器B、7はAV機器Cであり、それぞれの機器A?Cはそれぞれの機器固有の動作機能単位を有する。この例では、機器A5は、放送を受信する動作機能と放送に付随した付加情報を受信する付加情報受信機能と情報を表示する機能を持ち、機器B6は、情報を記録する機能および情報を再生する機能を持ち、機器C7は情報を再生する機能のみを持つ機器である。8はこれらのAV機器間と制御装置1を接続するディジタル伝送路、9は電話線/CATVなどの公衆伝送網、10は衛星放送/地上放送/PHSなどの無線伝送である。
【0010】また、図2は、表示装置2に表示される制御用の表示画面である。以上のように構成された機器構成で本発明の実施の形態1の機能制御方法について、以下図1及び図2を用いてその制御方法を説明する。表示装置2の画面は、図2に示すように制御装置1にディジタル伝送路8で接続されたAV機器がアイコンを用いてツリー構造で表示される。11は、ポインタで、ポインティングデバイス3の操作に対応して画面上を移動する。ポインティングデバイス3は例えば、マウスのようにポインタを移動させるための機構と、アイコンを指定するためのスイッチが装備されている。ツリー構造の最上位のAVアイコンに、ポインタ11を移動させ、例えばダブルクリック操作の様な所定の操作を行うと、第2階層に接続されている機器A、機器B、機器Cが表示される。さらに、例えば機器Bをダブルクリックすると機器Bの持つ動作機能単位が表示される。機器B6はこの例では、情報を記録する機能と情報を再生する機能を有していることが分かる。さらに、例えば、情報記録アイコンに対してをダブルクリックを行うと、情報記録には現在すぐに記録を開始する即時記録機能と所定の時間になると記録を開始する予約機能が有ることが分かる。
【0011】このように、制御装置1は接続されているAV機器の持つ機能を全て把握しており視覚的にわかりやすく表示することが出来る。接続されたAV機器の機能は、ディジタル伝送路を通じて、制御装置1が各機器と対話する事により取得する。また、そのような対話機能を持たないディジタル伝送路8や機器の場合は、あらかじめ制御装置1にそのような情報を入力しておいて制御装置1に接続された記憶装置4に蓄えておいても良い。」(段落【0009】?【0011】)

(イ)「【0012】このように、本実施の形態によれば、AV機器の接続状態と機能を視覚的に且つ一元的に把握できる。以下、機器A5は、ディジタルテレビジョン装置で放送をCATV等の公衆伝送網や衛星放送などの無線伝送を通じて放送、番組表などを受信する機能、および、ブラウン管などで表示する機能を持ち、機器B6はディジタルVCRでディジタル画像を記録する機能、予約する機能、再生する機能を持ち、機器C7はDVD(Digital Video Disk)でディジタル画像を再生する機能を持つとする。
【0013】また、図2によると機器Cはdという情報を再生する機能を有している。これは、機器C(DVD)にdというタイトルの映画等のディスクが入っている状態である。このdというアイコンをポインタ11を用いて、表示機能を持つ機器Aもしくは機器Aの情報表示アイコンにドラッグアンドドロップすれば(図2中のアイコン12)、機器A(ディジタルテレビジョン装置)で再生される。再生が始まると、再生中を表すアイコン13が表示される。この時、制御装置1は、機器C(DVD)に対して、再生データをディジタル伝送路8に提供するようコマンドを発行し、機器A(ディジタルテレビジョン装置)に対しては、ディジタル伝送路8に流された機器C(DVD)の再生したデータを表示するようにコマンドを発行する。このコマンドは、ディジタル伝送路8を通じて発行するのが良いが、コマンド専用の伝送路を他に用意しても良い。
【0014】さらに、再生中を表すアイコン13を中止を表すアイコン15にドラッグアンドドロップする事により、dという情報の再生が中止される。この時、制御装置1は機器A(ディジタルテレビジョン装置)と機器C(DVD)に対して動作を停止するようコマンドを発行する。また、図1において、機器A(ディジタルテレビジョン装置)は、放送される番組の付加情報を公衆伝送網9もしくは無線伝送10を通じて受信する機能を持っており、付加情報には放送番組の番組表を含むものとする。番組表には、放送チャンネル、放送時間、番組のジャンル、内容などが含まれており、これらの内容が付加情報のサブツリーとして表示されている。この時の表示装置2の表示画面の例を図6に示す。
【0015】例えば、付加情報のaはチャンネルが1ch、放送時間が10:00から11:30、ジャンルは映画、内容はXXXXXXで有ることがわかる。放送されるストリームは、1ストリームである必要はなく、この例では、走査線525本のインターレス画像のMPEG2ストリーム(6Mbps)と、同じ番組内容の走査線525本のプログレッシブ画像のMPEG2ストリーム(9Mbps)と、525本のプログレッシブ画像に付加することによりさらに高画質の720本プログレッシブ画像を再生するする+3Mbpsの付加ストリームの3ストリームが1chで放送されている。
【0016】走査線525本のインターレス画像のMPEG2ストリーム(6Mbps)を機器B(ディジタルVCR)で記録したい場合は、このアイコンを、機器Bアイコンもしくはそのサブアイコンの情報記録アイコンもしくは即時記録ならそのサブアイコンである即時アイコンにドラッグアンドドロップすれば制御装置1は機器A(ディジタルテレビジョン装置)に対して所定のストリームをディジタル伝送路に出力ようコマンドを発行し、機器B(ディジタルVCR)に対してして機器Aがディジタル伝送路に提供したストリームを記録する動作に入るようコマンドを発行する。この時、機器A(ディジタルテレビジョン装置)は、番組表自体も機器B(ディジタルVCR)に提供し、番組表と番組の両方を記録するようにしても構わない。」(段落【0012】?【0016】)

(ウ)「【0020】以上のように本実施の形態によれば、ディジタル伝送路8で接続されたAV機器を制御装置1で一元的に管理するので、個々のAV機器の物理的距離が遠く離れていても、機器を利用することが出来る。また、アイコンによる統一的な操作を行うことにより、各機器固有の複雑な操作が直感的且つシンプル操作に置き換えることが出来る。ある機器の提供するデータを別の機器で記録する場合や、ある機器の再生するデータを別の機器で表示する場合など、制御装置が2つ以上の機器に対してコマンドを発行するため人手により2つ以上の機器を操作する必要がなく操作が簡素化できる。」(段落【0020】)

以上の記載によれば、引用文献1には、以下のような発明(以下、「引用発明」という。)が開示されていると認められる。
「パーソナルコンピュータ等が用いられる制御装置の表示装置2の画面に、制御装置にディジタル伝送路8で接続されたAV機器(機器A(ディジタルテレビジョン装置)、機器B(ディジタルVCR)、機器C(DVD)等)がアイコンを用いてツリー構造で表示され、
ツリー構造の最上位のAVアイコンに、ポインタ11を移動させ、例えばダブルクリック操作の様な所定の操作を行うと、第2階層に接続されている機器A、機器B、機器Cのアイコンが表示され、
さらに、例えば機器Bをダブルクリックすると機器Bの持つ動作機能単位、例えば、情報を記録する機能と情報を再生する機能がアイコン表示され、さらに、例えば、情報記録アイコンに対してダブルクリックを行うと、現在すぐに記録を開始する即時記録機能と所定の時間になると記録を開始する予約機能をアイコン表示し、
機器C(DVD)にdというタイトルの映画等のディスクが入っている状態であることを示すdというアイコンを、表示機能を持つ機器Aもしくは機器Aの情報表示アイコンにドラッグアンドドロップすれば、機器A(ディジタルテレビジョン装置)で再生され、
機器A(ディジタルテレビジョン装置)の付加情報のaのうち走査線525本のインターレス画像のMPEG2ストリーム(6Mbps)を機器B(ディジタルVCR)で記録したい場合は、このアイコンを、機器Bアイコンもしくはそのサブアイコンの情報記録アイコンもしくは即時記録ならそのサブアイコンである即時アイコンにドラッグアンドドロップすれば、機器A(ディジタルテレビジョン装置)に対して所定のストリームをディジタル伝送路8に出力するようにコマンドを発行し、機器B(ディジタルVCR)に対して機器Aがディジタル伝送路8に提供したストリームを記録する動作に入るようコマンドを発行する制御装置。」

(2)原査定の拒絶の理由に引用された特開平5-20016号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに次の記載がある。
(ア)「【0002】
【従来の技術】最近、マン・マシン・インタフェースを向上させる一手法として、メニュー画面に装置や対象物あるいは処理や命令の名前、さらにはパラメータ等の項目を一覧表示する際、それらの各項目を抽象化した図柄(絵)であるアイコン(icon)により表示する方式が、多く用いられるようになってきている。そして、このようなアイコンにより項目の一覧表示がなされるメニューは、一般にアイコンメニューと呼ばれている。このアイコンメニューにおいて任意のアイコンの選択は、マウス等のポインティング・デバイスの操作により、カーソルを所望のアイコンに重ね合わせた後、ボタン(マウスの場合、マウスボタン)をクリック操作したり、特定のキーを押下することにより行われるようになっている。」(段落【0002】)

(イ)「【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、アイコンメニューの表示後、利用者は、ポインティング・デバイス66により、アイコンを選択して、そのアイコンに対応する所定の業務プログラムを実行させるわけであるが、当然のことながら、各アイコンの選択頻度(利用頻度)には、バラツキがでてくる。すなわち、アイコン選択の回数が増えるにしたがって、選択頻度の高いアイコンと選択頻度の低いアイコンが、明確に区分けされてくる。しかしながら、従来は、図6(c) に示すようにn(n=2、3、・・・)回目のアイコンメニューの表示も、同図(b) に示す初回のアイコンメニューと全く同一となるように表示しており、このため、当然のことながら、各アイコンの表示サイズも毎回同じ大きさであり、変化することがなかった。しかしながら、ポインティング・デバイスを操作して、目的のアイコンにカーソルを位置合わせする操作は、利用者(特に、その操作に不慣れな利用者)にとっては、容易なものではなく、意外に操作時間をとられるものである。そして、上記アイコンに対するカーソルの位置合わせに要する時間は、アイコンの表示サイズにも左右されるものである。したがって、従来のように、選択頻度の高いアイコンと選択頻度の低いアイコンを、毎回同一のサイズで表示することは、利用者(特にポインティング・デバイスに不慣れな利用者)の作業能率を考えた場合、効果的でないことは明らかであり、現実にアイコン選択操作の作業能率を向上させるための妨げとなっていた。また、表示されるアイコンの数が多い場合、全てのアイコンが同一の大きさで表示されると、任意のアイコンを選択しようとした場合、他のアイコンが視覚的な妨げとなり、このことも、上記選択しようとするアイコンを見つける際やカーソルの位置合わせを行う際の作業能率を低下させる一因となっていた。
【0005】上記の問題は、アイコンメニューに表示される各アイコンの選択頻度が全て同一となることは、ほとんどないにもかかわらず、アイコンメニュー表示において全てのアイコンを、毎回同一の大きさで表示していることに原因があると考えられる。
【0006】してみれば、アイコンメニューを表示する際、選択頻度の高いアイコンはより大きく表示し、選択頻度の低いアイコンはより小さく表示する等アイコン表示サイズを変化できるようにすれば、選択頻度の高いアイコンを選択する際、カーソルの位置合わせが容易となり、また、表示されるアイコンの数が多い場合でも選択頻度の高いアイコンを容易に見つけ出すことができ、アイコン選択の作業能率が向上することは明らかである。
【0007】本発明の課題は、アイコンメニューを表示する際、アイコンの選択頻度に応じてアイコンの表示サイズを変化させ、選択頻度の高いアイコンはより大きく表示し、選択頻度の低いアイコンはより小さく表示できるようにすることである。」(段落【0004】?【0007】)

(ウ)「【0019】上記動作により、例えば、図5(b) に示すように、表示装置25にn回目に表示されるアイコンメニュー画面は、選択頻度が非常に高かったグラフ作成のアイコン52が最も大きなサイズで表示され、次に選択頻度の高かったデータベース1のアイコン53がそれに続く大きさで表示される。また、選択頻度が最も低かったFDDツールのアイコン55やパソコン通信のアイコン57は初期アイコンメニュー表示よりかなり小さなサイズで表示され、選択頻度が共に中程度であったその他のアイコン51(文書作成)、54(データベース2)、56(自動電話)は、初回のアイコンメニュー表示のときと同じサイズで表示される(図5(a),(b) 参照)。
【0020】このように、本実施例によれば、最も多く選択(使用)されるグラフ作成のアイコン52が、他のアイコンよりも大きく表示されるため、ポインティング・デバイス27で行うカーソルの位置合わせが極めて容易となる。また、最も使用されていないFDDツールやパソコン通信等のアイコン55、57は、他のアイコンに比較して小さく表示されるので、それらのアイコン55、57の表示がそれらのアイコン55、57よりも頻繁に使用される他のアイコンを選択する際の妨げや目障りにならず、利用者は、カーソルの位置合わせ作業を容易かつ迅速に行えるようになる。また、本実施例においては、アイコンメニューに表示される各アイコン51?57の大きさで、各アイコン51?57の使用頻度(選択頻度)が一目で分かるので便利である。
【0021】尚、本発明は上記実施例のように、1つのアイコンメニューを表示するシステムに限定されるものではなく、複数のアイコンメユーが表示されるシステムや、階層構造で表示されるアイコンメニューにも適用可能なものである。」(段落【0019】?【0021】)

(c) 対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「パーソナルコンピュータ等が用いられる制御装置」は、本願発明の「情報処理装置」に相当する。

(イ)引用発明の「機器A、機器B、機器Cのアイコン」は、本願補正発明の「制御可能な機器を表す画像」に相当する。

(ウ)引用発明は、「機器Bをダブルクリックすると機器Bの持つ動作機能単位、例えば、情報を記録する機能と情報を再生する機能がアイコン表示され」、「機器A(ディジタルテレビジョン装置)の付加情報のaのうち走査線525本のインターレス画像のMPEG2ストリーム(6Mbps)を機器B(ディジタルVCR)で記録したい場合は、このアイコンを、機器Bアイコンもしくはそのサブアイコンの情報記録アイコンもしくは即時記録ならそのサブアイコンである即時アイコンにドラッグアンドドロップすれば、機器A(ディジタルテレビジョン装置)に対して所定のストリームをディジタル伝送路8に出力するようにコマンドを発行し、機器B(ディジタルVCR)に対してして機器Aがディジタル伝送路8に提供したストリームを記録する動作に入るようコマンドを発行」し、「機器A(ディジタルテレビジョン装置)の付加情報のa」のアイコンは、機器Aのアイコンをダブルクリック等したときに表示されることは明らかであるから、引用発明の「機器Bをダブルクリックする」こと、及び機器Aのアイコンをダブルクリック等することは、本願補正発明の「所定の前記画像がユーザにより選択されたとき」に相当するといえ、引用発明の「機器A(ディジタルテレビジョン装置)の付加情報のa」の「アイコン」及び「機器Bの」「情報を記録する機能と情報を再生する機能」の「アイコン」は、本願補正発明の「選択された前記画像により表される前記機器を制御するための複数の項目」に相当するといえる。
そして、引用発明は、本願補正発明の「制御可能な機器を表す画像を複数表示させ、所定の前記画像がユーザにより選択されたとき、選択された前記画像の表示を選択されていない前記画像の表示と異なる表示になるように変更させるとともに、選択された前記画像により表される前記機器を制御するための複数の項目を表示させる表示制御手段と、前記ユーザにより選択された項目に応じて、選択された前記画像により表される前記機器を制御する制御手段とを備え」と「制御可能な機器を表す画像を複数表示させ、所定の前記画像がユーザにより選択されたとき、選択された前記画像により表される前記機器を制御するための複数の項目を表示させる表示制御手段と、前記ユーザにより選択された項目に応じて、選択された前記画像により表される前記機器を制御する制御手段とを備え」の点で共通するといえる。

したがって、本願補正発明の用語を用いて表現すると両者は、
「制御可能な機器を表す画像を複数表示させ、所定の前記画像がユーザにより選択されたとき、選択された前記画像により表される前記機器を制御するための複数の項目を表示させる表示制御手段と、
前記ユーザにより選択された項目に応じて、選択された前記画像により表される前記機器を制御する制御手段とを備える情報処理装置。」
で一致するものであり、次の(1)、(2)点で相違している。

(1)本願補正発明では、「選択された前記画像の表示を選択されていない前記画像の表示と異なる表示になるように変更させる」のに対し、引用発明は、そのような構成はない点。

(2)本願補正発明は、「前記ユーザが選択する可能性が高いと判断された項目を、当該項目以外の項目よりも大きく表示する」のに対し、引用発明は、そのような構成はない点。

(d) 当審の判断
・相違点(1)について
制御可能な機器を表す画像を複数表示させ、所定の前記画像がユーザにより選択されたとき、選択された前記画像の表示を選択されていない前記画像の表示と異なる表示になるように変更させるとともに、選択された前記画像により表される前記機器を制御するための複数の項目を表示することは、原出願の出願日前周知の技術である(特開平5-260554号公報段落【0019】?【0022】「AVモニタ装置21の制御部33は表示部38の表示画面1に第1のコントロールウィンドウ3を表示させ、その中に受信チャネルを示すアイコン4?7とAV機器を示すアイコン8?10を同時に表示させる。・・・中略・・・LDP24のプログラムを再生したい時は、同様にカーソルをアイコン9上に移動させクリックすればよい。・・・中略・・・アイコン9を選択し、クリックする(ステップS3)。この時、AVモニタ装置21の制御部33はLDP24が選択されたことを確認すると(ステップS4,S5)、アイコン9のバックグラウンドの色を変化させてLDP24が選択されたことを表示するとともに、第2のコントロールウィンドウ12を表示させ、その中にLDP24の動作モードを設定するためのコントロールキー13a?13jを表示させる(ステップS6)。【0022】次に、ユーザはLDP24を再生モードに設定するのであるが、・・・中略・・・PBコントロールキー13a上にカーソルを移動させ、クリックして行う」の記載、図1、特開平9-326799号公報段落【0050】?【0051】「図5は、ディスプレイ13aの表示画面25の一例を示しており、VTR11を示すアイコン26と、カムコーダ12を示すアイコン27と、VTR11が持つ個々の機能をボタン等の形式で示したコントロールパネル28とが表示されている。ユーザは、このコントロールパネル28上でVTR11を操作できる。・・・中略・・・カムコーダ12を示すアイコン27をクリック操作することで、コントロールパネル28に代わって、カムコーダ12が持つ個々の機能をボタン等の形式で示したコントロールパネルが表示される。これにより、ユーザは、コントロールパネル上でカムコーダを操作することが可能となる。」の記載、図5、特開平9-134272号公報段落【0045】?【0047】「一つの典型的な方法は、そのオブジェクトに関連するアイコン上にポインタ図形を置く。・・・中略・・・このオブジェクトは、メッセージに応答して、アイコンの外観を変更して選択を可視的に示してもよい。・・・中略・・・オブジェクトを開くことは、例えばアイコン上にポインタ図形を置いてオブジェクトを選択しマウス上の選択ボタンダブル・クリックすること同じように簡単である。・・・中略・・・オブジェクトを開くように指令すると、サブルーチンが呼び出されてユーザが開いたオブジェクトに関連するダイアログ・ボックスを表示させる。以下で詳細に説明するように、このようなダイアログ・ボックスには、プッシュ・ボタン、ダイヤル、スライダ、ポテンショメータ等のように、ユーザが操作できる複数のグラフィック・コントロールが含まれてもよい。」の記載、図2、国際公開第97/49057号第15頁第4行?第9行「When a user selects the DVD player icon 270, a pop-up menu 286 appears. If a PLAY button is selected from the pop-up menu 286 using cursor 284, the DVD player 110 begins to play. In the same way, to set DVCR1 112 to record, a user may select a REC button from a menu associated with DVCR1 icon 274. DVCR2 112 and DSS IRD 101 may be similarly controlled.」の記載、FIG.11のDVDアイコン280がハイライト表示(第14頁第18行?第21行「For example, in Figure 10, a drag and drop implementation is illustrated. ・・・中略・・・In the example shown, the DVD icon 280, which is highlighted, is dragged and dropped to the DVCR1 icon 282.」の記載からも明らかである。)されている。参照。)。
したがって、上記周知技術を適用し、引用発明において、所定の制御可能な機器を表す画像がユーザにより選択されたとき、選択された前記画像の表示を選択されていない前記画像の表示と異なる表示になるように変更させるとすることは、当業者が容易になし得ることである。

・相違点(2)について
引用文献2には、アイコンメニューを表示する際、最も多く選択(使用)されるアイコン52が、他のアイコンよりも大きく表示されるようにして、ポインティング・デバイス27で行うカーソルの位置合わせが極めて容易とすること、階層構造で表示されるアイコンメニューにも適用可能なものであることが記載されている。
また、選択候補のメニューをアイコン表示する際に、使用度数の多いメニューの項目を拡大して表示し操作性を良くすることは、原出願の出願日前周知の技術(特開平5-88834号公報段落【0002】?【0004】「 図4は、会話型計算機の従来のメニュー表示システムの一例を示したものである。複数のコマンドを表示するポップ・アップ・メニュー10には、使用度数に関係なく複数の項目を同じ大きさの文字で示していた。またはコマンド・メニューなどでは、コマンドの使用度数が多いものに対して別にアイコン・メニュー(項目の図形表示)を自動作成して画面に表示する場合でも大きさは同一であった。・・・中略・・・メニュー表示システムは対話型装置におけるマン・マシン・インタフェースであり、メニューは見易く、かつマウス等で選択し易い形状が望ましい。この点について、従来のメニュー表示システムでは考慮おらず、メニューの内容である複数の項目の文字またはアイコンは、使用度数に関係なく同一形状で表示されていた。このため複数の項目の中から常時使用する特定の項目を目視で選択し、その項目にマウスでカーソルを設定してデータを入力するには作業性が悪かった。またアイコン・メニューでは、画面に複数の図形を同一形状で配列するのでデータ表示部分が狭くなり、見にくいなどの欠点があった。【0004】そこで、本発明の目的は、人間工学的観点より、使用度数の多いメニューの項目を拡大して表示する操作性の良いメニュー表示システムを提供することにある。」、段落【0019】「先の実施例では、オペレータの項目選択の度数に応じて項目が自動的に拡大されたが、本実施例では選択の度数に関係なくオペレータの指定により項目の形状が拡大されるので、使用度数が少ない項目を使用する場合でも、拡大して使い易い形状に変化させることができる。」の記載、特開平5-61632号公報段落【0003】「このような従来のアイコン表示装置にあっては、表示画面上に表示されるアイコンの大きさが同一であり全ての項目がフラットに扱われていたため、頻繁に選択するものあるいは余り選択しないものの差異がなく、頻繁に選択するアイコンが目立ち難いという欠点があった。してみれば、選択される可能性に応じて表示されるアイコンの状態を変えるようにすれば、ユーザの使い勝手が向上することは明かである。本発明の課題は、選択される可能性に応じて表示されるアイコンの状態を変えて操作性を高めるようにすることである。」、段落【0018】「以上説明したように、本実施例のアイコン表示装置10は、アイコン表示されるメニュー項目の選択頻度を管理する頻度管理テーブル41を設け、選択候補のメニューをアイコン表示する際には、選択頻度管理テーブル41の選択頻度を参照して各メニュー項目のアイコンのサイズを決定し、決定したサイズで各メニュー項目のアイコンを表示するようにしているので、選択の頻度によってアイコンを拡大又は縮小して表示することができ、従来同一の大きさで表示していたメニューアイコンに対して、選択される可能性に適合した表示がなされるとともに選択頻度の高いアイコンにはマウス29のカーソルが当りやすくなるので操作性が向上する。また、特別な指定をしなくても、自動的にアイコンの大きさが変化するのでユーザの手を煩わすこともない。」の記載参照。)でもある。
したがって、上記引用文献2記載の技術や周知技術を適用し、引用発明において、引用発明の「機器A(ディジタルテレビジョン装置)の付加情報のa」の「アイコン」及び「機器Bの」「情報を記録する機能と情報を再生する機能」の「アイコン」を表示する際に、ユーザが選択する可能性が高いと判断されたアイコンを、当該アイコン以外のアイコンよりも大きく表示するようにすることは当業者が容易になし得ることある。

そして、本願補正発明の作用効果も、引用発明、引用文献2記載の技術及び周知技術から、当業者であれば予想できる範囲内のものである。

(e)結論
そうすると、本願補正発明は、引用発明、引用文献2記載の技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例とされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
上記のとおり、上記本件補正は却下されたので、本願請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成23年9月14日に提出された手続補正書における特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「制御可能な機器を表す画像を表示させ、所定の前記画像がユーザにより選択されたとき、選択された前記画像により表される前記機器を制御するための複数の項目を表示させる表示制御手段と、
前記ユーザにより選択された項目に応じて、選択された前記画像により表される前記機器を制御する制御手段と
を備え、
前記表示制御手段は、前記ユーザが選択する可能性が高いと判断された項目を、当該項目以外の項目よりも大きく表示する
情報処理装置。」

第4 引用例
原査定の拒絶理由に引用された引用文献1、2及びその記載事項は、前記「第2 (2)(b)」に記載したとおりである。

第5 対比・判断
本願発明は、前記「第2」で検討した本願補正発明の「制御可能な機器を表す画像を複数表示させ、所定の前記画像がユーザにより選択されたとき、選択された前記画像の表示を選択されていない前記画像の表示と異なる表示になるように変更させるとともに」を、「制御可能な機器を表す画像を表示させ、所定の前記画像がユーザにより選択されたとき」とするものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに限定したものに相当する本願補正発明が前記「第2」に記載したとおり、引用発明、引用文献2記載の技術及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明、引用文献2記載の技術及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用文献2記載の技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-02-12 
結審通知日 2013-02-14 
審決日 2013-02-27 
出願番号 特願2009-112758(P2009-112758)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 衣川 裕史  
特許庁審判長 和田 志郎
特許庁審判官 山田 正文
稲葉 和生
発明の名称 情報処理装置および情報処理方法  
代理人 稲本 義雄  

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