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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1273136
審判番号 不服2012-7953  
総通号数 162 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-04-27 
確定日 2013-04-15 
事件の表示 特願2009- 1088「画像再生装置および画像処理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 7月22日出願公開、特開2010-160576〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続きの経緯・本願発明
本願は、平成21年1月6日の出願であり、平成24年3月23日付けで拒絶査定がなされ、それに対して同年4月27日に拒絶査定不服の審判請求がなされたものであって、その請求項1に係る発明は、平成23年10月24日に提出された手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。(以下、「本願発明」という。)
「画像再生手段により符号化データを復号されて得られる動画像データと、当該動画像データとともに前記画像再生手段が出力する画像データであって前記動画像データに対する各種処理操作をユーザに提供するための操作画像データとを含む第1の表示画像データを、高解像度化するための画像処理を施して第2の表示画像データとして表示可能に出力する画像処理手段と、
前記画像処理手段が出力する前記第2の表示画像データに対するポインタイベントを検知するイベント検知手段と、
前記ポインタイベントが検知された場合、該ポインタイベントに含まれる座標位置情報を前記第1の表示画像データ上の座標位置情報に変換する座標位置情報変換手段と、
該座標位置情報変換後の前記ポインタイベントを前記画像再生手段に出力するイベント出力手段と、
を備えることを特徴とする画像再生装置。」

第2 引用文献
(1)原査定の拒絶の理由に引用された特開2001-142645号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに次の記載がある。
(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、画像デ-タを含む情報を処理して表示情報を出力する情報処理部と、表示モードの指定に基づいて表示モード情報記憶部から対応した表示モード情報を読み出し、この表示モード情報で情報処理部から出力した表示情報を制御して表示パネルで対応した表示モードの画像を表示する表示部と、表示パネルに装着され、対象物(ペンや指)で指示された位置の座標値を検出するタッチパネルとを具備したタッチパネル付き画像表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般にこの種のタッチパネル付き画像表示装置は、情報処理部から出力した表示情報(例えば映像信号)のアスペクト比(縦横比)と、表示部の表示パネルのアスペクト比が相違する場合、表示部側の操作によって表示パネルの表示モードを適宜に変更し、この表示モードで表示情報の画像が表示される。例えば、表示部の表示パネルがアスペクト比16:9のPDP(プラズマディスプレイパネル)で、このPDPでパーソナルコンピュータ(情報処理部の一例)側から出力したアスペクト比4:3のカラー映像信号(例えばNTSC方式のカラー映像信号)の画像を表示する場合、表示モードの指定によって、図8の(a)、(b)又は(c)に示すようなノーマルモード、ワイドモード又はズームモードによる画像表示がなされる。
【0003】ノーマルモードは、ワイド画面(16対9)の中央に4対3の画面をそのまま映し出し、両側のハッチング部分を非表示とする表示モードを表す。ワイドモードは、ワイド画面一杯に4対3の画面を引き延ばして映し出す表示モードを表す。ズームモードは、真円率を保持してワイド画面の左右一杯に4対3の画面を引き延ばして映し出す表示モードを表す。
【0004】また、パーソナルコンピュータから出力した表示情報を制御して表示パネルで所定表示モードの画像を表示する表示部と、この表示部の表示パネルに装着されたタッチパネルとを具備し、このタッチパネルによって対象物で指示された位置の座標値を検出して情報処理部へ出力するタッチパネル付き画像表示装置では、パーソナルコンピュータ側においてタッチパネルでの検出座標値がどの表示モードに対応しているのか判らないので、タッチパネルの検出座標値がパーソナルコンピュータで情報処理に用いられる表示座標値と一致せず、表示モード毎にずれることがあるという問題があった。このような問題をなくすため、従来、ユーザは表示パネルの表示モードを切り替える度に、キャリブレーションモードに設定して座標値合わせを行っていた。」(段落【0001】?【0004】)

(イ)「【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明によるタッチパネル付き画像表示装置の一実施形態例を図1を用いて説明する。図1において、10は情報処理部の一例としてのパーソナルコンピュータ(以下単にパソコン又はPCと記述する。)、12は表示モードの変更可能な表示部、14はタッチパネルである。
【0014】前記パソコン10はMPU(マイクロプロセッサユニット)16及びグラフィックLSI(大規模集積回路)18を具備する。
【0015】前記MPU16は、プログラムROM(リードオンリメモリ)(図示を省略)に格納されたプログラムに基づき、次の(1)(2)(3)に示す機能を達成するための制御を行う。
【0016】(1)画像用デ-タを格納したROM(図示を省略)や外部情報源(図示を省略)から画像用デ-タを取り込んで解釈するとともに、タッチパネル14での検出座標値を取り込んで解釈し、グラフィックLSI18を駆動する機能。例えば、タッチパネル14での検出座標値をもとにカーソル表示やプログラム起動などの制御をするために、グラフィックLSI18を駆動する機能。
【0017】(2)前記グラフィックLSI18から出力する水平同期信号H1、垂直同期信号V1の有無を判別し、同期信号H1、V1無しと判別したときにタッチパネル14での検出座標値が入力するのを阻止する判別・阻止機能。
【0018】(3)パソコン10が動作可能な状態であるか否かを判別し、動作可能な状態でないと判別したときにタッチパネル14での検出座標値が入力するのを阻止する判別・阻止機能。
【0019】前記グラフィックLSI18は、MPU16の取り込んだ画像用デ-タやROM内の画像用デ-タにアクセスして取り込むビデオディスプレイプロセッサ部と、画像用デ-タにアクセスし、そのデ-タの一部を取り込み、その取り込んだデ-タに基づきビデオディスプレイプロセッサ部を制御する小型プロセッサ部とを具備し、表示情報としてのアナログのR(赤)、G(緑)、B(青)信号(カラー映像信号)と水平同期信号H1及び垂直同期信号V1を出力する。
【0020】前記表示部12は、A/D(アナログ/ディジタル)変換器20、フレームメモリ22、書込み制御部24、読出し制御部26、入力部28、表示モード情報記憶部30、表示制御部32、画素補間部34、表示パネル36及び表示用同期信号生成部38を具備している。
【0021】前記A/D変換器20は、前記パソコン10から出力したアナログのR、G、B信号をディジタルのR、G、B信号に変換して出力する。前記フレームメモリ22は、前記A/D変換器20から出力したR、G、B信号をそれぞれ1フレーム分記憶する。前記書込み制御部24は、前記パソコン10から出力した同期信号H1、V1を書込用の基準信号として、前記A/D変換器20から出力したR、G、B信号の前記フレームメモリ22への書き込みを制御する。前記読出し制御部26は、表示用の水平同期信号H2、垂直同期信号V2を読出用の基準信号として前記フレームメモリ22からR、G、B信号を読み出す制御を行う。
【0022】前記入力部28は、キーボードやマウスなどからなり、複数の表示モードのうちの任意の表示モードを択一的に指定可能な表示モード指定部、オフセット値入力部を形成する。前記表示モード情報記憶部30には、複数の表示モードのそれぞれに対応した読出位置情報TI及び倍率情報BR(表示モード情報の一例)が予め記憶されている。前記表示制御部32は、前記入力部28からの表示モード指定信号に基づいて前記表示モード情報記憶部30から対応した読出位置情報TI及び倍率情報BRを出力する。前記画素補間部34は、前記表示制御部32から出力した倍率情報BRに基づいて、前記フレームメモリ22から読み出されたR、G、B信号に対する画素補間処理を行う。例えば倍率情報BRが垂直方向に4/3倍する情報のときには、線形補間方式により、3ライン分の水平映像信号から4ライン分の水平映像信号を生成する。
【0023】前記表示パネル36は、前記画素補間部34から出力したR、G、B信号に基づいて対応した表示モードの画像を表示する。前記表示用同期信号生成部38は、前記表示制御部32から出力した読出位置情報TIに基づいて表示用の水平同期信号H2と垂直同期信号V2とを生成し、前記読出し制御部26へ出力する。
【0024】前記タッチパネル14はタッチパネルセンサ40とタッチパネル制御部42とを具備している。前記タッチパネルセンサ40は前記表示パネル36に重ね合わせて装着され、ペンや指などの対象物で指示された位置情報を検出する。前記タッチパネル制御部42は、プログラムROM(図示を省略)に格納されたプログラムに基づき、次の(1)(2)(3)に示す機能を達成するための制御を行う。
【0025】(1)前記タッチパネルセンサ40で検出された位置情報に基づいてタッチパネルセンサ40上の座標値を求める機能。
【0026】(2)前記表示制御部32から出力した読出位置情報TIに基づいて前記表示パネル36における表示画像の位置ずれを補正するためのオフセット値を出力する表示位置調整機能。
【0027】(3)前記表示制御部32から出力した読出位置情報TIと倍率情報BRに基づいて、前記(1)で求めたタッチパネルセンサ40上の検出座標値に対する補正を行うとともに、前記(2)の機能で求めたオフセット値を加減算し、表示座標値として前記パソコン10のMPU16へ出力する座標値補正機能。」(段落【0013】?【0027】、なお、丸数字は(数字)で示した。)

(ウ)「【0028】つぎに、図1の作用を図2、図3を併用して説明する。説明の便宜上、パソコン10側から表示部12のA/D変換器20に入力するR、G、B信号(カラー映像信号)のアスペクト比が4:3、表示パネル36のアスペクト比が16:9で、アスペクト比が合わない組み合わせであって、入力部28で指定された表示モードがズームモードの場合について説明する。
【0029】(1)パソコン10では、MPU16が、その機能(1)によって画像用デ-タを取り込んで解釈するとともに、タッチパネル14での検出座標値を取り込んで解釈し、グラフィックLSI18を駆動する。例えば、タッチパネル14での検出座標値をもとにしてカーソル表示やプログラム起動などの制御をするために、グラフィックLSI18を駆動する。グラフィックLSI18では、MPU16の取り込んだ画像用デ-タや、ROM内又は外部情報源の画像用デ-タにアクセスして画像用デ-タを取り込み、その取り込んだデ-タに基づき対応したアナログのR、G、B信号及び同期信号H1、V1を出力する。
【0030】(2)パソコン10から出力したR、G、B信号が表示部12に入力すると、このR、G、B信号はA/D変換器20でディジタルのR、G、B信号に変換され、書込み制御部24で書き込み制御されるフレームメモリ22に書き込まれる。この書き込まれたR、G、B信号の映像は、図2(a)に示すように、パソコン10の表示座標とも一致する。
【0031】(3)ついで、入力部28でズームモードを表示モードとして指定すると、この指定信号に基づいて表示制御部32が表示モード情報記憶部30から対応した読出位置情報YI及び倍率情報BRを読み出して出力する。
【0032】(4)読出位置情報YIが表示用同期信号生成部38に入力すると、この表示用同期信号生成部38で表示用同期信号H2、V2を生成して読出し制御部26に入力するので、この読出し制御部26の読み出し制御によってフレームメモリ22からR、G、B信号が読み出され画素補間部34へ出力する。このとき、読出し制御部26は、図2(a)に示すように、フレームメモリ22に対して読出位置情報YIに対応した読み出し開始位置を指示する。
【0033】(5)画素補間部34は、フレームメモリ22から読み出されたR、G、B信号に対して、倍率情報BRに基づく線形補間方式を用いて、3ライン分の水平映像信号から4ライン分の水平映像信号を生成する。すなわち、図2(a)に示す書込み映像を垂直方向に4/3倍に拡大して同図(b)に示すような読出し映像とするための映像信号を表示パネル36に出力する。このため、表示パネル36では図2(b)に示すような読出し映像が表示される。この表示パネル36の表示座標値は、表示パネル36に重ね合わされたタッチパネルセンサ40の検出座標値に相当する。
【0034】(6)したがって、つぎの(7)に示す作用がないと、タッチパネル14の検出座標値がパソコン10から出力した映像信号(R、G、B信号)自体の画面座標値と一致せず、タッチパネル14の検出座標値を補正せずにパソコン10内のMPU16へ出力すると、表示パネル36の表示画面の予定外の座標値位置にカーソルを表示したり、予定外のコマンドを起動したりすることになる。
【0035】(7)ここで、タッチパネル14において、図3(a)に×印で示した位置を対象物で指示すると、まず、タッチパネルセンサ40によって対象物で指示された位置の情報が検出される。ついで、タッチパネル制御部42は、その座標値を求める機能(1)によってタッチパネルセンサ40の検出位置情報から検出座標値を算出し、その表示位置調整機能(2)によって表示パネル36における表示画像の位置ずれを補正するためのオフセット値を算出し、その座標値補正機能(3)によって、表示制御部32から出力した読出位置情報TIと倍率情報BRに基づいて、前記(1)で求めたタッチパネルセンサ40上の検出座標値に対する補正を行うとともに、前記(2)の機能で求めたオフセット値を加減算し、表示座標値としてパソコン10のMPU16へ出力する。このため、パソコン10側では、タッチパネルセンサ40での検出座標値が、図3(c)に×印で示した座標値として扱われ、正しい対応関係とすることができる。」(段落【0028】?【0035】、なお、丸数字は(数字)で示した。)

以上の記載によれば、この引用文献には、以下のような発明(以下、「引用発明」という。)が開示されていると認められる。
「パソコン10側から表示部12のA/D変換器20に入力するR、G、B信号(カラー映像信号)のアスペクト比が4:3、表示パネル36のアスペクト比が16:9で、アスペクト比が合わない組み合わせであって、
パソコン10のMPU16は、ROM内又は外部情報源の画像用デ-タにアクセスして画像用デ-タを取り込んで解釈するとともに、タッチパネル14での検出座標値を取り込んで解釈し、グラフィックLSI18を駆動、例えば、タッチパネル14での検出座標値をもとにカーソル表示やプログラム起動などの制御をするために、グラフィックLSI18を駆動する機能を有し、
パソコン10のグラフィックLSI18は、MPU16が取り込んだ画像用デ-タに基づき対応したアナログのR、G、B信号及び同期信号H1、V1を出力し、
パソコン10から出力したR、G、B信号が表示部12に入力すると、このR、G、B信号はA/D変換器20でディジタルのR、G、B信号に変換され、書込み制御部24で書き込み制御されるフレームメモリ22に書き込まれ、この書き込まれたR、G、B信号の映像は、パソコン10の表示座標と一致し、
入力部28でズームモードを表示モードとして指定すると、この指定信号に基づいて表示制御部32が表示モード情報記憶部30から対応した読出位置情報YI及び倍率情報BRを読み出して出力し、
読出位置情報YIが表示用同期信号生成部38に入力すると、この表示用同期信号生成部38で表示用同期信号H2、V2を生成して読出し制御部26に入力するので、この読出し制御部26の読み出し制御によってフレームメモリ22からR、G、B信号が読み出され画素補間部34へ出力し、
画素補間部34は、フレームメモリ22から読み出されたR、G、B信号に対して、倍率情報BRに基づく線形補間方式を用いて、3ライン分の水平映像信号から4ライン分の水平映像信号を生成、すなわち書込み映像を垂直方向に4/3倍に拡大して読出し映像とするための映像信号を表示パネル36に出力し、
表示パネル36の表示座標値は、表示パネル36に重ね合わされたタッチパネルセンサ40の検出座標値に相当し、
タッチパネル14において、位置を対象物で指示すると、タッチパネルセンサ40によって対象物で指示された位置の情報が検出され、タッチパネル制御部42は、その座標値を求める機能によってタッチパネルセンサ40の検出位置情報から検出座標値を算出し、その表示位置調整機能によって表示パネル36における表示画像の位置ずれを補正するためのオフセット値を算出し、その座標値補正機能によって、表示制御部32から出力した読出位置情報TIと倍率情報BRに基づいて、タッチパネルセンサ40上の検出座標値に対する補正を行うとともに、求めたオフセット値を加減算し、表示座標値としてパソコン10のMPU16へ出力し、このため、パソコン10側では、タッチパネルセンサ40での検出座標値が、正しい対応関係とすることができるようにし、
表示パネル36の表示画面の予定外の座標値位置にカーソルを表示したり、予定外のコマンドを起動したりすることがないようにしたタッチパネル付き画像表示装置。」

(2)原査定の拒絶の理由に引用された特開2006-79164号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに次の記載がある。
「【0033】
画像処理部36は、撮像部35から入力される画像信号に所定の画像処理を施し、バス33を介してディスプレイ38に出力する。また画像処理部36は、撮像部15から入力された画像信号を圧縮符号化し、その結果得られる符号化データを記録部37に出力する。この符号化データには撮影された画像信号のアスペクト比を示す情報が含まれているものとする。さらに、画像処理部36は、記録部37から入力される符号化データを伸長し、その結果得られる画像に、制御部31からバス33を介して入力される操作ボタンの画像を重畳してディスプレイ38に出力する。また、記録部37から入力される符号化データを伸長して得られる画像信号のアスペクト比を示す情報を制御部31に出力する。
【0034】
記録部37は、画像処理部36から入力される符号化データを所定の記録媒体に記録する。また記録部37は、所定の記録媒体に記録されている符号化データを読み出して画像処理部36に出力する。
【0035】
ディスプレイ38は、制御部31からバス33を介して入力される画像信号の画像を表示する。ディスプレイ38に積層されているタッチパネル39は、ディスプレイ38の画面を透過するようになされており、ディスプレイ38に表示された操作ボタン等を押下しようとするユーザの接触を検知して、ユーザによって接触された位置を示す座標情報を、バス33を介して制御部31に出力する。
【0036】
図4は、制御部31の詳細な構成例を示している。アスペクト比監視部51は、画像処理部36から入力されるアスペクト比を示す情報に基づき、記録部37により読み出され画像処理部36によって再生される動画像のアスペクト比を判別するとともにその変更を監視する。画面表示制御部52は、アスペクト比監視部51によって判別されるアスペクト比に基づき、ディスプレイ38に表示させる動画像の表示方法(アスペクト比が16:9である場合、図1に示されたように画面全体に動画像を表示させ、アスペクト比が4:3である場合、図2に示されたように画面中央に設けた表示領域11に動画像を表示させる等)に関して画像処理部36を制御する。
【0037】
ボタン表示制御部53は、アスペクト比監視部51によって判別されるアスペクト比に基づき、ディスプレイ38に重畳表示させる操作ボタンの画像データ(以下、ボタンデータとも記述する)を記録媒体32から読み出してサイズを変更し、画像処理部36に出力する。感知エリア設定部54は、ディスプレイ38に表示されている各操作ボタンが押下されたと判断すべきタッチパネル39上の領域(感知エリア)を設定する。操作判定部55は、タッチパネル39からバス33を介して入力される座標情報と、感知エリア設定部54による設定に基づき、ユーザによって操作された操作ボタンを判定する。また、操作判定部55は、押下された単発ボタン(後述)に対する処理が実行済であるときオンとされ、未実行であるときオフとされるボタン対処フラグを保持している。コマンド生成部56は、操作判定部55による判定結果に対応するコマンド信号を生成し、バス33を介して対応する部位に出力する。
・・・中略・・・
【0039】
第1のボタン対応処理について図5のフローチャートを参照して説明する。この第1のボタン対応処理は、記録部37により所定の記録媒体から動画像の符号化データが読み出され、読み出された符号化データが画像処理部36により再生され、再生された動画像に操作ボタンの画像が重畳されてディスプレイ38に表示されたとき、すなわち、図1または図2に示されたような画面が表示されたときに開始される。
【0040】
ステップS1において、アスペクト比監視部51は、画像処理部36から入力される、再生中の動画像のアスペクト比を示す情報に基づき、再生中の動画像にアスペクト比の変更が発生したか否かを判定する。再生中の動画像にアスペクト比の変更が発生したと判定された場合、処理はステップS2に進む。ステップS2において、ボタン表示制御部53は、記録媒体32から操作ボタンの画像データであるボタンデータを読み出し、ステップS3において、表示される操作ボタンのサイズが変更後のアスペクト比に対応するように、ボタンデータを変更し、バス33を介して画像処理部36に出力する。」(段落【0033】?【0040】)

第3 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「パソコン10」の「MPU16が」取り込む「ROM内又は外部情報源の画像用デ-タ」は、本願発明の「符号化データ」に相当し、引用発明の「パソコン10」の「グラフィックLSI18が、その取り込んだデ-タに基づき」出力する「対応したアナログのR、G、B信号」は、本願発明の「符号化データを復号されて得られる動画像データ」と「符号化データを復号されて得られる画像データ」である点で共通するといえる。

(イ)引用発明は、「パソコン10から出力したR、G、B信号が表示部12に入力すると、このR、G、B信号はA/D変換器20でディジタルのR、G、B信号に変換され、書込み制御部24で書き込み制御されるフレームメモリ22に書き込まれ、この書き込まれたR、G、B信号の映像は、パソコン10の表示座標と一致」しているから、引用発明の「フレームメモリ22に書き込まれた」「R、G、B信号の映像」は、本願発明の「動画像データと、当該動画像データとともに前記画像再生手段が出力する画像データであって前記動画像データに対する各種処理操作をユーザに提供するための操作画像データとを含む第1の表示画像データ」と「画像データを含む第1の表示画像データ」である点で共通するといえる。
そして、引用発明の「パソコン10」は、本願発明の「画像再生手段」と「符号化データを復号」し「画像データ」を得るものであって、「画像データを含む第1の表示画像データ」を出力している点で共通するといえる。

(ウ)引用発明の「入力部28でズームモードを表示モードとして指定すると、この指定信号に基づいて表示制御部32が表示モード情報記憶部30から対応した読出位置情報YI及び倍率情報BRを読み出して出力し、読出位置情報YIが表示用同期信号生成部38に入力すると、この表示用同期信号生成部38で表示用同期信号H2、V2を生成して読出し制御部26に入力するので、この読出し制御部26の読み出し制御によってフレームメモリ22からR、G、B信号が読み出され画素補間部34へ出力し、画素補間部34は、フレームメモリ22から読み出されたR、G、B信号に対して、倍率情報BRに基づく線形補間方式を用いて、3ライン分の水平映像信号から4ライン分の水平映像信号を生成、すなわち書込み映像を垂直方向に4/3倍に拡大して読出し映像とするための映像信号を表示パネル36に出力」する構成は、本願発明の「第1の表示画像データを、高解像度化するための画像処理を施して第2の表示画像データとして表示可能に出力する画像処理手段」と「第1の表示画像データを、解像度を変更するための画像処理を施して第2の表示画像データとして表示可能に出力する画像処理手段」の点で共通するといえる。

(エ)引用発明の「表示パネル36の表示座標値は、表示パネル36に重ね合わされたタッチパネルセンサ40の検出座標値に相当し、タッチパネル14において、位置を対象物で指示すると、タッチパネルセンサ40によって対象物で指示された位置の情報が検出され、タッチパネル制御部42は、その座標値を求める機能によってタッチパネルセンサ40の検出位置情報から検出座標値を算出」する構成は、「MPU16は、」「タッチパネル14での検出座標値を取り込んで解釈し、グラフィックLSI18を駆動、例えば、タッチパネル14での検出座標値をもとにカーソル表示やプログラム起動などの制御をするために、グラフィックLSI18を駆動する」ことを考慮すると、本願発明の「前記画像処理手段が出力する前記第2の表示画像データに対するポインタイベントを検知するイベント検知手段」に相当するといえる。

(オ)引用発明の「表示位置調整機能によって表示パネル36における表示画像の位置ずれを補正するためのオフセット値を算出し、その座標値補正機能によって、表示制御部32から出力した読出位置情報TIと倍率情報BRに基づいて、タッチパネルセンサ40上の検出座標値に対する補正を行うとともに、求めたオフセット値を加減算し、表示座標値としてパソコン10のMPU16へ出力」する構成は、本願発明の「前記ポインタイベントが検知された場合、該ポインタイベントに含まれる座標位置情報を前記第1の表示画像データ上の座標位置情報に変換する座標位置情報変換手段と、該座標位置情報変換後の前記ポインタイベントを前記画像再生手段に出力するイベント出力手段」に相当するといえる。

したがって、本願発明の用語を用いて表現すると両者は、
「画像再生手段により符号化データを復号されて得られる画像データを含む第1の表示画像データを、解像度を変更するための画像処理を施して第2の表示画像データとして表示可能に出力する画像処理手段と、
前記画像処理手段が出力する前記第2の表示画像データに対するポインタイベントを検知するイベント検知手段と、
前記ポインタイベントが検知された場合、該ポインタイベントに含まれる座標位置情報を前記第1の表示画像データ上の座標位置情報に変換する座標位置情報変換手段と、
該座標位置情報変換後の前記ポインタイベントを前記画像再生手段に出力するイベント出力手段と、
を備えることを特徴とする画像再生装置。」
で一致するものであり、次の(1)、(2)の点で相違している。

(1)解像度を変更するための画像処理を施して第2の表示画像データとして表示可能に出力するための「第1の表示画像データ」が、本願発明では、「画像再生手段により符号化データを復号されて得られる動画像データと、当該動画像データとともに前記画像再生手段が出力する画像データであって前記動画像データに対する各種処理操作をユーザに提供するための操作画像データとを含む」のに対して、引用発明では、「ROM内又は外部情報源の画像用デ-タにアクセスして」「取り込んだ画像用データ」に基づいた「R、G、B信号の映像」が、動画像データと動画像データに対する各種処理操作をユーザに提供するための操作画像データとを含むことは記載されていない点。

(2)本願発明は、「第1の表示画像データを、高解像度化するための画像処理を施して第2の表示画像データとして表示可能に出力する画像処理手段」を備えるのに対して、引用発明は、「画素補間部34は、フレームメモリ22から読み出されたR、G、B信号に対して、倍率情報BRに基づく線形補間方式を用いて、3ライン分の水平映像信号から4ライン分の水平映像信号を生成、すなわち書込み映像を垂直方向に4/3倍に拡大して読出し映像とするための映像信号を表示パネル36に出力」しているが、「高解像度化するための画像処理」であることは明記されていない点。

第4 当審の判断
・相違点(1)について
引用文献2には、画像処理部によって再生される動画像とともに当該動画像データに対する各種処理操作をユーザに提供するための操作ボタンの画像データを出力して画面に表示する技術が記載されている。
また、動画像再生表示装置において、動画像とともに当該動画像データに対する各種処理操作をユーザに提供するためのUI画像を出力して画面に表示することは、本願出願日前周知の技術(例えば、特開平10-124021号公報段落【0005】?【0006】「ところで、現状のパーソナルコンピュータ等においては、グラフィクス表示規格としてアスペクト比4:3に対応する解像度(水平画素数×垂直画素数に相当する)のみが存在し、アスペクト比16:9に対応するグラフィクス表示規格は定められていない。このため、例えば、前述したコンピュータ装置やコンピュータ用のOSをベースとするようなマルチメディア機器等においては、アスペクト比4:3の有効表示画面による画像出力のみが行われることになる。そして、このようなコンピュータ装置やマルチメディア機器と、上記したアスペクト比16:9の表示画面を備えるようなマルチメディア対応モニタ装置とによりシステムを組んだ場合、・・・中略・・・そして、例えばグラフィック表示としてアスペクト比16:9に対応する解像度と、アスペクト比4:3に対応する解像度との設定切換えなどが実現されたとして、この場合に、ユーザインターフェイスのための画像(以下単に「UI(User Interface)画像」ともいう)として、アスペクト比4:3の解像度に対応して設定されたUI画像データを、アスペクト比16:9に対応する解像度に基づく表示時においてもそのまま利用したとすると、アスペクト比4:3の解像度に基づく表示時の場合よりも、有効表示領域全体を占めるUI画像が相対的に小さなものとなってしまい、ユーザに違和感を与えることにもつながる。そこで、UI画像データについて、アスペクト比16:9用の解像度に対応して、例えば横幅を拡張するようにして画像処理を施して表示することも考えられるが、この場合にはUI画像が例えば横方向に拡がるようにして歪むことになり、UI画像の見た目が変わると共に、UI画像自体の解像感が粗く見えてしまうことにもなって、例えばUI画像としてのデザイン上の美観を損なうことにもなるため、好ましいことではない。このため、アスペクト比16:9に対応する解像度設定時と、アスペクト比4:3に対応する解像度設定時とで、それぞれに適合するUI画像を表示出力できるようにすることが求められることになるが、この際、画像処理の負担も軽減されることが好ましい。」の記載、特開2006-4486号公報段落【0140】?【0141】「これに対して、グラフィック・オブジェクトは、(初期)表示アスペクト比が“16:9”かつ(現在)表示モードが“wide”のときはフラッシュ#10を同期再生し(図32の932参照)、(初期)表示アスペクト比が“4:3”かつ(現在)表示モードが“lb”のときはフラッシュ#11を同期再生し(図33の942参照)、(初期)表示アスペクト比が“4:3”かつ(現在)表示モードが“ps”のときはフラッシュ#12を同期再生する(図34の952参照)。・・・中略・・・また、画面の構成に応じて、グラフィック・オブジェクトのサイズを小さくしたり、または大きくしたり、グラフィック・オブジェクト内の文字のサイズを小さく、または大きくすることが可能になる。これにより、DVDビデオコンテンツの表示状態に応じたグラフィック・オブジェクトの表示を行うことが可能になる。」の記載、図32、図34、参照。)でもある。
そして、引用発明は、「例えば、タッチパネル14での検出座標値をもとに」「プログラム起動などの制御をするために、グラフィックLSI18を駆動する機能を有し」、「予定外のコマンドを起動したりすることがないよう」するものであるから、「R、G、B信号の映像」にコマンド起動等の操作をユーザに提供するための操作画像データを含むことが示されているといえる。
したがって、引用発明において、上記引用文献2記載の技術や周知技術を適用し、「R、G、B信号の映像」を、動画像データと動画像データに対する各種処理操作をユーザに提供するための操作画像データとを含む第1の表示画像データとすることは、当業者が容易になし得ることである。

・相違点(2)について
画像表示装置において、画像データを画面に拡大(ワイド)表示する際に、高解像度の画像データにすることは、本願出願日前周知の技術(例えば、上記特開平10-124021号公報段落【0022】「制御部12は、各機能回路部に対する所要の制御動作を実行する。この場合、制御部12はマルチメディアに対応する構成が採られているものとされ、例えば映像信号処理、音声信号処理及び通信機能に関する制御処理に適合するように構築されている。また、本実施の形態においてはビデオプロセッサ11を制御することにより、後述するようにしてアスペクト比4:3に対応する解像度とアスペクト比16:9に対応する解像度との設定切換えを実行可能に構成されている。」、段落【0028】?【0031】「<3.本実施の形態におけるワイドモード設定例> 次に、図4?図6を参照して、本実施の形態のワイドモード設定例について説明する。本実施の形態のセットトップボックス1においては、前述したようにアスペクト比切換スイッチ20によって、4:3のアスペクト比に対応する解像度(水平画素数×垂直画素数)に基づくRGB信号出力を行うノーマルモードと、16:9のアスペクト比に対応する解像度(水平画素数×垂直画素数)に基づくRGB信号出力を行うワイドモードとの切換えが可能とされる。ところで、以降の説明に関わるセットトップボックス1のグラフィク表示規格であるが、ノーマルモード(アスペクト比4:3に対応)については、従前からよく知られているVGA(Video Graphic Array) 及びSVGA(Super-VGA) を採用しているものとする。そして、本実施の形態の特徴となるワイドモード(アスペクト比16:9に対応)については、後述するように、VGAよりも高解像度を有するものとして規定されたSVGAに基づいて、アスペクト比16:9に対応する解像度設定を行うものとされる。【0029】図4は、本実施の形態におけるノーマルモードとワイドモードの仕様を示すものである。ここでは、ノーマルモードとして、VGA:640×480(=水平画素数×垂直画素数)と、SVGA:800×600が挙げられている。そして、VGA:640×480の仕様としては、画素周波数:25.125MHz、水平走査周波数:31.4688KHz,垂直走査周波数:59.4905Hzとされている。また、SVGA:800×600の仕様としては、画素周波数:49.500MHz、水平走査周波数:46.875KHz,垂直走査周波数:75.000Hzとされている。・・・中略・・・WIDE-1:848×480とVGA:640×480の組と、WIDE-2:1060×600とSVGA:800×600の組とで、それぞれ垂直解像度(垂直画素数)が同一とされている。つまり、WIDE-1:848×480は、VGA:640×480と同レベルの解像度を有したうえで16:9に対応して水平画素数を拡張し、WIDE-2:1060×600は、SVGA:800×600と同レベルの解像度を有したうえで、16:9に対応して水平画素数を拡張したものとされる。」の記載、特開2008-199111号公報段落【0078】「映像ソースに基づいて受信する映像サイズを制御する方法としては、例えば、以下のような方法を用いることができる。携帯電話の表示画面がVGAである場合で、1セグ放送で得られている視聴映像のサイズが320×240(4:3)である場合、映像を表示させるエリアサイズは、縦方向視聴(映像+データ放送)の場合には360×270、横方向(全画面)視聴(映像のみ)の場合には640×480となるため、映像の送信要求時(図4のS7もしくはS11)に、そのサイズ情報を使用して要求を行う。同様に1セグ放送で得られている視聴映像のサイズが320×180(16:9)である場合には、縦方向視聴の場合480×270、横方向視聴の場合640×360というサイズ情報を使用して要求を行う。」の記載、特開2005-198027号公報段落【0010】「上記のような装置で、低解像度・高圧縮率で圧縮された画像を高解像度の表示全画面表示する場合に、表示部の画素数と同一画素数になるように、復号画像の拡大処理を行う」の記載参照。)である。
したがって、上記周知技術を考慮すれば、引用発明の「フレームメモリ22から読み出されたR、G、B信号に対して、倍率情報BRに基づく線形補間方式を用いて、3ライン分の水平映像信号から4ライン分の水平映像信号を生成、すなわち書込み映像を垂直方向に4/3倍に拡大」する処理を、高解像度化する画像処理とすることは、当業者であれば困難性は認められない。

そして、本願発明の作用効果も、引用発明、引用文献2記載の技術及び周知技術から、当業者であれば予想できる範囲内のものである。

第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用文献2記載の技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-02-12 
結審通知日 2013-02-15 
審決日 2013-02-27 
出願番号 特願2009-1088(P2009-1088)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岩橋 龍太郎  
特許庁審判長 和田 志郎
特許庁審判官 稲葉 和生
衣川 裕史
発明の名称 画像再生装置および画像処理装置  
代理人 藤原 康高  

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