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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H02K
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H02K
管理番号 1273262
審判番号 不服2012-13672  
総通号数 162 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-06-28 
確定日 2013-04-22 
事件の表示 特願2010-294775「強力モーター」拒絶査定不服審判事件〔平成23年11月10日出願公開、特開2011-229363〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成22年11月24日の特許出願であって、平成24年4月20日付けで拒絶査定がなされ、同年6月25日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1ないし3に係る発明(以下、「本願発明1ないし3」という。)は、出願当初の特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定される以下のとおりのものと認められる。最初に、本願発明3について下記「3.引用例」、「4.対比」、及び、「5.判断」で検討し、下記「6.本願発明1、及び、2について」において、本願発明1、及び、2について検討する。
「【請求項1】
強力発電機
【請求項2】
強力モーター
【請求項3】
強力磁石使って水車とか、上水道、とか、自動車のエンジンにより発電を起こし、強力発電機とする」

なお、請求項3の「強力発電気」なる記載は、請求項1の「強力発電機」なる記載を踏まえると、「強力発電機」の誤記であると解されることから、上記のように認定し、以下の検討を進める。

3.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開2009-84627号公報(以下、「引用例」という。)には、図面と共に以下の事項が記載されている。

・「【0002】
ネオジウム鉄ボロン系の焼結磁石(所謂、ネオジム磁石)は、鉄と、安価であって資源的に豊富で安定供給が可能なNd、Bの元素の組み合わせからなることで安価に製造できると共に、高磁気特性(最大エネルギー積はフェライト系磁石の10倍程度)を有することから、電子機器など種々の製品に利用され、ハイブリッドカー用のモーターや発電機などにも採用され、使用量が増えている。」

これらの記載事項及び図示内容を総合すると、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「高磁気特性を有するネオジム磁石を採用してハイブリッドカー用の発電機とモーターとを設け、発電機とする。」

4.対比
そこで、本願発明3と引用発明とを対比する。

(ア)出願当初の本願の明細書の【0002】の「【発明が解決しようとする課題】強力磁石を使う。ネオジュームを使って強力な発電を起こす」なる記載によれば、ネオジュームを使った強力磁石は、強力磁石といえる。
さらに、ハイブリッドカー用の発電機が自動車のエンジンにより発電する点は、原審の拒絶理由に引用された特開2001-339868号公報の【0012】に「ハイブリッドカーは、エンジンで発電機を駆動して電池群を充電する機構を搭載している」と記載されているように、技術常識にすぎないといえる。
してみると、後者の「ハイブリッドカー用の発電機とモーターとを設け」が前者の「自動車のエンジンにより発電を起こし」に相当し、後者の「高磁気特性を有するネオジム磁石を採用してハイブリッドカー用の発電機とモーターとを設け」と、前者の「強力磁石使って水車とか、上水道、とか、自動車のエンジンにより発電を起こし」とは、「強力磁石を使って自動車のエンジンにより発電を起こし」なる概念で共通する。

(イ)後者の「強力発電機」が、
前者の「強力発電機」に相当する。

したがって、両者は、
「強力磁石を使って自動車のエンジンにより発電を起こし、
強力発電機とする。」
点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点]
発電するための手段に関し、本願発明3では、強力磁石を使って「水車とか、上水道、とか」により発電するのに対し、引用発明ではそのような特定はなされていない点。

5.判断
上記[相違点]について以下検討する。
本願発明3において、水車とか、上水道により発電することによる技術的な意義は出願当初の明細書には、特定されていない。
一方、原審の拒絶の理由に引用した実用新案登録第3117512号公報の【0001】に「本考案は、水道管などのパイプ内を流れる水を利用して発電する小型の水力発電装置に関するものである。」と記載されているように、水車とか上水道により発電する点は周知慣用技術にすぎない。
そうすると、引用発明に上記周知慣用技術の水車とか、上水道により発電する手段を採用することにより相違点に係る本願発明3の構成とすることも任意であり、また、そのために格別の技術的困難性が伴うものとも認められない。

そして、本願発明3の全体構成により奏される作用効果も引用発明、及び、上記周知慣用技術から当業者が予測し得る範囲内のものにすぎない。
よって、本願発明3は、引用発明、及び、上記の周知慣用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.本願発明1、及び、2について
(1)本願発明1について
本願発明1に係る「強力発電機」なる特定は、実質的に、請求項3から「強力磁石使って水車とか、上水道、とか、自動車のエンジンにより発電を起こし」ているとの特定を省いたものに相当するといえるので、上記の「4.対比」の相違点がなくなり、本願発明1は、引用発明と同一であるといえるので、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。

(2)本願発明2について
本願発明2に係る「強力モーター」は、「ハイブリッドカー用の発電機とモーターとを設け」である引用発明と一致するものであることから、本願発明2は、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を得ることができない。

7.むすび
したがって、本願発明3は、引用発明、及び、上記周知慣用技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められ、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。また、本願発明1,及び2は、引用発明と同一であると認められ、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-02-08 
結審通知日 2013-02-19 
審決日 2013-03-04 
出願番号 特願2010-294775(P2010-294775)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (H02K)
P 1 8・ 121- Z (H02K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 高橋 祐介  
特許庁審判長 仁木 浩
特許庁審判官 藤井 昇
槙原 進
発明の名称 強力モーター  

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