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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61B
管理番号 1273304
審判番号 不服2012-19010  
総通号数 162 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-09-28 
確定日 2013-04-26 
事件の表示 特願2008-509004号「骨固定装置」拒絶査定不服審判事件〔平成18年11月 2日国際公開、WO2006/116307、平成20年11月13日国内公表、特表2008-539014号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I.手続の経緯
本願は、平成18年4月24日(パリ条約による優先権主張 2005年4月27日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成24年5月24日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成24年9月28日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

II.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成21年4月22日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「骨固定フレームの第一骨固定要素および第二骨固定要素と係合する装置において、
少なくとも2つの第一骨固定要素と係合する少なくとも2つのボアを有し、球形輪郭をもつ第一支持面を備えた第一クランプ構造と、
少なくとも1つの第二骨固定要素と係合する少なくとも1つのボアを有し、第一支持面に摺動接触する球形輪郭をもつ第二支持面を備えた第二クランプ構造と、
両支持面を互いに押圧するスプリング力を加えて、クランプ構造の相対ピボット運動に抵抗するように作動するスプリング負荷型機構とを有することを特徴とする装置。」

III.引用刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願優先権主張日前に頒布された刊行物である米国特許出願公開第2003/0149430号明細書(以下、「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。

(ア)「[0001] This application is a continuation-in-part of U.S. application Ser. No. 10/067,052, filed Feb. 4, 2002, now pending, entitled "External Fixation System," the entire contents of which are hereby incorporated by reference.
([0001]この出願は、2002年2月4日に出願されて、現在、係属中の米国出願No.10/067,052(タイトルは、「外部固定システム」)の一部継続出願であって、この米国出願の全ての内容は、ここに参照によって取り込まれる。)」(段落[0001]、()内は、一部対応する特表2005-516664号公報を基に当審において作成した邦訳である。以下同様。)

(イ)「[0018] FIG. 1 is a perspective view of a fixation component according to one embodiment of this invention.
[0019] FIG. 2 is an exploded perspective view of the fixation component of FIG. 1.
[0020] FIG. 3 is a perspective view of the fixation component of FIG. 1 with a pin and bar inserted.
[0021] FIG. 4 is a cross-sectional view of the fixation component taken along lines 4-4 in FIG. 1.
[0022] FIG. 5 is a cross-sectional view of the fixation component taken along lines 5-5 in FIG. 1.
[0023] FIG. 6 is an exploded perspective view of the second capture member of FIG. 1.
([0018]図1は、本発明の1つの実施形態による固定コンポーネントの斜視図である。
[0019]図2は、図1の固定コンポーネントの分解斜視図である。
[0020]図3は、ピンとバーが挿入された図1の固定コンポーネントの斜視図である。
[0021]図4は、図1の線4-4に沿った固定コンポーネントの断面図である。
[0022]図5は、図1の線5-5に沿った固定コンポーネントの断面図である。
[0023]図6は、図1の第2捕捉部材の分解斜視図である。)」(段落[0018]?[0023])

(ウ)「[0034] Consider one example of systems and devices according to this invention. As shown in FIGS. 1-6, a bar-to-pin fixation component 20 includes first capture member 24 and second capture member 22. First capture member 24 retains pin 26, while second capture member 22 is configured to retain bar 28, as shown in FIG. 3. The base 30 of first capture member 24 includes a groove 32, while the head 34 of first capture member 24 contains a wedge 36, which together are adapted to retain pin 26. Likewise, a base 38 and a head 40 of second capture member 22 include a groove 42 and a wedge 44, together adapted to retain bar 28. In one embodiment, groove 42 of second capture member 22 has splines 46, which provide rotational stability of bar 28 and penetrate the surface of bar 28 when second capture member 22 is tightened. Alternatively, the second capture member may be adapted to retain a pin and the first capture member may be adapted to retain a bar. In an alternative embodiment, both the first and second capture members are configured to retain a bar. In another embodiment, one capture member is adapted to retain a wire, while the other capture member is adapted to retain a bar.
[0035]・・・At that point, head 34 stops moving and holds pin 26 in groove 32 and wedge 36, which together form channel 58.・・・
[0036]・・・Groove 42 and wedge 44 of second capture member form second capture member channel 72, which receives bar 28. Bar 28 is retained in second capture member 22 in the same manner as first capture member 24 retains pin 26.
([0034]本発明によるシステム及び装置の1つの例を考える。図1-6に示すように、バーからピンへの固定コンポーネント20は、第1捕捉部材24と第2捕捉部材22を含む。図3に示すように、第1捕捉部材24は、ピン26を保持し、第2捕捉部材22は、バー28を保持するように構成されている。第1捕捉部材24のベース30は、グルーブ(groove)32を含み、第1捕捉部材24のヘッド34は、ウェッジ(wedge)36を含み、両者は、一緒に、ピン26を保持するように構成されている。同様に、第2捕捉部材22のベース38とヘッド40は、グルーブ42とウェッジ44を含み、両者は、一緒に、バー28を保持するように構成されている。1つの実施形態では、第2捕捉部材22のグルーブ42は、スプライン(splines)46を有し、スプライン46は、バー28に回転安定性を与え、第2捕捉部材22が締め付けられたときにバー28の表面を貫通する。別の実施形態では、第2捕捉部材がピンを保持するように構成し、第1捕捉部材がバーを保持するように構成してもよい。別の実施形態では、第1及び第2捕捉部材がバーを保持するように構成される。別の実施形態では、一方の捕捉部材がワイヤを保持し、他方の捕捉部材がバーを保持するように構成される。
[0035]・・・その時点で、ヘッド34は、停止し、グルーブ32とウェッジ36(一緒にチャネル58を形成する)にピン26を保持する。・・・
[0036]・・・第2捕捉部材のグルーブ42とウェッジ44は、第2捕捉部材チャネル72を形成し、バー28を収容する。バー28は、第1捕捉部材24がピン26を保持するのと同様に、第2捕捉部材22内に保持される。)」(段落[0034]?[0036])

(エ)「[0038] A threaded end 78 of first fastener 60 is adjacent a biasing element, such as center spring 80, and passes through a keyhole aperture 82 in head 34 of first capture member 24, mating to internal threads 84 in base 30 of first capture member 24. Keyhole aperture 82 of head 34 of first capture member 24 allows a reduced diameter neck 85 of first fastener 60 to translate within aperture 82. Tightening of first fastener 60 locks first capture member 24 and rigidly retains pin 26. In an alternative embodiment, aperture 82 is circular, or any other suitable shape.
[0039] A connector 86 having an end 88 and a shaft 90 extends through a keyhole aperture 92 in base 30 of first capture member 24. In one embodiment, connector 86 is a ball stud, as shown in FIG. 2, having a spherical end. End 88 of connector 86 is received in a planetary member 94 of base 30 of first capture member 24. As used herein, a planetary member refers to an object that is received in another object, and that receives another object within itself. In one embodiment, planetary member 94 is an outer sphere, as shown in the figures. Shaft 90 of connector 86 extends through an aperture 96 in base 38 of second capture member 22 and an aperture 98 of head 40 of second capture member 22, and mates with a second fastener 100. Threads 102 on shaft 90 of connector 86 mate with internal threads 104 of second fastener 100.
[0040] A slot106 in aperture 96 of base 38 of second capture member 22 is adapted to receive a key 108 on shaft 90 of connector 86. Key 108 and slot 106 thus prevent rotation of connector 86 within second capture member 22. In another embodiment, any suitable mechanism for preventing rotation of the connector is used. In other words, the connector fits through the base of the first capture member and the end is received in the planetary member of the base, while the shaft of the connector extends through both the base and head of the second capture member and threads to a second fastener. A planetary member, for example outer sphere 94, fits within a cooperating surface 110, which is machined into the one side of base 38 of second capture member 22. Tightening of second fastener 100 on second capture member 22 draws connector 86 into planetary member 94, locking the second capture member and the joint to make it rigid.・・・
[0041] The joint mechanism described above allows the second capture member to rotate with respect to the planetary member of the first capture member, and allows the first capture member to grasp and lock a pin while permitting the second capture member to continue to rotate. Independent tightening of the capture members provides the surgeon flexibility to snap a fixation element to a capture member and then to manipulate the second capture member before locking the second capture member in order to achieve a more stable frame. In this manner, independent tightening of each capture member of the external fixation component allows more precise angular positioning.
([0038]第1留め具60のネジ山のある端部78は、バイアス(biasing)要素、例えば中央バネ80に隣接し、第1捕捉部材24のヘッド34にある鍵穴状開口部82を通過し、第1捕捉部材24のベース30にある内側のネジ山と噛み合う。第1捕捉部材24のヘッド34の鍵穴状開口部82は、第1留め具60の小径ネック85を開口部82内で並進可能にする。第1留め具60の締め付けは、第1捕捉部材24を固定して、ピン26を堅く保持する。別の実施形態では、開口部82は、円形又はその他適切な形状である。
[0039]端部88及びシャフト90を有するコネクタ86は、第1捕捉部材24のベース30にある鍵穴状開口部92を通って延びる。1つの実施形態では、コネクタ86は、図2に示すように、球状の端部を有するボールスタッド(ball stud)である。コネクタ86の端部88は、第1捕捉部材24のベース30の遊星部材94に収容される。ここでは、遊星部材とは、別の部材に収容されると共に、内部に別の部材を収容する部材を意味する。1つの実施形態では、遊星部材94は、図示のように、外側が球状である。コネクタ86のシャフト90は、第2捕捉部材22のベース38にある開口部96と、第2捕捉部材22のヘッド40にある開口部98を通って延び、第2留め具100と噛み合う。コネクタ86のシャフト90にあるネジ山102は、第2留め具100の内側のネジ山104と噛み合う。
[0040]第2捕捉部材22のベース38の開口部96にあるスロット106は、コネクタ86のシャフト90にあるキー108を収容するように構成されている。キー108とスロット106は、第2捕捉部材22内でのコネクタ86の回転を防止する。別の実施形態では、コネクタの回転を防止する何れの適切な機構を用いてもよい。言い換えると、コネクタは、第1捕捉部材のベースに適合し、その端部は、ベースの遊星部材に収容される。一方、コネクタのシャフトは、第2捕捉部材のベース及びヘッドの両方を通って延び、第2留め具にネジ留めされる。遊星部材、例えば外側の球94は、第2捕捉部材22のベース38の一方の側面に機械加工された協働面110に適合する。第2捕捉部材22上での第2留め具100の締め付けは、コネクタ86を遊星部材94内へ引き込み、第2捕捉部材を固定し、連結部が堅固になる。・・・
[0041]上述した連結機構は、第1捕捉部材の遊星部材に対して第2捕捉部材を回転可能にし、第2捕捉部材の回転を許容しつつ第1捕捉部材がピンを掴んで固定するのを可能にする。捕捉部材を独立した締め付けにより、外科医は、1つの固定要素を1つの捕捉部材にカチッとはめ、それから、さらに安定したフレームを達成するために第2捕捉部材を固定する前に第2捕捉部材を操作するという柔軟性を有することになる。このように、外部固定コンポーネントの各捕捉部材の独立した締め付けは、さらに正確な角配置(angular positioning)を可能にする。)」(段落[0038]?[0041])

(オ)上記記載事項(イ)ないし(エ)に関連して、固定コンポーネント20の断面図である図4及び5には、「コネクタ86の球状の端部88が、遊星部材94の内面に形状がほぼ対応すると共にこの内面に収容されるように構成される」点、及び「中央バネ80がコネクタ86の端部88に隣接する」点が示されている。

(A)上記記載事項(エ)の「コネクタ86は、図2に示すように、球状の端部を有するボールスタッド(ball stud)である。」、「コネクタ86の端部88は、第1捕捉部材24のベース30の遊星部材94に収容される」、及び「コネクタは、第1捕捉部材のベースに適合し、その端部は、ベースの遊星部材に収容される」の記載、上記記載事項(オ)の「コネクタ86の球状の端部88が、遊星部材94の内面に形状がほぼ対応すると共にこの内面に収容されるように構成される」の点、並びに図1ないし5の記載からみて、「遊星部材94が球状の内面を備え」る点は、刊行物1に記載されているに等しい事項といえる。

(B)また、上記(A)で参照した記載に加え、上記記載事項(エ)の「上述した連結機構は、第1捕捉部材の遊星部材に対して第2捕捉部材を回転可能にし」及び「第2捕捉部材22上での第2留め具100の締め付けは、コネクタ86を遊星部材94内へ引き込み、第2捕捉部材を固定し、連結部が堅固になる」の記載からみて、「コネクタ86の球状の端部88の外面が遊星部材94の球状の内面に摺動接触する」点も、刊行物1に記載されているに等しい事項といえる。

(C)さらに、上記(A)及び(B)で参照した記載に加え、上記記載事項(エ)の「第1留め具60のネジ山のある端部78は、バイアス(biasing)要素、例えば中央バネ80に隣接し」の記載、及び上記記載事項(オ)の「中央バネ80がコネクタ86の端部88に隣接する」の点からみて、「第1留め具60及び中央バネ80が、遊星部材94の球状の内面にコネクタ86の球状の端部88の外面を押し付けるように付勢する」点も、刊行物1に記載されているに等しい事項といえる。

以上の記載事項及び図示内容から、刊行物1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「ピン26およびバー28を保持する装置において、
ピン26を保持するチャネル58と遊星部材94を有し、遊星部材94が球状の内面を備えた第1捕捉部材24と、
バー28を保持する第2捕捉部材チャネル72を有する第2捕捉部材22と、その外面が遊星部材94の球状の内面に摺動接触する球状の端部88を備え、第2捕捉部材24内での回転が防止されつつ第2捕捉部材22を通って延びるコネクタ86と、
遊星部材94の球状の内面にコネクタ86の球状の端部88の外面を押し付けるように付勢する第1留め具60及び中央バネ80とを有する装置。」

IV.対比
(1)本願発明と引用発明とを対比すると、その意味、構造又は機能からみて、引用発明の「ピン26」は、本願発明の「骨固定フレームの第一骨固定要素」に相当し、以下同様に、「バー28」は「骨固定フレームの第二骨固定要素」に、「を保持する」は「と係合する」に、「遊星部材94の球状の内面」は「球形輪郭をもつ第一支持面」に、「第1捕捉部材24」は「第一クランプ構造」に、「コネクタ86の球状の端部88の外面」は「球形輪郭をもつ第二支持面」に、それぞれ相当する。
(2)引用発明の「ピン26を保持するチャネル58」と、本願発明の「少なくとも2つの第一骨固定要素と係合する少なくとも2つのボア」とは、「少なくとも1つの第一骨固定要素と係合する少なくとも1つの係合部」である点で共通する。また、引用発明の「バー28を保持する第2捕捉部材チャネル72」と、本願発明の「少なくとも1つの第二骨固定要素と係合する少なくとも1つのボア」とは、「少なくとも1つの第二骨固定要素と係合する少なくとも1つの係合部」である点で共通する。
(3)本願明細書の段落【0009】に、「図1および図2に示すように、クランプ組立体10は、固定要素12と係合する第一クランプ構造20および第二クランプ構造22を有している。しかしながら、当業者ならば、本発明の種々の要素になし得る多くの変更および置換を理解できよう。」と記載され、同段落【0010】に、「各クランプ構造20、22は、例えば、切削または鍛造により所定形状に加工される鋳造金属材料またはバーストックからなる単一体で形成された一体部品で構成できる。或いは、クランプ構造20、22は、例えば、溶接、接着、圧嵌め、半田付により、またはピンまたはスクリュウまたはこれらの組合せを用いて一体結合された2つ以上のピースで作ることができる。」と記載されているとおり、本願発明の「第二クランプ構造」は、第二骨固定要素と係合する構造であって、スクリュウ等を用いて一体結合された2つ以上のピースで作ることができる構造を含むものである。
一方、上記記載事項(エ)の「コネクタ86のシャフト90にあるネジ山102は、第2留め具100の内側のネジ山104と噛み合う」及び「第2捕捉部材22上での第2留め具100の締め付けは、コネクタ86を遊星部材94内へ引き込み、第2捕捉部材を固定し、連結部が堅固になる」の記載、並びに図1ないし5の記載からみて、引用発明の「第2捕捉部材22」及び「コネクタ86」は、第2捕捉部材チャネル72にバー28を保持・固定する構造であって、内側にネジ山104を有する第2留め具100を用いて一体に結合される構造である、すなわち、第二骨固定要素と係合する構造であって、スクリュウ等を用いて一体結合された2つ以上のピースで作ることができる構造であるといえるから、本願発明の「第二クランプ構造」に相当する。
(4)引用発明の「第1留め具60及び中央バネ80」は、「遊星部材94の球状の内面にコネクタ86の球状の端部88の外面を押し付けるように付勢する」ものであるところ、遊星部材94の球状の内面とコネクタ86の球状の端部88の外面を互いに押圧するスプリング力を加えて、第1捕捉部材24と、第2捕捉部材22及びコネクタ86との間の相対ピボット運動に抵抗するように作動するものであるといえるから、本願発明の「両支持面を互いに押圧するスプリング力を加えて、クランプ構造の相対ピボット運動に抵抗するように作動するスプリング負荷型機構」に相当する。

そこで、本願発明の用語を用いて表現すると、両者は次の点で一致する。
(一致点)
「骨固定フレームの第一骨固定要素および第二骨固定要素と係合する装置において、
少なくとも1つの第一骨固定要素と係合する少なくとも1つの係合部を有し、球形輪郭をもつ第一支持面を備えた第一クランプ構造と、
少なくとも1つの第二骨固定要素と係合する少なくとも1つの係合部を有し、第一支持面に摺動接触する球形輪郭をもつ第二支持面を備えた第二クランプ構造と、
両支持面を互いに押圧するスプリング力を加えて、クランプ構造の相対ピボット運動に抵抗するように作動するスプリング負荷型機構とを有する装置。」

そして、両者は次の点で相違する。
(相違点)
第一骨固定要素と係合する係合部及び第二骨固定要素と係合する係合部に関して、本願発明では、第一骨固定要素と係合する係合部が「少なくとも2つの第一骨固定要素と係合する」とともに、両係合部の形状が「ボア」であるのに対して、引用発明では、そのような構成を備えていない点。

V.相違点の判断
上記相違点について検討する。

骨固定フレームの骨固定要素と係合する装置において、一のクランプ構造が係合する骨固定要素の数をいくつとするか、また骨固定要素と係合するクランプ構造の係合部をどのような形状とするかは、いずれも当業者が適宜設計し得る事項であるとともに、一のクランプ構造が少なくとも2つの骨固定要素と係合するものである構成、及び骨固定要素と係合するクランプ構造の係合部の形状がボアである構成は、いずれも周知の技術事項である(例えば、米国特許第6409729号明細書(図1等)、欧州特許出願公開第1021992号明細書(図1等)、米国特許出願公開第2002/0165543号明細書(図15、図16等)、米国特許第4730608号明細書(図1、図2等)を参照)。
したがって、引用発明において、骨固定フレームの骨固定要素と係合する装置という共通の技術分野に属する上記周知の技術事項を適用し、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項のようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

また、本願発明による効果も、引用発明及び周知の技術事項から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。

VI.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2012-11-22 
結審通知日 2012-11-29 
審決日 2012-12-11 
出願番号 特願2008-509004(P2008-509004)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 瀬戸 康平  
特許庁審判長 横林 秀治郎
特許庁審判官 蓮井 雅之
高田 元樹
発明の名称 骨固定装置  
代理人 松下 満  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 倉澤 伊知郎  
代理人 井野 砂里  
代理人 弟子丸 健  
代理人 辻居 幸一  

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