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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1274764
審判番号 不服2012-4709  
総通号数 163 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-07-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-03-12 
確定日 2013-05-27 
事件の表示 特願2001-272560「通信装置、通信方法、その制御プログラム、及び記憶媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 3月20日出願公開、特開2003- 87481〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 経緯
1 経緯
本願は、平成13年9月7日の出願であって、平成20年9月8日付けで手続補正がなされ、平成22年7月2日付けで拒絶理由が通知され、これに対し、平成22年9月7日付けで意見書が提出されると同時に手続補正がなされ、平成23年1月24日付けで最後の拒絶理由が通知され、平成23年3月29日付けで意見書が提出されると同時に手続補正がなされ、平成23年12月7日付けで平成23年3月29日付け手続補正は却下され、平成23年12月7日付け(発送日同年12月12日)で拒絶査定がなされたものである。
本件は、本願についてなされた上記拒絶査定を不服として平成24年3月12日付けで請求された拒絶査定不服審判であって、同時に手続補正がなされたものである。

2 査定の概要
原査定の理由は、概略、次のとおりである。

[査定の理由]
請求項1から10に係る発明は、下記の刊行物に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:特開2001-36688号公報
引用文献2:特開2000-183954号公報
引用文献3:特開2000-148613号公報
引用文献4:特開平10-42123号公報

第2 補正却下の決定
平成24年3月12日付けの手続補正について次のとおり決定する。

[補正却下の決定の結論]
平成24年3月12日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
平成24年3月12日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてする補正を含むものである。本件補正は、補正前の請求項3、請求項6、請求項9の削除及びこれに伴う請求項の繰り上げ、引用する請求項の番号の補正と、請求項1?7の補正を含む補正である。

補正前の請求項1?10
「 【請求項1】
テキストデータを受信する受信手段と、
前記テキストデータの内容が文字情報であるか否かを判断する判断手段と、
前記テキストデータの内容が文字情報であると判断した場合、該文字情報に含まれる文字を視覚的に表すための画像データに前記テキストデータを変換する変換手段と、
テキストデータを前記受信手段で受信した場合に、前記変換手段で変換した前記画像データに基づいて、自動的に記録材に画像を記録する記録手段と、
前記記録手段において画像を記録材に記録する際の表記方法をユーザに設定させるための操作手段とを有し、
前記変換手段は、前記操作手段により設定された表記方法に従い、前記テキストデータを前記画像データに変換することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記表記方法は、前記文字情報に含まれる文字の、サイズ、フォント、1行の文字数、又は1頁の行数、のうち、少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記受信手段は、前記テキストデータとして電子メールを受信する手段であり、
前記操作手段は、前記表記方法として、メールアドレスの表記方法、サブジェクトを記録するか否か、又は、受信日を記録するか否か、のうち、少なくともいずれか一つを設定可能であることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
テキストデータを受信する受信工程と、
前記テキストデータの内容が文字情報であるか否かを判断する判断工程と、
前記テキストデータの内容が文字情報であると判断した場合に、該文字情報に含まれる文字を視覚的に表すための画像データに変換する変換工程と、
テキストデータを前記受信工程で受信した場合に、前記変換工程で変換された前記画像データに基づいて、自動的に記録材に画像を記録する記録工程と、を有し、
前記変換工程では、ユーザにより設定された表記方法に従い、前記テキストデータを前記画像データに変換することを特徴とする通信方法。
【請求項5】
前記表記方法は、前記文字情報に含まれる文字の、サイズ、フォント、1行の文字数、又は1頁の行数、のうち、少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする請求項4に記載の通信方法。
【請求項6】
前記受信工程は、前記テキストデータとして電子メールを受信する工程であり、
前記表記方法として、メールアドレスの表記方法、サブジェクトを記録するか否か、又は、受信日を記録するか否か、のうち、少なくともいずれか一つが設定されることを特徴とする請求項4に記載の通信方法。
【請求項7】
プロセッサを有する受信装置を制御する制御プログラムであって、
前記プロセッサに、
テキストデータを受信する受信工程と、
前記テキストデータの内容が文字情報であるか否かを判断する判断工程と、
前記テキストデータの内容が文字情報であると判断した場合に、該文字情報に含まれる文字を視覚的に表すための画像データに変換する変換工程と、
テキストデータを前記受信工程で受信した場合に、前記変換工程で変換された前記画像データに基づいて、自動的に記録材に画像を記録する記録工程と、を実現させ、
前記変換工程では、ユーザにより設定された表記方法に従い、前記テキストデータを前記画像データに変換することを特徴とする制御プログラム。
【請求項8】
前記表記方法は、前記文字情報に含まれる文字の、サイズ、フォント、1行の文字数、又は1頁の行数、のうち、少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする請求項7に記載の制御プログラム。
【請求項9】
前記受信工程は、前記テキストデータとして電子メールを受信する工程であり、
前記表記方法として、メールアドレスの表記方法、サブジェクトを記録するか否か、又は、受信日を記録するか否か、のうち、少なくともいずれか一つが設定されることを特徴とする請求項7に記載の制御プログラム。
【請求項10】
請求項7乃至9のいずれか1項に記載の制御プログラムを格納したことを特徴とする記憶媒体。」

を、次のとおり補正後の請求項1?7に補正するものである。

「 【請求項1】
テキストデータとして電子メールを受信する受信手段と、
前記テキストデータの内容が文字情報であるか否かを判断する判断手段と、
前記テキストデータの内容が文字情報であると判断した場合、該文字情報に含まれる文字を視覚的に表すための画像データに前記テキストデータを変換する変換手段と、
テキストデータを前記受信手段で受信した場合に、前記変換手段で変換した前記画像データに基づいて、自動的に記録材に画像を記録する記録手段と、
前記記録手段において画像を記録材に記録する際の表記方法をユーザに設定させるための操作手段であって、前記テキストデータに含まれるメールアドレスについては、それぞれ異なる文字列からなる複数の選択肢からユーザに選択的に表記方法を設定させる、前記操作手段と、を有し、
前記変換手段は、前記操作手段により設定された表記方法に従い、前記テキストデータを前記画像データに変換することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記表記方法は、前記文字情報に含まれる文字の、サイズ、フォント、1行の文字数のうち、少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
テキストデータとして電子メールを受信する受信工程と、
前記テキストデータの内容が文字情報であるか否かを判断する判断工程と、
前記テキストデータの内容が文字情報であると判断した場合に、該文字情報に含まれる文字を視覚的に表すための画像データに変換する変換工程と、
テキストデータを前記受信工程で受信した場合に、前記変換工程で変換された前記画像データに基づいて、自動的に記録材に画像を記録する記録工程と、を有し、
前記変換工程では、ユーザにより設定された表記方法であって、前記テキストデータに
含まれるメールアドレスについては、それぞれ異なる文字列からなる複数の選択肢からユーザにより選択的に設定された、前記表記方法に従い、前記テキストデータを前記画像データに変換することを特徴とする通信方法。
【請求項4】
前記表記方法は、前記文字情報に含まれる文字の、サイズ、フォント、1行の文字数のうち、少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする請求項3に記載の通信方法。
【請求項5】
プロセッサを有する受信装置を制御する制御プログラムであって、
前記プロセッサに、
テキストデータとして電子メールを受信する受信工程と、
前記テキストデータの内容が文字情報であるか否かを判断する判断工程と、
前記テキストデータの内容が文字情報であると判断した場合に、該文字情報に含まれる文字を視覚的に表すための画像データに変換する変換工程と、
テキストデータを前記受信工程で受信した場合に、前記変換工程で変換された前記画像データに基づいて、自動的に記録材に画像を記録する記録工程と、を実現させ、
前記変換工程では、ユーザにより設定された表記方法であって、前記テキストデータに含まれるメールアドレスについては、それぞれ異なる文字列からなる複数の選択肢からユーザにより選択的に設定された、前記表記方法に従い、前記テキストデータを前記画像データに変換することを特徴とする制御プログラム。
【請求項6】
前記表記方法は、前記文字情報に含まれる文字の、サイズ、フォント、1行の文字数のうち、少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする請求項5に記載の制御プログラム。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の制御プログラムを格納したことを特徴とする記憶媒体。」

2 補正の適合性
(1)補正の目的
本件補正のうち、補正前の請求項3、請求項6、請求項9を削除する補正は、請求項の削除を目的とするものである。
本件補正のうち、請求項1?7の補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(2)独立特許要件
上記のとおり本件補正は特許請求の範囲の減縮を目的としているので、本件補正後における発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かを、以下に検討する。

(3)補正後発明
補正後の請求項1?7に係る発明のうち請求項3に係る発明(以下「補正後発明」という。)は、補正後の特許請求の範囲の請求項3に記載された以下のとおりのものである。

「テキストデータとして電子メールを受信する受信工程と、
前記テキストデータの内容が文字情報であるか否かを判断する判断工程と、
前記テキストデータの内容が文字情報であると判断した場合に、該文字情報に含まれる文字を視覚的に表すための画像データに変換する変換工程と、
テキストデータを前記受信工程で受信した場合に、前記変換工程で変換された前記画像データに基づいて、自動的に記録材に画像を記録する記録工程と、を有し、
前記変換工程では、ユーザにより設定された表記方法であって、前記テキストデータに含まれるメールアドレスについては、それぞれ異なる文字列からなる複数の選択肢からユーザにより選択的に設定された、前記表記方法に従い、前記テキストデータを前記画像データに変換することを特徴とする通信方法。」

(4)刊行物1の記載
原査定の拒絶の理由に引用された特開2000-183954号公報(上記引用文献2、以下「刊行物1」という。)には、「ファクシミリ型電子メール装置およびファクシミリ型電子メール通信方法」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。

「 【0033】
(実施の形態3)
次に、本発明の第3の実施の形態について図6を参照して説明する。本実施の形態は、図4に示した第2の実施の形態の構成に、文字コードデータをイメージデータに変換するためのフォント部12を追加したものである。
【0034】
図7は本実施の形態における文字コードデータを印刷する際のフローを示す。まずステップS21で、LAN制御部9により、受信した電子メールが文字コードデータかイメージデータかを、データのヘッダ部のデータの形式を解析することにより判別する。MIMEでは、データの形式はContent-Type: の後に記述され、イメージデータであればimage/tiffと記され、文字コードデータであればtext/plainと記される。次にステップS22で、受信した文字コードデータを圧縮・伸長部8で伸長して外部記憶部4に蓄積した後、フォント部12でイメージデータに展開し、ステップS23で、展開したイメージデータを印刷する。なお、文字コードデータを送信する場合は、通常の電子メールと同様にして行う。
【0035】
このように、上記第3の実施の形態によれば、本装置を電子メール本来の装置としての使い方もでき、文字コードデータの電子メールを本装置に送信してもエラーとならない。」

(5)対比
ア 刊行物1に記載された発明
刊行物1には、「受信した電子メールが文字コードデータかイメージデータかを、データのヘッダ部のデータの形式を解析することにより判別し、受信した文字コードデータを圧縮・伸長部8で伸長して外部記憶部4に蓄積した後、フォント部12でイメージデータに展開し、展開したイメージデータを印刷する」(段落【0034】)ことが記載されており、この動作は方法の発明として認定でき、上記記載は、電子メールを受信するものであるから、この方法の発明は、「通信方法」といえる。
以上から、刊行物1には、次の発明(以下「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる。

「受信した電子メールが文字コードデータかイメージデータかを、データのヘッダ部のデータの形式を解析することにより判別し、受信した文字コードデータを圧縮・伸長部8で伸長して外部記憶部4に蓄積した後、フォント部12でイメージデータに展開し、展開したイメージデータを印刷する通信方法」

イ 補正後発明と刊行物1発明との対比
補正後発明と刊行物1発明とを対比する。

(ア)「テキストデータとして電子メールを受信する受信工程」
刊行物1発明は、「受信した電子メールが文字コードデータかイメージデータかを、データのヘッダ部のデータの形式を解析することにより判別」するものであり、電子メールを受信する工程があることは明らかである。電子メールは、テキストデータであるから、刊行物1発明は、「テキストデータとして電子メールを受信する受信工程」を有しているといえる。

(イ)「前記テキストデータの内容が文字情報であるか否かを判断する判断工程」
刊行物1発明は、「受信した電子メールが文字コードデータかイメージデータかを、データのヘッダ部のデータの形式を解析することにより判別」するものであり、刊行物1発明は、「前記テキストデータの内容が文字情報であるか否かを判断する判断工程」を有しているといえる。

(ウ)「前記テキストデータの内容が文字情報であると判断した場合に、該文字情報に含まれる文字を視覚的に表すための画像データに変換する変換工程」
刊行物1発明は、「受信した電子メールが文字コードデータかイメージデータかを、データのヘッダ部のデータの形式を解析することにより判別し、受信した文字コードデータを圧縮・伸長部8で伸長して外部記憶部4に蓄積後、フォント部12でイメージデータに展開」する。「受信した文字コードデータを圧縮・伸長部8で伸長して外部記憶部4に蓄積後、フォント部12でイメージデータに展開」することは、「該文字情報に含まれる文字を視覚的に表すための画像データに変換する変換工程」といえ、「受信した電子メールが文字コードデータかイメージデータかを、データのヘッダ部のデータの形式を解析することにより判別し、受信した文字コードデータを・・・」という動作は、データのヘッダ部の形式により、文字コードデータであると判断した場合に、受信した文字コードデータを処理することであるから、刊行物1発明は、「前記テキストデータの内容が文字情報であると判断した場合に、該文字情報に含まれる文字を視覚的に表すための画像データに変換する変換工程」を有しているといえる。

(エ)「テキストデータを前記受信工程で受信した場合に、前記変換工程で変換された前記画像データに基づいて、自動的に記録材に画像を記録する記録工程」
刊行物1発明は、「展開したイメージデータを印刷する」ものであり、上記(ウ)のとおり、「展開したイメージデータ」は、上記(ウ)の工程で変換されたものであり、刊行物1の図7及び段落【0034】の記載のとおり、文字コードデータを受信し(S21)、文字コードデータをイメージデータに変換し(S22)、印刷する(S23)ものであるから、「テキストデータを前記受信工程で受信した場合に、」「自動的に記録材に画像を記録する」ものといえる。
したがって、刊行物1発明は、「テキストデータを前記受信工程で受信した場合に、前記変換工程で変換された前記画像データに基づいて、自動的に記録材に画像を記録する記録工程」を有している。

(オ)「前記変換工程では、ユーザにより設定された表記方法であって、前記テキストデータに含まれるメールアドレスについては、それぞれ異なる文字列からなる複数の選択肢からユーザにより選択的に設定された、前記表記方法に従い、前記テキストデータを前記画像データに変換する」
刊行物1発明は、「前記変換工程では、」「前記テキストデータを前記画像データに変換する」ものの、「ユーザにより設定された表記方法であって、前記テキストデータに含まれるメールアドレスについては、それぞれ異なる文字列からなる複数の選択肢からユーザにより選択的に設定された、前記表記方法に従」い、「前記テキストデータを前記画像データに変換する」ものではなく、補正後発明と相違する。

(カ)「通信方法」
刊行物1発明は、「通信方法」である。

ウ 一致点、相違点
補正後発明と刊行物1発明の一致点、相違点は次のとおりである。

[一致点]
テキストデータとして電子メールを受信する受信工程と、
前記テキストデータの内容が文字情報であるか否かを判断する判断工程と、
前記テキストデータの内容が文字情報であると判断した場合に、該文字情報に含まれる文字を視覚的に表すための画像データに変換する変換工程と、
テキストデータを前記受信工程で受信した場合に、前記変換工程で変換された前記画像データに基づいて、自動的に記録材に画像を記録する記録工程と、を有し、
前記変換工程では、前記テキストデータを前記画像データに変換する
ことを特徴とする通信方法。

[相違点]
「前記変換工程では、前記テキストデータを前記画像データに変換する」ことが、
補正後発明においては、
「ユーザにより設定された表記方法であって、前記テキストデータに含まれるメールアドレスについては、それぞれ異なる文字列からなる複数の選択肢からユーザにより選択的に設定された、前記表記方法に従い、」前記テキストデータを前記画像データに変換するのに対し、
刊行物1発明においては、「ユーザにより設定された表記方法であって、前記テキストデータに含まれるメールアドレスについては、それぞれ異なる文字列からなる複数の選択肢からユーザにより選択的に設定された、前記表記方法に従い、」前記テキストデータを前記画像データに変換するものではない点

(6)相違点の判断
相違点の判断
(ア)刊行物の記載
a 刊行物2
特開平6-149505号公報(以下「刊行物2」という。)には、「電子メールメッセージ印刷方式」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。

「【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、電子メールのメッセージを印刷するにあたって、印刷情報を付与する電子メールメッセージ印刷方式に関するものである。」

「【0009】
【作用】
この構成によって、電子メールシステムのメッセージ形式、データ形式によらず、ユーザが認識し易い印刷ヘッダ情報が付与された印刷物を出力することが可能となる。」

「【0012】
以上のように構成された電子メールシステムについて、図2を用いてその動作を説明する。図2は図1印刷ヘッダ作成・付与部12の処理フローを示したものである。ユーザが印刷指示を出すと印刷ヘッダ作成・付与処理が21から開始される。22でユーザが印刷ヘッダ作成形式を設定した値を読み込む。
【0013】
ユーザが設定する値には図3(a)、(b)のようなものがあり、図3(a)は電子メールメッセージヘッダ情報それぞれの項目について’付与する/しない’、付与する場合の表示形式などを設定しているものである。
【0014】
図3(b)は印刷ヘッダの行・桁数、図3(a)で付与すると設定した項目の印刷順位を設定したのものである。
【0015】
図2において、23は図1電子メールメッセージ管理部16から印刷しようとするメッセージのヘッダ情報を読み込む。24は22で読み取ったユーザ設定情報に合わせて、23で読み取ったヘッダ情報を加工する。」

「【0018】
図2の25で出力するメッセージのデータ形式を解析する。26で24で作成した印刷ヘッダ情報を25で解析したデータ形式に変換する。27で出力しようとしたメッセージに26でメッセージと同じデータ形式になった印刷ヘッダを付与する。28で印刷ヘッダが付与されたメッセージを図1の印刷処理実行部13に渡し、印刷ヘッダ作成・付与部12の処理が終了する。」



「【図3】
(a)
Originator :姓名のみ表示
Recipient :付けない
Priority :付けない
Inportance :アイコンで表示
Subject :付けない
Submission Time :日本語で表示
Deliverd Time :付けない

(b)
出力行数:1行
出力桁数:80桁
出力順位:重要度、送信日時、発信者、見出し 」

b 刊行物3
大森一郎、「しっかりわかるBecky!」、初版、株式会社毎日コミュニケーションズ、1997年11月28日発行、51頁





(イ)判断
刊行物2には、印刷ヘッダ情報が付与された電子メールのメッセージを印刷することが記載されており(段落【0001】、【0009】、【0018】)、印刷ヘッダ情報は、ユーザが設定することが記載され(段落【0012】?【0015】)、発信者の表示形式を設定することが記載されている(段落【0013】、【図3】)。
また、刊行物3には、差出人の表示形式を複数の選択肢から設定することが記載されている(51頁)。
刊行物1発明は、受信した電子メールを印刷する通信方法であり、電子メールを印刷する技術である刊行物2の技術を、刊行物1発明に適用することに困難性はなく、差出人の表示形式を複数の選択肢から設定することは、刊行物3に示されているから、刊行物1発明に、刊行物2の技術を適用して、刊行物1発明において発信者の表示形式を設定するようにする際に、刊行物3の技術を採用し、複数の選択肢から発信者の表示形式を設定するようにすることは、当業者が容易になし得ることである。
したがって、刊行物1発明に、刊行物2の技術、刊行物3の技術を適用して、「ユーザにより設定された表記方法であって、前記テキストデータに含まれるメールアドレスについては、それぞれ異なる文字列からなる複数の選択肢からユーザにより選択的に設定された、前記表記方法に従い、」前記テキストデータを前記画像データに変換するようにすることは、当業者が容易になし得ることである。

イ 効果等
以上のように、相違点に係る構成は当業者が容易に想到できたものである。そして、補正後発明の構成は、上記のとおり当業者が容易に想到することができたものであるところ、補正後発明が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測し得る範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものでもない。

したがって、補正後発明は、刊行物1?3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
よって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反している。

3 まとめ
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、補正却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成24年3月12日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1から10に係る発明は、平成22年9月7日付け手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1から10に記載した事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項4に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりである。

「テキストデータを受信する受信工程と、
前記テキストデータの内容が文字情報であるか否かを判断する判断工程と、
前記テキストデータの内容が文字情報であると判断した場合に、該文字情報に含まれる文字を視覚的に表すための画像データに変換する変換工程と、
テキストデータを前記受信工程で受信した場合に、前記変換工程で変換された前記画像データに基づいて、自動的に記録材に画像を記録する記録工程と、を有し、
前記変換工程では、ユーザにより設定された表記方法に従い、前記テキストデータを前記画像データに変換することを特徴とする通信方法。」

2 引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2の記載事項は、上記第2の2(4)に記載したとおりである。

3 対比・判断
(1)対比
本願発明は、補正後発明における
「テキストデータとして電子メールを受信する受信工程」を
「テキストデータを受信する受信工程」とし、
補正後発明における
「前記変換工程では、ユーザにより設定された表記方法であって、前記テキストデータに含まれるメールアドレスについては、それぞれ異なる文字列からなる複数の選択肢からユーザにより選択的に設定された、前記表記方法に従い、前記テキストデータを前記画像データに変換する」を
「前記変換工程では、ユーザにより設定された表記方法に従い、前記テキストデータを前記画像データに変換する」としたものであり、その他は補正後発明と同じである。
引用文献2に記載された発明(以下「引用発明」という。)は、上記第2の2(5)アに記載した刊行物1発明と同じである。
本願発明と引用発明とを対比する。
本願発明の補正後発明と同じ部分は、上記第2の2(5)イ(イ)?(エ)、(カ)を援用する。

(ア)’「テキストデータを受信する受信工程」
引用発明は、「受信した電子メールが文字コードデータかイメージデータかを、データのヘッダ部のデータの形式を解析することにより判別」するものであり、電子メールを受信する工程があることは明らかである。電子メールは、テキストデータであるから、引用発明は、「テキストデータを受信する受信工程」を有しているといえる。

(オ)’「前記変換工程では、ユーザにより設定された表記方法に従い、前記テキストデータを前記画像データに変換する」
引用発明は、「前記変換工程では、」「前記テキストデータを前記画像データに変換する」ものの、「ユーザにより設定された表記方法に従い、」「前記テキストデータを前記画像データに変換する」ものではなく、本願発明と相違する。

そうすると、一致点、相違点は以下のとおりである。

[一致点]
テキストデータを受信する受信工程と、
前記テキストデータの内容が文字情報であるか否かを判断する判断工程と、
前記テキストデータの内容が文字情報であると判断した場合に、該文字情報に含まれる文字を視覚的に表すための画像データに変換する変換工程と、
テキストデータを前記受信工程で受信した場合に、前記変換工程で変換された前記画像データに基づいて、自動的に記録材に画像を記録する記録工程と、を有し、
前記変換工程では、前記テキストデータを前記画像データに変換することを特徴とする通信方法。

[相違点]
「前記変換工程では、前記テキストデータを前記画像データに変換する」ことが、
本願発明においては、「ユーザにより設定された表記方法に従い、」前記テキストデータを前記画像データに変換するのに対し、
引用発明においては、「ユーザにより設定された表記方法に従い、」前記テキストデータを前記画像データに変換するものではない点

(2)判断
原査定の拒絶の理由に引用された特開2000-148613号公報(上記引用文献3)の段落【0026】には、

「続いて、これから受信するメールを印刷するか否かの設定を行う(S2)。このとき、印刷する場合には、印刷条件として、カラー/モノクロの別,用紙サイズ、向き、マージン、フォント、フォントサイズ、印刷不可要素の表示の有無などを指定する。なお、これらの印刷条件は全てを設定しなくてもよく、例えば予めデフォルト値を設定しておいて、それにしたがって印刷するようにしてもよい。」

と記載されている。
引用文献3には、「印刷条件として、カラー/モノクロの別,用紙サイズ、向き、マージン、フォント、フォントサイズ・・・などを指定する」ことが記載され、「カラー/モノクロの別,用紙サイズ、向き、マージン、フォント、フォントサイズ」などは表記方法といえ、これらを指定するのであるから、「カラー/モノクロの別,用紙サイズ、向き、マージン、フォント、フォントサイズ」などの印刷条件は、「ユーザにより設定された表記方法」といえる。
そして、引用文献3の段落【0026】の記載によれば、印刷条件にしたがって印刷するのであるから、引用文献3には、「ユーザにより設定された表記方法に従い」、印刷することが記載されている。
引用発明は、受信した電子メールを印刷する通信方法であり、電子メールを印刷する技術である引用文献3の技術を、引用発明に適用することに困難性はなく、引用発明に引用文献3の技術を適用して、引用発明を「ユーザにより設定された表記方法に従い、」前記テキストデータを前記画像データに変換するようにすることは、当業者が容易になし得ることである。

以上のように、相違点に係る構成は当業者が容易に想到できたものである。そして、本願発明の構成は、上記のとおり当業者が容易に想到することができたものであるところ、本願発明が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測し得る範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものでもない。

したがって、本願発明は、引用文献2、3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。

5 むすび
以上のとおり、本願の請求項4に係る発明は、引用文献2、3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、残る請求項1から3、5から10に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-03-27 
結審通知日 2013-04-01 
審決日 2013-04-12 
出願番号 特願2001-272560(P2001-272560)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04N)
P 1 8・ 575- Z (H04N)
P 1 8・ 121- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 國分 直樹  
特許庁審判長 松尾 淳一
特許庁審判官 千葉 輝久
小池 正彦
発明の名称 通信装置、通信方法、その制御プログラム、及び記憶媒体  
代理人 永川 行光  
代理人 大塚 康弘  
代理人 高柳 司郎  
代理人 大塚 康徳  
代理人 下山 治  
代理人 木村 秀二  
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