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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1275445
審判番号 不服2011-17159  
総通号数 164 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-08-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-08-09 
確定日 2013-06-13 
事件の表示 特願2006-161102「アイテムデータを送信する方法、サーバおよびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成19年12月20日出願公開、特開2007-328705〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本件審判請求に係る出願(以下、「本願」という。)は、平成18年6月9日の出願であって、平成20年7月30日付けで審査請求がなされ、平成22年12月9日付けで拒絶理由通知(同年12月14日発送)がなされ、平成23年2月10日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正がなされたが、同年4月28日付けで拒絶査定(同年5月10日謄本送達)がなされたものである。
これに対して、本件審判請求は、「原査定を取り消す、本願は特許すべきものであるとの審決を求める。」ことを請求の趣旨として、平成23年8月9日付けで審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。
そして、平成23年10月4日付けで審査官により特許法第164条第3項に定める報告(前置報告)がなされ、平成24年6月27日付けで当審により特許法第134条第4項の規定に基づく審尋(同年7月10日発送)がなされ、同年9月3日付けで回答書の提出があったものである。


第2 平成23年8月9日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]

平成23年8月9日付けの手続補正を却下する。

[理由]

1.補正の内容

平成23年8月9日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)の内容は、平成23年2月10日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし請求項10の記載

「 【請求項1】
ユーザの端末と通信ネットワークを介して接続されたサーバが、前記ユーザのユーザIDデータに関連付けて記憶されているキャラクタデータの一部を構成するためのアイテムデータを送信する方法であって、
キャラクタを構成するアイテムと、当該アイテムに対する複数のアイテム属性データとを、アイテムテーブルとして互いに関連付けて記憶するステップと、
前記端末から、前記キャラクタデータを関連付けるための文書データを受信して記憶するステップと、
記憶した前記文書データに含まれ、前記文書データを特徴付ける単語を特徴データとして抽出するステップと、
前記文書データから抽出した特徴データと、前記アイテムテーブルに記憶されている前記複数のアイテム属性データとの間の関連度を算出するステップと、
前記関連度が所定以上の場合、当該複数のアイテム属性データと関連付けられているアイテムデータを抽出するステップと、
抽出した前記アイテムデータを前記端末に送信するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記端末において共存して表現可能なアイテムの組み合わせを示すデータを予め記憶するステップを更に含み、
前記アイテムデータを抽出するステップにおいて、前記関連度に基づいて、前記共存して表現可能なアイテムを所定数抽出する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記端末から新たな文書データを受信した際に、前記キャラクタを構成するアイテムのうちの、一または複数を置き換えるアイテムデータを送信する請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記端末から新たな文書データを受信した際に、前記キャラクタを構成するアイテムの全てを置き換えるアイテムデータを送信する請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記算出するステップにおいて、前記アイテムの利用された回数に応じた重み付けをして前記関連度を算出する請求項1から請求項4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記算出するステップにおいて、前記特徴データに含まれる単語と、前記複数のアイテム属性データに含まれる単語とが一致している数を評価して、前記関連度を算出する請求項1から請求項5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
複数の類義語を互いに関連付けて記憶するステップを更に含み、
前記算出するステップにおいて、前記特徴データに含まれる単語と、前記複数のアイテム属性データに含まれる単語とが互いに類義語として関連付けて記憶されている場合を更に評価して、前記関連度を算出する請求項1から請求項6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記算出するステップにおいて、前記特徴データに含まれる単語と、前記複数のアイテム属性データに含まれる単語とが一致する場合を、互いに類義語として関連付けて記憶されている場合に比べて高く評価する請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ユーザの端末と通信ネットワークを介して接続され、前記ユーザのユーザIDデータに関連付けて記憶されているキャラクタデータの一部を構成するためのアイテムデータを送信するサーバであって、
キャラクタを構成するアイテムと、当該アイテムに対する複数のアイテム属性データとを、アイテムテーブルとして互いに関連付けて記憶する手段と、
前記端末から、前記キャラクタデータを関連付けるための文書データを受信して記憶する手段と、
記憶した前記文書データに含まれ、前記文書データを特徴付ける単語を特徴データとして抽出する手段と、
前記文書データから抽出した特徴データと、前記アイテムテーブルに記憶されている前記複数のアイテム属性データとの間の関連度を算出するステップと、
前記関連度が所定以上の場合、当該複数のアイテム属性データと関連付けられているアイテムデータを抽出する手段と、
抽出した前記アイテムデータを前記端末に送信する手段と、
を備えるサーバ。
【請求項10】
ユーザの端末と通信ネットワークを介して接続されたサーバに、前記ユーザのユーザIDデータに関連付けて記憶されているキャラクタデータの一部を構成するためのアイテムデータを送信させるプログラムであって、
キャラクタを構成するアイテムと、当該アイテムに対する複数のアイテム属性データとを、アイテムテーブルとして互いに関連付けて記憶するステップと、
前記端末から、前記キャラクタデータを関連付けるための文書データを受信して記憶するステップと、
記憶した前記文書データに含まれ、前記文書データを特徴付ける単語を特徴データとして抽出するステップと、
前記文書データから抽出した特徴データと、前記アイテムテーブルに記憶されている前記複数のアイテム属性データとの間の関連度を算出するステップと、
前記関連度が所定以上の場合、当該複数のアイテム属性データと関連付けられているアイテムデータを抽出するステップと、
抽出した前記アイテムデータを前記端末に送信するステップと、
を実行させるプログラム。」(以下、この特許請求の範囲に記載された請求項を「補正前の請求項」という。)

を、

「 【請求項1】
ユーザの端末と通信ネットワークを介して接続されたサーバが、前記ユーザのユーザIDデータに関連付けて記憶されているキャラクタデータの一部を構成するためのアイテムデータを送信する方法であって、
キャラクタを構成するアイテムと、当該アイテムに対する複数のアイテム属性データとを、アイテムテーブルとして互いに関連付けて記憶するステップと、
前記端末から、前記キャラクタデータを関連付けるための文書データを受信して記憶するステップと、
記憶した前記文書データに含まれ、前記文書データを特徴付ける単語を特徴データとして抽出するステップと、
前記文書データから抽出した特徴データに含まれる複数の類義語を1つの代表語に集約し、当該集約された後の新たな特徴データと前記アイテムテーブルに記憶されている前記複数のアイテム属性データとの間の関連度を算出するステップと、
前記関連度が所定以上の場合、当該複数のアイテム属性データと関連付けられているアイテムデータを抽出するステップと、
抽出した前記アイテムデータを前記端末に送信するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記端末において共存して表現可能なアイテムの組み合わせを示すデータを予め記憶するステップを更に含み、
前記アイテムデータを抽出するステップにおいて、前記関連度に基づいて、前記共存して表現可能なアイテムを所定数抽出する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記文書データは、複数の日付の記事を含んで作成されており、
前記端末から新たな日付の記事を含む文書データを受信した際に、前記キャラクタを構成するアイテムのうちの、一または複数を置き換えるアイテムデータを、当該新たな日付の記事に対応して表示されるキャラクタを構成するアイテムデータとして送信する請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記文書データは、複数の日付の記事を含んで作成されており、
前記端末から新たな日付の記事を含む文書データを受信した際に、前記キャラクタを構成するアイテムの全てを置き換えるアイテムデータを、当該新たな日付の記事に対応して表示されるキャラクタを構成するアイテムデータとして送信する請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記算出するステップにおいて、前記アイテムの利用された回数に応じた重み付けをして前記関連度を算出する請求項1から請求項4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記算出するステップにおいて、前記特徴データに含まれる単語と、前記複数のアイテム属性データに含まれる単語とが一致している数を評価して、前記関連度を算出する請求項1から請求項5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記算出するステップにおいて、前記特徴データに含まれる単語と、前記複数のアイテム属性データに含まれる単語とが一致する場合を、互いに類義語として関連付けて記憶されている場合に比べて高く評価する請求項1から請求項6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
ユーザの端末と通信ネットワークを介して接続され、前記ユーザのユーザIDデータに関連付けて記憶されているキャラクタデータの一部を構成するためのアイテムデータを送信するサーバであって、
キャラクタを構成するアイテムと、当該アイテムに対する複数のアイテム属性データとを、アイテムテーブルとして互いに関連付けて記憶する手段と、
前記端末から、前記キャラクタデータを関連付けるための文書データを受信して記憶する手段と、
記憶した前記文書データに含まれ、前記文書データを特徴付ける単語を特徴データとして抽出する手段と、
前記文書データから抽出した特徴データに含まれる複数の類義語を1つの代表語に集約し、当該集約された後の新たな特徴データと前記アイテムテーブルに記憶されている前記複数のアイテム属性データとの間の関連度を算出するステップと、
前記関連度が所定以上の場合、当該複数のアイテム属性データと関連付けられているアイテムデータを抽出する手段と、
抽出した前記アイテムデータを前記端末に送信する手段と、
を備えるサーバ。
【請求項9】
ユーザの端末と通信ネットワークを介して接続されたサーバに、前記ユーザのユーザIDデータに関連付けて記憶されているキャラクタデータの一部を構成するためのアイテムデータを送信させるプログラムであって、
キャラクタを構成するアイテムと、当該アイテムに対する複数のアイテム属性データとを、アイテムテーブルとして互いに関連付けて記憶するステップと、
前記端末から、前記キャラクタデータを関連付けるための文書データを受信して記憶するステップと、
記憶した前記文書データに含まれ、前記文書データを特徴付ける単語を特徴データとして抽出するステップと、
前記文書データから抽出した特徴データに含まれる複数の類義語を1つの代表語に集約し、当該集約された後の新たな特徴データと前記アイテムテーブルに記憶されている前記複数のアイテム属性データとの間の関連度を算出するステップと、
前記関連度が所定以上の場合、当該複数のアイテム属性データと関連付けられているアイテムデータを抽出するステップと、
抽出した前記アイテムデータを前記端末に送信するステップと、
を実行させるプログラム。」(以下、この特許請求の範囲に記載された請求項を「補正後の請求項」という。)

に補正するものである。

そして、本件補正は、特許法第17条の2第4項第1号の請求項の削除を目的として、補正前の請求項7を削除するとともに、補正前の請求項1、9、10に記載した発明を特定するために必要な事項である「前記文書データから抽出した特徴データと、前記アイテムテーブルに記憶されている前記複数のアイテム属性データとの間の関連度を算出するステップ」を「前記文書データから抽出した特徴データに含まれる複数の類義語を1つの代表語に集約し、当該集約された後の新たな特徴データと前記アイテムテーブルに記憶されている前記複数のアイテム属性データとの間の関連度を算出するステップ」に限定し、補正前の請求項3、4に記載した発明を特定するために必要な事項である「文書データ」を「(複数の)日付の記事を含む文書データ」に、「アイテムデータ」を「新たな日付の記事に対応して表示されるキャラクタを構成するアイテムデータ」にそれぞれ限定するものであるから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

2.独立特許要件

以上のように、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)は、補正前の請求項1に対して、限定的減縮を行ったものと認められる。そこで、本願補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)以下に検討する。

(1)補正後の発明

本件補正により、本願補正発明は、前記「1.補正の内容」の補正後の請求項1に記載されたとおりのものである。

(2)引用文献に記載されている技術的事項及び引用発明の認定

原審の拒絶の査定の理由である上記平成22年12月9日付けの拒絶理由通知において引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である、特開2006-6431号公報(平成18年1月12日出願公開。以下、「引用文献」という。)には、図面とともに、以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は、参考のために当審で付与したものである。)

A 「【0014】
本実施形態によるウェブサイト評価表示システムが適用されるコンピュータシステムは、図1に示す如く、複数のユーザ端末10とインターネット等の公衆通信回線網11を介して接続され、前記ユーザ端末10からアップロードされたホームページ等を掲載するウェブサイト13と、このウェブサイト13と公衆通信回線網11を介して接続され、後述する動作を行ってウェブサイト13に対する評価を総合的且つリアルタイムに直感的に表示するためのウェブサイト評価表示プログラムを格納するWGサイト20とから構成される。」

B 「【0015】
前記ウェブサイト13は、ユーザ端末10からアップロードされたホームページ、例えば掲示板/ウェブページ/ブログ記事等のHTMLデータを格納して該ホームページ等を一般に公開するウェブサーバ13aと、このウェブサーバ13aと接続され、該ウェブサーバ13aに格納された掲示板等のHTMLデータを読み取り、該HTMLデータからメタ情報、例えばFOAF(後述の連鎖情報)やRSS(後述の要約情報)を取得すると共に、該ウェブサーバ13aから該当のサイトに対するアクセス数(vosit)、時刻、リンク数、被リンク数、相互リンク数、掲示板記事の発行数、記事発行時刻、該記事のカテゴリ、記事に対するコメント数、被トラックバック数(関連する記事の繋がりの数/強制相互リンク機能の数)とを取得するウェブログサーバ13bとから構成される。」

C 「【0017】
前記WGサイト20は、公衆通信回線網11を介して前記ウェブサイト13のウェブサーバ13a及びウェブログサーバ13bに接続されるものであって、後述するアバターの画像を生成するための画像サーバ22と、ウェブサーバ13aからアクセス情報(PV:ページビュー/Refferer:HTTPプロトコルの環境変数の一つで、あるファイルにアクセスするときに、直前にどこにアクセスしていたかを表す変数/agent/国・言語/リモートホスト等)を収集して解析するためのアクセス解析サーバ23と、複数のウェブサイトを循環監視してウェブログサーバ13bから記事情報(カテゴリ/発行時刻/コメント数/トラックバック数/要約情報:FOAF/連鎖情報:RSS)を前記XML形式のメタ情報として収集するクローリングサーバ24と、前記ウェブサーバ13a及びウェブログサーバ13bからリンク情報(リンク数、被リンク数、相互リンク数、被トラックバック数)を収集するリンクリストサーバ25と、前記各サーバを制御する制御サーバ21とを備える。」

D 「【0018】
前記画像サーバ22は、基本となる各種画像データを格納する画像情報データベース22aと接続され、前記ウェブサーバ13aに対するアクセス履歴を含む評価を総合的且つリアルタイムに直感的に表示するためのアバターを画像として生成するものである。尚、アバターとは、一般的には「チャットなどのコミュニケーションツールで、自分の分身として画面上に登場する「人物」又は「動物」等の「キャラクター」を意味するものであるが、本明細書においては、前記キャラクターのみならず、「街」/「ビル」/「船舶」等の人工的構造物、「森」/「湖」/「惑星」等の自然物であっても良く、要は何等かのパラメータにより表示画像が変化(成長/発展/減退/衰退)する対象物全てを含むものとして説明する。」

E 「【0020】
このアバターを具体的に説明すると、「人物」のアバターは、図3に示すパラメータ、例えば名前、前述のメタ情報としてXML記述された連鎖情報(FOAF)をパラメータとして「人物」の属性、具体的には性別/年代を識別し、これら性別/年代を基に予め画像情報データベース22aに格納した「基本人物画像」を選択し、要約情報(RSS)をパラメータとして台詞gを表示し、当該サイトに対するアクセス数、例えば1日のアクセスと直近2週間のアクセス数を基に偏差値を求め、この偏差値により予め画像情報データベース22aに格納した表情bを選択し、同様にウェブサーバ13aからの時刻情報及び国情報を基に時刻h及び背景j/リンク数の大小と被リンク数と相互リンク数と記事の発行数によりにより資産fの大きさ/記事の発行時刻によって前記顔表情bや髪型aを変化(記事発行時刻が夜間に多い場合は夜間は元気な表情、朝は眠たい表情/整髪した髪型、ボサボサの髪型)/記事のカテゴリ、例えばコンピュータ関連のキーワードを含む記事が多い場合はPDA等のアイテムc等の各パラメータに応じた画像を予め画像情報データベース22aから読み出して合成することによって、アバターである「人物」の画像が変化するものである。」

F 「【0022】
さて、前述の様に構成された本実施形態によるウェブサイト評価表示システムが適用されるコンピュータシステムは、図2に示す如く、ユーザ端末10がウェブサーバ13aに対して何等かの記事を書き込んだ場合(ステップST1?ST2)、ウェブログサーバ13bが、そのHTML形式の記事や連鎖情報と要約情報を読み込んでXML形式のRSS(要約情報)とFOFA(連鎖情報)から成るメタ情報に変換し、このメタ情報をWGサイト20のクローリングサーバ24が自動巡回によって取得し(ステップST3?4)、このクローリングサーバ24が、読み込んだメタ情報から当該サイトの記事情報(カテゴリ/発行時刻/コメント数/トラックバック数/RSS/FOFA)を分析し、その情報を制御サーバ21が収集する(ステップST6)。」

G 「【0025】
次いで本システムは、制御サーバ21が、前述各サーバ23?25が収集した記事情報(ステップST6)/更新情報(ステップST15)/リンク情報(ステップST11)/アクセス情報(ステップST14)とを用いて前述の図3又は図4を用いて説明した各種パラメータを計算処理して画像サーバ22に転送し(ステップST18)、該画像サーバ22が前記複数のパラメータを基に図5又は図6に示した「人物」又は「街」のアバター画像をリアルタイムに生成し(ステップST19)、画像情報データベース22aに一旦格納する。尚、前記アバター画像とは、静止画に限られるものではなく、Frash等の動画を含むものであっても良く。例えば図6の「街」アバターの場合、「飛行機」及び「車輌」が前記動画に相当する。」

H 「【0026】
更に本システムは、制御サーバ21が前記画像情報データベース22aに格納したアバター画像をウェブサーバ13aの該当ウェブページに埋め込むことにより(ステップST21)、他のユーザ端末10が当該サイトを閲覧(ステップST22)した場合、そのウェブサイトに対する評価が図5及び図6に示した如く、「人物」又は「街」のアバターによって視覚的に表示するため、ユーザは当該サイトに対する評価を総合的且つリアルタイムに直感的に知ることができる。」

ここで、上記引用文献に記載されている事項を検討する。

(ア)上記Aの「本実施形態による・・・コンピュータシステムは・・・複数のユーザ端末10とインターネット等の公衆通信回線網11を介して接続され、前記ユーザ端末10からアップロードされたホームページ等を掲載するウェブサイト13と、このウェブサイト13と公衆通信回線網11を介して接続され・・・WGサイト20とから構成される」との記載からすると、引用文献に記載されているコンピュータシステムは、公衆通信回線網を介して接続された、ユーザ端末、ユーザのホームページを掲載するウェブサイト、WGサイトから構成されていることが読み取れる。
また、上記Bの「ウェブサイト13は、ユーザ端末10からアップロードされたホームページ・・・を一般に公開するウェブサーバ13a・・・から構成される」との記載、上記Fの「ユーザ端末10がウェブサーバ13aに対して何等かの記事を書き込んだ場合」との記載、上記Gの「本システムは・・・記事情報・・・を用いて・・・各種パラメータを計算処理し・・・前記複数のパラメータを基に・・・アバター画像をリアルタイムに生成」との記載、上記Eの「各パラメータに応じた画像を予め画像情報データベース22aから読み出して合成する」との記載、上記Hの「本システムは・・・アバター画像をウェブサーバ13aの該当ウェブページに埋め込む」との記載からすると、ユーザが書き込んだ記事情報から各種パラメータを計算処理し、当該複数のパラメータを基に記憶されている画像データを読み出して合成することでアバター画像を生成し、当該生成されたアバター画像をウェブサーバの該当ウェブページに埋め込む態様が読み取れる。そして、アバター画像を該当ウェブページに埋め込むためには、当該アバター画像を該当ウェブサイトに送信していることは、当業者にとって自明の事項である。
してみると、引用文献には、
「ユーザ端末及びユーザのホームページを掲載するウェブサイトと公衆通信回線網を介して接続されたWGサイトが、記憶されている画像データから生成されたアバター画像を送信する方法」
が記載されていると解される。

(イ)上記Cの「WGサイト20は、・・・アバターの画像を生成するための画像サーバ22・・・を備える」との記載、上記Dの「画像サーバ22は、基本となる各種画像データを格納する画像情報データベース22aと接続され・・・アバターを画像として生成する」との記載からすると、引用文献には、WGサイトが、
「アバター画像を生成するための基本となる各種画像データを格納する」態様
が記載されていると解される。

(ウ)上記Fの「ユーザ端末10がウェブサーバ13aに対して何等かの記事を書き込んだ場合・・・メタ情報に変換し、このメタ情報をWGサイト20・・・が自動巡回によって取得」との記載からすると、引用文献には、WGサイトが、
「ユーザ端末がウェブサイト(のウェブサーバ)に書き込んだ記事に関する情報を取得する」態様
が記載されていると解される。

(エ)上記Cの「WGサイト20は・・・制御サーバ21とを備える」との記載、上記Eの「記事の発行時刻・・・記事のカテゴリ・・・等の各パラメータ」との記載、上記Fの「読み込んだメタ情報から当該サイトの記事情報(カテゴリ/発行時刻/・・・)を分析し、その情報を制御サーバ21が収集する」との記載からすると、引用文献には、WGサイトが、
「取得した(書き込んだ記事に関する)情報から分析した記事情報(カテゴリ/発行時刻/等)を収集する」態様
が記載されていると解される。

(オ)上記Fの「読み込んだメタ情報から当該サイトの記事情報(カテゴリ/発行時刻/・・・)を分析し、その情報を制御サーバ21が収集する」との記載、上記Gの「制御サーバ21が・・・記事情報・・・を用いて・・・各種パラメータを計算処理」との記載からすると、引用文献には、WGサイトが、
「収集した記事情報を用いて、各種パラメータを計算処理する」態様
が記載されていると解される。

(カ)上記Eの「予め画像情報データベース22aに格納した「基本人物画像」を選択し・・・記事の発行時刻によって前記顔表情bや髪型aを変化・・・記事のカテゴリ、例えばコンピュータ関連のキーワードを含む記事が多い場合はPDA等のアイテムc等の各パラメータに応じた画像を予め画像情報データベース22aから読み出して合成することによって、アバターである「人物」の画像が変化する」との記載、上記Gの「画像サーバ22が前記複数のパラメータを基に・・・アバター画像をリアルタイムに生成」との記載からすると、引用文献には、WGサイトが、
「複数のパラメータを基に、各パラメータに応じた画像データを読み出し、当該読み出した画像を用いてアバター画像を生成する」態様
が記載されていると解される。

(キ)上記Hの「制御サーバ21が前記画像情報データベース22aに格納したアバター画像をウェブサーバ13aの該当ウェブページに埋め込む」との記載、そして、「該当ウェブページに埋め込む」とは、該当ウェブページが格納されているウェブサイトに(アバター画像を)送信して埋め込むことに他ならない。してみると、引用文献には、WGサイトが、
「生成したアバター画像をウェブサイトに送信する」態様
が記載されていると解される。

以上、(ア)ないし(キ)で指摘した事項を踏まえると、引用文献には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

ユーザ端末及びユーザのホームページを掲載するウェブサイトと公衆通信回線網を介して接続されたWGサイトが、記憶されている画像データから生成されたアバター画像を送信する方法であって、
アバター画像を生成するための基本となる各種画像データを格納するステップと、
前記ユーザ端末が前記ウェブサイトに書き込んだ記事に関する情報を取得するステップと、
取得した(書き込んだ記事に関する)情報から分析した記事情報(カテゴリ/発行時刻/等)を収集するステップと、
収集した前記記事情報を用いて、各種パラメータを計算処理するステップと、
複数の前記パラメータを基に、各パラメータに応じた画像データを読み出し、当該読み出した画像データを用いてアバター画像を生成するステップと、
生成した前記アバター画像を前記ウェブサイトに送信するステップと、
を含む方法。

(3)参考文献に記載されている技術的事項

(3-1)参考文献1

原審の拒絶の査定の理由である上記平成22年12月9日付けの拒絶理由通知において引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である、特開2005-332091号公報(平成17年12月2日出願公開。以下、「参考文献1」という。)には、図面とともに、以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は、参考のために当審で付与したものである。)

J 「【0024】
ユーザー管理データベース6は、ユーザーに関する情報を蓄積するデータベース装置であり、図2のテーブルデータT1に示すように、ユーザーIDや、氏名、年齢等の個人情報の他、心理テストの結果や、テスト結果に関連付けられたアバター画像に関する情報が蓄積される。
【0025】
基本アバターデータベース4は、アバター画像の基本となる基本アバター画像D1を蓄積するデータベース装置であり、図2のテーブルデータT2に示すように、画像名とファイル名が格納されている。この基本アバター画像D1は、同図に示すように、例えば普段着姿の女性又は男性や、通常姿勢の動物キャラクターなどである。なお、この基本アバターについても、種々の画像が用意されており、普段着としてもベーシックな洋服などを選択できるようになっている。
【0026】
アクセサリーデータベース5は、基本画像に対して追加又は差替等の変更を行うためのアクセサリー画像D2を、ユーザーの属性を特定するユーザー属性識別子に応じて分類し蓄積するデータベース装置である。具体的には、図2のテーブルデータT3に示すように、心理テスト結果である心理属性(a,b,c…)に関連付けられたアクセサリー画像D2のファイル名を格納している。」

(3-2)参考文献2

上記平成24年6月27日付けの審尋で援用した上記平成23年10月4日付けの前置報告において引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である、特開2004-252892号公報(平成16年9月9日出願公開。以下、「参考文献2」という。)には、図面とともに、以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は、参考のために当審で付与したものである。)

K 「【0033】
検索データ作成部2については形態素解析、同義語の統一化整理、複合語の分割等を中心に説明したが、類似文書検索システムの検索ファイルにおいては文書毎に用語の出現頻度、データベース中における用語の出現の文書数等、類似度計算に必要な統計情報が取得され、これらの統計情報を基に用語の重要度が割り出され類似度の算出に供される。統計情報算出においては、当然、同義語は置き換えられた見出し語でカウントされる。例えば、文書A中に「インダクションヒータ」10回出現すれば、文書A中には「電磁誘導加熱」が10回出現したものとして取り扱われる。また、文書B中に「電磁誘導加熱」が3回「インダクションヒータ」が5回入り混じって出現すれば、文書B中に「電磁誘導加熱」が8回出現したものとしてカウントされる。複合語の見出し語を分割した場合には、見出し語の数が分割された単一語の数に反映されることになる。即ち、前述のように「電磁誘導加熱」が文書B中に8回出現したものとしてカウントたれた場合には、文書B中に夫々「電磁」、「誘導」及び「加熱」が8回づつ出現したものとしてカウントされることを意味している。」

(3-3)参考文献3

本願の出願前に頒布された刊行物である、特開2003-248681号公報(平成15年9月5日出願公開。以下、「参考文献3」という。)には、図面とともに、以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は、参考のために当審で付与したものである。)

L 「【0208】また、類義語をまとめて、これらと総合スコアとの相関関係を求めるように構成することもできる。例えば、「香」、「香り」、「かおり」、「におい」、「匂い」、「芳香」などは、ほぼ同じ意味を有しており類義語であるが、「香り」を代表語としてこれらの語を1つの項目として集計する。評価主題に対してこのような項目をいくつか設け、総合スコアとこれらの項目との相関係数を計算し、グラフ表示、アフェクト表現の一覧の表示などを行う。このように、類義語を用いて分析することにより、より詳細な解析をすることが可能である。類義語が評価する分野に依存する場合、評価軸をより詳細に分類するのに利用することもできる。更に、類義語を階層構造にすることも可能である。このように、類義語を階層構造にすることにより、最初は大雑把に着目する項目を決定し、必要に応じて着目点を詳細に絞っていくことが可能となる。」

(3-4)参考文献4

本願の出願前に頒布された刊行物である、特開2001-184358号公報(平成13年7月6日出願公開。以下、「参考文献4」という。)には、図面とともに、以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は、参考のために当審で付与したものである。)

M 「【0066】(10)同義語集約処理(図7のステップS22)
同義語を1つのエントリーに集約するため,同義語集約処理を行う。検索入力の中に同義語辞書5に登録された語があれば,それらを同義代表語に置き換えて代表させ,1つのエントリーに集約する(図8参照)。」

(3-5)参考文献5

本願の出願前に頒布された刊行物である、特開平4-357568号公報(平成4年12月10日出願公開。以下、「参考文献5」という。)には、図面とともに、以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は、参考のために当審で付与したものである。)

N 「【0021】第4の発明に係るテキスト情報抽出方法において、展開工程は、上記第1の発明の展開部と同様に解析ネットワークの生成を行なう。また、同義/義類処理工程は、作成された解析ネットワーク中の用語を同義語、類義語の代表語に置き換えるか、同義語類似語の集合を追加する。このことにより、テキスト中の用語が解析ネットワーク中ではすべて代表語に置き換わり、比較照合がしやすくなる。あるいは、同義語類似語の集合の追加により、比較照合のもれがなくなる。」

(4)本願補正発明と引用発明との対比

本願補正発明と引用発明とを対比する。

(4-1)引用発明の「公衆通信回線網」、「サーバ」、及び「アバター画像」は、それぞれ、本願補正発明の「通信ネットワーク」、「WGサイト」、及び「キャラクタデータ」に相当する。
ここで、引用発明の「ユーザのホームページを掲載するウェブサイト」は、ユーザがホームページ等のデータをアップロードして一般に公開するものであることから、“ユーザ側のシステム”といえるものである。また、引用発明の「ユーザ端末」と本願補正発明の「ユーザの端末」も、“ユーザ側のシステム”に他ならない。
そして、引用発明の「生成されたアバター画像を送信する」とは、アバターに関する情報を(ユーザ側のシステムに)送信することに他ならない。また、本願補正発明の「ユーザのユーザIDデータに関連付けて記憶されているキャラクタデータの一部を構成するためのアイテムデータを送信する」とは、キャラクタデータに関する情報を(ユーザ側のシステムに)送信していることに他ならない。
してみると、引用発明の「ユーザ端末及びユーザのホームページを掲載するウェブサイトと公衆通信回線網を介して接続されたWGサイトが、記憶されている画像データから生成されたアバター画像を送信する方法」と、本願補正発明の「ユーザの端末と通信ネットワークを介して接続されたサーバが、前記ユーザのユーザIDデータに関連付けて記憶されているキャラクタデータの一部を構成するためのアイテムデータを送信する方法」とは、ともに、“ユーザ側のシステムと通信ネットワークを介して接続されたサーバが、キャラクタデータに関する情報を送信する方法”である点で共通するといえる。

(4-2)引用発明の「アバター画像」及び「格納する」は、それぞれ、本願補正発明の「キャラクタ」及び「記憶する」に相当する。そして、引用発明の「アバター画像を生成するための基本となる各種画像データ」と、本願補正発明の「キャラクタを構成するアイテムと、当該アイテムに対する複数のアイテム属性データ」とは、“キャラクタを構成するための各種情報”である点で共通する。
してみると、引用発明の「アバター画像を生成するための基本となる各種画像データを格納するステップ」と、本願補正発明の「キャラクタを構成するアイテムと、当該アイテムに対する複数のアイテム属性データとを、アイテムテーブルとして互いに関連付けて記憶するステップ」とは、ともに、“キャラクタを構成するための各種情報を記憶するステップ”である点で共通する。

(4-3)引用発明の「ユーザ端末」及び「取得」は、それぞれ、本願補正発明の「端末」及び「受信」に相当する。また、引用発明の「前記ユーザ端末が前記ウェブサイトに書き込んだ記事に関する情報」とは、ユーザ端末から書き込まれた記事であって、アバター画像を生成するために用いられる基となる情報であることから、本願補正発明の「前記端末から、前記キャラクタデータを関連付けるための文書データ」に相当する。そして、引用発明においても、ウェブサイトから取得したデータがWGサイト内に記憶されることは、当業者にとって自明の事項である。
してみると、引用発明の「前記ユーザ端末が前記ウェブサイトに書き込んだ記事に関する情報を取得するステップ」は、本願補正発明の「前記端末から、前記キャラクタデータを関連付けるための文書データを受信して記憶するステップ」に相当するといえる。

(4-4)引用発明の「収集する」は、本願補正発明の「抽出する」に相当する。そして、引用発明の「記事情報(カテゴリ/発行時刻/等)」における「カテゴリ」や「発行時刻」は、上記Eに「記事の発行時刻によって前記顔表情bや髪型aを変化・・・記事のカテゴリ、例えばコンピュータ関連のキーワードを含む記事が多い場合はPDA等のアイテムc」と記載されるように、記事の特徴を表すデータ(以下、「特徴データ」という)であると認められることから、引用発明の「メタ情報から分析した記事情報(カテゴリ/発行時刻/等)」とは、書き込まれた記事を特徴付ける特徴データであるといえる。そうすると、引用発明の「(書き込んだ記事に関する)情報から分析した記事情報」とは、書き込まれた記事に含まれ、当該記事を特徴付ける記事情報を特徴データとして抽出していることに他ならない。
してみると、引用発明の「取得した(書き込んだ記事に関する)情報から分析した記事情報(カテゴリ/発行時刻/等)を収集するステップ」は、本願補正発明の「記憶した前記文書データに含まれ、前記文書データを特徴付ける単語を特徴データとして抽出するステップ」に相当するといえる。

(4-5)引用発明の「複数の前記パラメータを基に、各パラメータに応じた画像データを読み出し、当該読み出した画像データを用いてアバター画像を生成する」とは、記事情報(特徴データ)から計算処理されたパラメータを基に、アバターを構成するための画像データ(アバターに関する情報)を抽出して、アバター画像を生成することに他ならない。そして、本願補正発明の「前記関連度が所定以上の場合、当該複数のアイテム属性データと関連付けられているアイテムデータを抽出する」とは、特徴データから算出された関連度を基に、キャラクタデータを構成するためのアイテムデータ(キャラクタデータに関する情報)を抽出することに他ならない。
してみると、引用発明の「複数の前記パラメータを基に、各パラメータに応じた画像データを読み出し、当該読み出した画像データを用いてアバター画像を生成するステップ」と、本願補正発明の「前記関連度が所定以上の場合、当該複数のアイテム属性データと関連付けられているアイテムデータを抽出するステップ」とは、ともに、“前記特徴データを基に、キャラクタデータに関する情報を抽出するステップ”である点で共通する。

(4-6)そして、上記の検討内容を踏まえると、引用発明の「生成した前記アバター画像を前記ウェブサイトに送信するステップ」と、本願補正発明の「抽出した前記アイテムデータを前記端末に送信するステップ」とは、ともに、“抽出した前記キャラクタデータに関する情報を前記ユーザ側のシステムに送信するステップ”である点で共通する。

以上から、本願補正発明と引用発明とは、以下の点で一致し、また、以下の点で相違する。

(一致点)

ユーザ側のシステムと通信ネットワークを介して接続されたサーバが、キャラクタデータに関する情報を送信する方法であって、
キャラクタを構成するための各種情報を記憶するステップと、
前記端末から、前記キャラクタデータを関連付けるための文書データを受信して記憶するステップと、
記憶した前記文書データに含まれ、前記文書データを特徴付ける単語を特徴データとして抽出するステップと、
前記特徴データを基に、キャラクタデータに関する情報を抽出するステップと、
抽出した前記キャラクタデータに関する情報を前記ユーザ側のシステムに送信するステップと、
を含む方法。

(相違点1)

ユーザ側のシステムに関して、本願補正発明が、「ユーザの端末」であるのに対して、引用発明は、「ユーザ端末及びユーザのホームページを掲載するウェブサイト」である点。

(相違点2)

サーバからユーザ側のシステムに送信するキャラクタデータに関する情報に関して、本願補正発明が、「ユーザのユーザIDデータに関連付けて記憶されているキャラクタデータの一部を構成するためのアイテムデータ」であるのに対して、引用発明は、「記憶されている画像データから生成されたアバター画像」である点。

(相違点3)

キャラクタを構成するための各種情報の記憶に関して、本願補正発明が、「キャラクタを構成するアイテムと、当該アイテムに対する複数のアイテム属性データとを、アイテムテーブルとして互いに関連付けて記憶する」ものであるのに対して、引用発明は、「アバター画像を生成するための基本となる各種画像データを格納する」ものである点。

(相違点4)

特徴データを基に、キャラクタデータに関する情報を抽出する際に、本願補正発明が、「前記文書データから抽出した特徴データに含まれる複数の類義語を1つの代表語に集約し、当該集約された後の新たな特徴データと前記アイテムテーブルに記憶されている前記複数のアイテム属性データとの間の関連度を算出するステップ」、「前記関連度が所定以上の場合、当該複数のアイテム属性データと関連付けられているアイテムデータを抽出するステップ」を有するもの(すなわち、特徴データに含まれる複数の類義語を1つの代表語に集約したもので関連度を算出してアイテムデータを抽出するもの)であるのに対して、引用発明は、記事情報(本願補正発明の「特徴データ」に相当)からアバターを構成するための画像データを抽出するものであるが、当該抽出に際して、記事情報に含まれる複数の類義語を1つの代表語に集約したもので関連度を算出してアバターを構成するための画像データを抽出するものではない点。

(相違点5)

キャラクタデータに関する情報の送信に関して、本願補正発明が、「アイテムデータを前記(ユーザの)端末」に送信するものであるのに対して、引用発明は、「アバター画像を前記ウェブサイト」に送信するものである点。

(5)当審の判断

上記相違点1ないし相違点5について検討する。

(5-1)相違点1、相違点2、及び相違点5について

引用発明は、ユーザ端末からアップロードされたホームページをウェブサイト上で公開するものであるが、当該技術分野において、ホームページをどのサーバ(端末)上で公開するかについては、必要に応じてユーザが適宜決定しうる設計事項に過ぎない。
してみると、引用発明においても、生成したアバター画像をユーザ端末に送信し、ユーザの端末上でホームページを公開するように構成することは、当業者が容易に想到し得たことである。

次に、サーバからユーザ側のシステムに送信するキャラクタデータに関する情報について検討する。

本願の発明の詳細な説明の段落【0083】及び【0084】に、
「[アバター生成結果]
【0083】
図7は、メイン処理(図4)のステップS15の後、端末20が表示する画面の一例を示す図である。
【0084】
この例では、ユーザが書いたブログの段落(例えば、日記の一日分)それぞれに対応して、アバターを表示している。文章から抽出した「遊び」や「サッカー」といった単語に関連付けて、ラフな格好やユニフォーム姿といったように、アイテムが変更されて表示される。」、
と記載されているように、本願補正発明においても、送信されたユーザのユーザIDデータに関連付けて記憶されているキャラクタデータの一部を構成するためのアイテムデータ(キャラクタデータに関する情報)を用いて、ユーザの端末でキャラクタ(アバター)を生成してブログ等に埋め込んで表示するものである。
そして、当該キャラクタをどこで生成するか(サーバでキャラクタを生成(し、生成したキャラクタをユーザの端末に送信)するか/サーバが送信したアイテムデータを基にユーザの端末でキャラクタを生成するか)については、当業者が適宜選択可能な設計事項に過ぎない。

また、引用文献の段落【0026】(上記H参照)に、
「制御サーバ21が前記画像情報データベース22aに格納したアバター画像」、
と記載されるように、引用発明においても、ユーザが書き込んだ記事を基に生成したアバター画像は、画像情報データベースに格納されるものである。そしてユーザのアバター画像を格納する際に、ユーザID等のユーザを識別する情報に関連付けて、当該アバター画像を格納するように構成することは、当該技術分野における常とう手段である。

してみると、引用発明においても、アバター生成に必要な画像データをユーザID等のユーザを識別する情報に関連付けてWGサイト内の画像情報データベースに記憶し、当該記憶したアバターの一部を構成するための画像データ(本願補正発明の「アイテムデータ」に相当)をユーザ端末に送信するように構成すること、すなわち、相違点1、相違点2、及び相違点5に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

よって、相違点1、相違点2、及び相違点5は格別なものではない。

(5-2)相違点3について

データベースの複数のテーブルを互いに関連付けて記憶するように構成することは、引用文献を提示するまでもなく、当該技術分野において慣用的に行われている技術に過ぎない。そして、上記参考文献1(上記J参照)に記載されるように、アバターを構成するデータベースにおいても、複数のテーブル(上記JのT1、T2、T3)を互いに関連付けて記憶するように構成する技術は周知技術に過ぎない。
してみると、引用発明においても、アバターを構成する各パラメータ(髪型a、顔表情b、アイテムc等)を画像情報データベースに格納する際に、互いに関連付けられたテーブルとして格納するように構成すること、すなわち、上記相違点3に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

よって、相違点3は格別なものではない。

(5-3)相違点4について

上記参考文献2の段落【0033】(上記K参照)に、
「同義語は置き換えられた見出し語でカウントされる。例えば、文書A中に「インダクションヒータ」10回出現すれば、文書A中には「電磁誘導加熱」が10回出現したものとして取り扱われる。また、文書B中に「電磁誘導加熱」が3回「インダクションヒータ」が5回入り混じって出現すれば、文書B中に「電磁誘導加熱」が8回出現したものとしてカウントされる。」、
上記参考文献3の段落【0208】(上記L参照)に、
「類義語をまとめて、これらと総合スコアとの相関関係を求めるように構成することもできる。例えば、「香」、「香り」、「かおり」、「におい」、「匂い」、「芳香」などは、ほぼ同じ意味を有しており類義語であるが、「香り」を代表語としてこれらの語を1つの項目として集計する。評価主題に対してこのような項目をいくつか設け、総合スコアとこれらの項目との相関係数を計算・・・このように、類義語を用いて分析することにより、より詳細な解析をすることが可能である。」、
と記載されるように、類義語を1つの代表語にまとめて解析を行うことは、当該技術分野において、慣用的に行われている技術に過ぎない。

また、上記参考文献4の段落【0066】(上記M参照)に、
「同義語集約処理・・・
同義語を1つのエントリーに集約するため,同義語集約処理を行う。検索入力の中に同義語辞書5に登録された語があれば,それらを同義代表語に置き換えて代表させ,1つのエントリーに集約する。」、
上記参考文献5の段落【0021】(上記N参照)に、
「同義/義類処理工程は、作成された解析ネットワーク中の用語を同義語、類義語の代表語に置き換えるか、同義語類似語の集合を追加する。このことにより、テキスト中の用語が解析ネットワーク中ではすべて代表語に置き換わり、比較照合がしやすくなる。」、
と記載されるように、類義語を代表語に置き換えて検索や照合を行う技術についても、周知技術に過ぎない。

そして、引用発明は、記事情報(カテゴリ等)からアバターを構成するための画像データを抽出するものであるが、上記Eに「記事のカテゴリ、例えばコンピュータ関連のキーワードを含む記事が多い場合はPDA等のアイテムc等の各パラメータに応じた画像」と記載されるように、書き込まれた記事に、あるキーワードが多く含まれる場合、当該キーワードを基にアバターを構成するための画像を抽出する態様を含むものである。

してみると、引用発明においても、当該周知慣用技術を適用し、記事情報(カテゴリ等)からアバターを構成するための画像データを抽出する際に、書き込まれた記事に多く含まれるキーワードを基にアバターを構成するための画像を抽出することに替えて、当該記事に含まれる複数の類義語を1つの代表語に集約したもので、キーワードの関連度を算出し、当該記事に多く含まれる(関連度が所定以上の)キーワードを基に、アバターを構成するための画像データを抽出するように構成すること、すなわち、上記相違点4に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

よって、相違点4は格別なものではない。

(5-4)小括

上記で検討したごとく、相違点1ないし相違点5は格別のものではなく、そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本願補正発明の奏する作用効果は、上記引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

したがって、本願補正発明は、上記引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

3.むすび

以上のように、本件補正は、上記「2.独立特許要件」で指摘したとおり、補正後の請求項1に記載された発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではないから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、補正却下の決定の結論のとおり決定する。


第3 本件審判請求の成否について

1.本願発明の認定

平成23年8月9日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成23年2月10日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「ユーザの端末と通信ネットワークを介して接続されたサーバが、前記ユーザのユーザIDデータに関連付けて記憶されているキャラクタデータの一部を構成するためのアイテムデータを送信する方法であって、
キャラクタを構成するアイテムと、当該アイテムに対する複数のアイテム属性データとを、アイテムテーブルとして互いに関連付けて記憶するステップと、
前記端末から、前記キャラクタデータを関連付けるための文書データを受信して記憶するステップと、
記憶した前記文書データに含まれ、前記文書データを特徴付ける単語を特徴データとして抽出するステップと、
前記文書データから抽出した特徴データと、前記アイテムテーブルに記憶されている前記複数のアイテム属性データとの間の関連度を算出するステップと、
前記関連度が所定以上の場合、当該複数のアイテム属性データと関連付けられているアイテムデータを抽出するステップと、
抽出した前記アイテムデータを前記端末に送信するステップと、
を含む方法。」

2.引用文献に記載されている技術的事項及び引用発明の認定

原査定の拒絶の理由に引用された、引用文献およびその記載事項は、前記「第2 平成23年8月9日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「2.独立特許要件」の「(2)引用文献に記載されている技術的事項及び引用発明の認定」に記載したとおりである。

3.対比・判断

本願発明は、前記「第2 平成23年8月9日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「2.独立特許要件」で検討した本願補正発明から「に含まれる複数の類義語を1つの代表語に集約し、当該集約された後の新たな特徴データ」を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含む本願補正発明が、上記「第2 平成23年8月9日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「2.独立特許要件」の「(3)参考文献に記載されている技術的事項」ないし「(5)当審の判断」に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、上記特定の限定を省いた本願発明も同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび

以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-03-27 
結審通知日 2013-04-09 
審決日 2013-04-22 
出願番号 特願2006-161102(P2006-161102)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 久々宇 篤志野崎 大進  
特許庁審判長 山崎 達也
特許庁審判官 仲間 晃
田中 秀人
発明の名称 アイテムデータを送信する方法、サーバおよびプログラム  
代理人 山川 政樹  
代理人 山川 茂樹  
代理人 佐尾山 和彦  
代理人 小池 勇三  

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