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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1275453 |
審判番号 | 不服2012-3440 |
総通号数 | 164 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-08-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-02-22 |
確定日 | 2013-06-13 |
事件の表示 | 特願2008- 82666「リモコンキーにより操作可能な画像表示装置、方法、及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成21年10月15日出願公開、特開2009-237865〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成20年3月27日の出願であって、平成23年5月13日付けで拒絶理由通知がなされ、同年7月19日付けで手続補正がなされ、同年11月21日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成24年2月22日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。 第2 平成24年2月22日付けの手続補正についての補正却下の決定 〔結論〕 平成24年2月22日付けの手続補正を却下する。 〔理由〕 1.補正内容 平成24年2月22日付けの手続補正(以下、「本件補正」と呼ぶ。)は、補正前の特許請求の範囲の請求項1を、補正後の請求項1に変更する補正事項を含むものである。 そして、補正前の請求項1及び補正後の請求項1の各記載は、それぞれ、以下のとおりである。 <補正前の請求項1> 「 【請求項1】 ネットワーク資源に記憶されるWebページの情報を受信して画面に表示する画像表示装置であって、 前記画像表示装置を操作するために複数の操作部分を有する操作入力受付部の前記複数の操作部分を、その配列に応じて前記画面に表示されるWebページの部分領域に関連付ける領域割当部と、 前記操作入力受付部の前記複数の操作部分の少なくとも一部を構成する、画面内の複数の部分領域を相対的に移動するために用いられうるカーソル移動キーからの操作入力信号を受信する操作入力受信部と、 前記操作入力受信部が前記操作入力受付部の一の操作部分に係る操作入力信号を受信することに応答して、前記領域割当部が当該操作部分を関連付けた前記Webページの部分領域において、ユーザの操作が可能なオブジェクトの個数に基づいて異なる動作を実行するズーム制御部と、を含み、 前記ズーム制御部は、 前記Webページの部分領域において、ユーザの操作が可能なオブジェクトが1個以下の場合には、当該部分領域を拡大表示せずに所定の処理を実行し、 前記Webページの部分領域において、ユーザの操作が可能なオブジェクトが複数存在する場合には、当該部分領域を拡大表示する動作を実行する、画像表示装置。」 <補正後の請求項1> 「 【請求項1】 ネットワーク資源に記憶されるWebページの情報を受信して画面に表示する画像表示装置であって、 前記画像表示装置を操作するために複数の操作部分を有する操作入力受付部の前記複数の操作部分を、その配列に応じて前記画面に表示されるWebページの部分領域に関連付ける領域割当部と、 前記操作入力受付部の前記複数の操作部分の少なくとも一部を構成する、画面内の複数の部分領域を相対的に移動するために用いられうるカーソル移動キーからの操作入力信号を受信する操作入力受信部と、 前記操作入力受信部が前記操作入力受付部の一の操作部分に係る操作入力信号を受信することに応答して、前記領域割当部が当該操作部分を関連付けた前記Webページの部分領域において、ユーザの操作が可能なオブジェクトの個数に基づいて異なる動作を実行するズーム制御部と、を含み、 前記ズーム制御部は、 前記Webページの部分領域において、ユーザの操作が可能なオブジェクトが存在しない場合には、待機する動作を実行し、 前記Webページの部分領域において、ユーザの操作が可能なオブジェクトが1個のみ存在する場合には、当該オブジェクトを選択する動作を実行し、 前記Webページの部分領域において、ユーザの操作が可能なオブジェクトが複数存在する場合には、当該部分領域を拡大表示する動作を実行する、画像表示装置。」 2.本件補正に対する判断 本件補正の内の上記補正事項は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の上記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」と呼ぶ。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成23年法律第63号改正附則第2条第18項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下検討する。 2-1.本願補正発明 本願補正発明は、上記「1.」の<補正後の請求項1>の欄に転記したとおりのものである。 2-2.引用例 原査定の拒絶の理由に引用された、特開2000-214977号公報(以下、「引用例」と呼ぶ。)には、以下の記載がある。 「【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、小型電子機器、携帯型電子機器等のディスプレイ上に表示された複数のアイコン等の選択対象から目的とする選択対象を選択するためのポインティング方法に関する。 【0002】 【従来の技術】小型電子機器、携帯型電子機器等のディスプレイ上に表示された複数のアイコンから1つのアイコンを選択するためのポインティング方法としては、カーソルキーを用いる方法が一般的に採用されている。しかしながら、この方法では、小さい画面内で目的のアイコンにカーソルを移動させる必要があり、その操作が難しいという問題がある。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】この発明は、簡単な操作で目的とする選択対象を選択することができるようになるポインティング方法を提供することを目的とする。 【0004】 【課題を解決するための手段】この発明による第1のポインティング方法は、ディスプレイに表示された複数の選択対象のうちから、目的とする選択対象を選択するポインティング方法において、ポインティングを行うために用いられるN個(Nは2以上の整数)のキーを設け、N個のキーに対応して画面をN分割して表示し、目的とする選択対象が存在する領域に対応するキーがユーザによって操作されると、そのキーに対応する領域のみを1画面の大きさに拡大して表示するとともに、N個のキーの配置に対応して画面をN分割して表示し、ユーザによるキー操作が行われる毎に同様な処理を行うことにより、目的とする選択対象を選択するようにしたことを特徴とする。 【0005】この発明による第2のポインティング方法は、ディスプレイに表示された複数の選択対象のうちから、目的とする選択対象を選択するポインティング方法において、ポインティングを行うために用いられる4個のキーを設け、4個のキーに対応して画面を4分割して表示し、目的とする選択対象が存在する領域に対応するキーがユーザによって操作されると、そのキーに対応する領域のみを1画面の大きさに拡大して表示するとともに、4個のキーの配置に対応して画面を4分割して表示し、ユーザによるキー操作が行われる毎に同様な処理を行うことにより、目的とする選択対象を選択するようにしたことを特徴とする。 【0006】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について説明する。 【0007】〔1〕第1の実施の形態の説明 【0008】図1は、携帯型電子機器のディスプレイ装置に表示された画面と、アイコン等の選択対象を選択するために設けられた4つのキー1、2、3、4を示している。 【0009】図1の画面には、5つのアイコンA、B、C、D、Eが表示されている。また、4つのキー1、2、3、4の配置に対応して、画面は破線で示す境界表示によって4分割されている。 【0010】ここでは、アイコンAが目的とするアイコンである場合に、アイコンAを選択するための操作および動作について説明する。 【0011】目的とするアイコンAは4分割された画面のうちの左上の領域に存在するので、ユーザはアイコンAが存在する領域に対応するキー1を操作する。すると、図2に示すように、左上の領域の画像のみが1画面の大きさに拡大されて表示されるとともに、4つのキー1、2、3、4の配置に対応して画面が4分割されて表示される。この画面では、2つのアイコンA、Bが表示されている。 【0012】目的とするアイコンAは4分割された画面のうちの左上の領域に存在し、かつこの領域には他のアイコンは存在しないので、ユーザがアイコンAが存在する領域に対応するキー1を操作すると、アイコンAが選択される。」 そして、上記記載事項を、引用例の関連図面と技術常識に照らせば、次のことがいえる。 (1)引用例の「携帯型電子機器」のディスプレイ装置に表示される画面は、N個のキーの配置に対応してN分割して表示されるものである。 (2)上記のようにN分割された画面の各部分領域は、上記N個のキーのうちのそれぞれの位置に対応する位置に配置されたキーが操作されることにより選択されるものであるから、上記「携帯型電子機器」は、上記「N個のキー」をその配列に応じて上記「N分割された画面の各部分領域」に関連付ける機能と、上記「N個のキー」からの操作入力信号を受信する機能を当然に有している。 そして、それらの機能の内の前者をつかさどる部分は「領域割当部」ともいい得、後者をつかさどる部分は「操作入力受信部」ともいい得る。 (3)上記「携帯型電子機器」は、上記「N分割された画面の各部分領域」のそれぞれの位置に対応する位置に配置されたキーが操作されたとき、その分割領域に「選択対象」(アイコン)が複数存在する場合には当該分割領域を1画面の大きさに拡大表示し、その分割領域に「選択対象」(アイコン)が1個のみ存在する場合には当該分割領域を拡大表示することなく、当該1個のみ存在する「選択対象」(アイコン)を選択するように動作するものである(このことは、段落【0006】?【0012】の記載を段落【0004】、【0005】の記載に照らすことで明らかである。)。 そして、上記「携帯型電子機器」においてそのような動作を実現する部分は、「ズーム制御部」ともいい得る。 以上を総合すると、引用例には、次の発明(以下、「引用例記載発明」と呼ぶ。)が記載されているといえる。 「ディスプレイ装置に画面を表示する携帯型電子機器であって、 N個のキーを、その配列に応じてN分割された画面の各部分領域に関連付ける領域割当部と、 前記N個のキーからの操作入力信号を受信する操作入力受信部と、 前記操作入力受信部が前記N個のキーの一つに係る操作入力信号を受信することに応答して、前記領域割当部が当該N個のキーの一つを関連付けた前記画面の部分領域において、選択対象(アイコン)の個数に基づいて異なる動作を実行するズーム制御部と、を含み、 前記ズーム制御部は、 前記画面の部分領域において、選択対象(アイコン)が1個のみ存在する場合には、当該選択対象(アイコン)を選択する動作を実行し、 前記画面の部分領域において、選択対象(アイコン)が複数存在する場合には、当該部分領域を拡大表示する動作を実行する、携帯型電子機器。」 2-3.対比 本願補正発明と引用例記載発明とを対比すると、次のことがいえる。 (1)「ディスプレイ装置に画面を表示する携帯型電子機器」と「ネットワーク資源に記憶されるWebページの情報を受信して画面に表示する画像表示装置」とは、ともに「情報を画面に表示する画像表示装置」ともいい得るから、引用例記載発明と本願補正発明とは、「情報を画面に表示する画像表示装置」である点で一致する。 (2)引用例記載発明の「N分割された画面の各部分領域」と本願補正発明の「画面に表示されるWebページの部分領域」とは、「画面の部分領域」である点で共通する。 (3)上記(1)を踏まえると、引用例記載発明の携帯型電子機器の「N個のキー」が配置される部分は、「画像表示装置を操作するために複数の操作部分を有する操作入力受付部」といい得る。 また、該「N個のキー」は、「複数の操作部分」ともいい得る。 以上のことと上記(2)を総合すると、引用例記載発明の「領域割当部」と本願補正発明の「領域割当部」は、「画像表示装置を操作するために複数の操作部分を有する操作入力受付部の前記複数の操作部分を、その配列に応じて画面の部分領域に関連付ける領域割当部」である点で共通する。 (4)上記(2)、(3)を踏まえると、引用例記載発明の「N個のキー」は、「前記操作入力受付部の前記複数の操作部分の少なくとも一部を構成する、画面の部分領域を選択するために用いられうるキー」ということもできる。 一方、本願補正発明の「画面内の複数の部分領域を相対的に移動するために用いられうるカーソル移動キー」も、その「移動」の結果「画面の部分領域を選択する」ものということができるから、「画面の部分領域を選択するために用いられうるキー」といえる。 したがって、引用例記載発明の「操作入力受信部」と本願補正発明の「操作入力受信部」とは、「前記操作入力受付部の前記複数の操作部分の少なくとも一部を構成する、画面の部分領域を選択するために用いられうるキーからの操作入力信号を受信する操作入力受信部」である点で共通する。 (5)本願補正発明の「ユーザの操作が可能なオブジェクト」は、本願明細書の段落【0012】の記載等から、「ユーザによるカーソル操作、キー入力、又はフォーカス等に応答して動作可能なボタン」を含むものと解されるところ、引用例記載発明の「選択対象(アイコン)」も「ユーザによるカーソル操作、キー入力、又はフォーカス等に応答して動作可能なボタン」の一種と解されるから、引用例記載発明の「選択対象(アイコン)」は、本願補正発明の「ユーザの操作が可能なオブジェクト」に相当する。 したがって、本願補正発明と引用例記載発明の間には、以下の一致点、相違点があるといえる。 (一致点) 「情報を画面に表示する画像表示装置であって、 前記画像表示装置を操作するために複数の操作部分を有する操作入力受付部の前記複数の操作部分を、その配列に応じて画面の部分領域に関連付ける領域割当部と、 前記操作入力受付部の前記複数の操作部分の少なくとも一部を構成する、画面の部分領域を選択するために用いられうるキーからの操作入力信号を受信する操作入力受信部と、 前記操作入力受信部が前記操作入力受付部の一の操作部分に係る操作入力信号を受信することに応答して、前記領域割当部が当該操作部分を関連付けた前記画面の部分領域において、ユーザの操作が可能なオブジェクトの個数に基づいて異なる動作を実行するズーム制御部と、を含み、 前記ズーム制御部は、 前記画面の部分領域において、ユーザの操作が可能なオブジェクトが1個のみ存在する場合には、当該オブジェクトを選択する動作を実行し、 前記画面の部分領域において、ユーザの操作が可能なオブジェクトが複数存在する場合には、当該部分領域を拡大表示する動作を実行する、画像表示装置。」である点。 (相違点1) 本願補正発明の「画像表示装置」は、「ネットワーク資源に記憶されるWebページの情報を受信して画面に表示する」ものであり、本願発明における「画面の部分領域」は、「画面に表示されるWebページの部分領域」であるのに対し、引用例記載発明の「画像表示装置」は、「ネットワーク資源に記憶されるWebページの情報を受信して画面に表示する」ものではなく、引用例記載発明における「画面の部分領域」は、「画面に表示されるWebページの部分領域」ではない点。 (相違点2) 本願補正発明の「操作入力受信部」が受信する操作入力信号は「前記操作入力受付部の前記複数の操作部分の少なくとも一部を構成する、画面内の複数の部分領域を相対的に移動するために用いられうるカーソル移動キーからの操作入力信号」であるのに対し、引用例記載発明の「操作入力受信部」が受信する操作入力信号は「前記操作入力受付部の前記複数の操作部分の少なくとも一部を構成する、画面内の複数の部分領域を相対的に移動するために用いられうるカーソル移動キーからの操作入力信号」ではない点。 (相違点3) 本願補正発明の「ズーム制御部」は、「画面の部分領域において、ユーザの操作が可能なオブジェクトが存在しない場合には、待機する動作を実行」するものであるのに対し、引用例記載発明の「ズーム制御部」は、「画面の部分領域において、ユーザの操作が可能なオブジェクトが存在しない場合には、待機する動作を実行」するものとは限らない(引用例には、「画面の部分領域において、ユーザの操作が可能なオブジェクトが存在しない場合」の動作に関する明示的記載がない)点。 2-4.判断 (1)(相違点1)について 以下の事情を勘案すると、引用例記載発明の「画像表示装置」を、「ネットワーク資源に記憶されるWebページの情報を受信して画面に表示する」ものとし、引用例記載発明における「画面の部分領域」を、「画面に表示されるWebページの部分領域」とすることは、当業者が容易に推考し得たことというべきである。 ア.一般に、用途ないし応用分野が特定のものに限定されない発明、すなわち、はん用性を有する発明を、当該発明が解決しようとした課題を解決し得る範囲、すなわち、当該発明が有用な範囲で、特定の用途ないし応用分野に適用することは、当業者が普通に試みることである。 イ.これを引用例記載発明についてみるに、引用例には、引用例記載発明の用途ないし応用分野が特定のものに限定される旨の記載はないから、引用例記載発明は、上記はん用性を有する発明である。 したがって、引用例記載発明を、引用例の段落【0003】に記載されるような課題を解決し得る範囲、すなわち、引用例記載発明が有用な範囲で、特定の用途ないし応用分野に適用することは、当業者が容易に推考し得たことである。 ウ.一方、「画像表示装置」といい得る装置の用途ないし応用分野として、「ネットワーク資源に記憶されるWebページの情報を受信して画面に表示する」といったものは、「Webブラウザ」と呼ばれるソフトウエアを具備する装置一般に見られるように周知であり、そのような周知の用途ないし応用分野においても、引用例記載発明が有用であることは、当業者に自明のことである。 エ.以上によれば、引用例記載発明の「画像表示装置」を、「ネットワーク資源に記憶されるWebページの情報を受信して画面に表示する」ものとすることは、当業者が容易に推考し得たことである。 オ.引用例記載発明の「画像表示装置」を、「ネットワーク資源に記憶されるWebページの情報を受信して画面に表示する」ものとした場合には、引用例記載発明における「画面の部分領域」は、当然に「画面に表示されるWebページの部分領域」となる。 (2)(相違点2)について 以下の事情を勘案すると、引用例記載発明の「操作入力受信部」が受信する操作入力信号を、「前記操作入力受付部の前記複数の操作部分の少なくとも一部を構成する、画面内の複数の部分領域を相対的に移動するために用いられうるカーソル移動キーからの操作入力信号」とすることも、当業者が容易に推考し得たことというべきである。 ア.引用例記載発明と同様に画像表示装置ともいい得る携帯型電子機器において、その「画像表示装置を操作するために複数の操作部分を有する操作入力受付部」といい得る部分の「複数の操作部分」の一部として、引用例記載発明の「N個のキー」に相当するキーのほかに「画面内の複数の部分領域を相対的に移動するために用いられうるカーソル移動キー」といい得るキーをも設けることは、原査定の備考欄に例示された特開2002-14773号公報のほか、今回新たに例示する特開2000-10702号公報(特に段落【0026】、図1の記載参照)、特開2003-8701号公報(特に図2参照)等にも示されるように周知である。 イ.引用例記載発明においても、上記周知のもののように「N個のキー」に加えて「画面内の複数の部分領域を相対的に移動するために用いられうるカーソル移動キー」といい得るキーを設けることが有用かつ可能であることは、当業者に自明である。 ウ.以上のことは、引用発明の「操作入力受信部」を、「前記操作入力受付部の前記複数の操作部分の少なくとも一部を構成する、画面内の複数の部分領域を相対的に移動するために用いられうるカーソル移動キーからの操作入力信号」をも受信するものとすること、換言すれば、引用発明の「操作入力受信部」が受信する操作入力信号を、「前記操作入力受付部の前記複数の操作部分の少なくとも一部を構成する、画面内の複数の部分領域を相対的に移動するために用いられうるカーソル移動キーからの操作入力信号」とすることが、当業者にとって容易であったことを意味している。 (3)(相違点3)について 以下の事情を勘案すると、引用例記載発明の「ズーム制御部」を、「画面の部分領域において、ユーザの操作が可能なオブジェクトが存在しない場合には、待機する動作を実行」するものとすることも、当業者が容易に推考し得たことというべきである。 ア.引用例には、その図1に示される画面の右下の部分領域や図2に示される画面の右上や左下の部分領域のように、引用例記載発明でいう「選択対象」(アイコン)が存在しない部分領域に対応するキーが操作された場合(以下、「場合A」と呼ぶ。)の引用例記載発明の「ズーム制御部」の動作に関する明示的記載はないが、引用例の図1に示される画面とキーの配置等からすると、引用例記載発明においても、場合Aは十分にあり得る場合であると考えられる。 また、引用例の段落【0003】に記載されるような引用例記載発明の課題に照らせば、場合Aのような場合に「ズーム制御部」に何らかの特別な動作(部分領域を拡大表示する動作や選択対象(アイコン)を選択する動作等)を実行させる必要がないことは明らかである。 してみると、引用例に場合Aにおける「ズーム制御部」の動作に関する明示的記載がないことは、「引用例記載発明が、場合Aを想定しない発明であること」を表しているのではなく、「引用例記載発明が、場合Aのような場合には「ズーム制御部」に特別な動作を実行させない発明であること」を表していると解するのが自然である(引用例に接した当業者はそのように解すると考えられる。)。 イ.仮にア.のことがいえないとしても、上述した引用例の段落【0003】に記載されるような引用例記載発明の課題に照らせば、場合Aのような場合に引用例記載発明の「ズーム制御部」に何らの特別な動作(部分領域を拡大表示する動作や選択対象(アイコン)を選択する動作等)を実行させないようにすること、換言すれば、場合Aのような場合に該「ズーム制御部」に「待機する動作」を実行させるようにすることは、当業者が容易に推考し得たことである。 ウ.以上のことは、引用例記載発明の「ズーム制御部」を、「画面の部分領域において、ユーザの操作が可能なオブジェクトが存在しない場合には、待機する動作を実行」するものとすることが、当業者にとって容易であったことを意味している。 (4)本願補正発明の効果について 本願補正発明の構成によってもたらされる効果は、引用例に記載された事項及び周知の事項から当業者ならば容易に予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。 (5)まとめ 以上によれば、本願補正発明は、引用例記載発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3.むすび したがって、本件補正は、平成23年法律第63号改正附則第2条第18項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1.本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」と呼ぶ。)は、平成23年7月19日付けの手続補正書の請求項1に記載されたとおりのものであり、上記「第2」の「1.」の<補正前の請求項1>の欄に転記したとおりのものである。 2.引用例 原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及びその記載事項は、上記「第2」の「2.」の「2-2.」の欄に記載したとおりである。 3.対比・判断 本願発明は、上記「第2」で検討した本願補正発明から、限定事項の一部を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに特定の限定を施したものに相当する本願補正発明が、上記「第2」の「2.」の欄に記載したとおり、引用例記載発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用例記載発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 4.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例記載発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2013-04-10 |
結審通知日 | 2013-04-16 |
審決日 | 2013-05-01 |
出願番号 | 特願2008-82666(P2008-82666) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 岩橋 龍太郎 |
特許庁審判長 |
小曳 満昭 |
特許庁審判官 |
稲葉 和生 水野 恵雄 |
発明の名称 | リモコンキーにより操作可能な画像表示装置、方法、及びプログラム |
代理人 | 酒井 宏明 |