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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 G02B 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G02B |
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管理番号 | 1276226 |
審判番号 | 不服2012-12820 |
総通号数 | 164 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-08-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-07-05 |
確定日 | 2013-07-03 |
事件の表示 | 特願2005-257832「顕微鏡対物レンズ及び顕微鏡対物レンズの製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 4月20日出願公開、特開2006-106712〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成17年9月6日(パリ条約による優先権主張2004年9月30日、ドイツ国)ものであって、平成23年5月24日付けで拒絶理由が通知され、同年10月31日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正書が提出され、平成24年2月28日付けで拒絶査定がなされた。これに対して、同年7月5日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。 その後、平成24年9月26日付けで、審判請求人に前置報告の内容を示し意見を求めるための審尋を行ったところ、同年12月27日付けで回答書が提出された。 第2 平成24年7月5日付けの手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成24年7月5日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.補正後の請求項に記載された発明 平成24年7月5日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)により、本願の特許請求の範囲の請求項1は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下単に「特許法」という。)第17条の2第4項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的として補正された。 よって、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)は、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された、次のとおりのものである。 「少なくとも4個のレンズと、対物レンズスリーブとを備えた顕微鏡対物レンズであって、レンズ(7、8、17)が保持リング(4、5)内に嵌め込まれていて、対物レンズスリーブが、嵌め込まれたレンズ(7、8、17)を備えた保持リング(4、5)を受容する、前記顕微鏡対物レンズにして、対物レンズスリーブ(2、3)が少なくとも2個の部分スリーブ(2、3)を有すること、及び、各部分スリーブ(2、3)が少なくとも2個の保持リング(4、5)を受容し、部分スリーブ(2、3)が顕微鏡対物レンズの取り付け又は取り外しのために互いに分離可能であるように形成されていて、それにより顕微鏡対物レンズ(1)の予め規定可能な領域がアクセス可能である顕微鏡対物レンズにおいて、 2個の部分スリーブ(2、3)がそれらの空間的な配置構成に関して互いに固定されていること、及び、予め規定可能な領域が顕微鏡対物レンズ(1)の設定間隔(14)であり、この設定間隔が、光学系デザインにより予め規定可能な許容差範囲内で顕微鏡対物レンズ(1)の予め規定可能な2つのレンズ面による間隔を調節するために用いられ、この設定間隔が少なくとも1つの光学的品質特性又は光学的性質に関していること を特徴とする顕微鏡対物レンズ。」 そこで、上記本願補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するか否か)について、以下に検討する。 2.引用刊行物 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物である、特開昭51-87055号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付した。) (a)「一般に顕微鏡対物レンズを製作する際にはJIS規格にて規定されている正確な厚さのカバーガラスを用いて調整を行なう。」(第1頁右下欄第3?5行) (b)「一方顕微鏡対物レンズを実際に使用する場合には、調整された時に使用されたカバーガラスとは異なったカバーガラスが用いられ、しかもカバーガラスは上述のように実際には可成りの誤差を有するものであるために、調整時のカバーガラスとは異なる厚さのカバーガラスを使用して観察することになる。このように調整時のものと異なる厚さのカバーガラスを用いた場合、各収差特に球面収差が悪化して実際の対物レンズの性能は設計された値よりも劣るものとなる。」 (第1頁右下欄第16行?第2頁左上欄第5行) (c)「本発明は以上の点に鑑みなされたもので顕微鏡対物レンズの特定のレンズ間隔を変化させることによって上述のカバーガラスの厚さの違いによる像の劣化を補正し得ることをみいだし、これにもとづき極めて簡単な手段によって上述の像の劣化を補正し得るようにした顕微鏡対物レンズの補正環機構を提供するものである。 以下図示された一実施例にもとづき本発明の補正環機構の具体的内容を説明する。第1図においてL_(1),L_(2),L_(3),L_(4)は対物レンズの各レンズ群であってこの実施例では第2群レンズL_(2)と第3群レンズL_(3)との間隔を変化させて補正するようにしたもので夫々第1群レンズL_(1),第2群レンズL_(2)とを前群、又第3群レンズL_(3)と第4群レンズL_(4)とを後群と称することにする。次に、1はスロット1aを有する鏡胴、2は縦方向(対物レンズの光軸に平行な方向)に形成されたスロット2aおよび溝2bを有する鏡胴1内に嵌合する前群胴で、この前群胴2には第1群レンズL_(1)を保持する枠3および第2群レンズL_(2)を保持する枠4とを夫々押え環5および6によって固定してある。7は前群胴2内に嵌合された後群胴で同様に第3群レンズL_(3)を保持する枠8および第4群レンズL_(4)を保持する枠9とを押え環10によって固定してある。11はスロット11aを有する第1のリード環でそのスロット11aと鏡胴1に形成されたスロット1aとが丁度重なり合うように鏡胴1の外側に嵌合されている。12は第1のリード環11に螺合されている第2のリード環、13は後群胴7に固定され鏡胴1のスロット1a、前群胴2のスロット2aおよび第1リード環11のスロット11a内に位置しているガイドピン、14は本胴1に取付けられるカバー、15はねじ16によって固定されたストッパーリング、17は鏡胴1に取付けられ前群胴2の溝2bにその先端が挿入されているまわり止めピン、18は押え環10とスプリング押え環19との間に配置されたスプリング、20は鏡胴1と前群胴2との間に配置された緩衝用のスプリングである。 次に以上説明した構造の本発明顕微鏡対物レンズの補正環機構の作用について説明する。後群胴7にはスプリング18の働らきにより下方即ち図面の左方向への力が常に働らいている。このためこの後群胴7に固定されたガイドピン13にも同方向への力が加わっており、このガイドピン13は図示するように第1のリード環11のスロット11aの一方の側(図面左側)に常に接している。このために後群胴7はこの状態より更に下へは移動し得ないので、前群胴との間には一定の間隔を有した状態で固定している。この状態にて第2のリード環12をいずれかの方向へ回動させれば、第1のリード環11は対物レンズの光軸に平行に移動する。この第1のリード環11の移動によってガイドピン13もスロットに沿って移動し、したがって後群胴7も対物レンズの光軸に平行な方向に移動するので、前群と後群との間のレンズ間隔は変化する。これによって前述のようにカバーガラスの厚さの変化による像の劣化を補正することができる。」 (第2頁左上欄第15行?同頁右下欄第13行) (c)「以上説明したように本発明補正環機構によれば、第2のリード環を回動させることによって、第1のリード環を光軸方向に移動させ、後群胴7と共にこれに固定してある後群の各レンズを光軸方向に移動させることによって、特定のレンズ間隔を変化させ対物レンズによる像を最良の状態に調整することが出来る。したがってカバーガラスの厚さに僅かに誤差があって、このために対物レンズによって設計通りの良好な像が得られない場合でも、簡単に最良の状態になし得るものである。しかも第1の実施例のような構造にすれば前群胴と後群胴との嵌合部分を長くすることが出来るので、後群胴を移動させた時の各レンズの偏心やよじれによる変化を最小にすることが出来、これらの原因によるレンズ系の性能の悪化は全く生じない。」(第3頁右上欄第7行?同頁左下欄第1行) (d) 「 」 (e)上記記載事項(b)および(d)から、組み立てられた顕微鏡対物レンズを分解し、「前群胴2」と「後群胴7」とを分離可能であることは、当業者であれば、容易に理解し得ることであり、「前群胴2」と「後群胴7」とを分離すれば、「前群胴2」と「後群胴7」との間の間隔、すなわち、「前群と後群との間のレンズ間隔」にアクセスすることができることは明らかである。 すると、上記引用文献1の記載事項(a)?(d)及び該記載事項から考察される事項(e)から、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 「スロット1aを有する鏡胴1と、縦方向(対物レンズの光軸に平行な方向)に形成されたスロット2aおよび溝2bを有する鏡胴1内に嵌合する前群胴2と、この前群胴2に夫々押え環5および6によって固定された第1群レンズL_(1)を保持する枠3および第2群レンズL_(2)を保持する枠4と、前群胴2内に嵌合された後群胴7と、この後群胴7に夫々押え環10によって固定された第3群レンズL_(3)を保持する枠8および第4群レンズL_(4)を保持する枠9と、スロット11aを有し、そのスロット11aと鏡胴1に形成されたスロット1aとが丁度重なり合うように鏡胴1の外側に嵌合されている第1のリード環11と、第1のリード環11に螺合されている第2のリード環12と、後群胴7に固定され鏡胴1のスロット1a、前群胴2のスロット2aおよび第1リード環11のスロット11a内に位置しているガイドピン13と、鏡胴1に取付けられるカバー14と、ねじ16によって固定されたストッパーリング15と、鏡胴1に取付けられ前群胴2の溝2bにその先端が挿入されているまわり止めピン17と、押え環10とスプリング押え環19との間に配置されたスプリング18と、鏡胴1と前群胴2との間に配置された緩衝用のスプリング20とを備えた顕微鏡対物レンズであって、 顕微鏡対物レンズを分解し、前群胴2と後群胴7とを分離可能であり、この分離により前群と後群との間のレンズ間隔にアクセスすることができ、 第2のリード環12をいずれかの方向へ回動させれば、第1のリード環11は対物レンズの光軸に平行に移動し、この第1のリード環11の移動によってガイドピン13もスロットに沿って移動し、後群胴7も対物レンズの光軸に平行な方向に移動し、前群と後群との間のレンズ間隔を変化させることによって、球面収差の悪化による像の劣化を補正することができる、 顕微鏡対物レンズ。」 3.対比 (1)本願補正発明と引用発明との対比 (a)引用発明の「第1群レンズL_(1)」、「第2群レンズL_(2)」、「第3群レンズL_(3)」および「第4群レンズL_(4)」が、本願補正発明の「少なくとも4個のレンズ」に相当し、引用発明の「枠3」、「枠4」、「枠8」および「枠9」が、本願補正発明の「保持リング(4、5)」に相当し、引用発明の「前群胴2」および「後群胴7」が、本願補正発明の「対物レンズスリーブ(2、3)が少なくとも2個の部分スリーブ(2、3)」に相当するから、引用発明の「前群胴2と、この前群胴2に夫々押え環5および6によって固定された第1群レンズL_(1)を保持する枠3および第2群レンズL_(2)を保持する枠4と、前群胴2内に嵌合された後群胴7と、この後群胴7に夫々押え環10によって固定された第3群レンズL_(3)を保持する枠8および第4群レンズL_(4)を保持する枠9と」「を備えた顕微鏡対物レンズ」は、本願補正発明の「少なくとも4個のレンズと、対物レンズスリーブとを備えた顕微鏡対物レンズであって、レンズ(7、8、17)が保持リング(4、5)内に嵌め込まれていて、対物レンズスリーブが、嵌め込まれたレンズ(7、8、17)を備えた保持リング(4、5)を受容する、前記顕微鏡対物レンズにして、対物レンズスリーブ(2、3)が少なくとも2個の部分スリーブ(2、3)を有すること、及び、各部分スリーブ(2、3)が少なくとも2個の保持リング(4、5)を受容する、前記顕微鏡対物レンズ」に相当する。 (b)引用発明の「前群と後群との間のレンズ間隔」が、本願補正発明の「設定間隔(14)」に相当することは明らかであるから、引用発明の「顕微鏡対物レンズを分解し、前群胴2と後群胴7とを分離可能であり、この分離により前群と後群との間のレンズ間隔にアクセスすることができ」る構成は、本願補正発明の「部分スリーブ(2、3)が顕微鏡対物レンズの取り付け又は取り外しのために互いに分離可能であるように形成されていて、それにより顕微鏡対物レンズ(1)の予め規定可能な領域がアクセス可能であ」り、「予め規定可能な領域が顕微鏡対物レンズ(1)の設定間隔(14)であ」る構成に相当する。 (c)引用発明の「スロット1aを有する鏡胴1と、縦方向(対物レンズの光軸に平行な方向)に形成されたスロット2aおよび溝2bを有する鏡胴1内に嵌合する前群胴2と、」「前群胴2内に嵌合された後群胴7と、」「スロット11aを有し、そのスロット11aと鏡胴1に形成されたスロット1aとが丁度重なり合うように鏡胴1の外側に嵌合されている第1のリード環11と、第1のリード環11に螺合されている第2のリード環12と、後群胴7に固定され鏡胴1のスロット1a、前群胴2のスロット2aおよび第1リード環11のスロット11a内に位置しているガイドピン13と、鏡胴1に取付けられるカバー14と、ねじ16によって固定されたストッパーリング15と、」「押え環10とスプリング押え環19との間に配置されたスプリング18と、鏡胴1と前群胴2との間に配置された緩衝用のスプリング20とを備えた」ことにより、「前群胴2」は、「カバー14」および「スプリング20」を用いて「鏡胴1」に光軸方向に固定され、「後群胴7」は、「ガイドピン13」、「第1のリード環11」、「第2のリード環12」、「ストッパーリング15」、「押え環10」、「スプリング押え環19」および「スプリング19」を用いて「鏡胴1」に光軸方向に固定されているから、「前群胴2」と「後群胴7」とは光軸方向の配置、すなわち、空間的な配置構成に関して互いに固定されているといえる。(なお、この固定された配置構成は、「第2のリード環12」を回動しない限り変わることはない。) すると、引用発明の「スロット1aを有する鏡胴1と、縦方向(対物レンズの光軸に平行な方向)に形成されたスロット2aおよび溝2bを有する鏡胴1内に嵌合する前群胴2と、」「前群胴2内に嵌合された後群胴7と、」「スロット11aを有し、そのスロット11aと鏡胴1に形成されたスロット1aとが丁度重なり合うように鏡胴1の外側に嵌合されている第1のリード環11と、第1のリード環11に螺合されている第2のリード環12と、後群胴7に固定され鏡胴1のスロット1a、前群胴2のスロット2aおよび第1リード環11のスロット11a内に位置しているガイドピン13と、鏡胴1に取付けられるカバー14と、ねじ16によって固定されたストッパーリング15と、」「押え環10とスプリング押え環19との間に配置されたスプリング18と、鏡胴1と前群胴2との間に配置された緩衝用のスプリング20とを備えた」ことは、本願補正発明の「2個の部分スリーブ(2、3)がそれらの空間的な配置構成に関して互いに固定されていること」に相当する。 (d)引用発明の「第2のリード環12をいずれかの方向へ回動させれば、第1のリード環11は対物レンズの光軸に平行に移動し、この第1のリード環11の移動によってガイドピン13もスロットに沿って移動し、後群胴7も対物レンズの光軸に平行な方向に移動し、前群と後群との間のレンズ間隔を変化させることによって、球面収差の悪化による像の劣化を補正することができる」ことにおいて、前群と後群との間のレンズ間隔を変化させる際に、光学系の設計において規定される許容差範囲内で行うことは当業者には当然のことであり、また、引用発明の「球面収差」が本願補正発明の「光学的品質特性」に相当することは明らかであるから、引用発明の「第2のリード環12をいずれかの方向へ回動させれば、第1のリード環11は対物レンズの光軸に平行に移動し、この第1のリード環11の移動によってガイドピン13もスロットに沿って移動し、後群胴7も対物レンズの光軸に平行な方向に移動し、前群と後群との間のレンズ間隔を変化させることによって、球面収差の悪化による像の劣化を補正することができる」ことは、本願補正発明の「この設定間隔が、光学系デザインにより予め規定可能な許容差範囲内で顕微鏡対物レンズ(1)の予め規定可能な2つのレンズ面による間隔を調節するために用いられ、この設定間隔が少なくとも1つの光学的品質特性又は光学的性質に関していること」に相当する。 (2)一致点 してみると、両者は、 「少なくとも4個のレンズと、対物レンズスリーブとを備えた顕微鏡対物レンズであって、レンズが保持リング内に嵌め込まれていて、対物レンズスリーブが、嵌め込まれたレンズを備えた保持リングを受容する、前記顕微鏡対物レンズにして、対物レンズスリーブが少なくとも2個の部分スリーブを有すること、及び、各部分スリーブが少なくとも2個の保持リングを受容し、部分スリーブが顕微鏡対物レンズの取り付け又は取り外しのために互いに分離可能であるように形成されていて、それにより顕微鏡対物レンズの予め規定可能な領域がアクセス可能である顕微鏡対物レンズにおいて、 2個の部分スリーブがそれらの空間的な配置構成に関して互いに固定されていること、及び、予め規定可能な領域が顕微鏡対物レンズの設定間隔であり、この設定間隔が、光学系デザインにより予め規定可能な許容差範囲内で顕微鏡対物レンズの予め規定可能な2つのレンズ面による間隔を調節するために用いられ、この設定間隔が少なくとも1つの光学的品質特性又は光学的性質に関している 顕微鏡対物レンズ。」 で一致し、相違点はない。 4.判断 したがって、本願補正発明は引用発明であるから、特許法第29条第1項第3号で規定される発明に該当し、特許を受けることができない。 5.小括 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定により読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1.本願発明 平成24年7月5日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成23年10月31日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「少なくとも4個のレンズと、対物レンズスリーブとを備えた顕微鏡対物レンズであって、レンズ(7、8、17)が保持リング(4、5)内に嵌め込まれていて、対物レンズスリーブが、嵌め込まれたレンズ(7、8、17)を備えた保持リング(4、5)を受容する、前記顕微鏡対物レンズにして、対物レンズスリーブ(2、3)が少なくとも2個の部分スリーブ(2、3)を有すること、及び、各部分スリーブ(2、3)が少なくとも2個の保持リング(4、5)を受容し、部分スリーブ(2、3)が互いに分離可能であるように形成されていて、それにより顕微鏡対物レンズ(1)の予め規定可能な領域がアクセス可能である顕微鏡対物レンズにおいて、 予め規定可能な領域が顕微鏡対物レンズ(1)の設定間隔(14)であり、この設定間隔が、光学系デザインにより予め規定可能な許容差範囲内で顕微鏡対物レンズ(1)の予め規定可能な2つのレンズ面による間隔を調節するために用いられ、この設定間隔が少なくとも1つの光学的品質特性又は光学的性質に関していること を特徴とする顕微鏡対物レンズ。」 2.引用刊行物 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された刊行物、その記載内容および引用発明は、前記「第2」「2.」に記載したとおりである。 3.対比・判断 本願発明は、前記「第2」で検討した本願補正発明から、「顕微鏡対物レンズの取り付け又は取り外しのために」、「2個の部分スリーブ(2、3)がそれらの空間的な配置構成に関して互いに固定されていること」という事項を削除することにより拡張したものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、更に限定したものに相当する本願補正発明は、前記「第2」「3.」および「4.」に記載したとおり、引用発明であるから、同様に、本願発明も引用発明である。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は引用発明であり、特許法第29条第1項第3号で規定される発明に該当し、特許を受けることができないから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2013-01-30 |
結審通知日 | 2013-02-05 |
審決日 | 2013-02-19 |
出願番号 | 特願2005-257832(P2005-257832) |
審決分類 |
P
1
8・
113-
Z
(G02B)
P 1 8・ 575- Z (G02B) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 鷲崎 亮、鉄 豊郎 |
特許庁審判長 |
伊藤 昌哉 |
特許庁審判官 |
北川 清伸 森林 克郎 |
発明の名称 | 顕微鏡対物レンズ及び顕微鏡対物レンズの製造方法 |
代理人 | 藤田 アキラ |