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審決分類 |
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 A23J 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 A23J 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A23J |
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管理番号 | 1276680 |
審判番号 | 不服2010-26796 |
総通号数 | 165 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-09-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-11-29 |
確定日 | 2013-07-10 |
事件の表示 | 特願2001-573919「発酵タンパク加水分解物」拒絶査定不服審判事件〔平成13年10月18日国際公開、WO01/76391、平成15年10月 7日国内公表、特表2003-529383〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成13年4月3日(パリ条約による優先権主張2000年4月7日、欧州特許庁)の出願であって、平成22年1月25日付け拒絶理由通知に対し、同年7月1日に意見書が提出され、同日に手続補正がなされた後、同年7月23日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年11月29日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1ないし請求項21に係る発明は、平成22年7月1日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1ないし請求項21に記載された事項により特定されるとおりのものと認められ、そのうち請求項16は、以下のとおりである。(以下、請求項16に係る発明を「本願発明」という。) 「【請求項16】グルタミナーゼ活性能について選択した単離耐熱性乳酸菌菌株。」 第3 刊行物とその記載事項 本願出願前に頒布された刊行物1(原査定の引用文献1)には、以下の事項が記載されている。なお、下線は当審が付した。 (1)刊行物1:特開昭54-8785号公報の記載事項 (1a)「2.特許請求の範囲 蛋白質原料を蛋白分解酵素により加水分解して蛋白加水分解物を得るにあたり、加水分解中の物料あるいは加水分解後の物料に、30?55℃の温度でかつ添附図面に示す斜線範囲内の温度に対する食塩濃度下で撹拌しつつ乳酸菌およびグルタミナーゼを作用させ、蛋白加水分解物の遊離グルタミン酸含量を増大させることを特徴とする蛋白加水分解物の製造法」(第1頁左欄4行?12行) (1b)「本発明において使用する乳酸菌としては、グルタミナーゼと共同作用により、蛋白質原料の酵素加水分解中の物料もしくは加水分解後の物料に作用して蛋白質加水分解物の総窒素当りのグルタミン酸含有量を増強する作用を有する菌であればいずれでも使用できる。 すなわちホモ型、ヘテロ型の乳酸菌のいずれでもよく、たとえばペデイオコツカス・アシドラクテイシー(Pediococcus acidilactici)IFO 3885、ペデイオコツカス・アシドラクテイシーIFO 3076(ATCC8042)、ペデイオコツカス・アシドラクテイシーATCC 25743、・・・略・・・等が挙げられる。」(第9頁左上欄20行?左下欄5行) (1c)「実験例 4 常法により製造したアスペルギルス・ソーヤ1-112(Aspergillus soyae 1-112)FERM-PNO.504のふすま麹(※原文では「ふすま」は漢字表記。)より得た蛋白分解酵素剤を用いて小麦グルテンを酵素分解する際に、蛋白分解酵素剤と共に乳酸菌ペデイオコツカス・アシドラクテイシーATCC 25743の洗浄菌体およびクリプトコツカスのグルタミナーゼを共存せしめ、分解時の食塩濃度8%、分解温度は40℃として48時間振とう分解した(※原文では「とう」は漢字表記)。 加水分解終了後、分解液汁につき分析した結果得られた総窒素(%)当りのグルタミン酸含量(%)の比率(Glu/TN)およびアミノ態窒素(%)の比率〔AN/TN(%)〕を第4表の試験No.1に示す。なお対照として該蛋白分解酵素剤のみで分離した場合(No.2)、該蛋白質分解酵素剤にクリプトコツカスのグルタミナーゼを加えて分解した場合(No.3)、該蛋白質分解酵素剤にペデイオコツカス・アシドラクテイシーATCC 25743の洗浄菌体を加えて分解した場合(No.4)をそれぞれ試験No.2,No.3,No.4として第4表に示す。 実験例 5 常法により得られた醤油麹(使用醤油麹菌:アスペルギルス・ソーヤ1-112(Aspergillus soyae1-112)FERM-P No.504)を使用して加水分解物を得るに際し、乳酸菌ペデイオコツカス・アシドラクテイシーATCC 25743の洗浄菌体およびクリプトコツカスのグルタミナーゼを共存せしめ、実験例4と同様に分解し、また各対照も実験例4と同様に設け、それぞれの結果を第5表に示す。 」(第10頁右上欄16行?右下欄末行) (1d)「第4表および第5表より明らかな如く、蛋白質原料を蛋白質分解酵素により30?55℃の温度でかつ添附図面に示す斜線範囲内の温度に対応する食塩濃度下で撹拌しつつ加水分解して酵素分解物を得るにあたり、蛋白質分解酵素と共に乳酸菌とグルタミナーゼを共存せしめた場合、グルタミナーゼのみを作用させた場合に比べはるかに高いアミノ酸およびグルタミン酸含量の蛋白加水分解物を得ることができる。」(第11頁左上欄1行?9行) 第3 対比・判断 刊行物1の上記記載事項(特に上記(1c))から、刊行物1には、 「乳酸菌ペデイオコツカス・アシドラクテイシーATCC 25743の洗浄菌体」の発明(以下、「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる。 そこで、本願発明と刊行物1発明とを比較する。 (ア)刊行物1発明の「乳酸菌ペデイオコツカス・アシドラクテイシーATCC 25743の洗浄菌体」は単一種の乳酸菌であり、「単離乳酸菌菌株」である点で、本願発明の「グルタミナーゼ活性能について選択した単離耐熱性乳酸菌菌株」と共通する。 したがって、両者の間には、以下の一致点及び一応の相違点がある。 (一致点) 単離乳酸菌菌株。 (相違点1) 単離乳酸菌菌株が、本願発明では、耐熱性であるのに対し、刊行物1発明では特に規定していない点。 (相違点2) 単離乳酸菌菌株が、本願発明では「グルタミナーゼ活性能について選択した」ものであるのに対し、刊行物1発明では「ペデイオコツカス・アシドラクテイシーATCC 25743」であり、グルタミナーゼ活性能は明らかでない点。 そこで、上記各相違点について検討する。 (相違点1について) 刊行物1発明の「乳酸菌ペデイオコツカス・アシドラクテイシーATCC 25743の洗浄菌体」について、刊行物1の記載を参照すると、実験例4では40℃の温度において、乳酸菌の作用をさせることが記載されている(1c)。 そして、本願発明の「耐熱性」については、本願の明細書の段落【0038】に、「耐熱性(即ち、40℃-55℃で生育)」と記載されている。 そうすると、刊行物1発明の「乳酸菌ペデイオコツカス・アシドラクテイシーATCC 25743の洗浄菌体」は、40℃の温度において乳酸菌の作用、すなわち生体活動を行うものといえ、本願発明でいうところの「耐熱性」を有するものであり、よって、「耐熱性」の単離乳酸菌菌株である点において、本願発明と実質的に相違しない。 (相違点2について) 刊行物1発明の「乳酸菌ペデイオコツカス・アシドラクテイシーATCC 25743の洗浄菌体」について、刊行物1の記載を参照すると、実験例4には、蛋白分解酵素剤を用いて、小麦グルテンを酵素分解する際に、蛋白分解酵素剤と共に「乳酸菌ペデイオコツカス・アシドラクテイシーATCC 25743の洗浄菌体」およびグルタミナーゼを共存せしめて分解し、得られた分解液汁について分析した結果が、試験No.1として第4表に示されている(1c)。そして、第4表には、対照として、蛋白分解酵素剤に「乳酸菌ペデイオコツカス・アシドラクテイシーATCC 25743の洗浄菌体」を加えて分解した場合を試験No.4として示され、総窒素(%)当りのグルタミン酸含量(%)の比率(Glu/TN)は0.40であり、この値は、蛋白分解酵素剤のみで分離した場合である試験No.2の0.32よりも高い含量であることが示されている(1c)。 さらに、実験例5においても、常法により得られた醤油麹を使用して加水分解物を得るに際して同様の実験を行った結果が第5表に示され、「乳酸菌ペデイオコツカス・アシドラクテイシーATCC 25743の洗浄菌体」を添加した試験No.4の値は0.77であり、蛋白分解酵素剤のみで分解した場合である試験No.2の0.72よりも高い値を示している(1c)。 これらの実験例4および実験例5の結果から、蛋白質の加水分解の際に「乳酸菌ペデイオコツカス・アシドラクテイシーATCC 25743の洗浄菌体」を加えると、グルタミン酸が生産されることが示されている。 そうすると、刊行物1発明の「乳酸菌ペデイオコツカス・アシドラクテイシーATCC 25743の洗浄菌体」は、蛋白質の加水分解の際に加えることでグルタミン酸を生産する能力を有するものであるので、本願発明の「グルタミナーゼ活性能について選択した」単離乳酸菌菌株に含まれるものであり、この点においても、実質的に相違しないものである。 また、刊行物1には、「乳酸菌ペデイオコツカス・アシドラクテイシーATCC 25743の洗浄菌体」は、グルタミナーゼと共同作用により、蛋白質原料の酵素加水分解中の物料もしくは加水分解後の物料に作用して蛋白質加水分解物の総窒素当りのグルタミン酸含有量を増強する作用を有する菌、として挙げられる旨、記載されており(1b)、グルタミン酸含有量を増強する能力から選択された乳酸菌といえることからも、本願発明の「グルタミナーゼ活性能について選択した」単離乳酸菌菌株と、実質的に相違しないものである。 したがって、相違点1および相違点2は、実質的な相違点とはいえず、本願発明と刊行物1発明は実質的に同一である。 (まとめ) 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3項に該当し、特許を受けることができないものであるので、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は、拒絶をするべきものである。 第4 特許法第36条第4項及び第6項違反について (1)原査定の特許法第36条第4項及び第6項1号違反の理由は、「発明の詳細な説明には、実質的に、グルタミナーゼ活性能を有する耐熱性乳酸菌菌株として「特定のラクトバチルス・ラムノーサス株((NCC858)CNCMI-2433)」しか記載されておらず、それ以外に当該機能を有する耐熱性乳酸菌菌株はどのようなものであるのか、どのようにして得られるのかは定かでない。」というものであり、また、原査定の特許法第36条第6項2号違反についての理由は、「耐熱性乳酸菌菌株は、「グルタミナーゼ活性能」という機能でしか定義されていないので、どのような菌株がその範囲に含まれるのか、明りょうでない。」というものである。 (2)そこで本願の明細書の発明の詳細な説明をみると、以下が記載されている。 「【0014】 本発明の別の主目的はグルタミナーゼ活性能について選択した単離耐熱性乳酸菌(LAB)に関する。選択された菌株はグルコースやマルトースのような還元糖を除くことができる。LAB菌株はペプチド結合からプロリンやMSGまたはグルタミン酸を高度に遊離することができる。 【0015】 望ましい態様では、乳酸菌菌株は通性ヘテロ発酵性ラクトバチルス属、ラクトバチルスラムノーサス、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・パラカゼイおよびラクトバチルス種からなる群から選ばれる。 最も望ましい態様では、乳酸菌菌株はラクトバチルス・ラムノーサス(NCC858)(CNCM I-2433)である。 【0016】 先の特徴において、本発明は、調味料の製造用プロセス微生物として、上記特徴を有する耐熱性乳酸菌(LAB)の使用に関する。 【0017】 本発明の菌株は本法の微生物的保護ならびに還元糖を有意に減らすことができ、その結果、未調整のメイラード反応が減少し、製品のシェルフライフ安定性と適用性を改善する。 【0018】 さらに、選択された菌株は加水分解物のボディ付与性と呈味に寄与する(高度の加水分解、MSGとグルタミン酸の高収量)。」(なお、下線は当審で付加した。以下同じ。) 以上の記載から、グルタミナーゼ活性能について選択することは、MSG(グルタミン酸ナトリウム)とグルタミン酸を高度に遊離する耐熱性乳酸菌菌株を得ることが目的である旨、記載されている。 そして、MSG(グルタミン酸ナトリウム)とグルタミン酸を高度に遊離する耐熱性乳酸菌菌株を得ることを目的として、グルタミナーゼ活性能について選択するには、何らかの方法で耐熱性乳酸菌菌株のグルタミナーゼ活性能を評価し、目的の菌株を選択するためのグルタミナーゼ活性能の基準が必要となると思われるところ、本願の発明の詳細な説明には、上記の記載および他の箇所にも、どのようにして乳酸菌株のグルタミナーゼ活性能を評価するのか、また、どの程度のグルタミナーゼ活性能のものをどのように選択すれば、MSG(グルタミン酸ナトリウム)とグルタミン酸を高度に遊離する耐熱性乳酸菌株を得ることができるのか、その選択の方法や基準についてはなんら説明されていない。 さらに、本願の発明の詳細な説明には、「ラクトバチルス・ラムノサス(NCC858)CNCM I-2433」について、以下のとおりに記載されている。 「【0037】本発明の別の目的によれば、耐熱性乳酸菌(LAB)のある菌株はそれらの性質や物理的パラメータ:食用、GRASの状態、グルコースとマルトースの代謝可能性、40℃と55℃の間で耐熱性によりスクリーンした。 【0038】選択されたLAB菌株は食品用である。これらは耐熱性(即ち、40℃-55℃で生育)でかつ生育し、植物から単離される。これらはまたグルコースやマルトースの代謝能を有する。プロセス酵素の機能、加水分解物のボディ付与性および呈味性を阻害しないし、異臭を生成しない。 【0039】望ましい態様において、LABは通性ヘテロ発酵性ラクトバチルス属、ラクトバチルス・ラムノーサス、ラクトバチルス・デルベッキ、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・パラカゼイその他のラクトバチルス種からなる群から選択される。 さらに望ましい態様では、LABはラクトバチルス・ラムノサスNCC858(CNCM I-2433)である。 【0040】ラクトバチルス・ラムノサス(NCC858)菌株はブダペスト条約により、国立微生物カルチャー・コレクション(CNCM)、パスツール研究所(パリ)に2000年4月5日にCNCM I-2433として寄託した。 【0041】選択菌株の生化学的特性 ラクトバチルス・ラムノサス(NCC858) ・グラム陽性、運動性なし、胞子なし。 ・ロッド型の細胞、0.8-1μm×2-4μm、時に直角の末端を有し、単一でまたは短鎖状で生じる。 ・通性ヘテロ発酵生代謝の微好気性菌、L(+)乳酸を産生。 ・カタラーゼ陰性、通性CO2を産生。 ・糖の発酵:アミグダリン(+)、アラビノース(+/-)、セロビオース(+)、エスクリン(+)、グルコン酸塩(+)、マンニトール(+)、メレシトース(+)、メリビオース(-)、ラフィノース(-)、リボース(+)、ソルビトール(+)、シュクロース(+)、キシロース(+)。 ・48℃まで生育可能。」 上記記載および発明の詳細な説明の他の箇所にも、「ラクトバチルス・ラムノサス(NCC858)CNCM I-2433」を選択することは記載しているものの、「ラクトバチルス・ラムノサス(NCC858)CNCM I-2433」が、どのような条件の下でどの程度のグルタミナーゼ活性能を有するものであり、また、どのような方法によって選択したのかについては、一切記載されていない。 さらに、本願の発明の詳細な説明における実施例には、段落【0044】に「例1」として、「ラクトバチルス・ラムノサス(NCC858)CNCM I-2433」を選択したこと、及び、酵素であるFlavorzyme(登録商標)/Alcalase(登録商標)による発酵加水分解プロセスについて記載され、Flavorzyme(登録商標)/Alcalase(登録商標)とNCC858スターターで作った加水分解物は、MSG(グルタミン酸ナトリウム)またはグルタミン酸を生産したのに対し、NCC858スターターを添加せず、グルタミナーゼも添加していない非発酵加水分解物は、MSGの値が0.27と低く(表2)、「MSGまたはグルタミン酸のベースレベルのみを示す」旨、記載されている。 しかしながら、当該実施例においても、「ラクトバチルス・ラムノサス(NCC858)CNCM I-2433」自体が、どのような条件の下でどの程度のグルタミナーゼ活性能を有する乳酸菌であるのかについては、一切、記載されていない。 (3)そうすると、本願の発明の詳細な説明の記載は、グルタミナーゼ活性能の観点から耐熱性乳酸菌菌株を選択するための、選択の方法や基準についてなんら説明されていないし、また、どのような条件の下でどの程度のグルタミナーゼ活性能を有した耐熱性乳酸菌菌株が、MSG(グルタミン酸ナトリウム)とグルタミン酸を高度に遊離するものであるのかについても、なんら説明されておらず、出願時の技術常識に基づいても、当業者がMSG(グルタミン酸ナトリウム)とグルタミン酸を高度に遊離する耐熱性乳酸菌菌株を得るとの課題を解決し、グルタミナーゼ活性能について選択した単離耐熱性乳酸菌菌株を得ることができる程度に、明確かつ十分に記載したものとはいえない。 よって、本願の明細書の発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項の規定を満たさない。 (4)本願の特許請求の範囲の請求項1は「グルタミナーゼ活性能で選んだ少なくとも1つの耐熱性乳酸菌菌株」と記載され、請求項16は「グルタミナーゼ活性能について選択した単離耐熱性乳酸菌菌株」と記載されているが、本願の明細書の発明の詳細な説明には、その具体的な菌として「ラクトバチルス・ラムノサス(NCC858)CNCM I-2433」しか記載されておらず、また、乳酸菌のグルタミナーゼ活性能をどのように評価し、どの程度のグルタミナーゼ活性能のものをどのような方法で選択するのかについて、発明の詳細な説明になんら記載されていないため、出願時の技術常識に照らしても、請求項に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明において開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。 よって、本願の特許請求の範囲の請求項1及び請求項16の記載は、特許法第36条第6項第1号の規定を満たさない。 また、本願の特許請求の範囲の請求項1を引用する請求項2?8及び請求項10?15並びに請求項16を引用する請求項17及び請求項19?21についても同様である。 (5)本願の特許請求の範囲の請求項1の「グルタミナーゼ活性能で選んだ少なくとも1つの耐熱性乳酸菌菌株」との記載、及び、請求項16の「グルタミナーゼ活性能について選択した単離耐熱性乳酸菌菌株」との記載は、選択された単離耐熱性乳酸菌菌株のグルタミナーゼ活性能がどの程度のものであるのか、その程度が不明であり、その結果、どのような菌株が請求項に係る発明の「単離耐熱性乳酸菌菌株」に含まれるのかを特定することができず、特許を受けようとする発明が明確でない。 よって、本願の特許請求の範囲の請求項1及び請求項16の記載は、特許法第36条第6号第2号の規定を満たさない。 また、本願の特許請求の範囲の請求項1を引用する請求項2?8及び請求項10?15並びに請求項16を引用する請求項17及び請求項19?21についても同様である。 (まとめ) 以上のとおり、本願の特許請求の範囲の請求項1?8及び請求項10?15並びに請求項16?17及び請求項19?21の記載は特許法第36条第6項第1項及び第2項に違反し、さらに、本願明細書の発明の詳細な説明の記載は特許法第36条第4項に違反するので、本件出願は、拒絶をすべきものである。 第5 むすび よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2013-02-08 |
結審通知日 | 2013-02-12 |
審決日 | 2013-02-25 |
出願番号 | 特願2001-573919(P2001-573919) |
審決分類 |
P
1
8・
537-
Z
(A23J)
P 1 8・ 536- Z (A23J) P 1 8・ 113- Z (A23J) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 冨士 良宏 |
特許庁審判長 |
秋月 美紀子 |
特許庁審判官 |
齊藤 真由美 菅野 智子 |
発明の名称 | 発酵タンパク加水分解物 |
代理人 | 池田 正人 |
代理人 | 城戸 博兒 |
代理人 | 木元 克輔 |
代理人 | 黒川 朋也 |
代理人 | 池田 成人 |
代理人 | 清水 義憲 |
代理人 | 長谷川 芳樹 |