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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 C07C
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 C07C
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 C07C
管理番号 1276744
審判番号 不服2012-7394  
総通号数 165 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-04-23 
確定日 2013-07-30 
事件の表示 特願2007-271508「乳酸の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成20年5月29日出願公開、特開2008-120796、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
この出願は、平成19年10月18日(優先権主張平成18年10月20日)の出願であって、平成23年10月13日付けの拒絶理由通知に対して、同年12月26日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成24年1月17日付けで拒絶査定がされ、これに対して、同年4月23日に審判請求がされたものである。
その後、平成25年5月7日に電話により当審からの審尋がされ、同年5月15日にファクリミリにより2つの補正案を含む書類が提出され、同年5月17日に電話により当審の見解が伝えられ、同年5月20日にファクシミリにより修正した補正案が提出され、同年5月20日に電話により当審の見解としてその補正案を了解する旨が伝えられ、同年5月21日付けで拒絶理由が通知され、これに対して、同年6月17日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明

1 この出願の発明は、平成25年6月17日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】セルロース又はセルロース系バイオマス原料を、セルロース又はセルロース系バイオマス原料中の炭水化物量に対して質量比で20倍以上の量の水又はアルコールの存在下で、イッテリビウム(Yb)、ツリウム(Tm)、イットリウム(Y)、サマリウム(Sm)、スカンジウム(Sc)、ネオジム(Nd)、ランタン(La)、及びセリウム(Ce)から選択されるIII族金属のトリフルオロメタンスルホン酸塩又はハロゲン化物を触媒として、酸素の非存在下で200℃?300℃で加熱処理することにより、セルロースから乳酸及び/又は乳酸エステルを生成させることを特徴とする、セルロース又はセルロース系バイオマス原料の処理方法。
【請求項2】水又はアルコールが、セルロース又はセルロース系バイオマス原料中の炭水化物量に対して質量比で20?100倍の量である、請求項1に記載の方法。」
(以下、合わせて「本願発明」という。)

2 本願発明の「セルロース系バイオマス原料」の意味について
この出願の明細書(以下「本願明細書」という。)には、「セルロース系バイオマス原料」については、段落【0018】及び【0019】に「炭水化物含有原料(例えば、セルロース系バイオマス原料等)」との記載があり、この記載から、「セルロース系バイオマス原料」は「炭水化物含有原料」の1つであることが理解できる。そして、「炭水化物含有原料」については、段落【0023】に、
「炭水化物含有原料は、炭水化物を含有する任意の原料であってよく、特に限定されないが、例えば、炭水化物を主成分として含むバイオマス原料が好ましい。限定するものではないが、炭水化物含有原料は、単糖類、二糖類、多糖類などの任意の炭水化物であってよい。炭水化物含有原料は、例えば、セルロース、ホロセルロース、セロビオース、デンプン(例えば、可溶性デンプン)、マルトース、グルコース、マンノース、フルクトース、ガラクトース、グロース等の六炭糖を含む炭水化物、ヘミセルロース、キシロース、アラビノース等の五炭糖を含むヘミセルロース系物質、又はそれらの少なくとも1つを含有する、例えばリグノセルロース系の原料であってもよい。そのような原料としては、例えば、古紙、製材残材、麦藁、コーンストーバー、コーンコブ、トウモロコシの穂などの農産廃棄物をはじめとするリグノセルロース系バイオマス原料、デンプンやグルコース等の糖類を含む食品廃棄物等であってもよい。」
と記載されている。ここには、セルロースと並んで、単糖類、二糖類、多糖類が列挙され、リグノセルロース系バイオマス原料も挙げられているが、リグノセルロース系バイオマス原料は、「古紙、製材残材、麦藁、コーンストーバー、コーンコブ、トウモロコシの穂などの農産廃棄物をはじめとするリグノセルロース系バイオマス原料」であり、一般に、セルロース系バイオマス原料の1つであるとはされていない。
また、リグノセルロースは、リグニンとセルロースが結合した物質であって、一般に、セルロースとは異なる物質である。
そうすると、本願発明における「セルロース系バイオマス原料」は、リグノセルロース系バイオマス原料を含むものではないと解するのが相当である。

第3 原査定の拒絶理由及び当審が通知した拒絶理由についての検討
原査定の理由は、平成23年10月13日付けの拒絶理由通知における理由1及び2であり、理由1は、この出願の発明は引用文献1?4に記載された発明であるから特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないというものであり、理由2は、この出願の発明は引用文献1?4に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。引用文献1は特開2004-359660号公報であり、引用文献2は特開昭56-30943号公報であり、引用文献3は特開平8-119904号公報であり、引用文献4は特開2005-200340号公報である。上記引用文献1?4を検討しても、本願については、その理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、本願については、当審が通知した拒絶理由によって拒絶すべきものとすることはできない。

第4 むすび
以上のとおり、本願については、原査定の理由又は当審が通知した拒絶理由によって、拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2013-07-17 
出願番号 特願2007-271508(P2007-271508)
審決分類 P 1 8・ 113- WY (C07C)
P 1 8・ 537- WY (C07C)
P 1 8・ 121- WY (C07C)
最終処分 成立  
前審関与審査官 安田 周史  
特許庁審判長 中田 とし子
特許庁審判官 齋藤 恵
木村 敏康
発明の名称 乳酸の製造方法  
代理人 藤田 節  
代理人 平木 祐輔  
代理人 小瀬村 暁子  

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