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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01R
管理番号 1276894
審判番号 不服2013-8151  
総通号数 165 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-05-06 
確定日 2013-08-12 
事件の表示 特願2010-229524「検査治具及び接触子」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 4月12日出願公開、特開2012- 73213、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 本願は、平成22年10月12日(優先権主張 平成22年 9月 1日)の出願であって、その請求項1ないし8に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。
そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。

すなわち、本願の特許請求の範囲の請求項1には、
「他端部は、曲率半径を実質的に減少させることなく、かつ急激に曲げられることなく、ピッチ角を増加させてゆきつつ立体的に曲げられて、中心方向に方向を変えてコイルばね中心軸と交差する近傍に、切断された最端部があり、前記コイルばねの径は、最小巻線径、又は当該最小巻線径に近い巻線径にある」
との発明特定事項が記載されており、当該事項は請求項1に係る発明を特徴付ける事項である。
そこで、当該事項の技術的特徴について検討する。
本願明細書には、「電極端121は、端末処理として、コイルばね中心線125を横切るように曲げられて、コイルばね中心線125の近傍で切断されている。製作仕様上は電極端121と電極41とが接触する端点をコイルばね中心線125としている。そして、コイルばね12は、製作上の誤差(バラツキ)とコイル巻線機の制約等は使用可能な範囲で認められる容易な形状をなしている。図3(a)は正面図、図3(b)は底面図、図3(c)は右側面図である。図3は、線径がd、コイル中心径がD、ばね指数(c=D/d)が3の最小の細巻きのばね定数部123と、電極端121の端面処理の様子を示している。電極端121は、特に急激に曲げられることなく方向が変わっており、コイルばね中心線125を横切っている。」(段落【0045】)、「コイルばね12の線材がコイルばね中心線125を横切った位置で切断線121aの端点がコイルばね中心線125の円錐の頂点になるように」、及び「電極端121が略円錐の形状になっており接触子10として好都合である。」(段落【0047】)との記載がある。
上記記載、【図3】の記載、及びコイル巻線機についての技術常識等を総合的に考慮すると、上記事項の技術的特徴は、
「コイルばねの他端部は、コイル巻線機により製造されるばね指数が3である最小の細巻きのばね定数部に連続的につながる部分であって、その曲率半径は最小の細巻きのばね定数部の曲率半径より小さくはならず、かつコイルばねの中心軸上にある円錐体の頂点近傍に切断された最端部が来るように、最小の細巻きのばね定数部から円錐体の側面に沿うように急激に曲げられることなく、ピッチ角を増加させてゆきつつ立体的に曲げられて、中心方向に方向を変えられており、コイルばねの径は、ばね指数が3である最小巻線径である」点にあると認められる。

これに対し、原査定の拒絶理由で引用された引用文献1ないし8のいずれにも、上記技術的特徴を有する構成は開示されておらず、示唆もされていない。引用文献2(特開2007-194187号公報:段落【0053】?【0058】、【図6】、【図7】を特に参照のこと)には、コイルばね状のコンタクトピンの端部付近に曲げ部が形成されている構成が開示されているにすぎない。

そして、請求項1に係る発明は、上記構成を備えることにより、引用文献2に記載されたコンタクトピンのようにコイルばねの他端部の端部付近に曲げ部を形成する必要がなく、本願明細書に記載された「製作が容易になる」という各引用文献の記載からは予測し得ない効果を奏することになる。
したがって、請求項1に係る発明は、原査定の拒絶理由で引用された引用文献1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

上記発明特定事項を備える請求項2ないし8に係る発明についても、同様に、原査定の拒絶理由で引用された引用文献1ないし8に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-07-16 
結審通知日 2013-07-17 
審決日 2013-07-30 
出願番号 特願2010-229524(P2010-229524)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G01R)
最終処分 成立  
前審関与審査官 荒井 誠  
特許庁審判長 飯野 茂
特許庁審判官 下中 義之
関根 洋之

発明の名称 検査治具及び接触子  
代理人 福本 将彦  

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