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審決分類 |
審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない。 H01L |
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管理番号 | 1277567 |
審判番号 | 不服2012-16854 |
総通号数 | 165 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-09-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-08-29 |
確定日 | 2013-08-07 |
事件の表示 | 特願2006-517196「積層された集積回路を有する集積回路パッケージおよびそのための方法」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 1月 6日国際公開,WO2005/001935,平成18年12月 7日国内公表,特表2006-527925〕について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は,平成16年6月3日(パリ条約による優先権主張2003年6月16日,米国)を国際出願日とする出願であって,平成23年11月18日付けの拒絶理由通知(いわゆる最後の拒絶理由通知)に対して平成24年3月22日付けで特許請求の範囲を対象とする手続補正がなされたが,平成24年4月23日付けで同手続補正を却下する決定がなされるとともに拒絶査定がなされ,これに対し,同年8月29日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に特許請求の範囲を対象とする手続補正がなされたものである。 第2.原査定 原査定における拒絶の理由の一つは,以下のとおりのものと認める。 「平成23年1月14日付けでした手続補正は,下記の点で国際出願日における国際特許出願の明細書若しくは図面(図面の中の説明に限る。)の翻訳文,国際出願日における国際特許出願の請求の範囲の翻訳文(特許協力条約第19条(1)の規定に基づく補正後の請求の範囲の翻訳文が提出された場合にあっては,当該翻訳文)又は国際出願日における国際特許出願の図面(図面の中の説明を除く。)(以下,翻訳文等という。)(誤訳訂正書を提出して明細書,特許請求の範囲又は図面について補正をした場合にあっては,翻訳文等又は当該補正後の明細書,特許請求の範囲若しくは図面)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない(同法第184条の12第2項参照)。 記 請求項1に係る発明は,リードフレームの片面への実装に関するものであって,裏面側への実装を特定するものではないところ,補正により追加された事項は,両面実装に関する事項であるから,結果として,補正後の請求項1に係る発明は,上記したような片面実装において,両面実装に関する事項を追加した形態となっている。 しかしながら,このような形態については,当初明細書等に開示がなく,自明な事項ともいえないから,当該補正は,新たな技術的事項を追加する補正というべきである。」 第3.平成24年8月29日付け手続補正の却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成24年8月29日付け手続補正(以下「本件補正1」という。)を却下する。 [理由] 1.本件補正1の概要 本件補正1は,特許請求の範囲を以下のとおりに補正するものである。 「【請求項1】 集積回路パッケージにおいて, 複数の導電性リードを有するリードフレームと, アクティブ側面および非アクティブ側面を有する第1集積回路ダイであって,第1集積回路ダイの前記アクティブ側面は,前記リードフレームの前記導電性リードに電気的に接続されるボンディングパッドを有する,第1集積回路ダイと, 第1集積回路ダイの前記非アクティブ側面上に提供される接着剤と, アクティブ側面および非アクティブ側面を有する第2集積回路ダイであって,第2集積回路ダイの前記非アクティブ側面は,第1集積回路ダイの前記非アクティブ側面に前記接着剤によって固定され,第2集積回路ダイの前記アクティブ側面は,前記リードフレームの前記導電性リードに電気的に接続されるボンディングパッドを有する,第2集積回路ダイとを備え, 第1集積回路ダイおよび第2集積回路ダイのそれぞれはほぼ同じサイズであり,前記導電性リードのそれぞれは,第1集積回路ダイおよび第2集積回路ダイのそれぞれから一つずつの対応する一対の前記ボンディングパッド間に電気的接続を付与し,前記リードフレームの前記導電性リードのそれぞれは,前記対応する一対の前記ボンディングパッドに近接する穴を有する集積回路パッケージ。」 2.新規事項 本件補正1は,国際出願日における国際特許出願の明細書若しくは図面の翻訳文,国際出願日における国際特許出願の請求の範囲の翻訳文(特許協力条約第19条(1)の規定に基づく補正後の請求の範囲の翻訳文が提出された場合にあっては,当該翻訳文)又は国際出願日における国際特許出願の図面(以下,「翻訳文等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものでない。以下にその理由を述べる。なお,本件補正1については,誤訳訂正書は提出されていない。 本件補正1により,翻訳文等に記載した請求項1に 「導電性リードのそれぞれは,第1集積回路ダイおよび第2集積回路ダイのそれぞれから一つずつの対応する一対のボンディングパッド間に電気的接続を付与し,リードフレームの前記導電性リードのそれぞれは,前記対応する一対の前記ボンディングパッドに近接する穴を有する」 との発明特定事項が記載されることとなった。 しかし,非アクティブ側面同士が接着剤によって固定される2つの集積回路ダイに関して,導電性リードが,2つの集積回路ダイそれぞれから一つずつの対応する一対のボンディングパッド間に電気的接続を付与し,前記導電性リードが,前記対応する一対の前記ボンディングパッドに近接する穴を有することは,翻訳文等に記載されておらず,かつ,翻訳文等の記載から自明な事項であるともいえない。 2つの集積回路ダイのボンディングパッド間の電気的接続及び導電性リードの穴に関して,翻訳文等には下記の記載がある。 ・「リードフィンガー404は,リードに沿った位置において,開口,すなわち小さな穴を備えており,ここはハンダボール(例えばハンダボール106,112)がリードに連結する箇所である。」(段落【0028】) ・「その結果,リードフレーム102,400のリードの両側面上の対応するハンダボールは,互いに垂直方向において整合している。したがって電気的に接続を形成するためにハンダがリフローされると,一つのハンダ接続が,リードフレームの関連するリードと,上側集積回路ダイの関連するボンディングパッドと,下側集積回路ダイの関連するボンドパッドとの間に形成される。換言すれば,鏡像をなす構成であれば,上側集積回路ダイおよび下側集積回路ダイの類似したボンディングパッド(例えば第1集積回路ダイ104および第2集積回路ダイ110)は,リードフレームの適切なリードにハンダ付けされる。」(段落【0029】) これらの記載から,リードフィンガー404は,第1集積回路ダイ104のハンダボール106および第2集積回路ダイ110のハンダボール112に連結する穴を備えており,リードフレームのリードと,第2集積回路ダイ110(上側集積回路ダイ)のボンディングパッドと,第1集積回路ダイ104(下側集積回路ダイ)のボンドパッドとの間に,電気的接続が形成されることが認められる。 しかしながら,第1集積回路ダイ104および第2集積回路ダイ110は,その非アクティブ側面同士が接着剤によって互いに固定されるものではなく,リードフレームの下面と上面にそれぞれ固定されるものである(段落【0015】参照)。 したがって,上記記載は,非アクティブ側面同士が接着剤によって固定される第1集積回路ダイおよび第2集積回路ダイを備えた集積回路パッケージにおいて,「導電性リードのそれぞれは,第1集積回路ダイおよび第2集積回路ダイのそれぞれから一つずつの対応する一対のボンディングパッド間に電気的接続を付与し,リードフレームの前記導電性リードのそれぞれは,前記対応する一対の前記ボンディングパッドに近接する穴を有する」ことを示唆するものではない。 また,翻訳文等の上記記載以外にも,非アクティブ側面同士が接着剤によって固定される第1集積回路ダイおよび第2集積回路ダイを備えた集積回路パッケージにおいて,「導電性リードのそれぞれは,第1集積回路ダイおよび第2集積回路ダイのそれぞれから一つずつの対応する一対のボンディングパッド間に電気的接続を付与し,リードフレームの前記導電性リードのそれぞれは,前記対応する一対の前記ボンディングパッドに近接する穴を有する」ことを示唆する記載はない。 以上のことから,本件補正1は,翻訳文等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。 したがって,本件補正1は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第4.本願発明 本件補正1は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明は,平成23年1月14日付けで補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される,以下のとおりのものである(以下「本願発明」という。)。 「集積回路パッケージにおいて, 複数の導電性リードを有するリードフレームと, アクティブ側面および非アクティブ側面を有する第1集積回路ダイであって,第1集積回路ダイの前記アクティブ側面は,前記リードフレームの前記導電性リードに電気的に接続されるボンディングパッドを有する,第1集積回路ダイと, 第1集積回路ダイの前記非アクティブ側面上に提供される接着剤と, アクティブ側面および非アクティブ側面を有する第2集積回路ダイであって,第2集積回路ダイの前記非アクティブ側面は,第1集積回路ダイの前記非アクティブ側面に前記接着剤によって固定され,第2集積回路ダイの前記アクティブ側面は,前記リードフレームの前記導電性リードに電気的に接続されるボンディングパッドを有する,第2集積回路ダイとを備え, 第1集積回路ダイおよび第2集積回路ダイのそれぞれはほぼ同じサイズであり,前記導電性リードのそれぞれは,第1集積回路ダイおよび第2集積回路ダイのそれぞれから一つずつの対応する一対の前記ボンディングパッド間に電気的接続を付与し,前記リードフレームの前記導電性リードのそれぞれは,前記対応する一対の前記ボンディングパッドに近接する穴を有する集積回路パッケージ。」 第5.当審の判断 平成23年1月14日付けの手続補正(以下「本件補正2」という。)は,請求項1については,翻訳文等に記載した請求項1に 「導電性リードのそれぞれは,第1集積回路ダイおよび第2集積回路ダイのそれぞれから一つずつの対応する一対のボンディングパッド間に電気的接続を付与し,リードフレームの前記導電性リードのそれぞれは,前記対応する一対の前記ボンディングパッドに近接する穴を有する」 との発明特定事項を記載するものであって,本件補正1と同じ補正をするものである。なお,本件補正2については,誤訳訂正書は提出されていない。 そして,本件補正2と同じ補正をするものである本件補正1が,前記「第3」の「2.新規事項」に記載したとおり,翻訳文等に記載した事項の範囲内においてしたものではないのであるから,本件補正2も,同様の理由で翻訳文等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。 第6.むすび 以上のとおり,本件補正2は,翻訳文等に記載した事項の範囲内においてしたものではなく,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないから,本願は拒絶されるべきものである。 したがって,原査定は妥当であり,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2013-03-06 |
結審通知日 | 2013-03-12 |
審決日 | 2013-03-25 |
出願番号 | 特願2006-517196(P2006-517196) |
審決分類 |
P
1
8・
55-
Z
(H01L)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 酒井 英夫、日比野 隆治 |
特許庁審判長 |
千馬 隆之 |
特許庁審判官 |
小関 峰夫 杉浦 貴之 |
発明の名称 | 積層された集積回路を有する集積回路パッケージおよびそのための方法 |
代理人 | 本田 淳 |
代理人 | 恩田 博宣 |
代理人 | 恩田 誠 |