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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1278018
審判番号 不服2011-17105  
総通号数 166 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-10-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-08-08 
確定日 2013-08-12 
事件の表示 特願2008-101299「日本語仮想辞書」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 9月 4日出願公開、特開2008-204476〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本件審判請求に係る出願(以下、「本願」という。)は、特許法第41条に基づく優先権主張を伴う平成14年9月18日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2001年9月25日、米国)を国際出願日とする特願2003-531361号の一部を、平成19年4月12日に新たに特許出願した特願2007-104626号の一部を、平成20年4月9日にさらに新たな特許出願としたものであって、同日付けで審査請求がなされ、平成22年8月23日付けで拒絶理由通知(同年8月27日発送)がなされ、同年11月29日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正がなされたが、平成23年4月4日付けで拒絶査定(同年4月8日謄本送達)がなされたものである。
これに対して、本件審判請求は、「原査定を取り消す、本出願は特許をすべきものであるとの審決を求める」ことを請求の趣旨として、平成23年8月8日付けで審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。
そして、平成23年9月1日付けで審査官により特許法第164条第3項に定める報告(前置報告)がなされ、平成24年5月23日付けで当審により特許法第134条第4項の規定に基づく審尋(同年5月25日発送)がなされ、同年11月26日付けで回答書の提出があったものである。


第2 平成23年8月8日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]

平成23年8月8日付けの手続補正を却下する。

[理由]

1.補正の内容

平成23年8月8日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)の内容は、平成22年11月29日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし請求項5の記載

「 【請求項1】
実行可能なプログラム命令を含む機械可読媒体であって、実行されると、データ処理システムに、
ソース文字列の受け取ることに応じて、当該ソース文字列から人為的エンティティを生成するステップと、
ここで人為的エンティティのそれぞれは前記ソース文字列の部分列に対応し、
少なくとも2つの人為的エンティティは前記ソース文字列を分離する部分列に対応する、
少なくとも前記ソース文字列の第1の部分を、第1の文字列を含む人為的エンティティを有する第1のデータ構造を介して、前記第1の文字列に変換するステップと、
少なくとも前記ソース文字列の第2の部分を、第2の文字列を含む所定の通常のエンティティを有する第2のデータ構造を介して、前記第2の文字列に変換するステップと、
前記第1の文字列と前記第2の文字列との組み合わせに基づいて出力を行うステップと、
から構成される方法を実行させることを特徴とする機械可読媒体。
【請求項2】
前記第1のデータ構造は平仮名を片仮名に変換するための変換辞書であることを特徴とする請求項1記載の機械可読媒体。
【請求項3】
実行可能なプログラム命令を含む機械可読媒体であって、実行されると、デジタル処理システムに、
ソース部分列を含むソース文字列を受け取るステップと、
第1の辞書と、前記第1の辞書とは異なる第2の辞書を使用して、前記ソース文字列をターゲット部分列を含むターゲット文字列に変換するステップと、
から構成される方法を実行させ、
前記第2の辞書を使用しての変換は、前記第1の辞書を用いての前記ソース文字列の変換が失敗したときに、前記ターゲット文字列を形成するために用いられ、
前記第1の辞書を使用しての前記ソース文字列の変換が失敗したとき、前記ソース部分列に対応するターゲット部分列を含めるよう前記第1,第2の辞書が更新される
ことを特徴とする機械可読媒体。
【請求項4】
前記第2の辞書は平仮名文字を片仮名文字に直接変換することで人為的単語を生成する仮想辞書であることを特徴とする請求項3記載の機械可読媒体。
【請求項5】
前記変換ステップの後、前記第2の辞書を更新するステップをさらに有することを特徴とする請求項3記載の機械可読媒体。」(以下、この特許請求の範囲に記載された請求項を「補正前の請求項」という。)

を、

「 【請求項1】
実行可能なプログラム命令を含む機械可読媒体であって、実行されると、データ処理システムに、
ソース文字列の受け取ることに応じて、当該ソース文字列から複数の人為的エンティティを生成するステップであって、前記人為的エンティティの各々が前記ソース文字列中の夫々が別々の1つの部分列に対応するものである、生成ステップと、
前記ソース文字列中の少なくとも第1の部分を、第1の文字列を前記人為的エンティティとして有する第1のデータ構造を介して、前記第1の文字列に変換する第1の変換ステップと、
前記ソース文字列中の前記第1の部分とは別個の第2の部分を、第2の文字列を所定の通常のエンティティとして有する第2のデータ構造を介して、前記第2の文字列に変換する第2の変換ステップであって、前記第2の文字列には前もって第2の優先順位が付与されているところの、前記第2の変換ステップと、
前記ソース文字列中の第3の部分を、前記人為的エンティティとして第3の文字列を含む前記第1のデータ構造を介して、前記第3の文字列に変換する第3の変換ステップであって、前記第3の文字列には前もって第3の優先順位が付与されており、前記第2の文字列と第3の文字列とは前記ソース文字列中の少なくとも1つの文字を共有している、前記第3の変換ステップと、
前記第1の文字列と前記第2の文字列との結合をターゲット文字列として出力する出力ステップであって、前記ターゲット文字列は、前記第1と第2の文字列を含むものの、前記第3の文字列は含まず、また、前記第3の優先順位の値が前記第2の優先順位よりも低い値であることにより、前記第2の文字列は、変換ターゲット文字列としては、前記第3の文字列に比して高い優先度を有していることを示す、前記出力ステップと、
から構成される方法を実行させることを特徴とする機械可読媒体。
【請求項2】
前記第1のデータ構造は平仮名を片仮名に変換するための変換辞書であることを特徴とする請求項1記載の機械可読媒体。
【請求項3】
前記第2のデータ構造は通常の辞書であり、さらに、
前記通常辞書が前記ソース文字列の直接変換文字列を含むかを判断するステップと、
前記ソース文字列からの前記人為的エンティティを、前記通常辞書が前記ソース文字列の前記直接変換文字列を含まないときに生成する生成ステップ、
とを具備することを特徴とする請求項1または2に記載の機械可読媒体。
【請求項4】
前記第1のデータ構造は平仮名文字を片仮名文字に直接変換することで人為的単語を生成する仮想辞書であることを特徴とする請求項3記載の機械可読媒体。
【請求項5】
前記生成ステップの後、前記第2のデータ構造を、前記ソース文字列からの前記人為的エンティティを用いて更新するステップをさらに有することを特徴とする請求項3また4に記載の機械可読媒体。
」(以下、この特許請求の範囲に記載された請求項を「補正後の請求項」という。)

に補正するものである。

2.特許法第17条の2第3項に規定する要件についての検討

本件補正が、平成14年法律第24号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項の規定を満たすものであるか否か、即ち、本件補正が願書に最初に添付された明細書、請求の範囲及び図面(以下、これを「当初明細書等」という。)の範囲内でなされたものであるかについて、以下に検討する。

(1)補正後の請求項1は、その記載からして、次の事項(a)を含んでいる。

(a)「前記ソース文字列中の第3の部分を、前記人為的エンティティとして第3の文字列を含む前記第1のデータ構造を介して、前記第3の文字列に変換する第3の変換ステップであって、前記第3の文字列には前もって第3の優先順位が付与されており、前記第2の文字列と第3の文字列とは前記ソース文字列中の少なくとも1つの文字を共有している、前記第3の変換ステップ」

しかしながら、当初明細書等を参照すると、
(当審注:下線は、参考のために当審で付与したものである。)

「【0031】
図6Bに、普通の方法に対する、本発明によって使用される方法を示す。図6Bを参照すると、「San Jose」という英語の意味を有する日本語平仮名文字列651が入力メソッドを介して入力される。入力メソッドによって、通常は、入力が複数の部分列652に分割される。複数の部分列のそれぞれについて、辞書653を使用して、部分列652を日本語単語の可能な限りの異なる組654に変換する。辞書653には、通常は、単語663など既知の単語のほとんどが含まれる。しかし、単語「San Jose」の場合の単語662などは辞書に既知でない。したがって、辞書は、これを変換することができず、単語662が使用不能のままになる。普通の方法では、単語654に対する分析が実行され、規則664が適用され(たとえば文法的規則)、候補リスト660が生成される。その候補リストから、単語661が最終候補として選択されるが、これは正しくない。その結果、ユーザは、入力651を手動で変換して、正しい変換を生成しなければな
らない。」、
「【0032】
本発明では、仮想片仮名辞書655が導入される。通常の辞書を使用する変換の他に、仮想辞書655によって部分列652を選択し、対応する人為的な片仮名単語の組656を作成する。辞書653からの通常の単語654と仮想辞書655から生成される人為的な片仮名単語656を組み合わせ、規則の組を適用することによって、部分列に対応する単語の完全な組658が作成される。その結果、部分列のそれぞれがそれに対応する変換された列を有する。その変換された列は、単語663などの通常の日本語の単語または人為的な片仮名単語である。その後、本発明では、規則の組657に基づいて候補リスト658が作成される。候補のそれぞれは規則に基づいて優先順位が関連付けられている。候補リストから最も高い優先順位の単語が最終的な正しい候補659として選択される。」

と記載され、関連する図6Bには、

“日本語平仮名文字列651(さんのぜで)が入力されると、当該文字列は、複数の部分列652(さんのぜで、さんのぜ、さんの、さん、さ、んのぜで、んのぜ、んの、ん、のぜで、のぜ、の、ぜで、ぜ、で)に分割され、その後、辞書(Dictionaries)653によって、日本語の組654(さん:三,酸、さ:差、のぜ:能勢、の:の,野、ぜ:是、で:で)に変換され、また、仮想片仮名辞書(Virtual Katakana Dictionary)655によって、片仮名単語の組656(さんのぜで:サンノゼデ、さんのぜ:サンノゼ、さんの:サンノ、さん:サン、さ:サ、んのぜで:ンノゼデ、んのぜ:ンノゼ、んの:ンノ、ん:ン、のぜで:ノゼデ、のぜ:ノゼ、の:ノ、ぜで:ゼデ、ぜ:ゼ、で:デ)が作成される。そして、通常の単語654と片仮名単語656を組み合わせ、規則(rules)の組657を適用することによって、部分列に対応する単語の完全な組658(サンノゼ/で、酸/の/是/で、三/野/是/で、三/能勢/で、酸/の/ゼ/で、サンの是/で、・・・)が作成される”態様

が記載されている。

上記の記載からすると、例えば、「さんのぜで」という日本語平仮名文字列(補正後の請求項1記載の「ソース文字列」に相当)が入力された場合、

「さんのぜ」(補正後の請求項1記載の「第1の部分」に相当)を、仮想片仮名辞書(補正後の請求項1記載の「第1のデータ構造」に相当)を介して、「サンノゼ」(補正後の請求項1記載の「第1の文字列」に相当)に変換する第1の変換ステップ、
ソース文字列「さんのぜで」中の第1の部分「さんのぜ」とは別個の「で」(補正後の請求項1記載の「第2の部分」に相当)を、辞書(補正後の請求項1記載の「第2のデータ構造」に相当)を介して、「で」(補正後の請求項1記載の「第2の文字列」に相当)に変換する第2の変換ステップ、
「サンノゼ」(第1の文字列)と「で」(第2の文字列)を結合し、「サンノゼで」(補正後の請求項1記載の「ターゲット文字列」に相当)として出力する出力ステップ

は、読み取れるものの、

第2の文字列(例えば、上記の例において「で」)とソース文字列中の少なくとも1つの文字を共有している「ぜで」、「のぜで」、「んのぜで」、「さんのぜで」(補正後の請求項1記載の「第3の部分」に相当)を、第1のデータ構造(仮想片仮名辞書)を介して、それぞれ、「ゼデ」、「ノゼデ」、「ンノゼデ」、「サンノゼデ」(補正後の請求項1記載の「第3の文字列」に相当)変換する第3の変換ステップ

が、当初明細書等のどの部分に対応しているか、読み取ることはできない。

してみれば、前記(a)の含む態様(すなわち、「前記ソース文字列中の第3の部分を、前記人為的エンティティとして第3の文字列を含む前記第1のデータ構造を介して、前記第3の文字列に変換する第3の変換ステップであって、前記第3の文字列には前もって第3の優先順位が付与されており、前記第2の文字列と第3の文字列とは前記ソース文字列中の少なくとも1つの文字を共有している、前記第3の変換ステップ」を含む態様)は、出願当初の明細書、特許請求の範囲又は図面には、記載も示唆もなく、また自明な事項でもない。

(2)補正後の請求項1は、その記載からして、次の事項(b)を含んでいる。

(b)「前記ターゲット文字列は、前記第1と第2の文字列を含むものの、前記第3の文字列は含まず、また、前記第3の優先順位の値が前記第2の優先順位よりも低い値であることにより、前記第2の文字列は、変換ターゲット文字列としては、前記第3の文字列に比して高い優先度を有していることを示す」態様

しかしながら、上記(1)の検討内容に加え、当初明細書等を参照すると、優先度に関しては、

「【0026】
MAE303は、データベース304から規則の組を呼び出し、その規則の組を、すべての可能な組合せの分析に適用する。規則が含まれるデータベース304は、別々のデータベースとすることができ、あるいは、辞書306または307と同一のデータベースとすることができる。可能な組合せのそれぞれが使用頻度に関連する。使用頻度は、以前に文字がどれほど頻繁に使用されているかを表す。辞書には、各文字セット(たとえば、名詞、形容詞、動詞など)の間の接続関係も含める。規則の組に、使用頻度と接続関係の情報を含める。MAE303によって、これらの規則が適用されて、規則の組に基づいて、辞書306からの可能な組合せから可能な候補のプールまたはリストが構成される。一実施形態では、規則の組に、候補リストを構成させるための意味論的規則または文法的規則を含めることができる。たとえば、単語「hot」は、高い温度を意味することがあり、辛い食べ物を意味する場合もある。たとえば「hot summer」など、単語「hot」が単語「summer」に関連する時には、単語「hot」は、「辛い」ではなく「高い温度」を意味する。MAE303によって、ルールの組に基づいて候補のコスト値を計算することができる。最終的な候補は、候補リストの中で最も低いコスト値のものとする。」、
「【0027】
図4に、単語のそれぞれが使用頻度を含む、単語「San Jose」を表すために構成されている2つの候補の例を示す。最初の選択には、文字401と402が含まれ、第2の選択には文字セット404が含まれる。文字404はパーティクルである。文字401はf1の使用頻度を有し、文字402はf2の使用頻度を有する。パーティクル文字403はf3の使用頻度を有する。さらに、文字401と402の間の接続はc1であり、文字402と403の間の接続はc2である。その結果、最初の選択のコスト値は、
コスト値1=f1+f2+f3+c1+c2
である。同様に、第2の選択は、
コスト値2=fa+f3+ca
のコスト値を有する。一実施形態では、コスト値は、意味論的要因または文法的要因を含む。評価ユニット303によって、2つの選択のコスト値が評価され、最小のコスト値、この例ではコスト値2を有する選択が変換の最終出力として選択される。」

と記載されている。

しかしながら、上記事項(b)において、例えば、「さんのぜで」という日本語平仮名文字列(補正後の請求項1記載の「ソース文字列」に相当)が入力された場合、

「サンノゼ」(第1の文字列)と「で」(第2の文字列)との結合「サンノゼで」を、ターゲット文字列として出力するステップ

が記載されていることまでは読み取れるものの、

“ターゲット文字列(「サンノゼで」)が、第1と第2の文字列(「サンノゼ」と「で」)を含むものの、第3の文字列(「ゼデ」、「ノゼデ」、「ンノゼデ」、「サンノゼデ」)を含まない”態様
“第3の優先順位の値が第2の優先順位よりも低い値であることにより、第2の文字列は、変換ターゲット文字列としては、第3の文字列に比して高い優先度を有していることを示す”態様

が、当初明細書等のどの部分に記載されているか、読み取ることはできない。

してみれば、前記(b)の含む態様(すなわち、「前記ターゲット文字列は、前記第1と第2の文字列を含むものの、前記第3の文字列は含まず、また、前記第3の優先順位の値が前記第2の優先順位よりも低い値であることにより、前記第2の文字列は、変換ターゲット文字列としては、前記第3の文字列に比して高い優先度を有していることを示す」を含む態様)は、出願当初の明細書、特許請求の範囲又は図面には、記載も示唆もなく、また自明な事項でもない。

(3)以上のように、補正後の請求項1に記載された(a)及び(b)の事項は、当初明細書等に記載されておらず、かつ、その記載から自明なものでもないから、上記事項を追加する本件補正は、出願当初の明細書又は図面に記載した範囲内でしたものではないので、平成14年法律第24号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.特許法第17条の2第4項に規定する要件についての検討

次に、本件補正が、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定を満たすものであるか否か、すなわち、本件補正が、特許法第17条の2第5項に規定する請求項の削除、特許請求の範囲の減縮(特許法第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る)、誤記の訂正、或いは、明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る)の何れかを目的としたものであるかについて、以下に検討する。

(1)補正後の請求項1は、上記「2.特許法第17条の2第3項に規定する要件についての検討」に記載した、次の事項(a)を含んでいる。

(a)「前記ソース文字列中の第3の部分を、前記人為的エンティティとして第3の文字列を含む前記第1のデータ構造を介して、前記第3の文字列に変換する第3の変換ステップであって、前記第3の文字列には前もって第3の優先順位が付与されており、前記第2の文字列と第3の文字列とは前記ソース文字列中の少なくとも1つの文字を共有している、前記第3の変換ステップ」

しかしながら、上記(a)を追加する本件補正は、補正前の請求項1における「文字列に変換するステップ」(すなわち、「少なくとも前記ソース文字列の第1の部分を、第1の文字列を含む人為的エンティティを有する第1のデータ構造を介して、前記第1の文字列に変換するステップ」、「少なくとも前記ソース文字列の第2の部分を、第2の文字列を含む所定の通常のエンティティを有する第2のデータ構造を介して、前記第2の文字列に変換するステップ」)のいずれかを限定した下位概念の補正ではなく、「第2の部分」(例えば、「で」)とはソース文字列中の少なくとも1つの文字を共有している「第3の部分」(「ぜで」、「のぜで」、「んのぜで」、「さんのぜで」)を、「第1のデータ構造」(辞書)を介して、第3の文字列(「ゼデ」、「ノゼデ」、「ンノゼデ」、「サンノゼデ」)に変換するという新たな構成(変換ステップ)を追加した補正であるものと認められる。

(2)補正後の請求項3は、その記載からして、次の事項(c)及び(d)を含んでいる。

(c)「前記通常辞書が前記ソース文字列の直接変換文字列を含むかを判断するステップ」
(d)「前記ソース文字列からの前記人為的エンティティを、前記通常辞書が前記ソース文字列の前記直接変換文字列を含まないときに生成する生成ステップ」

しかしながら、前記(c)及び(d)を追加する本件補正は、補正前の請求項1におけるいずれかのステップを限定した下位概念の補正ではなく、新たな構成を追加した補正であるものと認められる。

(3)したがって、前記事項(a)、(c)及び(d)を含む本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項を限定したものではなく、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮(請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の請求項に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるもの)を目的とするものとは認められない。

なお、前記補正前の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第4項第1号の請求項の削除、第3号の誤記の訂正、第4号の明瞭でない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)に該当するものでもないことは明らかである。

(4)以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するものであり、したがって、前記補正前の請求項1についてする補正を含む本件補正は、特許法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである

4.独立特許要件

以上のように、補正前の請求項1についてする補正は、「2.特許法第17条の2第3項に規定する要件についての検討 」で指摘したとおり、当初明細書の範囲内でしたものではないので、特許法第17条の2第3項の規定に違反し、また、「3.特許法第17条の2第4項に規定する要件についての検討 」で指摘したとおり、特許法第17条の2第4項第2号の限定的減縮に該当せず、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するものであるが、仮に、本件補正が、当初明細書等に記載した範囲内でしたものであると仮定し、かつ、特許法第17条の2第4項第2号の限定的減縮に該当すると仮定した場合に、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか検討する。

(1)補正後の発明

本件補正により、本願補正発明は、前記「1.補正の内容」の補正後の請求項1に記載されたとおりのものである。

(2)特許法第36条に規定する要件についての検討

(2-1)補正後の請求項1には「前記人為的エンティティの各々が前記ソース文字列中のそれぞれが別々の1つの部分列に対応するものである」との記載があるが、該記載の意味するところが全体的に不明である(特に、「ソース文字列中のそれぞれが別々の1つの部分列に対応する」との記載の意味するところが不明である。)。(特許法第36条第6項第2号違反)

(2-2)補正後の請求項1には「第3の部分」との記載があるが、該記載が明細書の記載の何れに対応するのかが不明である。したがって、補正後の請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではない。(特許法第36条第6項第1号違反)
また、このため、本願の発明な詳細な説明は、当業者が本願請求項1に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないものであるとともに、本願請求項1に係る発明の技術上の意義を理解するために必要な事項が十分に記載されておらず、特許法第36条第4項の経済産業省令で定めるところによる記載がされていないものであるといえる。(特許法第36条第4項第1号違反)
さらに、当該「第3の部分」と、「第1の部分」、「第2の部分」との関係が不明である。(特許法第36条第6項第2号違反)

(2-3)補正後の請求項1には「第3の文字列」との記載があるが、該記載が明細書の記載の何れに対応するのかが不明である。したがって、補正後の請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではない。(特許法第36条第6項第1号違反)
また、このため、本願の発明な詳細な説明は、当業者が本願請求項1に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないものであるとともに、本願請求項1に係る発明の技術上の意義を理解するために必要な事項が十分に記載されておらず、特許法第36条第4項の経済産業省令で定めるところによる記載がされていないものであるといえる。(特許法第36条第4項第1号違反)
さらに、当該「第3の文字列」と、「第1の文字列」、「第2の文字列」との関係が不明である。(特許法第36条第6項第2号違反)

(2-4)補正後の請求項1には「第3の文字列には前もって第3の優先順位が付与されており」との記載があるが、該記載に対応する明細書中の記載が何れであるのかが不明である。(特許法第36条第6項第1号違反)
また、このため、本願の発明な詳細な説明は、当業者が本願請求項1に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないものであるとともに、本願請求項1に係る発明の技術上の意義を理解するために必要な事項が十分に記載されておらず、特許法第36条第4項の経済産業省令で定めるところによる記載がされていないものであるといえる。(特許法第36条第4項第1号違反)

(2-5)補正後の請求項2ないし補正後の請求項5は、補正後の請求項1を、直接・間接に引用するものであるから、上記(2-1)ないし(2-4)で指摘の、補正後の請求項1に係る発明における不明な構成を内包し、かつ、補正後の請求項2ないし補正後の請求項5に記載の内容を加味しても、上記(2-1)ないし(2-4)で指摘の不明な構成が明確になるものではない。(特許法第36条第4項第1号、第6項第1号及び第2号違反)

(3)小括

したがって、本願補正発明は、特許法第36条第4項第1号、第6項第1号及び第2号に規定にする要件を満たしていないため、本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

5.むすび

以上のとおり、本件補正は、上記「2.特許法第17条の2第3項に規定する要件についての検討 」で指摘したとおり、当初明細書等に記載した範囲内でしたものではないので、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

また、仮に、本件補正が、当初明細書等に記載した範囲内においてなされたものであると仮定した場合であっても、本件補正は、上記「3.特許法第17条の2第4項に規定する要件についての検討 」で指摘したとおり、補正前の請求項1についてする補正を含む本件補正は、
平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

そして、仮に、本件補正が、当初明細書等に記載した範囲内にしたものであると仮定し、かつ、特許法第17条の2第4項第2号の限定的減縮に該当すると仮定した場合であっても、本件補正は、上記「4.独立特許要件」で指摘したとおり、補正後の請求項1ないし補正後の請求項5に記載された発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではないから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項の規定により準用する特許法第126条第5項の規定に違反するので、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、補正却下の決定の結論のとおり決定する。


第3 本件審判請求の成否について

1.本願発明の認定

平成23年8月8日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成22年11月29日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「実行可能なプログラム命令を含む機械可読媒体であって、実行されると、データ処理システムに、
ソース文字列の受け取ることに応じて、当該ソース文字列から人為的エンティティを生成するステップと、
ここで人為的エンティティのそれぞれは前記ソース文字列の部分列に対応し、
少なくとも2つの人為的エンティティは前記ソース文字列を分離する部分列に対応する、
少なくとも前記ソース文字列の第1の部分を、第1の文字列を含む人為的エンティティを有する第1のデータ構造を介して、前記第1の文字列に変換するステップと、
少なくとも前記ソース文字列の第2の部分を、第2の文字列を含む所定の通常のエンティティを有する第2のデータ構造を介して、前記第2の文字列に変換するステップと、
前記第1の文字列と前記第2の文字列との組み合わせに基づいて出力を行うステップと、
から構成される方法を実行させることを特徴とする機械可読媒体。」

2.引用文献に記載されている技術的事項及び引用発明の認定

本願の優先日前に頒布され、原審の拒絶の査定の理由である上記平成22年8月23日付けの拒絶理由通知において引用された、特開平9-231212号公報(平成9年9月5日出願公開。以下、「引用文献」という。)には、図面とともに、以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は、参考のために当審で付与したものである。)

A 「【要約】
【課題】入力文字列から予め表記等が登録された辞書に登録されていない未登録文字列中の自立語を容易に判別することが可能な自立語判別方法を提供する。
【解決手段】未登録文字列検出部1は、入力された文字列から自立語についての表記と文法情報等を記憶した自立語辞書6を用いて未登録文字列を検出し、付属語検出部2は、付属語についての表記と文法情報を記憶した付属語辞書5を用いて、未登録文字列検出部1で検出された未登録文字列から付属語を分離して1または複数の自立語候補を検出し、優先度計算部3は、自立語辞書6を用いて、未登録文字列の後方にある語の文法情報をもとに、付属語検出部2で検出された複数の自立語候補のそれぞれについて優先度を計算し、候補生成部4は、優先度計算部3で計算された優先度をもとに、付属語検出部2で検出された自立語候補から優先度の最も大きいものから順に自立語と判別して切り出す。」

B 「【0019】まず、ステップA1において、入力された仮名文字列から自立語辞書6を用いて、この自立語辞書6に登録されていない語を含む未登録文字列を検出する。この処理に関しては、例えば特開昭60-147867号公報等によって開示されている手法を流用すればので、ここでは詳しく述べない。」

C 「【0029】次に、付属語検出部2において、まず「あみーが」という全体を自立語とする候補の1つがつまれる(ステップB1)。ついで、変数Sの値が1のとき、指し示される付属語列は「が」となり、これは付属語列として認められるので、「あみー(自立語)+が(付属語)」という候補がつまれる(ステップB5)。」

D 「【0036】また、付属語辞書5および自立語辞書6に関しては、辞書のフォーマットの変更や辞書項目の追加を行っても実施可能である。また、本実施形態は、ワードプロセッサ等のかな漢字変換を行う情報処理装置に組み込んで、自立語部をカタカナ化もしくは漢字等に置き換えることにより、利用者の文書作成の効率を上げることが可能である。例えば、上述した「あみーがあすはつばいされる」という例に対して、検出された自立語候補のうち優先度の最も高い自立語、すなわち、「あみー」をカタカナ化することにより、候補生成部4で変換候補テーブルを図7に示すように生成して、「アミーが明日販売される」のように変換させることが容易に可能である。自立語部の置きかえは、自立語部に長音が含まれるなどの条件下で行うようにしてもよい。」

ここで、上記引用文献に記載されている事項を検討する。

(ア)上記Aの「未登録文字列検出部1は、入力された文字列から・・・自立語辞書6を用いて未登録文字列を検出し、付属語検出部2は・・・付属語辞書5を用いて、未登録文字列検出部1で検出された未登録文字列から付属語を分離して1または複数の自立語候補を検出し、・・・検出された自立語候補から優先度の最も大きいものから順に自立語と判別して切り出す。」との記載からすると、入力された文字列に対して、自立語辞書及び付属語辞書を用いて、最終的には、自立語と付属語が切り出されているものと解される。また、“入力された文字列から自立語辞書を用いて未登録文字列を検出する”とは、入力された文字列中の一部分を自立語辞書を用いて、自立語に変換して分離することで、未登録文字列を生成していることに他ならない。
してみると、引用文献には、
「入力された文字列から、自立語と付属語を切り出す」態様
「入力された文字列から自立語辞書を用いて自立語を分離する」態様
「入力された文字列から自立語を分離して生成された未登録文字列から付属語辞書を用いて付属語を分離する」態様
が記載されていると解される。

(イ)上記Cの「まず「あみーが」という全体を自立語とする候補の1つがつまれる・・・ついで・・・指し示される付属語列は「が」となり・・・「あみー(自立語)+が(付属語)」という候補がつまれる」との記載、上記Dの「上述した「あみーがあすはつばいされる」という例に対して・・・「アミーが明日販売される」のように変換させることが容易に可能である」との記載からすると、引用文献には、
「自立語と付属語に基づいて、変換された文字列の出力を行う」態様
が記載されていると解される。

(ウ)上記Dの「上述した「あみーがあすはつばいされる」という例に対して・・・「アミーが明日販売される」のように変換させることが容易に可能である」との記載からすると、引用文献には、入力された平仮名文字列を仮名漢字交じりの文字列に変換する態様が記載されていると解される。
してみると、引用文献には、
「仮名漢字変換方法」
が記載されていると解される。

以上、(ア)ないし(ウ)で指摘した事項を踏まえると、引用文献には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「入力された文字列から、自立語と付属語を切り出すステップと、
入力された文字列から自立語辞書を用いて自立語を分離するステップと、
入力された文字列から自立語を分離して生成された未登録文字列から付属語辞書を用いて付属語を分離するステップと、
自立語と付属語に基づいて、変換された文字列の出力を行うステップと、
から構成される仮名漢字変換方法。」

3.本願発明と引用発明との対比

本願発明と引用発明とを対比する。

(1)引用発明の「入力された文字列」及び「自立語と付属語」は、それぞれ、本願発明の「ソース文字列」及び「人為的エンティティ」に相当する。
してみると、引用発明の「入力された文字列から、自立語と付属語を切り出すステップ」は、本願発明の「ソース文字列の受け取ることに応じて、当該ソース文字列から人為的エンティティを生成するステップ」に相当するといえる。
そして、引用発明においても、入力された文字列から切り出された自立語と付属語が、入力された文字列の部分列に対応し、少なくとも2つの人為的エンティティはソース文字列を分離する部分列に対応することは、当業者にとって自明の事項である。
してみると、引用発明と本願発明とは、ともに「ここで人為的エンティティのそれぞれは前記ソース文字列の部分列に対応し、」「少なくとも2つの人為的エンティティは前記ソース文字列を分離する部分列に対応する」態様を備える点で共通するといえる。

(2)引用発明の「入力された文字列から自立語辞書を用いて自立語を分離する」とは、入力された文字列中の一部分(本願発明の「第1の部分」に相当)を自立語辞書(本願発明の「第1のデータ構造」に相当)を用いて、自立語(本願発明の「第1の文字列」に相当)に変換することに他ならない。
してみると、引用発明の「入力された文字列から自立語辞書を用いて自立語を分離するステップ」は、本願発明の「少なくとも前記ソース文字列の第1の部分を、第1の文字列を含む人為的エンティティを有する第1のデータ構造を介して、前記第1の文字列に変換するステップ」に相当するといえる。

(3)引用発明の「入力された文字列から自立語を分離して生成された未登録文字列から付属語辞書を用いて付属語を分離するステップ」における「入力された文字列から自立語を分離して生成された未登録文字列」とは、入力された文字列の一部分に他ならない。そうすると、引用発明の「入力された文字列から自立語を分離して生成された未登録文字列から付属語辞書を用いて付属語を分離する」とは、入力された文字列の一部分(本願発明の「第2の部分」に相当)を付属語辞書(本願発明の「第2のデータ構造」に相当)を用いて、付属語(本願発明の「第2の文字列」に相当)に変換することに他ならない。
してみると、引用発明の「入力された文字列から自立語を分離して生成された未登録文字列から付属語辞書を用いて付属語を分離するステップ」は、本願発明の「少なくとも前記ソース文字列の第2の部分を、第2の文字列を含む所定の通常のエンティティを有する第2のデータ構造を介して、前記第2の文字列に変換するステップ」に相当するといえる。

(4)そして、引用発明の「自立語と付属語に基づいて、変換された文字列の出力を行うステップ」は、本願発明の「前記第1の文字列と前記第2の文字列との組み合わせに基づいて出力を行うステップ」に相当するといえる。

(5)また、本願発明の詳細な説明の「日本語平仮名文字を入力させ、平仮名、片仮名、漢字の組み合わせを使用する適当な日本語に変換する方法に関する」との記載(段落【0001】)からすると、本願発明の「方法」は、「仮名漢字変換方法」であると解される。

以上から、本願補正発明と引用発明とは、以下の点で一致し、また、以下の点で相違する。

(一致点)

「ソース文字列の受け取ることに応じて、当該ソース文字列から人為的エンティティを生成するステップと、
ここで人為的エンティティのそれぞれは前記ソース文字列の部分列に対応し、
少なくとも2つの人為的エンティティは前記ソース文字列を分離する部分列に対応する、
少なくとも前記ソース文字列の第1の部分を、第1の文字列を含む人為的エンティティを有する第1のデータ構造を介して、前記第1の文字列に変換するステップと、
少なくとも前記ソース文字列の第2の部分を、第2の文字列を含む所定の通常のエンティティを有する第2のデータ構造を介して、前記第2の文字列に変換するステップと、
前記第1の文字列と前記第2の文字列との組み合わせに基づいて出力を行うステップと、
から構成される仮名漢字変換方法。」

(相違点)

本願発明が、「実行可能なプログラム命令を含む機械可読媒体であって、実行されると、データ処理システムに、」仮名漢字変換「方法を実行させることを特徴とする機械可読媒体」であるのに対して、引用発明は、仮名漢字変換方法を実行可能なプログラム命令として含む機械可読媒体として構成されるものでない点。

4.当審の判断

上記相違点について検討する。

仮名漢字変換プログラムについては、引用文献等を示すまでもなく、当該技術分野において、当業者が普通に採用している周知慣用技術に他ならず、引用発明においても、当該周知慣用技術を適用して、実行可能なプログラム命令として含む機械可読媒体として構成すること、すなわち上記相違点に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

よって、相違点は格別なものではない。

上記で検討したごとく、相違点は格別のものではなく、そして、本願発明の奏する作用効果は、上記引用発明及び周知慣用技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

したがって、本願発明は、上記引用発明及び周知慣用技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび

以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、本願の優先日前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-03-13 
結審通知日 2013-03-18 
審決日 2013-03-29 
出願番号 特願2008-101299(P2008-101299)
審決分類 P 1 8・ 561- Z (G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
P 1 8・ 572- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 萩島 豪辻本 泰隆  
特許庁審判長 長島 孝志
特許庁審判官 原 秀人
田中 秀人
発明の名称 日本語仮想辞書  
代理人 高柳 司郎  
代理人 大塚 康徳  
代理人 大塚 康弘  
代理人 下山 治  
代理人 永川 行光  
代理人 木村 秀二  
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