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審決分類 |
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 補正却下を取り消す 原査定を取り消し、特許すべきものとする C09J 審判 査定不服 2項進歩性 補正却下を取り消す 原査定を取り消し、特許すべきものとする C09J |
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管理番号 | 1278607 |
審判番号 | 不服2012-19484 |
総通号数 | 166 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-10-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-10-04 |
確定日 | 2013-09-24 |
事件の表示 | 特願2007- 23773「両面粘着テープ及びその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 8月21日出願公開、特開2008-189736、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成19年2月2日の出願であって、平成22年12月17日及び平成23年12月14日に手続補正がなされ、平成23年12月14日付け手続補正が平成24年7月2日付けで却下されるとともに、同日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年10月4日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。 第2 平成23年12月14日付け手続補正について 1 平成24年7月2日付け補正の却下の決定 平成24年7月2日付けの補正却下の決定において、平成23年12月14日付け手続補正(以下「本件補正」という。)は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下「旧特許法」という。)第17条の2第4項の規定に違反することを理由として、同法第53条第1項の規定により却下された。 2 請求人の主張 請求人は、審判請求書において、本件補正は旧特許法第17条の2第4項第2号に掲げる事項を目的とするものに該当するものであり、旧特許法第17条の2第4項の規定に違反するものでなく、そして、本件補正後の請求項1に係る発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるから、本件補正の却下の決定の認定は失当である旨主張している。 3 当審の判断 請求人は、上記2のとおり、本件補正について原審でなされた上記1の補正の却下の決定について争っているので、当該補正は適法な補正であるか否か、そして、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)は特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるか否か、すなわち、本件補正は旧特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものか否かについて以下検討する。 (1)本件補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲及び発明の詳細な説明についてするもので、特許請求の範囲については、本件補正前に、 「 【請求項1】 耐熱性高分子フィルムからなる厚さが4?13μmの基材の両側に粘着剤層を有する両面粘着テープにおいて、上記基材の一方の面にアクリル系粘着剤層、他方の面に直接塗工された縮合反応型又は付加重合型シリコーン共重合体と、触媒とからなる易接着処理層を介して付加重合型シリコーン系粘着剤層を有し、かつ、上記両面粘着テープの総厚が、20?60μmであることを特徴とする両面粘着テープ。 【請求項2】 第1の剥離フィルムの剥離処理面にアクリル系粘着剤を塗工してアクリル系粘着剤層を形成する工程、上記アクリル系粘着剤層に基材を貼り合せる工程、上記アクリル系粘着剤層の上記基材を介した他方の面に縮合反応型又は付加重合型シリコーン共重合体と、触媒と、溶媒とからなる易接着処理剤を直接塗工する工程、更に、上記易接着処理剤塗工面に付加重合型シリコーン系粘着剤を直接塗工して、付加重合型シリコーン系粘着剤層を形成する工程、更に、上記付加重合型シリコーン系粘着剤層に第2の剥離フィルムを貼り合せる工程を含むことを特徴とする両面粘着テープの製造方法。」とあったものを、 「 【請求項1】 厚さが19?100μmである第1の剥離フィルムの剥離処理面にアクリル系粘着剤を塗工してアクリル系粘着剤層を形成する工程、上記アクリル系粘着剤層に耐熱性高分子フィルムからなる厚さが4?13μmの基材を貼り合せる工程、上記アクリル系粘着剤層の上記基材を介した他方の面に縮合反応型又は付加重合型シリコーン共重合体と、触媒と、溶媒とからなる易接着処理剤を直接塗工する工程、更に、上記易接着処理剤塗工面に付加重合型シリコーン系粘着剤を直接塗工して、付加重合型シリコーン系粘着剤層を形成する工程、更に、上記付加重合型シリコーン系粘着剤層に第2の剥離フィルムを貼り合せる工程を含むことを特徴とする総厚が20?60μmである両面粘着テープの製造方法。」と補正するものである。(下線は審決で付した。) (2)本件補正の目的及び独立特許要件について ア 本件補正の目的 上記(1)の補正は、本件補正前の請求項1を削除し、本件補正前の請求項2につき、その発明を特定するために必要な事項である「第1の剥離フィルム」について、「厚さが19?100μmである」との限定を付加し、同じくその発明を特定するために必要な事項である「基材」について、「耐熱性高分子フィルムからなる厚さが4?13μmの」との限定を付加し、同じくその発明を特定するために必要な事項である「両面粘着テープ」について、「総厚が20?60μmである」との限定を付加するものであり、補正の前後の発明の技術分野、解決すべき課題を変更するものでないから、本件補正は、旧特許法第17条の2第4項第1号の請求項の削除及び同項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 したがって、本件補正が適法な補正であるためには、本願補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができる(旧特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する)ものでなければならないから、以下、本願補正発明につき、その独立特許要件について検討する。 イ 独立特許要件 本願補正発明については、下記の理由により、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。 ・原審の平成23年10月13日付け拒絶理由通知書においては、本願に係る発明について、下記の刊行物に記載された発明に基づいて、進歩性がないと判断しているので、以下検討する。 引用刊行物: 1.特開平5-320592号公報(原査定における「引用文献1」) 2.特開2006-152266号公報(原査定における「引用文献2」) 3.特開2004-244499号公報(原査定における「引用文献3」) 4.特開2004-156015号公報(原査定における「引用文献4」) 5.特開2003-313516号公報(原査定における「引用文献5」) (ア)各刊行物に記載された事項 引用文献1には、粘着層の一方がシリコーン系粘着剤からなり、粘着層の他方がアクリル系粘着剤からなる両面粘着テープが、引用文献2には、プライマー処理が基材フィルムと粘着層との密着性を向上させること、縮合反応触媒を含有する縮合型シリコーンプライマー組成物、付加反応触媒を含有する付加型シリコーンプライマー組成物が、引用文献3(特開2004-244499号公報)4には、両面粘着テープの積層体の厚さを60μm以下にすることが、引用文献4には、粘着テープの厚みを40?65μmにすることが、また引用文献5には、基材の片側の粘着剤層がシリコーン系粘着剤層であり、他方の片側の粘着剤層がアクリル系粘着剤層である両面粘着テープが、それぞれ記載されている。 (イ)検討 a 引用文献1?5のいずれにも、以下の(a)及び(b)については記載されていない。 (a)耐熱性高分子フィルムからなる厚さが4?13μmの極めて薄い基材(を用いて、製造工程の途中で基材切れや皺発生を起こさないように両面粘着テープを製造する方法。 (b)基材の他方の面に易接着処理剤を直接塗工する工程、更に、易接着処理剤塗工面に付加重合型変性シリコーン系粘着剤を直接塗工して付加重合型変性シリコーン系粘着剤層を形成する工程、更に、上記付加重合型変性シリコーン系粘着剤層に第2の剥離フィルムを貼り合せる工程を経ても、基材切れや皺を発生させることなく、総厚が20?60μmという薄い両面粘着テープを製造することが出来ること。 b 上記aに照らせば、本願補正発明は引用文献1?5に記載された発明から容易に想到することができたものでない。 したがって、本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができる。 (3)まとめ 本願補正発明は、上記(2)イのとおり、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるから、本件補正は旧特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものでなく、したがって、同法第53条第1項の規定により却下されるべきものではない。 よって、本件補正を却下した上記1の補正の却下の決定は取り消すべきものである。 第3 本願補正発明について 上記第2 3で述べたとおり、本件補正を却下した原審における平成24年7月2日付けの補正の却下の決定は取り消されたので、本願は、その請求項1に係る発明は、平成23年12月14日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。 そして、本願については、上記第2 3(2)イで述べたとおりであり、さらに原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2013-09-11 |
出願番号 | 特願2007-23773(P2007-23773) |
審決分類 |
P
1
8・
57-
WYA
(C09J)
P 1 8・ 121- WYA (C09J) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 中根 知大 |
特許庁審判長 |
松浦 新司 |
特許庁審判官 |
新居田 知生 菅野 芳男 |
発明の名称 | 両面粘着テープ及びその製造方法 |
代理人 | 小林 茂 |