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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H03F
管理番号 1278853
審判番号 不服2012-15659  
総通号数 166 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-10-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-08-10 
確定日 2013-09-05 
事件の表示 特願2007- 27560「信号特性に応じて内部整合をとる増幅器」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 8月21日出願公開、特開2008-193544〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成19年2月7日の出願であって、平成23年9月2日付けで拒絶理由が通知され、これに対して平成23年11月7日に手続補正がなされ、平成24年5月7日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成24年8月10日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。


第2.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成23年11月7日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、次の事項により特定されるものである。

「【請求項1】
入力信号の特性に応じて内部整合をとる増幅器であって、
前記入力信号を増幅する半導体デバイスと集積回路を含むパッケージを備え、
前記集積回路は、マイクロ電子機械回路と制御回路を含み、該マイクロ電子機械回路は、第1及び第2の端子を有し前記半導体デバイスに対して直列に該第1の端子により接続されたインダクタと、該半導体デバイスに対して並列に該インダクタの該第2の端子側に接続されたマイクロ電子機械可変キャパシタを含み、該制御回路は、前記入力信号の特性に応じた制御信号を該マイクロ電子機械回路に出力し、該マイクロ電子機械回路は、該制御信号に従って、前記半導体デバイスに接続される回路素子値を変更することを特徴とする増幅器。」


第3.引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1(特表2003-504906号公報)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。ただし、下線は当審が付した。

(a)段落番号【0001】
「【0001】
【発明の属する技術範囲】
本発明は、同調された電力増幅器の分野に関し、更に詳しくは、高能率のスイッチング電力増幅器の同調可能な実現に関する。」

(b)段落番号【0011】-【0012】
「【0011】
あるタイプの同調可能な無効素子は、必要に応じて特定のリアクタンスを提供するように相互に接続された高いQの固定値要素によって構成されている。相互接続を達成するのに必要なスイッチングは、RF周波数において低損失スイッチングを提供し増幅器の構成要素と共通の基板上に集積することが可能なマイクロ電子機械(micro-electromechanical = MEM)スイッチによって提供される。このアプローチは、多数の離散的なリアクタンス・ステップにおいて、Qが非常に高い無効ネットワークを提供することができる。あるいは、連続的に可変なリアクタンス値を有するMEM素子を用いて、所望の同調可能性を提供することもできる。この新規な増幅器は、好ましくは、MEM素子を動作させ従ってこの増幅器を同調するのに必要な制御信号を発生する制御回路を含む。
【0012】
周波数に敏感で高品質の出力を提供するのに加えて、本発明は、従来は不可能であった集積度を可能にする。増幅器の能動素子と、その同調可能な無効素子と、MEM素子への必要な制御信号を発生する制御回路とのすべてを、共通の基板上に集積することができ、それによって、空間を節約し、電力消費を減少させ、信頼性を向上させることができる。本発明は、多数の鋳造技術(foundry technologies)に基づいて実現することができる。」

(c)段落番号【0014】-【0015】
「【0014】
【発明の実施の態様】
本発明の原理を図解している回路図が図2に示されている。E級(class E)の増幅器が示されているが、以下で論じるように、本発明は、生得的に狭帯域を与える無効(reactive)ネットワークを含む他の級からの増幅器においても効果的に用いることができる。図2の増幅器のトポロジ(幾何学的配置)は、図1に示されたものと類似している。すなわち、典型的にはトランジスタである能動素子Q1がスイッチとして用いられ、Q1の制御入力に与えられるRF入力信号に応答してオン・オフされる。Q1の電流回路は、バイアス・インダクタLbiasとシャント・キャパシタンスCshuntのようにQ1の両端に直列に接続された電源14とを含む負荷ネットワーク100を駆動する。また、直列インダクタンスLseriesと直列キャパシタンスCseriesとが、Q1の電流回路に接続されており、増幅器のRF出力が、負荷Rloadを駆動するように接続することが可能なCseriesの他の端子に生じる。
【0015】
しかし、従来技術による回路と対照的に、Cshunt、Lseries及びCseriesは、同調可能な無効ネットワーク102を形成する同調可能な無効素子であり、これらの素子はそれぞれが電気的な制御信号104を受け取るように接続されている。これらの同調可能な無効素子それぞれのリアクタンス値は、それぞれの制御信号に従って変動する。すでに述べたように、E級増幅器の負荷ネットワークにおいて見出されるリアクタンスは、その周辺で増幅器の効率が高くなる動作周波数を確立する。本発明によれば、負荷ネットワークのリアクタンスを、それぞれの制御信号を単に変動させることにより変動させることができ、それによって、増幅器の動作周波数を変動させることができる。これらのリアクタンスの調整は、電気的に制御されるので、増幅器が使用されている間に製造環境の外部で行うことができ、それによって、広い帯域幅、動作の複数の周波数帯域、現代の周波数ホッピング通信システムなどが可能になる。」

したがって、刊行物1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「E級電力増幅器であって、
相互接続を達成するのに必要なスイッチングは、RF周波数において低損失スイッチングを提供し増幅器の構成要素と共通の基板上に集積することが可能なマイクロ電子機械(micro-electromechanical = MEM)スイッチによって提供され、
連続的に可変なリアクタンス値を有するMEM素子を用いて、所望の同調可能性を提供することもでき、MEM素子を動作させ従ってこの増幅器を同調するのに必要な制御信号を発生する制御回路を含み、
増幅器の能動素子と、その同調可能な無効素子と、MEM素子への必要な制御信号を発生する制御回路とのすべてを、共通の基板上に集積し、
トランジスタである能動素子Q1がスイッチとして用いられ、Q1の制御入力に与えられるRF入力信号に応答してオン・オフされ、Q1の電流回路は、バイアス・インダクタLbiasとシャント・キャパシタンスCshuntのようにQ1の両端に直列に接続された電源14とを含む負荷ネットワーク100を駆動し、また、直列インダクタンスLseriesと直列キャパシタンスCseriesとが、Q1の電流回路に接続されており、増幅器のRF出力が、負荷Rloadを駆動するように接続することが可能なCseriesの他の端子に生じ、
従来技術による回路と対照的に、Cshunt、Lseries及びCseriesは、同調可能な無効ネットワーク102を形成する同調可能な無効素子であり、これらの素子はそれぞれが電気的な制御信号104を受け取るように接続されていて、これらの同調可能な無効素子それぞれのリアクタンス値は、それぞれの制御信号に従って変動し、
負荷ネットワークのリアクタンスを、それぞれの制御信号を単に変動させることにより変動させることができ、それによって、増幅器の動作周波数を変動させることができる、
E級電力増幅器。」


第4.本願発明と引用発明の一致点・相違点

刊行物1には、引用発明の無効ネットワーク102について整合回路と記載されているわけではない。
しかし、国際公開第2006/124087号(以下、「国際公開」という。)の図1には、引用発明と同じ回路構成のE級電力増幅器(10)が開示されている。E級電力増幅器(10)のC_(s)、L_(1)、C_(1)が各々、引用発明のCshunt、Lseries及びCseriesに相当している。そして、引用発明の無効ネットワーク102に相当する、C_(s)、L_(1)及びC_(1) から成るものは、上記国際公開において「output matching network (13)」(当審訳:出力整合回路(13))と呼ばれている。よって、引用発明の無効ネットワーク102は、整合回路と呼べるものである。

引用発明は、それぞれの制御信号を単に変動させることにより、負荷ネットワークのリアクタンスを変動させることができ、該負荷ネットワークのリアクタンスを変動させることにより、増幅器の動作周波数を変動させることができる。「増幅器の動作周波数」とは、「増幅器が、増幅という機能を果たすことができる周波数」という意味であることは明らかである。増幅という機能は、信号の振幅を増大させるだけで、信号の周波数は変えない。また引用発明の無効ネットワーク102は、整合回路と呼べるものであるから、同調可能な無効素子によって整合を取っており、「増幅という機能を果たすことができる」とは、「整合を取ることにより増幅という機能を果たすことができる」という意味であることも明らかである。したがって、「増幅器の動作周波数」とは、「増幅器が、整合を取ることにより増幅という機能を果たすことができる入力信号の周波数」という意味である。
つまり、引用発明は、制御信号により負荷ネットワークのリアクタンスを変動させることによって、入力信号の種々の周波数に対して整合を取って増幅という機能を果たすことができるということである。これは、入力信号の周波数に応じて、制御信号を変えて整合を取っていることに外ならない。入力信号の周波数は、入力信号の特性の一つである。よって、本願発明と引用発明とは、「入力信号の特性に応じて内部整合をとる増幅器」である点で一致している。

引用発明のトランジスタである能動素子Q1が、本願発明の「前記入力信号を増幅する半導体デバイス」に相当する。

引用発明のE級電力増幅器が、増幅器の能動素子と、その同調可能な無効素子と、MEM素子への必要な制御信号を発生する制御回路とのすべてを共通の基板上に集積した集積回路を含むパッケージを備えていることは、自明である。したがって、本願発明と引用発明とは、「集積回路を含むパッケージを備え」ている点で一致している。

引用発明の集積回路は、同調可能な無効素子と、MEM素子への必要な制御信号を発生する制御回路を集積している。同調可能な無効素子は、連続的に可変なリアクタンス値を有するMEM素子である。したがって、引用発明の連続的に可変なリアクタンス値を有するMEM素子が、本願発明の「マイクロ電子機械回路」に相当し、本願発明と引用発明とは、「前記集積回路は、マイクロ電子機械回路と制御回路を含」んでいる点で一致している。

引用発明では、直列インダクタンスLseriesと直列キャパシタンスCseriesとが、Q1の電流回路に接続されている。この直列インダクタンスLseriesとQ1の電流回路との接続点が、本願発明の「第1の端子」に相当し、直列インダクタンスLseriesの他端が、本願発明の「第2の端子」に相当する。したがって、本願発明の「インダクタ」と引用発明の直列インダクタンスLseriesとは、「第1及び第2の端子を有し前記半導体デバイスに対して直列に該第1の端子により接続されたインダクタ」である点で一致している。

引用発明のシャント・キャパシタンスCshuntは、Q1の両端に接続されている。したがって、引用発明のシャント・キャパシタンスCshuntは、トランジスタQ1に対して並列に接続されているわけであり、本願発明の「マイクロ電子機械可変キャパシタ」とは、「該半導体デバイスに対して並列に接続されたマイクロ電子機械可変キャパシタ」である点で一致している。

引用発明のMEM素子への必要な制御信号を発生する制御回路と本願発明の「制御回路」とは、「前記入力信号の特性に応じた制御信号を該マイクロ電子機械回路に出力」する点で一致している。

引用発明の連続的に可変なリアクタンス値を有するMEM素子と本願発明の「マイクロ電子機械回路」とは、「該制御信号に従って、前記半導体デバイスに接続される回路素子値を変更すること」する点で一致している。

したがって、本願発明と引用発明の一致点・相違点は、次のとおりである。

[一致点]
「入力信号の特性に応じて内部整合をとる増幅器であって、
集積回路を含むパッケージを備え、
前記集積回路は、マイクロ電子機械回路と制御回路を含み、該マイクロ電子機械回路は、第1及び第2の端子を有し前記半導体デバイスに対して直列に該第1の端子により接続されたインダクタと、該半導体デバイスに対して並列に接続されたマイクロ電子機械可変キャパシタを含み、該制御回路は、前記入力信号の特性に応じた制御信号を該マイクロ電子機械回路に出力し、該マイクロ電子機械回路は、該制御信号に従って、前記半導体デバイスに接続される回路素子値を変更することを特徴とする増幅器。」である点。

[相違点1]
本願発明では、入力信号を増幅する半導体デバイスは集積回路とは別になっているのに対して、引用発明では、入力信号を増幅する半導体デバイスも集積回路に集積化されている点。

[相違点2]
半導体デバイスに対して並列に接続されたマイクロ電子機械可変キャパシタが、本願発明では、インダクタの第2の端子側に接続されているのに対して、引用発明では、インダクタの第1の端子側に接続されている点。


第5.相違点についての検討

[相違点1について]
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物2(特開平11-238851号公報)の図1には、電力増幅器200が示されている。刊行物2の図1では、半導体増幅素子202の入った半導体チップ201は、入力側インピーダンス整合回路205や出力側インピーダンス整合回路207とは別になっている。また刊行物2の段落番号【0075】には、
「【0075】半導体チップ201が固定されるチップ支持台203は、半導体増幅素子202で発生される熱をパッケージの外部に伝達する部材となる。このため、図2に示すように、前記チップ支持台203は回路基板210に穿たれた穴に入れられ、回路基板210が固定されるパッケージのフランジ(パッケージ本体)4に直接固定される。フランジ4は金属からなり、前記半導体増幅素子202で発生した熱をチップ支持台203を介してフランジ4に伝達し、電力増幅器200が実装される実装基板等に放散するようになっている。チップ支持台203は前記穴に固定される場合もある。」と記載されている。

また、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物3(特開平6-104664号公報)の段落番号【0002】には、
「【0002】【従来の技術】パワー増幅を担うパワーアンプは発熱量が多いことから単独でIC化されることが多く、このICのパッケージには高い耐熱性・放熱性が要求される。」と記載されている。

このように、電力増幅を行う半導体増幅素子は、発熱量が多いため、周辺回路を搭載した集積回路とは別の集積回路として単独で設けることが周知である。
したがって、引用発明のE級電力増幅器において、増幅器の能動素子を、同調可能な無効素子と、MEM素子への必要な制御信号を発生する制御回路とを集積化した集積回路とは別の基板に作成し、別のチップとすることは、容易に想到できたことである。

[相違点2について]
米国特許出願公開第2007/0008034号明細書の段落番号[0025]-[0026]に、
「[0025]The two-stage Class-E high power amplifier (HPA) of the present invention includes a novel Class-E load designed to maintain simultaneous high power and high PAE over a broad bandwidth. FIG. 2 a is a simplified schematic diagram of a discrete component implementation of an amplifier 10 with a conventional Class-E load 20 . As shown in FIG. 2 a, a typical Class-E amplifier 10 includes a transistor represented by a switch 12 , coupled to a voltage source Vds via an inductive bias line 14 . The switch 12 is also coupled to a resistive load 24 via a capacitor 22 and an inverted L type (series L, shunt C) wave shaping load network 20 . The conventional Class-E load network 20 includes a first shunt capacitor 15 , which is the drain to source capacitance (Cds) of the transistor switch 12 , and a series inductor 16 followed by a shunt capacitor 18 . Few design efforts have been made to optimize these circuits for broadband operation. Hence, in previous amplifier designs, the drain bias line 14 was treated independent of the load circuit 20 , merely acting as a choke realized by a quarter wavelength length of transmission line.
[0026]FIG. 2 b is a distributed component implementation of the conventional Class-E load depicted in FIG. 2 a. It is worth mentioning that the function of the load network in the class E amplifier is to shape the voltage and current waveforms. Therefore, for the design of a broadband Class-E amplifier, care should be taken to ensure Class-E waveforms exist over the entire frequency band. Conventional Class-E load circuits are operable only over a narrow bandwidth (about 500 MHz or less). 」
(当審訳:[0025]本発明の2段のE級高電力増幅器(HPA)は広い帯域幅にわたって同時に高電力と高いPAEを維持するように設計されているE級負荷を含んでいる。図2の(a)は通常のE級負荷20を有する増幅器10のディスクリートなコンポーネント構成の簡単化された概略図である。図2の(a)に示されているように、典型的なE級増幅器10は誘導性のバイアスライン14を介して電圧源Vdsに結合されているスイッチ12により表されているトランジスタを含んでいる。このスイッチ12はキャパシタ22および反転されたL型(直列のL、シャントのC)波形成形負荷ネットワーク20を介して抵抗負荷24と結合されている。通常のE級負荷ネットワーク20は、トランジスタスイッチ12のドレインソースキャパシタンス(Cds)である第1のシャントキャパシタ15と、直列インダクタ16とそれに後続するシャントキャパシタ18とを含んでいる。広帯域動作のためにこれらの回路を最適化するための設計努力は行われていない。したがって、従来の増幅器設計では、ドレインバイアスライン14は負荷回路20と独立して処理され、伝送線の4分の1波長により実現されるチョークとして単に動作する。
[0026]図2の(b)は図2の(a)で示されている通常のE級負荷の分布コンポーネント構成図である。E級増幅器の負荷ネットワークの機能が電圧及び電流波形を成形することであることは説明に値する。それ故、広帯域E級増幅器の設計では、E級波形が周波数帯域全体にわたって存在することを確実にするように注意しなければならない。通常のE級負荷回路は狭い帯域幅(約500MHz以下)にわたってのみ動作可能である。)と記載されている。
また、図2aの波形成形負荷ネットワーク20では、シャントキャパシタ18は、直列インダクタ16の第2の端子側に接続されている。波形成形負荷ネットワーク20の機能は、電圧及び電流波形を成形することであるから、引用発明の無効ネットワーク102の機能と同じである。したがって、波形成形負荷ネットワーク20も、引用発明の無効ネットワーク102と同様に、整合回路と呼ぶことができる。
更に、上記波形成形負荷ネットワーク20は、R.Tayrani,A Monolithic X-band Class-E Power Amplifier,IEEE GaAs IC Symposium Digest 2001,米国,IEEE,2001年,page 205-208(Figure1(a))にも記載されている様に周知技術である。

したがって、引用発明において、整合回路の構成として、周知の波形成形負荷ネットワーク20の構成を採用し、半導体デバイスに対して並列に接続されたマイクロ電子機械可変キャパシタを、インダクタの第2の端子側に接続替えすることは、当業者が容易に想到できたことである。

なお、平成24年8月10日付けの審判請求書では、「周知文献1及び2の「シャントキャパシタ」を「マイクロ電子機械可変キャパシタ」に置き換える動機は一切見当たらず、当業者といえども「第1及び第2の端子を有し前記半導体デバイスに対して直列に該第1の端子により接続されたインダクタと、該半導体デバイスに対して並列に該インダクタの該第2の端子側に接続されたマイクロ電子機械可変キャパシタ」という構成を想到できるものではない、と思料致します。」と主張しているが、拒絶査定は、「周知文献1及び2の「シャントキャパシタ」を「マイクロ電子機械可変キャパシタ」に置き換えることが、容易。」と説明しているわけではなく、「引用発明のマイクロ電子機械回路の構成として、上記周知技術を採用することが容易。」と説明しているものである。

そして、本願発明の作用効果も、引用発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


第6.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-06-28 
結審通知日 2013-07-02 
審決日 2013-07-23 
出願番号 特願2007-27560(P2007-27560)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H03F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 安井 雅史  
特許庁審判長 江口 能弘
特許庁審判官 吉田 隆之
近藤 聡
発明の名称 信号特性に応じて内部整合をとる増幅器  
代理人 大菅 義之  
代理人 ▲徳▼永 民雄  

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