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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F01N
管理番号 1280260
審判番号 不服2012-23965  
総通号数 168 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-12-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-12-04 
確定日 2013-10-10 
事件の表示 特願2007-119543「排気浄化装置」拒絶査定不服審判事件〔平成20年11月13日出願公開、特開2008-274850〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成19年4月27日の出願であって、平成23年11月9日付けで拒絶の理由が通知され、これに対し、平成24年1月10日に意見書及び手続補正書が提出され、さらに、平成24年5月30日付けで拒絶の理由が通知され、その後、平成24年10月2日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成24年12月4日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。


2.本願発明
本願の請求項2に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成24年1月10日付け手続補正書により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載によれば、特許請求の範囲の請求項2に記載された事項により特定される以下のとおりのものと認める。
「排気管の途中に排気ガス中のパティキュレートを捕集するパティキュレートフィルタを備えると共に、該パティキュレートフィルタの下流側に酸素共存下でも選択的にNOxをアンモニアと反応させ得る選択還元型触媒を備え、該選択還元型触媒と前記パティキュレートフィルタとの間に還元剤として尿素水を添加し得るように構成した排気浄化装置であって、パティキュレートフィルタと選択還元型触媒とをケーシングにより夫々抱持し且つ夫々の入側端部同士を対峙させて直列に配置し、パティキュレートフィルタの出側端部から排出された排気ガスをパティキュレートフィルタを迂回させて前記選択還元型触媒の入側端部に導く連絡流路を設け、該連絡流路の上流側に尿素水を添加するための尿素水添加手段を備えたことを特徴とする排気浄化装置。」


3.引用刊行物
(1)刊行物1
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2003-56336号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。

・「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、排気ガスを通過させて浄化する排気浄化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、エンジンからの排気ガスが流通する排気管の途中に、触媒コンバータやパティキュレートフィルタ等の通気式浄化材を装備し、該通気式浄化材を通過させて排気ガスを浄化することが行われている。
【0003】ここで、触媒コンバータとしては、酸素共存下でも選択的にNOxを還元剤と反応させる性質を備えたNOx還元触媒(選択還元型触媒)や、排気ガス中の酸素濃度が高い希薄燃焼運転時にNOxを酸化して硝酸塩の状態で一時的に吸蔵し且つ排気ガス中の酸素濃度が低い濃空燃比運転時に排気ガス中の炭化水素や一酸化炭素の介在によりNOxを分解放出して還元浄化する性質を備えたNOx吸蔵還元触媒や、排気ガス中に含まれるパティキュレート(Particulate Matter:粒子状物質)の酸化浄化を助勢する酸化触媒等が知られている。
【0004】また、パティキュレートフィルタは、パティキュレートを物理的に捕集するものであって、コージェライト等のセラミックから成る多孔質のハニカム構造を有し、格子状に区画された各流路の入口が交互に目封じされ、入口が目封じされてない流路については、その出口が目封じされるようになっており、各流路を区画する多孔質薄壁を透過した排気ガスのみが下流側へ排出され、排気ガス中のパティキュレートが前記多孔質薄壁の内側表面に捕集されるようにしたものである。
【0005】尚、この種のパティキュレートフィルタには、前述した触媒コンバータの何れかを一体的に担持させて、複合的な排気ガスの浄化作用が得られるようにしたものもある。
【0006】そして、近年においては、排気ガスの浄化規制が非常に厳しく強化されてきているので、これら触媒コンバータやパティキュレートフィルタ等の通気式浄化材を排気管途中の共通のケーシング内に直列に二連装して排気浄化能力を高めた排気浄化装置の採用が検討されている。
【0007】ただし、共通のケーシング内に第一の通気式浄化材と第二の通気式浄化材とを直列に二連装した排気浄化装置は、そのケーシングの軸心方向に向けた長さ寸法が長くなってしまうので、例えば、各種の補器類が既に緊密な状態でレイアウトされているホイールベースの短い車両等では、補器類との干渉を避けながら排気浄化装置の搭載スペースを確保することが非常に困難となり、レイアウト上の制約でエンジンから排気ガスを導く配管をケーシングの軸心方向の中間部に略直角な向きから接続しなければならないケースも生じ得た。
【0008】このような場合、図4に示す如く、共通のケーシング1内に直列に連装された第一の通気式浄化材2と第二の通気式浄化材3との相互間を、第一の通気式浄化材2側に臨む第一空間4と第二の通気式浄化材3側に臨む第二空間5とに仕切板6で区画し、第一空間4に対し配管7を介して導入した排気ガス8を第一の通気式浄化材2を通過させてケーシング1の一端部側の第三空間9に抜き出し、該第三空間9から配管10を介し排気ガス8を第二空間5に導いて第二の通気式浄化材3を通過させ、ケーシング1の他端部側の第四空間11に抜き出した排気ガス8を下流側の配管12へ排出させるように構成しなければならない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、斯かる従来構造においては、第一空間4に通じる配管7の接続代と、第二空間5に通じる配管10の接続代とをケーシング1の軸心方向に連ねて個別に確保するようにしていたため、これら二つ分の接続代によりケーシング1の全長が長くなって車両への搭載性を悪化してしまっていた。
【0010】本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、第一空間及び第二空間の夫々に対する排気ガス導入用配管の接続代をケーシングの軸心方向で共有化して該ケーシングの全長を短縮し得るようにした車両への搭載性の良い排気浄化装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、第一の通気式浄化材と第二の通気式浄化材とを共通のケーシング内に直列に連装し、両通気式浄化材の相互間を仕切板により第一の通気式浄化材側に臨む第一空間と第二の通気式浄化材側に臨む第二空間とに区画し、第一空間に導入した排気ガスを第一の通気式浄化材を通過させてから第二空間に導いて第二の通気式浄化材を通過させるように構成した排気浄化装置であって、前記仕切板を第一の通気式浄化材側寄りの位置から第二の通気式浄化材側よりの位置に斜めに渡るよう略S字状に折り曲げて配置し、第一空間及び第二空間の夫々に対する排気ガス導入用配管の接続代をケーシングの軸心方向における略同等位置に確保したことを特徴とするものである。
【0012】而して、このようにすれば、第一空間及び第二空間の夫々に対する排気ガス導入用配管の接続代をケーシングの軸心方向における略同等位置に確保したことにより、前記各配管の接続代がケーシングの軸心方向で共有化され、該ケーシングの軸心方向に確保しなければならない各配管の接続代が一つ分で済むので、前記ケーシングの全長を従来より短縮することが可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0014】図1は本発明の第一形態例を示すもので、図4と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
【0015】図1に示す如く、本形態例の排気浄化装置においては、前述した図4の排気浄化装置と略同様に、第一の通気式浄化材2と第二の通気式浄化材3とを共通のケーシング1内に直列に連装し、両通気式浄化材2,3の相互間を仕切板6により第一の通気式浄化材2側に臨む第一空間4と第二の通気式浄化材3側に臨む第二空間5とに区画し、第一空間4に配管7を通して導入した排気ガス8を第一の通気式浄化材2を通過させてから配管10により第二空間5に導いて第二の通気式浄化材3を通過させるように構成しているが、前記仕切板6を第一の通気式浄化材2側寄りの位置から第二の通気式浄化材3側よりの位置に斜めに渡るよう略S字状に折り曲げて配置し、第一空間4及び第二空間5の夫々に対する配管7,10の接続代をケーシング1の軸心方向(図1中の左右方向)における略同等位置に確保するようにしている。
【0016】而して、このようにすれば、第一空間4及び第二空間5の夫々に対し排気ガス8を導入するための配管7,10の接続代をケーシング1の軸心方向における略同等位置に確保したことにより、前記各配管7,10の接続代がケーシング1の軸心方向で共有化され、該ケーシング1の軸心方向に確保しなければならない各配管7,10の接続代が一つ分で済むので、前記ケーシング1の全長を、従来の長さ寸法L(図4参照)から各配管7,10の接続代一つ分に相当するΔlだけ引いた寸法に短縮することが可能となる。
【0017】従って、上記形態例によれば、第一空間4及び第二空間5の夫々に排気ガス8を導入するための配管7,10の接続代をケーシング1の軸心方向で共有化して該ケーシング1の全長を短縮することができるので、車両への搭載性を従来より大幅に向上することができる。」

そして、図1には、第一の通気式浄化材2と第二の通気式浄化材3とを、夫々の入側端部同士を対峙させて直列に連装した態様が示されている。
また、図1には、第一の通気式浄化材2の出側端部から排出された排気ガスを第一の通気式浄化材2を迂回させて前記第二の通気式浄化材3の入側端部に導く、第三空間9、配管10及び第二空間5により構成された流路を設けた態様が示されている。

よって、これらの事項及び図示内容を本願発明の表現にならって整理すると、刊行物1には、次の事項からなる発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認めることができる。
「排気管の途中に第一の通気式浄化材2を備えると共に、該第一の通気式浄化材2の下流側に第二の通気式浄化材3を備えた排気浄化装置であって、第一の通気式浄化材2と第二の通気式浄化材3とをケーシング1内に夫々の入側端部同士を対峙させて直列に連装し、第一の通気式浄化材2の出側端部から排出された排気ガスを第一の通気式浄化材2を迂回させて前記第二の通気式浄化材3の入側端部に導く、第三空間9、配管10及び第二空間5により構成された流路を設けた排気浄化装置。」

(2)刊行物2
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2005-155404号公報(以下「刊行物2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。

・「【0001】
本発明は、内燃機関の排気ガス浄化装置に係り、詳しくは、内燃機関の排気流路に設けられて、排気ガスを浄化する内燃機関の排気ガス浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排気ガス中のパーティキュレート(粒子状物質)を捕集したり、NOx量を低減するために、内燃機関の排気流路に排気ガス浄化装置を設けることが知られている。
【0003】
パーティキュレートを捕集するための排気ガス浄化装置としては、ディーゼルパーティキュレートフィルタ(以下、DPF(Diesel Particulate Filter)と称す)を備えたものが開発されており、NOx量を低減させるための排気ガス浄化装置としては、NOx還元触媒やNOx吸蔵還元触媒等のDeNOx触媒を備えたものが開発されている。
【0004】
また、近年では、排気ガス規制がより厳しくなっており、これに対応するために、DPFとDeNOx触媒とを直列に組み合わせた排気ガス浄化装置が提案されている(例えば、特許文献1)。このような排気ガス浄化装置によれば、例えば上流側の前段においては、DPFによりパーティキュレートを捕集し、その下流側の後段においては、DeNOx触媒によりNOxを低減することができ、排気ガスの浄化性能を一層向上させることが可能である。
・・・
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1に記載の排気ガス浄化装置では、DPFおよびDeNOx触媒がストレートな管体内に直列に収容されていることで、全体的に長尺体となっているため、トラックやバスなどといった車両長さの長いものに対しては、その車両の長手方向に沿って効率的に配置できるが、油圧ショベルやブルドーザといった建設機械のような場合には、配置スペースが限られていることで良好に配置できないという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、排気ガスの浄化性能に優れ、かつ限られた配置スペースに良好に配置できる内燃機関の排気ガス浄化装置を提供することにある。」

・「【0008】
本発明の請求項1に係る内燃機関の排気ガス浄化装置は、前記内燃機関の排気ガスの流れ方向の上流に配置された第1後処理装置と、この第1後処理装置の下流に配置された第2後処理装置と、前記第1後処理装置の出口および前記第2後処理装置の入口を連通させる連通室とを備え、前記第1、第2後処理装置および前記連通室により全体コ字形状に形成されていることを特徴とする。
・・・
【0012】
本発明の請求項5に係る内燃機関の排気ガス浄化装置は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の内燃機関の排気ガス浄化装置において、前記第1後処理装置はディーゼルパーティキュレートフィルタを備え、前記第2後処理装置はDeNOx触媒を備えていることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項6に係る内燃機関の排気ガス浄化装置は、請求項5に記載の内燃機関の排気ガス浄化装置において、前記DeNOx触媒は、尿素を還元剤とする尿素脱硝触媒であり、尿素を供給する供給部が前記第1後処理装置の出口近傍に設けられていることを特徴とする。」

・「【0019】
請求項1の発明に係る排気ガス浄化装置よれば、DPFおよびDeNOx触媒の両方を備えることで、排気ガス中のパーティキュレートの捕集、およびNOxの低減が実現され、排気ガスの浄化性能に優れたものとなる。また、第1、第2後処理装置を並列配置し(排気ガスの流れは直列)、これらを連通室で連通させることにより、排気ガス浄化装置全体をコ字形状とするため、第1、第2後処理装置を一直線上に配置する従来に比して長手方向の長さが短くなり、コンパクトになる。従って、配置スペースが小さくてよく、排気ガス浄化装置が限られた配置スペースに効率的に配置されるようになる。
・・・
【0022】
請求項5の発明によれば、上流側の第1後処理装置にDPFを用いるので、下流側の第2後処理装置に用いられるDeNOx触媒でパーティキュレートが詰まる心配がなく、DeNOx触媒本来の性能が確実に発揮される。また、DPFの上流に酸化触媒を配置したり、DPF自身に酸化触媒を担持させることで、捕集したパーティキュレートの自己燃焼を促進させる場合には、当該酸化触媒において、排気ガス中の一酸化窒素(NO)が酸化して二酸化窒素(NO2)となり、自己燃焼に用いられずに余剰となった二酸化窒素が下流に流れて、尿素脱硝触媒等のDeNOx触媒にて有効に作用するため、DeNOx触媒での浄化効率が向上する。
【0023】
請求項6の発明によれば、DeNOx触媒として尿素脱硝触媒を用いるため、NOxの浄化効率が良好である。そして、尿素の供給部を第1後処理装置の出口近傍に設けるので、尿素の尿素脱硝触媒に達するまでの距離が十分に確保されるようになり、その間に尿素が排気ガスで確実に加熱される。このため、尿素のアンモニアへの分解反応が促進され、尿素脱硝触媒でのNOx浄化が一層効率的に行われる。」

・「【0029】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る内燃機関の排気ガス浄化装置1の全体を示す断面図、図2は、その分解斜視図である。なお、本実施形態での内燃機関としては主に、ディーゼルエンジンを想定している。
【0030】
排気ガス浄化装置1は、ディーゼルエンジンの排気流路中に設けられて、排気ガス中に含まれるパーティキュレートを捕集するとともに、大気中へのNOxの排出量を低減するための装置であり、排気マフラーを兼ねている。また、このような排気ガス浄化装置は、油圧ショベル、ブルドーザ、ホイルローダ等の建設機械に好適に搭載される。
【0031】
具体的に排気ガス浄化装置1は、パーティキュレートを捕集する上流側の第1後処理装置10と、NOxを浄化して無害化する下流側の第2後処理装置20と、第1後処理装置10の出口10Bおよび第2後処理装置20の入口20A側を連通させる連通室30とを備えている。排気ガス浄化装置1の全体形状は、第1後処理装置10および第2後処理装置が略同じ長さ寸法に設けられて互いに平行となるように配置してあり、これらの出口10Bおよび入口20Aを連通室30で連通させることで、平面視で略コ字形状に形成されている。ただし、排気ガスの流れは、第1後処理装置10、連通室30、第2後処理装置20の順に直列的に流れる(図1中の矢印参照)。
【0032】
その他、排気ガス浄化装置1には、第1後処理装置10の上流側に配置された入口室40、連通室30と第2後処理装置20との間に配置された第1補助装置50、第2後処理装置20の下流側に配置された第2補助装置60、第2補助装置60のさらに下流側に配置された出口室70が設けられている。以下には、各装置10,20,50,60、および各室30,40,70について詳説する。
【0033】
第1後処理装置10は、円筒状のケース11の内部に緩衝部材12を介して円柱状のDPF13を内蔵した構成である。
このうち、DPF13は、詳細な図示を省略するが、ハニカム状に多数の小孔を配した構造となっている。小孔は、流入側端面13Aから流出側端面13Bに向かって、つまり、軸方向に沿って連通しており、その断面は多角形状(例えば、六角形状)に形成されている。小孔としては、流入側端面13Aで開口して流出側端面13Bで閉じられたものと、流入側端面13Aで閉じられて流出側端面13Bで開口したものとが交互に配置されており、前者の小孔から流入した排気ガスが、境界壁を通過して後者の小孔に抜け、下流側に流出する。そして、その境界壁でパーティキュレートが捕集される。このようなDPF13の材質は、コージュライト、炭化珪素等のセラミックス、または、ステンレス、アルミニウム等の金属からなり、用途に応じて適宜決定される。
【0034】
さらに、DPF13にはウォッシュコート等により酸化触媒がコーティングされている。ここでの酸化触媒は、流入する排気ガス中の一酸化窒素を酸化して二酸化窒素を生成する。生成された二酸化窒素は、排気ガス等の高温の雰囲気中では不安定であり、酸素を放出して一酸化炭素に戻るのであるが、放出した酸素での酸化力により、DPF13で連続的に捕集されたパーティキュレートを逐一燃焼させ、DPF13を常時詰まりが生じていない状態に再生する。また、一酸化窒素に戻りきれなかった二酸化窒素は、第2後処理装置20まで達することになる。
【0035】
第2後処理装置20は、同様なケース21の内部に緩衝部材22を介して尿素脱硝触媒(DeNOx触媒)23を内蔵した構成である。
このうち、尿素脱硝触媒23は、ゼオライト、バナジウム等の卑金属からなり、還元剤としての尿素から得られるアンモニアと排気ガス中のNOxとを反応させ、NOxを窒素と酸素とに分解して浄化する。この際、尿素脱硝触媒23は、上流側の積層体24と下流側の積層体25とに分かれており、間の隙間26にて排気ガスの流れに乱流を生じさせ、攪拌状態を引き起こして反応を促進させている。
【0036】
連通室30は、第1、第2後処理装置10,20側に開口したケース31によって形成されている。この開口部分には、第1後処理装置10および第2後処理装置20側の第1補助装置50に挟持されるようにプレート32が配置されている。ここで、プレート32には一対の開口33,34が穿設され、このプレート32によって連通室30内の流路が確保され、第1後処理装置10の出口10Bから流出した排気ガスが途中で漏れ出すことなく、第1補助装置50の入口50Aに達するようになっている。
【0037】
ケース31の内部において、第1補助装置50の入口50A側(第2後処理装置20の入口20A側に同じ)には、この入口50Aに向かうに従って流路面積が縮小するように下流側整流板35が設けられ、入口50Aと対向したこの下流側整流板35の面には、第2後処理装置20内での排気ガスの流れ方向(軸方向)に沿って延出した複数(本実施形態では4枚)のフローガイド36が取り付けられている。これらの下流側整流板35およびフローガイド36は、排気ガスの流れを集約して入口50A側によどみなくスムーズに変更させ、排気ガスが第1補助装置50や第2後処理装置20に流入する際の流れの分布を均一化している。
・・・
【0039】
ところで、第2後処理装置20に尿素脱硝触媒23を用いる本実施形態では、尿素を噴射する還元剤供給装置80がこのケース31に取り付けられている。還元剤供給装置80は、尿素を貯留するタンク81、タンク81内の尿素を圧送するポンプ82、圧送された尿素内の埃やゴミ等を取り除くフィルタ83、尿素を連通室30に噴射する噴射装置等の供給部84を備え、この供給部84が第1後処理装置10の出口10B近傍に設けられている。供給部84から噴射された尿素は、その一部が多孔板38にかかるまでの間に蒸発気化するが、他の一部は多孔板38に接触し、排気ガスで加熱されている多孔板38上で蒸発気化し、排気ガス中に拡散する。
また、多孔板38には電熱線等を用いたヒータ90が取り付けられており、排気ガスの温度が低く、多孔板38が加熱され難い時には、このヒータ90によって多孔板38を加熱し、尿素の蒸発を促す。
【0040】
一方、入口室40は、ターボ過給機等からの排気ガスが一旦入り込む空間であり、第1後処理装置10の入口10A側に開口した有底筒状のケース41によって形成されている。ケース41の周面には、ターボ過給機側からの排気ガスを入口室40内に流入させる入口管42が設けられている。入口管42は、ケース41の周面に設けられていることで、排気ガスを第1後処理装置10内の排気ガスの流れ方向に対して略直角方向から引き入れる。この入口管42は、入口室40の内部空間を径方向に横切る長さに設けられており、入口管42の周面には多数の孔42Aが穿設され、入口管42内の排気ガスが孔42Aから略満遍なく入口室40内に拡がるようになっている。これにより、入口室40では、径方向から流入した排気ガスの流れ方向が変更される。
【0041】
第1補助装置50は、円筒状のケース51内に緩衝部材52を介して加水分解触媒53を内蔵した構成である。
このうち、加水分解触媒53は、連通室30内に供給された尿素を分解してアンモニアを生成する機能を有している。そして、ここで生成されたアンモニアが下流の尿素脱硝触媒23での反応に用いられる。
【0042】
第2補助装置60も同様に、円筒状のケース61を備え、その内部に緩衝部材62を介して酸化触媒63が内蔵された構成である。ここでの酸化触媒63は、DPF13にコーティングされた酸化触媒とは性質が異なる。すなわち、ここでの酸化触媒63は、上流の尿素脱硝触媒23にて余剰となったアンモニアを酸化し、窒素と水とに分解して無害化するものである。
【0043】
出口室70は、第2補助装置70からの排気ガスが一旦入り込む空間であり、第2補助装置60の出口60A側に開口した有底筒状のケース71によって形成されている。ケース71の周面には、第2補助装置60からの排気ガスを大気中に排出する出口管72が設けられている。出口管72は、ケース71の周面に設けられていることで、排気ガスを第2補助装置60(後処理装置10に同じ)内の排気ガスの流れ方向に対して略直角方向に排出する。つまり、出口室70でも、流入した排気ガスの流れ方向が変更される。」

・「【0047】
このような本実施形態によれば、以下の効果がある。
(1)すなわち、排気ガス浄化装置1では、第1後処理装置10でのDPF13、および第2後処理装置20での尿素脱硝触媒23の両方を備えているため、排気ガス中のパーティキュレートの捕集、およびNOxの低減を同時に実現でき、排気ガスの浄化性能に優れたものにできる。
【0048】
(2)また、第1、第2後処理装置10,20が並列に配置され(排気ガスの流れは直列)、これらが連通室30で連通しており、排気ガス浄化装置1全体がコ字形状となっているので、第1、第2後処理装置10,20を一直線上に配置した従来に比して長手方向の長さを短くでき、コンパクトにできる。従って、配置スペースが小さくてよく、排気ガス浄化装置1を限られた配置スペースに効率的に配置でき、車両の長さが長くない建設機械等に好適に用いることができる。
・・・
【0053】
(7)DeNOx触媒として尿素脱硝触媒23を用いるため、NOxの浄化効率が良好である。そして、還元剤供給装置80では、尿素の供給部84が第1後処理装置10の出口10B近傍に設けられているので、尿素の尿素脱硝触媒23に達するまでの距離を十分に確保でき、その間に尿素を排気ガスで確実に加熱できる。従って、尿素のアンモニアへの分解反応を促進でき、尿素脱硝触媒23でのNOx浄化を一層効率的に行える。」

・「【0062】
前記実施形態のDPF13には酸化触媒が担持されていたが、このような酸化触媒をDPF13とは別体に設け、その上流側に配置してもよい。」


4.対比
そこで、本願発明と引用発明とを、その機能・作用を考慮して対比する。

・後者の「第一の通気式浄化材2」と、前者の「排気ガス中のパティキュレートを捕集するパティキュレートフィルタ」とは、「第一の通気式浄化材」との概念で共通し、後者の「第二の通気式浄化材3」と、前者の「酸素共存下でも選択的にNOxをアンモニアと反応させ得る選択還元型触媒」とは、「第二の通気式浄化材」との概念で共通する。

・後者の「ケーシング1」は前者の「ケーシング」に相当し、また、後者の「第一の通気式浄化材2と第二の通気式浄化材3とをケーシング1内に夫々の入側端部同士を対峙させて直列に連装し」た態様と、前者の「パティキュレートフィルタと選択還元型触媒とをケーシングにより夫々抱持し且つ夫々の入側端部同士を対峙させて直列に配置し」態様とは、「第一の通気式浄化材と第二の通気式浄化材とをケーシングにより夫々抱持し且つ夫々の入側端部同士を対峙させて直列に配置し」との概念で共通する。

・後者の「第一の通気式浄化材2の出側端部から排出された排気ガスを第一の通気式浄化材2を迂回させて第二の通気式浄化材3の入側端部に導く、第三空間9、配管10及び第二空間5により構成された流路」と、前者の「パティキュレートフィルタの出側端部から排出された排気ガスをパティキュレートフィルタを迂回させて選択還元型触媒の入側端部に導く連絡流路」とは、「第一の通気式浄化材の出側端部から排出された排気ガスを第一の通気式浄化材を迂回させて第二の通気式浄化材の入側端部に導く連通流路」との概念で共通する。

したがって、両者は、
「排気管の途中に第一の通気式浄化材を備えると共に、該第一の通気式浄化材の下流側に第二の通気式浄化材を備えた排気浄化装置であって、第一の通気式浄化材と第二の通気式浄化材とをケーシングにより夫々抱持し且つ夫々の入側端部同士を対峙させて直列に配置し、第一の通気式浄化材の出側端部から排出された排気ガスを第一の通気式浄化材を迂回させて前記第二の通気式浄化材の入側端部に導く連通流路を設けた排気浄化装置。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]
第一の通気式浄化材が、本願発明では、「排気ガス中のパティキュレートを捕集するパティキュレートフィルタ」であるのに対して、引用発明では、そのような特定はされていない点。

[相違点2]
第二の通気式浄化材が、本願発明では、「酸素共存下でも選択的にNOxをアンモニアと反応させ得る選択還元型触媒」であるのに対して、引用発明では、そのような特定はされていない点。

[相違点3]
本願発明では、「連絡流路の上流側に尿素水を添加するための尿素水添加手段を備えた」ものとして、「選択還元型触媒とパティキュレートフィルタとの間に還元剤として尿素水を添加し得るように構成した」のに対して、引用発明では、そのような構成を備えるものであるか明らかでない点。


5.判断
上記相違点について検討する。
[相違点1ないし3について]
例えば、刊行物2(特に、段落【0029】?【0043】及び図1)には、排気ガス浄化装置(本願発明でいう「排気浄化装置」に相当。以下同様。)において、パーティキュレートを捕集するディーゼルパーティキュレートフィルタ13(「パティキュレートフィルタ」に相当。)を内蔵した第1後処理装置10の下流側に、還元剤としての尿素から得られるアンモニアと排気ガス中のNOxとを反応させ、NOxを窒素と酸素とに分解して浄化する尿素脱硝触媒23(「選択還元型触媒」に相当。)を内蔵した第2後処理装置20(なお、付属の構成として、加水分解触媒53を内蔵した第1補助装置50が上流側に設けられ、また、酸化触媒63を内蔵した第2補助装置60が下流側に設けられている。)を備え、ディーゼルパーティキュレートフィルタ13の出側端部から排出された排気ガスを尿素脱硝触媒23に導く連通室30(「連通路」に相当。)に尿素を噴射する還元剤供給装置80(「尿素水添加手段」に相当。)を備えることが記載されているように、排気浄化装置において、排気ガス中のパティキュレートを捕集するパティキュレートフィルタの下流側に酸素共存下でも選択的にNOxをアンモニアと反応させ得る選択還元型触媒を備え、パティキュレートフィルタの出側端部から排出された排気ガスを選択還元型触媒の入側端部に導く連絡流路に尿素水を添加するための尿素水添加手段を備えることは、本願出願前に周知の技術である(他に必要であれば、特開2005-42687号公報(特に、段落【0002】?【0003】及び図4)、特開2006-342735号公報(特に、段落【0015】?【0022】及び図1)及び特開2007-21422号公報(特に、段落【0024】?【0028】及び図4)を参照。)。
そして、刊行物1の「ここで、触媒コンバータとしては、酸素共存下でも選択的にNOxを還元剤と反応させる性質を備えたNOx還元触媒(選択還元型触媒)や、 ・・・ 等が知られている。」(段落【0003】)との記載及び「そして、近年においては、排気ガスの浄化規制が非常に厳しく強化されてきているので、これら触媒コンバータやパティキュレートフィルタ等の通気式浄化材を排気管途中の共通のケーシング内に直列に二連装して排気浄化能力を高めた排気浄化装置の採用が検討されている。」(段落【0006】)との記載によれば、引用発明において、排気浄化能力を高めるために、第一の通気式浄化材及び第二の通気式浄化材を、パティキュレートフィルタ及び選択還元型触媒の組み合わせとし得ることが示唆されている。上記周知の技術は、排気ガスの浄化性能を一層向上させることを可能とするものである(必要であれば、刊行物2の段落【0004】及び特開2005-42687号公報の段落【0003】を参照。)ことも考慮すると、引用発明において、上記周知の技術を採用することは、当業者が容易に想到することができたものである。
また、刊行物2に「そして、尿素の供給部を第1後処理装置の出口近傍に設けるので、尿素の尿素脱硝触媒に達するまでの距離が十分に確保されるようになり、その間に尿素が排気ガスで確実に加熱される。このため、尿素のアンモニアへの分解反応が促進され、尿素脱硝触媒でのNOx浄化が一層効率的に行われる。」(段落【0023】)との記載及び「そして、還元剤供給装置80では、尿素の供給部84が第1後処理装置10の出口10B近傍に設けられているので、尿素の尿素脱硝触媒23に達するまでの距離を十分に確保でき、その間に尿素を排気ガスで確実に加熱できる。従って、尿素のアンモニアへの分解反応を促進でき、尿素脱硝触媒23でのNOx浄化を一層効率的に行える。」(段落【0053】)との記載があるように、上記周知の技術において、尿素水添加手段により連通流路に尿素水を添加するにあたり、尿素水の添加位置から選択還元型触媒までの距離を長くして、尿素水のアンモニアへの分解反応が促進されるようにすることは当業者が設計上考慮することなのであるから、引用発明に上記周知の技術を採用したものにおいて、連絡流路の上流側に尿素水を添加するよう構成することは、当業者が適宜なし得たことである。
そうすると、引用発明において、上記周知の技術を採用することにより、第一の通気式浄化材を「排気ガス中のパティキュレートを捕集するパティキュレートフィルタ」とし、第二の通気式浄化材を「酸素共存下でも選択的にNOxをアンモニアと反応させ得る選択還元型触媒」とし、さらに、「連絡流路の上流側に尿素水を添加するための尿素水添加手段を備えた」ものとして、「選択還元型触媒とパティキュレートフィルタとの間に還元剤として尿素水を添加し得るように構成した」ものとすること、すなわち、上記相違点1ないし3に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。

そして、本願発明の全体構成により奏される作用効果は、引用発明及び上記周知の技術から当業者が予測し得る範囲内のものである。
したがって、本願発明は、引用発明及び上記周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


6.むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないため、その余の請求項に係る発明について判断するまでもなく、本願は、同法第49条第2号の規定に該当し、拒絶をされるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-08-12 
結審通知日 2013-08-13 
審決日 2013-08-26 
出願番号 特願2007-119543(P2007-119543)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 二之湯 正俊  
特許庁審判長 新海 岳
特許庁審判官 平城 俊雅
槙原 進
発明の名称 排気浄化装置  
代理人 特許業務法人山田特許事務所  
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