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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H05K
管理番号 1280524
審判番号 不服2011-24443  
総通号数 168 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-12-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-11-11 
確定日 2013-10-15 
事件の表示 特願2005-119386「歪み耐性電気接続構造」拒絶査定不服審判事件〔平成17年11月 4日出願公開、特開2005-311369〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
第1 手続の経緯・本願発明

本願は、平成17年4月18日(パリ条約による優先権主張:2004年4月19日、米国)の出願であって、平成23年7月4日付け(発送日:7月11日)で拒絶査定がなされたところ、同年11月11日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに同日付けで手続補正がなされたが、当審において、平成24年10月12日付けで同手続補正が決定をもって却下されるとともに同日付けで拒絶の理由が通知され、その指定期間内の平成25年4月15日付けで手続補正がなされたものである。

そして、その請求項6に係る発明は、平成25年4月15日付けでした手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項6に記載された次のとおりのものである(以下「本願発明」という。)。

「【請求項6】
電気回路用の耐久性のある接続構造であって、
電気回路の少なくとも一部を含む回路基板と、
前記回路基板に取り付けられたストレス分散体と、を備え、
前記ストレス分散体は、予め決定された長さの弾性材料を備え、前記ストレス分散体は、複数の側を有し、前記側のうちの一つの側に沿って前記回路基板に取り付けられており、
前記構造はさらに、
電気回路に接続された端部を有する導電体を備え、前記端部は、前記分散体の外側に、且つ前記分散体に隣接して配置されており、
前記導電体の少なくとも一部は、前記ストレス分散体の長さに沿って収容されている、
電気回路用の耐久性のある接続構造。」


第2 平成24年10月12日付けで通知した拒絶の理由の概要

本願発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとし、以下の刊行物1及び2が引用された。

刊行物1:特開平9-153687号公報
刊行物2:特開昭60-18996号公報


第3 刊行物の記載事項

上記拒絶の理由に引用された刊行物1及び2には、図面とともに、それぞれ以下の事項が記載されている。

刊行物1:

(a)「【請求項1】 電気接続箱に設けられたプリント回路基板に電線の端末が接続されるワイヤーハーネスにおいて、上記プリント回路基板に電線保持部材を固定し、この電線保持部材により電線においてその端末よりも手前側の部分を保持した状態でこの電線の端末を上記プリント回路基板の導体部分に直接接続したことを特徴とするワイヤーハーネス。」(第1欄第2?8行、【請求項1】)

(b)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気接続箱に設けられたプリント回路基板に電線が接続されるワイヤーハーネス及び当該接続の方法に関するものである。」(第2欄第9?12行、段落【0001】)

(c)「【0005】図8(a)(b)は、プリント回路基板15と電線10との接続構造の従来例を示したものである。図において、樹脂製の端子ブロック92と、これを上下に貫通する端子94とが一体にモールド成形させており、上記端子ブロック92がプリント回路基板15上にビス93によって固定されるとともに、上記端子94の下端部がプリント回路基板15の導体部分を貫通して当該導体部分にはんだ付けによって接続されている。そして、上記端子94にコネクタ80の端子が接続されることにより、両端子を介してプリント回路基板15の導体部分と電線10とが接続されるようになっている。
【0006】この構造によれば、端子94と端子ブロック92とを一体にモールド成形する等して両者を固定しておくことにより、例えば電線10に引張力が作用してもこの引張力が直接はんだ付け部分96に作用することがなく、この引張力に起因して上記はんだ付け部分96にクラック等が発生するのを未然に防ぐことができる。」(第2欄第34?50行、段落【0005】及び【0006】)

(d)「【0008】このような不都合を解消する手段として、電線10の端末をプリント回路基板15の導体部分にはんだ付けで直接接続する方法が挙げられるが、両者を単に直接接続しただけでは、電線10に引張力が作用した場合にこの引張力がそのままはんだ付け部分にかかり、当該部分のクラック等を引き起こすおそれがある。」(第3欄第12?17行、段落【0008】)

(e)「【0011】この構成によれば、電線端末とプリント回路基板の導体部分とが直接接続されているので、両者間にコネクタが介在する場合に比べて信頼性が高く、また、コネクタが不要である分コストも低くなる。しかも、上記電線において端末よりも手前側の部分が、上記プリント回路基板側に固定された電線保持部材により保持されているため、電線に引張力が作用してもこの作用力がそのまま上記接続部分にかかることが防がれる。」(第3欄第31?38行、段落【0011】)

(f)「【0019】
【発明の実施の形態】本発明の第1の実施の形態を図1?図3に基づいて説明する。なお、ここでは3本の電線10を電気接続箱内のプリント回路基板15に接続する例を示すが、本発明では電線の本数を特に問わない。
【0020】上記各電線10は、導体11の周囲に絶縁体12を配した絶縁電線であり、その端末部分が皮剥ぎ加工され、そのすぐ手前側の部分同士が連結テープ(連結部材)14で連結されることにより、相互連結されている。・・・(略)・・・。
【0021】これらの電線10を保持する電線保持部材として、保持部材本体16と、押え部材18とが備えられ、両者は合成樹脂等の絶縁材料で形成されている。
【0022】上記保持部材本体16は、上記プリント回路基板15上の所定位置に固定されている。詳しくは、プリント回路基板15の適所に貫通孔15aが設けられ、これらの貫通孔15aにビス40を挿通しながらこれらのビス40により保持部材本体16がプリント回路基板15上にねじ止めされている。
【0023】保持部材本体16の上面には、各電線10に対応して前側電線溝(電線端末に近い側の電線溝)21及び後側電線溝(電線端末から遠い側の電線溝)22が形成され、前側電線溝21と後側電線溝22との間の位置に、これら電線溝21、22と直交する方向(図2(a)の奥行き方向)に延びる凹部26が形成されている。
【0024】・・・(略)・・・。
【0025】・・・(略)・・・。
【0026】・・・(略)・・・。
【0027】一方、押え部材18は、下方に開口する形状、具体的には、天壁42と、この天壁42の前端(図2(a)では右端)から下方に突出する前壁43と、天壁42の後端から下方に突出する後壁44と、天壁42の左右両端から下方に突出する左右両側壁45とを有する形状をなしている。また、天壁42の下面においてその前後方向中間位置からは下向きに押え壁46が突設され、この押え壁46は押え部材18の左右方向全域に亘って形成されている。
【0028】両側壁45の下端部内側面には、上記ロック用突起28に対応する形状のロック用凹部48が形成され、天壁42の下面には、上記位置決めピン30が嵌入可能な形状の位置決め穴50が形成されている。そして、これら位置決めピン30と位置決め穴50とが嵌合される位置で、上記ロック用凹部48内にロック用突起28が嵌入されることにより、保持部材本体16に押え部材18が装着され、この装着状態で、図2(a)に示すように上記押え壁46が電線10の中間部分を屈曲させながら凹部26の底面まで押し込むように、上記押え壁46の突出寸法が設定されるとともに、電線10が保持部材本体16から前後に突出する部分に前後壁43、44の下端面がほぼ接触するように、これら前後壁43、44の突出量が設定されている。
【0029】この保持部材本体16よりも端末に近い領域において、各電線10は下方にほぼ90°曲げられ、その端末の導体11が、プリント回路基板15に組み込まれた導体部分38の適所にはんだ付けによって直接接続されている。」(第3欄第44行?第6欄第18行、段落【0019】?【0029】)

(g)「【0030】このような直接接続によれば、従来のようにコネクタを介在させる場合に比べ、安価な構造で電線10と導体部分38との接続信頼性を著しく向上させることができる。しかも、電線10の途中部分を押え壁46で押えて屈曲させることにより、この電線10をその軸方向に移動不能に保持しているため、電線10において上記保持箇所よりも端末から遠い部分に引張力が作用しても、この引張力がそのままはんだ付け部分39に作用することはなく、良好な接続を維持することができる。
【0031】さらに、この構造では、上記押え部材18を装着した状態で、この押え部材18の前壁43及び後壁44が電線10の上方への動きを規制するため、この部分での電線10のばたつきを規制してより安定した保持状態を得ることができる利点がある。
【0032】また、後側電線溝22の幅寸法d_(2)を電線10の直径よりも小さい寸法に設定する一方、前側電線溝21の幅寸法d_(1)を電線10の直径よりも大きい寸法に設定しているため、上記後側電線溝22への圧入によって電線10の保持をより強固なものにする一方、前側電線溝21では電線10の左右方向への微小変位を許容することにより、端末接続作業をより円滑に行うことが可能となっている。」(第6欄第19?41行、段落【0030】?【0032】)

(h)上記記載事項(a)にもあるとおり、刊行物1は、「電線の端末を上記プリント回路基板の導体部分に直接接続した」ワイヤーハーネスに関するものであり、“プリント回路基板と電線との接続構造”が記載されていると認められる。

(i)刊行物1記載の電線10の端末が接続されている「導体部分38」(上記記載事項(f)の段落【0029】及び図1参照。)は、“電気回路の一部”であると認められる。
そして、図1及び図2(a)をみれば、この導体部分38に接続される導線の端末は、保持部材本体16と押え部材18とから構成される電線保持部材の“外側”に配置され、且つ、電線保持部材に“隣接して”配置されていると認められる。
また、同じく図1及び図2(a)をみれば、電線10の“一部が、電線保持部材に収容”されていると認められる。

(j)刊行物1記載の電線保持部材は、図1及び図2からみて、全体としてほぼ直方体の形状をなし、“複数の面”を有しており、その面のうちの一つである“底面”が“プリント回路基板に接触するように”して、電線保持部材がプリント回路基板に取り付けられていると認められる。

以上の記載事項及び認定事項、並びに図面の記載から総合すると、刊行物1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。
(引用発明)

「プリント回路基板15と電線10との接続構造であって、
電気回路の一部を構成する導体部分38を有する前記プリント回路基板15と、
前記プリント回路基板15に取り付けられた合成樹脂等からなる電線保持部材16及び18と、を備え、
前記電線保持部材16及び18は、複数の面を有し、その面のうちの一つである底面が前記プリント回路基板15に接触するようにして、前記プリント回路基板15に取り付けられており、
前記構造はさらに、
前記電気回路に接続された端末を有する電線10を備え、前記端末は、前記電線保持部材16及び18の外側に、且つ前記電線保持部材16及び18に隣接して配置されており、
前記電線10の一部が、前記電線保持部材16及び18に収容されている、
プリント回路基板15と電線10との接続構造。」

刊行物2:

(k)「電線口出部11の構成は発電機1に設けた奥側に段付手前側にねじ部を有する貫通穴の口出部12、これに口出ケーブル6を通した後、奥側より順次座金13、パツキング14、座金13、及びグランド15をねじ込んで前記パツキング14を押圧し隙間が生じないようにする。次にグランド15の内径部と口出ケーブル6の外形部との隙間を充填するように支持する振動強度及び防水等を補強するため、円筒状でかつ外形部に円形フランジを形成したゴムブツシユ16がグランド15の内と外に延出するように差し込み、口出ケーブル6の外方部を突出支持して口出ケーブル6に局部的な力が作用しないようにしている。・・・(略)・・・。
以上は走行振動に耐えられるようにすると共に水分等の浸入を完全に防止するものであるが構成部品が多くかつ手作業の部分も多いため非常に高価になる欠点があつた。」(第2頁左上欄第15行?同頁右上欄19行)

(l)「本発明は・・・(略)・・・、熱的体積膨張をする部材を電線口出部の電線周囲に装着し、しかる後これを加熱し体積膨張せしめ電線口出部の隙間を完全に充填する機構を用いた電気装置の電線口出部シールを備えたものである。
・・・(略)・・・。
このような口出部19に口出ケーブル6を通すものであるが、同ケーブル6が口出部19に納まる外周部には予め加熱によつて体積が増大する(常温では膨張しない)部材、例えば加熱前のナイロン系またはエポシ系などの発泡性樹脂組成物である発泡性接着シート23を施しておくものとする。
・・・(略)・・・。
しかる後、第5図の如く発泡性接着シート23を装着した部分を所定の時間と温度により加熱し、体積膨張させて発泡性樹脂組成23aを形成し口出ケーブル6と口出部19の内部隙間Sを充填させ口出ケーブル6の支持固定と電気装置内外を隔絶するものである。」(第2頁左下欄第7行?第3頁左上欄第2行)

(m)「また、発泡性接着シートが膨張組成後相手部材に接着する接着力は従来のシリコーンゴムコンパウンドに比べ数倍の値を示し完全な防水等の防塵効果を奏する他、耐振性についても膨張組成は緩衝層としても大きな役割を持ち、口出ケーブルを確実に振動保護するものである。」(第3頁右上欄第2?7行)


第4 対比・判断

本願発明と引用発明とを対比すると、後者の「プリント回路基板と電線との接続構造」は前者の「電気回路用の接続構造」に相当し、以下同様に、
後者の「電気回路の一部を構成する導体部分」は、前者の「電気回路の少なくとも一部」に、後者の「プリント回路基板」は、前者の「回路基板」に、後者の「電線」及びその「端末」は、前者の「導電体」及びその「端部」にそれぞれ相当する。

そして、前記記載事項(d)、(e)及び(g)にあるとおり(特に、下線を付した部分参照。)、後者は、電線に引張力が作用した場合にその引張力がそのままはんだ付け部分にかかり、当該部分のクラック等を引き起こすという課題を解決し、電線と導体部分との良好な接続を維持するものであるから、後者も「耐久性のある」接続構造であるという点で、前者の接続構造と一致する。

また、後者の「電線保持部材」と前者の「ストレス分散体」とは、少なくとも、後者における電線あるいは前者における導電体を保持する“保持部材”である点においては一致する。
そうすると、後者の「電線保持部材は、複数の面を有し、その面のうちの一つである底面が前記プリント回路基板に接触するようにして、前記プリント回路基板に取り付けられ」ているという構成と、前者の「ストレス分散体は、複数の側を有し、前記側のうちの一つの側に沿って前記回路基板に取り付けられ」ているという構成とは、“保持部材”が「複数の側を有し、前記側のうちの一つの側に沿って前記回路基板に取り付けられ」ているという点において一致するということができ、
後者の「前記端末は、前記電線保持部材の外側に、且つ前記電線保持部材に隣接して配置されており、前記電線の一部が、電線保持部材に収容されている」という構成と、前者の「前記端部は、前記分散体の外側に、且つ前記分散体に隣接して配置されており、前記導電体の少なくとも一部は、前記ストレス分散体の長さに沿って収容されている」という構成とは、「前記端部」が“保持部材”の「外側に」、且つ“保持部材”に「隣接して」配置されており、「導電体の少なくとも一部」が“保持部材”の「長さに沿って収容され」る点で一致するということができる。

したがって、両者は、
「電気回路用の耐久性のある接続構造であって、
電気回路の少なくとも一部を含む回路基板と、
前記回路基板に取り付けられた保持部材と、を備え、
前記保持部材は、複数の側を有し、前記側のうちの一つの側に沿って前記回路基板に取り付けられており、
前記構造はさらに、
電気回路に接続された端部を有する導電体を備え、前記端部は、前記保持部材の外側に、且つ前記保持部材に隣接して配置されており、
前記導電体の少なくとも一部は、前記保持部材の長さに沿って収容されている、
電気回路用の耐久性のある接続構造。」
である点で一致し、以下の点で相違しているものと認められる。

[相違点]
電線あるいは導電体を保持する保持部材について、本願発明は、保持部材が「ストレス分散体」であり、またそれが「予め設定された長さの弾性材料を備え」ているのに対し、引用発明は、保持部材が合成樹脂等からなる電線保持部材であって、ストレス分散体といえるものかどうか、また、弾性材料を備えているかどうか、明確でない点。

そこで、上記相違点について検討する。

引用発明における合成樹脂等からなる電線保持部材は、前記刊行物1の記載事項(d)、(e)及び(g)にあるとおり、電線を保持することによって、電線に引張力が作用した場合にその引張力がそのままはんだ付け部分にかかり、当該部分のクラック等を引き起こすという課題を解決し、電線と導体部分との良好な接続を維持するものである。

そして、電線等を保持する技術に関連して、刊行物2には、前記刊行物2の記載事項(l)及び(m)並びに刊行物2の図面からみて、口出ケーブル6の外周に発泡性接着シート23を発泡させた発泡性樹脂組成23aからなる緩衝層を設け、口出しケーブルを保持する技術が記載されており、この発泡性樹脂組成23aが弾性材料であることは自明である。さらに、当該技術に対する従来技術について、刊行物2に「ゴムブツシユ16がグランド15の内と外に延出するように差し込み、口出ケーブル6の外方部を突出支持して口出ケーブル6に局部的な力が作用しないようにしている」(前記刊行物2の記載事項(k)参照。)と記載されていることに照らして明らかなとおり、発泡性樹脂組成23aは、口出ケーブル6に局部的な力が作用しないようにするもの、すなわち、出口ケーブル6に作用するストレスを分散するものと理解できる。
要するに、刊行物2には、口出ケーブルを弾性材料で形成された部材で保持し、口出ケーブルに作用するストレスを分散するという技術が記載されていると認められる。
なお、このようなケーブル等を弾性材料で形成された部材で保持し、ケーブル等に作用するストレスを分散するという技術は、刊行物2以外にも、例えば、特開2000-184486号公報(特に、請求項2及び3、並びに段落【0003】の記載参照)、登録実用新案第3066113号公報(特に、請求項3の記載参照)、実願昭51-101648号(実開昭53-19800号)のマイクロフィルム(特に、第3頁第11?13行、第5頁第8?13行参照)にも記載されているように、周知技術ともいえるものである。

そして、引用発明と刊行物2に記載されている上記技術は、電線ないしケーブルと基板ないし端子台との接続部において電線ないしケーブルに発生する応力に対処するという点で共通ないし関連するから、引用発明において、合成樹脂等からなる電線保持部材により電線を保持するにあたり、刊行物2に記載された上記技術を適用し、電線保持部材を弾性材料で形成し、電線に作用するストレスを分散すること、すなわち電線保持部材を本願発明のような「ストレス分散体」とすることは、当業者にとって容易である。
また、電線保持部材を形成する際、それを如何なる材料で形成するにしても、電線保持部材の寸法あるいは長さを予め設定しておくことは当然のことであるから、上記周知技術を適用し、電線保持部材を弾性材料で形成すれば、自ずと、電線保持部材が「予め設定された長さの弾性材料を備え」るという構成を有することとなる。
したがって、上記相違点に係る本願発明の構成は、引用発明に刊行物2に記載された技術を適用することによって、当業者が容易に想到することができたものである。

また、本願発明が奏する効果は、引用発明、及び刊行物2に記載された技術から予測し得る程度のものに過ぎない。


第5 むすび

以上のとおり、本願発明は、引用発明、及び刊行物2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶するべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-05-13 
結審通知日 2013-05-20 
審決日 2013-06-05 
出願番号 特願2005-119386(P2005-119386)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H05K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 内田 博之  
特許庁審判長 山岸 利治
特許庁審判官 冨岡 和人
中屋 裕一郎
発明の名称 歪み耐性電気接続構造  
代理人 井野 砂里  
代理人 吉野 亮平  
代理人 弟子丸 健  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 弟子丸 健  
代理人 松下 満  
代理人 吉野 亮平  
代理人 井野 砂里  
代理人 倉澤 伊知郎  
代理人 松下 満  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 倉澤 伊知郎  

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