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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G02B
管理番号 1280597
審判番号 不服2012-25184  
総通号数 168 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-12-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-12-19 
確定日 2013-10-17 
事件の表示 特願2010-131353「撮像装置および方法、並びにプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成22年12月 2日出願公開、特開2010-271723〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成22年6月8日の出願であって、平成24年9月14日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月19日に拒絶査定に対する審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。
その後、平成25年6月12日付けで、当審による上記平成24年12月19日付けの手続補正についての補正の却下の決定がなされるとともに、拒絶理由の通知がなされ、同年8月6日に意見書及び手続補正書が提出された。

第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成25年8月6日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものと認める。
「ユーザの第1の方法による指示及び第2の方法による指示を受け付けて、表示範囲内に表示された画像に対して所定の処理をおこなう領域の位置と範囲を設定する領域設定手段を備え、
前記領域設定手段は、前記第1の方法による指示を受け付けた場合、前記第2の方法によって設定された領域の位置の中心を前記表示範囲の中央となる位置に移動して設定するとともに、前記領域の範囲を前記第2の方法によって設定されていた前記領域の範囲よりも広い所定の範囲に設定する
ことを特徴とする撮像装置。」

第3 本願の出願日
請求人は、本願が平成14年12月26日に出願した特願2007-102243号(以下「原出願」という。)の一部を新たな特許出願としたものである旨主張している。
そこで、請求人の上記主張について検討する。

1.本願発明の有する発明特定事項
本願発明は、(ユーザの)「第1の方法による指示」、「第2の方法による指示」、「所定の処理を行う領域」及び「前記領域の範囲を前記第2の方法によって設定されていた前記領域の範囲よりも広く設定する」という発明特定事項を有する。

2.原出願の明細書等の記載
原出願の願書に最初に添付された特許請求の範囲、明細書又は図面(以下「原明細書等」という。)には、上記各特定事項に関して、以下の記載が認められる。(当審注:下線は当審が付与)
(1)「【請求項1】
被写体を撮像し、前記被写体の画像を取り込む撮像手段と、
前記撮像手段による撮像範囲内の所定の第1の領域に含まれる前記被写体に合焦させる合焦手段と、
指示を受け付ける受け付け手段と、
前記受け付け手段により前記撮像範囲内における前記第1の領域の位置の指定が受け付けられていない場合、前記第1の領域の中心が前記撮像範囲の中心に位置するように前記第1の領域の位置を設定し、前記受け付け手段により前記指定が受け付けられた場合、前記第1の領域の中心が指定された位置に位置するように前記第1の領域の位置を設定する位置設定手段と、
前記位置設定手段により設定された位置に応じて、前記第1の領域の範囲を設定する範囲設定手段と、
前記受け付け手段により、前記第1の領域の設定の初期化の指示が受け付けられた場合、前記第1の領域の設定を初期化して、前記受け付け手段により前記指定が受け付けられた状態の設定から、前記指定が受け付けられていない状態の設定に戻す初期化手段と を備えることを特徴とする撮像装置。」
(2)「【請求項12】
被写体を撮像する撮像部を有する撮像装置の撮像方法において、
前記撮像部において撮像された前記被写体の画像の取り込みを制御する取り込み制御ステップと、
前記撮像部の撮像範囲内における所定の第1の領域に含まれる前記被写体に合焦させる合焦ステップと、
指示の受け付けを制御する受け付け制御ステップと、
前記受け付け制御ステップの処理により制御されて前記撮像範囲内における前記第1の領域の位置の指定が受け付けられていない場合、前記第1の領域の中心が前記撮像範囲の中心に位置するように前記第1の領域の位置を設定し、前記受け付け制御ステップの処理により制御されて前記指定が受け付けられた場合、前記第1の領域の中心が指定された位置に位置するように前記第1の領域の位置を設定する位置設定ステップと、
前記位置設定ステップの処理により設定された位置に応じて、前記第1の領域の範囲を設定する範囲設定ステップと、
前記受け付け制御ステップの処理により制御されて前記第1の領域の設定の初期化の指示が受け付けられた場合、前記第1の領域の設定を初期化して、前記指定が受け付けられた状態の設定から、前記指定が受け付けられていない状態の設定に戻す初期化ステップと
を含むことを特徴とする撮像方法。」
(3)「【請求項13】
撮像部を用いて被写体を撮像する処理をコンピュータに行わせるプログラムであって、
前記撮像部において撮像された前記被写体の画像の取り込みを制御する取り込み制御ステップと、
前記撮像部の撮像範囲内における所定の第1の領域に含まれる前記被写体に合焦させる合焦ステップと、
指示の受け付けを制御する受け付け制御ステップと、
前記受け付け制御ステップの処理により制御されて前記撮像範囲内における前記第1の領域の位置の指定が受け付けられていない場合、前記第1の領域の中心が前記撮像範囲の中心に位置するように前記第1の領域の位置を設定し、前記受け付け制御ステップの処理により制御されて前記指定が受け付けられた場合、前記第1の領域の中心が指定された位置に位置するように前記第1の領域の位置を設定する位置設定ステップと、
前記位置設定ステップの処理により設定された位置に応じて、前記第1の領域の範囲を設定する範囲設定ステップと、
前記受け付け制御ステップの処理により制御されて前記第1の領域の設定の初期化の指示が受け付けられた場合、前記第1の領域の設定を初期化して、前記指定が受け付けられた状態の設定から、前記指定が受け付けられていない状態の設定に戻す初期化ステップと
を含むことを特徴とするプログラム。」
(4)「【0001】
本発明は撮像装置および方法、並びにプログラムに関し、特に、より好適な自動合焦を行うことができるようにした、撮像装置および方法、並びにプログラムに関する。」
(5)「【0007】
しかしながら、ユーザが焦点を合わせる被写体の位置を指定した後、その位置を初期状態に戻したい場合があるという課題があった。
【0008】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、焦点を合わせる位置を初期状態に戻すことができるようにし、より好適な自動合焦を行うことができるようにしたものである。」
(6)「【0095】
常時AFモードは、AF領域内の被写体に対して、カメラ部22がTTLコントラスト検出方式によりAF処理を行うモードである。常時AFモードにおいては、AF領域の位置は、撮影画枠内においてユーザにより任意に決定される。また、AF処理は、ユーザがAF領域を移動させた時、ユーザがメイン画面220のソフトキャプチャボタン227上をタップした時、または、ユーザが図1のメカキャプチャボタン23を「半押し」した時に実行される。さらに常時AFモードにおいては、図14Aに示されるように、EVFエリア221には、AF領域の範囲を示すAF枠261が表示される。
【0096】
初期状態(ユーザがAF領域の位置を移動させていない状態)において、AF枠261の中心は、EVFエリア221の中央に配置される。このとき、AF枠261に示されるAF領域は、撮影画枠の中心からずれた被写体が、AF領域から外れてしまう、いわゆる「中抜け」を抑制するために、例えば、図14Aに示されるように、EVFエリア221の大きさが320ドット×240ドットであるのに対して、108ドット×60ドットと比較的広く設定されている。
【0097】
このとき、ユーザが図10のソフトキャプチャボタン227を操作したり、メカキャプチャボタン23を押下(全押し)したりすると、カメラ制御部210は、CPU131より供給されたAF枠261の位置情報に基づいて、AF枠261が囲むAF領域を対象として、TTLコントラスト検出方式によるAF処理等の調整処理を行った後、画像のキャプチャ処理を行う。なお、メカキャプチャボタン23を半押しした場合は、AF処理等の調整処理のみを行う。これによりユーザは、被写体をEVFエリア221の中央付近に位置させるようにPDA1を移動させ、ソフトキャプチャボタン227またはメカキャプチャボタン23を操作するだけで、被写体に焦点の合った画像を得ることができる。
【0098】
また、このAF枠261の位置は、EVFエリア221内であれば、ユーザが任意に指定することができる。すなわち、ユーザが、図14Bに示されるように、タッチペン35等を用いて、EVFエリア221上を1回タップすると、CPU131は、タッチパネル36より供給された位置情報に基づいて、ユーザがタップした位置がAF領域の中心となるように、AF枠261を移動させる。
【0099】
この場合、ユーザは、通常、焦点を合わせたい被写体をタップするので、いわゆる「中抜け」の現象が発生する可能性は低い。逆に、不必要にAF領域が広いと、AF領域内のユーザが指定した被写体と異なる被写体に焦点が合う可能性が大きくなってしまう。従って、このように、ユーザがAF枠261の位置を指定した場合、AF領域は、図14Bに示されるように、図14Aに示される場合(ユーザがAF枠261の位置を指定していない場合)のAF領域(108ドット×60ドット)より狭い範囲(30ドット×30ドット)に設定される。
【0100】
このとき、カメラ制御部210は、CPU131より供給されたAF枠261の位置情報に基づいて、AF枠261が囲むAF領域を対象として、TTLコントラスト検出方式によるAF処理を行う。合焦すると、CPU131は、ユーザに通知するために、図14Cに示されるように、EVFエリア221に表示されているAF枠261を所定の時間点滅させる。
【0101】
そして、ユーザが図10のソフトキャプチャボタン227を操作したり、メカキャプチャボタン23を押下(全押し)したりすると、カメラ制御部210は、CPU131より供給されたAF枠261の位置情報に基づいて、AF枠261が囲む領域を対象として、TTLコントラスト検出方式によるオートフォーカス処理を行った後、画像のキャプチャ処理を行う。なお、メカキャプチャボタン23を半分押下する「半押し」した場合は、オートフォーカス処理のみを行う。以上のようにして、ユーザは、被写体がEVFエリア221のどこに位置していても、その被写体に焦点を合わせた画像を容易に得ることができる。
【0102】
AF枠261(AF領域)を初期状態(図14Aに示される状態)に戻したい場合、ユーザは、EVFエリア221上において、ダブルタップを行う。CPU131は、タッチパネル36より供給された、ユーザがダブルタップを行ったことを示す情報に基づいて、表示制御部136を制御して、LCD28に表示されているAF枠261を初期状態に戻し、カメラ制御部210を制御して、AF処理を実行させる。」
(7)「【0125】
次に、図16および図17のフローチャートを参照して、常時AFモードにおけるAF処理である常時AF処理について説明する。図14Aを参照して上述したように、常時AFモードの初期状態(ユーザがAF枠261の位置を指定していない状態)において、EVFエリア221には、広めのAF領域の範囲を示す第1のサイズのAF枠261が、その中心がEVFエリア221の中心に位置するように、設けられている。
【0126】
CPU131は、ステップS21において、タッチパネル36を制御し、図14Bに示されるように、ユーザによりAF枠261の位置が指定されたか否かを判定する。ユーザがLCD28のEVFエリア221上を1回タップすると、タッチパネル36は、それを検出し、CPU131にその位置情報を供給する。
【0127】
タッチパネル36よりタップされた位置の位置情報が供給され、AF枠261の位置が指定されたと判定した場合、CPU131は、ステップS22に処理を進め、供給された位置情報に基づいて、第1のサイズより小さい第2のサイズのAF枠を指定された位置に配置する。」
(8)「【0131】
ステップS25において、タッチパネル36を制御し、ユーザによりAF枠261の初期化が指示されたか否かを判定する。ユーザがLCD28のEVFエリア221上をダブルタップすると、タッチパネル36は、それを検出し、CPU131にその情報を供給する。
【0132】
タッチパネル36よりダブルタップの情報が供給され、AF枠261の初期化が指示されたと判定した場合、CPU131は、ステップS26に処理を進め、第1のサイズのAF枠を初期の位置に配置する。すなわち、CPU131は、AF領域の中心がEVFエリア221の中心にくるような位置に、AF枠261を配置する。」
(9)「【0152】
図19のステップS67において、CPU131は、タッチパネル36を制御し、ユーザによりAF枠261の初期化が指示されたか否かを判定する。ユーザがLCD28のEVFエリア221上をダブルタップすると、タッチパネル36は、それを検出し、CPU131にその情報を供給する。
【0153】
タッチパネル36よりダブルタップの情報が供給され、AF枠261の初期化が指示されたと判定した場合、CPU131は、ステップS68に処理を進め、第1のサイズのAF枠を初期の位置に配置する。すなわち、CPU131は、AF領域の中心がEVFエリア221の中心にくるような位置に、AF枠261を配置する。」
(10)「【0161】
以上においては、AF処理について説明したが、露光調整(AE処理)時に、狭い領域に対して測光処理を行うスポット測光の際に、撮影画枠の中心だけでなく、上述したAF領域のようにユーザがその位置を指定することができるようにしてもよい。」
(11)「【0165】
通常のAE処理は、図21Aに示されるように、EVFエリア221(撮影画枠)のほぼ全域であるAE領域361を対象として行われる。図20において、ユーザがスポット測光モードを設定すると、AE領域361は、図21Bに示されるように、図21Aの場合より狭くなり、AE領域の中心を示すAE処理は、この狭いAE領域361を対象として行われる。
【0166】
また、スポット測光モード時は、EVFエリア221に、AE領域361の中心を示すスポット測光用ポインタ260が表示される。
【0167】
なお、この初期状態の場合(ユーザがAE領域361の位置を指定していない場合)、AE領域361は、その中心がEVFエリア221(撮影画枠)の中心に位置するように配置される。」
(12)「【0170】
また、このAE枠361の位置は、EVFエリア221内であれば、ユーザが任意に指定することができる。すなわち、ユーザが、図21Cに示されるように、タッチペン35等を用いて、EVFエリア221上を1回タップすると、CPU131は、タッチパネル36より供給された位置情報に基づいて、ユーザがタップした位置がAE領域361の中心となるように、スポット測光用ポインタ260を移動させ、そのAE領域361を対象としたAE処理をカメラ部22に実行させる。
【0171】
AE領域361を初期状態(図21Aに示される状態)に戻したい場合、ユーザは、EVFエリア221上において、ダブルタップを行う。CPU131は、タッチパネル36より供給された、ユーザがダブルタップを行ったことを示す情報に基づいて、AE領域を初期化するとともに、表示制御部136を制御して、LCD28に表示されているスポット測光用ポインタ260を初期状態に戻し、カメラ制御部210を制御して、AE処理を実行させる。
【0172】
なお、図21Dに示されるように、上述した常時AFモードまたはワンショットAFモードにおいて、ユーザがAF枠261を移動させた際に、スポット測光用ポインタ260がAF領域の中心に位置するように、AE領域361も同様に移動させるようにしてもよい。」
(13)「【0218】
CPU131は、ステップS151において、タッチパネル36を制御し、図21Dに示されるように、ユーザによりAF枠261の位置が指定されたか否かを判定する。ユーザがLCD28のEVFエリア221上を1回タップすると、タッチパネル36は、それを検出し、CPU131にその位置情報を供給する。」
(14)「【0227】
図27のステップS159において、CPU131は、タッチパネル36を制御し、ユーザによりAF枠261の初期化が指示されたか否かを判定する。ユーザがLCD28のEVFエリア221上をダブルタップすると、タッチパネル36は、それを検出し、CPU131にその情報を供給する。
【0228】
タッチパネル36よりダブルタップの情報が供給され、AF枠261の初期化が指示されたと判定した場合、CPU131は、ステップS160に処理を進め、第1のサイズのAF枠を初期の位置に配置する。」
(15)「【0242】
また、ユーザによるAF領域やAE領域の位置の指定は、ユーザがEVFエリア221上をダブルタップした場合に、初期化されるように説明したが、これに限らず、ユーザが、所定の時間より長時間EVFエリア221上をタップした場合に初期化されるようにしてもよいし、静止画像がキャプチャされた場合に初期化されるようにしてもよいし、これらのうち、いずれかの場合に初期化されるようにしてもよい。」
(16)「【0244】
従って、上述した例のように、ディスプレイにタッチパネルが重畳されていなくても、例えば、十字キー等のような、AF枠261やスポット測光用ポインタの位置を自在に移動させることのできる入力部を備えた電子機器であればよいが、特に、ディスプレイにタッチパネルが重畳された、撮像機能を有するPDAやノート型パーソナルコンピュータ等の場合、AF枠261やスポット測光用ポインタの操作をより容易に行うことができる。」

3.原明細書等の記載と各特定事項の関係
上記各摘記事項を参酌して本願発明の上記各発明特定事項と原明細書等の記載との対応関係を見ていくと、「第1の方法による指示」は「タッチパネルをダブルタップすること」、「第2の方法による指示」は「タッチパネルをタップすること」、「所定の処理を行う領域」は「AF領域又はAE領域」及び「前記領域の範囲を前記第2の方法によって設定されていた前記領域の範囲よりも広く設定する」ことは「AF領域又はAE領域を初期状態に戻す」ことに、それぞれ相当することが分かる。

4.判断
原明細書等の記載によれば、ユーザがAF領域の位置を移動させていない初期状態においてAF枠の中心がEVFエリアの中央に配置され、しかもAF領域が比較的広く設定されているのは、ユーザが焦点を合わせたい位置を指定していない状態でいわゆる「中抜け」を抑制できるように、いわば汎用性を持たせているからであることがわかる(上記摘記事項(6)の段落【0096】参照)。
これと反対に、ユーザがAF枠の位置を指定した場合は、その位置に焦点を合わせたい被写体があるから「中抜け」の発生する可能性は低く、逆にAF領域が広いとユーザが指定した被写体と異なる被写体に焦点が合う可能性がある(上記摘記事項(6)の段落【0098】?【0099】参照)。
すなわち、原明細書等の記載に基づく限り、「第1の方法による指示によって設定される領域」が「第2の方法による指示によって設定される領域」より広い範囲に設定されるのは、それらの領域が、それぞれ「ユーザが位置を指定していない初期状態の領域」と「ユーザが位置を指定した領域」との関係にあるからに他ならない。
これに対して、本願発明が「第2の方法により移動された状態の領域を、第1の方法の指示によって表示領域の中央に移動すること、かつ、第2の方法により移動された状態のときよりも広い、所定の広さにすることを特徴とする」上記の関係にない任意の2つの領域を含むことは明らかである。
本願発明が原明細書等に包含されるかどうかは原明細書等の記載に基づいて定められるべきものであるところ、上述のとおり、本願発明の上記のような技術思想は原明細書等に記載されていないばかりか、示唆もされていない。
しかも、そのような事項が原出願の出願時点において当業者にとって自明の事項であるとする根拠もない。
以上のことから、本願発明は原明細書等に記載された事項を超える事項を含むものである。

5.小括
以上のとおりであるから、本願が特許法第44条第1項の規定による特許出願であるとすることはできない。
したがって、本願の出願日は本願が実際に出願された平成22年6月8日であると認める。

第4 引用刊行物

1.引用文献1:特開2007-249222号公報(上記「第3」で検討した原出願の公開公報)
当審の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である、上記引用文献1には、上記「第3」の「2.」のとおりの記載がある。

これらの記載事項を含む引用文献1全体の記載及び当業者の技術常識を総合すれば、引用文献1には、以下の発明が記載されているものと認められる。
「常時AFモードにおいては、EVFエリア(221)には、AF領域の範囲を示すAF枠(261)が表示される撮像装置において、
ユーザがAF領域の位置を移動させていない初期状態において、AF枠の中心は、EVFエリアの中央に配置され、このときAF枠に示されるAF領域は108ドット×60ドットと比較的広く設定されており、
ユーザがタッチペン(35)等を用いて、EVFエリア上を1回タップすると、CPU(131)は、タッチパネル(36)より供給された位置情報に基づいて、ユーザがタップした位置がAF領域の中心となるようにAF枠を移動させ、このように、ユーザがAF枠の位置を指定した場合、AF領域はユーザがAF枠の位置を指定していない場合のAF領域(108ドット×60ドット)より狭い範囲(30ドット×30ドット)に設定され、
AF領域を初期状態に戻したい場合、ユーザは、EVFエリア上において、ダブルタップを行うとCPUは、タッチパネルより供給された、ユーザがダブルタップを行ったことを示す情報に基づいて、表示制御部(136)を制御して、LCD(28)に表示されているAF枠を初期状態に戻し、カメラ制御部(210)を制御して、AF処理を実行させる撮像装置。」(以下「引用発明」という。)

第5 対比・判断

1.対比
本願発明と、上記引用発明を対比する。
(1)引用発明の「ユーザは、EVFエリア上において、ダブルタップを行う」こと及び「ユーザがタッチペン等を用いて、EVFエリア上を1回タップする」ことは、それぞれ本願発明の「ユーザの第1の方法による指示」及び「第2の方法による指示」に相当する。
(2)同様に、「EVFエリア」は「表示範囲」に、「ユーザがタップした位置がAF領域の中心となるようにAF枠を移動させ」及び「ユーザがダブルタップを行ったことを示す情報に基づいて、表示制御部を制御して、LCDに表示されているAF枠を初期状態に戻」すことは「表示された画像に対して所定の処理をおこなう」ことに、それぞれ相当する。
したがって、引用発明の「CPU」は、本願発明の「所定の処理をおこなう領域の位置と範囲を設定する領域設定手段」に相当する。
(3)引用発明は「ユーザがAF領域の位置を移動させていない初期状態において、AF枠の中心は、EVFエリアの中央に配置され」ているから、「ユーザがダブルタップを行ったことを示す情報に基づいて、表示制御部を制御して、LCDに表示されているAF枠を初期状態に戻し」た場合、「AF枠の中心は、EVFエリアの中央に配置され」ることになる。
すなわち、引用発明は本願発明の「第1の方法による指示を受け付けた場合、前記第2の方法によって設定された領域の位置の中心を前記表示範囲の中央となる位置に移動して設定する」構成に相当する構成を有する。
(4)引用発明の「ユーザがAF枠の位置を指定していない場合のAF領域(108ドット×60ドット)」(本願発明の「第1の方法による指示を受け付けた場合に設定される領域」に相当)は、「ユーザがAF枠の位置を指定した場合のAF領域((30ドット×30ドット)」(同「第2の方法によって設定されていた前記領域」に相当)より広い範囲を有する。
したがって、引用発明は本願発明の「第1の方法による指示を受け付けた場合、前記領域の範囲を前記第2の方法によって設定されていた前記領域の範囲よりも広い所定の範囲に設定する」に相当する構成を有する。

したがって両者は、
「ユーザの第1の方法による指示及び第2の方法による指示を受け付けて、表示範囲内に表示された画像に対して所定の処理をおこなう領域の位置と範囲を設定する領域設定手段を備え、
前記領域設定手段は、前記第1の方法による指示を受け付けた場合、前記第2の方法によって設定された領域の位置の中心を前記表示範囲の中央となる位置に移動して設定するとともに、前記領域の範囲を前記第2の方法によって設定されていた前記領域の範囲よりも広い所定の範囲に設定する
撮像装置。」である点で一致し、相違点はない。

2.判断
してみると、本願発明は引用発明である。

第6 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は引用発明であり、特許法第29条1項第3号に規定する発明であるから特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-08-21 
結審通知日 2013-08-22 
審決日 2013-09-04 
出願番号 特願2010-131353(P2010-131353)
審決分類 P 1 8・ 113- WZ (G02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鉄 豊郎  
特許庁審判長 神 悦彦
特許庁審判官 伊藤 昌哉
北川 清伸
発明の名称 撮像装置および方法、並びにプログラム  
代理人 稲本 義雄  
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