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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F02B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F02B
管理番号 1280598
審判番号 不服2012-25421  
総通号数 168 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-12-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-12-21 
確定日 2013-10-17 
事件の表示 特願2008-319104「ガスエンジンの予燃焼器」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 7月 1日出願公開,特開2010-144516〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本件に係る特許出願(以下,「本願」と言う。)は,平成20年12月16日の出願であって,平成24年9月19日付けで拒絶査定がされ,これに対して,平成24年12月21日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに同日付けで手続補正がされたものである。

2.平成24年12月21日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成24年12月21日付けの手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
(1)本件補正後の本願発明
本件補正により,特許請求の範囲の請求項1は,次のように補正された。
ア.本件補正前
「【請求項1】
シリンダヘッドの主燃焼室と連通口により連通した予燃焼室を有するガスエンジンの予燃焼器であって,予燃焼室と主燃焼室を連通する連通口が,予燃焼室の軸中心に対してオフセット配置したオフセット口により形成され,主燃焼室内の加圧混合気がオフセット口により予燃焼室内に旋回流を形成して導入されるようにしてあり,前記オフセット口は予燃焼室の内部から外方へ向かって下り勾配に形成してあり,前記予燃焼室に液体燃料を噴射するための液体燃料噴射弁を有することを特徴とするガスエンジンの予燃焼器。」(平成24年9月3日付け手続補正書参照。)
イ.本件補正後
「【請求項1】
シリンダヘッドの主燃焼室と連通口により連通した予燃焼室を有するガスエンジンの予燃焼器であって,予燃焼室と主燃焼室を連通する連通口が,予燃焼室の軸中心に対してオフセット配置したオフセット口により形成され,主燃焼室内の加圧混合気がオフセット口により予燃焼室内に旋回流を形成して導入されるようにしてあり,前記オフセット口は予燃焼室の内部から外方へ向かって下り勾配に形成してあり,前記主燃焼室の加圧混合気がオフセット口から予燃焼室内に導入されて旋回流を形成することにより予燃焼室内の残留ガスと均一に混合されたところへ液体燃料を噴射する液体燃料噴射弁を有することを特徴とするガスエンジンの予燃焼器。」(下線は,補正事項を示すために当審が付したものである。)

上記補正は,補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「液体燃料噴射弁」について,それが「前記主燃焼室の加圧混合気がオフセット口から予燃焼室内に導入されて旋回流を形成することにより予燃焼室内の残留ガスと均一に混合されたところへ液体燃料を噴射する」ものであるという限定事項が付加されたものであって,特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで,本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」と言う。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)刊行物
ア.原査定の拒絶の理由に引用文献2として示された特開2006-132478号公報(以下「刊行物1」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。
・「【背景技術】
【0002】
図6は,液体燃料噴射弁から副室の内部に形成された空気流中に液体燃料を噴射して着火燃焼せしめることにより生成された燃焼火炎を,主燃焼室内に噴出せしめて主燃焼室内の混合気を燃焼するように構成されたパイロット着火式ガスエンジンの1例を示す燃焼室周りの要部概略構造図である。
図6において,101はピストン,102はシリンダライナ,103はシリンダヘッド,104は前記ピストン101の上部に形成された主燃焼室,106は給気ポート,108は該給気ポート106を開閉する給気弁,107は排気ポート,109は該排気ポート107を開閉する排気弁である。
110は前記シリンダヘッド103に固定された副室口金,105は該副室口金110内に形成された副室,111は該副室105と前記主燃焼室104とを連通する副室噴口,112は前記副室105内に軽油等の液体燃料を噴射する液体燃料噴射弁,113は該液体燃料噴射弁112に液体燃料を供給するための液体燃料管である。
【0003】
かかるパイロット着火式ガスエンジンの運転時において,前記液体燃料噴射弁112から副室105の内部に形成された空気流中に軽油等の液体燃料を噴射して(9は液体燃料噴霧)該液体燃料を着火燃焼せしめ,この着火火炎を前記副室噴口111から該主燃焼室104内に噴出せしめる。
該主燃焼室104内には,前記給気弁108の開弁により燃料ガスと空気との希薄混合気が導入されており,前記着火火炎の該主燃焼室104内への噴出により該希薄混合気を燃焼せしめる。」

・図6の記載内容も合わせると,副室噴口111は,副室105の内部から外方へ向かって下り勾配に形成してあることが理解できる。

上述した事項及び図6の記載内容をふまえると,刊行物1には,次の発明が記載されていると認めることができる(以下,この発明を「刊行物1記載の発明」と言う。)。
「シリンダヘッド103の主燃焼室104と副室噴口111により連通した副室105を有するパイロット式着火式ガスエンジンの副室105であって,副室105と主燃焼室104を連通する副室噴口111が,副室105の内部から外方へ向かって下り勾配に形成してあり,液体燃料を噴射する液体燃料噴射弁112を有するガスエンジンの副室。」

イ.原査定の拒絶の理由に引用文献2とともに引用文献1として示された特開2006-177249号公報(以下「刊行物2」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている。
・「【0009】
<本発明の前提となる副室式内燃機関の構成及び動作>
本発明の前提となる副室式内燃機関1の構成及び動作について,図1?図6を参照しながら説明する。
【0010】
(副室式内燃機関の概略構成)
図1に,副室式内燃機関1の断面図を示す。
【0011】
副室式内燃機関1は,主として,主燃焼室63,副燃焼室61,点火栓29,第1連通路62a,62b,62c,62d(以下,62a?62dとする),シリンダブロック10,シリンダヘッド20,ピストン3,燃料噴射弁27,吸気ポート23,排気ポート24,吸気バルブ21,排気バルブ22,吸気用カム25及び排気用カム26を備える。
【0012】
主燃焼室63は,シリンダブロック10,シリンダヘッド20及びピストン3に囲まれた室である。副燃焼室61は,主燃焼室63に隣接して設けられており,副燃焼室壁64に囲まれた室である。副燃焼室61は,軸CAを中心軸とする略円筒形状である。点火栓29の先端部分(点火部)29aは,副燃焼室61に突出している。第1連通路62a?62dは,主燃焼室63と副燃焼室61とを連通している。
【0013】
吸気ポート23及び排気ポート24は,それぞれ,シリンダヘッド20に形成されている。吸気バルブ21は,吸気ポート23の下流部分であって主燃焼室63の入口に位置している。排気バルブ22は,排気ポート24の上流部分であって主燃焼室63の出口に位置している。吸気用カム25及び排気用カム26は,それぞれ,吸気バルブ21及び排気バルブ22の上部に位置しており,クランク軸の回転に従って回転することで吸気バルブ21及び排気バルブ22を開閉させる。燃料噴射弁27は,吸気ポート23を貫通するように設けられている。燃料噴射弁27の先端は,吸気ポート23に突出している。
【0014】
(副室式内燃機関の概略動作)
副室式内燃機関1では,吸気ポート23に導入された新気空気に,燃料噴射弁27から燃料が噴射され,新気混合気が形成される。そして,吸気行程において,吸気用カム25により吸気バルブ21は開状態とされ,新気混合気は吸気ポート23から主燃焼室63へ導入される。吸気ポート23から導入された新気混合気は,主燃焼室63において概ね均質になる。
【0015】
圧縮行程において,主燃焼室63で新気混合気が圧縮されるとともに,主燃焼室63の均質な新気混合気の一部は,第1連通路62a?62dを介して主燃焼室63から副燃焼室61へ導入される。
【0016】
副燃焼室61では,点火栓29の先端部分29aにより新気混合気が所定のタイミングで火花点火され,火花点火された燃焼ガス(以下,火炎とする)が,第1連通路62a?62dを介して副燃焼室61から主燃焼室63へトーチ状に放射される。主燃焼室63の均質な新気混合気は,火炎によりトーチ点火され,燃焼する。
【0017】
膨張行程において,均質な新気混合気が燃焼して発生した燃焼圧力によって,ピストン3が押し下げられる。
【0018】
排気行程において,排気用カム26により排気バルブ22は開状態とされ,主燃焼室63で燃焼された後のガス(以下,既燃ガスとする)は,主燃焼室63から排気ポート24へ排出される。
【0019】
(副燃焼室の詳細構成)
図2,図4及び図6に,副燃焼室61の拡大断面図を示す。図2,図4及び図6に示す断面図は,副燃焼室61の中心軸CA方向における断面図である。図3は,図2に示す III-III断面図である。図5は,図4におけるV-V断面図である。なお,図4,図6に示す断面図において,点火栓29は省略されている。
【0020】
副燃焼室61は,図2に示すように,副燃焼室壁64に囲まれた室である。副燃焼室61は,略円筒形状である。副燃焼室61には,第1連通路62a?62dと対向する位置であって上部の位置に点火栓29が設けられている。点火栓29の先端部分29aは,副燃焼室61の内部において副燃焼室61の中心軸CAの近傍で且つ主燃焼室63から離れた位置に配置されている。点火栓29の先端部分29aは,副燃焼室61に突出している。
【0021】
また,図3に示すように,副燃焼室壁64には,第1連通路62a?62dが形成されている。第1連通路62a?62dは,シリンダ軸(図示せず)に垂直な断面視において,副燃焼室61の中心軸CAに対してオフセットされている。第1連通路62a?62dは,副燃焼室61の半径方向Rに対して傾斜している。ここで,半径方向Rは,シリンダ軸(図示せず)に垂直な断面視において,副燃焼室61の中心軸CAから放射状に延びる方向である。
【0022】
(副燃焼室の詳細動作)
図2及び図3に示すように,圧縮行程において,均質な新気混合気は,第1連通路62a?62dを介して主燃焼室63から副燃焼室61へ導入される。第1連通路62a?62dは,シリンダ軸(図示せず)に垂直な断面視において,副燃焼室61の中心軸CAに対してオフセットされており,副燃焼室61の半径方向Rに対して傾斜している。また,副燃焼室61は,略円筒形状である。このため,新気混合気の流れA81a,A81b,A81c,A81d(以下,A81a?A81dとする)は,図2の点線の矢印に示すように,副燃焼室61の内周面73jに沿って旋回流A81eを形成する。
【0023】
図4に示すように,新気混合気は,旋回流A81eを形成しながら,第1連通路62a?62dから点火栓29の先端部分29aがある上方へと上昇していく(流れA81f,A81u参照)。この旋回流A81eは,副燃焼室壁64の上部近傍において,中心軸CAの方向へと導かれる。そして,旋回流A81eは,中心軸CAの近傍を旋回しながら下方へと降下していく(流れA81f,A81u参照)。これにより,副燃焼室61に導入された新気混合気と副燃焼室61内の残留ガスとの混合が促進されるので,第1連通路62a?62dの近傍以外の領域61aと第1連通路62a?62dの近傍の領域61bとは,空燃比においてほとんど差がなくなっている。このため,副燃焼室61の空燃比が新気混合気の空燃比よりも実質的にリーンになるので,副燃焼室61における点火は不安定になり,副燃焼室61における燃焼も不安定になる。なお,図4では,色の濃さにより残留ガスの濃度が示されている。
【0024】
ここで,旋回流A81eを中心軸CAに垂直な方向から見ると図5のようになる。すなわち,旋回流A81eは,内周面73jに沿った旋回流A81eaと,中心軸CAの近傍を旋回する旋回流A81ebとを有することになる。このように,上昇する旋回流A81eaと下降する旋回流A81ebとは,それぞれ,中心軸CAに対して対称に形成されているので,安定している。ただし,図6に示す第1連通路62a?62dの近傍の領域61dでは,乱れが強くなっている。一方,第1連通路62a?62dの近傍以外の領域61cでは,乱れが小さくなっている。なお,図6では,色の濃さにより乱れの強さが示されている。
【0025】
点火栓29の先端部分29aは,スパークを発生させて新気混合気を火花点火する。火花点火された新気混合気は,火炎として,旋回流A81eにより迅速に第1連通路62a?62dへ到達する。すなわち,火花点火された火炎が迅速に第1連通路62a?62dへ到達するので,副燃焼室61において新気混合気が点火されてから主燃焼室63へ火炎が放射されるまでの期間は短縮される。
【0026】
第1連通路62a?62dへ到達した火炎は,第1連通路62a?62dを介して,副燃焼室61から主燃焼室63へとトーチ状に放射される。ここで,第1連通路62a?62dが点火栓29に対して主燃焼室63側に設けられているので,火炎は副燃焼室61から主燃焼室63へと向かう方向(図1における斜め下方向)へ放射される。すなわち,火炎は,副燃焼室61から主燃焼室63へ効率よく放射される。」

(3)対比・判断
ア.本願補正発明と刊行物1記載の発明を対比する。
刊行物1記載の発明の「副室105」,「副室噴口111」,「パイロット式着火式ガスエンジン」は,それぞれ,本願補正発明の「予燃焼室」,「連通口」,「ガスエンジン」に相当する。
そうすると,両者の一致点及び相違点は,次のとおりである。
[一致点]
「シリンダヘッドの主燃焼室と連通口により連通した予燃焼室を有するガスエンジンの予燃焼器であって,予燃焼器と主燃焼室を連通する連通口が,予燃焼器の内部から外方へ向かって下り勾配に形成してあり,液体燃料を噴射する液体燃料噴射弁を有するガスエンジンの予燃焼器。」
[相違点1]
連通口が,本願補正発明では,予燃焼室の軸中心に対してオフセット配置したオフセット口により形成され,主燃焼室内の加圧混合気がオフセット口により予燃焼室内に旋回流を形成して導入されるようにしてあるのに対して,刊行物1記載の発明では,そのような構成を備えていない点。
[相違点2]
液体燃料噴射弁による液体燃料の噴射について,本願補正発明では,主燃焼室の加圧混合気がオフセット口から予燃焼室内に導入されて旋回流を形成することにより予燃焼室内の残留ガスと均一に混合されたところへ液体燃料を噴射するとされているのに対して,刊行物1記載の発明では,そのように特定されているものではない点。

イ.相違点について検討する。
(ア)相違点1について
a.ガスエンジンに用いられる予燃焼器として,液体燃料噴射弁を備えたタイプと火花点火器を備えたタイプがあることは,本願の明細書にも記載されているように,当業者に良く知られており,そのどちらを用いるかは,当業者が適宜選択し得ることである。そして,そのどちらのタイプにおいても,均一的に燃焼を行わせることが望ましいことは,自明な事項である。
刊行物1記載の発明は,これらのうち液体燃料噴射弁を備えたタイプに属するものであるが,その構造上,副室(予燃焼室)内では,残留ガスと主燃焼室内で形成された加圧混合気とが混合された上で,液体燃料噴射弁から液体燃料が噴射されるものである。
そして,副室内で燃焼に係る流体を良く混合させること自体は,例えば,特開平6-173687号公報や特開平7-208170号公報に記載されるように,一般的な技術課題である。
b.刊行物2には,「内燃機関に副室を設け,副室内に点火栓を設けるとともに,主燃焼室と副室とを連通させる連通路を,副室の中心軸に対してオフセット配置させ,主燃焼室内の混合気が連通路により副室内に旋回流を形成して導入されるようにしたこと。」(以下,これを「刊行物2記載の技術的事項」と言う。)が記載されており,これにより,副室内での混合気と残留ガスの混合が促進されるものである。
ちなみに,主燃焼室内の混合気が副室内に旋回流を形成して導入されるようにすること自体は,刊行物2以外にも,例えば,実願平1-101822号(実開平3-42025号)のマイクロフィルム(とりわけ第6,7図に示された構成にも留意のこと。)にも記載されており,周知の技術的事項とも言い得る事項である。
c.液体燃料噴射弁を備えた刊行物1記載の発明にあっても,均一的に燃焼を行わせることが望ましいことは,自明というべきなのであるから,副室(予燃焼室)内での残留ガスと主燃焼室内で形成された加圧混合気との混合を促進させることは,当業者にとって設計上当然考慮すべき事項と言える。
そして,刊行物2記載の技術的事項は,ガスエンジンに用いられる予燃焼器としては,刊行物1記載の発明のものと異なるタイプに係るものではあるが,それを刊行物1記載の発明のような液体燃料噴射弁を備えたタイプのものに適用すること自体は,当業者にとっての格別の着想とは言えない。
しかも,刊行物1記載の発明において刊行物2記載の技術的事項を適用して連通口を予燃焼室の軸中心に対してオフセット配置させること自体に,格別な困難さが存在するものでもない。
そうしてみると,刊行物1記載の発明において,副室(予燃焼室)内での残留ガスと主燃焼室内で形成された加圧混合気との混合を促進させるべく,刊行物2記載の技術的事項を適用し,連通口を予燃焼室の軸中心に対してオフセット配置して相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項を採用することは,当業者にとって格別の創意工夫と言うことはできない。
なお,請求人は,平成25年7月8日付け回答書において,引用文献3(本審決における刊行物2)に記載されたエンジンの予燃焼器の構成は,引用文献1(本審決における刊行物1)には適用できない旨主張しているが,刊行物2では,混合が促進されることにより新たな問題が生じることが認識されているものの,そうであるからといってそのような混合のさせ方自体が回避されるべきものと評価されているわけではなく,かえって,それを前提とした更なる創意をしたと解されるものであるから,刊行物1記載の発明において刊行物2記載の技術的事項の利点を利用しようと着想すること自体が不合理であると言うことにはならず,また,そのような着想の下に構成された液体燃料噴射弁を備えたタイプの予燃焼器が技術的に不合理なものであるとも言えないから,かかる請求人の主張を採用することはできない。
(イ)相違点2について
刊行物1記載の発明も,主燃焼室の加圧混合気が副室噴口(連通口)から副室(予燃焼室)内に導入されて副室(予燃焼室)内の残留ガスと混合されたところへ液体燃料を噴射するものと理解されるから,刊行物1記載の発明において,前記相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項を採用すれば,当然,液体燃料噴射弁による液体燃料の噴射は,主燃焼室の加圧混合気がオフセット口から予燃焼室内に導入されて旋回流を形成することにより予燃焼室内の残留ガスと均一に混合されたところへ行われることになる。すなわち,相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項は,刊行物1記載の発明において,当業者が前記相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項を採用すれば,それにあわせて採用することになる事項と言える。
(ウ)以上からすると,上記相違点にかかわらず,本願補正発明の発明特定事項は,刊行物1記載の発明及び刊行物2記載の技術的事項に基づいて,当業者が容易に想到し得たものである。
しかも,本願補正発明の発明特定事項によって,刊行物1記載の発明及び刊行物2記載の技術的事項からみて格別顕著な効果が奏されると言うこともできない。

ウ.以上を踏まえると,本願補正発明は,刊行物1記載の発明及び刊行物2記載の技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明し得たものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

エ.まとめ
よって,本件補正は,平成18年改正前特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
(1)本願発明
平成24年12月21日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので,本件に係る出願の各請求項に係る発明は,原審において提出された平成24年9月3日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲に記載されたとおりのものであるところ,その請求項1は「2.(1)ア.」に記載したとおりである。以下,この請求項1に係る発明を「本願発明」という。

2.刊行物
刊行物1,2及びその記載事項並びに刊行物1記載の発明は,「2.(2)」に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は,「2.」で検討した本願補正発明から前記の限定事項を省いたものに相当する。
そうすると,本願発明の発明特定事項をすべて含み,さらに他の発明特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が,「2.(3)」において検討したとおり,刊行物1記載の発明及び刊行物2記載の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,同様の理由により,刊行物1記載の発明及び刊行物2記載の技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものと言うことができる。

4.むすび
以上のとおりであるから,本願発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,その余の請求項について検討するまでもなく,本願は,拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-08-15 
結審通知日 2013-08-20 
審決日 2013-09-02 
出願番号 特願2008-319104(P2008-319104)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F02B)
P 1 8・ 575- Z (F02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 二之湯 正俊  
特許庁審判長 新海 岳
特許庁審判官 平城 俊雅
槙原 進
発明の名称 ガスエンジンの予燃焼器  
代理人 特許業務法人山田特許事務所  
代理人 特許業務法人山田特許事務所  
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