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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C08L 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 C08L |
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管理番号 | 1280605 |
審判番号 | 不服2013-9556 |
総通号数 | 168 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-12-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-05-24 |
確定日 | 2013-10-17 |
事件の表示 | 特願2006-192560「ポリプロピレン系樹脂組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 1月31日出願公開、特開2008- 19346〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、平成18年7月13日の出願であって、平成23年9月15日付けで拒絶理由が通知され、同年11月18日に意見書とともに手続補正書が提出され、平成24年5月30日付けで拒絶理由が通知され、同年8月3日に意見書とともに手続補正書が提出されたが、平成25年2月22日付けで拒絶査定がなされ、同年5月24日に拒絶査定不服審判が請求され、同年7月4日に手続補正書(方式)が提出されたものである。 第2.本願発明 本願の請求項1?4に係る発明は、平成24年8月3日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲及び明細書(以下、「本願明細書」という。)並びに図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定されるとおりのものと認められ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は以下のとおりである。 「ポリプロピレン樹脂(A)93?50重量%と、 炭素数4?12のα-オレフィンとエチレンとを含有し、密度が0.850?0.870g/cm^(3)、メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が0.05?1g/10分であるエチレン-α-オレフィン共重合体ゴム(B)1?25重量%と、 炭素数4?12のα-オレフィンとエチレンとを含有し、密度が0.850?0.870g/cm^(3)、メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が2?20g/10分であるエチレン-α-オレフィン共重合体ゴム(C)1?25重量%と、 無機充填剤(D)5?18重量%未満とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物(ただし、ポリプロピレン系樹脂組成物の全量を100重量%とする)であって、 前記ポリプロピレン樹脂(A)が、下記の要件(1)と(2)と(3)と(4)とを満足する結晶性プロピレン-エチレンブロック共重合体(A-1)、または、前記ブロック共重合体(A-1)と結晶性プロピレン単独重合体(A-2)とを含有する重合体混合物(A-3)であり、 エチレン-α-オレフィン共重合体ゴム(B)の重量とエチレン-α-オレフィン共重合体ゴム(C)の重量との合計を100重量%としたときに、前記ゴム(B)の含有割合(B_(W)、重量%)と前記ゴム(C)の含有割合(C_(W)、重量%)との比(B_(W)/C_(W))が、35/65?45/55(重量%/重量%)である ポリプロピレン系樹脂組成物。 要件(1): 前記ブロック共重合体(A-1)は、結晶性ポリプロピレン部分55?90重量%と、プロピレン-エチレンランダム共重合体部分10?45重量%とを含有する結晶性プロピレン-エチレンブロック共重合体である(ただし、前記ブロック共重合体の全量を100重量%とする)。 要件(2): 前記ブロック共重合体(A-1)の結晶性ポリプロピレン部分が、 プロピレン単独重合体、または、 エチレンおよび炭素数4以上のα-オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種のオレフィンと、プロピレンとの共重合体であり、 前記結晶性ポリプロピレン部分が、エチレンおよび炭素数4以上のα-オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種のオレフィンと、プロピレンとの共重合体である場合、エチレンおよび炭素数4以上のα-オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種のオレフィンの含有量が1モル%以下である(ただし、エチレンおよび炭素数4以上のα-オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種のオレフィンと、プロピレンとの共重合体の全量を100モル%とする)。 要件(3): 前記ブロック共重合体(A-1)のプロピレン-エチレンランダム共重合体部分に含有されるプロピレンとエチレンの含有量の比(プロピレン/エチレン(重量/重量))が、70/30?50/50である。 要件(4): 前記ブロック共重合体(A-1)のプロピレン-エチレンランダム共重合体部分の極限粘度[η]_(EP-A-1)が4?5.5dl/g以下である。」 第3.原査定の拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由は、要するに、 1.本願発明は、その出願前に日本国内において頒布された下記引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 引用文献1:特開平10-306195号公報 という理由を含むものである。 なお、以下、引用文献1を「刊行物A」という。 第4.刊行物Aの記載事項 本願の出願前に頒布された刊行物Aには、以下の事項が記載されている。 なお、下線は当審で付した。 A1「【請求項1】 (A)結晶性エチレン・プロピレンブロック共重合体70?90重量%、(B)メルトフローレート(230℃、2160g)が0.01?0.8g/10分である無定形エチレン・α-オレフィン共重合体ゴム3?18重量%、及び(C)メルトフローレート(230℃、2160g)が0.9?10g/10分である無定形エチレン・α-オレフィン共重合体ゴム3?18重量%からなるポリプロピレン樹脂組成物。 ・・・ 【請求項4】 請求項1?3に記載のポリプロピレン樹脂組成物100重量部、及び、(D)無機充填剤10?30重量部とからなるポリプロピレン樹脂組成物。」 A2「【0008】本発明のポリプロピレン樹脂組成物の(A)成分として使用する結晶性エチレン・プロピレンブロック共重合体は、結晶性プロピレン重合体とエチレン・プロピレン共重合体ラバーとからなるものである。エチレン・プロピレンブロック共重合体の製造は、通常、二段重合法により行われ、第一工程で結晶性プロピレン重合体の重合を行い、第二工程でエチレン・プロピレン共重合体ラバーの重合を行われる。 【0009】結晶性エチレン・プロピレンブロック共重合体は、下記の特性を有するものが好適に用いることができる。 【0010】エチレン・プロピレンブロック共重合体中の結晶性プロピレン重合体のアイソタクチックペンタッド分率(mmmm)は、通常、96%以上である。 【0011】メルトフローレート(MFR:230℃、2160g)は、通常10?70g/10分であり、より好ましくは50?70g/10分である。メルトフローレートが上記の範囲外では、流動性が低下する場合があり好ましくない。 【0012】エチレン含量は、通常0.5?9重量%であり、好ましくは2?5重量%である。 【0013】常温p-キシレン可溶分の割合が、通常4?20重量%、好ましくは6?18重量%である。常温p-キシレン可溶分の[η]は、通常3?12、好ましくは5?11である。 【0014】常温p-キシレン可溶分のエチレン構造の含有量は通常20?45重量%、好ましくは20?40重量%である。上記の範囲外では、得られるポリプロピレン樹脂組成物の耐衝撃性が低下する場合があり好ましくない。上記の室温p-キシレンに可溶なフラクションとは、次のようにして回収される重合物をいう。まず、前記結晶性エチレン・プロピレンブロック共重合体5gを沸騰キシレンに完全に溶解させた後、23℃に降温して一昼夜放置し、その後キシレン不溶分を分離する。続いて、濾液にアセトン1500ccを加え攪拌して重合物を析出させ、濾過、乾燥を行いキシレンに可溶な重合物を得る。」 A3「【0016】本発明の(B)成分と(C)成分である無定形エチレン・α-オレフィン共重合体ゴムにおけるα-オレフィンは、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、4-メチル-1- ペンテンなどが挙げられる。 ・・・ 【0022】密度は、通常0.8?0.94g/cm^(3 )である。」 A4「【0047】実施例1 (A)成分としてグランドポリマー社製CJ946(MFR=58 、エチレン含量=2.6重量%、p-キシレン可溶分=11.4重量%、p-キシレン可溶分の[η]=7.5、p-キシレン可溶分のエチレン含量=25.5重量%)80重量%、(B)成分として日本合成ゴム社製EP57P(エチレン含量=72重量%、ムーニー粘度=88、MFR=0.4)5重量%、及び,(C)成分としてダウ社製EG81000 エチレン・オクテン共重合体ゴム(MFR=2.3、密度=0.870、エチレン含量=76重量%)15重量%を用いた。(MFR(A)/(B)=145、MFR(A)/(C)=25) ・・・ 【0050】実施例3?4、比較例3?4 (D)成分の無機充填剤として、タルク(林化成製エンタルス56、レーザー回折法による平均粒径2.41ミクロン)を用い、各成分の混合量を変えた以外は実施例1と同様に行った。 組成割合及び組成物の物性を表1に示した。 【0051】 【表1】 」 第5.刊行物Aに記載された発明 摘示A1?A3からみて、刊行物Aには以下の発明(以下「刊行物A発明」という。)が記載されている。 (A)結晶性エチレン・プロピレンブロック共重合体70?90重量%、(B)密度が0.8?0.94g/cm^(3 )、メルトフローレート(230℃、2160g)が0.01?0.8g/10分である無定形エチレン・α-オレフィン共重合体ゴム3?18重量%、及び(C)密度が0.8?0.94g/cm^(3 )、メルトフローレート(230℃、2160g)が0.9?10g/10分である無定形エチレン・α-オレフィン共重合体ゴム3?18重量%からなるポリプロピレン樹脂組成物に、 さらに、ポリプロピレン樹脂組成物100重量部対し(D)無機充填剤10?30重量部を含んだポリプロピレン樹脂組成物において、 (A)結晶性エチレン・プロピレンブロック共重合体が、 二段重合法により行われ、第一工程で結晶性プロピレン重合体の重合を行い、第二工程でエチレン・プロピレン共重合体ラバーの重合を行い、 結晶性エチレン・プロピレンブロック共重合体中の、 結晶性プロピレン重合体のアイソタクチックペンタッド分率(mmmm)は、96%以上であり、 常温p-キシレン可溶分の割合が、4?20重量%であり、 常温p-キシレン可溶分の[η]は、3?12であり、 常温p-キシレン可溶分のエチレン構造の含有量は20?45重量%である、 ポリプロピレン樹脂組成物。 第6.対比・判断 1.本願発明について 本願発明と刊行物A発明とを比較する。 刊行物A発明における「(A)結晶性エチレン・プロピレンブロック共重合体」は、本願発明における「結晶性プロピレン-エチレンブロック共重合体(A-1)」に相当する。 よって、刊行物A発明は、本願発明における「前記ポリプロピレン樹脂(A)が、結晶性プロピレン-エチレンブロック共重合体(A-1)、または、前記ブロック共重合体(A-1)と結晶性プロピレン単独重合体(A-2)とを含有する重合体混合物(A-3)であり、」を満足する。 さらに、刊行物A発明の(A)成分に関して、「結晶性プロピレン重合体」「エチレン・プロピレン共重合体ラバー」は、その製造方法が本願発明の(A)成分と同様であることから(摘示A2、本願明細書段落【0025】)、それぞれ、本願発明における「結晶性ポリプロピレン部分」「プロピレン-エチレンランダム共重合体部分」に相当する。 刊行物Aには、(B)成分と(C)成分とにおけるα-オレフィンとして1-ブテン等が記載(摘示A3)されていることから、刊行物A発明における「(B)無定形エチレン・α-オレフィン共重合体ゴム」「(C)無定形エチレン・α-オレフィン共重合体ゴム」は、それぞれ、本願発明における「炭素数4?12のα-オレフィンとエチレンとを含有、エチレン-α-オレフィン共重合体ゴム(B)」「炭素数4?12のα-オレフィンとエチレンとを含有、エチレン-α-オレフィン共重合体ゴム(C)」に相当する。 刊行物A発明における「(A)70?90重量%」「(B)3?18重量%」「(C)3?18重量%」「ポリプロピレン樹脂組成物100重量部対し(D)無機充填剤10?30重量部」は、それぞれ、本願発明における「(A)93?50重量%」「(B)1?25重量%」「(C)1?25重量%」「無機充填剤(D)5?18重量%未満とを含有する(ただし、ポリプロピレン系樹脂組成物の全量を100重量%とする)」と重複一致している。 刊行物A発明における「(B)密度が0.8?0.94g/cm^(3 )、メルトフローレート(230℃、2160g)が0.01?0.8g/10分」「(C)密度が0.8?0.94g/cm^(3 ) 、メルトフローレート(230℃、2160g)が0.9?10g/10分」は、それぞれ、本願発明における「密度が0.850?0.870g/cm^(3 )、メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が0.05?1g/10分である(B)」「密度が0.850?0.870g/cm^(3 )、メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が2?20g/10分である(C)」と重複一致している。 (A)成分中の結晶性プロピレン重合体部分が結晶性のために常温p-キシレンに不溶であるのに対し、エチレン・プロピレン共重合体ラバー部分は結晶性ではないために常温p-キシレンに可溶であることは技術常識であるから、刊行物A発明における「常温p-キシレン可溶分の割合が4?20重量%」は、エチレン・プロピレン共重合体ラバー部分の含有割合を意味している。そして、残部は結晶性プロピレン重合体部分を意味することから、刊行物A発明における結晶性エチレン・プロピレンブロック共重合体中の「常温p-キシレン可溶分の割合が4?20重量%」は、本願発明における「要件(1): 前記ブロック共重合体(A-1)は、結晶性ポリプロピレン部分55?90重量%と、プロピレン-エチレンランダム共重合体部分10?45重量%とを含有する結晶性プロピレン-エチレンブロック共重合体である(ただし、前記ブロック共重合体の全量を100重量%とする)。」と重複一致している。 刊行物A発明における、エチレン・プロピレンブロック共重合体中の結晶性プロピレン重合体のアイソタクチックペンタッド分率(mmmm)が96%以上であるとの規定は、結晶性プロピレン重合体がプロピレン単独重合体であることを意味していることから、刊行物A発明は、本願発明における「要件(2): 前記ブロック共重合体(A-1)の結晶性ポリプロピレン部分が、 プロピレン単独重合体、または、 エチレンおよび炭素数4以上のα-オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種のオレフィンと、プロピレンとの共重合体であり、 前記結晶性ポリプロピレン部分が、エチレンおよび炭素数4以上のα-オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種のオレフィンと、プロピレンとの共重合体である場合、エチレンおよび炭素数4以上のα-オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種のオレフィンの含有量が1モル%以下である(ただし、エチレンおよび炭素数4以上のα-オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種のオレフィンと、プロピレンとの共重合体の全量を100モル%とする)。」に相当する。 刊行物A発明における「常温p-キシレン可溶分のエチレン構造の含有量が20?45重量%」は、(A)成分中のエチレン・プロピレン共重合体ラバー部分のエチレン構造の含有割合を意味することから、本願発明における「要件(3): 前記ブロック共重合体(A-1)のプロピレン-エチレンランダム共重合体部分に含有されるプロピレンとエチレンの含有量の比(プロピレン/エチレン(重量/重量))が、70/30?50/50」と重複一致している。 刊行物A発明における「常温p-キシレン可溶分の[η]が3?12」は、(A)成分中のエチレン・プロピレン共重合体ラバー部分の極限粘度を意味することから、本願発明における「要件(4): 前記ブロック共重合体(A-1)のプロピレン-エチレンランダム共重合体部分の極限粘度[η]_(EP-A-1)が4?5.5dl/g以下」と重複一致している。 以上をまとめると、本願発明と刊行物A発明との一致点及び相違点は次のとおりである。 〔一致点〕 ポリプロピレン樹脂(A)93?50重量%と、 炭素数4?12のα-オレフィンとエチレンとを含有し、密度が0.850?0.870g/cm^(3)、メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が0.05?1g/10分であるエチレン-α-オレフィン共重合体ゴム(B)1?25重量%と、 炭素数4?12のα-オレフィンとエチレンとを含有し、密度が0.850?0.870g/cm^(3)、メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が2?20g/10分であるエチレン-α-オレフィン共重合体ゴム(C)1?25重量%と、 無機充填剤(D)5?18重量%未満とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物(ただし、ポリプロピレン系樹脂組成物の全量を100重量%とする)であって、 前記ポリプロピレン樹脂(A)が、下記の要件(1)と(2)と(3)と(4)とを満足する結晶性プロピレン-エチレンブロック共重合体(A-1)、または、前記ブロック共重合体(A-1)と結晶性プロピレン単独重合体(A-2)とを含有する重合体混合物(A-3)である、 ポリプロピレン系樹脂組成物。 要件(1): 前記ブロック共重合体(A-1)は、結晶性ポリプロピレン部分55?90重量%と、プロピレン-エチレンランダム共重合体部分10?45重量%とを含有する結晶性プロピレン-エチレンブロック共重合体である(ただし、前記ブロック共重合体の全量を100重量%とする)。 要件(2): 前記ブロック共重合体(A-1)の結晶性ポリプロピレン部分が、 プロピレン単独重合体、または、 エチレンおよび炭素数4以上のα-オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種のオレフィンと、プロピレンとの共重合体であり、 前記結晶性ポリプロピレン部分が、エチレンおよび炭素数4以上のα-オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種のオレフィンと、プロピレンとの共重合体である場合、エチレンおよび炭素数4以上のα-オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種のオレフィンの含有量が1モル%以下である(ただし、エチレンおよび炭素数4以上のα-オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種のオレフィンと、プロピレンとの共重合体の全量を100モル%とする)。 要件(3): 前記ブロック共重合体(A-1)のプロピレン-エチレンランダム共重合体部分に含有されるプロピレンとエチレンの含有量の比(プロピレン/エチレン(重量/重量))が、70/30?50/50である。 要件(4): 前記ブロック共重合体(A-1)のプロピレン-エチレンランダム共重合体部分の極限粘度[η]_(EP-A-1)が4?5.5dl/g以下である。 〔相違点1〕 本願発明において、「エチレン-α-オレフィン共重合体ゴム(B)の重量とエチレン-α-オレフィン共重合体ゴム(C)の重量との合計を100重量%としたときに、前記ゴム(B)の含有割合(B_(W)、重量%)と前記ゴム(C)の含有割合(C_(W)、重量%)との比(B_(W)/C_(W))が、35/65?45/55(重量%/重量%)である」と特定しているのに対し、刊行物A発明においてそのような特定がない点。 2.相違点1について 刊行物A発明は、(B)成分を3?18重量%、(C)成分を3?18重量%用いることを規定しているところ、刊行物Aの実施例3,4には、(B)成分を5wt%、(C)成分を15wt%用いる例と(B)成分を10wt%、(C)成分を10wt%用いる例とが記載されていることからすると、刊行物Aには、(B)成分と(C)成分とを5/15?10/10wt%、つまり、25/75?50/50wt%で用いることが実質的に記載されていると認められる。そうすると、刊行物A発明は、本願発明における「エチレン-α-オレフィン共重合体ゴム(B)の重量とエチレン-α-オレフィン共重合体ゴム(C)の重量との合計を100重量%としたときに、前記ゴム(B)の含有割合(B_(W)、重量%)と前記ゴム(C)の含有割合(C_(W)、重量%)との比(B_(W)/C_(W))が、35/65?45/55(重量%/重量%)である」との規定を満たしており、この点は実質的な相違点ではない。 よって、本願発明と刊行物A発明との間に差異はない。 第7.請求人の主張について 請求人は、審判請求書において、刊行物Aには、(B)成分と(C)成分とが個別に記載されるのみで、(B)成分と(C)成分との比に関しての記載はない旨の主張をしているが、上記「第6.対比・判断」における「2.相違点1について」で述べたとおり、この点に関する請求人の主張を採用することはできない。 第8.まとめ 以上のとおり、本願発明は、刊行物Aに記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないとする原査定の理由は妥当なものであり、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2013-08-19 |
結審通知日 | 2013-08-20 |
審決日 | 2013-09-02 |
出願番号 | 特願2006-192560(P2006-192560) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(C08L)
P 1 8・ 113- Z (C08L) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 川上 智昭 |
特許庁審判長 |
田口 昌浩 |
特許庁審判官 |
加賀 直人 大島 祥吾 |
発明の名称 | ポリプロピレン系樹脂組成物 |
代理人 | 中山 亨 |
代理人 | 坂元 徹 |