• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
管理番号 1280770
審判番号 不服2012-23875  
総通号数 168 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-12-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-12-03 
確定日 2013-10-24 
事件の表示 特願2006-328465号「半導体用ペーストの濾過方法、半導体用ペースト、半導体用ペーストの製造方法及び半導体装置」拒絶査定不服審判事件〔平成19年7月19日出願公開、特開2007-184563号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成18年12月5日(優先権主張 平成17年12月5日)の出願であって、平成24年8月30日付けで拒絶査定がなされ、これに対し平成24年12月3日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同時に特許請求の範囲についての手続補正がなされ、平成25年6月13日付けで当審により拒絶の理由が通知され、平成25年8月5日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものであって、その請求項1?6に係る発明は、平成25年8月5日付けの手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1?6に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「半導体用ペーストを、0.1?0.4MPaの範囲で加圧して充填配管へ押出し、
前記充填配管の途中に配置された、目開きが100μm以下のフィルターを通過させ、
前記充填配管の充填口に接続された製品容器に、該製品容器が開放とならない状態で直接充填することを特徴とする半導体用ペーストの濾過方法。」

2.引用文献の記載事項
(1)引用文献1
本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開2003-123558号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

(ア)「【請求項1】有機ビヒクルと固形分とを混合し分散させた分散ペーストをろ過した厚膜用ペーストを、清浄空気が外方に向かって流れているクリーンベンチ内にて吐出させる工程と、
クリーンベンチ内にて吐出させたろ過済みの厚膜用ペーストを、上記クリーンベンチ内で容器内に充填する工程とを有することを特徴とする厚膜用ペーストの製造方法。」

(イ)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、厚膜用ペーストのろ過及び容器への充填(詰め)に関するもので、特に積層コンデンサ内部電極に用いられる導電性ペースト等の厚膜用ペーストの製造方法、および製造装置に関するものである。」

(ウ)「【0009】本発明は、簡単な装置でろ過後の導電性ペースト等における厚膜用ペーストの清浄性を確保したまま、充填して梱包できる充填方法及び充填装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の厚膜用ペーストの製造方法は、以上の課題を解決するために、有機ビヒクルと固形分とを混合し分散させた分散ペーストをろ過した厚膜用ペーストを、清浄空気が外方に向かって流れているクリーンベンチ内にて吐出させる工程と、クリーンベンチ内にて吐出させたろ過済みの厚膜用ペーストを、上記クリーンベンチ内で容器内に充填する工程とを有することを特徴としている。
【0011】上記方法によれば、清浄空気が外方に向かって流れているクリーンベンチ内に、分散ペーストをろ過した厚膜用ペーストを吐出させ、上記厚膜用ペーストを、上記クリーンベンチ内で容器内に充填することにより上記厚膜用ペーストに混入する異物量を低減できる。
【0012】このとき、上記方法では、従来のように作業環境の清浄性をクラス1000以下に保つ場合と比べて、クリーンベンチという比較的簡素な装置を用いて同様な効果が得られるので、製造コストを抑制できる。」

(エ)「【0014】本発明の厚膜用ペーストの製造装置は、以上の課題を解決するために、内部に作業空間を有するクリーンベンチが清浄空気を作業空間から外方に向かって流すように設けられ、クリーンベンチに、有機ビヒクルと固形分とを混合し分散させた分散ペーストをろ過する、ろ過装置が、分散ペーストをろ過した厚膜用ペーストの吐出口をクリーンベンチ内となるように設けられていることを特徴としている。
【0015】上記構成によれば、クリーンベンチに、ろ過装置を、厚膜用ペーストの吐出口がクリーンベンチ内となるように設けたことにより、上記厚膜用ペーストへの異物の混入を抑制できる。
【0016】よって、上記構成では、従来のような作業環境の清浄性をクラス1000以下に保つ場合と比べて、クリーンベンチという比較的簡素な装置を用いて同様な効果が得られるので、製造コストを抑制できる。」

(オ)「【0019】上記製造装置では、上記ろ過装置は、分散ペーストを加圧してろ過する加圧式であり、金網または多孔質の焼結金属からなるフィルターを備えていることが好ましい。
【0020】上記構成によれば、ろ過装置が、金網または多孔質の焼結金属からなるフィルターを備えているから、ろ過装置を分散ペーストを加圧してろ過する加圧式であっても、十分な圧力をフィルターに印加できて、ろ過効率の向上が可能となって、製造コストの抑制を確実化できる。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明に係る実施の一形態の厚膜用ペースト製造方法に用いる厚膜用ペーストの製造装置としての充填装置について、図1に基づき以下に詳細に説明する。
【0022】上記充填装置では、クリーンベンチ1が有底箱状に設けられている。クリーンベンチ1は、使用時には水平に調整される、略長方形状の内底面部1aと、内底面部1aの長手方向両端部から上方にそれぞれ伸びる各側壁部1bと、各側壁1bの頂部にわたされた天板部1cと、内底面部1a、各側壁部1b及び天板部1cに囲まれた裏壁部1dを有している。」

(カ)「【0026】クリーンベンチ1の天板部1cには、厚膜形成用の分散ペーストをろ過するための、ろ過装置2が、その吐出管2aの出口である吐出口をクリーンベンチ1内となるように、また、クリーンベンチ1に向かって右側に設けられている。
【0027】ろ過装置2は、ろ過前の分散ペーストを貯蔵するための、筒状のペーストタンク2bと、ペーストタンク2bの底部に設けられたフィルター部2cと、フィルター部2cにより分散ペーストからろ過された厚膜用ペーストを吐出管2aに導くロート部2dを備えている。
【0028】上記フィルター部2cは、分散ペーストをろ過する、例えば、ろ過面積が150mm^(2)で、多孔質な焼結金属フィルターであって、平均径10μm以上の異物としての固形分を除去できるものである。また、ペーストタンク2bには、それに貯蔵された分散ペーストをピストン式または空圧式にて加圧する加圧手段が設けられている。」

(キ)「【0030】そして、上記充填装置においては、裏壁部1dにクリーンエアユニット4が取り入れた空気をろ過してクリーンベンチ1内にて裏壁部1d側から前面側の開口部1eに向かって送風するように設けられている。
【0031】このようなクリーンエアユニット4では、その送風口4aが裏壁部1dのほぼ全面にわたって形成されており、送風口4a内に交換自在の、例えば蛇腹式の紙フィルター(例えば、平均径5μm以下の浮遊粒子を除去できる)が取り付けられている。
【0032】よって、クリーンベンチ1では、その中での作業中にクリーンエアユニット4から、清浄な空気をクリーンベンチ1内に送風することで、クリーンベンチ1の周囲環境からの浮遊粒子などの異物がクリーンベンチ1内に侵入することを防止できる。」

(ク)「【0035】まず、出発原料として、導電成分としての平均粒径0.5μmのCu粉末とバインダとしてのエチルセルロース樹脂と、溶剤としてターピネオールを準備した。次に、これら原料をCu粉末が50wt%、エチルセルロース樹脂が10wt%、ターピネオールが40wt%となるように全量で10kg秤量した。
【0036】次いで、これら原料をケーキミキサーで1時間撹拌して混合し、その後、127mm径の3本ロールミルで分散処理を行った。3本ロールミルによる分散条件はニップ間隔を5μmとし、パス回数を5回とした。これにより得られた分散ペースト中の粗粒は粒ゲージで求めたときの値が3μm程度にまで小さくなった。また、上記分散ペーストの粘度は10Pa・sであった。
【0037】この分散ペーストを、図1に示す、本発明に係る、ろ過装置2を有する充填装置を用いて、表2に示す条件でろ過し、続いて容器13への充填を行い、厚膜用ペーストである積層セラミックコンデンサの内部電極用ペーストを得た。
【0038】
【表2】



(ケ)「【0047】
【発明の効果】本発明の厚膜用ペーストの製造方法及びその装置を用いれば、導電性ペースト等の厚膜用ペーストを異物の除去された清浄な状態のままで、充填・梱包することができる。」

上記(ア)?(ケ)の記載、及び、図面から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「厚膜用ペーストを加圧して吐出管2aへ押出し、前記吐出管に接続されたろ過装置2に設けられた、平均径10μm以上の異物としての固形分を除去できる焼結金属フィルターを通過させ、清浄空気が外方に向かって流れているクリーンベンチ1内で容器13に充填する厚膜用ペーストのろ過方法。」

(2)引用文献2
本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開平11-195324号公報(以下、「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている。

(コ)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、厚膜形成用ペースト、例えば積層セラミックコンデンサ内部電極に用いられる電極用ペーストなどの製造方法に関する。」

(サ)「【0028】フィルターへのスラリーの液送法は、ダイヤフラムポンプ、バイキングポンプ、チューブポンプ、モーノポンプなどポンプによる液送や、圧縮空気、窒素ガスなどによるガス圧送などが、フィルターの設定耐圧を超えない範囲で適宜選択できる。濾過時のスラリー流量、差圧については、特に規定しないが、使用するフィルターの設定耐圧以下で運転する必要がある。生産性などを特に問題にしないのであれば、濾過精度の点からも、できる限り低差圧での使用が好ましい。」

(シ)「【0034】その後、分散ペーストにペースト重量比30%のメチルアルコールを添加し、ホモジナイザーにて希釈処理を行なった。希釈後の分散ペーストの粘度は、0.3Pa・Sまで低下した。次いで、希釈済みの分散ペーストを表2の条件で濾過した。
【0035】
【表2】



(3)引用文献3
本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開2005-213200号公報(以下、「引用文献3」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

(ス)「【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って本発明の課題は、半導体材料分野を含む電子材料分野で使用するため、非イオン性界面活性剤中の金属化合物を半導体の微細加工に対応できる低レベルまで除去する方法を提供することにある。また、上記の方法を簡便且つ効率的に実施できる装置を提供することにある。さらに、当該金属化合物を除去した非イオン性界面活性剤の用途を提供することにある。」

(セ)「【0025】
本発明の金属化合物除去装置の具体的な構成例を図1に示した。すなわち、送液ボトル1に界面活性剤溶液が保存されており貫通型ジョイント3で封されている。チューブ4によりパルス式ポンプ5、送液ボトル1中のボールフィルター2、圧力計6、3方バルブ7、第1カラム本体8、カラム目皿9とメンブランフィルター10とカラム内O-リング11とからなるフィルターユニット、フィルターホルダー12と第1機能性フィルター13と第2機能性フィルター14とからなる機能性フィルターユニット、3方バルブ7、第2カラム本体16、上記のフィルターユニット、上記の機能性フィルターユニット、2方バルブ15がこの順に直列に接続され、受けボトル16に導かれる構造になっている。受けボトル16も貫通型ジョイント3で封されており、チューブ4は、2方バルブ15と受けボトル16とをジョイント3とを通して接続している。」

(ソ)「【0035】
2,装置の組み立て手順、及び、洗浄方法
装置は、メンブランフィルター、機能性フィルターを除く、下記の各部位を、超純水(抵抗値18Ω・cm以上)の流水にて十分に洗浄した。そして、メンブランフィルターは、カラム低部に、機能性フィルター(キュノ社製、材質:セルロース)は、専用フィルターホルダーに取り付け、図1に示したような装置を組み立てた。組み立て後、流量20ml/minにて、超純水200ml、10wt%硝酸溶液100ml、超純水500ml、エタノール500ml(和光純薬社製、SCエタノール)の順に、通液した。
・・・
【0037】
4,被精製品通液方法
送液ボトル(テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体 (PFA) 製)に、1項にて調整した界面活性剤溶液を移し、流速10ml/minにて、送液する。
上記の界面活性剤溶液の送液開始16分後から、受けボトル(PFA製)を取り付け、回収を開始する。この受けボトルに回収された液を、金属除去された精製液とする。尚、それ以前の液は、別容器で回収し、廃棄する。
そして、全ての被精製液の送液が完了した点で、送液ボトルに150ml以上のエタノール(和光純薬社製、SCエタノール)を加え、15分間、送液を続ける。エタノールの送液開始から15分後、精製液の回収を終了する。」

(タ)「【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は本発明の金属化合物除去装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
1 送液ボトル
2 ボールフィルター
3 貫通型ジョイント
4 チューブ
5 パルス式ポンプ
6 圧力計
7 3方バルブ
8 第1カラム本体
9 カラム目皿
10 メンブランフィルター
11 カラム内Oリング
12 フィルターホルダー
13 第1機能性フィルター
14 第2機能性フィルター
15 2方バルブ
16 受けボトル
17 第2カラム本体」

3.対比・判断
引用発明の「吐出管2a」は、その構成及び機能からみて、本願発明の「充填配管」に相当し、以下同様に、「焼結金属フィルター」は「フィルター」に、「容器13」は「製品容器」にそれぞれ相当する。
また、引用発明の「厚膜用ペースト」は、半導体部品にも用いられるものであるから、本願発明の「半導体用ペースト」に相当する。

そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、両者は次の点で一致している。
「半導体用ペーストを、加圧して充填配管へ押出し、フィルターを通過させ、製品容器に、充填する半導体用ペーストの濾過方法。」

そして、両者は次の点で相違している。

(相違点1)
半導体用ペーストの加圧値が、本願発明では、「0.1?0.4MPaの範囲」と限定されているのに対し、引用発明は、加圧値が限定されていない点。

(相違点2)
フィルターが、本願発明では、充填配管の途中に配置されているのに対し、引用発明では、ろ過装置に設けられている点。

(相違点3)
フィルターが、本願発明では、目開きが100μm以下であるのに対し、引用発明では、平均径10μm以上の異物としての固形分を除去できるものである点。

(相違点4)
半導体用ペーストの容器への充填が、本願発明では、充填配管の充填口に接続された製品容器に、該製品容器が開放とならない状態で直接充填するに対し、引用発明では、清浄空気が外方に向かって流れているクリーンベンチ内で容器13に充填している点。

以下、上記各相違点について検討する。

(相違点1について)
引用発明も、本願発明と同様、ペーストを圧力によってフィルターを通過させてろ過するものである。また、引用文献2には、上記記載事項(コ)?(シ)から、引用発明と同一の技術分野である厚膜用ペーストのろ過方法において、ペーストの加圧の圧力はフィルターの設定耐圧を越えない範囲で適宜選択できること、その実施例として本願発明の数値限定範囲である、2kgf/cm^(2)で加圧することが記載されており、引用発明及び引用文献2に接した当業者であれば、引用発明において、使用するフィルターの設定耐圧、ろ過するペーストの粘度、所望のろ過速度を考慮して、ペーストの圧送圧力を適宜選択して設定することは、当業者であれば容易になし得る事項である。そして、本願発明の半導体用ペーストの加圧値に関する上記数値限定の値にも、格別の臨界的意義も認められず、上記相違点1に係る本願発明の構成は、当業者が適宜なし得る事項にすぎない。

(相違点2について)
引用文献3には、上記記載事項(ス)?(タ)及び【図1】から、半導体製造に用いる非イオン性界面活性剤をろ過する方法において、その充填用の配管中にメンブランフィルター10を備える点が記載されている。そして、このメンブランフィルターは、その多孔性により物理的に不純物を除去するものであり、また、その配置はその機能からみて流体の経路中のどこに配置するかは適宜選択し得る事項である。
一方、引用発明のろ過装置2は、ろ過前の分散ペーストを貯蔵するための、筒状のペーストタンク2bと、ペーストタンク2bの底部に設けられたフィルター部2cと、フィルター部2cにより分散ペーストからろ過された厚膜用ペーストを吐出管2aに導くロート部2dを備えているものであるから、フィルター部2cは、ペーストの流路中に設けられている限りにおいては、引用文献3に記載されたものと一致しており、また、引用文献3の方法でろ過する非イオン性界面活性剤も、引用発明でろ過する厚膜用ペーストも、半導体製造に用いる液体という点では一致しており、また、そのろ過も半導体製造材料の不純物を除去する点において共通であることから、引用発明及び引用文献3に接した当業者であれば、引用発明におけるフィルターの配置を、ろ過装置と分離して充填配管の途中に配置する程度のことは、当業者であれば容易に想到し得ることと認められる。

(相違点3について)
引用発明の「平均径10μm以上の異物としての固形分を除去できる」とは、そのフィルターの目開きが、およそ10μm以下であることが必要であり、このことは本願発明の「目開きが100μm以下」を充足するものである。また、フィルターの目開きは、除去する不純物の所望の粒径に応じて適宜設定するものであるところ、本願発明のフィルターの目開きに関する上記数値限定の値に格別の臨界的意義も認められず、上記相違点3に係る本願発明の構成は、当業者が適宜なし得る事項にすぎない。

(相違点4について)
引用文献3には、上記記載事項(ス)?(タ)及び【図1】から、半導体製造に用いる非イオン性界面活性剤をろ過する方法において、充填配管の充填口(貫通型ジョイント3)に接続された製品容器(受けボトル16)に、該製品容器が開放とならない状態で直接充填する点が記載されている。
一方、引用発明の、ろ過器2でろ過した材料を、清浄空気が外方に向かって流れているクリーンベンチ内で容器13に充填する構成は、ろ過したペーストを容器に充填する際、異物混入の防止を図るという点においては、引用文献3に記載されたものと一致しており、また、上記「(相違点2について)」でも検討したとおり、引用文献3の方法でろ過する非イオン性界面活性剤も、引用発明でろ過する厚膜用ペーストも、半導体製造に用いる液体という点では一致しており、さらに、そのろ過も半導体製造材料の不純物を除去する点において共通であることから、引用発明及び引用文献3に接した当業者であれば、ろ過後のペーストへの異物混入を防止して容器に充填するため、引用発明のクリーンベンチ内で容器13に充填するという方法に代えて、引用文献3に記載された、充填配管の充填口に接続された製品容器に、製品容器が開放とならない状態で直接充填する方法を採用して、上記相違点4に係る本願発明のようにする程度のことは、当業者であれば容易に想到し得ることと認められる。

したがって、本願発明は、引用発明、及び、引用文献2、引用文献3に記載された事項から当業者が容易に想到し得るものと認められる。
そして、本願発明の効果は、引用発明、及び、引用文献2、引用文献3に記載された事項から当業者が予測し得る程度のものであって、格別のものとはいえない。

4.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用文献1?引用文献3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そして、本願の請求項1に係る発明が特許を受けることができないものである以上、本願の請求項2?6に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-08-22 
結審通知日 2013-08-27 
審決日 2013-09-09 
出願番号 特願2006-328465(P2006-328465)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮崎 園子  
特許庁審判長 山口 直
特許庁審判官 平田 信勝
原 泰造
発明の名称 半導体用ペーストの濾過方法、半導体用ペースト、半導体用ペーストの製造方法及び半導体装置  
代理人 三好 秀和  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ