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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1280935 |
審判番号 | 不服2012-20379 |
総通号数 | 168 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2013-12-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-10-17 |
確定日 | 2013-10-31 |
事件の表示 | 特願2010-129316「印刷システム、情報処理装置およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成22年10月14日出願公開、特開2010-231803〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成16年6月3日に出願された特願2004-165203号の一部を平成22年6月4日に新たな特許出願としたものであって、平成23年12月16日付けで拒絶理由通知がなされ、平成24年2月20日付けで手続補正がなされ、同年7月11日付けで拒絶査定がなされ、同年10月17日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正がなされたものである。 第2 平成24年10月17日付けの手続補正についての補正却下の決定 〔結論〕 平成24年10月17日付けの手続補正を却下する。 〔理由〕 1.補正内容 平成24年10月17日付けの手続補正(以下、「本件補正」と呼ぶ。)は、補正前の特許請求の範囲の請求項12を、補正後の請求項11に変更する補正事項を含むものである。 そして、補正前の請求項12及び補正後の請求項11の各記載は、それぞれ、以下のとおりである。 なお、<補正後の請求項11>における下線は補正箇所を表している。 <補正前の請求項12> 「 【請求項12】 上位装置と通信可能に接続された情報処理装置であって、 印刷要求を行うための印刷フォームを記憶する記憶手段と、 前記上位装置からの取得要求に応じて前記印刷フォームを提供する提供手段と、 を備え、 前記印刷フォームは、前記上位装置に対して、前記上位装置における入力に基づいて印刷対象となる印刷データファイルを指定させ、前記上位装置における入力に基づいて印刷条件を設定させ、前記上位装置における確定入力に基づいて前記設定された印刷条件と前記指定された印刷データファイルとを確定させ、当該印刷条件で当該印刷データファイルの印刷要求を行わせるためのフォームである、 ことを特徴とする情報処理装置。」 <補正後の請求項11> 「 【請求項11】 上位装置と通信可能に接続され、当該上位装置からの印刷要求に基づいて印刷媒体に画像を印刷する情報処理装置であって、 印刷要求を行うための印刷フォームを記憶する記憶手段と、 前記上位装置からの取得要求に応じて前記印刷フォームを提供する提供手段と、 を備え、 前記印刷フォームは、前記上位装置に対して、前記上位装置における入力に基づいて印刷対象となる印刷データファイルを指定させ、前記上位装置における入力に基づいて印刷条件を設定させ、前記上位装置における確定入力に基づいて前記設定された印刷条件と前記指定された印刷データファイルとを確定させ、当該印刷条件で当該印刷データファイルの印刷要求を行わせるためのフォームである、 ことを特徴とする情報処理装置。」 2.本件補正に対する判断 本件補正の内の上記補正事項は、補正前の請求項12に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の上記請求項11に記載された発明(以下、「本願補正発明」と呼ぶ。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(上記改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下検討する。 2-1.本願補正発明 本願補正発明は、上記「1.」の<補正後の請求項11>の欄に転記したとおりのものである。 2-2.引用例 原査定の拒絶の理由に引用された、特開平11-296332号公報(以下、「引用例」と呼ぶ。)には、次の記載がある。 「【請求項5】 少なくとも表示手段を備えた送信装置からコンピュータネットワークを介して送信される、印刷すべき内容を示す印刷データを受信することが可能な受信装置であって、 前記印刷データの内容を印刷するための印刷手段と、該印刷手段に対応した印刷設定情報入力用のユーザインタフェースを表示するためのユーザインタフェースデータを記憶する記憶手段と、前記ユーザインタフェースデータを送信することが可能な送受信手段と、前記受信装置内の各手段を制御する制御手段と、を備え、 前記制御手段は、前記送信装置から送信された前記印刷データの送信処理開始の指示を前記送受信手段を介して受信した場合に、前記記憶手段から前記ユーザインタフェースデータを読み出して前記送受信手段を介して前記送信装置に送信し、 その後、前記送信装置から、前記印刷データ、及び前記印刷手段において印刷を行なう際に用いる印刷設定情報のデータが送信された場合に、前記制御手段は、前記印刷データ及び前記印刷設定情報のデータを前記送受信手段を介して受信して、前記印刷設定情報に基づいて、前記印刷手段により、前記印刷データによって表される内容を印刷させることを特徴とする受信装置。」 「【0062】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。図1は本発明の第1の実施例としての印刷データ伝送システムを示すブロック図であり、図2は図1の印刷データ伝送システムをインターネット上で実現した場合の一例を示す構成図である。 【0063】本実施例の印刷データ伝送システムは、印刷データを受信する受け手側コンピュータ100と印刷データを送信する送り手側コンピュータ200とを備えている。 【0064】受け手側コンピュータ100は、図1に示すように、コンピュータプログラムに従って種々の処理や制御を行なうためのCPU110と、各種周辺装置との間でデータなどのやり取りを行なうためのI/O部120と、上記コンピュータプログラムを記憶したり、処理中に得られたデータなどを一時的に記憶したりするためのメモリ130と、キーボードやマウスやタブレットなどから成り、ユーザからの指示などを入力するための入力装置140と、CRTや液晶ディスプレイなどから成り、データの内容などを表示するためのモニタ150と、モデムやターミナルアダプタやネットワークカードなどから成り、ネットワークを介して他の装置と通信を行なうための通信装置160と、各種データを格納するためのハードディスク装置170と、印刷データであるカラー画像データなどの内容(すなわち、カラー画像など)を印刷することが可能なプリンタ180と、CD-ROMドライブ装置190と、を備えている。 【0065】また、CPU110は、上記したコンピュータプログラムに従って動作することにより、送受信制御部111、入力処理部112、表示処理部113及び印刷処理部114として機能する。なお、印刷処理部114は、さらに、解像度変換部115と、色補正部118と、色変換部116と、ハーフトーン処理部117と、を備えている。また、ハードディスク装置170内には、プリンタ180に対応した印刷設定情報入力用のユーザインタフェースを表示するためのユーザインタフェースデータ171と、印刷データであるカラー画像データに対して色補正処理を行なう際に用いる色補正用ディスティネーションデータ172と、が予め格納されている。 【0066】一方、送り手側コンピュータ200も、受け手側コンピュータ100とほぼ同様に、CPU210と、I/O部220と、メモリ230と、入力装置240と、モニタ250と、通信装置260と、ハードディスク装置270と、CD-ROMドライブ装置290と、を備えている。 【0067】また、CPU210も、上記したコンピュータプログラムに従って動作することにより、送受信制御部211、入力処理部212、及び表示処理部213として機能する。また、ハードディスク装置270内には、送信すべき印刷データであるカラー画像データ271と、印刷データであるカラー画像データに対して色補正処理を行なう際に用いる色補正用ソースデータ272と、が予め格納されている。」 「【0079】なお、本実施例では、前述したように、コンピュータ本体は、CPU,メモリ,I/O部,通信装置及びハードディスク装置で構成されているものとしたが、コンピュータの形態によっては、入力装置や、モニタや、プリンタなどもコンピュータ本体に含まれる場合、すなわち、コンピュータ本体と一体化している場合もある。」 「【0087】図3は図1の印刷データ伝送システムにおける処理手順を示すフローチャートである。では、図3を参照しながら、本実施例の動作について説明する。 【0088】まず、図3に示すように、送り手側コンピュータ200のCPU210は、ユーザから送り手側コンピュータ200に、印刷データであるカラー画像データの送信処理開始の指示が入力されたかどうかを判定しながら(ステップS100)、その送信処理開始の指示が入力されるまで待機する。そして、送り手側コンピュータ200のユーザが、入力装置240を用いて、カラー画像データの送信処理開始の指示を入力したら、入力処理部212はその指示を送受信制御部211に伝える。送受信制御部211は、通信装置260を介して、カラー画像データを送信すべき受け手側コンピュータ100との間で通信を確立した後、その受け取った送信処理開始の指示を受け手側コンピュータ100に向かって送信する(ステップS102)。 【0089】ここで、送り手側コンピュータ200のユーザがカラー画像データの送信処理開始の指示を行なう際の一手順について、図4を用いて説明する。 【0090】図4は図1の送り手側コンピュータ200におけるモニタ250の画面上に表示されたアイコンを示す説明図である。 【0091】前述したように、送り手側コンピュータ200から印刷データであるカラー画像データを送信して、そのカラー画像データによって表される内容、すなわち、カラー画像を印刷できるプリンタは、図2に示したプリンタA?Fの6つのプリンタである。従って、送り手側コンピュータ200におけるモニタ250の画面251上には、図4に示すように、それら印刷可能な6つのプリンタA?Fのアイコンが表示されている。また、送り手側コンピュータ200におけるハードディスク装置270にはカラー画像データ271が格納されており、その格納されたカラー画像データ271のアイコンが、図4に示すように、モニタ250の画面251上に、カラー画像データIDのアイコンとして表示されている。なお、これらの表示は、CPU210の表示処理部213がアイコンの表示データをI/O部220を介してモニタ250に送ることによってなされる。 【0092】そこで、送り手側コンピュータ200のユーザは、この画面251の表示を見て、カラー画像データIDの内容を6つのプリンタA?Fのうちどのプリンタで印刷させるかを決定をする。本実施例では、例えば、印刷させたいプリンタとしてプリンタA(180)を決定するものとする。次に、ユーザは、入力装置240の、例えば、マウスを用いて、モニタ250の画面251に表示されたカラー画像データIDのアイコンをドラッグし、印刷させたいプリンタAのアイコンにドロップする。これによって、入力処理部212は、カラー画像データIDの内容をプリンタAで印刷させるために、カラー画像データIDをプリンタA(180)の接続されている受け手側コンピュータ100へ送信するための送信処理開始の指示が入力されたものとみなして、前述したように、その指示を送受信制御部211に伝える。 【0093】以上のようにして、送り手側コンピュータ200のユーザはカラー画像データIDの送信処理開始の指示を行なうことができる。」 「【0095】さて、次に、受け手側コンピュータ100では、送信されてきた送信処理開始の指示を通信装置160で受け取ると、CPU110の送受信制御部111が、格納されているユーザインタフェースデータ171をハードディスク装置170から読み出し、通信装置160を介して送り手側コンピュータ200に送信する(ステップS104)。ユーザインタフェースデータ171は、前述したように、受け手側コンピュータ100に接続されているプリンタA(180)に対応した印刷設定情報入力用のユーザインタフェースを表示させるためのものである。」 「【0100】図5及び図6はそれぞれ送られてきたユーザインタフェースデータに基づいてモニタ250の画面上に表示された印刷設定情報入力用のユーザインタフェースの一例を示す説明図である。このうち、図5は用紙設定画面を表しており、図6は印刷指定画面を表している。 【0101】従って、例えば、モニタ250の画面上に、印刷設定情報入力用のユーザインタフェースとして、まず、図5に示すような用紙設定画面が現れると、送り手側コンピュータ200のユーザは、入力装置240を用いて、用紙設定項目252、即ち、用紙サイズ、給紙方法、印刷の向き、印刷サイズなどを入力し、入力が終了したらOKボタン253をクリックする。すると、次に、図6に示すような印刷指定画面が現れる。続いて、ユーザは、再度、入力装置240を用いて、印刷指定項目254、即ち、印刷部数、印刷範囲、印刷品質、用紙の種類、インクの色などを、自己の希望に応じて入力する。なお、印刷指定項目254としては挙げられていないが、その他、色補正(すなわち、カラーマッチング)の処理方法なども、ユーザの希望に応じて入力できるようにしても良い。 【0102】その後、最終的に、ユーザが、カラー画像データIDを受け手側コンピュータ100に送信して、その内容(すなわち、カラー画像)をプリンタA(180)で印刷させることを、希望する場合には、入力装置240を用いてOKボタン255をクリックし、希望しない場合にはキャンセルボタン256をクリックする(ステップS108)。 【0103】入力処理部212は、入力された各種の印刷設定情報及びボタンクリックの結果を送受信制御部211に伝え、送受信制御部211は、印刷指定画面においてキャンセルボタン256がクリックされていた場合に、一連の処理を終了する。 【0104】一方、印刷指定画面において、OKボタン255がクリックされていた場合には、送受信制御部211が、まず、ハードディスク装置270から、送信の対象となるカラー画像データID(271)を読み出すと共に、モニタ250の表示設定に対応した色補正用ソースデータ(すなわち、モニタ250用のプロファイル)272を読み出し、これらカラー画像データ271、色補正用ソースデータ272を、入力された印刷設定情報のデータと共に、通信装置160を介して、受け手側コンピュータ100に向かって送信する(ステップS110)。 【0105】受け手側コンピュータ100では、送信されてきたカラー画像データ271、色補正用ソースデータ272及び印刷設定情報のデータを通信装置160を介して受け取ると、送受信制御部111は、受け取ったカラー画像データ271、色補正用ソースデータ272及び印刷設定情報のデータを印刷処理部114に渡す。ここで、印刷処理部114は、プリンタ180専用のプリンタドライバソフトによって実現されており、前述したように、解像度変換部115、色補正部118、色変換部116及びハーフトーン処理部117で構成されている。」 「【0113】以上説明したように、本実施例においては、インターネット600を介して印刷データであるカラー画像データを伝送してプリンタ180に印刷を行なわせる場合に、送り手側コンピュータ200に、受け手側コンピュータ100のプリンタであるプリンタ180専用のプリンタドライバがインストールされていなくても、受け手側コンピュータ100から送り手側コンピュータ200にプリンタ180専用の印刷設定情報入力用のユーザインタフェースデータが伝送され、それによって、送り手側コンピュータ200から受け手側コンピュータ100にプリンタ180用の印刷設定情報を送ることができるため、受け手側コンピュータ100においては、支障なくプリンタ180に印刷を行なわせることができる。」 ここで、上記記載事項を引用例の関連図面と技術常識に照らせば、以下のことがいえる。 (1)段落【0063】等でいう「受け手側コンピュータ100」は、「送り手側コンピュータ200と通信可能に接続され、当該送り手側コンピュータ200からの印刷要求に基づいて印刷媒体に画像を印刷する」機能を有する。 (2)段落【0065】において上記「受け手側コンピュータ100」の「ハードディスク装置170」に格納されているとされている「ユーザインタフェースデータ171」は、段落【0095】等の記載から明らかなように、「送り手側コンピュータ200」が印刷要求を行うためのデータの一種である。 (3)段落【0095】等の記載から明らかなように、上記「受け手側コンピュータ100」は、「『送り手側コンピュータ200』からの『送信処理開始の指示』に応じて前記『ユーザインタフェースデータ171』を提供する提供手段」といい得る手段を有している。 (4)段落【0095】等でいう「印刷設定情報」は、印刷条件を示す情報である。 (5)段落【0100】?【0105】等の記載から明らかなように、上記「ユーザインタフェースデータ171」は、引用例の図5、6に示されるような画面のデータであり、「前記『送り手側コンピュータ200』における入力に基づいて前記『印刷条件』を設定させ、前記『送り手側コンピュータ200』におけるOKボタン255による確定入力に基づいて前記『設定された印刷条件』を確定させ、当該印刷条件でカラー画像データ271の印刷要求を行わせるためのフォーム」ともいい得るものである。 したがって、引用例には、次の発明(以下、「引用例記載発明」という。)が記載されているといえる。 「 送り手側コンピュータ200と通信可能に接続され、当該送り手側コンピュータ200からの印刷要求に基づいて印刷媒体に画像を印刷する受け手側コンピュータ100であって、 印刷要求を行うためのユーザインタフェースデータ171を記憶するハードディスク装置170と、 前記送り手側コンピュータ200からの送信処理開始の指示に応じて前記ユーザインタフェースデータ171を提供する提供手段と、 を備え、 前記ユーザインタフェースデータ171は、前記送り手側コンピュータ200に対して、前記送り手側コンピュータ200における入力に基づいて印刷条件を設定させ、前記送り手側コンピュータ200における確定入力に基づいて前記設定された印刷条件を確定させ、当該印刷条件でカラー画像データ271の印刷要求を行わせるためのフォームである、 受け手側コンピュータ100。」 2-3.対比 本願補正発明と引用例記載発明とを対比すると、以下の対応関係があるといえる。 (1)引用例記載発明の「送り手側コンピュータ200」は本願補正発明の「上位装置」に相当し、引用例記載発明の「受け手側コンピュータ100」は本願補正発明の「情報処理装置」に相当する。 (2)引用例記載発明の「ユーザインタフェースデータ171」は本願補正発明の「印刷フォーム」に相当し、引用例記載発明の「ハードディスク装置170」は本願補正発明の「記憶手段」に相当する。 (3)引用例記載発明の「送信処理開始の指示」は本願補正発明の「取得要求」に相当する。 (4)引用例記載発明の「カラー画像データ271」と本願補正発明の「印刷データファイル」とは、「印刷対象」ともいい得るものである点で共通する。 したがって、引用例記載発明と本願補正発明の間には以下の一致点、相違点があるといえる。 (一致点) 「 上位装置と通信可能に接続され、当該上位装置からの印刷要求に基づいて印刷媒体に画像を印刷する情報処理装置であって、 印刷要求を行うための印刷フォームを記憶する記憶手段と、 前記上位装置からの取得要求に応じて前記印刷フォームを提供する提供手段と、 を備え、 前記印刷フォームは、前記上位装置に対して、前記上位装置における入力に基づいて印刷条件を設定させ、前記上位装置における確定入力に基づいて前記設定された印刷条件を確定させ、当該印刷条件で印刷対象の印刷要求を行わせるためのフォームである、 情報処理装置。」である点。 (相違点) 本願補正発明の「印刷フォーム」は、「上位装置における入力に基づいて印刷対象となる印刷データファイルを指定」させることもでき、「上位装置における確定入力に基づいて前記指定された印刷データファイルをも確定」させることができるフォームであって、「当該印刷データファイル」の印刷要求を行わせるためのフォームであるのに対し、引用例記載発明の「印刷フォーム」は、「上位装置における入力に基づいて印刷対象となる印刷データファイルを指定」させることや「上位装置における確定入力に基づいて前記指定された印刷データファイルをも確定」させることができるフォームではなく、「当該印刷データファイル」の印刷要求を行わせるためのフォームではない点。 2-4.判断 (1)(相違点)について 以下の事情を勘案すると、引用例記載発明において上記相違点に係る本願補正発明の構成を採用すること、換言すれば、引用例記載発明の「印刷フォーム」を、「上位装置における入力に基づいて印刷対象となる印刷データファイルを指定」させることと「上位装置における確定入力に基づいて前記指定された印刷データファイルをも確定」させることができるフォームであって、「当該印刷データファイル」の印刷要求を行わせるためのフォームとすることは、当業者が容易に推考し得たことというべきである。 ア.印刷フォームといい得るものの中で、印刷条件の設定、確定とともに、印刷対象となる印刷データファイルの指定や確定もできるようにすることは、平成25年3月26日付けの審尋に添付して請求人にも送付した前置報告書で審査官も指摘しているように周知である(このことは、上記前置報告書に提示された特開2004-127282号公報の段落【0082】や図8の記載、特開2002-91726号公報の段落【0030】や図6の記載等によって裏付けられる。)。 イ.引用例記載発明においても、上記ア.で言及した周知の技術が有用かつ採用可能であることは、当業者に明らかである。 ウ.以上のことは、引用例記載発明において上記相違点に係る本願補正発明の構成を採用することが当業者にとって容易であったことを意味している。 (2)本願補正発明の効果について 本願補正発明の構成によってもたらされる効果は、引用例に記載された事項及び周知の事項から当業者が予測し得る範囲のものであり、本願補正発明の進歩性を肯定する根拠となり得るようなものではない。 (5)まとめ よって、本願補正発明は、引用例記載発明、及び周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3.むすび したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1.本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項12に係る発明(以下、「本願発明」と呼ぶ。)は、平成24年2月20日付けの手続補正書の請求項12に記載されたとおりのものであり、上記「第2」の「1.」の<補正前の請求項12>の欄に転記したとおりのものである。 2.引用例 原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及びその記載事項は、上記「第2」の「2.」の「2-2.」の欄に記載したとおりである。 3.対比・判断 本願発明は、上記「第2」で検討した本願補正発明から、限定事項の一部を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに特定の限定を施したものに相当する本願補正発明が、上記「第2」の「2.」の欄に記載したとおり、引用例記載発明及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用例記載発明及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 4.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例記載発明及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2013-08-28 |
結審通知日 | 2013-09-03 |
審決日 | 2013-09-17 |
出願番号 | 特願2010-129316(P2010-129316) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 野村 和史、中田 剛史 |
特許庁審判長 |
小曳 満昭 |
特許庁審判官 |
稲葉 和生 山田 正文 |
発明の名称 | 印刷システム、情報処理装置およびプログラム |
代理人 | 佐藤 幸男 |