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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 C09K
管理番号 1280936
審判番号 不服2012-21551  
総通号数 168 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-12-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-10-31 
確定日 2013-10-31 
事件の表示 特願2006-251238「シンチレータ用単結晶及びその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成19年11月15日出願公開、特開2007-297584〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、平成18年9月15日(優先権主張 平成18年4月5日)の出願であって、平成24年2月14日付けの拒絶理由通知書に対して、同年4月11日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年7月23日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年10月31日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

2 本願発明
本願の請求項1ないし5に係る発明は、平成24年4月11日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし5にそれぞれ記載された事項によって特定されるものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「下記一般式(2B)で表されるセリウム付活珪酸ガドリニウム化合物の単結晶であって、周期表4、5、6族に属する元素からなる群より選択される1種以上の元素の合計含有量が、前記単結晶の全質量基準で0.002質量%以下であるシンチレータ用単結晶。
Gd_(2-(z+w))Ln_(z)Ce_(w)SiO_(5) (2B)
[式(2B)中、Lnは希土類元素に属する元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素を示し、zは1.8以上2以下の数値を示し、wは0.0001以上0.02以下の数値を示し、zとwの和は2未満である。]」

3 引用刊行物及びその記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開平4-218588号公報(以下「引用例」という。)には、図とともに次の事項が記載されている(下線は審決で付した。以下同じ。)。
(1)「【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは単結晶組成及びセリウム濃度と単結晶シンチレータ特性との関係について研究を重ねた結果、発光波長が前記光電子増倍管の最大分光感度を示す波長に近い単結晶シンチレータを得るためにガドリニウム元素のイオン半径より小さいイオン半径の元素でガドリニウム元素の一部分を置き換える方法が有効であることを見いだした。
【0005】本発明は一般式 Gd_(2-)()LnCeSiO_(5)_( )(ここにLnはSc、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表わし、xは0.03?1.9及びyは0.001?0.2の値である。)で示されるセリウム付活珪酸ガドリニウム化合物からなる単結晶シンチレータ及びそれを用いた地下層探査装置に関する。
【0006】本発明において、上記一般式におけるyの値が0.001未満であると蛍光出力が小さくなり、yが0.2を越えると結晶がやや黄褐色に着色して光の透過性が悪くなる。yの値は0.003?0.02の範囲が蛍光出力が最も大きく好ましい。一方、xの値が0.03未満であると単結晶シンチレータの最大分光感度を示す波長からずれてくる。xが1.9を越えると良質の結晶が得られない。好ましいxの値は最も良質の結晶が得られる0.1?0.7の範囲である。
【0007】またLnの各元素のうちLuを用いた場合が単結晶の発光波長が光電子増倍管の最大分光感度を示す波長に最も近く好ましい。
【0008】本発明の単結晶はチョクラルスキー法等公知の方法で製造される。セリウム付活珪酸ガドリニウム化合物は融点が約1900℃と高いのでイリジウムるつぼ等を用いる。回転数、雰囲気ガス等は適した条件を選べばよく特に制限はないが、イリジウムは空気中の高温にさらされると蒸発が激しいから、イリジウムるつぼを用いる場合は不活性ガスを使用する。
【0009】上記単結晶シンチレータは、特に石油等の地下層探査装置に用いて効果的である。本発明の地下層探査装置は、放射線の検出手段を備えた探査子及び検出した光を信号に変換し記録する組合せ手段からなる。検出手段は、単結晶シンチレータ、容器、反射材、光電子増倍管等から構成される。単結晶シンチレータはγ線等の放射線を透過する容器に収納され、一つの面が光電子増倍管に接続され、他の面に反射剤としてテフロン、硫酸バリウム粉、酸化マグネシウム粉、アルミニウム箔、酸化チタンペイント等を被覆して、発生した光を出来るだけ多く光電子増倍管との接続面に集める。単結晶シンチレータと光電子増倍管とは直接接合するほか、光導波管、光ファイバー、レンズ、鏡等で接続してもよい。光電子増倍管は更に公知の方法で組合せ手段としての増幅器、記録計等に接続される。
【0010】(作用)ガドリニウム元素より小さいイオン半径の元素でガドリニウムの一部分を置き換えることにより、発光波長が短くなる理由は次のように考えられる。発光中心であるセリウムイオンに影響する結晶場の強さはセリウムイオンのまわりのガドリニウム元素、又はガドリニウムを置き換えた別の元素によって決定される。即ち、セリウムイオンのまわりの元素がガドリニウムからガドリニウムより小さいイオン半径の元素で置き換わると、セリウムイオンのイオン空間が広がり、従って、セリウムイオンがまわりから受ける結晶場の強さは弱まると考えられる。セリウムイオンの発光は5d準位から4f準位へのエネルギー遷位によるものであるが、実際の結晶内での5d準位は結晶場の強さにより分離し、発光遷位にかかわるエネルギー間隔の大きさは結晶場が強くなるほど小さくなる。従って、結晶場が弱いとエネルギー間隔は相対的に大きい。発光遷位にかかわるエネルギー間隔の大きさが大きくなると、放出される光子のエネルギーが大きくなり、従って、発光波長が短くなる。
【0011】上記したことから、ガドリニウム元素の一部をLnで置き換えることにより、その単結晶の発光波長が光電子増倍管の最大分光感度を示す波長に近づくものと思われる。」
(2)「【0012】
【実施例】次に、本発明の実施例を説明する。
【0013】実施例1
原料として99.99?99.999%の高純度のGd_(2)O_(3)、Lu_(2)O_(3)、CeO_(2)及びSiO_(2)からなる酸化物をGd_(1.495)Lu_(0.5)Ce_(0.005)SiO_(5)(以下、LuGSOと呼ぶ)の組成になるように配合して、その450gをイリジウムるつぼ(直径50mm、高さ50mm)に入れ、窒素雰囲気中で高周波加熱により原料を約1900℃に加熱し、チョクラルスキー法で結晶引上速度1mm/時間、毎分35回転の条件で融液から単結晶を育成した。
【0014】表面温度1890℃(パイロメータで測温)の融液に種結晶を浸し、種結晶を回転させながらゆっくり上方に引き上げて、種結晶の下に単結晶を成長させた。単結晶の大きさは直径約25mm、長さ約60mmで重さ約300gのものが得られた。この単結晶は無色透明であった。」
(3)上記3摘記(1)の「本発明は一般式 Gd_(2-)()LnCeSiO_(5 )(ここにLnはSc、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表わし、xは0.03?1.9及びyは0.001?0.2の値である。)で示されるセリウム付活珪酸ガドリニウム化合物からなる単結晶シンチレータ」(段落【0005】参照。)は、「Gd_(2-)()LnCeSiO_(5)」の「Gd」に係る「_(2-)()」並びにこれと同様の「Ln」及び「Ce」に係る値が不明瞭であるところ、上記3摘記(2)の「Gd_(1.495)Lu_(0.5)Ce_(0.005)SiO_(5)(以下、LuGSOと呼ぶ)の組成」(段落【0013】参照。)に照らせば、前記「Gd_(2-)()LnCeSiO_(5)」の「Gd」に係る「_(2-)()」並びにこれと同様の「Ln」及び「Ce」に係る値が、それぞれ、「_(2-)(_(x+y))」、「_(x)」及び「_(y)」の誤記であることが明らかである。したがって、上記3摘記(1)の「一般式 Gd_(2-) ()LnCeSiO_(5 )(ここにLnはSc、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表わし、xは0.03?1.9及びyは0.001?0.2の値である。)で示されるセリウム付活珪酸ガドリニウム化合物からなる単結晶シンチレータ 」(段落【0005】参照。)は、「一般式 Gd_(2-) (_(x+y))Ln_(x)Ce_(y)SiO_(5 )(ここにLnはSc、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表わし、xは0.03?1.9及びyは0.001?0.2の値である。)で示されるセリウム付活珪酸ガドリニウム化合物からなる単結晶シンチレータ」の誤記と認められる。(なお、引用例の出願当初明細書の請求項1及び段落【0005】には、「一般式 Gd_(2-) (_(x+y))Ln_(x)Ce_(y)SiO_(5 )」との記載がある。)
したがって、上記3摘示(1)の「一般式 Gd_(2-)()LnCeSiO_(5) (ここにLnはSc、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表わし、xは0.03?1.9及びyは0.001?0.2の値である。)で示されるセリウム付活珪酸ガドリニウム化合物からなる単結晶シンチレータ」(段落【0005】参照。)は「一般式 Gd_(2-)(_(x+y))Ln_(x)Ce_(y)SiO_(5 )(ここにLnはSc、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表わし、xは0.03?1.9及びyは0.001?0.2の値である。)で示されるセリウム付活珪酸ガドリニウム化合物からなる単結晶シンチレータ」といえる。
(4)上記3摘記(2)の「原料として99.99?99.999%の高純度のGd_(2)O_(3)、Lu_(2)O_(3)、CeO_(2)及びSiO_(2)からなる酸化物をGd_(1.495)Lu_(0.5)Ce_(0.005)SiO_(5)(以下、LuGSOと呼ぶ)の組成になるように配合して」(段落【0012】参照。)は、技術常識に照らせば、「原料として99.99?99.999質量%の高純度のGd_(2)O_(3)、Lu_(2)O_(3)、CeO_(2)及びSiO_(2)からなる酸化物をGd_(1.495)Lu_(0.5)Ce_(0.005)SiO_(5)(以下、LuGSOと呼ぶ)の組成になるように配合して」(以下「引用例記載事項」という。)を意味するといえる。

4 引用発明
(1)上記3(3)から、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「一般式 Gd_(2-)(_(x+y))Ln_(x)Ce_(y)SiO_(5 )(ここにLnはSc、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表わし、xは0.03?1.9及びyは0.001?0.2の値である。)で示されるセリウム付活珪酸ガドリニウム化合物からなる単結晶シンチレータ。」

5 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「セリウム付活珪酸ガドリニウム化合物」、「x」、「y」、「『Sc、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表わ』す『Ln』」、「単結晶」及び「単結晶シンチレータ」は、それぞれ、本願発明の「セリウム付活珪酸ガドリニウム化合物」、「z」、「w」、「『希土類元素に属する元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素を示』す『Ln』」、「単結晶」及び「シンチレータ用単結晶」に相当する。
(2)引用発明の「一般式 Gd_(2-)(_(x+y))Ln_(x)Ce_(y)SiO_(5)(ここにLnはSc、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表わし、xは0.03?1.9及びyは0.001?0.2の値である。)で示されるセリウム付活珪酸ガドリニウム化合物」と本願発明の「下記一般式(2B)で表されるセリウム付活珪酸ガドリニウム化合物
Gd_(2-(z+w))Ln_(z)Ce_(w)SiO_(5) (2B)
[式(2B)中、Lnは希土類元素に属する元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素を示し、zは1.8以上2以下の数値を示し、wは0.0001以上0.02以下の数値を示し、zとwの和は2未満である。]」とは、
「下記一般式(2B)で表されるセリウム付活珪酸ガドリニウム化合物
Gd_(2-(z+w))Ln_(z)Ce_(w)SiO_(5) (2B)
[式(2B)中、Lnは希土類元素に属する元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素を示し、zは1.8以上1.9以下の数値を示し、wは0.001以上0.02以下の数値を示し、zとwの和は2未満である。]」である点で重複する。

(3)上記(1)及び(2)から、本願発明と引用発明とは、
「下記一般式(2B)で表されるセリウム付活珪酸ガドリニウム化合物の単結晶であって、シンチレータ用単結晶。
Gd_(2-(z+w))Ln_(z)Ce_(w)SiO_(5) (2B)
[式(2B)中、Lnは希土類元素に属する元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素を示し、zは1.8以上1.9以下の数値を示し、wは0.001以上0.02以下の数値を示し、zとwの和は2未満である。]」
である点で一致し、次の点で一応相違する。

相違点:
本願発明では、「周期表4、5、6族に属する元素からなる群より選択される1種以上の元素の合計含有量が、単結晶の全質量基準で0.002質量%以下である」のに対して、引用発明では、そのようなものであるか否か明らかでない点。

6 判断
上記相違点について検討する。
相違点について
原料の純度が高ければ高い程、高精度の単結晶シンチレータが得られることは、技術常識であるといえる。そして、引用例には、上記3に記載のとおり、引用例記載事項(上記3(4)参照。)が記載されているといえ、99.999質量%程度の高純度のGd_(2)O_(3)、Lu_(2)O_(3)、CeO_(2)及びSiO_(2)からなる酸化物を原料とすることが示されている。
そうすると、引用発明において、99.999質量%程度の高純度のGd_(2)O_(3)、Lu_(2)O_(3)、CeO_(2)及びSiO_(2)からなる酸化物を原料として上記の一般式の組成になるように配合し得られたものは、周期表4、5、6族に属する元素からなる群より選択される1種以上の元素を含む「Gd」、「Ln]、「Ce」、「Si]及び「O」以外の元素の合計含有量が、単結晶の全質量基準で最大(100.000質量%-99.999質量%)=最大0.001質量%程度であるといえ、周期表4、5、6族に属する元素からなる群より選択される1種以上の元素の合計含有量も単結晶の全質量基準で最大0.001質量%程度であるといえる。
したがって、引用発明は、「周期表4、5、6族に属する元素からなる群より選択される1種以上の元素の合計含有量が、単結晶の全質量基準で0.001質量以下%程度であるといえ、引用発明と本願発明とは、「周期表4、5、6族に属する元素からなる群より選択される1種以上の元素の合計含有量が、単結晶の全質量基準で0.001質量以下%」である点で重複し、両者は実質的に相違するところがない。

7 むすび
以上のとおり、本願発明は、実質的に引用例に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-08-27 
結審通知日 2013-09-03 
審決日 2013-09-18 
出願番号 特願2006-251238(P2006-251238)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (C09K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 馬籠 朋広  
特許庁審判長 松浦 新司
特許庁審判官 菅野 芳男
新居田 知生
発明の名称 シンチレータ用単結晶及びその製造方法  
代理人 城戸 博兒  
代理人 長谷川 芳樹  
代理人 清水 義憲  
代理人 池田 正人  
代理人 鈴木 洋平  
代理人 酒巻 順一郎  
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