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審決分類 審判 査定不服 特29条の2 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1281291
審判番号 不服2012-24802  
総通号数 168 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2013-12-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-12-14 
確定日 2013-11-08 
事件の表示 特願2005-277005「半導体デバイスにおける厚い酸化物領域およびその形成方法」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 4月13日出願公開、特開2006-100825〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成17年9月26日(パリ条約による優先権主張2004年9月29日、アメリカ合衆国)の出願であって、平成23年11月11日付けの拒絶理由通知に対して、平成24年5月15日に手続補正書及び意見書が提出されたが、同年8月9日付けで拒絶査定がなされ、それに対して、同年12月14日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成24年5月15日になされた手続補正により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定される以下のとおりのものである。

「半導体デバイス内に酸化物領域を形成する方法であって、
複数のトレンチをデバイスの半導体層内に互いに近接して形成する工程であって、該複数のトレンチは、2つの端部トレンチと、該各端部トレンチの間の2つ以上の内側トレンチとを含んでおり、該各内側トレンチの少なくとも一部の組は互いに異なる深さを有している工程と、
該各トレンチの少なくとも側壁および底壁上に絶縁層が形成されるように該半導体層を酸化させる工程とを含み、
該各トレンチが、該絶縁層が実質的に該各トレンチを充填し、かつ対応する各対の隣接したトレンチ間の該半導体層を実質的に消費するように構成され、それによって該複数のトレンチ全体にわたって実質的に連続した酸化物領域を形成する方法。」

3.先願明細書に記載された発明
(3-1)原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先権主張の日前の他の出願であって、その優先権主張の日後に出願公開された特願2003-168851号(特開2005-5561号公報参照。以下「先願」という。)の願書に最初に添付した明細書(以下「先願明細書」という。また、先願の図面を「先願図面」といい、これらをまとめて、「先願明細書等」という。)には、「半導体装置の製造方法」(発明の名称)に関して、先願図面の図1とともに、以下の事項が記載されている。

「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特にシリコン酸化膜の形成方法に関する。本発明は、シリコン酸化膜を素子分離膜として用いた半導体素子、フォトダイオード、及び太陽電池、上記半導体素子をその一部として用いた集積回路、並びに部品として上記フォトダイオードや太陽電池を備える集積回路を備えるデジタルカメラや携帯電話等の情報端末機器の製造に適用することができる。」
「【0023】
【発明の実施の形態】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0024】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態にかかる半導体装置の製造方法(シリコン酸化膜の形成方法)を、図1を参照して説明する。
【0025】
まず、図1(a)に示すように、半導体基板(シリコン基板)103に、シリコン酸化膜102(本実施形態では、厚さ10?20nm)及びシリコン窒化膜101(本実施形態では、厚さ100?200nm)を順次形成する。
【0026】
次に、図1(b)に示すように、フォトリソグラフィー及びエッチング技術を用いて、溝(図1(c)の符号107及び108参照)が形成される領域106,105のシリコン窒化膜101及びシリコン酸化膜102を選択的に除去し、半導体基板103の表面を部分的に露出させる。本実施形態では、露出領域の幅は、領域106では約0.18?0.22μmであり、領域105では0.11?0.13μmである。また、シリコン窒化膜101及びシリコン酸化膜102が除去されずに残っている領域104の幅は、約0.10?0.12μmである。なお、フォトリソグラフィー工程については、後に詳述する。
【0027】
次に、シリコン窒化膜101をマスクとして、露出面積が少ない部分より、露出面積の大きい部分の方がより多くエッチできるエッチング条件を用いて、半導体基板103をエッチングする。図1(c)に示すように、このエッチング条件によって、基板表面の露出幅が大きい領域106では、露出幅が少ない領域105よりも半導体基板103が深くエッチングされる。その結果、半導体基板103には深さの異なる溝(トレンチ)108及び107が形成される。本実施形態では、深い溝108の深さは約1.0?1.2μmであり、浅い溝107の深さは約0.3?0.5μmである。なお、上記エッチング条件を含め、エッチング工程の詳細については後に詳述する。
【0028】
次に、図1(d)に示すように、シリコン窒化膜101を耐酸化膜として溝107及び106の内壁を酸化雰囲気により酸化し、これらの内壁に約0.09?0.11μmのシリコン酸化膜ないしは熱酸化膜(以下、単に酸化膜という。)を形成する。溝107,108の両側にそれぞれ約0.09?0.11μmの酸化膜が形成され、溝107間の領域及び溝107と溝108の間の領域では半導体基板103を構成するシリコンがすべて酸化される。また、半導体基板103を構成するシリコンは、酸化により体積が約2倍になるので、酸化されたシリコンが内壁から溝107,108の内部に進出して溝107,108が消失する。この溝107,108間の領域の酸化と、溝107,108内部への酸化されたシリコンの進入により、幅が約0.18?0.22μm以下である溝108,107は、すべて酸化膜で埋まる。すなわち、深い溝108が形成されていた領域には、膜厚約1.1?1.3μmの厚い酸化膜109aが形成され、浅い溝107が形成されていた領域には、膜厚約0.4?0.6μmの薄い酸化膜109bが形成される。
【0029】
次に、図1(e)に示すように、酸化工程により形成されたシリコン窒化膜101表面のシリコン酸化膜、シリコン窒化膜101、及びシリコン酸化膜102を除去する。以上の工程を経て、厚さの異なる(2種類の厚さを有する)酸化膜109が半導体基板103に形成される。」
「【0034】
本実施形態では、エッチングにより2種類の深さの溝107,108を形成しているが、3種類以上の深さの溝を形成することで3種類以上の厚さの異なる酸化膜を形成することができる。また、3種類のフォトレジストを同時にパターニングすれば、3種類の厚さの異なる膜を所望の領域にずれなく形成できる。」

(3-2)図1の記載から、「第1実施形態」として記載されている方法においては、「半導体基板103」の端部に「溝108」及び「溝107」が位置し、その間に、3個の「溝107」が位置するように形成されていることが明らかである。

(3-3)上記記載からみて、先願明細書等には、以下の発明(以下「先願発明」という。)が記載されているものと認められる。

「シリコンからなる半導体基板103に、シリコン酸化膜102及びシリコン窒化膜101を順次形成し、
フォトリソグラフィー及びエッチング技術を用いて、溝107及び溝108が形成される領域105,106の前記シリコン窒化膜101及び前記シリコン酸化膜102を選択的に除去し、前記半導体基板103の表面を部分的に露出させ、
前記シリコン窒化膜101をマスクとして、露出面積が少ない部分より、露出面積の大きい部分の方がより多くエッチできるエッチング条件を用いて、前記半導体基板103をエッチングすることにより、前記半導体基板103に深さの異なる前記溝107及び前記溝108を、両端に前記溝108及び前記溝107が位置し、その間に、3個の前記溝107が位置するように形成し、
前記溝107及び前記108の内壁を酸化雰囲気により酸化し、これらの内壁に酸化膜を形成し、その際、前記溝107間の領域及び前記溝107と前記溝108の間の領域では半導体基板103を構成するシリコンがすべて酸化され、酸化されたシリコンが内壁から前記溝107及び前記108の内部に進出して溝107及び前記108が消失し、
前記酸化により形成された前記シリコン窒化膜101表面のシリコン酸化膜、前記シリコン窒化膜101及び前記シリコン酸化膜102を除去することにより、厚さの異なる酸化膜109を前記半導体基板103に形成する、
シリコン酸化膜の形成方法。」

4.対比
(4-1)先願明細書の
「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特にシリコン酸化膜の形成方法に関する。本発明は、シリコン酸化膜を素子分離膜として用いた半導体素子、フォトダイオード、及び太陽電池、上記半導体素子をその一部として用いた集積回路、並びに部品として上記フォトダイオードや太陽電池を備える集積回路を備えるデジタルカメラや携帯電話等の情報端末機器の製造に適用することができる。」
という記載から、先願発明の「半導体基板103」には、「半導体デバイス」が形成されていることが明らかであるから、先願発明の「シリコン酸化膜の形成方法」は、本願発明の「半導体デバイス内に酸化物領域を形成する方法」に相当する。

(4-2)先願発明において、「溝107」及び「溝108」が、「互いに近接して」いることは、先願図面の図1等から明らかであるから、先願発明の「前記半導体基板103に深さの異なる前記溝107及び前記溝108を形成」することは、本願発明の「複数のトレンチをデバイスの半導体層内に互いに近接して形成する工程」に相当する。
また、先願発明は、「両端に前記溝108及び前記溝107が位置し、その間に、3個の前記溝107が位置するように形成」するものであるから、本願発明と先願発明とは、「該複数のトレンチは、2つの端部トレンチと、該各端部トレンチの間の2つ以上の内側トレンチとを含んで」いる点で、一致する。

(4-3)先願発明の「前記溝107及び前記108の内壁を酸化雰囲気により酸化し、これらの内壁に酸化膜を形成」することは、本願発明の「該各トレンチの少なくとも側壁および底壁上に絶縁層が形成されるように該半導体層を酸化させる工程」に相当する。
そして、先願発明において、
・「溝107」及び「溝108」の側壁及び低壁上に酸化膜が形成されていること、
・酸化膜が、「溝107」及び「溝108」を実質的に充填し、「溝107」と「溝108」の間の「半導体基板103」が実質的に消費するように構成されていること、
・「溝107」及び「溝108」の全体にわたって実質的に連続した酸化物領域が形成されていることは明らかである。

(4-4)そうすると、本願発明と先願発明とは、
「半導体デバイス内に酸化物領域を形成する方法であって、
複数のトレンチをデバイスの半導体層内に互いに近接して形成する工程であって、該複数のトレンチは、2つの端部トレンチと、該各端部トレンチの間の2つ以上の内側トレンチとを含んでいる工程と、
該各トレンチの少なくとも側壁および底壁上に絶縁層が形成されるように該半導体層を酸化させる工程とを含み、
該各トレンチが、該絶縁層が実質的に該各トレンチを充填し、かつ対応する各対の隣接したトレンチ間の該半導体層を実質的に消費するように構成され、それによって該複数のトレンチ全体にわたって実質的に連続した酸化物領域を形成する方法。」
という点で一致し、次の点で一応相違する。

(相違点)本願発明は、「該各内側トレンチの少なくとも一部の組は互いに異なる深さを有している」のに対し、先願発明では、「溝107」及び「溝108」について、そのような特定がなされていない点。

5.判断
(5-1)上記相違点について、以下、検討する。
先願明細書には、「【0034】
本実施形態では、エッチングにより2種類の深さの溝107,108を形成しているが、3種類以上の深さの溝を形成することで3種類以上の厚さの異なる酸化膜を形成することができる。また、3種類のフォトレジストを同時にパターニングすれば、3種類の厚さの異なる膜を所望の領域にずれなく形成できる。」と記載されており、当該記載に従い、例えば、4種類以上の深さの溝を形成した場合には、2つの端部の溝と、該端部の溝の間に異なる深さの2つ以上の溝を含む構成となることは明らかであり、また、先願明細書等を精査しても、先願発明において、このような構成を採用することにより、格別な効果を奏するものとは認められず、当該構成に格別の技術的な意義を認めることはできない。
したがって、「該各内側トレンチの少なくとも一部の組は互いに異なる深さを有している」か否かは、課題解決のための具体化手段における微差にすぎないものであるから、上記相違点は、実質的なものではない。

(5-2)まとめ
以上、検討したとおり、本願発明と先願発明との相違点は、実質的なものでなく、本願発明は、先願明細書等に記載された発明と同一であり、しかも、本願発明の発明者が上記先願明細書等に記載された発明の発明者と同一であるとも、また、本願の出願の時点において、その出願人が上記他の出願の出願人と同一であるとも認められないので、本願発明は、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。

6.むすび
以上のとおりであるから、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-06-17 
結審通知日 2013-06-18 
審決日 2013-06-25 
出願番号 特願2005-277005(P2005-277005)
審決分類 P 1 8・ 16- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石坂 博明三浦 尊裕  
特許庁審判長 北島 健次
特許庁審判官 小野田 誠
近藤 幸浩
発明の名称 半導体デバイスにおける厚い酸化物領域およびその形成方法  
代理人 吉澤 弘司  
代理人 臼井 伸一  
代理人 岡部 讓  
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