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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1281856
審判番号 不服2012-12107  
総通号数 169 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-01-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-06-27 
確定日 2013-11-21 
事件の表示 特願2005-281440「アプリケーション稼働監視方法及び顧客アプリケーション稼働監視サービス提供方法」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 4月12日出願公開、特開2007- 94631〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成17年9月28日の出願であって、平成22年9月6日付けで拒絶理由通知がなされ、同年11月15日付けで意見書の提出とともに手続補正がなされ、平成23年2月23日付けで最後の拒絶理由通知がなされ、同年4月27日付けで意見書の提出とともに手続補正がなされたが、同年10月19日付けで、同年4月27日付けの手続補正を特許法第17条の2第4項の各号に掲げるいずれの事項を目的とするものに該当しないとして補正の却下の決定がなされるとともに、同日付けで最後の拒絶理由通知がなされ、同年12月26日付けで意見書の提出とともに手続補正がなされたが、平成24年3月21日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成24年6月27日付けで拒絶査定不服審判請求がなされるとともに同日付けで手続補正がなされ、平成25年3月18日付けの当審の前置報告を引用した審尋に対して、平成25年5月8日に回答がなされたものである。

2.平成24年6月27日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成24年6月27日付けの手続補正を却下する。
[理 由]
(1)補正の内容
平成24年6月27日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)により、特許請求の範囲は、
本件補正前には、
「【請求項1】
複数のモジュール化されたアプリケーションであって、1のアプリケーションの出力が、他のアプリケーションに対する入力とされること等により、各アプリケーションが機能的に関連付けられ、全体として一定の処理目的を実現させる複数のモジュール化されたアプリケーションと、
ネットワークに接続された前記各アプリケーションを実行するための1つ又は複数の情報処理装置と、
前記アプリケーションを利用するための処理要求を、前記ネットワークを介して前記情報処理装置に対して行い当該処理要求に対する応答を前記情報処理装置から得る端末装置と、
各種演算処理を行う制御部と、前記端末装置から前記情報処理装置に送信される処理要求と、当該処理要求が正常に前記アプリケーションによって処理された場合に当該情報処理装置からあるべき応答と、の定義が格納された記憶部と、当該記憶部に格納されている前記定義された処理要求を前記ネットワークに送出し、当該ネットワークを介して当該処理要求を受信した前記情報処理装置からの当該処理要求に対する応答を、当該ネットワークを介して受ける、送受信処理を実行する通信部と、を含み、前記端末装置からの処理要求に対応する処理を実行する前記アプリケーションの稼働状況を監視するためのアプリケーション稼働監視装置と、
を備える処理システムにおける前記アプリケーションの稼働状況を監視するための、アプリケーション稼働監視方法であって、
前記アプリケーション稼働監視装置は、
前記記憶部に格納されている前記定義された処理要求を、前記アプリケーションを実行する前記情報処理装置に対して送出し、当該情報処理装置から当該処理要求に対する実際の応答を受けたとき、
前記制御部により、
当該処理要求に対する実際の応答と、前記記憶部に格納されている前記定義されたあるべき応答と、を比較し、
当該比較の結果、同一であると判断された場合には、前記定義された処理要求に対する処理を行った1つ又は複数の前記アプリケーションは正常に稼働していると判断し、同一でないと判断された場合には、前記定義された処理要求に対する処理を行った1つ又は複数の前記アプリケーションが正常に稼働していないと判断する、ことを特徴とするアプリケーション稼働監視方法。
【請求項2】
前記端末装置が前記情報処理装置に送信する処理要求によって生ずる前記複数のモジュール化されたアプリケーションの何れかから他のアプリケーションへの入力データと、当該入力データが正常に前記他のアプリケーションによって処理された場合に前記情報処理装置からあるべき応答と、を予め定義することにより、前記定義された入力データを、前記他のアプリケーションを実行する情報処理装置に対して送信することにより前記他のアプリケーションに入力し、当該定義された入力データに対する前記情報処理装置からの実際の応答を、前記入力データに対して定義された応答と比較し、これが同一であると判断された場合には、前記定義された入力データに対する処理を行った1つ又は複数の前記アプリケーションは正常に稼働していると判断し、同一でないと判断された場合には、前記定義された入力データに対する処理を行った1つ又は複数の前記アプリケーションが正常に稼働していないと判断することを特徴とする請求項1記載のアプリケーション稼働監視方法。
【請求項3】
前記処理要求若しくは前記入力データを構成するデータ構造に、テストデータであることを示すテストフラグ格納エリアを定めておき、前記アプリケーションを稼動中の前記情報処理装置に対して、前記定義された処理要求若しくは前記定義された入力データを入力する際には、前記テストフラグを立てた処理要求若しくは入力データとすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアプリケーション稼働監視方法。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載のアプリケーション稼働監視方法が、特定企業の管理下にあるネットワーク上に構成された処理システム上で実行され、これらの複数の特定企業の管理下にある処理システムと、アプリケーション稼働監視サービス提供者のシステムと、がネットワークを介して接続されることによって構成されたシステムにおける、顧客アプリケーション稼働監視サービス提供方法であって、前記各特定企業の管理下にある処理システムに、これらを一意に定めることができる識別情報を付与して、これを当該特定企業と前記アプリケーション稼働監視サービス提供者との間で共有し、前記特定企業の管理下にある処理システムから、アプリケーション稼働状況監視情報を、自己の前記識別情報と共に、前記アプリケーション稼働監視サービス提供者のシステムへと送信することにより、前記稼働監視サービス提供者のシステムにおいて、前記各特定企業内のアプリケーションの稼働状況の監視を行うことを特徴とする顧客アプリケーション稼働監視サービス提供方法。
【請求項5】
前記端末装置が前記情報処理装置に送信する処理要求と、当該処理要求が正常に前記アプリケーションによって処理された場合に前記情報処理装置からあるべき応答と、の定義、又は、前記端末装置が前記情報処理装置に送信する処理要求によって生ずる前記複数のモジュール化されたアプリケーションの何れかから他のアプリケーションへの入力データと、当該入力データが正常に前記他のアプリケーションによって処理された場合に前記情報処理装置からあるべき応答と、の定義、によって生成されるテストシナリオに対し、これを一意に定めることができるシナリオIDを付与し、当該シナリオIDと当該シナリオIDに対応するテストシナリオの実行結果を前記特定企業の管理下にある処理システムから前記稼働監視サービス提供者のシステムへと送信することにより、若しくは、前記シナリオIDを前記稼働監視サービス提供者のシステムから前記特定企業の管理下にある処理システムへと送信させ、これに対する返信として当該シナリオIDに対応するテストシナリオの実行結果を前記特定企業の管理下にある処理システムから前記稼働監視サービス提供者のシステムへと送信することにより、前記特定企業の管理下にある処理システムから前記稼働監視サービス提供者のシステムへの前記アプリケーション稼働状況監視情報の送信を行うことを特徴とする請求項4記載の顧客アプリケーション稼働監視サービス提供方法。」
であったものが、
「【請求項1】
複数のモジュール化されたアプリケーションであって、1のアプリケーションの出力が、他のアプリケーションに対する入力とされること等により、各アプリケーションが機能的に関連付けられ、全体として一定の処理目的を実現させる複数のモジュール化されたアプリケーションと、
ネットワークに接続された前記各アプリケーションを実行するための1つ又は複数の情報処理装置と、
前記アプリケーションを利用するための処理要求を、前記ネットワークを介して前記情報処理装置に対して行い当該処理要求に対する応答を前記情報処理装置から得る端末装置と、
各種演算処理を行う制御部と、前記端末装置から前記情報処理装置に送信される処理要求と、当該処理要求が正常に前記アプリケーションによって処理された場合に当該情報処理装置からあるべき応答と、の定義が、各アプリケーションの稼動テストシナリオとして格納され、かつ当該処理要求に対する実際の応答と、当該あるべき応答との当該比較結果を保存する記憶部と、当該記憶部に格納されている前記定義された処理要求を前記ネットワークに送出し、当該ネットワークを介して当該処理要求を受信した前記情報処理装置からの当該処理要求に対する応答を、当該ネットワークを介して受ける、送受信処理を実行する通信部と、を含み、前記端末装置からの処理要求に対応する処理を実行する前記アプリケーションの稼働状況を監視するためのアプリケーション稼働監視装置と、
を備える処理システムにおける前記アプリケーションの稼働状況を監視するための、アプリケーション稼働監視方法であって、
前記アプリケーション稼働監視装置は、
前記記憶部に格納されている前記定義された処理要求を、前記アプリケーションを実行する前記情報処理装置に対して送出し、当該情報処理装置から当該処理要求に対する実際の応答を受けたとき、
前記制御部により、
当該処理要求に対する実際の応答と、前記記憶部に格納されている前記定義されたあるべき応答と、を比較し、
当該比較の結果、同一であると判断された場合には、前記定義された処理要求に対する処理を行った1つ又は複数の前記アプリケーションは正常に稼働していると判断し、同一でないと判断された場合には、前記定義された処理要求に対する処理を行った1つ又は複数の前記アプリケーションが正常に稼働していないと判断し、前記アプリケーションが正常に稼動している旨および正常に稼動していない旨を出力部に表示し、かつ当該核アプリケーションの稼動テスト結果を前記記憶部に保存する、ことを特徴とするアプリケーション稼働監視方法。
【請求項2】
前記端末装置が前記情報処理装置に送信する処理要求によって生ずる前記複数のモジュール化されたアプリケーションの何れかから他のアプリケーションへの入力データと、当該入力データが正常に前記他のアプリケーションによって処理された場合に前記情報処理装置からあるべき応答と、を予め定義することにより、前記定義された入力データを、前記他のアプリケーションを実行する情報処理装置に対して送信することにより前記他のアプリケーションに入力し、当該定義された入力データに対する前記情報処理装置からの実際の応答を、前記入力データに対して定義された応答と比較し、これが同一であると判断された場合には、前記定義された入力データに対する処理を行った1つ又は複数の前記アプリケーションは正常に稼働していると判断し、同一でないと判断された場合には、前記定義された入力データに対する処理を行った1つ又は複数の前記アプリケーションが正常に稼働していないと判断することを特徴とする請求項1記載のアプリケーション稼働監視方法。
【請求項3】
前記処理要求若しくは前記入力データを構成するデータ構造に、テストデータであることを示すテストフラグ格納エリアを定めておき、前記アプリケーションを稼動中の前記情報処理装置に対して、前記定義された処理要求若しくは前記定義された入力データを入力する際には、前記テストフラグを立てた処理要求若しくは入力データとすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアプリケーション稼働監視方法。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載のアプリケーション稼働監視方法が、特定企業の管理下にあるネットワーク上に構成された処理システム上で実行され、これらの複数の特定企業の管理下にある処理システムと、アプリケーション稼働監視サービス提供者のシステムと、がネットワークを介して接続されることによって構成されたシステムにおける、顧客アプリケーション稼働監視サービス提供方法であって、前記各特定企業の管理下にある処理システムに、これらを一意に定めることができる識別情報を付与して、これを当該特定企業と前記アプリケーション稼働監視サービス提供者との間で共有し、前記特定企業の管理下にある処理システムから、アプリケーション稼働状況監視情報を、自己の前記識別情報と共に、前記アプリケーション稼働監視サービス提供者のシステムへと送信することにより、前記稼働監視サービス提供者のシステムにおいて、前記各特定企業内のアプリケーションの稼働状況の監視を行うことを特徴とする顧客アプリケーション稼働監視サービス提供方法。
【請求項5】
前記端末装置が前記情報処理装置に送信する処理要求と、当該処理要求が正常に前記アプリケーションによって処理された場合に前記情報処理装置からあるべき応答と、の定義、又は、前記端末装置が前記情報処理装置に送信する処理要求によって生ずる前記複数のモジュール化されたアプリケーションの何れかから他のアプリケーションへの入力データと、当該入力データが正常に前記他のアプリケーションによって処理された場合に前記情報処理装置からあるべき応答と、の定義、によって生成されるテストシナリオに対し、これを一意に定めることができるシナリオIDを付与し、当該シナリオIDと当該シナリオIDに対応するテストシナリオの実行結果を前記特定企業の管理下にある処理システムから前記稼働監視サービス提供者のシステムへと送信することにより、若しくは、前記シナリオIDを前記稼働監視サービス提供者のシステムから前記特定企業の管理下にある処理システムへと送信させ、これに対する返信として当該シナリオIDに対応するテストシナリオの実行結果を前記特定企業の管理下にある処理システムから前記稼働監視サービス提供者のシステムへと送信することにより、前記特定企業の管理下にある処理システムから前記稼働監視サービス提供者のシステムへの前記アプリケーション稼働状況監視情報の送信を行うことを特徴とする請求項4記載の顧客アプリケーション稼働監視サービス提供方法。」(なお、下線は補正箇所を示すものとして出願人が付与したものである。)
と補正された。

(2)補正の目的について
(ア)本件補正により本件補正後の請求項1に新たに追加された「各アプリケーションの稼動テストシナリオとして」は、本件補正前の請求項1における「前記端末装置から前記情報処理装置に送信される処理要求と、当該処理要求が正常に前記アプリケーションによって処理された場合に当該情報処理装置からあるべき応答と、の定義」との事項を限定して説明するものであり、当該補正は平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、「改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
(イ)本件補正により本件補正後の請求項1に新たに追加された「かつ当該処理要求に対する実際の応答と、当該あるべき応答との当該比較結果を保存する」は、本件補正前の請求項1における「記憶部」に記憶される情報として新たに追加された情報であって、本件補正前の請求項1における「発明を特定するための事項」のどの事項の限定であるとも言えない。
したがって、当該補正は、改正前特許法第17条の2第4項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しないものである。
また、当該補正が、改正前特許法第17条の2第4項第3号に掲げられた「誤記の訂正」を目的とするものにも、同項第4号に掲げられた「明りょうでない記載の釈明」を目的とするものにも該当しないことは明らかである。
(ウ)本件補正により本件補正後の請求項1に新たに追加された「前記アプリケーションが正常に稼動している旨および正常に稼動していない旨を出力部に表示し、かつ当該核アプリケーションの稼動テスト結果を前記記憶部に保存」は、本件補正前の請求項1に記載さた「発明を特定するための事項」のどの事項の限定でもなく、新たな処理手順を追加するものであるから、改正前特許法第17条の2第4項第2号に掲げられた「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当しないことは明らかであり、また、同項第3号に掲げられた「誤記の訂正」を目的とするものにも、同項第4号に掲げられた「明りょうでない記載の釈明」を目的とするものにも該当しないものである。
(エ)まとめ
上記(イ)及び(ウ)で示したように、本件補正は改正前特許法第17条の2第4項第1号に掲げられた「請求項の削除」を目的とするものにも、同第2号に掲げられた「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものにも、同項第3号に掲げられた「誤記の訂正」を目的とするものにも、同項第4号に掲げられた「明りょうでない記載の釈明」を目的とするものにも該当しないものである。
(3)補正却下の決定についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成24年6月27日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成23年12月26日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、次のとおりのものである。
「【請求項1】
複数のモジュール化されたアプリケーションであって、1のアプリケーションの出力が、他のアプリケーションに対する入力とされること等により、各アプリケーションが機能的に関連付けられ、全体として一定の処理目的を実現させる複数のモジュール化されたアプリケーションと、
ネットワークに接続された前記各アプリケーションを実行するための1つ又は複数の情報処理装置と、
前記アプリケーションを利用するための処理要求を、前記ネットワークを介して前記情報処理装置に対して行い当該処理要求に対する応答を前記情報処理装置から得る端末装置と、
各種演算処理を行う制御部と、前記端末装置から前記情報処理装置に送信される処理要求と、当該処理要求が正常に前記アプリケーションによって処理された場合に当該情報処理装置からあるべき応答と、の定義が格納された記憶部と、当該記憶部に格納されている前記定義された処理要求を前記ネットワークに送出し、当該ネットワークを介して当該処理要求を受信した前記情報処理装置からの当該処理要求に対する応答を、当該ネットワークを介して受ける、送受信処理を実行する通信部と、を含み、前記端末装置からの処理要求に対応する処理を実行する前記アプリケーションの稼働状況を監視するためのアプリケーション稼働監視装置と、
を備える処理システムにおける前記アプリケーションの稼働状況を監視するための、アプリケーション稼働監視方法であって、
前記アプリケーション稼働監視装置は、
前記記憶部に格納されている前記定義された処理要求を、前記アプリケーションを実行する前記情報処理装置に対して送出し、当該情報処理装置から当該処理要求に対する実際の応答を受けたとき、
前記制御部により、
当該処理要求に対する実際の応答と、前記記憶部に格納されている前記定義されたあるべき応答と、を比較し、
当該比較の結果、同一であると判断された場合には、前記定義された処理要求に対する処理を行った1つ又は複数の前記アプリケーションは正常に稼働していると判断し、同一でないと判断された場合には、前記定義された処理要求に対する処理を行った1つ又は複数の前記アプリケーションが正常に稼働していないと判断する、ことを特徴とするアプリケーション稼働監視方法。」

4.引用例について
(4-1)原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前の平成13年5月11日に出願公開された特開2001-125853号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに以下の各記載がある。(なお、下線は当審において付与したものである。)
(a)「【特許請求の範囲】
【請求項1】 端末がWebサーバの所有するコンテンツの動作状態を監視するWebサーバ監視システムにおいて、前記端末は、正常であると予想されるコンテンツの応答結果データを記憶する応答結果データ記憶手段と、前記コンテンツの要求に基づき、前記Webサーバから送られてくるコンテンツの要求応答データと該当コンテンツの応答結果データとを比較し、前記Webサーバの所有するコンテンツの動作状態を監視する動作状態監視手段とを備えたことを特徴とするWebサーバ監視システム。」
(b)「【0017】(第1の実施の形態)図1は本発明に係わるWebサーバ監視システムの一実施の形態を説明する構成図である。
【0018】このWebサーバ監視システムは、インターネット1上にルータ2等を介して内部ネットワーク3が接続されている。この内部ネットワーク3には、コンテンツを所有するWebサーバ4およびこのWebサーバ4の動作状態を監視する動作監視用ブラウザプログラムを搭載するCPUで構成された端末5が接続されている。
【0019】前記Webサーバ4には、インターネット1に接続されるブラウザ搭載のクライアント(図示せず)や端末5からのコンテンツ要求に対し、HTMLデータ、CGIプロセスデータなどのコンテンツを提供する機能をもったものであって、例えばHTML言語で記述されたHTMLファイル6_(1)?6_(n)の他、CGIプロセス(CGIプログラム)7_(1)?7_(n)が設けられている。8は端末5からのCGI起動要求を受けてCGIプロセス7_(1)?7_(n)に対してCGI要求を行うCGI要求部である。
【0020】前記端末5側には、予めHTMLファイル6_(1)?6_(n)、CGIプロセス7_(1)?7_(n)の要求時、Webサーバ4から正常であると予想されるHTML、CGIプロセスの応答結果データを記憶する応答結果データ記憶部11、Webサーバ4のホームページおよびそのリンク情報を自動的、かつ、所定の順序でアクセスする一連のURL、CGIプロセス要求データ等を記憶する自動要求テーブル12およびWebサーバ4の動作を監視する動作監視用ブラウザソフトを記録する記録媒体13が接続または装填されるように設けられている。
【0021】前記応答結果データ記憶部11には、HTMLファイル6_(1)?6_(n)に関するHTML応答結果データ14_(1)?14_(n)およびCGIプロセス7_(1)?7_(n)に関するCGIプロセス応答結果データ15_(1)?15_(n)がそれぞれ記憶されている。16は処理前、処理途中および監視結果のデータを記録するデータバッファ、17は表示部、18はキーボードやマウスなどのポインティングデバイス等の入力手段である。」
(c)「【0023】次に、以上のようなWebサーバ監視システムの動作およびCPUをもつ端末5が記録媒体13に記録される動作監視用ブラウザプログラムを読取って行う一連の処理例について、図2および図3を参照して説明する。
【0024】先ず、応答結果データ記憶部11にはHTML応答結果データ14_(1)?14_(n)およびCGIプロセス応答結果データ15_(1)?15_(n)が記憶され、またHTMLファイル6_(1)?6_(n)およびCGIプロセス7_(1)?7_(n)を自動要求する場合には、自動要求テーブル12に定期的に実行するための時間、自動要求の有無を表わすフラグ(自動:1、手動:0)、自動的に要求する複数コンテンツのURLおよびCGIプロセスの要求データ等が所定の順序で登録されている。
【0025】以上のような状態においてシステムの動作が開始すると、端末5は、図2に示すようにシステム立ち上げその他データバッファ16の不要データをクリアするなどの初期化処理を行った後(S1)、HTMLのURL「i=1」、CGI「j=1」を設定する(S2)。しかる後、自動要求テーブル12のフラグからHTML自動要求であるか否か、また外部から手動に基づいてHTMLファイルの要求指示があったか否かを判断する(S3)。」
(d)「【0032】以上のようにしてHTML動作監視が終了すると、端末5は、図3に示すようにステップS13に移行し、自動要求テーブル12からCGIを自動的に起動するか、或いは外部から手動指示が入力されたか否かを判断する(CGI起動判断機能)。ここで、自動的に起動しないこと、また外部から起動指示が無ければ、コンテンツの動作監視は終了する。
【0033】端末5は、CGI起動と判断したとき、自動要求テーブル12の登録順序に従ってCGI「j=1」による該当CGIプロセス例えば7_(1)の起動要求を行う(S14)。
【0034】Webサーバ4は、CGI「j=1」による該当CGIプロセス7_(1)の起動要求を受けると、CGI要求部8を介して該当するCGIプロセス7_(1)を起動し、そのCGIプロセス7_(1)の起動結果である要求応答データを端末5に返送する。
【0035】この端末5は、Webサーバ4からCGIプロセス7_(1)による要求応答データを受け取ると(S15)、この要求応答データと応答結果データ記憶部11に記憶される該当CGIプロセスの応答結果データ151とを比較し(S16)、両データが一致するか否かを判断する(S17)。ここで、一致する場合には、CGIプロセス「j=1」に係る動作状態が正常であると判断する(S14?S17:CGI動作監視機能)。
【0036】このステップS17において両データが不一致の場合には動作異常であると判断し、その異常とされた要求応答データおよび該当CGIプロセスの応答結果データを表示部17に表示し(S18)、オペレータによる確認があったか否かを判断する(S19)。ここで、確認がなければ前記両データを予め定める所要の形式でデータバッファ16等に保存する(S20)。S18?S20は動作異常状態保存機能である。」

ここで、上記(a)乃至(d)の記載について検討する。
(ア)上記(a)によると、引用例1には、端末がWebサーバの所有するコンテンツの動作状態を監視するWebサーバ監視システムが記載されているものと認められる。
(イ)上記(b)の第【0018】段落によると、Webサーバ監視システムは、インターネット上にルータ等を介して接続される内部ネットワークと、この内部ネットワークに接続されるコンテンツを所有するWebサーバ、及び、このWebサーバの動作状態を監視する動作監視用ブラウザプログラムを搭載するCPUで構成された端末から構成されるものと認められる。
(ウ)上記(b)の第【0019】段落によると、Webサーバは、インターネットに接続されるブラウザ搭載のクライアントや端末からのコンテンツ要求に対し、CGIプロセスデータなどのコンテンツを提供する機能をもったものであり、複数のCGIプロセス(CGIプログラム)と端末からのCGI起動要求を受けてCGIプロセスに対してCGI要求を行うCGI要求部が設けられていると認められる。
(エ)上記(b)の第【0020】及び【0021】段落によると、端末は、予めCGIプロセスの要求時、Webサーバから正常であると予想されるCGIプロセスの応答結果データを記憶する応答結果データ記憶部、Webサーバへ起動要求する一連のCGIプロセス要求データを記憶する自動要求テーブル、およびWebサーバの動作を監視する動作監視用ブラウザプログラムが設けられていると認められる。
(オ)上記(c)及び(d)には、端末の動作監視用ブラウザプログラムによる一連の処理として、端末はCGI起動と判断したとき、自動要求テーブルの登録順序に従って該当CGIプロセスの起動要求を行い、Webサーバは該当CGIプロセスの起動要求を受けると、CGI要求部を介して該当するCGIプロセスを起動し、そのCGIプロセスの起動結果である要求応答データを端末に返送し、端末は、WebサーバからCGIプロセスによる要求応答データを受け取ると、この要求応答データと応答結果データ記憶部に記憶される該当CGIプロセスの応答結果データとを比較し、両データが一致する場合には、CGIプロセスに係る動作状態が正常であると判断し、また、両データが不一致の場合には動作異常であると判断することが記載されていると認められ、この動作監視用ブラウザプログラムによる一連の処理は、すなわちWebサーバ監視システムにおける動作状態の監視方法であるともいえる。

以上、(ア)乃至(オ)によれば、引用例1には以下の発明(以下、「引用発明」という)が記載されていると認められる。
「Webサーバの所有するコンテンツの動作状態を監視するWebサーバ監視システムにおいて、
Webサーバ監視システムは、インターネット上にルータ等を介して接続される内部ネットワークと、この内部ネットワークに接続されるコンテンツを所有するWebサーバ、及び、このWebサーバの動作状態を監視する動作監視用ブラウザプログラムを搭載するCPUで構成された端末から構成されており、
Webサーバは、インターネットに接続されるブラウザ搭載のクライアントや上記端末からのコンテンツ要求に対し、CGIプロセスデータなどのコンテンツを提供する機能をもったものであり、複数のCGIプロセス(CGIプログラム)と端末からのCGI起動要求を受けてCGIプロセスに対してCGI要求を行うCGI要求部が設けられ、
Webサーバの動作状態を監視する動作監視用ブラウザプログラムを搭載するCPUで構成された端末は、予めCGIプロセスの要求時、Webサーバから正常であると予想されるCGIプロセスの応答結果データを記憶する応答結果データ記憶部、Webサーバへ起動要求する一連のCGIプロセス要求データを記憶する自動要求テーブル、およびWebサーバの動作を監視する動作監視用ブラウザプログラムが設けられており、
上記端末の動作監視用ブラウザプログラムによる一連の処理として、端末はCGI起動と判断したとき、自動要求テーブルの登録順序に従って該当CGIプロセスの起動要求を行い、Webサーバは該当CGIプロセスの起動要求を受けると、CGI要求部を介して該当するCGIプロセスを起動し、そのCGIプロセスの起動結果である要求応答データを端末に返送し、端末は、WebサーバからCGIプロセスによる要求応答データを受け取ると、この要求応答データと応答結果データ記憶部に記憶される該当CGIプロセスの応答結果データとを比較し、両データが一致する場合には、CGIプロセスに係る動作状態が正常であると判断し、また、両データが不一致の場合には動作異常であると判断する、Webサーバ監視システムにおける動作状態の監視方法」

(4-2)原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願日前の平成10年10月9日に出願公開された特開平10-269106号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに以下の記載がある。(なお、下線は当審において付与したものである。)
(e)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数のプログラムにより一連の処理が実行される分散処理システムにおいて、一連の処理の一部分のみを実行することによりシステムの各部分が正常に動作するか否かを判断するテスト方式に関する。」
(f)「【0012】各アプリケーションプログラムは、内容コード2001をインターフェースとするモジュール構造をとっており、入力内容コード302と出力内容コード303により定義される。このようなアプリケーションプログラムを図4のように図示する。図4の例の場合、四角401は処理を表し、矢印402は入力データ、矢印403は出力データを表す。AP1、AP2、AP3、AP4はアプリケーションプログラム名称404であり、CC1、CC2、CC3、CC4は入力および出力データの内容を表す入力内容コード405と出力内容コード406である。図4に示した図は、図3に示した内容コードテーブルに登録された情報をもとに作成することができる。
【0013】図4に示した出力内容コード406と入力内容コード405を繋げることにより、一連の処理の流れとデータの流れを記述するシステムフローを作成することができる。例えば、アプリケーションプログラムAP1の出力内容コードCC1とアプリケーションプログラムAP2とAP4の入力内容コードが同一であるため、これを繋げる。この接続作業を全ての内容コードに対して行うことにより、図5に示すようなシステムフローを作成することができる。このシステムフローにより、アプリケーションプログラムAP1の処理結果には内容コードCC1が付与されて送信され、この処理結果はアプリケーションプログラムAP2とAP4により受信され処理されるといったように、システム内の処理の流れとデータの流れを容易に理解することができる。
【0014】分散処理システムが実行する一連の処理をテストするとき、連続した処理を一度にテストすると異常箇所の特定が難しいため、この処理を部分的にテストしなければならない場合がある。例えば、図6(a)に示すようにアプリケーションプログラムAP1とアプリケーションプログラムAP2のみを実行し、アプリケーションプログラムAP1とAP2のみの部分テストを行う場合である。このとき、アプリケーションプログラムAP1およびアプリケーションプログラムAP2の処理結果を受信したとしてもアプリケーションプログラムAP3とAP4が処理を実行してはならない。このためには、アプリケーションプログラムAP1とAP2が処理結果を送信しない、もしくはアプリケーションプログラムAP3とAP4が処理結果を受信しないといった抑止の機能が必要になる。」
(g)「【0017】テストを行った結果が正しいか否かは、例えばツールにてネットワーク上のメッセージをトレースすることにより確認することができる。図12のシステムフローに示すように、アプリケーションプログラムAP1とAP2の範囲でテストを行うため、アプリケーションプログラムAP3とAP4の入力を抑止するとき、アプリケーションプログラムAP1の処理結果に内容コードCC1が付与されたメッセージ1211がネットワークにブロードキャストされる。これはツールをインストールしたコンピュータ1201で受信することが可能である。また、同様にアプリケーションプログラムAP2の処理結果に内容コードCC2が付与されたメッセージ1212もネットワークにブロードキャストされるため、これもコンピュータ1201にて受信することができる。受信したメッセージ内のデータをツールの画面1200上に表示されたシステムフローに表示する(1221、1222)。オペレータは、この表示を見て各アプリケーションプログラムの処理結果を知ることができ、処理が正常に行われたか否かを判断する。システムフロー上に表示されたデータ5000(1221)はアプリケーションプログラムAP1の処理結果であり、システムフロー上に表示されたデータ0.500(1222)はアプリケーションプログラムAP2の処理結果である。」

そうすると、引用例2には以下の技術事項(以下、「引用例2記載事項」という)が記載されていると認められる。
「各アプリケーションプログラムがモジュール構造となっており、1のアプリケーションの出力が他のアプリケーションの入力とされること等により、複数のアプリケーションにより一連の処理が実行されるシステムにおいて、該一連の処理を構成する複数のアプリケーションプログラムのテストを行い、各アプリケーションプログラムの出力する処理結果により、処理が正常に行われたか否かを判断すること」

5.対比
そこで、本願発明と引用発明とを対比する。
(5-1)引用発明における「Webサーバ監視システムは、インターネット上にルータ等を介して接続される内部ネットワークと、この内部ネットワークに接続されるコンテンツを所有するWebサーバ、及び、このWebサーバの動作状態を監視する動作監視用ブラウザプログラムを搭載するCPUで構成された端末から構成されており」及び「Webサーバは、インターネットに接続されるブラウザ搭載のクライアントや上記端末からのコンテンツ要求に対し、CGIプロセスデータなどのコンテンツを提供する機能をもったものであり、複数のCGIプロセス(CGIプログラム)と端末からのCGI起動要求を受けてCGIプロセスに対してCGI要求を行うCGI要求部が設けられ」によれば、引用発明の「Webサーバ」は、ネットワークに接続され、動作監視対象である「複数のCGIプロセス(CGIプログラム)」を実行する情報処理装置であり、この「CGIプロセス(CGIプログラム)」もアプリケーションの一種であることは明らかである。
そうすると、本願発明と引用発明は、後記する点で相違するものの、
「複数のアプリケーションと、
ネットワークに接続された前記各アプリケーションを実行するための1つ又は複数の情報処理装置」
を備える点で共通する。
(5-2)引用発明における「Webサーバ」は、インターネットを介して「ブラウザ搭載のクライアント」と接続されており、該「ブラウザ搭載のクライアント」からのコンテンツ要求に対し、CGIプロセスデータなどのコンテンツを提供する機能をもったものであり、逆に該「ブラウザ搭載のクライアント」は、コンテンツ要求を「Webサーバ」に対して行い、当該コンテンツ要求に対する応答を「Webサーバ」から得るものであるから、引用発明の「ブラウザ搭載のクライアント」は本願発明の「端末装置」に相当するものと認められる。
そうすると、本願発明と引用発明は、後記する点で相違するものの、
「前記アプリケーションを利用するための処理要求を、前記ネットワークを介して前記情報処理装置に対して行い当該処理要求に対する応答を前記情報処理装置から得る端末装置」
を備える点で共通する。
(5-3)引用発明における「Webサーバの動作状態を監視する動作監視用ブラウザプログラムを搭載するCPUで構成された端末」は、実質的にコンピュータであって、この「CPU」は各種演算処理を行う制御部であることは明らかである。
また、引用発明における「Webサーバへ起動要求する一連のCGIプロセス要求データを記憶する自動要求テーブル」及び「予めCGIプロセスの要求時、Webサーバから正常であると予想されるCGIプロセスの応答結果データを記憶する応答結果データ記憶部」は、上記「端末」からのコンテンツ要求と、この要求に対応する「CGIプロセス(CGIプログラム)」が「Webサーバ」により正常に処理された場合の予想される応答結果であり、また、この「端末」からのコンテンツ要求は、動作状態を監視するために「ブラウザ搭載のクライアント」からのコンテンツ要求を模して行う要求であることから、これらは本願発明における「前記端末装置から前記情報処理装置に送信される処理要求」及び「当該処理要求が正常に前記アプリケーションによって処理された場合に当該情報処理装置からあるべき応答」に相当するものと認められる。
また、引用発明では、後記するように、上記「端末」から「自動要求テーブル」に記憶された「CGIプロセス要求データ」をネットワークに送出し、当該「CGIプロセス要求データ」を受信した「Webサーバ」からの応答結果データを受け取るものであることから、当該「端末」が送受信処理を実行する通信部を備えていることは技術常識からして自明である。
また、引用発明の「Webサーバの動作状態を監視する動作監視用ブラウザプログラムを搭載するCPUで構成された端末」は、後記するようにコンテンツ要求に対応する「CGIプロセス(CGIプログラム)」が「Webサーバ」により正常に処理されるか否かの動作状態を監視するものであることから、本願発明の「前記端末装置からの処理要求に対応する処理を実行する前記アプリケーションの稼働状況を監視するためのアプリケーション稼働監視装置」に相当するものと認められる。
そうすると、本願発明と引用発明は、後記する点で相違するものの、
「各種演算処理を行う制御部と、前記端末装置から前記情報処理装置に送信される処理要求と、当該処理要求が正常に前記アプリケーションによって処理された場合に当該情報処理装置からあるべき応答と、が格納され、格納されている前記処理要求を前記ネットワークに送出し、当該ネットワークを介して当該処理要求を受信した前記情報処理装置からの当該処理要求に対する応答を、当該ネットワークを介して受ける、送受信処理を実行する通信部と、を含み、前記端末装置からの処理要求に対応する処理を実行する前記アプリケーションの稼働状況を監視するためのアプリケーション稼働監視装置」
を備える点で共通する。
(5-4)引用発明における「上記端末の動作監視用ブラウザプログラムによる一連の処理」について、引用発明の「端末はCGI起動と判断したとき、自動要求テーブルの登録順序に従って該当CGIプロセスの起動要求を行い、Webサーバは該当CGIプロセスの起動要求を受けると、CGI要求部を介して該当するCGIプロセスを起動し、そのCGIプロセスの起動結果である要求応答データを端末に返送し、端末は、WebサーバからCGIプロセスによる要求応答データを受け取ると」によると、「端末」は、自動要求テーブルに記憶されたCGIプロセスの起動要求を「Webサーバ」に送出し、該「Webサーバ」はCGI要求部を介して該当するCGIプロセスを起動し、そのCGIプロセスの起動結果である要求応答データを「端末」に返送し、該「端末」は要求に対応した要求応答データを受け取るものであることから、本願発明と引用発明は「格納されている処理要求を、前記アプリケーションを実行する前記情報処理装置に対して送出し、当該情報処理装置から当該処理要求に対する実際の応答を受けたとき」との点で共通するものと認められる。
また、引用発明の「この要求応答データと応答結果データ記憶部に記憶される該当CGIプロセスの応答結果データとを比較し、両データが一致する場合には、CGIプロセスに係る動作状態が正常であると判断し、また、両データが不一致の場合には動作異常であると判断する」によると、「端末」では、要求に対応した要求応答データと、応答結果データ記憶部に記憶される該当CGIプロセスの応答結果データとを比較し、両データが一致する場合には、CGIプロセスに係る動作状態が正常であると判断し、また、両データが不一致の場合には動作異常であると判断するものであり、また、当該処理は上記「端末」の「CPU」により行われることは明らかであるから、本願発明と引用発明は「前記制御部により、当該処理要求に対する実際の応答と、格納されているあるべき応答と、を比較し、当該比較の結果、同一であると判断された場合には、処理要求に対する処理を行った前記アプリケーションは正常に稼働していると判断し、同一でないと判断された場合には、処理要求に対する処理を行った前記アプリケーションが正常に稼働していないと判断する」点で共通するものと認められる。
そうすると、本願発明と引用発明は、後記する点で相違するものの、
「前記アプリケーション稼働監視装置は、
格納されている処理要求を、前記アプリケーションを実行する前記情報処理装置に対して送出し、当該情報処理装置から当該処理要求に対する実際の応答を受けたとき、
前記制御部により、
当該処理要求に対する実際の応答と、格納されているあるべき応答と、を比較し、
当該比較の結果、同一であると判断された場合には、処理要求に対する処理を行った前記アプリケーションは正常に稼働していると判断し、同一でないと判断された場合には、処理要求に対する処理を行った前記アプリケーションが正常に稼働していないと判断する」
点で共通する。
(5-5)引用発明の「Webサーバ監視システムにおける動作状態の監視方法」も、システムにおけるアプリケーションの動作状態(稼働状況)を監視するための監視方法であるから、本願発明と引用発明は、後記する点で相違するものの、
「処理システムにおける前記アプリケーションの稼働状況を監視するための、アプリケーション稼働監視方法」
である点で共通する。
(5-6)以上のことから、本願発明と引用発明とは、
「複数のアプリケーションと、
ネットワークに接続された前記各アプリケーションを実行するための1つ又は複数の情報処理装置と、
前記アプリケーションを利用するための処理要求を、前記ネットワークを介して前記情報処理装置に対して行い当該処理要求に対する応答を前記情報処理装置から得る端末装置と、
各種演算処理を行う制御部と、前記端末装置から前記情報処理装置に送信される処理要求と、当該処理要求が正常に前記アプリケーションによって処理された場合に当該情報処理装置からあるべき応答と、が格納され、格納されている前記処理要求を前記ネットワークに送出し、当該ネットワークを介して当該処理要求を受信した前記情報処理装置からの当該処理要求に対する応答を、当該ネットワークを介して受ける、送受信処理を実行する通信部と、を含み、前記端末装置からの処理要求に対応する処理を実行する前記アプリケーションの稼働状況を監視するためのアプリケーション稼働監視装置と、
を備える処理システムにおける前記アプリケーションの稼働状況を監視するための、アプリケーション稼働監視方法であって、
前記アプリケーション稼働監視装置は、
格納されている処理要求を、前記アプリケーションを実行する前記情報処理装置に対して送出し、当該情報処理装置から当該処理要求に対する実際の応答を受けたとき、
前記制御部により、
当該処理要求に対する実際の応答と、格納されているあるべき応答と、を比較し、
当該比較の結果、同一であると判断された場合には、処理要求に対する処理を行った前記アプリケーションは正常に稼働していると判断し、同一でないと判断された場合には、処理要求に対する処理を行った前記アプリケーションが正常に稼働していないと判断する、ことを特徴とするアプリケーション稼働監視方法。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
本願発明が監視対象とするアプリケーションが、「複数のモジュール化されたアプリケーションであって、1のアプリケーションの出力が、他のアプリケーションに対する入力とされること等により、各アプリケーションが機能的に関連付けられ、全体として一定の処理目的を実現させる複数のモジュール化されたアプリケーション」であるのに対し、引用発明が監視対象とするのは、1つの「CGIプロセス(CGIプログラム)」(アプリケーション)である点。

[相違点2]
本願発明では、「前記端末装置から前記情報処理装置に送信される処理要求と、当該処理要求が正常に前記アプリケーションによって処理された場合に当該情報処理装置からあるべき応答と、の定義が格納された記憶部」としているのに対し、引用発明では、「予めCGIプロセスの要求時、Webサーバから正常であると予想されるCGIプロセスの応答結果データを記憶する応答結果データ記憶部」と「Webサーバへ起動要求する一連のCGIプロセス要求データを記憶する自動要求テーブル」に分けて格納している点。

6.当審の判断
上記相違点について検討する。
(6-1)[相違点1]について
この点について、上記引用例2記載事項によると「各アプリケーションプログラムがモジュール構造となっており、1のアプリケーションの出力が他のアプリケーションの入力とされること等により、複数のアプリケーションにより一連の処理が実行されるシステムにおいて、該一連の処理を構成する複数のアプリケーションプログラムのテストを行い、各アプリケーションプログラムの出力する処理結果により、処理が正常に行われたか否かを判断すること」は公知の技術である。
そして、引用発明も「CGIプロセス(CGIプログラム)」の動作状態の正常または異常を判断するもの、すなわちアプリケーションのテストを行うものであることからすれば、引用発明が監視対象とするアプリケーションを、上記引用例2記載事項で開示されている、各アプリケーションプログラムがモジュール構造となっており、1のアプリケーションの出力が他のアプリケーションの入力とされること等により、複数のアプリケーションにより一連の処理が実行されるアプリケーションとすることにより上記相違点1に係る構成とすることは、当業者であれば容易に想到しえたことである。
したがって、この[相違点1]には格別の技術的進歩性はない。
(6-2)[相違点2]について
確かに、引用発明では「予めCGIプロセスの要求時、Webサーバから正常であると予想されるCGIプロセスの応答結果データを記憶する応答結果データ記憶部」と「Webサーバへ起動要求する一連のCGIプロセス要求データを記憶する自動要求テーブル」とに分けて格納しているものの、どちらも「端末」内に格納されるものであるし、また、上記「自動要求テーブル」から起動要求するためのCGIプロセス要求データが選択されると、それに対応する応答結果データを上記「応答結果データ記憶部」から抽出するのであるから、そもそもこのCGIプロセス要求データと応答結果データは対応付けられて記憶されるものであることは自明である。
してみれば、引用発明において、上記CGIプロセス要求データと応答結果データを対応付けて(本願発明でいう「定義」に相当する。)記憶させる手段として、同じ記憶部に格納する構成とすることは、当業者であれば当然のごとく想到しえたことである。
したがって、この[相違点2]には格別の技術的進歩性はない。
(6-3)結論
したがって、上記[相違点1]及び[相違点2]に係る本願発明の構成は、引用発明及び引用例2記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
そして、本願発明の作用効果も、引用発明及び引用例2記載事項から当業者が予測できる範囲のものである。

7.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用例2記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-09-18 
結審通知日 2013-09-24 
審決日 2013-10-07 
出願番号 特願2005-281440(P2005-281440)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 多胡 滋  
特許庁審判長 金子 幸一
特許庁審判官 飯田 清司
仲間 晃
発明の名称 アプリケーション稼働監視方法及び顧客アプリケーション稼働監視サービス提供方法  
代理人 中村 守  

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