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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する H04W
管理番号 1282449
審判番号 訂正2013-390072  
総通号数 170 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-02-28 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2013-05-08 
確定日 2013-06-13 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第4903861号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第4903861号に係る明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり一群の請求項ごとに訂正することを認める。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第4903861号に係る発明は、2006年(平成18年)11月22日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2006年6月21日、スウェーデン)を国際出願日として出願され、平成24年1月13日に特許権の設定登録がなされたものであって、平成25年5月8日に本件訂正審判が請求されたものである。

2.請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第4903861号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり一群の請求項ごとに訂正することを認める、との審決を求めるものである。

3.本件訂正の内容
本件訂正の内容は、次のとおりである。

訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記ユーザ装置のバッファ占有レベルを示すためのバッファステータス形式を、少なくとも第1の形式及び第2の形式の中から、送信のためのデータが存在する複数の無線ベアラ又は複数の無線ベアラグループ(k)に基づいて適応的に選択するステップ(610)」とあるのを、「前記ユーザ装置のバッファ占有レベルを示すためのバッファステータス形式として、少なくとも第1の形式及び第2の形式の中から、送信のためのデータが存在する無線ベアラ又は無線ベアラグループ(k)が単数であれば前記第1の形式を選択し、複数であれば前記第2の形式を選択するステップ(610)」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2?11も同様に訂正する)。

訂正事項2
特許請求の範囲の請求項12に「前記装置のバッファ占有レベルを示すためのバッファステータス形式を、少なくとも第1の形式及び第2の形式の中から、送信のためのデータが存在する複数の無線ベアラ又は複数の無線ベアラグループ(k)に基づいて適応的に選択するように構成された処理手段」とあるのを、「前記装置のバッファ占有レベルを示すためのバッファステータス形式として、少なくとも第1の形式及び第2の形式の中から、送信のためのデータが存在する無線ベアラ又は無線ベアラグループ(k)が単数であれば前記第1の形式を選択し、複数であれば前記第2の形式を選択するように構成された処理手段」に訂正する(請求項12の記載を引用する請求項13?14も同様に訂正する)。

そして、上記訂正事項1及び2により、特許請求の範囲の請求項1と請求項12の記載は次のとおりのものとなる。
「【請求項1】
無線通信システムのユーザ装置で処理されたスケジュール情報を効率的に伝えるための、前記無線通信システムにおける方法であって、
前記ユーザ装置のバッファ占有レベルを示すためのバッファステータス形式として、少なくとも第1の形式及び第2の形式の中から、送信のためのデータが存在する無線ベアラ又は無線ベアラグループ(k)が単数であれば前記第1の形式を選択し、複数であれば前記第2の形式を選択するステップ(610)と、
無線ベアラ又は無線ベアラグループ(k)の各々について、バッファ占有レベル(Bk)をNビットフィールドに符号化するステップ(620)とを有し、
前記第1の形式は、1つの無線ベアラ又は1つの無線ベアラグループに関するバッファ占有レベルを示し、前記第2の形式は複数の異なる無線ベアラ又は複数のベアラグループに関するバッファ占有レベルを示し、
前記Bkについて取りうる2Nの値の各々が、バッファ占有レベルの区間にマッピングされることを特徴とする方法。」

「【請求項12】
無線通信システムにおいて通信するための装置であって、
前記装置のバッファ占有レベルを示すためのバッファステータス形式として、少なくとも第1の形式及び第2の形式の中から、送信のためのデータが存在する無線ベアラ又は無線ベアラグループ(k)が単数であれば前記第1の形式を選択し、複数であれば前記第2の形式を選択するように構成された処理手段と、
無線ベアラ又は無線ベアラグループ(k)の各々について、バッファ占有レベル(Bk)をNビットフィールドに符号化するように構成された符号化器と、
前記符号化されたビットフィールドを含んだバッファステータスレポートを無線送信するように構成された送信器と、を有し、
前記第1の形式は、1つの無線ベアラ又は1つの無線ベアラグループに関するバッファ占有レベルを示し、前記第2の形式は複数の異なる無線ベアラ又は複数のベアラグループに関するバッファ占有レベルを示し、
前記Bkについて取りうる2Nの値の各々が、バッファ占有レベルの区間にマッピングされることを特徴とする装置。」

4.当審の判断
以下において、訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び拡張・変更の存否について判断する。
(1)訂正事項1について
訂正前の特許請求の範囲の請求項1を、段落毎に(a)?(e)に項を分けて記載すると、次のとおりとなる。
「【請求項1】
(a)無線通信システムのユーザ装置で処理されたスケジュール情報を効率的に伝えるための、前記無線通信システムにおける方法であって、
(b)前記ユーザ装置のバッファ占有レベルを示すためのバッファステータス形式を、少なくとも第1の形式及び第2の形式の中から、送信のためのデータが存在する複数の無線ベアラ又は複数の無線ベアラグループ(k)に基づいて適応的に選択するステップ(610)と、
(c)無線ベアラ又は無線ベアラグループ(k)の各々について、バッファ占有レベル(Bk)をNビットフィールドに符号化するステップ(620)とを有し、
(d)前記第1の形式は、1つの無線ベアラ又は1つの無線ベアラグループに関するバッファ占有レベルを示し、前記第2の形式は複数の異なる無線ベアラ又は複数のベアラグループに関するバッファ占有レベルを示し、
(e)前記Bkについて取りうる2Nの値の各々が、バッファ占有レベルの区間にマッピングされることを特徴とする方法。」

訂正前の請求項1の(b)「前記ユーザ装置のバッファ占有レベルを示すためのバッファステータス形式を、少なくとも第1の形式及び第2の形式の中から、送信のためのデータが存在する複数の無線ベアラ又は複数の無線ベアラグループ(k)に基づいて適応的に選択するステップ(610)」では、「前記ユーザ装置のバッファ占有レベルを示すためのバッファステータス形式を」、「少なくとも第1の形式及び第2の形式の中から」、「送信のためのデータが存在する複数の無線ベアラ又は複数の無線ベアラグループ(k)に基づいて」「適応的に選択する」のであるから、ユーザ装置のバッファ占有レベルを示すためのバッファステータス形式を、少なくとも第1の形式及び第2の形式の中から適応的に選択することになる。
そして、訂正前の請求項1の(d)「前記第1の形式は、1つの無線ベアラ又は1つの無線ベアラグループに関するバッファ占有レベルを示し、前記第2の形式は複数の異なる無線ベアラ又は複数のベアラグループに関するバッファ占有レベルを示し、」では、(1)「前記第1の形式は、1つの無線ベアラ又は1つの無線ベアラグループに関するバッファ占有レベルを示し」、(2)「前記第2の形式は複数の異なる無線ベアラ又は複数のベアラグループに関するバッファ占有レベルを示し」ているのであるから、(1)無線ベアラが1つであるか、又は無線ベアラグループが1つであるときに、第1の形式が選択され、(2)無線ベアラが複数であるか、又は無線ベアラグループが複数であるときに、第2の形式が選択されるものと解される。
そうすると、訂正前の請求項1の(b)における「適応的に選択する」とは、無線ベアラ又は無線ベアラグループの数が1つであるか複数であるかによって選択がなされることを意味すると解することが合理的であって、実施例とも合致する。
しかし、訂正前の請求項1の(b)では、「送信のためのデータが存在する複数の無線ベアラ又は複数の無線ベアラグループ(k)に基づいて」「適応的に選択する」ともしているので、一見、無線ベアラ又は無線ベアラグループが1つである場合の扱いが明瞭ではなくなっている。

訂正事項1は、訂正前の請求項1の(b)を「前記ユーザ装置のバッファ占有レベルを示すためのバッファステータス形式として、少なくとも第1の形式及び第2の形式の中から、送信のためのデータが存在する無線ベアラ又は無線ベアラグループ(k)が単数であれば前記第1の形式を選択し、複数であれば前記第2の形式を選択するステップ(610)」と訂正することによって、(1)「少なくとも第1の形式及び第2の形式の中から、送信のためのデータが存在する無線ベアラ又は無線ベアラグループ(k)が単数であれば前記第1の形式を選択し」、(2)(少なくとも第1の形式及び第2の形式の中から、送信のためのデータが存在する無線ベアラ又は無線ベアラグループ(k)が)「複数であれば前記第2の形式を選択する」ステップとすることにより、明瞭ではなかった記載を明瞭な記載とするものであって、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、特許法第126条第1項ただし書き第3号の規定に合致する。
そして、この訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。
また、この訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正事項1と同様の理由により、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、また、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

5.むすび
以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とし、かつ同条第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
無線通信システムにおいて、スケジュール情報を効率的に伝えるための方法及び装置
【技術分野】
【0001】
本発明は電気通信システムにおける方法及び装置に関し、特にはバッファステータスの効率的な符号化に関する。
【背景技術】
【0002】
第3世代パートナーシッププログラム(3GPP)によって開始されたUTRANロングタームエボリューション(LTE)の検討項目において、拡張D-チャネルハンドラ(E-DCH)に用いられているものと類似のスケジュール機構をLTEに採用すべきであることが決定されている。ノードBにおけるスケジューラは、ダウンリンク及びアップリンクの両方におけるリソースをスケジュールする。アップリンクにおいて、スケジューラは、ユーザ装置(UE)のバッファ中にあるデータについての情報を必要とする。これは、ユーザ装置からノードBへスケジュール情報メッセージを送信することによって実現される。スケジュール情報は、メディアアクセスレイヤプロトコル(MAC)の一部として送信され、そのため、(現在行われているものがあれば)他の送信と抱き合わせたることもできるし、スケジュール情報を転送するためだけにMAC PDUを作成して単独で送信することもできる。E-DCHにおけるスケジュール情報は図1に示す形式を有する。HLIDは最優先論理チャネルID、TEBSは全体E-DCHバッファステータス、HLBSは最優先論理チャネルバッファステータス(TEBSに関して符号化された値、すなわち、通知されたTEBS値に対するパーセント値である)、そしてUPHはUE電力ヘッドルーム(このフィールドはUEで用いられる電力に関する)、をそれぞれ意味する。スケジュール情報がノードBで受信されると、スケジューラは、最高の優先度を有する論理チャネル(HLID)がどれか、この論理チャネルに対するUEバッファにどの程度データが格納されているか、そしてUEバッファ全体のサイズ(TEBS)を知ることができる。この情報は合計13ビットに符号化される。
【0003】
ロングタームエボリューション(LTE-)システムにおいて、E-DCHで可能なよりもきめ細かいQoSを採用したいという要望が存在する。E-DCHでの方法にはいくらか制限がある。ユーザ装置がいくつかの論理チャネル(無線ベアラ)上にデータを有する場合、最高の優先度を有するチャネル上のデータ量だけは知ることができる。しかし、残りのデータが、やや高い、低い、又は非常に低い優先度を有するかどうかを知ることはできない。さらに、データがどのようにそれら複数の優先度に分配されているかも知ることができない。つまり、最高の優先度を有するもの以外のサービスについて、サービスの差別化を実現することが困難である。
【0004】
この問題に対する従来の対策は、無線ベアラ毎(又は優先度/QoSクラス毎)のバッファステータスを通知するというものである。合理的な小ささを有するバッファステータスメッセージを実現するため、各無線ベアラ(又は優先度/QoSクラス)のバッファサイズについてのビット数は、以下で用いられるように例えばバッファ当たり2ビットと、比較的小さいことが必要である。しかし、この方法は、ユーザ装置の総バッファサイズに近くなった際に非常に低い精度しか提供しないという問題を暗示している。例えば、1つの無線ベアラについてのみデータが存在すると仮定すると、UEバッファ全体がたった2ビットで符号化されることになり、不十分である。バッファ当たりのビット数を増やすことはもちろん可能だが、バッファステータスメッセージのサイズを大きくしてしまう。考えられる1つの選択肢は、総バッファサイズを別個に符号化することである。この方法では、各無線ベアラに対するバッファサイズを比較的少ないビット数(例えば2ビット)を用いて符号化することができ、別にNビットを用いて総バッファサイズを符号化することができるであろう。これは、個々の無線ベアラについてのバッファサイズについては大まかに、総バッファサイズについては合理的な精度で見ることを可能にするであろう。しかし、この方法でも、バッファステータスメッセージは大きくなるであろう。
【0005】
E-DCHスケジュール方法よりも細かな精度をもつことの理由として代表的なものは、以下のものを含む。
1)同一UE内でのQoSレベル間におけるリソースの窮乏:低優先度のデータフローに対するリソースが、より高い優先度のトラフィックによって窮乏させられうること、
2)QoSクラス間でのセル容量分割をオペレータが制御できないこと:E-DCHにおいて、スケジューラはどの無線ベアラがデータを有するのかを知ることができないこと(明示される最優先無線ベアラを除く)、
3)低優先度トラフィックのただ乗り:別の無線ベアラ上にどれくらいデータがあるかをスケジューラが知らないと、高優先度のデータがスケジュールされる際、低優先度のデータがただ乗りしうること。
EP 1 599 063は、拡張アップリンク専用チャネル(E-DCH)をサポートする移動体通信システムにおいて、ユーザ装置UEのデータ送信のためにノードBでスケジュールを実行するための装置及び方法に関するものである。ノードBは無線ネットワークコントローラ(RNC)から、UEから提供されるべきアップリンクサービスについてのスケジュール支援情報を受信する。ノードBは、個々のスケジュール期間において、そのアップリンクサービスに対するデータ量をスケジュール支援情報に基づいて推定する。ノードBは、推定したデータ量に従って、アップリンクサービスに対するデータ送信をスケジュールする。審査官の認識通り、D1は形式レポートを送信するものとは異なる。
US 2004/0224677は、通信装置のためのアップリンクスケジュールにバッファ占有度を持つ売るための方法に関するものであり、次のステップを含んでいる。バッファ占有度情報と、通信装置に最後に与えられた通信の機会を示すタイムスタンプとを、複数のアクティブセット基地局に送信する第1のステップ。バッファ情報及びタイムスタンプを用いて、その通信装置に対するスケジュール公平性設定を調整するステップ。スケジュール公平性設定に従ってスケジューラからスケジュール情報を受信するステップ、その次のステップであり、アップリンクチャネル上でスケジュール情報に従って送信するステップを含むステップ。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、例えばLTE-システムや高速パケットアクセス(HSPA)エボリューションシステムのような無線システムにおいて、できるだけ少ないビット数を用い、異なる無線ベアラ上にあるデータ量の十分な指標と、きめ細かな総UEバッファサイズを提供する、スケジュール情報(バッファステータス情報)の効率的な符号化を実現するための方法及び装置を提供することである。
【0007】
従って、本発明の利点は、無線システムにおいてバッファ占有レベルを知らせるための効率的な方法を実現し、最新の方法と比較してより多くの情報をスケジューラに与えることが可能になると共に、ステータスレポートのオーバヘッドを増やさずにサービスの差別化を実現可能とすることである。
【0008】
本発明のさらに別の目的、利点及び新規な特徴は、以下の本発明の詳細な説明を添付図面と共に検討することにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】E-DCHスケジュール情報の形式を示す図である。
【図2】従来技術の方法の問題を示す図である。
【図3】本発明に係るバッファ形式インジケータを示す図である。
【図4】1つの無線ベアラ上のデータについての形式を示す図である。
【図5】多数の無線ベアラ上のデータについての形式を示す図である。
【図6】本発明に係る方法のブロック図である。
【図7】本発明に係る装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、ユーザ装置が自立的もしくは適切な基準の助けを借りて、瞬時的なバッファ内容について最も効率的な形式を選択する適応的バッファステータス形式を提供する。いくつかの無線ベアラが存在する場合、バッファ占有レベルの符号化は、総UEバッファサイズの情報を符号化するために必要となるビット数を削減するため、個々の無線ベアラ上のバッファからの情報を用いる。
【0011】
本発明は概して、無線通信システムにおいて、この無線システムの1つのユニットで処理されたスケジュール情報を効率的に伝えるための方法に関する。方法は、スケジューラのバッファ占有レベルを示すためのバッファステータス形式615を適応的に選択するステップ(610)と、バッファ占有レベルを符号化するステップ(620)とを有する。符号化ステップは総バッファサイズの情報を符号化するために必要なビット数を削減625するためのものである。
【0012】
本発明の第1の実施形態は、適応的なバッファステータス形式に関する。個々の無線ベアラ上の瞬時的なバッファ占有レベルのみならず、いくつの無線ベアラが設定されているか、どのサービスが使用されているか、等に基づいて利用するために効率的なバッファステータス形式レポートの形式である。従って、ユーザ装置は、必要なビット数を最小化するように(あるいは固定ビット数を用いて抽出可能な情報を最大化するように)バッファステータスレポートの形式を(例えば自立的に)選択することを許される必要がある。バッファステータスレポートの基本的な構成を図3に示す。(例えば1ビット又は2ビット長の)バッファ形式インジケータフィールド31は、残りのバッファレポートフィールド32が符号化されている形式を示すために用いられる。
【0013】
後で、バッファレポート形式のいくつかの例について説明する。これらの例において、総ビット数は12が選択されているが、それは単に様々な形式におけるフィールドサイズの可能性のある関係を説明することを目的としたものである。しかし、バッファステータスレポートの受信機が、バッファ形式インジケータから形式の長さを推定することが可能であるため、実際には異なる形式は異なる長さを有することが可能である。
【0014】
ただ1つの無線ベアラ上にのみデータが存在する場合には、フィールド41において(例えば3ビット長の)無線ベアラid(RBid)を、(例えば9ビット長の)フィールド42においてバッファ占有レベルを、それぞれ示すことが効率的である。これを図4に示す。1つの無線ベアラ上でのみデータが存在するというケースは一般的であるべきだと期待される。この形式はそのような一般的なケースにおいて、総バッファサイズの非常に高い精度を提供する。
【0015】
サービスの差別化を提供するためには、異なる無線ベアラ、または無線ベアラのグループについて、QoSクラス毎、トラフィック優先度又は同様の基準毎にデータ量に関する情報を伝える必要がある。簡単化のため、以下では無線ベアラという表現を用いる。図5に示す例では、4つの無線ベアラが設定されている。設定されている無線ベアラkに対するバッファ占有レベルB(Bkと表記されている)は、Nビットのフィールド51,52,53,54に符号化されている。例えばBk=01が100?500バイトのバッファ占有レベルを意味するといったように、Bkが取りうる2^(N)の値の各々が、バッファ占有レベルのある1つの区間にマッピングされる。Bkとバッファ占有レベル区間とのマッピングは、おそらくは仕様によって規定されるが、高位レイヤのシグナリングによって設定可能であってもよい。
【0016】
Btotと表記される総UEバッファBをフィールド55に符号化する際、フィールドB1...B4から抽出された情報を用いて、情報の精度を以下のように改善する。B_estimaged=B1+B2+B3+B4といったように、値B1...B4をまとめることにより、総UEバッファ占有レベルの十分な推定値を得ることができる。この推定の誤差Err=B-B_estimatedが、フィールドBtotに符号化される。Errの値の範囲は、Bの値の範囲よりもずっと小さいので、この方法によってBtotの精度を改善することができる。この形式が、総UEバッファ占有レベルの中程度の精度とともに、個々の無線ベアラ上のバッファ占有レベルに関する大まかな指標を与えることがわかる。
【0017】
いくつかの無線ベアラが存在する場合の別の符号化方法の1つは、まず1つのフィールドにUEバッファの総サイズBtotを符号化した後、個々の無線ベアラについてのバッファ占有レベルBkをBtotで示される値の割合として符号化するというものである。BkおよびBtotによって絶対的なバッファ占有レベルを示させる場合と比較した利点は、Btotの値の範囲が、起こりうるバッファ占有レベルの値の範囲よりも小さいことである。
【0018】
ユーザ装置がバッファステータス形式を選択する方法はいくつか存在する。考えられる1つは、ユーザ装置が常に同一の形式を用いるよう、高位レイヤシグナリングプロトコル(例えばRRC)を介して形式を設定することができる。この形式はその後、例えば設定されるサービスの数に応じて、再設定可能である。他の考えられる方法によれば、ユーザ装置は使用する形式を自立的に選択することができる。この選択は例えば、個々の無線ベアラのバッファ占有レベルに基づくことができる。例えば、1つの無線ベアラ上でのみデータが存在する場合にはある所定の形式が選択され、他の場合、つまりいくつかの無線ベアラが存在する場合には、別の形式が選択される。最終的に、ユーザ装置はいくつかの形式を使い分けることができる。これにより、総バッファ占有レベルのみならず、個々の無線ベアラ上のデータについての情報についても高い精度が実現される。
【0019】
以下の例は、5つの設定された無線ベアラを与える。RRCシグナリング、SIP、VoIP、ビデオ、ベストエフォート(BE)インターネットアクセス。この例において、SIPシグナリング、VoIP及びビデオのサービスコンポーネントを用い、マルチメディアテレフォニーサービスが構成される。RRCシグナリングに加えて無線ベアラが設定され、ベストエフォートベアラがインターネットアクセスに用いられる。QoSインジケータと優先順位とのマッピング例を以下の表に示す(実際には、優先順位は無線ベアラIDのリストであろう)。QoSインジケータと優先順位のマッピングはRRCシグナリングを介してUEに設定されるであろう。
【0020】
表1

【0021】
典型的なケースにおいて、スケジューラは、無線ベアラをデフォルトの優先順位でスケジュールすべきであることを示すQoSインジケータ1を用いるであろう。例えばBEインターネットアクセスベアラについてリソースの窮乏が発生した場合、それはノードBスケジューラによって検出され、しばらくの間、BEの優先度を高めるQoSインジケータ2を用いたスケジュールがなされるであろう。同様に、QoSインジケータ3又は4は、VoIP又はビデオを搬送する無線ベアラが、デフォルトの優先順位で許されるよりも多くのリソースを必要とする場合に用いられるであろう。表の最下行にはBEインターネットアクセスが含まれていないが、それはこの無線ベアラからのデータが送信許可されないことを暗に示している。表からわかるように、この例においては、RRCシグナリングが常に最高の優先度を有している。それは可能性の高い実装形態ではあるが、RRCの優先度を下げても良いことは言うまでもない。
【0022】
図7は、本発明に係る、(例えばUE内の)例示的な装置700を示している。装置700は、1つ又は複数のバッファ720で処理されている情報をスケジュールするスケジューラ710を有する。装置はさらに、スケジューラバッファの占有レベルを示すためのバッファステータス形式を適応的に選択する処理装置730と、総バッファサイズの情報を符号化するために必要なビット数を減らすようにバッファ占有レベルを符号化する符号化器740とを有する。装置はさらに、バッファステータスレポートを含む情報要素を他のネットワーク装置に送信する送信器750を有する。本発明の実施に必須の機能部を含めて、装置を非常に簡単に説明した。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信システムのユーザ装置で処理されたスケジュール情報を効率的に伝えるための、前記無線通信システムにおける方法であって、
前記ユーザ装置のバッファ占有レベルを示すためのバッファステータス形式として、少なくとも第1の形式及び第2の形式の中から、送信のためのデータが存在する無線ベアラ又は無線ベアラグループ(k)が単数であれば前記第1の形式を選択し、複数であれば前記第2の形式を選択するステップ(610)と、
無線ベアラ又は無線ベアラグループ(k)の各々について、バッファ占有レベル(B_(k))をNビットフィールドに符号化するステップ(620)とを有し、
前記第1の形式は、1つの無線ベアラ又は1つの無線ベアラグループに関するバッファ占有レベルを示し、前記第2の形式は複数の異なる無線ベアラ又は複数のベアラグループに関するバッファ占有レベルを示し、
前記B_(k)について取りうる2^(N)の値の各々が、バッファ占有レベルの区間にマッピングされることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記符号化されたバッファ占有レベルがバッファステータスレポートに含まれることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記バッファステータス形式の選択が前記ユーザ装置によって自立的に実行されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記バッファステータス形式の選択が高位レイヤシグナリングを介して設定されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記バッファステータス形式の選択が所定の基準を適用することによってさらに実行されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記基準が複数の無線ベアラの各々の瞬時的なバッファ占有レベルであることを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記基準が、設定された無線ベアラの数であることを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記基準が、適用されるサービスであることを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項9】
データが1つの無線ベアラ上に存在し、前記バッファステータス形式を選択するステップが前記第1の形式を選択するステップを有し、前記第1の形式が当該無線ベアラの識別情報とバッファ占有レベルとを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項10】
データが複数の無線ベアラ上に存在し、前記バッファステータス形式を選択するステップが前記第2の形式を選択するステップを有し、前記第2の形式が当該複数の無線ベアラの各々のバッファ占有レベルと総バッファサイズとの符号化された情報を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項11】
各無線ベアラに対するバッファ占有レベルの情報が、前記総バッファサイズに対する割合として符号化されていることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項12】
無線通信システムにおいて通信するための装置であって、
前記装置のバッファ占有レベルを示すためのバッファステータス形式として、少なくとも第1の形式及び第2の形式の中から、送信のためのデータが存在する無線ベアラ又は無線ベアラグループ(k)が単数であれば前記第1の形式を選択し、複数であれば前記第2の形式を選択するように構成された処理手段と、
無線ベアラ又は無線ベアラグループ(k)の各々について、バッファ占有レベル(B_(k))をNビットフィールドに符号化するように構成された符号化器と、
前記符号化されたビットフィールドを含んだバッファステータスレポートを無線送信するように構成された送信器と、を有し、
前記第1の形式は、1つの無線ベアラ又は1つの無線ベアラグループに関するバッファ占有レベルを示し、前記第2の形式は複数の異なる無線ベアラ又は複数のベアラグループに関するバッファ占有レベルを示し、
前記B_(k)について取りうる2^(N)の値の各々が、バッファ占有レベルの区間にマッピングされることを特徴とする装置。
【請求項13】
前記処理手段は、データが1つの無線ベアラ上に存在する場合、前記第1の形式を選択するように構成され、前記第1の形式が当該無線ベアラの識別情報とバッファ占有レベルとを含むことを特徴とする請求項12記載の装置。
【請求項14】
前記処理手段は、データが複数の無線ベアラ上に存在する場合、前記第2の形式を選択するように構成され、前記第2の形式が当該複数の無線ベアラの各々のバッファ占有レベルと総バッファサイズとの符号化された情報を含むことを特徴とする請求項12記載の装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2013-06-04 
出願番号 特願2009-515712(P2009-515712)
審決分類 P 1 41・ 853- Y (H04W)
最終処分 成立  
前審関与審査官 桑江 晃  
特許庁審判長 吉村 博之
特許庁審判官 吉田 隆之
佐藤 聡史
登録日 2012-01-13 
登録番号 特許第4903861号(P4903861)
発明の名称 無線通信システムにおいて、スケジュール情報を効率的に伝えるための方法及び装置  
代理人 大塚 康弘  
代理人 坂田 恭弘  
代理人 高柳 司郎  
代理人 大塚 康徳  
代理人 高柳 司郎  
代理人 大塚 康徳  
代理人 坂田 恭弘  
代理人 大塚 康弘  

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