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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A01K
管理番号 1282483
審判番号 不服2012-5461  
総通号数 170 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-02-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-03-23 
確定日 2013-12-05 
事件の表示 特願2007-548172「肉生産用四つ足動物処理における殺微生物制御」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 7月 6日国際公開、WO2006/071224、平成20年 7月17日国内公表、特表2008-525021〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は,平成16年12月23日を国際出願日とする出願であって,平成23年11月11日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,平成24年3月23日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。


2 本願発明
本願の請求項1乃至30に係る発明は,平成23年4月28日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1乃至30に記載された事項により特定されるとおりのものと認められ,そのうち請求項1に係る発明は,次のとおりである。
「肉および/または肉製品1種または2種以上として消費するための食肉用四つ足動物の処理方法であって、
I)生きている動物の外側表面を、少なくとも(i)水および(ii)少なくとも1種の1,3-ジブロモ-5,5-ジアルキルヒダントインを一緒に混合することで生じさせた殺微生物剤溶液と少なくとも1回接触させるが、前記接触を、動物を屠殺処理している途中であるが、放血により死ぬ前に実施するか、或は
II)放血後の前記動物の屠体を、少なくとも(i)水および(ii)少なくとも1種の1,3-ジブロモ-5,5-ジアルキルヒダントインを一緒に混合することで生じさせた殺微生物剤溶液と接触させるか、或は
III)前記屠体に由来する少なくとも1種の生肉製品および/または少なくとも1種の加工肉製品を、少なくとも(i)水および(ii)少なくとも1種の1,3-ジブロモ-5,5-ジアルキルヒダントインを一緒に混合することで生じさせた殺微生物剤溶液と少なくとも1回接触させるか、或は
IV)I)、II)およびIII)の中のいずれか2つまたは3つ全部を実施する、
ことを含んで成る方法。」(以下「本願発明」という。)


3 引用刊行物の記載内容
原査定の拒絶の理由に引用され,本願出願前に頒布された刊行物である,国際公開第2004/052108号(以下,「刊行物1」という。)には,以下の事項が記載されている。
(1a)「CLAIMS:
1. A method of controlling microbial contamination of poultry carcasses in the processing of poultry as food products, which method comprises contacting said carcasses with an aqueous medium containing an effective microbial inhibiting amount of active bromine resulting from the addition to said medium of (i) at least one l,3-dibromo-5,5-dialkylhydantoin in which one of the alkyl groups is a methyl group and the other alkyl group contains in the range of 1 to 4 carbon atoms or (ii) a solution thereof, or (iii) both of (i) and (ii), said contacting inhibiting contamination of said carcasses by microorganisms. 」

(仮訳)
(1a)「請求項1.
食品用家禽の処理に際し,微生物による屠体の汚染を阻害するため,屠体を,(i)一方のアルキル基がメチル基でありそしてもう一方のアルキル基が1-4個の炭素原子を有する少なくとも1種の1,3-ジブロモ-5,5-ジアルキルヒダントイン,あるいは(ii)その溶媒,(iii)あるいは,(i)と(ii)の両方を加えたことにより,活性臭素の効果的な微生物阻害量を含む水溶媒体と接触させることを含む家禽屠体の微生物汚染制御方法。」

上記記載事項(1a)から,刊行物1には,次の発明が記載されているものと認められる。
「食品用家禽の処理に際し,微生物による屠体の汚染を阻害するため,屠体を,一方のアルキル基がメチル基でありそしてもう一方のアルキル基が1-4個の炭素原子を有する少なくとも1種の1,3-ジブロモ-5,5-ジアルキルヒダントインを加えたことにより活性臭素の効果的な微生物阻害量を含む水溶媒体と接触させることを含む家禽屠体の微生物汚染制御方法。」(以下、「刊行物1記載の発明」という。)


4 対比・判断
本願発明と刊行物1記載の発明とを対比すると,刊行物1記載の発明の「
食品用家禽」と,本願発明の「肉および/または肉製品1種または2種以上として消費するための食肉用四つ足動物」は,「肉および/または肉製品1種または2種以上として消費するための食肉用動物」で共通している。
次に,刊行物1記載の発明の「微生物汚染制御方法」は,本願発明の「処理方法」に相当している。
また,刊行物1記載の発明の「屠体」は,本願発明の「放血後の」が「放血により死ぬ前」と区別するための語であるから,本願発明の「放血後の屠体」に相当している。
そして,刊行物1記載の発明の「屠体を,一方のアルキル基がメチル基でありそしてもう一方のアルキル基が1-4個の炭素原子を有する少なくとも1種の1,3-ジブロモ-5,5-ジアルキルヒダントインを加えたことにより活性臭素の効果的な微生物阻害量を含む水溶媒体と接触させる」は,屠体が放血後の屠体に相当するので,本願発明の「I)生きている動物の外側表面を、少なくとも(i)水および(ii)少なくとも1種の1,3-ジブロモ-5,5-ジアルキルヒダントインを一緒に混合することで生じさせた殺微生物剤溶液と少なくとも1回接触させるが、前記接触を、動物を屠殺処理している途中であるが、放血により死ぬ前に実施するか、或は
II)放血後の前記動物の屠体を、少なくとも(i)水および(ii)少なくとも1種の1,3-ジブロモ-5,5-ジアルキルヒダントインを一緒に混合することで生じさせた殺微生物剤溶液と接触させるか、或は
III)前記屠体に由来する少なくとも1種の生肉製品および/または少なくとも1種の加工肉製品を、少なくとも(i)水および(ii)少なくとも1種の1,3-ジブロモ-5,5-ジアルキルヒダントインを一緒に混合することで生じさせた殺微生物剤溶液と少なくとも1回接触させるか、或は
IV)I)、II)およびIII)の中のいずれか2つまたは3つ全部を実施する」に相当している。

したがって,両者は,下記の点で一致している。
「肉および/または肉製品1種または2種以上として消費するための食肉用動物の処理方法であって,
I)生きている動物の外側表面を、少なくとも(i)水および(ii)少なくとも1種の1,3-ジブロモ-5,5-ジアルキルヒダントインを一緒に混合することで生じさせた殺微生物剤溶液と少なくとも1回接触させるが、前記接触を、動物を屠殺処理している途中であるが、放血により死ぬ前に実施するか、或は
II)放血後の前記動物の屠体を、少なくとも(i)水および(ii)少なくとも1種の1,3-ジブロモ-5,5-ジアルキルヒダントインを一緒に混合することで生じさせた殺微生物剤溶液と接触させるか、或は
III)前記屠体に由来する少なくとも1種の生肉製品および/または少なくとも1種の加工肉製品を、少なくとも(i)水および(ii)少なくとも1種の1,3-ジブロモ-5,5-ジアルキルヒダントインを一緒に混合することで生じさせた殺微生物剤溶液と少なくとも1回接触させるか、或は
IV)I)、II)およびIII)の中のいずれか2つまたは3つ全部を実施する,ことを含んで成る方法。」

そして,以下の点で相違している。
食肉用動物が,本願発明では,四つ足動物であるのに対し,刊行物1記載の発明では,家禽である点。

上記相違点について検討する。
従来から,家禽(鳥)だけでなく,牛,馬,豚,羊等哺乳類を含む任意の動物の屠体に,微生物や細菌汚染を制御するための水溶液(殺菌剤)を接触させることは行われており,周知技術(例えば,特開2004-329179号公報(平成16年11月25日公開),国際公開第2003/3842号,国際公開第2003/62443号,特開2000-125753号公報等参照。)にすぎない。そうすると,刊行物1記載の発明の,家禽屠体に接触させて微生物汚染制御する殺微生物剤溶液を,四つ足動物屠体に接触させて用いることは,当業者が容易に想到しうることである。

そして,本願発明全体の効果は,刊行物1記載の発明及び周知技術から当業者が予測し得る範囲のものであって格別なものということができない。

したがって,本願発明は,刊行物1記載の発明及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものである。


5 むすび
以上のとおり,本願発明は,刊行物1記載の発明及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから,本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は,拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-06-21 
結審通知日 2013-07-02 
審決日 2013-07-16 
出願番号 特願2007-548172(P2007-548172)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A01K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 坂田 誠  
特許庁審判長 高橋 三成
特許庁審判官 中川 真一
筑波 茂樹
発明の名称 肉生産用四つ足動物処理における殺微生物制御  
代理人 特許業務法人小田島特許事務所  

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