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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B23B
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 B23B
管理番号 1282660
審判番号 不服2013-10496  
総通号数 170 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-02-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-06-05 
確定日 2014-01-07 
事件の表示 特願2011-34772「ガイドブッシュ工具および切削工具」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 5月19日出願公開、特開2011-98438、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.手続の経緯と本願発明
本願は平成18年2月13日の出願である特願2006-34973号の一部を平成23年2月21日に新たな特許出願としたものであって、平成23年3月23日に手続補正書が提出された後、平成24年11月14日付拒絶理由通知に対し、平成25年1月17日に意見書と手続補正書が提出されたが、平成25年2月28日付で拒絶すべき旨の査定がなされたものである。これに対し、該査定を不服として平成25年6月5日に本件審判が請求されると同時に手続補正書が提出され、当審による平成25年7月29日付審尋に対し、平成25年9月27日に回答書が提出されている。
本願の請求項1ないし5に係る発明(以下、「本件発明1」ないし「本件発明5」という。)は、平成25年6月5日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定されるとおりのものと認めるところ、その記載は以下のとおりである。
「 【請求項1】
刃物が着脱可能な複数の刃物台と複数のガイドブッシュ保持台とを有する刃物台切込装置に用いられるガイドブッシュ工具であって、
ガイドブッシュ本体と、
前記ガイドブッシュ本体が装着されるブッシュ保持部と、
前記ガイドブッシュ保持台に着脱可能に保持される被保持部とを有し、
前記被保持部が、前記刃物台の前記刃物の取付位置にも取り付け可能な形状を有し、
前記ブッシュ保持部の先端が、
スリットと、このスリットの底部に前記スリットと平行な貫通孔と、前記スリットの間隔を調整する間隔調整装置とを有し、前記ガイドブッシュ本体を前記貫通孔に挿入した状態で、前記間隔調整装置によって前記スリットの間隔を狭めることで、前記貫通孔の内周面によって、前記ガイドブッシュ本体を締め付けて保持することを特徴とするガイドブッシュ工具。
【請求項2】
刃物が着脱可能な複数の刃物台と複数のガイドブッシュ保持台とを有する刃物台切込装置に用いられるガイドブッシュ工具であって、
ガイドブッシュ本体と、
前記ガイドブッシュ本体が装着されるブッシュ保持部と、
前記ガイドブッシュ保持台に着脱可能に保持され、四角柱形状である被保持部とを有し、
前記被保持部が、前記刃物台の前記刃物の取付位置にも取り付け可能な形状を有し、
前記前記ブッシュ保持部には、貫通孔と、前記ガイドブッシュ工具本体の表面から前記貫通孔の内周面まで通るネジ孔が形成され、前記貫通孔に前記ガイドブッシュ本体を挿入した状態で前記ネジ孔にネジをねじ込んで、前記ネジの先端によって前記ガイドブッシュ本体を前記貫通孔の内周面に押し付けることによって前記ガイドブッシュ本体を固定することを特徴とするガイドブッシュ工具。
【請求項3】
前記ブッシュ保持部と前記被保持部との間に、前記ガイドブッシュ本体の軸線方向に向けて屈曲する屈曲部が設けられている請求項2記載のガイドブッシュ工具。
【請求項4】
複数の刃物台とガイドブッシュ工具が着脱可能な複数のガイドブッシュ保持台とを有する刃物台切込装置に用いられる切削工具であって、
刃物と、
前記刃物台に着脱可能に保持される被保持部とを有し、
該被保持部が、前記ガイドブッシュ保持台の前記ガイドブッシュ工具の取付位置にも取り付け可能な形状を有し、
前記刃物が、前記被保持部に対して着脱可能な切削工具。
【請求項5】
前記被保持部が四角柱形状である請求項4記載の切削工具。」

2.原査定の拒絶理由
原審の拒絶査定の理由は、概略、請求項1ないし5に係る発明が、原出願の出願日前に頒布された刊行物である以下の文献に記載された発明であるので、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない、または、原出願の出願日前に頒布された刊行物である以下の文献に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
刊行物1: 特開2003-245803号公報
刊行物2: 特開2002-331401号公報

3.刊行物に記載された発明または事項と本件発明との対比及び判断
上記刊行物1には、2個の工具タレットを備えたNC旋盤において、一方の工具タレットにガイドブッシュを装着するすることが記載されており、刊行物2には、2個のタレット刃物台を備えた旋盤において、一方のタレット刃物台に、他方のタレット刃物台に装着された回転工具を案内するガイドブッシュを装着することが記載されていると認められる。
しかしながら、刊行物1及び刊行物2のいずれにも、本件発明1ないし本件発明3の発明特定事項のうち、「刃物が着脱可能な複数の刃物台と複数のガイドブッシュ保持台とを有する刃物台切込装置に用いられるガイドブッシュ工具であって、ガイドブッシュ保持台に着脱可能に保持される被保持部が、刃物台の刃物取付位置にも取り付け可能な形状を有する」こと(以下、「発明特定事項イ」という。)について、記載も示唆も見当たらない。
また、上記刊行物1及び刊行物2のいずれにも、本件発明4ないし本件発明5の発明特定事項のうち、「複数の刃物台とガイドブッシュが着脱可能な複数のガイドブッシュ保持台とを有する刃物台切込装置に用いられる切削工具であって、刃物台に着脱可能に保持される被保持部が、ガイドブッシュ保持台のガイドブッシュ工具の取付位置にも取り付け可能な形状を有する」こと(以下、「発明特定事項ロ」という。)について、記載も示唆も見当たらない。
そして、本件発明1ないし本件発明5は、上記の発明特定事項イまたは発明特定事項ロを有することにより、旋盤等の工作機械において、任意のガイドブッシュ保持台または任意の刃物台にガイドブッシュ工具を取り付けて、ワークを多様な態様で適切に振れ止め支持することができるという効果を奏するものである。
したがって、本件発明1ないし本件発明5が、刊行物1及び刊行物2に記載された発明であるとも、刊行物1及び刊行物2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとも、いうことはできない。

4.むすび
刊行物1または刊行物2以外の文献で、上記発明特定事項を記載または示唆したものを発見することはできず、2.に記載した以外の拒絶理由も発見しないから、本件発明1ないし本件発明5は特許すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
.
 
審決日 2013-12-13 
出願番号 特願2011-34772(P2011-34772)
審決分類 P 1 8・ 113- WY (B23B)
P 1 8・ 121- WY (B23B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小川 真  
特許庁審判長 久保 克彦
特許庁審判官 栗田 雅弘
豊原 邦雄
発明の名称 ガイドブッシュ工具および切削工具  
代理人 上田 邦生  
代理人 藤田 考晴  

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