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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1282799
審判番号 不服2012-13950  
総通号数 170 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-02-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-07-20 
確定日 2013-12-12 
事件の表示 特願2006-214675「テーブル作成方法、情報処理装置およびテーブル作成用プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 2月21日出願公開、特開2008- 40815〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成18年8月7日の出願であって、平成23年10月14日付けで拒絶理由通知がなされ、同年12月15日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正がなされたが、平成24年4月24日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年7月20日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされ、当審において、平成25年3月18日付けで前置報告書を利用した審尋がなされ、同年5月1日付けで、それに対する回答書が提出されたものである。

2.平成24年7月20日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成24年7月20日付けの手続補正を却下する。

[理由]
(2-1)補正の目的の適否について
平成24年7月20日付けの手続補正(以下、「本件手続補正」という。)の目的が、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に適合するか否かを検討する。

本件手続補正により、特許請求の範囲の記載は、平成23年12月15日付けの手続補正書に記載された、
「 【請求項1】
時期または期間の情報を有するデータからなる年表データに基づいて複数の年表テーブルを作成する方法であって、
テーブル作成領域が設けられたテーブル作成用画面を表示する工程と、
そのテーブル作成用画面に前記時間軸を表示する工程と、
選択指示された複数の年表データを取得する工程と、
その取得された複数の年表データに基づく複数の年表テーブルを前記テーブル作成領域に並べて配置する工程と、
前記複数の年表テーブルの並び順を変更するための操作項目を表示する工程と、
前記操作項目に対するユーザ操作に従い、前記複数の年表テーブルの並び順を変更する工程と、
を備えるテーブル作成方法。
【請求項2】
請求項1のテーブル作成方法において、
前記テーブル作成領域に配置された一部または全部のデータに替えて、別途取得されたデータを前記テーブル作成領域に配置する工程をさらに備えるテーブル作成方法。
【請求項3】
請求項1のテーブル作成方法において、
前記テーブル作成領域に配置された複数のデータの並び状態を、横方向に並ぶ横並び状態と縦方向に並ぶ縦並び状態との間で変更する工程をさらに備えるテーブル作成方法。
【請求項4】
請求項1のテーブル作成方法において、
前記テーブル作成領域に配置可能なデータの数を設定または変更する工程をさらに備えるテーブル作成方法。
【請求項5】
請求項1のテーブル作成方法において、
前記テーブル作成領域における各データの表示幅を設定または変更する工程をさらに備えるテーブル作成方法。
【請求項6】
請求項1のテーブル作成方法において、
前記テーブル作成領域に配置され、ユーザにより指示されたデータが、コンテンツデータに関連するとき、当該コンテンツデータを取得して、当該コンテンツを再生する工程をさらに備えるテーブル作成方法。
【請求項7】
時期または期間の情報を有するデータからなる年表データに基づいて複数の年表テーブルを作成する情報処理装置であって、
操作入力手段と、
この操作入力手段による操作に応じて、テーブル作成領域が設けられたテーブル作成用画面を表示し、そのテーブル作成用画面に前記時間軸を表示する処理手段と、
前記操作入力手段により選択指示された複数の年表データを取得し、取得した複数の年表データに基づく複数の年表テーブルを前記テーブル作成領域に並べて配置する制御手段と、
を備え、
前記処理手段は、前記複数の年表テーブルの並び順を変更するための操作項目を表示し、
前記制御手段は、前記操作項目に対するユーザ操作に従い、前記複数の年表テーブルの並び順を変更する、情報処理装置。
【請求項8】
請求項7の情報処理装置において、
前記制御手段は、前記操作入力手段による操作に応じて、前記テーブル作成領域に配置された一部または全部のデータに替えて、別途取得されたデータを前記テーブル作成領域に配置する情報処理装置。
【請求項9】
請求項7の情報処理装置において、
前記制御手段は、前記操作入力手段による操作に応じて、前記テーブル作成領域に配置された複数のデータの並び状態を、横方向に並ぶ横並び状態と縦方向に並ぶ縦並び状態との間で変更する情報処理装置。
【請求項10】
請求項7の情報処理装置において、
前記制御手段は、前記操作入力手段による操作に応じて、前記テーブル作成領域に配置可能なデータの数を設定または変更する情報処理装置。
【請求項11】
請求項7の情報処理装置において、
前記制御手段は、前記操作入力手段による操作に応じて、前記テーブル作成領域における各データの表示幅を設定または変更する情報処理装置。
【請求項12】
時期または期間の情報を有するデータからなる年表データに基づいて複数の年表テーブルを作成するためにコンピュータを、
テーブル作成領域が設けられたテーブル作成用画面を表示し、そのテーブル作成用画面に前記時間軸を表示する処理手段、および、
選択指示された複数の年表データを取得し、取得した複数の年表データに基づく複数の年表テーブルを前記テーブル作成領域に並べて配置する制御手段、
を備え、
前記処理手段は、前記複数の年表テーブルの並び順を変更するための操作項目を表示し、
前記制御手段は、前記操作項目に対するユーザ操作に従い、前記複数の年表テーブルの並び順を変更する、情報処理装置として機能させるテーブル作成用プログラム。」(以下、これらの請求項を「補正前」の請求項という。)
から、
「 【請求項1】
時期または期間の情報を有するデータからなる年表データに基づいて複数の年表テーブルを作成する方法であって、
テーブル作成領域が設けられたテーブル作成用画面を表示する工程と、
そのテーブル作成用画面に前記時間軸を表示する工程と、
選択指示された複数の年表データを取得する工程と、
その取得された複数の年表データに基づく複数の年表テーブルを前記テーブル作成領域に並べて配置する工程と、
前記複数の年表テーブルの並び順を各年表テーブルの位置の入れ替えにより変更するための操作項目を表示する工程と、
前記操作項目に対するユーザ操作に従い、前記複数の年表テーブルの並び順を各年表テーブルの位置の入れ替えにより変更する工程と、
を備えるテーブル作成方法。
【請求項2】
請求項1のテーブル作成方法において、
前記テーブル作成領域に配置された一部または全部のデータに替えて、別途取得されたデータを前記テーブル作成領域に配置する工程をさらに備えるテーブル作成方法。
【請求項3】
請求項1のテーブル作成方法において、
前記テーブル作成領域に配置された複数のデータの並び状態を、横方向に並ぶ横並び状態と縦方向に並ぶ縦並び状態との間で変更する工程をさらに備えるテーブル作成方法。
【請求項4】
請求項1のテーブル作成方法において、
前記テーブル作成領域に配置可能なデータの数を設定または変更する工程をさらに備えるテーブル作成方法。
【請求項5】
請求項1のテーブル作成方法において、
前記テーブル作成領域における各データの表示幅を設定または変更する工程をさらに備えるテーブル作成方法。
【請求項6】
請求項1のテーブル作成方法において、
前記テーブル作成領域に配置され、ユーザにより指示されたデータが、コンテンツデータに関連するとき、当該コンテンツデータを取得して、当該コンテンツを再生する工程をさらに備えるテーブル作成方法。
【請求項7】
時期または期間の情報を有するデータからなる年表データに基づいて複数の年表テーブルを作成する情報処理装置であって、
操作入力手段と、
この操作入力手段による操作に応じて、テーブル作成領域が設けられたテーブル作成用画面を表示し、そのテーブル作成用画面に前記時間軸を表示する処理手段と、
前記操作入力手段により選択指示された複数の年表データを取得し、取得した複数の年表データに基づく複数の年表テーブルを前記テーブル作成領域に並べて配置する制御手段と、
を備え、
前記処理手段は、前記複数の年表テーブルの並び順を各年表テーブルの位置の入れ替えにより変更するための操作項目を表示し、
前記制御手段は、前記操作項目に対するユーザ操作に従い、前記複数の年表テーブルの並び順を各年表テーブルの位置の入れ替えにより変更する、情報処理装置。
【請求項8】
請求項7の情報処理装置において、
前記制御手段は、前記操作入力手段による操作に応じて、前記テーブル作成領域に配置された一部または全部のデータに替えて、別途取得されたデータを前記テーブル作成領域に配置する情報処理装置。
【請求項9】
請求項7の情報処理装置において、
前記制御手段は、前記操作入力手段による操作に応じて、前記テーブル作成領域に配置された複数のデータの並び状態を、横方向に並ぶ横並び状態と縦方向に並ぶ縦並び状態との間で変更する情報処理装置。
【請求項10】
請求項7の情報処理装置において、
前記制御手段は、前記操作入力手段による操作に応じて、前記テーブル作成領域に配置可能なデータの数を設定または変更する情報処理装置。
【請求項11】
請求項7の情報処理装置において、
前記制御手段は、前記操作入力手段による操作に応じて、前記テーブル作成領域における各データの表示幅を設定または変更する情報処理装置。
【請求項12】
時期または期間の情報を有するデータからなる年表データに基づいて複数の年表テーブルを作成するためにコンピュータを、
テーブル作成領域が設けられたテーブル作成用画面を表示し、そのテーブル作成用画面に前記時間軸を表示する処理手段、および、
選択指示された複数の年表データを取得し、取得した複数の年表データに基づく複数の年表テーブルを前記テーブル作成領域に並べて配置する制御手段、
を備え、
前記処理手段は、前記複数の年表テーブルの並び順を各年表テーブルの位置の入れ替えにより変更するための操作項目を表示し、
前記制御手段は、前記操作項目に対するユーザ操作に従い、前記複数の年表テーブルの並び順を各年表テーブルの位置の入れ替えにより変更する、情報処理装置として機能させるテーブル作成用プログラム。」(以下、これらの請求項を「補正後」の請求項という。)
に補正された。
この補正後の請求項1は、補正前の請求項1の「複数の年表テーブルの並び順を変更するための操作項目を表示する工程」及び「操作項目に対するユーザ操作に従い、前記複数の年表テーブルの並び順を変更する工程」を各々「複数の年表テーブルの並び順を各年表テーブルの位置の入れ替えにより変更するための操作項目を表示する工程」及び「操作項目に対するユーザ操作に従い、前記複数の年表テーブルの並び順を各年表テーブルの位置の入れ替えにより変更する工程」に限定するものであり、限定的減縮を目的とするものである。請求項7及び12についても同様である。
そこで、本件手続補正後の上記請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について検討する。


(2)独立特許要件について
(2-1)引用文献
(引用文献1)
原査定の拒絶の理由に引用された、XMLによる歴史年表データの流通とその利用について,林良雄,情報処理学会第67回(平成17年)全国大会講演論文集,社団法人情報処理学会、2005年3月2日,p.4-375?4-376(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は、当審において付与したものである。以下、同様。)

A.「2.年表データのXML文書化について
まず初めにデータの形式である.データのインターネットによる流通を考えるとインターネットでの標準的な形式を取るほうが望ましい.そこでWorld Wide Web Consortium(W3C)によって策定されたマークアップ言語であるXML1.0を採用することにした.これをサーバーに置いて検索可能とする.データをデータを探す側はサーバーで検索し,必要な項目があるデータファイルをダウンロードして利用するようにする.
歴史年表データをXMLで定義したものが図1である.<Nenpyou>・・・</Nenpyou>は文書要素の開始,終了タグである.次に一年分の歴史事象がdata要素によって記述される.この要素にはfilenameという属性を付与しているが,これはそのデータが存在するXML文書のファイルである.複数のデータファイルからの検索などを行う場合,どのファイルの事項かが分かるようにしている.
次にcategory要素は後述する年表表示ソフトで定義されている階層的なカテゴリを記述し,上位からcat1,cat2,cat3要素である.year要素には西暦を記述する.この要素にはc_yearという属性を与えているが,これはB.C.をマイナスとする西暦年を入れる.例えばB.C.915年なら-915,A.C.1192年なら1192である.この属性は西暦でソートするときの便宜につけておく.acbc要素は西暦前後,a_year要素は西暦年(絶対値)である.
event要素にはその年における歴史事象が記述される.この要素は複数回の出現が許され,複数の歴史事象が記述できる.」(4-375頁左欄第19行?同頁右欄第7行)

B.「3.データ交換・検索サイトの構築について
前節のXML化でXML文書となったデータをインターネットでやり取りする際には配布サーバー上で必要なデータが入っているファイルの検索が必要となる.そこでクライアントからwebブラウザにより複数のファイルからデータを閲覧(並べ替え),検索するサイトの構築を考えることとする.そこでOSにWindows2000,WebサーバソフトにIISを用い,ASP(Active Server Pages)とスタイル変換言語にXSLT1.1を採用した閲覧検索システムを作成した(図2).
このシステムは複数のXML文書からのデータ一覧(並べ替え)と検索機能を備えるシステムである.トップページではファイルをダウンロードが可能である.また,並替え・検索のページに行き,並べ替えて閲覧または検索したいファイル名を選択して(図3)それぞれの機能のページに飛ぶ.」(4-375頁右欄第8行?4-376頁左欄第5行)

C.「4.歴史年表データ利用について
サーバーとともにXMLデータの利用を進めるためにはパーソナルコンピュータでの利用が不可欠である.そこでカテゴリを導入して表示中に動的に並列表示する分野の組み合わせを変更することが可能な電子歴史年表を作成した.
このソフトの特徴は
(1)3つまでの分野の並列表示が可能で,表示列数は動的に変更できること.
(2)階層的なカテゴリを導入し,カテゴリを選択することで表示する分野を動的に変更することが可能であること.
(3)複数のXML文書情報をまとめた総合カテゴリファイルによりデータを読み込むのでXML文書に何ら変更を必要としないこと.
にある.
実際の表示画面は図6であり,分野選択のプルダウンメニューより必要なカテゴリを選択すると表示する分野が動的に変更される.」(4-376頁左欄第12行?同頁右欄第4行)

D.図6には、分野選択のプルダウンメニューより必要なカテゴリを選択すると表示する分野が動的に変更される、複数の分野が並列に表示される歴史年表を表示するソフトの表示画面が記載されている。(4-376頁)


(ア)上記Aには、「西暦年」を表す「year要素」と「その年における歴史事象が記述される」「event要素」等からなる歴史年表データが記載されている。また、上記Bには、「このシステムは複数のXML文書からのデータ一覧(並べ替え)と検索機能を備える」ことが記載されている。さらに、上記C及びDからは、「3つまでの分野の並列表示が可能」な「歴史年表」を「動的に並列表示する分野の組み合わせを変更する」ことが読み取れる。
これらの記載から、引用文献1には、年の情報を有するデータからなる歴史年表データに基づいて複数の分野の並列表示が可能な複数の分野からなる歴史年表を動的に変更する方法が記載されているといえる。

(イ)上記Dからは、画面には、歴史年表の複数の列を表示する領域が設定されていることが読み取れる。このことから、引用文献1には、歴史年表を動的に並列表示する分野の組み合わせを変更するための領域を表示することが記載されているといえる。

(ウ)上記Dからは、歴史年表を動的に並列表示する分野の組み合わせを変更するための領域に西暦を表す列を表示することが読み取れる。

(エ)上記Bには、ファイルをダウンロードできること、及び、並べ替えて閲覧または検索したいファイル名を選択することが記載されている。上記A、Bの記載より、ここでのファイルは年表データであることから、引用文献1には、選択された複数の年表データをダウンロードすることが記載されているといえる。

(オ)上記Cには、パーソナルコンピュータで利用する、並列表示する分野の組み合わせを変更することが可能な電子歴史年表のソフトが記載されている。また、複数のXML文書情報をまとめた総合カテゴリファイルによりデータを読み込むことも記載されている。これらの記載と上記(エ)から、引用文献1には、ダウンロードされた複数の年表データに基づく複数の歴史年表の分野を並列表示することが記載されているといえる。

(カ)上記C及びDより、引用文献1には、歴史年表の並列表示する分野の組み合わせを変更するためのプルダウンメニューを表示することと、プルダウンメニューに対する操作に従って、表示する分野を動的に変更することが記載されているといえる。

上記(ア)?(カ)より、引用文献1には以下の発明が記載されているといえる。(以下、「引用文献1記載の発明」という。)

「 年の情報を有するデータからなる歴史年表データに基づいて複数の分野の並列表示が可能な複数の分野からなる歴史年表作成方法であって、
歴史年表を動的に並列表示する分野の組み合わせを変更するための領域を表示する工程と、
前記歴史年表を動的に並列表示する分野の組み合わせを変更するための領域に西暦を表す列を表示する工程と、
選択された複数の年表データをダウンロードする工程と、
ダウンロードされた複数の年表データに基づく複数の歴史年表の分野を並列表示する工程と、
歴史年表の並列表示する分野の組み合わせを変更するためのプルダウンメニューを表示する工程と、
プルダウンメニューに対する操作に従って、表示する分野を動的に変更する工程と、
を備える歴史年表作成方法。」


(参考文献)
深山 晃美,仕組みからわかる! ウインドウズ講座,日経PC21,第11巻第15号(通巻211号),日経BP社,2006年8月1日,p.126?129(以下、「参考文献」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

E.「図17、図18 図17の「表示」メニューから「詳細表示の設定」を選び、現れる図18の画面で表示したい項目をチェックする。「上へ」「下へ」ボタンで項目の入れ替えも可能」(128ページ)


(2-2)対比
本願補正発明と引用文献1記載の発明とを対比すると、次のことがいえる。

(ア)引用文献1記載の発明における「年の情報」とは、一年という期間の情報であることから、引用文献1記載の発明における「年の情報を有するデータからなる歴史年表データ」は、本願補正発明における「時期または期間の情報を有するデータからなる年表データ」に相当するといえる。

(イ)引用文献1記載の発明における「複数の分野からなる歴史年表」は、本願補正発明における「複数の年表テーブル」に相当する。

(ウ)引用文献1記載の発明における「歴史年表を動的に並列表示する分野の組み合わせを変更するための領域」は、本願補正発明における「テーブル作成領域が設けられたテーブル作成用画面」に相当する。

(エ)引用文献1記載の発明における「歴史年表を動的に並列表示する分野の組み合わせを変更するための領域に西暦を表す列を表示する」ことは、本願補正発明における「テーブル作成用画面に前記時間軸を表示する」ことに相当する。

(オ)引用文献1記載の発明における「選択された複数の年表データをダウンロードする」ことは、本願補正発明における「選択指示された複数の年表データを取得する」ことに相当する。

(カ)引用文献1記載の発明における「ダウンロードされた複数の年表データに基づく複数の歴史年表の分野を並列表示する」ことは、本願補正発明における「取得された複数の年表データに基づく複数の年表テーブルを前記テーブル作成領域に並べて配置する」ことに相当する。

(キ)引用文献1記載の発明における「歴史年表の並列表示する分野の組み合わせを変更するためのプルダウンメニューを表示する」ことと、本願補正発明における「複数の年表テーブルの並び順を各年表テーブルの位置の入れ替えにより変更するための操作項目を表示する」こととは、「複数の年表テーブルの並び順を変更するためのユーザインターフェイスを表示する」という点で共通するものである。

(コ)引用文献1記載の発明における「プルダウンメニューに対する操作に従って、表示する分野を動的に変更する」と、本願補正発明における「操作項目に対するユーザ操作に従い、前記複数の年表テーブルの並び順を各年表テーブルの位置の入れ替えにより変更する」とは、「ユーザ操作に従い、前記複数の年表テーブルの並び順を変更する」という点で共通するものである。

上記(ア)?(コ)より、本願補正発明と引用文献1記載の発明とは、

「 時期または期間の情報を有するデータからなる年表データに基づいて複数の分野の並列表示が可能な複数の年表テーブルを動的に変更する方法であって、
テーブル作成領域が設けられたテーブル作成用画面を表示する工程と、
テーブル作成用画面に前記時間軸を表示する工程と、
選択指示された複数の年表データを取得する工程と、
取得された複数の年表データに基づく複数の年表テーブルを前記テーブル作成領域に並べて配置する工程と、
複数の年表テーブルの並び順を変更するためのユーザインターフェイスを表示する工程と、
ユーザ操作に従い、前記複数の年表テーブルの並び順を変更する工程と、
を備えるテーブル作成方法。」

という点で一致し、以下の点で相違する。


(相違点)「複数の年表テーブルの並び順を変更するためのユーザインターフェイス」に関して、本願補正発明が複数の年表テーブルの並び順を各年表テーブルの位置の入れ替えにより変更するための操作項目を表示し、操作項目に対するユーザ操作に従い、前記複数の年表テーブルの並び順を各年表テーブルの位置の入れ替えをするのに対して、引用文献1記載の発明では、複数の年表テーブルの並び順を各年表テーブルの位置の入れ替えにより変更するための操作項目を表示するような限定はなされていない点。


(2-3)判断
上記相違点について検討する。
相違点について:
一般にパーソナルコンピュータの画面において、表形式の項目の入れ替えを指示する画面部品を表示することは参考文献に記載されているように周知の技術であり、引用文献1記載の発明において、「分野」を入れ替えるために参考文献に記載されているような、入れ替えを指示する画面部品を表示するよう構成することは、当業者が容易に想到し得ることである。そして、その際に画面部品として操作項目を選択することは、発明を実施する際に当業者が適宜になし得る程度のことにすぎない。
よって、上記相違点は格別なものではない。

(本願補正発明の作用効果について)
そして、本願補正発明の構成によってもたらされる効果も、引用文献1記載の発明及び参考文献記載の技術から当業者が容易に予測できるものであって、格別のものとはいえない。

したがって、本願補正発明は、引用文献1記載の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

以上のとおり、本件手続補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反する。

(3)むすび
上記(1)、(2)で検討したとおり、本件手続補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。



3.補正却下の決定を踏まえた検討
(1)本願発明
平成24年7月20日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし12に係る発明は、平成23年12月15日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1ないし12に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明は、平成23年12月15日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の記載からみて、その請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものと認める。(以下、「本願発明」という。)

「 時期または期間の情報を有するデータからなる年表データに基づいて複数の年表テーブルを作成する方法であって、
テーブル作成領域が設けられたテーブル作成用画面を表示する工程と、
そのテーブル作成用画面に前記時間軸を表示する工程と、
選択指示された複数の年表データを取得する工程と、
その取得された複数の年表データに基づく複数の年表テーブルを前記テーブル作成領域に並べて配置する工程と、
前記複数の年表テーブルの並び順を変更するための操作項目を表示する工程と、
前記操作項目に対するユーザ操作に従い、前記複数の年表テーブルの並び順を変更する工程と、
を備えるテーブル作成方法。」


(2)引用文献
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献とその記載事項は、上記2.(2)(2-1)に示したとおりである。


(3)対比
本願発明は、上記2.で検討した本願補正発明における「前記複数の年表テーブルの並び順を各年表テーブルの位置の入れ替えにより変更するための操作項目を表示する工程」について、複数の年表テーブルの並び順を「各年表テーブルの位置の入れ替えにより」変更するものであるとの限定を省き、「前記操作項目に対するユーザ操作に従い、前記複数の年表テーブルの並び順を各年表テーブルの位置の入れ替えにより変更する工程」について、複数の年表テーブルの並び順を「各年表テーブルの位置の入れ替えにより」変更するものであるとの限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要素を全て含み、さらに特定の限定を施したものに相当する本願補正発明が、上記2.(2)(2-3)に記載したとおり、引用文献1記載の発明に基いて、当業者が容易に発明することができたものであることから、上記特定の限定を省いた本願発明は、同様に、引用文献1記載の発明に基いて、当業者が容易に発明することができたものである。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献1記載の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-09-30 
結審通知日 2013-10-01 
審決日 2013-10-31 
出願番号 特願2006-214675(P2006-214675)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 梅本 達雄長 由紀子  
特許庁審判長 山崎 達也
特許庁審判官 飯田 清司
原 秀人
発明の名称 テーブル作成方法、情報処理装置およびテーブル作成用プログラム  
代理人 亀谷 美明  

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