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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01N 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01N |
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管理番号 | 1283460 |
審判番号 | 不服2012-21369 |
総通号数 | 171 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2014-03-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-10-30 |
確定日 | 2014-01-09 |
事件の表示 | 特願2008-149385「陰イオン濃度測定装置及び陰イオン濃度測定素子」拒絶査定不服審判事件〔平成21年4月30日出願公開,特開2009-92647〕について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,平成20年6月6日(優先権主張 平成19年9月19日)を出願日とする出願であって,平成24年4月20日付けで拒絶理由が通知され,同年7月5日付けで意見書のみが提出され,同年7月20日付で拒絶査定されたのに対し,同年10月30日に拒絶査定不服の審判請求がされるとともに,同日付で手続補正(以下「本件補正」という。)がなされ,平成25年8月6日付けで審尋がなされ,同年10月9日に回答書が請求人より提出されたものである。 第2 本件補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1 補正後の請求項14に係る発明 本件補正により,特許請求の範囲の請求項14は, 「【請求項14】 電極と、 前記電極表面に固定化された第4級アンモニウム塩とを有し、 前記第4級アンモニウム塩の1つの側鎖は炭素数が6以上であるアルカンチオール基であり、他の3つの側鎖はアルキル鎖であることを特徴とする分析素子。」(下線は補正箇所を示す)と補正された。 2 補正事項について 補正前の請求項14における「アルカンチオール基」を「炭素数が6以上であるアルカンチオール基」に補正することは,アルカンチオール基を構成する炭素の数を6以上に限定したものであるから,特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで,本件補正後の前記請求項14に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法17条の2第6項で準用する同法126条7項の規定に適合するか)について以下に検討する。 3 引用刊行物及びその記載事項 (1)本願の優先日前に頒布され,原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開平3-259739号公報(以下「引用例1」という。)には,次の事項が記載されている。なお,下線は,当審において引用発明の認定に使用した箇所に付与したものである。 (1-ア)「2.特許請求の範囲 (1)イオン感応膜を被覆した電極を用いて検体液の感応値を電界効果型トランジスタで検出できるようにしたイオンセンサにおいて、上記イオン感応膜にシランカップリング基と長鎖アルキル基を有する四級アンモニウム塩より構成される塩素イオン感応膜を用いたことを特徴とする塩素イオンセンサ。」 (1-イ)「本発明の目的は、長期安定性があり、塩素イオン選択性の高い塩素イオンセンサ及びその分割部品を提供することにある。」(2頁右上欄11?13行) (1-ウ)「〔実施例〕 次に本発明の実施例を図面に基づいて説明する。 まず、第1図(イ)(ロ)に示すように、コーニング社製7059ガラス基板1上に電子ビーム蒸着(EB蒸着)により分離ゲート用クロム電極2及びこれを延長してゲート電極用接続端子3を形成する。この際、クロム膜形成後、室温まで冷却してから大気中に放置した。分離ゲート用クロム電極2の厚さは1000?5000Åとする。この後、分離ゲート用クロム電極2の中央部とゲート電極用接続端子3を除いてエポキシ樹脂により試料滴下窓枠4を形成する。分離ゲート用クロム電極2の表面にジメチルオクタデシル-3-トリメトキシルシリルプロパノールアンモニウムクロライド10%のメタノール溶液を50μ滴下し、風乾後、100℃、1時間保持し、電極表面の水酸基と反応させる。このようにして塩素イオン感応チップ5を得る。 一方、第2図、第3図に示すようにガラス繊維強化エポキシ樹脂基板6上にパターン形成されたソース電極7、ドレイン電極8及びゲート電極9にFET10をハンダ付けにより固定する。このようにして塩素イオンセンサ本体11が得られる。 次に上記塩素イオン本体11のゲート電極9の端部と上記塩素イオン感応チップ5のゲート電極用接続端子3とを超音波ハンダ付け法によるハンダ層12により接続し、さらにゲート電極9の全部と、ソース電極7及びドレイン電極8の端部を除いた部分にエポキシ樹脂からなる絶縁膜13を被覆する。このように塩素イオンセンサ14ができあがる。」 (1-エ)「上記四級アンモニウム塩は、分子の一端にメトキシシリル基、エトキシシリル基等の低級アルコキシシリル基等であるシランカップリング基を有し、分子の他端に長鎖アルキル基位を有するものも好ましく用いられるが、これに限らない。 本発明で使用できる四級アンモニウム塩は次の一般式でも表わされる。ここで、R_(1)、R_(2)、R_(3)、R_(4)のうち少なくとも1つがシランカップリング基であり、他の少なくとも1つが長鎖アルキル基であり他の残りが低級アルキル基であり、X^(-)はハロゲン等の陰イオンを表すものが例示できる。」(3頁右下欄13行?4頁左上欄3行) これらの記載事項を総合すると,引用例1には,以下の発明が記載されていると認められる。 「イオン感応膜を被覆した電極を用いたイオンセンサにおいて,上記イオン感応膜にシランカップリング基と長鎖アルキル基を有する四級アンモニウム塩より構成される塩素イオン感応膜を用いた塩素イオンセンサ。」(以下「引用発明1」という。) (2)本願の優先日前に頒布され,原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開2006-30132号公報(以下「引用例2」という。)には,次の事項が記載されている。なお,下線は,当審において引用発明の認定に使用した箇所に付与したものである (2-ア)「【請求項1】 表面にプローブが固定化され、試料溶液と接触する導電性電極を有する電界効果型トランジスタと、 前記試料溶液と接触する参照電極と、 前記導電性電極と参照電極との間に交流電圧を印加する手段とを備えることを特徴とする測定装置。 ・・・ 【請求項5】 請求項1記載の測定装置において、前記導電性電極は金からなることを特徴とする測定装置。 【請求項6】 請求項5記載の測定装置において、前記プローブはその一端に結合したアルカンチオールを介して前記導電性電極表面に固定化されていることを特徴とする測定装置。」 (2-イ)「【0007】 ・・・。DNAプローブのゲート絶縁層への固定化は、シランカプリング等の煩雑な前処理を必要とした。 【0008】 本発明の目的は、ランニングコストが安く、検出用プローブが容易に固定化でき、簡便に使用できる生体分子検出素子、特にDNAチップを提供することにある。」 (2-ウ)「【0010】 ・・・。また、導電性電極に金等の貴金属を用いることにより、溶液中の電極表面での反応は起こらない。さらに、導電性電極に金を用いることにより、末端にアルカンチオールを有する検出プローブは、金電極表面に検出プローブ溶液を滴下あるいはスポットするだけの簡単な操作で固定化できる。」 (2-エ)「【0014】 ・・・。ここでは、導電性電極の上に生体分子検出用プローブを固定した例を述べたが、生体分子検出用プローブの代わりにイオン感応膜を形成してもよい。例えば、pH計測の場合にはイオン感応膜として窒化シリコン(Si_(3)N_(4))や酸化タンタル(Ta_(2)O_(5))等の固体膜を、カリウムイオンの場合にはバリノマイシンを含有した液膜を形成すればよい。」 (2-オ)「【0021】 交流電圧印加の効果を他の実施例を用いて説明する。図5(a)、(b)は、測定開始からドレイン電流が安定するまでの経時変化を示した図である。使用した絶縁ゲート電界効果トランジスタの金電極表面には、21塩基の一本鎖DNA(5’-HS-(CH2)6-TACGC CACCA GCTCC AACTA C-3’、k-ras coden12遺伝子と相補的な配列)が6個の炭素鎖を介してチオールと金との結合により固定化されている。」 (2-カ)「【0023】 本発明の交流電圧印加の効果を他の実施例を用いて説明する。一般に、チオールを有する化合物は、金表面と反応してAu-S結合し、高密度・高配向な自己組織化単分子膜(Self-Assembled Monolayers;SAMs)を形成することが知られている。その性質を利用して表面状態もアルキル基や末端の官能基、主鎖の親水基などにより容易に変化させることができる。」 (2-キ)「【0035】 ・・・。本実施例で用いるプローブ固定化用金電極はチオール化合物と容易に結合して安定であるため、チオール基(通常は、アルカンチオールリンカー)を有するプローブを用いることにより、固定化が容易となる。また、金電極は不活性のため溶液中で安定である、すなわち電位ドリフト等を生じない。」 これらの記載事項を総合すると,引用例2には,以下の発明が記載されていると認められる。 「表面にプローブが固定化され,試料溶液と接触する導電性電極を有する生体分子検出素子において, 前記導電性電極は金からなり,前記プローブはその一端に結合したアルカンチオールを介して前記導電性電極表面に固定化されており, 前記プローブはイオン感応膜であり, 6個の炭素鎖を介してチオールと金との結合により前記固定化がされている,生体分子検出素子。」(以下「引用発明2」という。) 4 対比・判断 (1)本願補正発明と引用発明1との対比・判断 ア 対比 本願補正発明と引用発明1とを対比する。 a 引用発明1の「四級アンモニウム塩」は,イオン感応膜であり,引用発明1の「イオン感応膜を被覆した電極」との記載及び摘記(1-ウ)より,電極表面に固定化されているといえることから,本願補正発明の「電極表面に固定化された第4級アンモニウム塩」に相当する。 b 引用発明1の「シランカップリング基と長鎖アルキル基を有する四級アンモニウム塩」は,摘記(1-エ)の記載から,四級アンモニウム塩の1つの側鎖がシランカップリング基であり、他の3つの側鎖はアルキル鎖であることを含むものであるから,本願補正発明の「第4級アンモニウム塩の1つの側鎖は基であり、他の3つの側鎖はアルキル鎖である」ことで共通している。 c 引用発明1の「塩素イオンセンサ」は,本願補正発明の「分析素子」に相当する。 してみれば,本願補正発明と引用発明1とは, (一致点) 「電極と, 前記電極表面に固定化された第4級アンモニウム塩とを有し, 前記第4級アンモニウム塩の1つの側鎖は基であり,他の3つの側鎖はアルキル鎖である分析素子」 の点で一致し,以下の点で相違する。 (相違点) 本願補正発明では,基が「炭素数が6以上であるアルカンチオール基」であるのに対し,引用発明1では,「シランカップリング基」である点。 イ 当審の判断 上記相違点について検討する。 引用例2には,摘記(2-エ)より,イオン感応膜について適用できる技術が記載されており,摘記(2-キ)には「本実施例で用いるプローブ固定化用金電極はチオール化合物と容易に結合して安定であるため、チオール基(通常は、アルカンチオールリンカー)を有するプローブを用いることにより、固定化が容易となる。また、金電極は不活性のため溶液中で安定である、すなわち電位ドリフト等を生じない。」と記載されている。これより,イオン感応膜の技術において,安定性を考慮して,電極を金とし,その金電極とのリンカーとしてアルカンチオール基を用いればよいことが記載されているといえる。そして,摘記(2-オ)には,6個の炭素鎖(本願補正発明における「炭素数が6以上」に相当)を介してチオールと金が結合し固定化されることが記載されている。 引用発明1における「電極」は,摘記(1-ウ)に記載されているように,Cr電極であり,本願補正発明における「電極」は,本願明細書【0008】に「上記目的を達成するために、本発明では金電極表面に自己組織化膜を形成する絶縁性分子(例えば、アルカンチオール)をリンカーとして陰イオン用リガンドである第4級アンモニウム塩誘導体を固定化して、陰イオンの配位に伴い生じる起電力を金電極表面の界面電位変化として測定する。」と記載されており,その余の本願明細書及び図面においてすべて金電極が使用されていることから,実質的に金電極である。 また,一般に,塩素イオンについてイオン感応膜を第4級アンモニウム塩とし,電極を金とすることは周知(例えば,特開昭59-24244号公報の3頁左上欄1?8行,等参照)であり,さらに,摘記(2-カ)にも記載されているように,金とチオール基が結合し易いことは化学常識で,金電極表面に自己組織化膜を形成するためにアルカンチオールを使用することも周知である(例えば,引用例2の他に,国際公開2004/083841号の5頁13?18行,等参照)。 してみれば,引用例1の摘記(1-イ)に記載されているように,引用発明は「長期安定性」を目的としていることから,Cr電極に替えてより化学的に安定な金電極を採用し,その際,金との安定した結合を有する炭素数が6以上であるアルカンチオール基をリンカーとして使用することは,上記引用例2の記載事項を鑑みれば,当業者が容易になし得ることである。 また,摘記(2-イ)及び(2-ウ)には,プローブを電極に固定する手段としてシランカップリングを用いるより,金電極とアルカンチオールとの結合を利用した方が,固定化が容易で簡単であることが記載されている。そして,当該技術的事項はイオン感応膜についても適用できる技術であり,アルカンチオールとして炭素数が6以上であるアルカンチオールも記載されていることは,上記のとおりである。 ある手段を適用する際に,その手段が容易で簡単である方がいいことは,技術分野を問わず当業者ならば常に考慮する一般的な課題であるから,引用発明における電極(上記のとおり具体的にはCr電極である。)と四級アンモニウム塩との固定化をシランカップリグ基を用いて行う替わりに,金電極と炭素数が6以上であるアルカンチオール基によって行うことは,当業者が容易になし得ることであるともいえる。 したがって,本願補正発明と引用発明1との上記相違点は,引用例2の記載事項及び周知技術を鑑みれば,当業者が容易になし得たことである。 (2)本願補正発明と引用発明2との対比・判断 ア 対比 本願補正発明と引用発明2とを対比する。 a 引用発明2の「導電性電極」は,本願補正発明の「電極」のことである。 b 引用発明2の「6個の炭素鎖を介してチオールと金との結合により前記固定化がされている」ことは,「炭素鎖」が本願補正発明の「側鎖」に相当し,そして「炭素数が6以上」を満たすものである。してみれば,引用発明2の「前記プローブはその一端に結合したアルカンチオールを介して前記導電性電極表面に固定化されており,前記プローブはイオン感応膜であり,6個の炭素鎖を介してチオールと金との結合により前記固定化がされている」は,本願補正発明の「前記電極表面に固定化されたものとを有し、前記固定化されたもの1つの側鎖は炭素数が6以上であるアルカンチオール基である」ことに相当している。 c 引用発明2の「生体分子検出素子」は,本願補正発明の「分析素子」に相当する。 してみれば,本願補正発明と引用発明2とは, (一致点) 「電極と、 前記電極表面に固定化されたものとを有し、 前記固定化されたもの1つの側鎖は炭素数が6以上であるアルカンチオール基である分析素子。」 の点で一致し,以下の点で相違する。 (相違点) 本願補正発明では,固定化されたものが「4級アンモニウム塩」で「他の3つの側鎖はアルキル鎖である」のに対し,引用発明2では,「イオン感応膜」である点。 イ 当審の判断 上記相違点について検討する。 引用発明2の「イオン感応膜」について,摘記(2-エ)で「例えば,pH計測の場合にはイオン感応膜として窒化シリコン(Si_(3)N_(4))や酸化タンタル(Ta_(2)O_(5))等の固体膜を、カリウムイオンの場合にはバリノマイシンを含有した液膜を形成すればよい。」と記載されており,塩素イオンについて具体的に記載されていないが,イオン感応膜のイオンとして,カリウムイオンと同様に塩素イオンについても適用でき,その際,第4級アンモニウム塩がイオン感応膜として使用されることは周知(例えば,特開昭59-24244号公報の3頁左上欄6?8行参照)のことである。そして,引用例1の摘記(1-ア)及び(1-エ)には,第4級アンモニウム塩を電極に固定する際に,電極に固定する側鎖の他の3つの側鎖をアルキル鎖とすることが記載されている。 してみれば,引用発明2において,そのイオン感応膜を4級アンモニウム塩とし,電極に固定する側鎖の他の3つの側鎖をアルキル鎖とすることは当業者が容易になし得たことである。 したがって,本願補正発明と引用発明2との上記相違点は,引用例1の記載事項及び周知技術を鑑みれば,当業者が容易になし得たことである。 (3)本願補正発明の効果について 本願明細書で本願補正発明の効果を以下のように記載している。 「【発明の効果】 【0009】 本発明によると、金電極の表面に絶縁性分子を介して陰イオン用リガンドである第4級アンモニウム塩誘導体を固定化することにより、金電極と溶液間の絶縁性を向上させることができる。この絶縁性の向上によりリガンド間の隙間のリーク電流を抑制し、陰イオンの配位により生じる起電力を金電極表面の界面電位変化として安定に測定することができる。」 しかしながら,一般に,チオール基が絶縁性をもたらすことは化学常識(例えば,特開2006-242925号の【0054】,特表2007-524989号の【0045】,等参照)であり,その特開2006-242925号の【0054】に記載されているように,アルカンチオールが金電極表面に絶縁膜を形成し,それがリーク電流を抑制することは周知のことであるから,上記本願補正発明の効果は,当業者が予期し得ることであり,格別顕著なことではない。 (4)小括 以上のとおり,本願補正発明は,引用発明1並びに引用例2の記載事項及び周知技術,あるいは,引用発明2並びに引用例1の記載事項及び周知技術に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 なお,請求人は,審尋に対する回答書で「本願請求項1に電位計測系として『イオン選択性電極の界面電位を測定する手段』があるが、これをさらに電位計測するものとして明確化するため『イオン選択性電極の界面電位を測定する電位計』と補正する準備がある。」旨述べているが,これを考慮しても,上記当審の判断が変わるものではない。 5 まとめ 以上のとおり,本件補正は,特許法17条の2第6項で準用する同法126条7項の規定に違反するものであり,同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記のとおり却下されることとなるので,本願の請求項に係る発明は,出願時の特許請求の範囲の請求項1?20に記載された事項により特定されるものであるところ,その請求項14に係る発明(以下「本願発明」という。)は,次のとおりのものである。 「【請求項14】 電極と、 前記電極表面に固定化された第4級アンモニウム塩とを有し、 前記第4級アンモニウム塩の1つの側鎖はアルカンチオール基であり、他の3つの側鎖はアルキル鎖であることを特徴とする分析素子。」 2 引用刊行物及びその記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である上記引用例1及び2の記載事項は,上記「第2」「3 引用刊行物及びその記載事項」に記載したとおりである。 3 対比・判断 上記「第2」「2 補正事項について」に記載したとおり,本願補正発明は,本願発明にさらに限定事項を追加したものであるから,本願発明は,本願補正発明から限定事項を省いた発明といえる。その本願補正発明が,前記「第2」「4 対比・判断」に記載したとおり,引用発明1並びに引用例2の記載事項及び周知技術,あるいは,引用発明2並びに引用例1の記載事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明することができたものである以上,本願発明も同様の理由により,当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり,本願発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから,その余の請求項に係る発明について言及するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。 よって,結論のとおり,審決する。 |
審理終結日 | 2013-11-01 |
結審通知日 | 2013-11-05 |
審決日 | 2013-11-26 |
出願番号 | 特願2008-149385(P2008-149385) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(G01N)
P 1 8・ 121- Z (G01N) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 柏木 一浩 |
特許庁審判長 |
岡田 孝博 |
特許庁審判官 |
藤田 年彦 三崎 仁 |
発明の名称 | 陰イオン濃度測定装置及び陰イオン濃度測定素子 |
代理人 | 藤田 節 |
代理人 | 平木 祐輔 |