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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04M
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04M
管理番号 1283492
審判番号 不服2013-7228  
総通号数 171 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-03-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-04-18 
確定日 2014-01-10 
事件の表示 特願2008-306688「携帯電話機を用いたパーソナルコンピュータ」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 6月10日出願公開、特開2010-130653〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯

本願は、平成20年12月1日付けの出願であって、平成25年1月16日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成25年4月18日に審判請求がなされると共に、同日付けで手続補正がなされたものである。

第2.補正却下の決定

[補正却下決定の結論]

平成25年4月18日付けの補正を却下する。

[理由]

1.本願発明と補正後の発明

上記手続補正(以下、本件補正という。)は、平成24年10月26日付け手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1について、次のように補正することを含むものである。

(1)補正前

「少なくとも送受信通信装置、CPU、メモリ、各種のソフトウェアーやデータを記憶する記憶装置、携帯内部入力装置、外部入力インターフェイス、携帯内部出力装置、外部出力インターフェイスを有する携帯電話機と、前記携帯電話機の外部入力インターフェイスを介して前記内部入力装置に入力信号を入力可能な外部入力装置と、前記携帯電話機の外部出力インターフェイスから出力される前記内部出力装置からの出力信号により駆動する外部出力装置とを有することを特徴とする携帯電話機を用いたパーソナルコンピュータであって、前記携帯電話機が端末器を介して前記外部入力装置および外部出力装置とに接続可能であるともに前記端末機には前記携帯電話機に形成された外部出力インターフェイスおよび外部入力接続インターフェイスを備えた差込端をそれぞれ接続するインターフェイスを備えた携帯電話機の差込口が形成されており、前記差込口に携帯電話機を差し込むことにより前記携帯電話機の外部出力インターフェイスおよび外部入力接続インターフェイスと前記外部入力装置および外部出力装置が接続されて前記入力装置に接続された前記入力装置により携帯内部入力装置から携帯電話機に入力された信号に基づいて前記携帯電話機が有する外部出力装置に送受信通信装置、CPU、メモリ、各種のソフトウェアーやデータを記憶する記憶装置の処理により前記携帯内部出力装置からの出力信号により前記外部出力装置を駆動することを特徴とする携帯電話機を用いたパーソナルコンピュータ。」(以下、「本願発明」という。)

(2)補正後

「少なくとも送受信通信装置、CPU、メモリ、各種のソフトウェアーやデータを記憶する記憶装置、携帯内部入力装置、外部入力インターフェイス、携帯内部出力装置、外部出力インターフェイスを有する携帯電話機と、前記携帯電話機の外部入力インターフェイスを介して前記内部入力装置に入力信号を入力可能な他の機器に接続していない個別の外部入力装置と、前記携帯電話機の外部出力インターフェイスから出力される前記内部出力装置からの出力信号により駆動する他の機器を接続していないとともにスピーカを有する外部出力装置とを有することを特徴とする携帯電話機を用いたパーソナルコンピュータであって、
前記携帯電話機が端末器を介して前記外部入力装置および外部出力装置とに接続可能であるともに前記端末機には前記携帯電話機に形成された外部出力インターフェイスおよび外部入力接続インターフェイスを備えた差込端をそれぞれ接続するインターフェイスを備えた携帯電話機の差込口が形成されており、前記差込口に携帯電話機を差し込むことにより前記携帯電話機の外部出力インターフェイスおよび外部入力接続インターフェイスと前記外部入力装置および外部出力装置が接続されて前記入力装置に接続された前記入力装置により携帯内部入力装置から携帯電話機に入力された信号に基づいて前記携帯電話機が有する外部出力装置に送受信通信装置、CPU、メモリ、各種のソフトウェアーやデータを記憶する記憶装置の処理により前記携帯内部出力装置からの出力信号により前記外部出力装置を駆動するとともに、
前記端末機の前記接続口に前記携帯電話の内部電源回路に接続される外部電源を有しており前記携帯電話を前記差込口に差し込むことにより前記携帯電話に内蔵したバッテリを充電可能とし且つ差込口に備えた前記携帯電話機の外部出力インターフェイスおよび外部入力インターフェイスが前記外部電源の接続部が配置されており、携帯電話機を前記差込口に差し込むことにより前記携帯電話の携帯電話についての電源の充電と外部入力インターフェイスおよび外部入力インターフェイスが前記インターフェイスに同時に接続されることを特徴とする携帯電話機を用いたパーソナルコンピュータ。」

2.補正の内容

本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内において、
「外部入力装置」が「他の機器に接続していない個別の」ものであることに限定し、また、「外部出力装置」が「他の機器を接続していないとともにスピーカを有する」ものであることに限定するものである。

そして、「端末機」の「差込口」に関する、「前記端末機の前記接続口に前記携帯電話の内部電源回路に接続される外部電源を有しており前記携帯電話を前記差込口に差し込むことにより前記携帯電話に内蔵したバッテリを充電可能とし且つ差込口に備えた前記携帯電話機の外部出力インターフェイスおよび外部入力インターフェイスが前記外部電源の接続部が配置されており、携帯電話機を前記差込口に差し込むことにより前記携帯電話の携帯電話についての電源の充電と外部入力インターフェイスおよび外部入力インターフェイスが前記インターフェイスに同時に接続される」(下線は当審付加。)との構成を追加するものである。
ここで、補正後の「前記接続口」は、明らかに、補正前の「差込口」という構成に対応するものであること、また、補正後の請求項には、これ以前に「接続口」が前記されていないことを考慮すると「前記差込口」を誤記したものと認めるものである。
また、補正後の「外部入力インターフェイスおよび外部入力インターフェイスが前記インターフェイスに同時に接続される」は、審判請求人が補正した【請求の理由】にあるように、明らかに「外部出力インターフェイスおよび外部入力インターフェイスが前記インターフェイスに同時に接続される」を誤記したものと認める。
したがって、誤記の点を改めると「前記端末機の前記差込口に前記携帯電話の内部電源回路に接続される外部電源を有しており前記携帯電話を前記差込口に差し込むことにより前記携帯電話に内蔵したバッテリを充電可能とし且つ差込口に備えた前記携帯電話機の外部出力インターフェイスおよび外部入力インターフェイスが前記外部電源の接続部が配置されており、携帯電話機を前記差込口に差し込むことにより前記携帯電話の携帯電話についての電源の充電と外部出力インターフェイスおよび外部入力インターフェイスが前記インターフェイスに同時に接続される」と補正するものであって、この補正は、補正前の「端末機」の「差込口」に関して、「バッテリを充電可能」とする構成を追加して限定し、特許請求の範囲を減縮するものである。

以上より、本件補正は、特許法第17条の2第3項(新規事項)及び特許法17条の2第5項(補正の目的)の規定に適合している。

そこで、補正後の請求項1に関し明らかな誤記を改めた、
「少なくとも送受信通信装置、CPU、メモリ、各種のソフトウェアーやデータを記憶する記憶装置、携帯内部入力装置、外部入力インターフェイス、携帯内部出力装置、外部出力インターフェイスを有する携帯電話機と、前記携帯電話機の外部入力インターフェイスを介して前記内部入力装置に入力信号を入力可能な他の機器に接続していない個別の外部入力装置と、前記携帯電話機の外部出力インターフェイスから出力される前記内部出力装置からの出力信号により駆動する他の機器を接続していないとともにスピーカを有する外部出力装置とを有することを特徴とする携帯電話機を用いたパーソナルコンピュータであって、
前記携帯電話機が端末器を介して前記外部入力装置および外部出力装置とに接続可能であるともに前記端末機には前記携帯電話機に形成された外部出力インターフェイスおよび外部入力接続インターフェイスを備えた差込端をそれぞれ接続するインターフェイスを備えた携帯電話機の差込口が形成されており、
前記差込口に携帯電話機を差し込むことにより前記携帯電話機の外部出力インターフェイスおよび外部入力接続インターフェイスと前記外部入力装置および外部出力装置が接続されて
前記入力装置に接続された前記入力装置により携帯内部入力装置から携帯電話機に入力された信号に基づいて前記携帯電話機が有する外部出力装置に送受信通信装置、CPU、メモリ、各種のソフトウェアーやデータを記憶する記憶装置の処理により前記携帯内部出力装置からの出力信号により前記外部出力装置を駆動するとともに、
前記端末機の前記差込口に前記携帯電話の内部電源回路に接続される外部電源を有しており前記携帯電話を前記差込口に差し込むことにより前記携帯電話に内蔵したバッテリを充電可能とし且つ差込口に備えた前記携帯電話機の外部出力インターフェイスおよび外部入力インターフェイスが前記外部電源の接続部が配置されており、携帯電話機を前記差込口に差し込むことにより前記携帯電話の携帯電話についての電源の充電と外部出力インターフェイスおよび外部入力インターフェイスが前記インターフェイスに同時に接続されることを特徴とする携帯電話機を用いたパーソナルコンピュータ。」の発明(以下、「補正後の発明」という。)について、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて検討する。

3.独立特許要件について

(1)補正後の発明
上記2.で、補正後の請求項1の明らかな誤記を改め、認定したとおりである。

(2)引用発明

原査定の拒絶の理由に引用された特開2007-329598号公報(以下、「引用例」という。)には、「コンピュータシステム、携帯電話機、入出力装置、入出力方法及びプログラム」に関し、図面とともに以下の記載がある。

イ.「【0007】
本発明は以上のような事情に鑑みなされたもので、その目的は、携帯電話に搭載されている高機能マイクロプロセッサと、入出力装置とを組み合わせて仮想的にパーソナルコンピュータの機能を実現することが可能なコンピュータシステム、携帯電話機、入出力装置、入出力方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するため、本発明の主たる観点に係るコンピュータシステムは、携帯電話機と入出力装置とからなるコンピュータシステムであって、前記携帯電話機は、マイクロプロセッサと、ユーザの操作による第1の入力信号を入力する第1のキーボードと、前記入力された第1の入力信号に基づいて前記マイクロプロセッサにより生成された第1の表示信号を表示する第1の表示部と、前記マイクロプロセッサと前記入出力装置とを接続する第1のインタフェース部と、前記第1のキーボードによる前記第1の入力信号の入力及び前記第1の表示部による前記第1の表示信号の表示を規制する規制信号を前記マイクロプロセッサへ入力する規制信号入力部とを有し、前記入出力装置は、前記マイクロプロセッサへ前記規制信号が入力された状態で、前記ユーザの操作による第2の入力信号を入力する第2のキーボードと、前記第2の入力信号に基づいて前記マイクロプロセッサで生成された第2の表示信号を表示するための第2の表示部と、前記第2の入力信号を前記第2のキーボードが前記マイクロプロセッサへ送信し、前記第2の表示信号を前記第2の表示部が前記マイクロプロセッサから受信するために前記第1のインタフェース部と接続する1または複数の第2のインタフェース部と、前記複数の第2のインタフェースを選択的に動作させるアドレス制御部と、前記複数の第2のインタフェースに共通に接続される共用記憶部とを有する。
【0009】
この構成により、第1のキーボード及び第1の表示部により携帯電話機のみで入出力を行うことが可能であるとともに、マイクロプロセッサに規制信号を入力することで、マイクロプロセッサにより入出力装置の第2のキーボード及び第2の表示部の動作を可能にして、携帯電話機と入出力装置とを仮想的な一のパーソナルコンピュータとして機能させることが可能となる。なお、ここで上記第2の表示部における「表示」とは、入出力装置自身が有する表示面に第2の表示信号を表示する場合のみならず、入出力装置とは別のスクリーンや他のディスプレイ装置の表示面へ第2の表示信号を表示する場合も含むものとする。また第1及び第2のインタフェース部は例えばネットワークカード等で構成される。
【0010】
上記コンピュータシステムにおいて、前記第1のキーボードは、第1の数のキーを有し、前記第1の表示部は、第1の表示領域面積を有し、前記第2のキーボードは、前記第1の数以上の第2の数のキーを有し、前記第2の表示部は、前記第1の表示領域面積以上の第2の表示領域面積を有するようにしてもよい。
【0011】
これにより、携帯電話機の第1のキーボードよりも操作性の高い第2のキーボードにより第2の入力信号を入力し、携帯電話機の第1の表示部よりも表示面積が大きく見やすい第2の表示部により第2の表示信号を表示して、入出力装置をPCのキーボードや表示部のように使用することができる。
【0012】
上記コンピュータシステムにおいて、前記携帯電話機は、ネットワークを介して無線通信を行う通信部を有し、前記マイクロプロセッサは、前記第2のキーボードからの前記第2の入力信号に基づいて前記通信部により前記無線通信を行い、当該無線通信の通信結果に基づいて前記第2の表示信号を前記第2の表示部へ表示させるよう制御しても構わない。」(6頁40行?7頁37行)

ロ.「【0051】
図3は、本実施形態における携帯電話1の構成を示したブロック図である。
同図に示すように、携帯電話1は、割込み制御部302、タイマ303、DMAC(Direct Memory Access Controller)304、CPU(Central Processing Unit)305よりなるマイクロプロセッサ301、アンテナ306、RF(Radio Frequency)信号処理部(以下、RF部と称する。)307、ベースバンドモデム308、切替制御部309、DSP(Digital Signal Processor)310、RAM311、ROM312、オーディオ制御部313、スピーカ314、マイク315、MPEG-4(Moving Picture Experts Group phase 4)制御部316、カメラ317、上記キーボード11及びLCD12、DMAバス320、プログラムIO(Input/Output)バス321、外部装置インタフェース14、電源323とで構成され、各部はインタフェースを介して接続されている。RAM311はマイクロプロセッサ301の処理中に一時記憶装置として使用される他、通信相手先(例えば各種サービスを提供するセンター側のWebサーバ)からダウンロードするか、または、例えばCDドライブ等の外部記憶装置から読み出したアプリケーションプログラムが記憶される。ROM312は、携帯電話1の動作に必要なBIOSと、入出力装置2に接続される周辺機器のデバイスドライバ、必要な初期設定値(デフォルト値)を供給する。電源323は携帯電話1の全ての機能に供給され動作させる。」(12頁37行?13頁3行)

ハ.「【0130】
図23は、表示部として液晶テレビを適用して入出力装置2を構成した例を示した図である。同図に示すように、入出力装置2は、キーボード21と液晶テレビ41とで構成される。携帯電話1とキーボード21とを外部装置インタフェース14と入出力インタフェース23とを介して接続し、また周辺機器インタフェース25を介してキーボード21と液晶テレビ41とを接続する。キーボード21からの入力信号を基に携帯電話1のマイクロプロセッサ301で生成された表示信号は、キーボード21を介して液晶テレビ41へ出力され、液晶テレビ41のLCD42へ表示される。
【0131】
これにより、家庭内のリビング等、液晶テレビが存在する場所に携帯電話1とキーボード21を携帯するだけで、仮想的なPCシステムを構築することが可能となる。」(23頁3行?13行)

上記引用例の記載及び図面並びにこの分野における技術常識を考慮すると、

上記イ.の【0007】には、引用例は「携帯電話に搭載されている高機能マイクロプロセッサと、入出力装置とを組み合わせて仮想的にパーソナルコンピュータの機能を実現することが可能なコンピュータシステム」に関するものであることが記載されている。

上記イ.の【0008】には、「コンピュータシステム」の「携帯電話機」が、「ユーザの操作による第1の入力信号を入力する第1のキーボードと、前記入力された第1の入力信号に基づいて前記マイクロプロセッサにより生成された第1の表示信号を表示する第1の表示部」を有すること、「入出力装置」が、「前記マイクロプロセッサへ規制信号が入力された状態で、前記ユーザの操作による第2の入力信号を入力する第2のキーボードと、前記第2の入力信号に基づいて前記マイクロプロセッサで生成された第2の表示信号を表示するための第2の表示部と、前記第2の入力信号を前記第2のキーボードが前記マイクロプロセッサへ送信し、前記第2の表示信号を前記第2の表示部が前記マイクロプロセッサから受信する」ことが記載されている。

上記イ.の【0009】には、「第1のキーボード及び第1の表示部により携帯電話機のみで入出力を行うことが可能である」ことが記載されている。

上記イ.の【0012】には、「携帯電話機」は「無線通信を行う通信部」を有しており、「前記マイクロプロセッサは、前記第2のキーボードからの前記第2の入力信号に基づいて前記通信部により前記無線通信を行い、当該無線通信の通信結果に基づいて前記第2の表示信号を前記第2の表示部へ表示させるよう制御する」ことが記載されている。

上記ロ.及び図3には、「携帯電話機」は、「CPUよりなるマイクロプロセッサ」、「RAM」、「ROM」、等により構成されること、「入出力装置」に接続される「外部装置インタフェース」を有することが記載されている。

上記ハ.には、「入出力装置」が、キーボードと「液晶テレビ」とで構成されることについて示され、上記イ.によれば、「入出力装置」のキーボードは、「第2のキーボード」であり、また、「液晶テレビ」は、「第2の表示部としての液晶テレビ」であるものといえる。

以上を総合すれば、上記引用例には、

「携帯電話機に搭載されている高機能マイクロプロセッサと、入出力装置とを組み合わせて仮想的にパーソナルコンピュータの機能を実現することが可能なコンピュータシステムであって、
前記携帯電話機は、無線通信を行う通信部、CPUよりなるマイクロプロセッサ、RAM、ROMと、ユーザの操作による第1の入力信号を入力する第1のキーボードと、前記入力された第1の入力信号に基づいて前記マイクロプロセッサにより生成された第1の表示信号を表示する第1の表示部と、前記マイクロプロセッサと前記入出力装置とを接続する外部装置インタフェースを有し、
前記入出力装置は、前記マイクロプロセッサへ規制信号が入力された状態で、前記ユーザの操作による第2の入力信号を入力する第2のキーボードと、前記第2の入力信号に基づいて前記マイクロプロセッサで生成された第2の表示信号を表示するための第2の表示部と、前記第2の入力信号を前記第2のキーボードが前記マイクロプロセッサへ送信し、前記第2の表示信号を前記第2の表示部が前記マイクロプロセッサから受信するものであり、
第1のキーボード及び第1の表示部により携帯電話機のみで入出力を行うことが可能であるとともに、前記マイクロプロセッサは、前記第2のキーボードからの前記第2の入力信号に基づいて前記通信部により前記無線通信を行い、当該無線通信の通信結果に基づいて前記第2の表示信号を前記第2の表示部へ表示させるよう制御することが可能であり、
さらに、入出力装置は、第2のキーボードと第2のキーボードに接続される第2の表示部としての液晶テレビとで構成されることが可能なコンピュータシステム。」の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されている。

(3)対比判断

引用発明と補正後の発明とを対比する。

補正後の発明の「携帯電話機」は、前記携帯電話機が外部入力装置および外部出力装置とに接続されることにより「パーソナルコンピュータ」を構成するものである。
一方、引用発明の「携帯電話機」は、「入出力装置」と組み合わせて仮想的にパーソナルコンピュータの機能を実現するものであり、引用発明の「入出力装置」は、携帯電話機の「外部」の「装置」ということができるから、引用発明の「携帯電話機」と、補正後の発明の「携帯電話機」とは、「外部」の「装置」と接続されることにより、「パーソナルコンピュータ」を構成する点において共通する。
そして、引用発明の「携帯電話機」は、「第1のキーボード」及び「第1の表示部」により携帯電話機のみで入出力を行うことが可能であるから、「第1のキーボード」及び「第1の表示部」を、「携帯内部」の「入力装置」及び「携帯内部」の「出力装置」として有するものといえる。
また、引用発明の「携帯電話機」が有する、「通信部」,「CPU」,「RAM」,「ROM」は、技術常識から見て、それぞれ補正後の発明の「携帯電話機」における「送受信通信装置」,「CPU」,「メモリ」,「各種のソフトウェアーやデータを記憶する記憶装置」に相当する。

引用発明の携帯電話機が有する「外部装置インタフェース」は、「外部」の「装置」との通信を行う「インタフェース」であり、引用発明の携帯電話機が有する「インタフェース」と、補正後の発明の携帯電話機が有する「外部入力インターフェイス」もしくは「外部入力接続インターフェイス」また「外部出力インターフェイス」とは、「外部」の「装置」と通信を行う「インターフェイス」である点において共通する。

引用発明の「第2のキーボード」は、「インターフェイス」を介して携帯電話機に「入力信号」を「入力可能」なものである点において、補正後の発明の「外部入力装置」と共通する。

引用発明の「液晶テレビ」は、携帯電話機で生成され、「インターフェイスから出力された出力信号」を表示するものである点において、補正後の発明の「外部出力装置」と共通する。

引用発明の「無線通信の通信結果に基づいて前記第2の表示信号を前記第2の表示部へ表示させる」「制御」は、携帯電話機のマイクロプロセッサを用いて行う制御であるから、携帯電話機が有する、CPU、メモリ、記憶装置等の構成を用いて「処理」を行うものといえ、補正後の発明の「外部出力装置を駆動する」ための「送受信通信装置、CPU、メモリ、各種のソフトウェアーやデータを記憶する記憶装置の処理」に相当する。

したがって、本願補正後の発明と引用発明とは、

(一致点)

「少なくとも送受信通信装置、CPU、メモリ、各種のソフトウェアーやデータを記憶する記憶装置、携帯内部入力装置、携帯内部出力装置、インターフェイスを有する携帯電話機と、
前記携帯電話機のインターフェイスを介して入力信号を入力可能な外部入力装置と、
前記携帯電話機のインターフェイスから出力される出力信号により駆動する外部出力装置と
を有することを特徴とする携帯電話機を用いたパーソナルコンピュータであって、
前記携帯電話機のインターフェイスと前記外部入力装置および外部出力装置が接続されて
携帯電話機に入力された信号に基づいて前記携帯電話機が有する外部出力装置に送受信通信装置、CPU、メモリ、各種のソフトウェアーやデータを記憶する記憶装置の処理により前記携帯内部出力装置からの出力信号により前記外部出力装置を駆動する、
携帯電話機を用いたパーソナルコンピュータ。」

で一致し、相違点は次のとおりである。

(相違点)

(相違点1)
補正後の発明は、携帯電話機に、外部入力装置に接続される「外部入力インターフェイス」、外部出力装置に接続される「外部出力インターフェイス」を有し、「前記携帯電話機が端末器を介して前記外部入力装置および外部出力装置とに接続可能であるともに前記端末機には前記携帯電話機に形成された外部出力インターフェイスおよび外部入力接続インターフェイスを備えた差込端をそれぞれ接続するインターフェイスを備えた携帯電話機の差込口が形成されており、前記差込口に携帯電話機を差し込むことにより前記携帯電話機の外部出力インターフェイスおよび外部入力接続インターフェイス」と、「他の機器に接続していない」個別の外部入力装置と「他の機器を接続していない」外部出力装置とが接続されるのに対し、引用発明の「携帯電話機」は、入出力装置を接続する「外部装置インタフェース」を有するものであって、「外部装置インタフェース」には「第2のキーボード」が接続され、「第2のキーボード」を介して「液晶テレビ」が接続されるものである点。

(相違点2)
補正後の発明は、「内部入力装置に入力信号を入力可能な」「外部入力装置」を有するものであり、「信号」を「前記入力装置に接続された前記入力装置により携帯内部入力装置から携帯電話機に入力」するのに対し、引用発明の「第2のキーボード」は、マイクロプロセッサへ規制信号が入力された状態で、入力信号をマイクロプロセッサへ送信するものである点。

(相違点3)
補正後の発明は、「携帯内部出力装置からの出力信号により駆動する」「スピーカを有する外部出力装置」であるのに対し、引用発明は「液晶テレビ」であって、スピーカを有することは自明であるものの、スピーカが「携帯内部出力装置からの出力信号により駆動」されることについて明らかでない点。

(相違点4)
補正後の発明は、「端末機の前記接続口に前記携帯電話の内部電源回路に接続される外部電源を有しており前記携帯電話を前記差込口に差し込むことにより前記携帯電話に内蔵したバッテリを充電可能とし且つ差込口に備えた前記携帯電話機の外部出力インターフェイスおよび外部入力インターフェイスが前記外部電源の接続部が配置されており、携帯電話機を前記差込口に差し込むことにより前記携帯電話の携帯電話についての電源の充電と外部入力インターフェイスおよび外部入力インターフェイスが前記インターフェイスに同時に接続される」構成を備えるものであるのに対し、引用発明は、充電に関する構成は明らかでなく、外部の機器の接続と、充電に関する接続とが、同時に行われることについて明らかでない点。

(4)判断

相違点について検討する。
(相違点1)について
携帯が可能な小型の装置が内部に有する入出力手段の機能を拡張するために、それぞれが独立した(「他の機器に接続していない」)入力装置及び出力装置を携帯が可能な小型の装置にそれぞれ接続することは一般的な技術である。
そして、それぞれが独立した入力装置及び出力装置を一括して携帯が可能な小型の装置に接続するために、補正後の発明の「端末機」のごとく、入力装置及び出力装置を接続する機体を設けること、また、補正後の発明の「差込口」,「差込端」のごとく、各装置用の端子を一括して接続する接続手段を設けることは周知の技術である。(例えば、特開2001-352373号公報の【0012】,図1,2,特開2007-171586号公報の【0019】,図1,4を参照。)
引用発明において、外部の入力装置及び出力装置を携帯電話機に接続する際に、上記周知例のごとく「他の機器に接続していない個別の外部入力装置」及び「他の機器を接続していない外部出力装置」をそれぞれ接続する機体を介して、一括した接続を行うものとすることは、当業者が容易に想到し得たものであり、その際、このような機体を「端末機」と称すること、また、携帯電話機からそれぞれの外部装置に対する信号の入出力手段を「外部入力インターフェイス」、及び「外部出力インターフェイス」と称すること、そして、携帯電話機と端末機の接続手段をそれぞれ、「差込端」,「差込口」と称することは任意のものである。

(相違点2)について
補正後の発明の「内部入力装置に入力信号を入力可能」とし、「信号」を「前記入力装置に接続された前記入力装置により携帯内部入力装置から携帯電話機に入力」することは、明細書の【0011】を参照すると、「外部入力装置からの入力信号が内部入力装置から入力されたものとして携帯電話のCPUに送られて処理される」ことを意味するものである。
一方、「マイクロプロセッサへ規制信号が入力された状態で入力信号をマイクロプロセッサへ送信する」ものである引用発明は、内部入力装置に相当する第1のキーボードと、外部入力装置に相当する第2のキーボードからの入力信号を、規制信号の入力により、携帯電話機単体での動作における入力信号と、パーソナルコンピュータとしての動作における入力信号とに切り換えてマイクロプロセッサ(CPU)へ送信するものである。
補正後の発明のごとく、「内部入力装置に入力信号を入力可能」として、「信号」を「前記入力装置に接続された前記入力装置により携帯内部入力装置から携帯電話機に入力」することは、外部入力装置からの入力信号と内部入力装置からの入力信号とを区別することなく携帯電話のCPUに送り処理するものといえるが、外部入力装置からの入力信号と内部入力装置からの入力信号とを区別することなく扱うことは、携帯電話機単体での動作における入力信号と、パーソナルコンピュータとしての動作における入力信号とを区別することなく扱うにすぎないから、引用発明において適宜なし得る程度のことである。
そして、その他に「内部入力装置に入力信号を入力可能」として、「信号」を「前記入力装置に接続された前記入力装置により携帯内部入力装置から携帯電話機に入力」することが、引用発明と比較して有利な作用・効果を奏するものでもなく、引用発明と比較して、何ら格別のものではない。

(相違点3)について
スピーカを有する外部出力手段に対し、携帯電話機のCPUから音声を含む出力信号を与えることは、例えば、上記の特開2001-352373号公報に記載されるように周知の技術であり、引用発明の「液晶テレビ」が自明の構成として有する「スピーカ」を、携帯電話機のCPUの処理により出力された信号である「携帯内部出力装置からの出力信号」により「駆動」することは、適宜なし得るものである。

(相違点4)について
外部機器の接続時に信号の接続と共に電源を供給することは一般的な技術であるから、引用発明において、入出力装置の接続と共に電源を供給することは容易になし得るものである。
そして、機器の接続口に外部電源の接続部を設け、機器の接続と電源の接続を同時に行うことも周知の技術(例えば、上記の特開2001-352373号公報,特開2007-171586号公報を参照。)であり、(相違点1)で検討した手段を設ける際に、電源を同時に接続する構成を採用することに格別の困難はない。

そして、補正後の発明の作用効果も引用発明及び周知の技術から当業者が予測し得る範囲のものである。

したがって、補正後の発明は、引用発明及び周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4.結語

本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
1.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願発明は、上記「第2.補正却下の決定」の「1.本願発明と補正後の発明」の項で「本願発明」として認定したとおりである。

2.引用発明
引用発明は、上記「第2.補正却下の決定」の項中の「(2)引用発明」及び「(3)対比」の項で認定したとおりである。

3.判断
本願発明は上記補正後の発明から、当該補正に係る構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成に当該補正に係る限定を付加した補正後の発明が、上記「第2.補正却下の決定」の項中の「3.独立特許要件について」の項で検討したとおり、引用発明及び周知の技術に基いて容易に発明をすることができたものであるから、上記補正後の発明から当該補正に係る限定を省いた本願発明も、同様の理由により、容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-11-15 
結審通知日 2013-11-18 
審決日 2013-11-29 
出願番号 特願2008-306688(P2008-306688)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H04M)
P 1 8・ 121- Z (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 角張 亜希子  
特許庁審判長 田中 庸介
特許庁審判官 矢島 伸一
山澤 宏
発明の名称 携帯電話機を用いたパーソナルコンピュータ  
代理人 橋本 京子  
代理人 橋本 克彦  
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