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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A01C
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A01C
管理番号 1283572
審判番号 不服2012-13153  
総通号数 171 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-03-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-07-10 
確定日 2014-01-06 
事件の表示 特願2009-298313「乗用田植機のエンジン制御構造」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 4月30日出願公開、特開2010- 94134〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成16年9月29日に出願した特願2004-284186号の一部を平成21年12月28日に新たな特許出願としたものであって、平成24年4月17日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年7月10日に拒絶査定不服審判請求がなされると同時に手続補正がなされ、当審において、平成25年1月30日付けで審尋が通知され、同年3月22日に回答書が提出されたものである。


第2 平成24年7月10日付け手続補正の却下の決定

〔補正の却下の決定の結論〕
平成24年7月10日付け手続補正を却下する。

〔理由〕
1 本件補正の内容
(1)平成24年7月10日付け手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲及び発明の詳細な説明についてするものであって、特許請求の範囲については、本件補正前の請求項1に、
「前後進操作可能な主変速装置と変速レバーとを備え、走行機体に苗植付け装置を昇降自在に連結した乗用田植機のエンジン制御構造において、
前進変速操作経路と、後進変速操作経路と、前記前進変速操作経路及び前記後進変速操作経路を接続するもので中立位置が設けられた接続経路とを備えて、
前記変速レバーが前記中立位置に操作されると前記主変速装置が中立位置に操作され且つエンジン回転数がアイドリング回転数となるようにエンジンの調速機構が操作され、前記変速レバーが前記前進変速操作経路に操作されると前記主変速装置が前進域で変速操作され、前記変速レバーが前記後進変速操作経路に操作されると前記主変速装置が後進域で変速操作されるように構成し、
前記接続経路にエンジン停止位置を接続して、前記変速レバーが前記エンジン停止位置に操作されるとエンジンを停止させるエンジン停止回路を備え、
キースイッチがON位置に操作され、かつ、前記エンジンが停止している状態で、前記変速レバーが前記エンジン停止位置から離し操作されると、前記エンジンの始動が行われるように構成してある乗用田植機のエンジン制御構造。」とあったものを、
「前後進操作可能な主変速装置と変速レバーとを備え、走行機体に苗植付け装置を昇降自在に連結した乗用田植機のエンジン制御構造において、
前進変速操作経路と、後進変速操作経路と、前記前進変速操作経路及び前記後進変速操作経路を接続するもので中立位置が設けられた接続経路とを備えて、
前記変速レバーが前記中立位置に操作されると前記主変速装置が中立位置に操作され且つエンジン回転数がアイドリング回転数となるようにエンジンの調速機構が操作され、前記変速レバーが前記前進変速操作経路に操作されると前記主変速装置が前進域で変速操作され、前記変速レバーが前記後進変速操作経路に操作されると前記主変速装置が後進域で変速操作されるように構成し、
前記接続経路にエンジン停止位置を接続して、前記変速レバーが前記エンジン停止位置に操作されるとエンジンを停止させるエンジン停止回路を備え、
キースイッチがON位置に操作され、かつ、前記エンジンが停止している状態で、前記変速レバーが前記エンジン停止位置から前記中立位置に操作されると、前記エンジンの始動が行われるように構成してある乗用田植機のエンジン制御構造。」と補正するものである。

(2)本件補正後の請求項1に係る上記(1)の補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「前記エンジンの始動が行われる」条件として、「前記変速レバーが前記エンジン停止位置から離し操作される」ことから「前記変速レバーが前記エンジン停止位置から前記中立位置に操作される」ことに限定するものである。

2 補正の目的
本件補正後の請求項1に係る本件補正は、上記1(2)のとおり、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項を限定するものであるから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下検討する。

3 刊行物
(1)原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2004-114848号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は審決で付した。以下同様。)

ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、前後進切り換え自在な変速装置の変速に連動してエンジンのエンジン回転数を変更するようにしてある田植機などの移植機に関する。」

イ 「【0033】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕
移植機の一例である田植機は、図1に示すように、乗用型の自走機体1の後部に複数条植え式の苗植付け装置2をリンク機構3を介して昇降自在に連結し、圧油供給に伴い前記苗植付け装置2を重量に抗して上昇させかつ排油に伴い苗植付け装置2を重量で下降させる油圧シリンダ4を設けて構成されている。
【0034】
前記自走機体1は、左右一対の操向用の駆動前輪5と左右一対の駆動後輪6とを備えた機体フレーム7の前部にエンジン8とステアリングハンドル9とを配設支持させ、前記機体フレーム7の後部に運転座席10を配置支持させ、前輪フェンダーを兼用する搭乗ステップ11と後輪フェンダー12とを機体フレーム7に支持させて構成されている。
【0035】
前記苗植付け装置2は、走行に伴い滑走することにより圃場を整地する接地フロート13と、複数の苗を左右方向に並べ載置した状態で左右方向に設定ストロークで往復移動する苗のせ台14と、この苗のせ台14の移動に連動して苗のせ台14からの苗取り出し口と整地された圃場面との間で上下に循環作動することにより苗のせ台14から植付け単位量の苗を取り出して整地圃場面に植え付ける苗植付け機構15とを備えている。
【0036】
また、田植機は、植付けに伴って圃場に肥料を施す施肥装置を備えている。
前記施肥装置は、前記自走機体1に、肥料ホッパー16とこれから繰り出された肥料を移送するための気流を発生する電動駆動式のブロワ-17とを搭載し、前記苗植付け装置2に、走行に伴い圃場に施肥用の溝を形成するとともに自走機体1からホース18内を気流搬送されてくる肥料を前記溝に供給する作溝器19を取り付けて構成されている。
【0037】
前記機体フレーム7は、前記エンジン8によりベルト伝動装置20を介して駆動される前後進切り換え自在な静油圧式の無段変速装置21からの出力を走行部(駆動前輪5及び駆動後輪6)と前記苗植付け装置2に振り分けるミッションケース22を設け、このミッションケース22の前部に前記エンジン8を搭載する前フレーム23を連結し、ミッションケース22の後部に前記運転座席10などを搭載支持する後フレーム24を連結して構成されている。
【0038】
前記無段変速装置21に対する操作レバー、つまり、変速レバー25は、図2に示すように、左右向き軸芯x周りに前後揺動自在に固定部に取り付けたデテント板26に前記左右向き軸芯xに直交する軸芯y周りに左右揺動自在に取り付けられていて、前記デテント板26と無段変速装置21のトラニオン軸27とを連係機構28を介して連動させることにより、変速レバー25の左右向き軸芯x周りでのデテント板26との一体前後揺動で無段変速装置21を変速操作するように構成され、また、図3に示すように、変速の中立位置Nに位置する状態での軸芯y周りでの左右揺動により前進操作案内溝F内と後進操作案内溝R内とに選択位置するようになっている。なお、変速レバー25は前進側に揺動付勢されている。
【0039】
前記デテント板26には、変速レバー25が前進5段の各位置F1,F2,F3,F4,F5、中立位置N、後進3段の各位置R1,R2,R3に位置するときに固定部に形成の突部29を弾性的に係合させることにより、変速レバー25の変速操作動は許容する状態で前記の各位置に保持する凹部30が周方向に間隔を隔てて形成されている。なお、前記突部29は板バネ29aで係合方向に作動付勢される状態で固定部に取り付けられている。
【0040】
そして、田植機は、油圧式のパワーステアリング31と、前記無段変速装置21が後進操作されたとき前記苗植付け装置2を作動停止状態で上昇させるバックアップ手段と、前記エンジン8のエンジン回転数を調整する調速装置32を前記無段変速装置21の変速状態に基づいて操作する調速手段とを有する。
【0041】
前記パワーステアリング31は、図3に示すように、前記エンジン8により駆動されてエンジン回転数が増大すればするほど圧油供給量を増大させる油圧ポンプ33と、これからの圧油で作動してステアリング軸駆動トルクを発生させるトルクジェネレータ34とからなり、前記油圧ポンプ33は、前記昇降用の油圧シリンダ4に対する油圧ポンプを兼用している。
【0042】
前記バックアップ手段は、図3に示すように、前記変速レバー25が後進操作案内溝Rに位置するときこの変速レバー25で押圧されて揺動する感知レバー35を設け、この感知レバー35が感知揺動したことを検出する後進センサ36を設け、前記苗植付け装置2への伝動系に介装した電気駆動式の植付けクラッチ37を後進センサ36の後進検出に基づいて切り作動させるとともに前記油圧シリンダ4に対する電動式の昇降制御バルブ38を後進センサ36の後進検出に基づいて上昇位置に作動させるバックアップ制御手段39を設けて構成されている。
【0043】
前記調速手段は、図3に示すように、前記デテント板26の左右向き軸芯x周りでの揺動姿勢をもって無段変速装置21の変速状態を検出するポテンショメータ利用の変速センサ40を設け、この変速センサ40及び前記後進センサ36の検出結果に基づいて前記調速装置32を制御する調速制御手段41を設けて構成されている。なお、中立位置Nのうち前進操作案内溝Fにの中立位置を前進側中立位置Nfと称し、後進操作案内溝Rの中立位置を後進側中立位置Nrと称する。
【0044】
前記調速制御手段41の制御内容は次の〈1〉?〈10〉(図4参照。)である。
〈1〉変速センサ40で中立位置Nが検出されかつ後進センサ36で後進が検出されていないとき、つまり、無段変速装置21が前進側中立位置Nfにあるとき、エンジン回転数がアイドリングniとなるように調速装置32を制御する。
〈2〉変速センサ40で中立位置Nから前進第1速段F1への切り換えが検出されたとき、エンジン回転数が前記アイドリングniよりも高い第1設定回転数n1(前進1速回転数nf1)にまで可逆的かつ自動的に増加させるように調速装置32を制御する。
〈3〉変速センサ40で前進2速段F2が検出されたとき、エンジン回転数が前記前進1速回転数nf1よりも高い前進2速回転数nf2になるように調速装置32を制御する。
〈4〉変速センサ40で前進3速段F3が検出されたとき、エンジン回転数が前記前進2速回転数nf2よりも高い前進3速回転数nf3になるように調速装置32を制御する。
〈5〉変速センサ40で前進4速段F4が検出されたとき、エンジン回転数が前記前進3速回転数nf3よりも高い前進4速回転数nf4になるように調速装置32を制御する。
〈6〉変速センサ40で前進5速段F5が検出されたとき、エンジン回転数が前記前進4速回転数nf4よりも高い前進5速回転数nf5になるように調速装置32を制御する。
〈7〉変速センサ40で中立位置Nが検出されかつ後進センサ36で後進が検出されたとき、つまり、無段変速装置21が後進側中立位置Nrにあるとき、エンジン回転数がアイドリングniよりも高い第2設定回転数n2になるように調速装置32を制御する。
〈8〉変速センサ40で後進1速段R1が検出されたとき、エンジン回転数が前記第2設定回転数n2(後進1速回転数nr1)になるように調速装置32を制御する。
〈9〉変速センサ40で後進2速段R2が検出されたとき、エンジン回転数が前記後進1速回転数nr1よりも高い後進2速回転数nr2になるように調速装置32を制御する。
〈10〉変速センサ40で後進3速段R3が検出されたとき、エンジン回転数が前記後進2速回転数nr2よりも高い後進3速回転数nr3となるように調速装置32を制御する。
【0045】
前記後進3速回転数nr3、つまり、後進時の最大エンジン回転数Rmaxは、前進5速回転数nf5、つまり、前進時の最大エンジン回転数Fmaxよりも低く設定されている。
【0046】
また、前進第1速回転数nf1、前進第2速回転数nf2、後進第1速回転数nr1、後進第2速回転数nr2は、エンジン最大回転数の60?80%に設定されている。
【0047】
なお、前記バックアップ制御手段39、調速制御手段41はマイクロプロセッサ利用の制御装置Cに組み込まれている。」

ウ 上記アないしイからみて、刊行物1には、
「乗用型の自走機体1の後部に複数条植え式の苗植付け装置2をリンク機構3を介して昇降自在に連結した田植機において、
前記自走機体1は、左右一対の操向用の駆動前輪5と左右一対の駆動後輪6とを備えた機体フレーム7の前部にエンジン8を配設支持させて構成され、
前記機体フレーム7は、前記エンジン8によりベルト伝動装置20を介して駆動される前後進切り換え自在な静油圧式の無段変速装置21からの出力を走行部(駆動前輪5及び駆動後輪6)と前記苗植付け装置2に振り分けるミッションケース22を設け、このミッションケース22の前部に前記エンジン8を搭載する前フレーム23を連結し、ミッションケース22の後部に後フレーム24を連結して構成されており、
前記無段変速装置21を変速操作する変速レバー25は、前進5段の各位置F1,F2,F3,F4,F5、中立位置N、後進3段の各位置R1,R2,R3に位置するもので、変速の中立位置Nに位置する状態で前進操作案内溝F内と後進操作案内溝R内とに選択位置するようになっており、後進操作案内溝Rの中立位置を後進側中立位置Nrと称して、変速レバー25は前進側に揺動付勢されており、
そして、田植機は、前記無段変速装置21が後進操作されたとき前記苗植付け装置2を作動停止状態で上昇させるバックアップ手段と、前記エンジン8のエンジン回転数を調整する調速装置32を前記無段変速装置21の変速状態に基づいて操作する調速手段とを有し、
前記バックアップ手段は、前記変速レバー25が後進操作案内溝Rに位置するときこの変速レバー25で押圧されて揺動する感知レバー35を設け、この感知レバー35が感知揺動したことを検出する後進センサ36を設け、 前記調速手段は、無段変速装置21の変速状態を検出するポテンショメータ利用の変速センサ40を設け、この変速センサ40及び前記後進センサ36の検出結果に基づいて前記調速装置32を制御する調速制御手段41を設けて構成されており、
前記調速制御手段41の制御内容は次の〈1〉?〈10〉である、前後進切り換え自在な変速装置の変速に連動してエンジンのエンジン回転数を変更するようにしてある田植機。
〈1〉変速センサ40で中立位置Nが検出されかつ後進センサ36で後進が検出されていないとき、つまり、無段変速装置21が前進側中立位置Nfにあるとき、エンジン回転数がアイドリングniとなるように調速装置32を制御する。
〈2〉変速センサ40で中立位置Nから前進第1速段F1への切り換えが検出されたとき、エンジン回転数が前記アイドリングniよりも高い第1設定回転数n1(前進1速回転数nf1)にまで可逆的かつ自動的に増加させるように調速装置32を制御する。
〈3〉変速センサ40で前進2速段F2が検出されたとき、エンジン回転数が前記前進1速回転数nf1よりも高い前進2速回転数nf2になるように調速装置32を制御する。
〈4〉変速センサ40で前進3速段F3が検出されたとき、エンジン回転数が前記前進2速回転数nf2よりも高い前進3速回転数nf3になるように調速装置32を制御する。
〈5〉変速センサ40で前進4速段F4が検出されたとき、エンジン回転数が前記前進3速回転数nf3よりも高い前進4速回転数nf4になるように調速装置32を制御する。
〈6〉変速センサ40で前進5速段F5が検出されたとき、エンジン回転数が前記前進4速回転数nf4よりも高い前進5速回転数nf5になるように調速装置32を制御する
〈7〉変速センサ40で中立位置Nが検出されかつ後進センサ36で後進が検出されたとき、つまり、無段変速装置21が後進側中立位置Nrにあるとき、エンジン回転数がアイドリングniよりも高い第2設定回転数n2になるように調速装置32を制御する。
〈8〉変速センサ40で後進1速段R1が検出されたとき、エンジン回転数が前記第2設定回転数n2(後進1速回転数nr1)になるように調速装置32を制御する。
〈9〉変速センサ40で後進2速段R2が検出されたとき、エンジン回転数が前記後進1速回転数nr1よりも高い後進2速回転数nr2になるように調速装置32を制御する。
〈10〉変速センサ40で後進3速段R3が検出されたとき、エンジン回転数が前記後進2速回転数nr2よりも高い後進3速回転数nr3となるように調速装置32を制御する。」の発明(以下「刊行物発明」という。)が記載されているものと認める。

(2)原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2002-127776号公報(以下「刊行物2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、乗用型走行車体に作業装置を装備した乗用型作業機に関し、車速を変速する変速レバーが不用意に誤操作されることを防止するもので、乗用型苗植機や、乗用型播種機、乗用型管理作業機、またはコンバイン等に利用できる。」

イ 「【0007】
【発明の実施の形態】この発明の一実施例として、乗用型作業機の一種である乗用型田植機を図面に基づき詳細に説明する。この実施例に示す乗用型田植機は、乗用型走行車体9の後部に苗植作業装置3を昇降自在に装着して構成されており、この苗植作業装置3が乗用型走行車体側9からの動力伝動によって苗植付け作業をする構成となっている。
【0008】乗用型走行車体9の走行は、エンジン10の駆動によってHST(油圧無段変速装置)11の主変速装置や、ミッションケース12内の副変速装置等を経て左右駆動前車輪13、左右駆動後車輪14を駆動回転させて走行できる構成としている。また、苗植作業装置3の昇降は、乗用型走行車体9の後側に昇降リンク15を介して苗植作業装置3を連結し、リフトシリンダ16の伸縮によって昇降させて、非作業位置に上昇したり、対地作業位置に下降することができる。また、苗植作業装置3の伝動は、前記エンジン10からPTO軸17を介して行われ、このPTO軸17の伝動を入切するPTOクラッチ18を介して行われる。
【0009】HST11は、運転席19の右側に設けられる変速レバー1によって変速操作される。この変速レバー1を中立位置に操作したときは、走行伝動停止状態として、変速レバー1を前側へ操作することによって前進高速状態とし、中立位置から後側へ操作することによって後進高速状態として、変速レバー1の傾斜角度に応じて前、後進速度を増減速することができる。
【0010】また、副変速レバー20は、ステアリングハンドル21下方の前部カバー22の左側上部に設けられている。前記リフトシリンダ16を伸縮する油圧回路の昇降制御弁23と、PTOクラッチ18とが、アクチュエータ(ステッピングモータ)24によって、操作駆動機構25を介して切り換え操作される。このアクチュエータ24は、前記変速レバー1のグリップ部2に配置の昇降スイッチ4や作業スイッチ5等のON,OFF操作によってコントローラ26からの出力によって作動される。」

ウ 「【0033】ここで、HST11を操作する変速レバー1の構成について説明する。変速レバー1の基部は車体に設けた枢支軸70に回動自在に支持されており、そのレバー中途部には変速操作方向と直行する方向にレバーを動かせる為の一般的な回動部71が設けられている。また、変速レバー1の基部にはレバーと一体のアーム72が設けられており、そのアーム72の先端にはボルトを挿通できる孔73が形成されている。そして、車体に固定の案内体74に形成された案内溝75とこの孔73とにボルト76を挿通して皿バネ77を介してナットで締めて、アーム72と案内体74とを摺動抵抗を付与した状態で係合している。従って、変速レバー1は、変速操作の所定位置で止まる構成となっている。尚、変速レバー1のアーム72とHST11の変速操作用のトラニオンアーム78との間は連結操作部材79にて連結されており、変速レバー1にてHST11を操作して走行伝動停止状態・前進状態・後進状態として、変速レバー1の操作量に応じて前後進速度を増減速することができる。
【0034】80は変速レバー1のレバーガイドであって、変速レバー1を変速操作方向に案内する案内溝81が形成されている。82はロックレバーであって、基部がレバーガイド80に回動自在に枢支されており、基部側に揺動アーム83が固着されている。そして、揺動アーム83の先端部には下方に向けてピン体84が設けられており、このピン体84はレバーガイド80に形成された円弧状のガイド溝85を挿通して下方に伸び、その下端部とレバーガイド80に固着されたピン体86との間には引張バネ86が設けられている。然して、図9乃至図11に示すように、ロックレバー82はそのピン体84がガイド溝85の両端位置で引張バネ86に引っ張られて係止される構成となっている。」

エ 「【0040】図16乃至図17は変速レバー1にてエンジン10の停止が行なえるようにした例を示し、レバーガイド80にエンジン停止アーム110を軸101にて回動自在に支持し、図に示すように、その先端部をY字状に形成して案内溝81の中立位置に臨ませている。そして、エンジン停止アーム110の後端部がエンジン停止スイッチ111を押し操作できる構成としている。103は引張バネであって、基端がレバーガイド80に固設された支持体104とエンジン停止アーム110に固定されたピン105との間に設けられており、図16の状態と図17の状態とに回動して止まるように回動ストッパー106・106がレバーガイド80に設けられている。然して、変速レバー1を中立位置にして案内溝81の81a部に操作すると、エンジン停止アーム110は図16の状態から図17の回動した状態となって、エンジン停止アーム110の後端部がエンジン停止スイッチ111を押し操作しエンジン10は停止する。再び、前進若しくは後進する場合には、変速レバー1を案内溝81の81a部から出すので、エンジン停止アーム110は図17の状態から図16のもとの状態となって、エンジン10は始動できる状態となる。このように、変速レバー1にて機体の停止・前進・後進操作とエンジン10の停止操作とができるから、作業者は、機体停止時にエンジン10を止めたい場合にわざわざエンジンスイッチ50を操作する必要がなく、容易にエンジン停止を行なえるものである。然も、機体停止時にエンジン10を止めておけば、不用意な機体の発進等の恐れは一切なくて、安全である。
【0041】最後に、エンジン10の駆動力を入り切りする主クラッチを操作する主クラッチ操作ペダル120をステアリングハンドル21下方の左側に配置し、その主クラッチ操作ペダル120を踏み込み操作して主クラッチを切った状態でONになる主クラッチセンサ121を設け、この主クラッチセンサ121のONにてエンジン10の始動がエンジンスイッチ50にて可能となる構成としている。そして、図18乃至図19に示す例は、この主クラッチ操作ペダル120のペダル部120aを軸120b回りに回動自在としてペダル部120a上端底面部に接点スイッチを兼用した係止フック121aを設け、一方、ステップ面より上方に向けて設けた支持体122に接点スイッチを兼用した係止ピン121bを設けている。尚、ペダル部120aは起立方向にバネにて付勢されており、作業者が単に主クラッチ操作ペダル120を踏み込み操作するのみでは、係止フック121aは係止ピン121bに係合しない構成となっている。
【0042】然して、作業者が主クラッチ操作ペダル120を踏み込み操作するのみでは、主クラッチが切れて、主クラッチセンサ121がONになるだけであるが、作業者が主クラッチ操作ペダル120を踏み込み操作して意識的にペダル部120aを回動操作するとペダル部120aの係止フック121aが係止ピン121bに係合して主クラッチ操作ペダル120は切り状態を維持する。そして、接点スイッチを兼用した係止フック121aと係止ピン121bとが接当するので、接点スイッチはONとなり、この接点スイッチONによりコントローラ26にてエンジン10は停止される。
【0043】次に、作業を再開すべく、作業者が意識的にペダル部120aを回動操作してペダル部120aの係止フック121aを係止ピン121bから外すと、接点スイッチを兼用した係止フック121aと係止ピン121bとが離れるので、接点スイッチはOFFとなり、この接点スイッチOFFによりコントローラ26にてエンジン10は始動される。その後、作業者が足を上げて主クラッチ操作ペダル120の踏み込みを止めると、主クラッチは入り作業は再開される。このように、主クラッチ操作ペダル120にて主クラッチ入り切り操作による機体の停止・進行操作とエンジン10の停止・始動操作とができるから、作業者は、機体停止時にエンジン10を止めたい場合にわざわざエンジンスイッチ50を操作する必要がなく、容易にエンジン停止を行なえるものである。然も、機体停止時にエンジン10を止めておけば、不用意な機体の発進等の恐れは一切なくて、安全である。また、作業再開時も主クラッチ操作ペダル120にてエンジン10の始動操作が行なえるので、作業性が良い。尚、エンジンスイッチ50をOFFにした状態では、接点スイッチがOFFになってもエンジン10が始動しないように制御した方がより安全である。」

オ 【図16】,【図17】を参照すると、案内溝81の中立位置に81a部が接続されている。

カ 上記アないしオからみて、刊行物2には以下の技術事項が記載されている。
《技術事項1》
変速レバー1を中立位置にして案内溝81に接続された81a部に操作すると、エンジン停止アーム110は回動した状態となって後端部がエンジン停止スイッチ111を押し操作しエンジン10は停止し、再び、前進若しくは後進する場合には、変速レバー1を案内溝81の81a部から出すと、エンジン停止アーム110はもとの状態となって、エンジン10は始動できる状態となるもので、このように、変速レバー1にて機体の停止・前進・後進操作とエンジン10の停止操作とができるから、作業者は、機体停止時にエンジン10を止めたい場合にわざわざエンジンスイッチ50を操作する必要がなく、容易にエンジン停止を行なえるものである、乗用型苗植機。
《技術事項2》
主クラッチ操作ペダル120のペダル部120aを回動操作することによる、接点スイッチがONまたはOFFとなり、接点スイッチのONによりエンジンを停止し、同スイッチのOFFによりエンジンが始動されるものであって、作業者は、機体停止時にエンジン10を止めたい場合にわざわざエンジンスイッチ50を操作する必要がなく、容易にエンジン停止を行なえるものであり、作業再開時も主クラッチ操作ペダル120にてエンジン10の始動操作が行なえるので、作業性が良く、エンジンスイッチ50をOFFにした状態では、接点スイッチがOFFになってもエンジン10が始動しないように制御した方がより安全である、乗用型苗植機。

4 対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
(1)刊行物発明の「無段変速装置21」,「変速レバー25」,「自走機体1」,「苗植付け装置2」,「前進操作案内溝F」,「後進操作案内溝」,「中立位置N」及び「調速手段」は、それぞれ本願補正発明の「主変速装置」,「変速レバー」,「走行機体」,「苗植付け装置」,「前進変速操作経路」,「後進変速操作経路」,「中立位置」及び「エンジンの調速機構」に相当する。

(2)刊行物発明の「乗用型の自走機体1の後部に複数条植え式の苗植付け装置2をリンク機構3を介して昇降自在に連結した田植機」は、本願補正発明の「走行機体に苗植付け装置を昇降自在に連結した乗用型田植機」に相当する。

(3)刊行物発明の「無段変速装置21を変速操作する変速レバー25」と、「前後進切り換え自在な静油圧式の無段変速装置21」は、本願補正発明の「前後進操作可能な主変速装置と変速レバー」に相当する。

(4)刊行物発明において、「変速レバー25」が「変速の中立位置Nに位置する状態で前進操作案内溝F内と後進操作案内溝R内とに選択位置するようになっている」ことからすると、中立位置Nには、前進操作案内溝Fと後進操作案内溝Rを接続する「溝」が形成されてことは明らかであるので、当該「溝」は、本願補正発明の「接続経路」に相当し、したがって、刊行物発明の「変速レバー25」が「変速の中立位置Nに位置する状態で前進操作案内溝F内と後進操作案内溝R内とに選択位置する」ことは、本願補正発明の「前記前進変速操作経路及び前記後進変速操作経路を接続するもので中立位置が設けられた接続経路」に相当する。

(5)刊行物発明の「前後進切り換え自在な変速装置の変速に連動してエンジンのエンジン回転数を変更するようにしてある田植機」は、本願補正発明の「田植機のエンジン制御構造」に相当する。

(6)刊行物発明の「調速制御手段41」が「〈1〉変速センサ40で中立位置Nが検出されかつ後進センサ36で後進が検出されていないとき、つまり、無段変速装置21が前進側中立位置Nfにあるとき、エンジン回転数がアイドリングniとなるように調速装置32を制御する。」ことは、本願補正発明の「変速レバーが前記中立位置に操作されると前記主変速装置が中立位置に操作され且つエンジン回転数がアイドリング回転数となるようにエンジンの調速機構が操作され」ることに相当する。

(7)刊行物発明の「調速制御手段41」が「〈2〉変速センサ40で中立位置Nから前進第1速段F1への切り換えが検出されたとき、エンジン回転数が前記アイドリングniよりも高い第1設定回転数n1(前進1速回転数nf1)にまで可逆的かつ自動的に増加させるように調速装置32を制御する。
〈3〉変速センサ40で前進2速段F2が検出されたとき、エンジン回転数が前記前進1速回転数nf1よりも高い前進2速回転数nf2になるように調速装置32を制御する。
〈4〉変速センサ40で前進3速段F3が検出されたとき、エンジン回転数が前記前進2速回転数nf2よりも高い前進3速回転数nf3になるように調速装置32を制御する。
〈5〉変速センサ40で前進4速段F4が検出されたとき、エンジン回転数が前記前進3速回転数nf3よりも高い前進4速回転数nf4になるように調速装置32を制御する。
〈6〉変速センサ40で前進5速段F5が検出されたとき、エンジン回転数が前記前進4速回転数nf4よりも高い前進5速回転数nf5になるように調速装置32を制御する。」ことは、本願補正発明の「前記変速レバーが前記前進変速操作経路に操作されると前記主変速装置が前進域で変速操作され」ることに相当する。

(8)刊行物発明の「調速制御手段41」が「〈8〉変速センサ40で後進1速段R1が検出されたとき、エンジン回転数が前記第2設定回転数n2(後進1速回転数nr1)になるように調速装置32を制御する。
〈9〉変速センサ40で後進2速段R2が検出されたとき、エンジン回転数が前記後進1速回転数nr1よりも高い後進2速回転数nr2になるように調速装置32を制御する。
〈10〉変速センサ40で後進3速段R3が検出されたとき、エンジン回転数が前記後進2速回転数nr2よりも高い後進3速回転数nr3となるように調速装置32を制御する。」ことは、本願補正発明の「前記変速レバーが前記後進変速操作経路に操作されると前記主変速装置が後進域で変速操作される」ことに相当する。

(9)上記(1)ないし(8)からみて、本件補正発明と引用発明とは、
「前後進操作可能な主変速装置と変速レバーとを備え、走行機体に苗植付け装置を昇降自在に連結した乗用田植機のエンジン制御構造において、
前進変速操作経路と、後進変速操作経路と、前記前進変速操作経路及び前記後進変速操作経路を接続するもので中立位置が設けられた接続経路とを備えて、
前記変速レバーが前記中立位置に操作されると前記主変速装置が中立位置に操作され且つエンジン回転数がアイドリング回転数となるようにエンジンの調速機構が操作され、前記変速レバーが前記前進変速操作経路に操作されると前記主変速装置が前進域で変速操作され、前記変速レバーが前記後進変速操作経路に操作されると前記主変速装置が後進域で変速操作されるように構成してある乗用田植機のエンジン制御構造。」で一致し、以下の点で相違している。

〔相違点〕本願補正発明は、「前記接続経路にエンジン停止位置を接続して、前記変速レバーが前記エンジン停止位置に操作されるとエンジンを停止させるエンジン停止回路を備え、
キースイッチがON位置に操作され、かつ、前記エンジンが停止している状態で、前記変速レバーが前記エンジン停止位置から前記中立位置に操作されると、前記エンジンの始動が行われるように構成してある」のに対し、
刊行物発明は、接続経路にエンジン停止位置が接続されておらず、エンジン停止回路も備えておらず、
「キースイッチがON位置に操作され、かつ、前記エンジンが停止している状態で、前記変速レバーが前記エンジン停止位置から前記中立位置に操作されると、前記エンジンの始動が行われるように構成してある」ものでも無い点。

5 判断
上記相違点について検討する。
(1)刊行物2には、上記「3 (2)カ」に記載したとおりの技術事項1が記載されている。
当該技術事項1の「変速レバー1」,「中立位置」にして「案内溝81」は、それぞれ本願補正発明の「変速レバー」,「接続経路」に相当する。
技術事項1は、「変速レバー1を」「81a部に操作すると」「エンジン10は停止」するものなので、技術事項1の「案内溝81に接続された81a部」は、本願補正発明の「接続経路に接続されたエンジン停止位置」に相当する。
技術事項1は、「変速レバー1を中立位置にして案内溝81に接続された81a部に操作すると、エンジン停止アーム110は回動した状態となって後端部がエンジン停止スイッチ111を押し操作しエンジン10は停止し、再び、前進若しくは後進する場合には、変速レバー1を案内溝81の81a部から出すと、エンジン停止アーム110はもとの状態となって、エンジン10は始動できる状態となる」ものであることからみて、エンジンを停止させるエンジン停止回路が備えられていることは、当業者にとって自明である。
したがって、刊行物2に記載された技術事項1は、本願補正発明の表現に倣えば、「接続経路にエンジン停止位置を接続して、変速レバーがエンジン停止位置に操作されるとエンジンを停止させるエンジン停止回路を備え、エンジンが停止している状態で、変速レバーがエンジン停止位置から中立位置に操作されると、エンジンの始動ができる状態となる」ことといえる。
刊行物発明及び技術事項1は、共に変速レバーの操作に起因する田植機のエンジン制御構造であって、技術分野が同一であり、また作業者の作業性を向上させることは、一般的な課題であることからすると、当該一般的な課題である作業性の向上を目的として、刊行物発明に技術事項1を適用することは、当業者であれば、容易に気づくことである。

(2)また刊行物2には、上記「3 (2)カ」に記載したとおりの技術事項2が記載されている。
技術事項2は、主クラッチペダル120のペダル部120aの接点スイッチではあるが、スイッチのON及びOFFによりエンジンの停止及び始動を行うものである。そして技術事項2が、「エンジンスイッチ50をOFFにした状態では、接点スイッチがOFFになってもエンジンが始動しないように制御した方がより安全である」ことからすると、エンジンスイッチ50(本願発明の「キースイッチ」に相当。)をONにした状態であれば、接点スイッチがOFFとなることによりエンジンが始動するものであるので、技術事項2は「キースイッチがON位置に操作され、かつ、エンジンが停止している状態で、接点スイッチがOFFとなれば、エンジンが始動する」ものといえる。

(3)上記技術事項1及び技術事項2は、共に刊行物2に記載されたものであって、エンジンスイッチを操作することなく、エンジンの停止を行うものであるから、刊行物2に接した当業者であれば、上記(1)の技術事項1を刊行物発明に適用する際に、さらなる作業性の向上のために、エンジンの始動についても、技術事項2のことを考慮に入れることは、当業者であれば適宜なし得る程度のことである。
そして、技術事項1の「変速レバーがエンジン停止位置に操作されるとエンジンを停止させる」ものにすると共に、「変速レバーがエンジン停止位置から中立位置に操作されると、エンジンの始動ができる状態となる」ことを、上記技術事項2の「キースイッチがON位置に操作され、かつ、エンジンが停止してる状態で、スイッチがOFFとなれば、エンジンが始動する」ものとして、刊行物発明に適用することによって、上記相違点に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到しえたことと認める。

(4)そして本願補正発明の奏する効果は、刊行物発明、刊行物2に記載の技術事項1及び技術事項2から、当業者が容易に予測できたものである。

したがって、本願補正発明は、刊行物1に記載された発明、及び刊行物2に記載された技術事項1及び2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29城第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

6 むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし5に係る発明は、平成24年2月8日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項によって特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2〔理由〕1(1)」に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

2 引用例
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1ないし2の記載事項は、上記「第2〔理由〕3」に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願補正発明は、上記「第2〔理由〕1(2)」のとおり、本願発明の発明特定事項を限定したものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに限定を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第2〔理由〕5」に記載したとおり、刊行物1に記載された発明、刊行物2に記載された技術事項1及び技術事項2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、刊行物1に記載された発明、刊行物2に記載された技術事項1及び技術事項2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
本願発明は、以上のとおり、刊行物1に記載された発明、刊行物2に記載された技術事項1及び技術事項2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本願は、その他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-10-28 
結審通知日 2013-10-31 
審決日 2013-11-12 
出願番号 特願2009-298313(P2009-298313)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A01C)
P 1 8・ 575- Z (A01C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 上田 泰  
特許庁審判長 高橋 三成
特許庁審判官 住田 秀弘
中川 真一
発明の名称 乗用田植機のエンジン制御構造  
代理人 北村 修一郎  

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