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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N |
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管理番号 | 1283593 |
審判番号 | 不服2012-22956 |
総通号数 | 171 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2014-03-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-11-20 |
確定日 | 2014-01-06 |
事件の表示 | 特願2006-201783「表示パネル交替型テレビシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 2月 8日出願公開、特開2007- 37136〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 経緯 1.手続 本願は、平成18年7月25日(優先権主張2005年7月26日、韓国)を出願日とする出願であって、手続の概要は以下のとおりである。 拒絶理由通知 :平成24年 2月13日(起案日) 手続補正 :平成24年 5月14日 拒絶査定 :平成24年 8月27日(起案日) 拒絶査定不服審判請求 :平成24年11月20日 2.査定 原審での査定の理由は、概略、以下のとおりである。 本願の各請求項に係る発明は、下記刊行物に記載された発明および周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 記 刊行物1:特開2005-167355号公報 刊行物2:特開2003-249768号公報 刊行物3:特開2003- 99155号公報 (刊行物3は本願出願前周知の技術事項を示す文献として、拒絶査定時に追加) 第2 本願発明 本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成24年5月14日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 【請求項1】 画像を表示するための表示パネルと、 表示パネルの底辺部を支持し固定するための表示パネル支持部材と、 前記表示パネル支持部材と一体的に形成され、前記表示パネルに映像信号を供給するための信号処理モジュールと、を備え、 前記表示パネル支持部材は、複数の表示パネルの大きさに対応可能であり、かつ、当該表示パネルに着脱可能に構成されていることを特徴とするテレビシステム。 第3 引用発明 1.刊行物1の記載 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日(2005年7月26日)前に頒布された刊行物である特開2005-167355号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。 【技術分野】 【0001】 本発明は、ホテルや旅館、病院等の施設構内で使用される構内テレビ配信網等の端末として接続されるセットトップボックスに関する。 【背景技術】 【0002】 近年、液晶表示パネルやプラズマディスプレイ等のフラットパネルディスプレイを用いたテレビ受像機やオーディオ/ビデオ機器のモニタ装置が広く一般に普及しつつあり、表示部本体部分をデスクトップタイプのパーソナルコンピュータのモニタと同様にスタンドに載架可能とするばかりでなく、表示部本体部分のみを壁掛け用としても使用できるような構造とした技術も考えられている。(例えば、特許文献1) 【特許文献1】特開平11-219127号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 ところで、ホテルや旅館、病院等の施設構内で使用される構内テレビ配信網等の端末として接続されるセットトップボックスでは、既存のテレビ受像機上にその筐体を載置し、該テレビ受像機をモニタ出力装置として使用して、ユーザの選択したテレビ放送の内容を出力するものである。 【0004】 しかるに、上述した如くフラットパネルディスプレイを用いた薄型ですっきりした外観のテレビ受像機等が一般的となり、上記ホテルや旅館、病院等の、空間が制限された施設構内で使用されることも考えられている。 【0005】 一方で、テレビ放送として地上波のアナログ放送とデジタル衛星放送に加え、地上波のデジタル放送や、さらにはインターネットのブラウザ機能等、セットトップボックスに要求される機能は年々拡大しており、セットトップボックスの筐体自体もさらに拡張性に優れた大型化したものが要求されている。 【0006】 そのため、上記したホテルや旅館等の施設構内で薄型のディスプレイを用いたテレビ受像機を用いるものとしても、セットトップボックスの外観自体が大型で垢抜けないものであると、レイアウトの結果は結局美観を損なうものとなる。 【0007】 この場合、セットトップボックスの主要部を操作部と分離し、施設構内の目立たない位置に格納してしまう構造をとることも考えられるが、そうすることでセットトップボックスの構造がさらに複雑で製造コストの高いものとなり、また施設側でもセットトップボックスの主要部を格納する場所を設ける必要があるなど、現実的ではない。 【0008】 本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、薄型のディスプレイとの外観のマッチングを考慮した上で、狭い空間内での効率的な設置構造をとることが可能なセットトップボックスを提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0009】 本願請求項1記載の発明は、構内テレビ配信網と接続され、その底面が水平に載置されたスタンド台となる第1の筐体と、この第1の筐体に対してその下端に形成したヒンジ機構により接続されて所定の角度範囲内で回動自在に立設載架され、所定の規格に従ったフラットパネルディスプレイを前面に装着可能とした平板状の第2の筐体とを具備したことを特徴とする。 【0010】 請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記第2の筐体は、一対のコ字状ブラケットによりその前面に装着するフラットパネルディスプレイの高さ方向の位置を調整可能とすることを特徴とする。 【発明の効果】 【0012】 請求項1記載の発明によれば、例えばVESA規格のような所定の規格に則った任意の液晶モニタのような薄型のディスプレイを第2の筐体の前面に装着して構内テレビ配信網の端末とすることができ、セットトップボックスをディスプレイと一体的にレイアウトされたすっきりした外観を有するものとして、薄型のディスプレイとの外観のマッチングを考慮した上で、狭い空間内での効率的な設置構造をとることが可能となる。 【0013】 請求項2記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、簡易な機構ながら第2の筐体に装着するディスプレイに異なる画面サイズのものから任意選択できるものとし、装着時の高さ方向の位置を適正に調整できる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0015】 以下本発明を、例えばホテルの客室内に配置される、構内テレビ配信網のセットトップボックスに適用した場合の構造例を実施の一形態として図面を参照して説明する。 【0016】 図1は、その全体の外観構成を示すもので、1が図示しない構内テレビ配信網と接続され、その底面が水平に載置されたスタンド台となる第1の筐体、2がこの第1の筐体1上に載架された平板状の第2の筐体である。 【0017】 具体的には、第1の筐体1の上面中央、やや後方側より上方に向けて突出形成されたスタンド支柱部1a上部のヒンジ機構3により、第1の筐体1に対して第2の筐体2の下端部が立設、載架され、且つ第1の筐体1に対して所定の角度範囲内で第2の筐体2の前面がその仰角または俯角を調整するように回動自在に取付けられるものとする。 【0018】 しかして、第2の筐体2の前面には、水平面での断面がコ字状となるコ字状ブラケット4が取付けられる。このコ字状ブラケット4の相対向した一対の平行板4a,4bには、図2に示すように、その上下それぞれに同一間隔の貫通孔41,41,‥‥が7個ずつ、計28個形成されており、また、平行板4a,4bに挟まれた中央板4cが例えば4本のタップネジ43,43,‥‥により第2の筐体2の前面に取付けられている。 【0019】 また、第1の筐体1の前面には、電源インジケータ11、電源スイッチ12、カード残度数表示部13、リモコン受光部14、カード取出しボタン15、プリペイドカードスロット16、及びUSBコネクタ部17が纏めて配置される。 【0020】 電源インジケータ11は、主電源と副電源のオン/オフをLEDの色と点灯状態で表示する。 【0021】 電源スイッチ12は、主電源のスイッチをオン/オフするために操作する。 【0022】 カード残度数表示部13は、後述するプリペイドカードの残度数を例えば3桁の日字状セグメントにより表示する。 【0023】 リモコン受光部14は、図示しないこのセットトップボックス用のリモコンからの赤外線変調光を受信する。 【0024】 カード取出しボタン15は、プリペイドカードを排出させるために操作する。 【0025】 プリペイドカードスロット16は、この構内テレビ配信網で有料サービスに設定されているチャンネルを視聴するためにプリペイドカードを挿入するためのものである。 【0026】 USB(Universal Serius Bus)コネクタ部17は、外部機器として例えばパーソナルコンピュータやDVDプレーヤ等の外部機器、あるいはインターネットブラウザ機能や電子メール機能を利用する場合のキーボードなどをユーザが外部接続するUSBコネクタを複数、例えば4個備えたものである。 【0027】 上記コ字状ブラケット4に対して、図3に示すように対応する幅のコ字状ブラケット5が用いられる。 【0028】 このコ字状ブラケット5は、後述する液晶モニタ6等の薄型ディスプレイに取付けるべく、その中央板5aにVESA(Video Electronics Stadards Association)規格に則った、例えば75[mm]間隔の4つの貫通孔51,51,‥‥が形成される他、相対向した一対の平行板5b,5cには、その上下それぞれに各1個、計4個のネジ孔52,52,‥‥が形成される。 【0029】 これらネジ孔52,52,‥‥の上下方向の間隔は、上記コ字状ブラケット4の平行板4a,4bに各7個ずつ4つのグループに纏めて形成された貫通孔41,41,‥‥の上下方向の相対するグループ間の同一位置の貫通孔41,41の間隔と同一に設定されるもので、これにより、4組のタップネジを用いて、コ字状ブラケット4に対するコ字状ブラケット5(及びコ字状ブラケット5を取付けた薄型ディスプレイ)の取付け位置を高さ方向で7段階に調整できる。 【0031】 また、第1の筐体1の背面には、他の装置に電源を供給するための電源ソケット18,18、AV入力端子19、音声出力端子1A、映像出力端子1B、同軸ケーブル接続端子1C、外部リモコン受光部接続端子1D、及び制御拡張端子1Eを設ける。 【0032】 電源ソケット18,18は、後述する液晶モニタ6やパーソナルコンピュータ8等の電源コンセントを接続する。 【0033】 AV入力端子19は、映像と音声(L+R)の計3本のピンジャックでなり、DVDプレーヤやビデオテープレコーダ等からのアナログ信号を入力する。 【0034】 音声出力端子1Aは、音声(L+R)用の計2本のピンジャックでなり、後述する液晶モニタ6や外部スピーカ等を接続する。 【0035】 映像出力端子1Bは、例えばD-sub15ピンのコネクタでなり、VGAケーブルを介して後述する液晶モニタ6等を接続する。 【0036】 外部リモコン受光部接続端子1Dは、上記リモコン受光部14に代わって他の外部リモコン受光部を使用する場合にそれを接続する。 【0037】 制御拡張端子1Eは、さらに他の制御系の装置を追加する場合にそれを接続する。 【0038】 上記のような構成にあって、スピーカを内蔵した液晶モニタ6を取付ける際の構成について説明する。 【0039】 取付け対象となる液晶モニタ6は、その背面に予め上記図3で示したコ字状ブラケット5を貫通孔51,51,‥‥に図示しないタップネジを用いて取付けておく。 【0040】 図5は、セットトップボックス左側面から見た、液晶モニタ6の取付け構造を示すものである。液晶モニタ6の背面に取付けたコ字状ブラケット5と第2の筐体2の前面に取付けたコ字状ブラケット4とを合致させ、コ字状ブラケット5のネジ孔52,52,‥‥とコ字状ブラケット4の貫通孔41,41,‥‥のうちのいずれか高さの適正なものを選択して左右2本ずつ、計4本のタップネジ81,81,‥‥を用いて螺設することで、液晶モニタ6を第2の筐体2に対して取付け固定することができる。 【0041】 その際、コ字状ブラケット4の貫通孔41,41,‥‥は7段階の高さが選択できるように予め穿設されているため、液晶モニタ6の大きさやコ字状ブラケット5との位置などに応じて、適正な高さを選択して取付けることが可能となる。 【0042】 こうして液晶モニタ6を第2の筐体2に取付けた後、例えば樹脂製のカバー7を上記第2の筐体2の背面のネジ孔21,21,‥‥に図示しないタップネジを用いることで装着して、セットトップボックスと液晶モニタ6との取付けを完了する。 【0043】 図6は、液晶モニタ6を取付けたセットトップボックスの斜め前方からの外観を示すものである。ここで液晶モニタ6は画面下部にスピーカを内蔵したものとしており、この液晶モニタ6と第1の筐体1背面の電源ソケット18、音声出力端子1A、及び映像出力端子1Bが結線されることになる。 【0044】 この場合、第1の筐体1と液晶モニタ6を取り付けた第2の筐体2は所定の角度範囲で回動可能なヒンジ機構3で接続されており、液晶モニタ6の仰角または俯角をユーザの好みや視聴する位置に応じて可変できる。 【0045】 また、上記セットトップボックスは、構内テレビ配信網の端末としてホテルの客室内に配置されるものとして説明したが、該構内テレビ配信網がインターネットへの接続も可能であるものとし、個々の端末で例えばWWW(World Wide Web)の簡易なブラウザ機能も持たせ、図示しないリモコンの操作により任意のウェブサイトの閲覧も可能とすることも考えられる。 【0048】 このように、例えばVESA規格のような所定の規格に則った任意の液晶モニタ6のような薄型のディスプレイを第2の筐体2の前面に装着して構内テレビ配信網の端末とすることができ、セットトップボックスを薄型のディスプレイと一体的にレイアウトされたすっきりした外観を有するものとして、薄型のディスプレイとの外観のマッチングを考慮した上で、狭い空間内での効率的な設置構造をとることが可能となる。 【0049】 また、液晶モニタ6の背面に取付けるコ字状ブラケット5と、これと組合わされる第2の筐体2の前面に装着したコ字状ブラケット4とで、液晶モニタ6の高さ位置を任意に調整可能としたため、簡易な機構ながら、液晶モニタ6が異なる画面サイズのものから任意選択できるものとし、どのようなサイズの画面の液晶モニタ6を装着したとしても、高さ方向の位置を適正に調整できる。 2.刊行物1に記載された発明 (2a)モニタ 刊行物1の【0003】には「ホテルや旅館、病院等の施設構内で使用される構内テレビ配信網等の端末として接続されるセットトップボックスでは、既存のテレビ受像機上にその筐体を載置し、該テレビ受像機をモニタ出力装置として使用して、ユーザの選択したテレビ放送の内容を出力するものである。」とあるから、モニタ出力装置に出力されるのはテレビ放送の内容であるから、モニタは画像を表示することが前提であるといえる。 また、刊行物1の【0008】には「本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、薄型のディスプレイとの外観のマッチングを考慮した上で、狭い空間内での効率的な設置構造をとることが可能なセットトップボックスを提供することにある。」、【0038】には「上記のような構成にあって、スピーカを内蔵した液晶モニタ6を取付ける際の構成について説明する。」とあるから、モニタは薄型の液晶ディスプレイ(モニタ)であるといえる。 以上まとめると、刊行物1に記載された発明は、画像を表示するための薄型液晶モニタを有しているということができる。 (2b)液晶モニタの固定 刊行物1の【0016】-【0018】、【0027】-【0029】、【0039】-【0040】の記載によれば、 スタンド台となる第1の筐体、第1の筐体の上面中央、やや後方側より上方に向けて突出形成されたスタンド支柱部1a上部のヒンジ機構3により、第1の筐体1に対して第2の筐体2の下端部が立設、載架され、第2の筐体2の前面には、水平面での断面がコ字状となるコ字状ブラケット4が取付けられ、(【0016】-【0018】) また、液晶モニタ6は、その背面に予め上記図3で示したコ字状ブラケット5を貫通孔51,51,‥‥に図示しないタップネジを用いて取付けられ、(【0039】) コ字状ブラケット4に対して、対応する幅のコ字状ブラケット5が用いられ、4組のタップネジを用いて、コ字状ブラケット4に対するコ字状ブラケット5の取付け位置を調整し、(【0027】-【0029】) 液晶モニタ6の背面に取付けたコ字状ブラケット5と第2の筐体2の前面に取付けたコ字状ブラケット4とを合致させ、液晶モニタ6を第2の筐体2に対して取付け固定する、(【0040】) の構成が開示されているから、刊行物1に記載された発明は、液晶パネルを固定するための液晶パネル固定部材(スタンド支柱部1a、ヒンジ機構3、第2の筐体2、ブラケット4等)を有しているといえる。 また、上記固定の状態は、図5、図6等を参酌すれば、液晶モニタがブラケットを介して筐体2に固定されることにより、液晶モニタは、筐体1の上部で、画面が倒れたりしないように支えられているといえるから、支持されているといえる。 したがって、刊行物1に記載された発明は、液晶パネルを支持し固定するための液晶パネル支持固定部材(スタンド支柱部1a、ヒンジ機構3、第2の筐体2、ブラケット4等)を有しているといえる。 (2c)第1の筐体 【0016】-【0018】の記載によれば、第1の筐体は、「第1の筐体の上面中央、やや後方側より上方に向けて突出形成されたスタンド支柱部1a上部のヒンジ機構3により、第1の筐体1に対して第2の筐体2の下端部が立設、載架され」ていて、上記(2b)で検討したように、第2の筐体はブラケット4、ブラケット5を介して液晶パネルを固定しているから、第1の筐体の上面中央、やや後方側より上方に向けて突出形成されたスタンド支柱部1a、ヒンジ機構、第2の筐体を介して液晶パネルを固定しているということができ、第1の筐体には、液晶パネルを固定する、スタンド支柱部1a、ヒンジ機構3、第2の筐体が配置されているといえる。 また、【0031】-【0035】の記載によれば、「第1の筐体1の背面には、他の装置に電源を供給するための電源ソケット18,18、AV入力端子19、音声出力端子1A、映像出力端子1B、同軸ケーブル接続端子1C、外部リモコン受光部接続端子1D、及び制御拡張端子1Eを設ける。」、「AV入力端子19は、映像と音声(L+R)の計3本のピンジャックでなり、DVDプレーヤやビデオテープレコーダ等からのアナログ信号を入力する。」、「映像出力端子1Bは、例えばD-sub15ピンのコネクタでなり、VGAケーブルを介して後述する液晶モニタ6等を接続する。」とあるから、第1の筐体は、AV入力端子19、映像出力端子1Bを有し、DVDプレーヤやビデオテープレコーダ等からのアナログ(映像)信号をAV入力端子19から入力し、映像出力端子1Bから液晶モニタに出力する手段を有しているといえる。 また、第1の筐体は、【0015】、【0016】の記載によれば、構内テレビ配信網のセットトップボックスに適用されるものであるといえるが、構内テレビ配信網のセットトップボックスに設けられた同軸ケーブル接続端子1Cは、アンテナで受信したテレビ信号を入力する端子であることが普通であるから、刊行物1発明の第1の筐体は、同軸ケーブル接続端子から入力したテレビ信号を受信しているといえる。 そして、受信したテレビ信号の映像は、映像出力端子を介して画像表示部に出力されることは当たり前のことであるから、刊行物1発明は、同軸ケーブル接続端子から入力したテレビ信号を受信し、映像出力端子1Bから液晶モニタに出力する手段を有しているといえる。 以上まとめると、第1の筐体には、液晶パネルを固定する、スタンド支柱部1a、ヒンジ機構3、第2の筐体が配置され、また第1の筐体は、AV入力端子19、映像出力端子1B、同軸ケーブル接続端子1Cを有し、同軸ケーブル接続端子から入力したテレビ信号を受信し、映像出力端子1Bから液晶モニタに映像信号を出力する手段を有しているといえる。 (2d)液晶モニタ固定手段 液晶パネル支持固定部材である、スタンド支柱部1a、ヒンジ機構3、第2の筐体(ブラケット4)は、刊行物1の【0013】、【0029】、【0041】、【0049】等の記載によれば、「液晶モニタ6の高さ位置を任意に調整可能としたため、液晶モニタ6が異なる画面サイズのものから任意選択できるものとし、どのようなサイズの画面の液晶モニタ6を装着したとしても、高さ方向の位置を適正に調整できる。」との記載があり、複数の大きさの液晶モニタに対応可能であるといえる。 また、先に検討したように、液晶モニタは、ブラケット4、ブラケット5介して、タップネジを用いて第2の筐体に固定されるのであるから、第2の筐体(を含む液晶パネル支持固定部材)は、液晶モニタに対して着脱可能な構成であるといえる。 以上まとめると、液晶パネル支持固定部材は、複数の大きさの液晶モニタに対応可能であり、液晶モニタに対して着脱可能な構成であるといえる。 (2e)セットトップボックス 刊行物1に記載された第1の筐体は、構内テレビ配信網のセットトップボックスに適用されるものであって、AV入力端子19、映像出力端子1B、同軸ケーブル接続端子1Cを有し、同軸ケーブル接続端子から入力したテレビ信号を受信し、映像出力端子1Bから液晶モニタに映像信号を出力する手段を有しているといえることは、上記(2c)で検討したとおりである。 したがって、刊行物1に記載された発明は、テレビ信号を受信し、受信したテレビ信号を液晶モニタに出力するセットトップボックスに関する発明であるといえる。 (2f)まとめ 上記(2a)?(2e)によれば、刊行物1に記載された発明(以下、「刊行物1発明」という。)として、以下のとおりのものを認定することができる。 画像を表示するための薄型液晶モニタを有し、 液晶パネルを支持し固定するための液晶パネル支持固定部材(スタンド支柱部1a、ヒンジ機構3、第2の筐体2、ブラケット4等)を有し、 第1の筐体には、液晶パネルを固定する、スタンド支柱部1a、ヒンジ機構3、第2の筐体が配置され、また第1の筐体は、AV入力端子19、映像出力端子1B、同軸ケーブル接続端子1Cを有し、同軸ケーブル接続端子から入力したテレビ信号を受信し、映像出力端子1Bから液晶モニタに映像信号を出力する手段を有し、 液晶パネル支持固定部材は、複数の大きさの液晶モニタに対応可能であり、液晶モニタに対して着脱可能な構成である、 テレビ信号を受信し、受信したテレビ信号を液晶モニタに出力するセットトップボックス。 第4 対比 本願発明と刊行物1発明とを対比する。 1.画像を表示するための表示パネル 刊行物1発明は、画像を表示するための薄型液晶モニタを有しており、薄型液晶モニタは表示パネルといえることは、当業者には普通のことであるから、刊行物1発明は、画像を表示するための表示パネルを有しているといえる。 2.表示パネルの底辺部を支持し固定するための表示パネル支持部材 刊行物1発明は液晶パネルを支持し固定するための液晶パネル支持固定部材(スタンド支柱部1a、ヒンジ機構3、第2の筐体2、ブラケット4等)を有しているから、表示パネルを支持し固定するための表示パネル支持部材を有しているといえる。 もっとも、本願発明の支持部材は、表示パネルの底辺部を支持し固定するための表示パネル支持部材であるのに対し、刊行物1発明の支持部材は、底辺部を支持していない点で相違する。 3.前記表示パネル支持部材と一体的に形成され、前記表示パネルに映像信号を供給するための信号処理モジュール 本願発明の「表示パネル支持部材と一体的に形成され(る)、信号処理モジュール」について検討する。 本願発明明細書には、以下の記載がある。 「ところが一般テレビは、画面を構成する表示部、スピーカ、チューナボックスなどが一体化されており、大画面を望む場合、ユーザは前記一体化された新たなテレビに交替しなければならない。よって、ユーザには多大な費用がかかり、使用可能な部分まで捨てられるので、資源の無駄遣いになるという問題があった。」(【0005】) 「本発明の一実施形態によれば、前記表示パネル支持部と前記信号処理モジュールが一体化されており、一つの固定装置を構成することを特徴とする。」(【0009】) 「本発明の一実施形態によれば、前記表示パネル支持部と一体に形成されて一つの固定装置を構成するTMDS受信部をさらに備え、前記信号処理モジュールは、TMDS送信部、スケーラー/マイコン、DVI信号入力部、PC信号入力部、ビデオ信号入力部、ビデオデコーダー、デインターレーサ、A/Dコンバータ、チューナ及びディモード/信号処理部を有することを特徴とする。」(【0011】) 以上の記載によれば、本願発明の「一体的に形成され」るとは、一つの固定装置として利用されることを前提とした構成のことをいうものといえ、したがって、本願発明の「表示パネル支持部材と一体的に形成され(る)、信号処理モジュール」とは、信号処理モジュールと表示パネル支持部材とが一つの固定装置として利用されることであるといえる。 刊行物1発明の第1の筐体は「AV入力端子19、映像出力端子1B、同軸ケーブル接続端子1Cを有し、同軸ケーブル接続端子から入力したテレビ信号を受信し、映像出力端子1Bから液晶モニタに映像信号を出力する手段を有し」ているから、同軸ケーブル接続端子から入力したテレビ信号を受信し、液晶モニタの表示に適した信号に変換していることは明らかであり、上記テレビ信号を受信し液晶モニタの表示に適した信号に変換する信号処理のための手段(信号処理モジュール)を有しているといえる。 刊行物1には「液晶モニタ6が異なる画面サイズのものから任意選択できる(【0049】)」の記載があるから、信号処理モジュールを有する第1の筐体、スタンド支柱部1a、ヒンジ機構3、第2の筐体等に対して、液晶モニタは異なるものを使用することができる技術思想が開示されている。 これに対して、信号処理モジュールを有する第1の筐体には、表示パネル支持部材といえる、スタンド支柱部1a、ヒンジ機構3、第2の筐体等が配置されているが、上記、信号処理モジュールを有する第1の筐体、スタンド支柱部1a、ヒンジ機構3、第2の筐体等は、液晶パネルとは異なり、それぞれ異なるものを組み合わせて使用することは想定されていないから、液晶パネル(表示パネル)が交換可能であるのに対して、一つの固定装置として、一体で利用されるものであることは明らかである。 してみると、刊行物1に記載された、信号処理モジュールを有する第1の筐体、スタンド支柱部1a、ヒンジ機構3、第2の筐体等は一体的に形成されているということができる。 以上のことから、刊行物1発明は、前記表示パネル支持部材と一体的に形成され、前記表示パネルに映像信号を供給するための信号処理モジュールを備える点で本願発明と相違がない。 4.前記表示パネル支持部材は、複数の表示パネルの大きさに対応可能であり、かつ、当該表示パネルに着脱可能に構成されている 刊行物1発明は、「液晶パネル支持固定部材は、複数の大きさの液晶モニタに対応可能であり、液晶モニタに対して着脱可能な構成である」の構成を有している。 刊行物1発明の、液晶モニタ、液晶パネル支持固定部材は、それぞれ、本願発明の表示パネル、表示パネル支持部材といえることは上記1.、2.で検討したとおりである。 したがって、刊行物1発明は、前記表示パネル支持部材は、複数の表示パネルの大きさに対応可能であり、かつ、当該表示パネルに着脱可能に構成されているということができる。 5.テレビシステム 刊行物1発明は、テレビ信号を受信し、受信したテレビ信号を液晶モニタに出力するセットトップボックスであるから、テレビシステムといえることは明らかである。 6.まとめ(一致点、相違点) 以上、1.ないし5.の対比によれば、本願発明と刊行物1発明とは以下の一致点で一致し相違点で相違する。 [一致点] 画像を表示するための表示パネルと、 表示パネルを支持し固定するための表示パネル支持部材と、 前記表示パネル支持部材と一体的に形成され、前記表示パネルに映像信号を供給するための信号処理モジュールと、を備え、 前記表示パネル支持部材は、複数の表示パネルの大きさに対応可能であり、かつ、当該表示パネルに着脱可能に構成されていることを特徴とするテレビシステム。 [相違点] 本願発明の支持部材は、表示パネルの底辺部を支持し固定するための表示パネル支持部材であるのに対し、刊行物1発明の支持部材は、底辺部を支持していない点。 第5 判断 本願発明の「底辺部」について検討する。 上記「底辺部」の記載は、平成24年5月14日付けの手続補正により、特許請求の範囲に付加された構成であり、本願明細書には「底辺部」との文言の記載がない。 上記「底辺部」の記載を付加する補正の根拠として、請求人は、平成24年5月14日付け意見書にて、「(イ)請求項1、2の構成要素「表示パネルを支持または固定するための表示パネル支持部材」を「表示パネルの底辺部を支持し固定するための表示パネル支持部材」とする補正を致しました。本補正は、出願当初明細書の段落[0019]の記載等に基づく補正であり、新規事項を追加する補正ではありません。」と述べているので、段落【0019】の記載を参酌すると以下のとおりの記載がある。 「固定装置20は、表示パネル10を着脱可能な形態に支持して固定するパネル支持部210、コンピュータ30、ビデオ40、DVI50などの外部機器から伝送される映像及び音声信号や、公衆波またはケーブルなどの放送信号を受信し必要な処理を施して、表示パネル10に供給する信号処理モジュール23を備える。」 上記記載では、「底辺部」の特定事項について、記載があるとはいえない。 他の表示パネル支持に関する記載を参酌すると、以下の記載がある。 「前述した目的を達成するために、本発明では、表示パネルを着脱可能な状態に支持して固定するパネル支持部と、種々の情報を含む信号を外部から受信して処理した後、表示パネルに映像信号を供給する信号処理モジュールとを備えるテレビシステムを提供する。 本発明の一実施形態によれば、表示パネル支持部に着脱可能な状態に固定された表示パネルをさらに備える。ここで表示パネルとは、液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル、有機電界発光表示装置、電界効果電子放出表示素子などの平板表示装置を意味する。 本発明の一実施形態によれば、前記表示パネル支持部と前記信号処理モジュールが一体化されており、一つの固定装置を構成することを特徴とする。」(【0007】-【0009】) 「本発明の一実施形態によれば、前記表示パネル支持部と一体に形成されて一つの固定装置を構成するTMDS受信部をさらに備え、前記信号処理モジュールは、TMDS送信部、スケーラー/マイコン、DVI信号入力部、PC信号入力部、ビデオ信号入力部、ビデオデコーダー、デインターレーサ、A/Dコンバータ、チューナ及びディモード/信号処理部を有することを特徴とする。」(【0011】) 「ここで、パネル支持部210は、種々の大きさの表示パネル10を収容できる拡張性を有し、表示パネル10の着脱を容易にすることができる結合手段を有する。表示パネル10とパネル支持部210との結合方法としては、ボルトとナットを利用する方法、スロット状の枠に嵌め込むか、あるいは表示パネルの大きさに応じて大きさの調節が可能な四角形状の枠に固定する方法などがある。」(【0020】) 「本実施形態に係るテレビシステムは、図1及び図2に示したテレビシステムと異なり、信号処理モジュール22が固定装置21と分離されている点が特徴である。即ち、固定装置21にはパネル支持部211とTMDS受信部212が含まれており、信号処理モジュール22は別途の装置として分離されている。この時、信号処理モジュール22とTMDS受信部212との間には、有線または無線通信方法で信号を伝達することができる。」(【0068】) 「本発明によるテレビシステムは、前記実施形態に限定されるものではなく、様々な変更及び変形が可能である。例えば、図6及び図7の実施形態において、TMDS受信部212を固定装置21から分離して信号処理モジュール22に設置し、固定装置21が単にパネル支持及び表示パネル10と信号処理モジュール22の電気的接続を図る役割だけをするようにすることができる。または、固定装置21は単にパネル支持の役割だけをし、表示パネル10と信号処理モジュール22との間の信号送受信のための電気的接続は、表示パネル10と信号処理モジュール22が有線または無線で直接接続されるようにすることもできる。」(【0070】) また、図1、図6を見ると表示パネル10が上部にあり、その下部に表示パネル支持部が描かれており、表示パネル10を表示パネル支持部に向けて移動させ、表示パネルが表示パネル支持部に至ると、何らかの手段により、表示パネルが表示パネル支持部に支持されることが理解できる。 これらの記載を見ると、底辺部を支持するとは、底辺部のみを直接的に支持するのではなく、図1、図6において、表示パネル10を表示パネル支持部に向けて移動させ、表示パネルが表示パネル支持部に至ると、表示パネルの底辺付近(すなわち、表示パネルの下部)が、 ボルトとナットを利用して、表示パネル支持部に固定される、 表示パネル支持部のスロット状の枠に嵌め込まれる、 あるいは表示パネル支持部に設けられた表示パネルの大きさに応じて大きさの調節が可能な四角形状の枠に固定される、 ことをいうものと認めることができる。 ところで、表示パネルを表示パネル下部に設けられた台座に対して固定するとき、台座に形成された表示パネル支持部材を用いて、表示パネルの下部を支持する構成を採用することは、下記の周知文献1ないし4にあるとおり本願優先日前周知の技術事項であり、刊行物1発明において、表示パネルを第1の筐体に固定する際に、下記の周知文献にある構成を採用し、表示パネルの底辺部を支持し固定するための表示パネル支持部材の構成とすることは当業者が容易になし得たことである。 周知文献1:特開2003- 99155号公報(拒絶査定時に審査官が提示した周知文献) 周知文献2:実開平5-2486号公報 周知文献3:特開昭62-142478号公報 周知文献4:特開2002-218358号公報 第6 効果等 以上のように、上記相違点は、当業者が容易に想到し得たものと認められ、本願発明全体としてみても格別のものはなく、その作用効果も、上記構成の採用に伴って当然に予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものがあるとは認められない。 第7 まとめ 以上のとおりであるから、本願の請求項1に係る発明は、本願の優先日前に日本国内で頒布された刊行物である上記刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、したがって特許法29条第2項の規定により特許を受けることができない。 それ故、本願の請求項2、請求項3の各請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2013-07-31 |
結審通知日 | 2013-08-06 |
審決日 | 2013-08-21 |
出願番号 | 特願2006-201783(P2006-201783) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04N)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 鈴木 明 |
特許庁審判長 |
渡邊 聡 |
特許庁審判官 |
奥村 元宏 千葉 輝久 |
発明の名称 | 表示パネル交替型テレビシステム |
代理人 | 八田国際特許業務法人 |