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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A61B
管理番号 1283910
審判番号 不服2012-4829  
総通号数 171 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-03-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-03-14 
確定日 2014-01-22 
事件の表示 特願2005-267763「MR撮影方法およびMRI装置」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 3月29日出願公開、特開2007- 75387〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成17年9月15日を出願日とする出願であって,平成22年12月13日付けで拒絶理由が通知され,平成23年3月14日付けで手続補正がなされ,同年11月8日付けで拒絶査定がなされ,平成24年3月14日に拒絶査定不服審判の請求がなされ,平成25年3月21日付で当審拒絶理由が通知され,同年6月20付けで手続補正がなされたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1?20に係る発明は,平成25年6月20日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?20に記載された事項により特定されたものであって,その請求項1に係る発明は,次のとおりのものであると認める。
「【請求項1】
被検体の呼吸を停止させた状態で横隔膜を含む撮像領域を持つMR画像を撮像するナビゲータ用撮像ステップと,
1秒以上の,前記ナビゲータ用撮像からの縦磁化回復のための縦磁化回復期間内に,前記ナビゲータのMR画像を解析して横隔膜の位置を取得する横隔膜位置取得ステップと,
前記ナビゲータ用撮像ステップから続いて被検体の呼吸を停止させた状態で,前記縦磁化回復期間後に,所望のスライスのMR画像を撮像するイメージング用撮像ステップと,
被検体の呼吸を再開させる息継ぎステップとを,この順で2回以上繰り返すと共に,
2回目以後のイメージング用撮像ステップにおいて,前記1回目のスライスの位置を1回目の横隔膜の位置と2回目以後の横隔膜の位置の差だけ補正した位置を2回目以後のスライスの位置として,前記イメージング用撮像を行うことを特徴とするMR撮影方法。」(以下,「本願発明」という。)

第3 引用刊行物記載の発明 (下線は当審で付与した。)
(1)本願出願前に頒布され当審の拒絶理由にて引用した刊行物である特開2001-299725号公報(以下,「引用刊行物」という。)には,「保息式腹部MR撮像のためのスライスの順序付けの方法(SLICE ORDERING METHOD FOR BREATH-HOLD ABDOMINAL MR IMAGING)」に関し,図面の図示とともに,次の事項が記載されている。

(1-ア)「【請求項15】 磁気共鳴イメージング(MRI)システムにより画像の集合を形成する方法であって,
(a) 前記画像の集合を,その各々が複数の隣接する画像を含んでいる複数のスラブ(12,14)にグループ分けする工程(236)と,
(b) 患者の保息を開始させる工程(242)と,
(c) 患者の位置を示すナヴィゲータ・データを取得するように前記磁気共鳴イメージング・システムによりナヴィゲータ・パルス・シーケンスを実行する工程(254)と,
(d) 前記ナヴィゲータ・データに応じて前記磁気共鳴イメージング・システムの走査パラメータを調節する工程(256)と,
(e) 1つのスラブ内の前記画像の各々について前記患者から磁気共鳴画像データを取得するように,前記調節された走査パラメータにより前記磁気共鳴イメージング・システム上でパルス・シーケンスを実行する工程(244)と,
(f) 磁気共鳴画像データが前記スラブ(12,14)のすべてから取得されるまで前記工程(b),(c),(d)及び(e)を繰り返す工程と,
(g) 前記取得された磁気共鳴画像データから前記画像の集合を再構成する工程(248)と,
を含む方法。

【請求項18】 前記ナヴィゲータ・データは患者の横隔膜の位置を示す請求項15に記載の方法。」

(1-イ)「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明の分野は,核磁気共鳴撮像(「MRI」)方法及びシステムである。より具体的には,本発明は,腹部器官を通るスライス画像の集合についてのMRIデータの取得に関する。」

(1-ウ)「【0011】
【発明の概要】
本発明は,患者の呼吸によるモーション・アーティファクトを生成せずに患者の腹部領域からスライス画像の集合を取得する方法である。より具体的には,上述のスライスの集合が連続した複数のスラブに分割されて,各々のスラブが,所定のパルス・シーケンスを用いて単一回の保息で取得することのできる複数のスライスで構成される。次いで,患者の保息を開始させて,選択されたパルス・シーケンスを用いてスラブ内のすべてのスライスのMR画像データを取得することにより,各々のスラブが取得される。取得されたMR画像データから画像が再構成される。
【0012】
本発明のもう1つの側面は,各回のスラブ取得の前に患者の位置を測定して,連続したスラブが位置合わせされた態様で取得されるようにMRIシステム上の走査パラメータを変更するものである。各回のスラブ取得の前に,ナヴィゲータ・パルス・シーケンスを用いて患者の位置を測定して,走査中に基準位置から遠ざかった患者の運動を考慮するようにスラブ位置を調節する。」

(1-エ)「【0025】
本発明の好適実施例は,図1のMRIシステムによって実行されるプログラムの指令下で,図3のFSEパルス・シーケンス等の2次元撮像シーケンスを用いる。このプログラムによって実行される工程を図5の流れ図に示しており,図4に示す肝臓の腹部走査の例を用いて説明する。
【0026】
図4を参照して具体的に述べると,走査は,12のアキシャル・スライス10として配向した12の2次元画像についてのMRIデータを取得することにより実行される。但し,データを12のすべてのスライスからインタリーブされた態様で取得する通常の取得順序を用いるのではなく,スライスをスラブにグループ分けする。図示の例では,2つのスラブ12及び14が画定されており,各々のスラブ12及び14が6つのスライスを有している。各々のスラブ内のスライスの数を画定する主な基準は,1つのスラブ全体が,単一回の患者の保息内で,選択されたパルス・シーケンスを用いて取得され得るというものである。すると,走査は,対応する連続した各回の保息中に複数のスラブの各々からMRIデータを取得することで構成される。図4の例では,走査を完了するのに2回の保息が必要になる。
【0027】
図5を参照して具体的に述べると,手順が開始されると,処理ブロック230に示すように,操作者に対して実行されるべきパルス・シーケンスの指定を入力するようにプロンプトを出す。この指定には,前述のFSEパルス・シーケンスを用いるのであれば,各々のショットにおいて取得されるべきエコーの数等のパラメータが含まれる。T1加重画像を得るためにはスポイルド・グラディント・リコールド・エコー・シーケンス等のその他のファスト・パルス・シーケンスを指定してもよい。
【0028】
次いで,処理ブロック232に示すように,走査中に取得されるべきスライスの数及び位置を指定する。これらのパラメータが,撮像される腹部の解剖学的構造,所望の分解能及び視野に依存していることは言うまでもない。例えば前述のFSEパルス・シーケンスを用いた肝臓の走査の場合には,8?12の任意の数のアキシャル・スライスを指定することができる。
【0029】
次いで,処理ブロック234に示すように,操作者は,各々のスラブのデータを取得するのに利用可能な時間間隔を指示する保息時間数を入力する。この時間は,25秒等の「通常」値に予め設定されていてもよいし,患者の状態及び能力に応じて増加させたり減少させたりしてもよい。保息時間は,利用者が指定する繰り返し時間(TR)及び位相エンコード分解能によって要求される可能な最短の時間まで自動的に短縮される。加えて,スラブ重なり数が入力される。この数は,患者が各回のスラブ取得について同一の位置で保息を行なわない場合にも解剖学的構造のすべてが確実に取得されるように,重なり合わせるべき隣接するスラブの量を指示する。
【0030】
次いで,処理ブロック236に示すように,システムは,取得されるべき別個のスラブの数,及び各々のスラブ内のスライスの数を算出する。この計算は,各回の保息内で可能な限り多くの所定のスライスを取得することを目的として,今までに入力されたデータに基づいて行なわれる。例えば,計算から6つのスライスが指定された保息時間内に取得され得ることが分かったら,各々のスラブは6つまでのスライスを含むものとなるので,走査に必要な最少数のスラブ又は保息回数は,指定されたスライスの総数を6で除算したものに等しくなる。この情報は操作者に対して表示されて,判定ブロック240に示すように満足の行くものであれば走査が開始される。他の場合には,システムはループして戻り,操作者が指定した走査を変更することを可能にする。例えば,患者が十分に健康であって呼吸を容易に止めていられるようであれば,保息時間を延長することができる。
【0031】
走査が開始すると,処理ブロック242に示すように,患者に保息を開始するように合図を出す。保息が成立したときに,処理ブロック244に示すように,1つのスラブのMR画像データの取得が行なわれる。保息の開始の検出はまた,米国特許第5,363,844号「MR撮像用の保息監視(Breath-Hold Monitor for MR Imaging)」に記載されているようなシステムを用いて自動的に行なうこともできる。該特許はここに参照されるべきものである。
【0032】
MR撮像データのスラブの取得は,指定されたパルス・シーケンスを用いて実行される。スラブ内のスライスは,パルス・シーケンスが遅滞なく,且つ隣接するスライスのスピンを飽和させることなく実行され得るような周知のインタリーブされた態様で取得される。スラブが取得された後に,患者に対して呼吸するように指示すなわち合図を出す。判定ブロック246で決定されるように最後のスラブが取得されたら,処理ブロック248に示すようにスライス画像を再構成し,他の場合には,システムはループして戻り,次のスラブを取得する。」

(1-オ)「【0033】
本発明の代替的な実施例では,処理のデータ取得段階においてナヴィゲータ・パルス・シーケンスを用いて,各回の保息時の肝臓及び横隔膜の境界の位置を決定する。各回の保息の開始時の肝臓の頂部の位置を用いると,第1のスラブのスライスに対する後続の保息でのスライス位置の補正が可能になる。この肝臓及び横隔膜の位置情報を遡及的に用いて,前述のようにスラブを互いに対して自動的に位置合わせすることもできるし,又は好ましくは,この位置情報を先行的に用いて,以下に詳述するようにしてスラブ取得の前に走査パラメータを調節することもできる。
【0034】
図6を参照して具体的に述べると,代替的な好適実施例は実質的に,データ取得工程を除けば前述と同じ処理である。処理ブロック242において各回の保息が開始した後に,処理ブロック254においてナヴィゲータ・パルス・シーケンスを実行してNMRナヴィゲータ信号を取得する。このナヴィゲータ・パルス・シーケンスは,カラムを成すスピンを2次元RF励起パルスによって励起させる測定である。このスピンのカラムは操作者によって位置決定されており,典型的には,腹部の右側に位置し,肝臓のドームの近くで横隔膜を横断している。後続のNMR信号が,励起したカラムの長手方向の次元に沿って配向した読み出し勾配(好適実施例ではGz)の存在下で取得されて,NMRナヴィゲータ信号の256のサンプルがアレイ・プロセッサ161によってフーリエ変換される。2次元励起RFパルスは,12ミリ秒の持続時間の3000mm直径のガウス励起であり,90°のフリップ角を生ずる。例えば米国特許第4,812,760号に記載されているように,かかる2次元RFパルスは,2つの勾配磁場(好適実施例ではGx及びGy)の存在下で発生される。受信器の低域通過フィルタは,励起したカラム(z軸)に沿って260mmの視野用に設定される。NMR信号は,4ミリ秒のサンプル時間にわたって256の点でサンプリングされ,TR=70ミリ秒のパルス繰り返し速度が用いられる。励起したカラムにおける肝臓及び横隔膜の位置は,取得されフーリエ変換されたNMRナヴィゲータ信号における変曲点として現われる。この変曲点の位置は,相対的に高い周波数のノイズを減少させる20サンプル幅の平均フィルタと,続いて肝臓及び横隔膜エッジを抽出する5サンプルの高域通過フィルタとを含むエッジ検出(微分フィルタ)法を用いて決定される。
【0035】
他のナヴィゲータ信号による取得を用いてもよい。例えば,2次元のサジタル・スライス又はコロナル・スライスを取得して解析し,呼吸運動を測定してもよい。
【0036】
図6の処理ブロック256によって示すように,肝臓及び横隔膜位置情報を用いて,システムの走査パラメータを変更する。第1のスラブの取得時に,肝臓及び横隔膜位置を患者の基準位置として記憶して,スライスの第1のスラブを走査パラメータの調節を行なわずに取得する。但し,後続のスラブの取得時には,測定された肝臓及び横隔膜位置を記憶されている患者の基準位置と比較して,差を用いて走査パラメータを調節する。好適実施例では,アキシャル方向に沿って取得されたスライスの位置を,算出された差に等しい量だけシフトさせるような量だけRF励起パルスの周波数を変化させる。すなわち,
Δf=γGzΔz
とし,ここで,
γ=励起したスピンの磁気回転比,
Gz=z軸に沿った勾配磁場強度,
Δz=保息と保息との間での基準からの肝臓及び横隔膜位置の位置の差である。」

(引用発明)
上記記載事項(1-ア)?(1-オ)及び図面の図示(特に図6参照)を総合すると,引用刊行物には,次の発明が記載されているものと認められる。

「磁気共鳴イメージング(MRI)システムにより画像の集合を形成する方法であって,
(a) 前記画像の集合を,その各々が複数の隣接する画像を含んでいる複数のスラブ(12,14)にグループ分けする工程(236)と,
(b) 患者の保息を開始させる工程(242)と,
(c) 患者の横隔膜の位置を示すナヴィゲータ・データを取得するように前記磁気共鳴イメージング・システムによりナヴィゲータ・パルス・シーケンスを実行する工程(254)と,
(d) 前記ナヴィゲータ・データに応じて前記磁気共鳴イメージング・システムの走査パラメータを調節する工程(256)と,
(e) 1つのスラブ内の前記画像の各々について前記患者から磁気共鳴画像データを取得するように,前記調節された走査パラメータにより前記磁気共鳴イメージング・システム上でパルス・シーケンスを実行する工程(244)と,
(f) 前記1つのスラブ内の前記画像の各々についての磁気共鳴画像データが取得された後に,患者に対して呼吸するように指示を出した上で,磁気共鳴画像データが前記スラブ(12,14)のすべてから取得されるまで前記工程(b),(c),(d)及び(e)を繰り返す工程と,
(g) 前記取得された磁気共鳴画像データから前記画像の集合を再構成する工程(248)と,を含む方法において,
第1のスラブの取得時に,横隔膜位置を患者の基準位置として記憶した上で,後続のスラブの取得時には,測定された横隔膜位置と前記基準位置との差に等しい量だけ取得スライス位置をアキシャル方向に沿って調節し,
患者の肝臓のスライス画像の集合を取得する方法。」(以下,引用発明という。)

第4 対比・判断
(1)本願発明と引用発明との対比・判断
ア 対比
本願発明と引用発明とを対比すると,その構造及び機能から見て,引用発明の「磁気共鳴イメージング(MRI)システムにより画像の集合を形成する方法」,「患者」,「(b) 患者の保息を開始させる工程(242)と,(c) 患者の横隔膜の位置を示すナヴィゲータ・データを取得するように前記磁気共鳴イメージング・システムによりナヴィゲータ・パルス・シーケンスを実行する工程(254)」,「(e) 1つのスラブ内の前記画像の各々について前記患者から磁気共鳴画像データを取得するように,前記調節された走査パラメータにより前記磁気共鳴イメージング・システム上でパルス・シーケンスを実行する工程(244)」,「患者に対して呼吸するように指示を出し」,「前記工程(b),(c),(d)及び(e)を繰り返す工程」及び「第1のスラブの取得時に,横隔膜位置を患者の基準位置として記憶した上で,後続のスラブの取得時には,測定された横隔膜位置と前記基準位置との差に等しい量だけ取得スライス位置をアキシャル方向に沿って調節し」は,本願発明の「MR撮影方法」,「被検体」,「被検体の呼吸を停止させた状態で横隔膜を含む撮像領域を持つMR画像を撮像するナビゲータ用撮像ステップ」,「前記ナビゲータ用撮像ステップから続いて被検体の呼吸を停止させた状態で所望のスライスのMR画像を撮像するイメージング用撮像ステップ」,「被検体の呼吸を再開させる息継ぎステップ」,「この順で2回以上繰り返す」及び「2回目以後のイメージング用撮像ステップにおいて,前記1回目のスライスの位置を1回目の横隔膜の位置と2回目以後の横隔膜の位置の差だけ補正した位置を2回目以後のスライスの位置とし」に相当することは明らかである。
また,引用発明の「(d) 前記ナヴィゲータ・データに応じて前記磁気共鳴イメージング・システムの走査パラメータを調節する工程(256)」は,横隔膜の位置を合わせるための工程であるから,本願発明の「ナビゲータのMR画像を解析して横隔膜の位置を取得する横隔膜位置取得ステップ」を有することは明らかである。

以上のことを総合すると,本願発明と引用発明とは,

[一致点]
「被検体の呼吸を停止させた状態で横隔膜を含む撮像領域を持つMR画像を撮像するナビゲータ用撮像ステップと,
前記ナビゲータのMR画像を解析して横隔膜の位置を取得する横隔膜位置取得ステップと,
前記ナビゲータ用撮像ステップから続いて被検体の呼吸を停止させた状態で所望のスライスのMR画像を撮像するイメージング用撮像ステップと,
被検体の呼吸を再開させる息継ぎステップとを,この順で2回以上繰り返すと共に,
2回目以後のイメージング用撮像ステップにおいて,前記1回目のスライスの位置を1回目の横隔膜の位置と2回目以後の横隔膜の位置の差だけ補正した位置を2回目以後のスライスの位置として,前記イメージング用撮像を行うMR撮影方法。」

の点で一致し,次の点において一応相違する。

[相違点]
横隔膜位置取得ステップと,その後のイメージング用撮像ステップについて,本願発明は,「1秒以上の,前記ナビゲータ用撮像からの縦磁化回復のための縦磁化回復期間内に,」横隔膜位置取得ステップがあり,前記縦磁化回復期間後に,所望のスライスのMR画像を撮像するイメージング用撮像ステップがあるのに対して,引用発明は,縦磁化回復期間を条件に含んでいない点で相違する。

イ 判断
上記相違点についての判断は,以下のとおりである。

MR撮像方法において,S/N比の高い画像を短時間に取得することは,当然に求められる技術課題であり,そのために縦磁化回復を考慮することは,平成22年12月13日付拒絶理由通知に引用された特開2005-21488号公報にも記載されているように周知技術であり,1秒程度待つことで縦磁化を回復させることも常套手段である。
また,横隔膜位置取得ステップと縦磁化回復期間を同時にすることも,処理効率を考えた常套手段である。
してみると,引用発明に上記常套手段を適用して本願発明を構成することは,十分に動機付けが有り,阻害要因もないので,当業者が容易に想到し得たものであるといえる。

そして,このように構成したことによる作用効果は,引用刊行物の記載から当業者が予測し得る範囲内のものにすぎない。

したがって,本願発明は,引用発明,および常套手段に基づき当業者が容易に発明をすることができたものである。

第5 むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明,および常套手段に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,その他の請求項について言及するまでもなく,本願出願は拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-08-12 
結審通知日 2013-08-13 
審決日 2013-09-05 
出願番号 特願2005-267763(P2005-267763)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A61B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 右▲高▼ 孝幸  
特許庁審判長 岡田 孝博
特許庁審判官 藤田 年彦
信田 昌男
発明の名称 MR撮影方法およびMRI装置  
代理人 有近 紳志郎  

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