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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G01C
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01C
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01C
管理番号 1284105
審判番号 不服2013-4217  
総通号数 171 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2014-03-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-03-04 
確定日 2014-01-28 
事件の表示 特願2010-178985「ナビゲーションデバイス」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 2月 3日出願公開,特開2011- 22152〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願の発明
本願は,平成17年6月6日を国際出願日とする特願2008-514570号の一部を平成22年8月9日に新たな特許出願としたものであって,平成23年11月30日付けの拒絶理由通知書に対し,平成24年6月5日付けで意見書及び手続補正書が提出された後,平成24年6月21日付けの拒絶理由通知書に対し,平成24年10月1日付けで意見書及び手続補正書が提出された後,平成24年10月29日付けで平成24年10月1日付けの手続補正が却下されると共に同日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,平成25年3月4日に拒絶査定不服審判が請求されると共に,同日付け手続補正書による手続補正(以下,「本件補正」という。)がなされ,同年4月8日付けで審尋がなされ,これに対し同年7月11日付け回答書が提出されたものである。

2.本件補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
(1)本件補正後の本願の発明
本件補正により,特許請求の範囲の請求項1は,
「ナビゲーションデバイスであって,
地図データを格納する少なくとも一つのメモリユニットを備え,前記地図データは,道,交通標識,スピードカメラ,ビルまたは興味のある場所である実世界の特徴に対応するオブジェクトの位置と,前記オブジェクトの形状を示す情報と,前記オブジェクトに関する付加情報とを含み,
カメラからのビデオ出力を受信し,前記カメラのレンズのズーム係数,カメラアングル,焦点距離の少なくとも一つに関連するカメラ設定と,位置決め装置からの前記カメラの位置と,姿勢センサからの前記カメラの姿勢とを示すデータを受信して,受信したデータを用いて前記カメラからの前記ビデオ出力において表される前記実世界の部分を判断し,
前記カメラからの前記ビデオ出力のカメラ画像と仮想記号との組合せをディスプレイ上に表示し,前記仮想記号は,前記表示中のカメラ画像により表される実世界の前記部分における位置を有する前記実世界の特徴に対応するオブジェクトの前記格納された付加情報のテキストまたはグラフィック表現であり,
パターン認識技術と前記オブジェクトの形状を表す情報を用いて,表示中のカメラ画像において対応する実世界の特徴を認識し,前記仮想記号が表示中の前記カメラ画像において前記認識された実世界の特徴の位置と対応した空間的位置を有するように,該仮想記号を前記カメラ画像に重畳表示することを特徴とするナビゲーションデバイス。」
と補正された。

上記補正は,審判請求書において請求人が主張するように,少なくとも請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「位置決め装置から受信する位置の信号」について,「位置決め装置からの前記ナビゲーションデバイスおよびカメラの少なくとも何れかの位置を示すデータ」としていたものを「位置決め装置からの前記カメラの位置」「を示すデータ」として限定するものを含むものであって,少なくとも平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下,単に「改正前の特許法」という。)第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで,本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下,「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開2004-77189号公報(以下,「引用例」という。)には,図面と共に次の事項が記載されている。

・「【要約】
【課題】対象物の特定が良好なナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】地図情報取得手段261Aが,地図情報を取得する。構成物情報取得手段261Bが,構成物に関し地図情報の所定位置に関連付けられた構成物情報を取得する。撮像位置情報取得手段261Dが,対象物を撮像した位置に関する撮像位置情報を取得する。方向情報取得手段261Eが,撮像方向に関する方向情報を取得する。撮像距離設定手段261Fが,撮像した位置から対象物までの撮像距離を設定する。対象物位置情報取得手段261Gが,撮像位置情報,方向情報,および,撮像距離に基づいて,対象物の位置に関する対象物位置情報を取得する。この後,情報処理手段261Hが,対象物位置情報に基づいて,対象物に対応する構成物における構成物情報を取得した構成物情報から選出する。このことにより,選出した構成物情報から,対象物を良好に特定できる。」

・「【0016】
ナビゲーション装置2は,移動体としての車両に搭載され,後述するスコープ21にて表示される映像から対象物を特定する。また,車両の現在位置を測位し,この現在位置から所定の目的地までの経路を設定する。このナビゲーション装置2は,スコープ21と,操作部22と,情報格納部23と,報知部24と,位置検出部25と,システム制御部26と,ナビゲーション通信部27とを備えて構成されている。」

・「【0025】
検出部213は,スコープ21に搭載され,スコープ21の現在位置,スコープ21の観察する方向を検出する。この検出部213は,GPS受信部213Aと,方位角センサ213Bと,傾きセンサ213Cとを備えて構成されている。
【0026】
GPS受信部213Aは,複数のGPS衛星から緯度情報および経度情報で表されたスコープ21の絶対的な位置情報を検出する。そして,このスコープ21の位置情報をシステム制御部26に出力する。
【0027】
方位角センサ213Bは,スコープ21を対象物に向けた時の該スコープ21の方位を磁北からの角度で表された方位情報を検出する。そして,このスコープ21の方位情報をシステム制御部26に出力する。
【0028】
傾きセンサ213Cは,スコープ21を対象物に向けた時の該スコープ21の仰角およびレンズ群211Aのレンズ軸回りの回転角で表された傾斜情報を検出する。そして,このスコープ21の傾斜情報をシステム制御部26に出力する。」

・「【0033】
地図情報としては,例えば,道路データを含む地図データで構成される。そして,この地図情報は,全体地図をメッシュ状の単位領域としてのブロックに分割し,各ブロックに対して地図ファイルを割り当て,これら多数のブロックから構成できる。
【0034】
また,情報格納部23には,地図情報の他,山や建造物等の構成物の形状を特徴付ける構成物データ,および,この構成物を紹介する構成物紹介データ等の各種データを有している。これら構成物データおよび構成物紹介データは,地図情報における所定位置とリンクして構成されている。また,これら構成物データおよび構成物紹介データが,本発明に係る構成物情報に相当する。
【0035】
そして,情報格納部23に格納された情報のうち,地図データおよび構成物データは,例えば,平面的に形成される二次元情報,または,CG画像等の三次元情報で構成される。」

・「【0044】
情報処理部261は,スコープ21から出力される情報を取得し,所定の処理を施す。そして,映像形成部211に対象物に関する実映像および擬似映像を表示させる。この情報処理部261は,地図情報取得手段261Aと,構成物情報取得手段261Bと,撮像情報取得手段261Cと,撮像位置情報取得手段261Dと,方向情報取得手段261Eと,撮像距離設定手段261Fと,対象物位置情報取得手段261Gと,情報処理手段261Hと,表示制御手段261Iとを備えて構成されている。
【0045】
地図情報取得手段261Aは,情報格納部23に格納された情報のうち,三次元情報で構成された地図データを取得する。
【0046】
構成物情報取得手段261Bは,情報格納部23に格納された情報のうち,三次元情報で構成された構成物データ,および,構成物を紹介する構成物紹介データを取得する。
【0047】
撮像情報取得手段261Cは,スコープ21の撮像部211Cにて撮像された撮像情報を取得して画像信号を出力する。この撮像情報取得手段261Cは,例えば,取得した撮像情報をコンピュータ用の画像信号に変換するビデオキャプチャボード等を採用できる。
【0048】
撮像位置情報取得手段261Dは,スコープ21のGPS受信部213Aにて受信した該スコープ21の位置情報を取得する。そして,この取得した位置情報を基に撮像位置情報としての撮像位置データとして出力する。
【0049】
方向情報取得手段261Eは,スコープ21の方位角センサ213Bにて検出した該スコープ21の方位情報およびスコープ21の傾きセンサ213Cにて検出した該スコープ21の傾斜情報を取得する。そして,これら取得した方位情報および傾斜情報を基にスコープ21の方向情報としての方向データとして出力する。」

・「【0051】
対象物位置情報取得手段261Gは,撮像位置データ,方向データ,および,撮像距離データを取得し,対象物の絶対的な位置を算出する。そして,対象物位置情報としての対象物位置データを出力する。
【0052】
情報処理手段261Hは,対象物位置情報取得手段261Gから出力される対象物位置データを検出し,この対象物位置データに基づいて,所定の処理を実施する。
【0053】
例えば,この情報処理手段261Hは,対象物位置データに基づいて,構成物情報取得手段261Bにて取得した構成物データおよび構成物紹介データのうち,対象物に対応する構成物データおよび構成物紹介データを選出する。また,この情報処理手段261Hは,撮像情報取得手段261Cから出力される画像信号を検出し,この画像信号に基づいて画像データを取得する。そして,対象物位置データに基づいて,地図データおよび画像データに構成物データおよび構成物紹介データのうちの少なくともいずれか一方を重畳表示可能に処理して合成情報を生成する。すなわち,地図データおよび画像データに基づく合成情報がそれぞれ擬似映像および実映像に相当し,情報処理手段261Hは,これら擬似映像および実映像を生成する。」

・「【0060】
表示制御手段261Iは,情報処理手段261Hにて生成された合成情報等をスコープ21の擬似映像表示部211Bまたは報知部24のディスプレイ241に表示させる。」

・「【0084】
ステップS7およびS8において,地図情報および構成物情報を取得した後,情報処理手段261Hは,ステップS5にて算出した対象物位置データに基づいて,取得した構成物情報から,対象物に対応する構成物情報を選出する。そして,情報処理手段261Hは,対象物位置データに基づいて,地図情報に構成物情報を重畳表示可能に処理して合成情報を生成する(ステップS9)。例えば,情報処理手段261Hは,取得した構成物情報から,対象物位置データおよびスコープ21からの視野角に基づいて,対象物の絶対的な位置を基準とした視野角の範囲内に存在する構成物情報を選出する。そして,対象物位置データに基づく地図データ上に,選出した構成物情報を重畳表示可能に処理して合成情報を生成する。
【0085】
この後,表示制御手段261Iは,ステップS9において,生成された合成情報を映像形成部211の擬似映像表示部211Bに表示させる(ステップS10)。
【0086】
ここで,図3は,映像形成部に表示された擬似映像の表示形態の一例を示す図である。図3は,擬似映像Imを示し,構成物データFdおよび構成物紹介データに関する情報指示マークMiが地図データMdに重畳されて表示された状態を示す。このうち,情報指示マークMiは,略吹き出し状に形成され,空中に浮遊し,構成物データFdを指示するように表示されている。また,この情報指示マークMiは,構成物データFdの種類に応じて異なる表示形態で表示される。例えば,この表示形態としては,構成物データFdの種類に応じて異なる色で表示させてもよく,または,情報指示マークMiを異なる形状で表示させてもよい。
【0087】
すなわち,情報処理手段261Hは,対象物位置データに基づく地図データMd上に,選出した構成物データFdおよび構成物紹介データに関する情報として情報指示マークMiを重畳表示可能に処理して合成情報(擬似映像Im)を生成する。」

・「【0090】
そして,スコープ21の映像形成部211において,実映像に構成物情報を重畳表示させる際には,例えば,以下の処理により実施される。
【0091】
すなわち,上述したステップS1からS5の後,ステップS7およびS8と同様に地図情報および構成物情報を取得する。また,スコープ21の撮像部211Cが,レンズ群211Aを介して観察される実映像と略同様の映像を撮像する。そして,情報処理部261の撮像情報取得手段261Cが,撮像部211Cにて撮像された撮像情報を取得し,画像信号に変換して出力する。
【0092】
この後,情報処理手段261Hは,この画像信号を検出し,画像データに変換する。また,上述したステップS9と同様に,情報処理手段261Hが,対象物位置データに基づいて,対象物に対応する構成物情報(情報指示マークまたは構成物紹介データ)を選出し,この選出した構成物情報を画像データに重畳表示可能に処理して合成情報を生成する。
【0093】
そして,表示制御手段261Iが,映像形成部211の擬似映像表示部211Bに合成情報を表示させる。」

・「【0149】
本実施形態の情報処理部261では,情報処理手段261Hは,構成物情報を重畳させる地図情報および撮像情報を切り替えて合成情報を生成する際,地図情報および撮像情報を対象物位置情報に基づいて略同一視野範囲に設定することを特徴とする。このことにより,地図情報および撮像情報の双方の間で,視野範囲が合致した合成情報を生成でき,合成情報を切り替えた際でも,違和感のない表示を実現できる。」

・「【0173】
上述した実施形態では,情報処理部261にて生成した合成情報を映像形成部211に表示させる構成を説明したが,報知部24のディスプレイ241に表示させるように構成してもよい。例えば,地図情報に基づく合成情報の生成は,図2に示す処理動作に基づいて実施すればよい。また,撮像情報に基づく合成情報の生成は,例えば,以下の処理動作に基づいて実施すればよい。」

・「【0177】
この後,表示制御手段261Iは,生成された合成情報をディスプレイ241に表示させる。」

・図3には,映像形成部に表示された擬似映像の表示形態の一例を示す図が図示されている。

これらの記載事項及び図示内容を総合すると,引用例には次の発明(以下,それぞれ「引用発明1」及び「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。

「ナビゲーション装置2であって,
地図情報と,地図情報の所定位置に関連付けられた構成物情報を格納する情報格納部23を備え,前記地図情報と,地図情報の所定位置に関連付けられた構成物情報は,山や建造物等である対象物である構成物の位置と,前記対象物である構成物の形状を特徴付ける構成物データと,前記対象物である構成物を紹介する構成物紹介データとを含み,
スコープ21からの画像信号を取得し,前記スコープ21のレンズの焦点距離と,GPS受信部213Aからの前記スコープ21の現在位置と,方位角センサ213B及び傾きセンサ213Cからの前記スコープ21の方位角及び傾きとを表す情報を取得して,取得した情報に基づいて前記スコープ21からの前記画像信号において表示される前記視野範囲を設定し,
前記スコープ21からの前記画像信号の実映像と情報指示マークMiとの合成情報をディスプレイ241に表示し,前記情報指示マークMiは,前記表示している実映像により表示される視野角の範囲内に存在する前記対象物である構成物の前記格納された構成物紹介データに関する略吹き出し状に形成された表示形態であり,
撮像位置データ,方向データ,および,撮像距離データから対象物である構成物の絶対的な位置を算出した対象物位置情報に基づいて,表示している実映像において対応する対象物である構成物を選択し,前記情報指示マークMiが表示されている前記実映像において前記選択された対象物である構成物を指示するように空中に浮遊するように,該情報指示マークMiを前記実映像に重畳表示するナビゲーション装置2。」(引用発明1)

「ナビゲーション装置2であって,
山や建造物等の対象物である構成物に関する地図情報と構成物情報を格納する情報格納部23を備え,スコープ21からの画像信号および焦点距離と,GPS受信部213Aからのスコープ21の現在位置を表す位置情報とを取得するように構成され,前記スコープ21からの前記画像信号の実映像と情報指示マークMiとの合成情報をディスプレイ241に表示するように構成され,前記情報指示マークMiは,対象物である構成物の格納された構成物情報に関し,前記情報指示マークMiは,表示している前記実映像において前記対象物である構成物を指示するように空中に浮遊するように,該情報指示マークMiに関する前記格納された構成物情報とリンクする地図情報における所定位置および前記焦点距離等に基づく対象物位置情報に基づいて,前記実映像に重畳表示されるナビゲーション装置2。」(引用発明2)

(3)対比
そこで,本願補正発明と引用発明1とを対比する。

その機能からして,後者の「ナビゲーション装置2」は前者の「ナビゲーションデバイス」に相当している。
同様に,後者の「地図情報と,地図情報の所定位置に関連付けられた構成物情報」は前者の「地図データ」に相当し,後者の「情報格納部23」は前者の「少なくとも一つのメモリユニット」に相当し,後者の「山や建造物等」は,引用例の図3の図示内容から「ビル」を含むことが看てとれるから,前者の「道,交通標識,スピードカメラ,ビルまたは興味のある場所」に相当し,後者の「対象物である構成物」は前者の「実世界の特徴に対応するオブジェクト」,「実世界の特徴」及び「オブジェクト」に相当し,後者の「対象物である構成物の形状を特徴付ける構成物データ」は前者の「オブジェクトの形状を示す情報」に相当し,後者の「対象物である構成物を紹介する構成物紹介データ」は前者の「オブジェクトに関する付加情報」に相当している。
また,後者の「スコープ21」は前者の「カメラ」に相当し,後者の「画像信号」は前者の「ビデオ出力」に相当し,後者の「取得」する態様は前者の「受信」する態様に相当し,後者の「焦点距離」は前者の「ズーム係数,カメラアングル,焦点距離の少なくとも一つに関連するカメラ設定」に相当し,後者の「GPS受信部213A」は前者の「位置決め装置」に相当し,後者の「スコープ21の現在位置」は前者の「カメラの位置」に相当し,後者の「方位角センサ213B及び傾きセンサ213C」は前者の「姿勢センサ」に相当し,後者の「スコープ21の方位角及び傾き」は前者の「カメラの姿勢」に相当し,後者の「表す情報」は前者の「示すデータ」に相当し,後者の「取得した情報に基づいて」いる態様は前者の「受信したデータを用いて」いる態様に相当し,後者の「表示される」態様は前者の「表される」態様に相当している。つづいて,請求人の平成25年7月11日付け回答書における,「技術的な意味が明らかでないとのご指摘を受けた「受信したデータ(カメラ設定,カメラ位置,カメラ姿勢)を用いて前記カメラからの前記ビデオ出力において表される前記実世界の部分を判断」するという記載は,(i)に対応しますが,カメラの位置/姿勢や設定(焦点距離等)に基づいてカメラがビデオ出力する画像が実世界のどの部分であるかを検出できることは,たとえば,引用文献2(当審注:特開平11-66355号公報)の段落0025に記載されているように(視野空間を算出する点)周知です。」との記載からして,本件補正発明における「実世界の部分」は「視野空間」に相当するから,後者の「視野範囲」は前者の「実世界の部分」に相当するので,結局,後者の「視野範囲を設定し」ている態様は前者の「実世界の部分を判断し」ている態様に相当している。
さらに,後者の「実映像」は前者の「カメラ画像」に相当し,後者の「情報指示マークMi」は前者の「仮想記号」に相当し,後者の「合成情報」は前者の「組合せ」に相当し,後者の「ディスプレイ241に表示」する態様は前者の「ディスプレイ上に表示」する態様に相当し,後者の「表示している」態様は前者の「表示中の」態様に相当し,後者の「視野角の範囲内に存在する」態様は前者の「実世界の前記部分における位置を有する」態様に相当し,後者の「構成物紹介データに関する略吹き出し状に形成された表示形態」は前者の「付加情報のテキストまたはグラフィック表現」に相当している。
そして,後者の「選択」する態様は前者の「認識」する態様に相当し,後者の「対象物である構成物を指示するように空中に浮遊する」態様は前者の「実世界の特徴の位置と対応した空間的位置を有する」態様に相当している。
最後に,後者の「撮像位置データ,方向データ,および,撮像距離データから対象物である構成物の絶対的な位置を算出した対象物位置情報に基づいて」と前者の「パターン認識技術とオブジェクトの形状を表す情報を用いて」とは,「オブジェクトに係る情報を用いて」の概念で共通している。

したがって,両者は,
「ナビゲーションデバイスであって,
地図データを格納する少なくとも一つのメモリユニットを備え,前記地図データは,道,交通標識,スピードカメラ,ビルまたは興味のある場所である実世界の特徴に対応するオブジェクトの位置と,前記オブジェクトの形状を示す情報と,前記オブジェクトに関する付加情報とを含み,
カメラからのビデオ出力を受信し,前記カメラのレンズのズーム係数,カメラアングル,焦点距離の少なくとも一つに関連するカメラ設定と,位置決め装置からの前記カメラの位置と,姿勢センサからの前記カメラの姿勢とを示すデータを受信して,受信したデータを用いて前記カメラからの前記ビデオ出力において表される前記実世界の部分を判断し,
前記カメラからの前記ビデオ出力のカメラ画像と仮想記号との組合せをディスプレイ上に表示し,前記仮想記号は,前記表示中のカメラ画像により表される実世界の前記部分における位置を有する前記実世界の特徴に対応するオブジェクトの前記格納された付加情報のテキストまたはグラフィック表現であり,
オブジェクトに係る情報を用いて,表示中のカメラ画像において対応する実世界の特徴を認識し,前記仮想記号が表示中の前記カメラ画像において前記認識された実世界の特徴の位置と対応した空間的位置を有するように,該仮想記号を前記カメラ画像に重畳表示するナビゲーションデバイス。」
である点で一致し,次の点で相違する。

[相違点]
表示中のカメラ画像において対応する実世界の特徴を認識するのに,オブジェクトに係る情報を用いることに関し,本願補正発明は,「パターン認識技術と前記オブジェクトの形状を表す情報を用いて」と特定されるのに対し,引用発明では,「撮像位置データ,方向データ,および,撮像距離データから対象物である構成物の絶対的な位置を算出した対象物位置情報に基づいて」と特定される点。

(4)判断
上記相違点について以下検討する。

ア. 請求人は平成25年7月11日付け回答書において,「技術的な意味が明らかでないとのご指摘を受けた,「パターン認識技術と前記オブジェクトの形状を表す情報を用いて,表示中のカメラ画像において対応する実世界の特徴を認識」するという記載は,(ii)に相当するものであり,オブジェクトの形状を表す情報とビデオ画像とのパターン認識により実世界の特徴(そのオブジェクトとマッチする画像)を認識することを規定したものです。すなわち,オブジェクトの形状情報と画像情報とのマッチングを行うものであり,その技術的な意味は明瞭であると思料致します。」と述べている。これにしたがえば,本願補正発明の「パターン認識技術と前記オブジェクトの形状を表す情報を用いて,表示中のカメラ画像において対応する実世界の特徴を認識」することは「オブジェクトの形状情報と画像情報とのマッチングを行うもの」と解釈できるものであるから,本願補正発明の「パターン認識技術」は「パターンマッチング」を行う技術と解せる。

イ. 本願の出願日である平成17年6月6日前に頒布され,請求人が平成25年7月11日付け回答書において「引用文献2」とした特開平11-66355号公報(以下,「刊行物」という。)には,図面と共に次の事項が記載されている。

・「【0002】
【従来の技術】従来,利用者がいる周辺に関する地理的情報を利用者に教示するシステムとして種々のナビゲーションシステムがあった。」

・「【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,同装置を用いる場合,最終的には人間が現実の風景とコンピュータの世界での地理的情報とを肉眼で対応付けることによって,現実の風景の中のものが何であるかを認識しなければならない。つまり,利用者の眼前にある実際の建物や道路や山が何であるかを,動画像表示された地図中の記号等を基にして人間が肉眼を頼りにして人間の脳を無意識に働かせて対応付けの作業を行って理解しなければならない。街角等では,コンピュータでの地図と実際の景観を見比べては方角を把握したり目印を見つけたりしてその方向を注視し,その方向にある建物の特徴を理解した上で再度地図を見てその建物が何であるかを理解している。
【0006】このため,何度もコンピュータ上の地図と実風景を見比べて人間の方で対応付けする手間は省略できないという問題点がある。特に薄暗がりや夜間等は実風景が見にくくて対応を取りにくい。
【0007】本発明の目的は,コンピュータ上の地理的情報と実風景の画像(以下,景観画像と呼ぶ。)中の各部分とを対応付けて利用者に教示する景観ラベリング装置およびシステムを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は,コンピュータ上の地図データを3次元データとして予め作成しておき,画像(CG画像と区別するため以降景観画像と呼ぶ)が入力されるときの位置とカメラの角度と焦点距離と画像サイズを撮影時に取得し,コンピュータ上の3次元地図空間内で実風景撮影時の位置とカメラの角度と焦点距離から眺望した場合のコンピュータグラフィックス(以下,CGとする。)画像内での地理的情報を取得し,その地理的情報を,実風景である景観画像に重畳表示することで対応付けを実現するものである。この地理的情報とは画像での,構造物等の名称またはその属性情報であり,属性情報とはその構造物に関するあらゆる属性(例えば輪郭,色等)についての情報を意味する。この明細書の中では構造物という言葉を人工の構造物以外に,山や川や海等の天然の地形も含めて地図DBでの何らかの地理的構造を有するデータ全ての意味で用いることとする。地理的情報の取得にあたっては,カメラ位置,カメラ角,焦点距離,画像サイズをもとに景観画像を求め,複数画像の構造物を求める。その構造物が写っているはずの景観画像の位置(以下,付与位置と称す)を求めて,構造物の名称または属性情報を重畳表示する。
【0009】さらに,景観画像での構造物とCG画像での構造物との対応付けの精度をさらに上げるためには,景観画像の各部分領域に対して先に獲得した構造物をパターンマッチングにより対応付ける。獲得した構造物を基にしてCG画像を作成し,景観画像の前記部分領域に対してパターンマッチングによりCG画像中の部分領域を対応付け,対応付けられた部分領域のもととなった構造物を求める。
【0010】ここで,CG画像の作成法の一例について述べる。先に取得したカメラ位置とカメラ角度と焦点距離と画像サイズを基に3次元地図DBにアクセスして,3次元地図空間内での視野空間を求める。視野空間中の構造物を求め,カメラ画面を投影面として,各構造物の立体データをこの投影面に3次元投影変換する。さらに各構造物の投影図形を構成する線データのうち,他の構造物に隠れて見えない線データを法線ベクトル法等の手法を用いて隠線消去する。隠線消去して残った線データを基にして,CG画像を領域分割する。3次元地図DBを利用しているため,各領域毎にその領域のもととなる構造物の名称を対応付けできる。
【0011】そうして,パターンマッチングにより景観画像の各部分領域に対応付けられたCG画像の部分領域の構造物名称を抽出する。抽出した構造物名称を重畳すべき実風景画像の位置座標を,3次元地図空間中での構造物の位置座標を先の投影面に3次元投影変換して求める。抽出した構造物名称を重畳すべき実風景画像の位置座標から,構造物の名称またはその属性情報およびその付与位置の座標を含むラベル情報を作成する。ラベル情報を基に実風景である景観画像に構造物名称を重畳して,視覚機器に表示する。」

・「【0013】本発明の景観ラベリング装置は,画像を取得する画像取得手段と,画像取得時のカメラ位置を取得する位置情報取得手段と,画像取得時のカメラ角と焦点距離と画像サイズを取得するカメラ属性情報取得手段と,取得した画像を複数の部分領域に分割する画像処理手段と,地図情報を管理し,取得したカメラ位置とカメラ角と焦点距離と画像サイズを基に地図情報空間のなかで視野空間を求め,その視野空間中に存在する構造物を獲得する地図情報管理手段と,獲得した構造物を基にしてCG画像を作成し,前記画像の前記部分領域に対してパターンマッチングにより前記CG画像中の部分領域を対応付け,対応付けられた部分領域の構造物を求めるか,獲得した構造物をカメラ画面に3次元投影変換し,視点から見えない構造物を消去してCG画像を作成し,CG画像中の部分領域の輪郭線によってCG画像を部分領域に分割し,前記画像の前記部分領域と前記CG画像の前記部分領域とをパターンマッチングにより対応付け,画像の部分領域に対して対応付けCG画像の部分領域の基となった構造物を求め,その構造物の名称または属性情報および付与位置を少なくとも含み,構造物の属性情報として,当該構造物の関連情報の名称と,該関連情報にアクセスするためのアドレス情報を含むか,当該構造物の空間構造を表現した2次元図形およびその付与位置の座標または前記当該構造物の領域を表現した3次元図形およびその付与位置の座標をさらに含むラベル情報を作成するラベル情報作成手段と,前記ラベル情報中の構造物の名称またはその属性情報を画像中の付与位置に対応する位置に重畳し,重畳された画像を視覚機器に表示するラベル情報出力手段と,前記各手段を制御する制御手段を有する。」

・「【0025】3次元地図データの例を図4に示す。図4(1)に2次元で表現した地図情報空間を示し,図4(2)に3次元で表現した地図情報空間を示す。この3次元地図情報空間に対して,地図情報管理部5では制御部8の命令を受けて景観画像ファイルのヘッダ情報を基に地図DBをアクセスし(ステップ27),視野空間を算出する(ステップ28)。図5に視野空間の計算例を示す。まず,水平方向にXY軸が張り,垂直方向にZ軸が張るものとする。景観画像ファイルのヘッダ情報中の位置情報から,視点Eの位置を3次元地図情報空間の中で設定する。例えば,東経137度55分19秒,北緯34度34分30秒,標高101m33cmであれば,それに対応する地図メッシュ番号中の対応する座標を設定する。同じくヘッダ情報中のカメラ角情報中の水平角と仰角をもとにカメラ角方向を設定する。カメラ角方向を表す直線上に視点Eから焦点距離分進んだ点に焦点Fをとる。視線方向ベクトルはその直線上で視点Eから出る長さ1の単位ベクトルである。景観画像ファイルの画像サイズで横方向のサイズからカメラ画面のX軸での幅xを設定し,縦方向のサイズからY軸での幅yを設定する。横x縦yの平面は視線方向ベクトルに対してカメラ角方向に垂直で,かつ焦点Fを含むように設定される。視点Eの座標からカメラ画面の4隅の点とを結ぶ直線を各々求め,視点Eから延びる4本の半直線が作る3次元空間を視野空間とする。図6に,3次元地図空間での視野空間の例を示す。3次元地図空間をXZ平面から眺めたものである。図6中で斜線で囲まれた部分は視野空間に属する空間の,XZ平面での断面図である。図6の例では,視野空間の中のビルや山が含まれている。」

・図11には,景観画像へのラベル情報の重畳の例を示す図が図示されており,「Aビル」及び「Bビル」のラベル情報が図示されている。

・上記記載事項,特に,図11の図示内容から,「構造物」には「ビル」が含まれることが看てとれる。

これらの記載事項及び図示内容を総合すると,刊行物には次の事項(以下,「刊行物記載事項」という。)が記載されているものと認められる(本願補正発明において相当する特定事項を括弧内に記載した。)。

「パターンマッチング(パターン認識技術)とビルを含む構造物(オブジェクト)の立体データ(形状を表す情報)を利用して(用いて),
表示している(表示中の)景観画像(カメラ画像)において対応する(対応する)ビルを含む構造物(実世界の特徴)を対応付け(認識し),
ビルを含む構造物の名称(仮想記号)が表示している(表示中の)前記景観画像(カメラ画像)において前記対応づけされた(認識された)ビルを含む構造物(実世界の特徴)の位置座標(位置)から変換した(と対応した)位置座標となる(空間的位置を有する)ように,
該ビルを含む構造物の名称(仮想記号)を前記景観画像(カメラ画像)に重畳表示(重畳表示)するナビゲーションシステムの課題を解決する景観ラベリング装置(ナビゲーションデバイス)。」

ウ. ナビゲーション装置において,情報処理の正確性と迅速性の向上は一般的な課題であるといえる。そして,引用発明1の対象物である構成物を「撮像位置データ,方向データ,および,撮像距離データから対象物である構成物の絶対的な位置を算出した対象物位置情報に基づいて」選択する際には,例えば算出時に累積誤差が生じやすいことは明らかである。そうすると,引用発明1の対象物である構成物の選択手法に代えて,上記ナビゲーション装置における一般的な課題の下,情報処理の技術常識から,正確性と迅速性をさらに向上させ得る刊行物記載事項のものを採用し,上記相違点に係る本願補正発明の構成とすることは,当業者が容易に想到し得ることである。
また,本願補正発明の全体構成により奏される効果も,引用発明,上記ナビゲーション装置における一般的な課題及び刊行物記載事項から当業者が予測し得る範囲内のものである。

したがって,本願補正発明は,引用発明,上記ナビゲーション装置における一般的な課題及び刊行物記載事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおりであって,本件補正は,改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下を免れない。

3.本願の発明について
本件補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下,同項記載の発明を「本願発明」という。)は,平成24年6月5日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される,以下のとおりのものである。
「ナビゲーションデバイスであって,
一つまたは複数の現実世界の特徴に関連する情報を格納する少なくとも一つのメモリユニットを備え,カメラからのビデオ出力およびカメラ設定と,位置決め装置からの前記ナビゲーションデバイスおよびカメラの少なくとも何れかの位置を示すデータとを受信するように構成され,前記カメラからの前記ビデオ出力のカメラ画像と仮想記号との組合せをディスプレイ上に表示するように構成され,前記仮想記号は,現実世界の特徴の格納された情報を表し,前記仮想記号は,表示中の前記カメラ画像において前記現実世界の特徴と対応した空間的位置を有するように,該仮想記号で表される前記格納された情報に関連する位置データおよび前記カメラ設定を用いて,前記カメラ画像に重畳表示される
ことを特徴とするナビゲーションデバイス。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例,及び,その記載事項は,前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
そこで,本願発明と引用発明2とを対比する。

その機能からして,後者の「ナビゲーション装置2」は前者の「ナビゲーションデバイス」に相当している。
同様に,後者の「山や建造物等の対象物である構成物」は,引用例の図3の図示内容から「ビル」を含むことが看てとれるから,審判請求書の「「地図データを格納する少なくとも一つのメモリユニットを備え,前記地図データは,道,交通標識,スピードカメラ,ビルまたは興味のある場所である実世界の特徴に対応するオブジェクトの位置と,前記オブジェクトの形状を示す情報と,前記オブジェクトに関する付加情報とを含み」の補正は,たとえば本願明細書の段落0041,0117の記載に基づいて,メモリユニットが格納する情報として補正前の請求項に規定されていた「一つまたは複数の現実世界の特徴に関連する情報」をより明瞭に且つ具体的にしたものです。」との記載からして,「ビル」を含む前者の「一つまたは複数の現実世界の特徴」及び「現実世界の特徴」に相当し,後者の「関する」は前者の「関連する」に相当し,後者の「地図情報と構成物情報」は前者の「情報」に相当し,後者の「情報格納部23」は前者の「少なくとも一つのメモリユニット」に相当している。
また,後者の「スコープ21」は前者の「カメラ」に相当し,後者の「画像信号」は前者の「ビデオ出力」に相当し,後者の「焦点距離」は,本願の明細書の記載(段落【0080】等参照)からして「焦点距離」を含む前者の「カメラ設定」に相当し,後者の「GPS受信部213A」は前者の「位置決め装置」に相当し,後者の「スコープ21の現在位置」は前者の「ナビゲーションデバイスおよびカメラの少なくとも何れかの位置」に相当し,後者の「現在位置を表す位置情報」は前者の「位置を示すデータ」に相当し,後者の「取得」する態様は前者の「受信」する態様に相当している。
さらに,後者の「実映像」は前者の「カメラ画像」に相当し,請求人の審判請求書における「「前記仮想記号は,前記表示中のカメラ画像により表される実世界の前記部分における位置を有する前記実世界の特徴に対応するオブジェクトの前記格納された付加情報のテキストまたはグラフィック表現であり」の補正は,たとえば本願明細書の段落0116の記載に基づき,「仮想記号」をより明瞭に且つ具体的に記載したものです。」との記載からして,「2.(3)」と同様に後者の「情報指示マークMi」は前者の「仮想記号」に相当し,後者の「合成情報」は前者の「組合せ」に相当し,後者の「ディスプレイ241に表示」する態様は前者の「ディスプレイ上に表示」する態様に相当している。
そして,後者の「格納された構成物情報」は前者の「格納された情報」に相当し,後者の「構成物情報に関し」た態様は前者の「情報を表し」た態様に相当し,後者の「表示している」態様は前者の「表示中の」態様に相当し,後者の「対象物である構成物を指示するように空中に浮遊する」態様は前者の「現実世界の特徴と対応した空間的位置を有する」態様に相当し,後者の「情報指示マークMiに関する」態様は前者の「仮想記号で表される」態様に相当し,後者の「リンクする」態様及び「地図情報における所定位置」は前者の「関連する」態様及び「位置データ」に相当しているから,結局,後者の「格納された構成物情報とリンクする地図情報における所定位置」は前者の「格納された情報に関連する位置データ」に相当し,後者の「に基づいて」との態様は前者の「を用いて」との態様に相当し,後者の「焦点距離等に基づく対象物位置情報」における「焦点距離」は前述のとおり前者の「カメラ設定」に相当しているから,結局,後者の「該情報指示マークMiに関する前記格納された構成物情報とリンクする地図情報における所定位置および前記焦点距離等に基づく対象物位置情報に基づいて」との態様は前者の「該仮想記号で表される前記格納された情報に関連する位置データおよび前記カメラ設定を用いて」との態様に相当している。

したがって,両者は,
「ナビゲーションデバイスであって,
一つまたは複数の現実世界の特徴に関連する情報を格納する少なくとも一つのメモリユニットを備え,カメラからのビデオ出力およびカメラ設定と,位置決め装置からの前記ナビゲーションデバイスおよびカメラの少なくとも何れかの位置を示すデータとを受信するように構成され,前記カメラからの前記ビデオ出力のカメラ画像と仮想記号との組合せをディスプレイ上に表示するように構成され,前記仮想記号は,現実世界の特徴の格納された情報を表し,前記仮想記号は,表示中の前記カメラ画像において前記現実世界の特徴と対応した空間的位置を有するように,該仮想記号で表される前記格納された情報に関連する位置データおよび前記カメラ設定を用いて,前記カメラ画像に重畳表示される
ナビゲーションデバイス。」
である点で一致している。

そうすると,本願発明は,引用発明2と同一であって,上記引用例に記載された発明であるから,特許法第29条第1項第3号に掲げる発明に該当し,特許を受けることができないものである。

(3)むすび
以上のとおり,本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は,上記引用例に記載された発明であるから,特許法第29条第1項第3号に掲げる発明に該当し,特許を受けることができないため,本願の特許請求の範囲の請求項2ないし4に係る発明について検討するまでもなく,本願は,同法第49条第2号の規定に該当し,拒絶をされるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2013-09-02 
結審通知日 2013-09-06 
審決日 2013-09-18 
出願番号 特願2010-178985(P2010-178985)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01C)
P 1 8・ 572- Z (G01C)
P 1 8・ 575- Z (G01C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 池田 貴俊  
特許庁審判長 田村 嘉章
特許庁審判官 槙原 進
新海 岳
発明の名称 ナビゲーションデバイス  
代理人 高柳 司郎  
代理人 大塚 康徳  
代理人 下山 治  
代理人 木村 秀二  
代理人 大塚 康弘  
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